(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鉛直方向下部に流入管が、鉛直方向上部に複数の接続管が接続され、鉛直方向に対し垂直な面における内壁断面が円形状である、一次旋回流を形成するための一次旋回室と、
前記複数の接続管各々に接続され、鉛直方向に対し垂直な面における内壁断面が円形状である、二次旋回流を形成するための複数の二次旋回室と、を備えたサイクロン型分級装置であって、
前記複数の接続管は、前記鉛直方向に対し同一の垂直な面内に配置され、かつ、前記接続管の延伸方向は、円形状である前記一次旋回室の前記内壁断面に対する接続位置から接線方向に延び、
前記一次旋回室は、内部空間が、鉛直方向上に向かうに従い前記円形状の直径が増加する円錐台形となっており、
前記一次旋回室内には、芯と前記芯の周囲に羽根を有する回転可能な回転部材を備えるサイクロン型分級装置であって、
前記回転部材の前記羽根の縁辺と前記一次旋回室の内壁面は略平行の部分を有するサイクロン型分級装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、また以下に示す実施形態、実施例において記載される具体的な例示についても適宜変更及び調整が可能であり、これらに限定されるものではない。
【0016】
図1は、本実施形態に係るサイクロン型分級装置(以下「本装置」という。)1の概略を示す図であり、
図2は、本装置1の部位の接続関係を上から見た場合の図であり、
図3は、本装置1の一次旋回室と流入管の接続関係を示す図であり、
図4は、本装置1を鉛直方向に沿った面(それぞれが二つの接続管に沿った一次旋回室の中心で交差する面)で切断した場合の断面図であり、
図5は、本装置1の回転部材の一例の概略を示す図である。
【0017】
これらの図で示すように、本装置1は、鉛直方向下部に流入管21を、鉛直方向上部に複数の接続管22を備え、鉛直方向に対し垂直な面における内壁断面が円形状である、一次旋回流を形成するための一次旋回室2と、複数の接続管22各々に接続され、鉛直方向に対し垂直な面における内壁断面が円形状である、二次旋回流を形成するための複数の二次旋回室3と、を備えている。
【0018】
本装置1の動作については後述の記載から明らかであるが、本装置1では、まず、一次旋回室2の流入管21から、混合物が混入した液体が導入され、一次旋回室2を旋回した後、二次旋回室3に送られる。そして、遠心力によって、液体中の粒径が大きいものや比重が大きいものは二次旋回室3の外壁側に集まって下降し、下部排出口であるアンダーフローから排出され、一方、細かいものは上部排出口から排出されることになる。この詳細については以後の記載から明らかとなる。
【0019】
本装置1において、流入管21は、液体を一次旋回室2内の所望の方向に導くことができるものであり、いわゆる配管である。また、流入管21の一次旋回室2への接続位置は、鉛直方向に沿った下部に備えられており、特に限定されるわけではないが、一次旋回室2の底面に沿って配置されていることが好ましい。鉛直方向下から上に向かう旋回流を形成することができるようになる。また、流入管21は、流入させる面における断面である円形状の接線方向に略平行にそって流入させること、すなわち液体流入方向(流入管21の延伸方向)は円形状の接線に略平行となっていることが好ましい。このようにすることで、円形状の内面に沿って液体を導入させることが可能であり、液体に対する抵抗を少なくすることができ、一次旋回室2内に液体を滑らかに導入することが可能となる。ここで、「略平行」とは、完全なる平行を含む概念であるが、実際の製品作成においては製造誤差が生じうるものであってこの誤差を含むことを意味する。具体的には5度程度の誤差を含む概念である。
【0020】
また、流入管21の配管の断面形状は特に限定されるわけではないが、鉛直方向に沿って縦長の断面形状がより好ましいが、縦長の楕円形状又は丸型であっても旋回流を得ることができる。
【0021】
本装置1において、一次旋回室2は、一次旋回流を形成するためのものであって、一次旋回流を形成した後、二次旋回室3に混合物を含む液体を送り出すためのものである。ここで、一次旋回流とは、一次旋回室内において形成され、次段の二次旋回室3に送られ、効率的に分級を行うために整えられた旋回流をいう。
