特許第6934382号(P6934382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6934382
(24)【登録日】2021年8月25日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】時計
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/00 20060101AFI20210906BHJP
   G04F 8/02 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   G04C3/00 B
   G04F8/02 E
【請求項の数】16
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-189158(P2017-189158)
(22)【出願日】2017年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-116042(P2018-116042A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2020年7月16日
(31)【優先権主張番号】特願2017-3982(P2017-3982)
(32)【優先日】2017年1月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】酒井 聡
(72)【発明者】
【氏名】井橋 朋寛
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0327915(US,A1)
【文献】 特開2013−50332(JP,A)
【文献】 特開平11−153678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 3/00
G04C 3/14
G04F 7/08
G04F 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計モードとクロノグラフモードとを選択可能な時計において、
前記時計モードが選択された場合に時刻を指示する時針、分針および秒針と、
前記クロノグラフモードが選択された場合に、前記時針、前記分針および前記秒針のうち少なくとも2つの針が重なった状態で運針を開始させることで時間計測を開始し、前記少なくとも2つの針のうち一の針の運針を停止させることで停止時の計測時間を指示し、前記少なくとも2つの針のうち他の針の運針を継続させることで時間計測を継続するように制御する制御部と、を備え、
前記少なくとも2つの針が重なった状態で時間計測を開始し、前記少なくとも2つの針のうち一の針の運針が停止されるまでの期間、前記制御部は、前記少なくとも2つの針が重なった状態のまま計測時間を指示するように、前記少なくとも2つの針の運針を制御することを特徴とする時計。
【請求項2】
前記時針を駆動する第1モータと、
前記分針を駆動する第2モータと、
前記秒針を駆動する第3モータと、を備え、
前記制御部は、前記時計モードが選択された場合に、前記第1モータ、前記第2モータおよび前記第3モータにより、前記時針、前記分針および前記秒針を駆動し、前記クロノグラフモードが選択された場合に、前記第1モータ、前記第2モータおよび前記第3モータのうち少なくとも2つのモータにより、前記少なくとも2つの針を駆動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記少なくとも2つの針の1周にかかるステップ数が同一となるように構成された輪列機構を備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の時計。
【請求項4】
前記制御部は、前記時計モードにおける前記時針および前記分針を、前記クロノグラフモードにおける前記少なくとも2つの針であって、計測時間の秒を指示する針として制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の時計。
【請求項5】
前記制御部は、前記クロノグラフモードが選択された場合に、前記一の針の運針を再開する際、前記一の針を前記他の針の位置まで時計回り方向に早送りさせるように制御する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の時計。
【請求項6】
前記制御部は、前記クロノグラフモードが選択され、かつ前記一の針の運針の再開が前記一の針の運針停止から1分以上経過した場合、前記一の針を少なくとも1周回転させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の時計。
【請求項7】
前記少なくとも2つの針は、第1針および第2針を含み、
前記制御部は、
前記第1針および前記第2針を基準位置から運針させるように制御する運針開始ステップと、
前記第1針および前記第2針の運針を停止させる運針停止ステップと、
運針を停止された前記第1針および前記第2針が前記基準位置から所定の角度範囲外に位置しているか否かを判定する針位置判定ステップと、
前記針位置判定ステップにおいて前記第1針および前記第2針が前記基準位置から所定の角度範囲外に位置していると判定した場合、前記第1針および前記第2針を互いに逆方向に回転させて基準位置に移動させる2方向帰針ステップと、
前記針位置判定ステップにおいて前記第1針および前記第2針のうち少なくとも一方の針が前記基準位置から所定の角度範囲外に位置してないと判定した場合、前記第1針および前記第2針を最短距離で前記基準位置に移動させる最短帰針ステップと、