【0022】
また、一次旋回室2は、上記の通り、その鉛直方向下部に流入管21を、鉛直方向上部に複数の接続管22を備え、鉛直方向に対し垂直な面における内壁断面が円形状のものである。また一次旋回室2は、その内部空間23が、鉛直方向上に向かうに従い円形状の直径が増加する円錐台形となっている。すなわち、鉛直方向に沿った面で切断した断面形状が台形となっている。
【0023】
また、本装置1において、一次旋回室2の鉛直方向に対して
平行な面における内壁断面は、上記の通り円錐台形となっており、一次旋回室2内に鉛直方向下側から流入した液体はこの壁面に沿って上昇する旋回流となる。このため、一次旋回室2においては、重い混合物が液体中に混入しているとしても常時鉛直方向上向きの上昇流が発生しているため、一次旋回室2内に沈殿してしまうおそれは少ない。特に、一次旋回室2は円錐台形となっているため、上昇するほど遠心力は強くなり、上部へ導かれることとなり液体を接続管22を介して外部に押し出す力は強くなる。
【0024】
また、一次旋回室2内には、芯241と、この芯241の周囲に羽根242を有する回転可能な回転部材24を備える。本装置1は、この一次旋回室2内に設けられた回転部材24を回転させることで、より強い液体の流れを形成し、接続管22を介して二次旋回室3に液体を排出することが可能となる。
【0025】
本装置1において、回転部材24の芯241は、回転部材の回転中心となる部材である。この芯241は、一次旋回室2外に突出した部分を有しており、回転動力243に接続され、回転する。ここで「回転動力」とは、芯241を回転させるための動力機械をいい、例えばモーター等を例示することができるがこれに限定されない。
【0026】
また、本装置1において、芯241の一次旋回室2内において、形状は限定されるわけではなく、円柱形状であってもよいが、円錐台形状であることが好ましい。円錐台形状とすることで、一次旋回室2の内壁面と平行な部分を備えた空間を形成することが可能となり、安定した一次旋回流を形成しやすくなるといった利点がある。
【0027】
また、芯241の周囲には、上記の通り羽根242が配置されている。羽根242は、芯241の表面と一次旋回室2の内壁面との間の空間を区切るとともに、一次旋回室2内に導入された液体を押し出すための力を加えるためのものである。
【0028】
羽根242は、一次旋回室2の内壁面と均一な狭い間隙を形成するよう配置されていることが好ましい
。このようにすることで、芯241、一次旋回室2の内壁面、羽根242によって空間を確実に仕切り、回転部材24の回転を十分に液体に伝えることができるようになる。
【0029】
また、羽根242は、芯241の延伸軸を含む面上に配置されていてもよいが、芯241の延伸軸を中心軸として、延伸軸方向に進むに従い螺旋を描くよう周方向に移動させつつ配置されていることが好ましい。螺旋を描くように周方向に配置していくことで、回転部材24が回転した際、より強く液体に力を加えることができるとともに、羽根242が傾くことで斜め上方向に液体を押し出す力も得ることができるようになる。
【0030】
また、回転部材24において、羽根242の枚数は特に限定されるわけではないが、複数枚設けられていることが好ましく、例えば4枚以上8枚以下の範囲であることが好ましい。羽根242が複数枚設けることで、より安定的に液体を押し出す力を確保することが可能となる。ただし、この場合において、羽根242の配置は、芯241の周方向に均等に配置されていることが好ましい。均等に配置することでより均一な液体の流れを形成することが可能となる。
【0031】
また、回転部材24において、羽根242の上には、更に接続管22に流体を送り出すための垂直型の上部羽根244が配置されている。この上部羽根244はこの下の羽根242に接続され、羽根242及び芯241にそって螺旋的に上昇してくる流体の流れを整え、滑らかに横方向に押し出す効果を有する。
【0032】
以上、回転部材24の効果については後述するが、回転部材24を設けることで、一次旋回室2に導入された液体に対し徐々に回転径を大きくし、羽根242によりさらに力強く液体を押し出すことで、液体の流れを整えつつ、より大きな流量を提供することが可能となる。
【0033】
また、一次旋回室2には、上記の通り、鉛直方向上部に複数の接続管22を備えている。接続管22のそれぞれの構造については、上記流入管21と同様の構成、すなわち縦長四角配管を採用することができる。
【0034】
また、接続管22の一次旋回室2への接続方向(延伸方向)は、鉛直方向に沿った上部に備えられており、特に限定されるわけではないが、一次旋回室2の天井面に沿って配置されていることが好ましい。このようにすることで、鉛直方向下から上に到達した旋回流を効率的に一次旋回室2外に排出させることができるようになる。また、接続管22は、流入させる面における断面である円形状の接線方向に略平行に沿って排出させること、すなわち液体排出方向(接続管22の延伸方向)は円形状の接線に略平行となっていることが好ましい。このようにすることで、円形状の内面に沿って液体を排出させることが可能であり、液体に対する抵抗を少なくし、より効率的な分級が可能となる。ここで、「略平行」とは、完全なる平行を含む概念であるが、実際の製品作成においては製造誤差が生じうるものであってこの誤差を含むことを意味する。具体的には5度程度の誤差を含む概念である。
【0035】
また、上記の通り、接続管22は、一次旋回室2に対し処理量を増すため複数設けられている。複数設けることでそのそれぞれに二次旋回室を接続し、そのそれぞれにおいて細かく分級作業を行わせることが可能となる。この二次旋回室の数は特に限定されるわけではないが、円形状の周方向に沿って均等に配置されていることが好ましい。
【0036】
なお、本装置1において、二次旋回室3及び接続管22の数は、処理量を増すため6個の場合の例(6連品の図)を示しているが、この数は適宜調整可能であって限定されるわけではない。ただし、均等に流体を分配する必要性から、周方向に均等に配置されている構成となっていることが好ましい。
【0037】
また、接続管22は、鉛直方向に垂直な一面内に複数配置していることが好ましい。このようにすることで、面内にある接続管22それぞれに対し均等に液体の流れを分配することが可能となる。
【0038】
また、本装置1における二次旋回室3は、上記の通り、複数の接続管22各々に接続されるものであって、鉛直方向に対し垂直な面における内壁断面が円形状であって、二次旋回流を形成するためのものである。また、二次旋回室3の上部は円筒形状の空洞が形成されている一方、二次旋回室の下側の内部空間は、鉛直方向下側に向かうに従いその径が小さくなる円錐状となっており、いわゆるサイクロン形状をしている。また、二次旋回室3は、上記接続管22の延伸方向が、二次旋回室3の上部を鉛直方向に対し垂直な面で切断した場合における断面である円形状の接線上にある。このようにすることで、接続管22から創出される液体に対し抵抗を生じさせることなく二次旋回室に液体を導入することが可能となる。
【0039】
また、本装置1における二次旋回室3は、上部にはオーバーフローを排出するための上部排出口31、下部にはアンダーフローを排出させる下部排出口32を備えている。つまり、接続管22によって二次旋回室3に導入された液体は、二次旋回室3において更に旋回流を形成し、液体中の混合物を分級し、上部に軽い混合物及び粒径の小さい固形物を含む液体を、下部に重い混合物及び粒径の大きい固形物を含む液体を排出させることができる。この原理については後述の記載から明らかとなる。
【0040】
また、二次旋回室3上部排出口31は、二次旋回室3内に設けられ、上部排出口31に接続される筒状部分311を備えている。この筒状部分311を設けることで、二次旋回室3に導入された液体が、筒状部分311の周囲を旋回しつつ分級する旋回流となるため、直接上部排出口31から混合物を分級せず排出されてしまう流れを形成するのを防ぐことができるようになる。
【0041】
また、本装置における二次旋回室3と上記の接続管22は、二次旋回室3の上部、具体的には天井板近接する位置に接していることが好ましい。このようにすることで、二次旋回室3内の内部空間の壁面に沿って徐々に鉛直方向下部に向かう旋回流を安定的に形成することが可能となる。
【0042】