を前記クロノグラフモードが選択された場合に実行する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の時計。
【請求項8】
前記制御部は、前記クロノグラフモードから前記時計モードを含む前記クロノグラフモード以外の動作モードに切り替える場合に、前記少なくとも2つの針が含む一対の針のそれぞれの目標位置まで前記一対の針を互いに逆方向に回転させるように制御する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の時計。
【請求項9】
前記制御部は、前記少なくとも2つの針が含む一対の針のうち、現在位置から前記目標位置までの反時計回り方向における距離が短い一方の針を反時計回りに逆転させ、他方の針を時計回りに正転させるように制御する、
ことを特徴とする請求項8に記載の時計。
【請求項10】
前記制御部は、前記時計モードが選択された場合における前記秒針を、前記クロノグラフモードが選択された場合における計測時間の分を指示する針として制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載の時計。
【請求項11】
前記時針を駆動する第1モータと、
前記分針を駆動する第2モータと、
前記第1モータおよび前記第2モータを駆動する電力を発電する太陽電池と、を備える、
ことを特徴とする請求項4から10のいずれか1項に記載の時計。
【請求項12】
前記少なくとも2つの針の1周にかかるステップ数が同一となるように構成された輪列機構を備え、
前記ステップ数は、60の倍数である、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の時計。
【請求項13】
前記少なくとも2つの針の1周にかかるステップ数が同一となるように構成された輪列機構を備え、
Nを1以上の整数としたとき、
前記ステップ数は、60に2のN乗を乗じた値である、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の時計。
【請求項14】
前記時計モードおよび前記クロノグラフモードとは異なるモードの情報を表示可能な副表示部を備え、
前記制御部は、前記クロノグラフモードが選択された場合に、前記時計モードが選択された場合に表示していた時刻を前記副表示部において表示する、
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の時計。
【請求項15】
前記停止時の計測時間を外部機器に送信すること、および前記一の針の運針を開始させる処理および停止させる処理のうち少なくとも1つの処理を実行させる外部からの電波を受信すること、のうち少なくともいずれか一方が可能な通信部と、を備える、
ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の時計。
【請求項16】
前記クロノグラフモードの選択、および前記クロノグラフモードが選択された場合の時間計測の開始を実行する場合に操作される入力部を備え、
前記制御部は、前記入力部からの入力に応じて、前記少なくとも2つの針を基準位置に向けて移動させるとともに、時間計測を開始する、
ことを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボタン操作によりスプリットタイムやラップタイムを計測可能な電子時計がある。例えば特許文献1には、デジタル式の時計として、スタート操作から経過した経過時間や、ラップ時間(ラップタイム)、スプリット時間(スプリットタイム)を表示する表示手段を有するストップウォッチが記載されている。なお、スプリットタイムとは、計測開始時からの途中経過時間のことをいい、ラップタイムとは、指定された計測途中の時刻からの途中経過時間のことをいう。
【0003】
また、スプリットタイムを計測可能なアナログ式の時計として、時間計測時に運針が開始される針が、スプリットタイムを計測するためのボタン操作により停止することで、スプリットタイムを指示するものがある。しかしながら、このような時計では、スプリットタイムを表示するために針の運針が停止されるので、ボタン操作後に計測開始時からの経過時間を認識することができない。
【0004】
そこで、スプリットタイムを計測可能なアナログ式の時計として、時間計測時に時針、分針および秒針とは異なる2本の針(以下、「クロノグラフ針」という。)により、スプリットタイム、および計測開始時からの全経過時間の両方を同時に表示するものがある。具体的に、このような時計では、時間計測時に2本のクロノグラフ針が重なるように略同等の速度で運針する。そして、スプリットタイムを計測するためのボタン操作により、一方のクロノグラフ針の運針を停止させてスプリットタイムを表示するとともに、他方のクロノグラフ針の運針を継続させて、ボタン操作後も計測開始時からの全経過時間を表示する。また、再度ボタン操作を行うことで、運針が停止していた一方のクロノグラフ針を、他方のクロノグラフ針の位置まで早送りし、再度2本のクロノグラフ針を重なった状態で運針させて、計測開始時からの全経過時間を2本のクロノグラフ針により表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−196756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のアナログ式の時計では、スプリットタイム、および計測開始時からの全経過時間の両方を同時に表示するために、時針、分針および秒針とは異なる2本のクロノグラフ針が必要となる。このため、2本のクロノグラフ針を各別に駆動するためのモータ等の駆動源、および駆動源の駆動力を伝達する輪列も必要となることから、時計の構成部品が増加して時計の小型化を損なう可能性がある。