本装置1における一次旋回室2の断面は、円形状であればよいが、上記のように、二次旋回室3は鉛直方向に対し垂直な面における内壁断面の円形状の直径がいずれの位置においても等しい円筒形部分と、鉛直方向下に向かうに従い直径が小さくなる円錐台形部分を組み合わせた形状となっていることが好ましい。このようにすることで、円筒形部分において旋回流の流れを整えた後、円錐台形部分において重い混合物と軽い混合物と粒径の大きいものと小さいものを効率的に分級し、下部に重い混合物及び粒径の大きいものを、上部にはそれよりも軽い混合物及び粒径の小さいものを排出させることができるようになる。
【0043】
また、本装置1における二次旋回室3の大きさは適宜変更可能であり限定されない。ただし、より装置の微細分級及び小型化を図る観点から二次旋回室3の鉛直方向上部(接続管22接続位置)の円形状の直径としては1cm以上15cm以下であることが好ましく、より好ましくは7.5cm以下である。また、この場合において、二次旋回室3内の底面から天井までの高さについても適宜変更可能であり限定されるわけではない。
【0044】
また、本装置1では、複数の二次旋回室3の上部排出口31から排出されるオーバーフローは外部に排出させるためのオーバーフロー側カバー33を備えていることが好ましい。このようにすることで、排出側の液体を一つにまとめることができ、排出口34からまとめて排出する。この場合の図を
図6、7に示しておく。
図6は、斜視概略図であり、
図7はその縦断面図である。
【0045】
また、本装置1では、複数の二次旋回室3の下部排出口32から
アンダーフローが外部に排出される。
【0046】
ここで、上記記載から明らかであるが、本装置1を用いた混合物分級方法(以下「本方法」という。)について説明する。
【0047】
すなわち、本方法は、延伸軸に対し垂直な面における内壁断面が円形状でありかつ鉛直方向上に向かうに従い円形状の直径が増加する円錐台形となっているとともに、内部に芯と前記芯の周囲に羽根を有する回転可能な回転部材を備える一次旋回室内に混合物を含む液体を流入させて鉛直方向下から上に向かう一次旋回流を形成し、一次旋回流を前記一次旋回流の接線方向に対し略平行な方向で複数の二次旋回室内に分配導入し、液体と前記混合物を分級する、混合物分級方法である。この液体の流れについては上記に示したとおりである。
【0048】
本方法によると、一次旋回室2に液体が導入された場合、回転部材と一次旋回室内2の空間に液体が入る。そして回転部材を回転させると液体はこの回転に合わせて一次旋回室内を旋回することとなり、力強い整流となる。なお、回転部材においては、羽根が傾けて配置されているため、回転部材の回転とともに液体が上昇する方向に力が加えられ、結果として螺旋的に移動することになる。そして、接続管22を介して二次旋回室3にこの液体が供給されていくことになる。そして二次旋回流内において重い混合物と軽い混合物と粒径の大きいものと小さいものを分級することにより、精度よく混合物を分級することができるようになる。
【0049】
特に、本方法によると、土木工事現場等において発生する微土砂を含む水を投入し、これに対して旋回流を発生させることにより、重さや大きさに基づき土砂の分別を行うことができるようになる。更には、工作機械で研磨装置における研削液中の研磨材と切粉を分離回収することができる。更には、薬剤や食材等の粉体を水に溶かした状態でその粒の大きさや重さに基づき分級することが可能となる。特に、本方法によると、回転部材を回転させることでより強力な流れを形成することが可能となり、より大型化が可能であり、液体に対しても十分な効果を発揮することのできるサイクロン型分級装置を提供することができる。
【0050】
以上、本実施形態により、より大型化が可能であり、液体に対しても十分な効果を発揮することのできるサイクロン型分級装置を提供することができる。
【解決手段】鉛直方向下部に流入管21が、鉛直方向上部に複数の接続管22が接続され、鉛直方向に対し垂直な面における内壁断面が円形状である、一次旋回流を形成するための一次旋回室2と、複数の接続管各々に接続され、鉛直方向に対し垂直な面における内壁断面が円形状である、二次旋回流を形成するための複数の二次旋回室3と、を備えており、複数の接続管は、一次旋回室の延伸方向に対する同一の垂直な面内に配置され、かつ、接続管の延伸方向は、一次旋回室の内壁断面の円形状の接線に対し略平行となっており、一次旋回室は、内部空間が、鉛直方向上に向かうに従い円形状の直径が増加する円錐台形となっており、一次旋回室内には、芯と芯の周囲に羽根を有する回転可能な回転部材を備える。