【0007】
そこで本発明は、アナログ針によりクロノグラフの計測時間を表示する時計において、装置の大型化を抑制できる時計を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の時計は、時計モードとクロノグラフモードとを選択可能な時計において、前記時計モードが選択された場合に時刻を指示する時針、分針および秒針と、前記クロノグラフモードが選択された場合に、前記時針、前記分針および前記秒針のうち少なくとも2つの針が重なった状態で運針を開始させることで時間計測を開始し、前記少なくとも2つの針のうち一の針の運針を停止させることで停止時の計測時間を指示し、前記少なくとも2つの針のうち他の針の運針を継続させることで時間計測を継続するように制御する制御部と、を備え、前記少なくとも2つの針が重なった状態で時間計測を開始し、前記少なくとも2つの針のうち一の針の運針が停止されるまでの期間、前記制御部は、前記少なくとも2つの針が重なった状態のまま計測時間を指示するように、前記少なくとも2つの針の運針を制御することを特徴とする。
【0009】
上記の時計において、前記時針を駆動する第1モータと、前記分針を駆動する第2モータと、前記秒針を駆動する第3モータと、を備え、前記制御部は、前記時計モードが選択された場合に、前記第1モータ、前記第2モータおよび前記第3モータにより、前記時針、前記分針および前記秒針を駆動し、前記クロノグラフモードが選択された場合に、前記第1モータ、前記第2モータおよび前記第3モータのうち少なくとも2つのモータにより、前記少なくとも2つの針を駆動することが望ましい。
【0010】
上記の時計において、前記少なくとも2つの針の1周にかかるステップ数が同一となるように構成された輪列機構を備えることが望ましい。
【0011】
上記の時計において、前記制御部は、前記時計モードにおける前記時針および前記分針を、前記クロノグラフモードにおける前記少なくとも2つの針であって、計測時間の秒を指示する針として制御することが望ましい。
【0012】
上記の時計において、前記制御部は、前記クロノグラフモードが選択された場合に、前記一の針の運針を再開する際、前記一の針を前記他の針の位置まで時計回り方向に早送りさせるように制御することが望ましい。
【0013】
上記の時計において、前記制御部は、前記クロノグラフモードが選択され、かつ前記一の針の運針の再開が前記一の針の運針停止から1分以上経過した場合、前記一の針を少なくとも1周回転させることが望ましい。
【0014】
上記の時計において、前記少なくとも2つの針は、第1針および第2針を含み、前記制御部は、前記第1針および前記第2針を基準位置から運針させるように制御する運針開始ステップと、前記第1針および前記第2針の運針を停止させる運針停止ステップと、運針を停止された前記第1針および前記第2針が前記基準位置から所定の角度範囲外に位置しているか否かを判定する針位置判定ステップと、前記針位置判定ステップにおいて前記第1針および前記第2針が前記基準位置から所定の角度範囲外に位置していると判定した場合、前記第1針および前記第2針を互いに逆方向に回転させて基準位置に移動させる2方向帰針ステップと、前記針位置判定ステップにおいて前記第1針および前記第2針のうち少なくとも一方の針が前記基準位置から所定の角度範囲外に位置してないと判定した場合、前記第1針および前記第2針を最短距離で前記基準位置に移動させる最短帰針ステップと、を前記クロノグラフモードが選択された場合に実行することが望ましい。
【0015】
上記の時計において、前記制御部は、前記クロノグラフモードから前記時計モードを含む前記クロノグラフモード以外の動作モードに切り替える場合に、前記少なくとも2つの針が含む一対の針のそれぞれの目標位置まで前記一対の針を互いに逆方向に回転させるように制御することが望ましい。
【0016】
上記の時計において、前記制御部は、前記少なくとも2つの針が含む一対の針のうち、現在位置から前記目標位置までの反時計回り方向における距離が短い一方の針を反時計回りに逆転させ、他方の針を時計回りに正転させるように制御することが望ましい。
【0017】
上記の時計において、前記制御部は、前記時計モードが選択された場合における前記秒針を、前記クロノグラフモードが選択された場合における計測時間の分を指示する針として制御することが望ましい。
【0018】
上記の時計において、前記時針を駆動する第1モータと、前記分針を駆動する第2モータと、前記第1モータおよび前記第2モータを駆動する電力を発電する太陽電池と、を備えることが望ましい。
【0019】
上記の時計において、前記少なくとも2つの針の1周にかかるステップ数が同一となるように構成された輪列機構を備え、前記ステップ数は、60の倍数であることが望ましい。
【0020】
上記の時計において、前記少なくとも2つの針の1周にかかるステップ数が同一となるように構成された輪列機構を備え、Nを1以上の整数としたとき、前記ステップ数は、60に2のN乗を乗じた値であることが望ましい。
【0021】
上記の時計において、前記時計モードおよび前記クロノグラフモードとは異なるモードの情報を表示可能な副表示部を備え、前記制御部は、前記クロノグラフモードが選択された場合に、前記時計モードが選択された場合に表示していた時刻を前記副表示部において表示することが望ましい。
【0022】
上記の時計において、前記停止時の計測時間を外部機器に送信すること、および前記一の針の運針を開始させる処理および停止させる処理のうち少なくとも1つの処理を実行させる外部からの電波を受信すること、のうち少なくともいずれか一方が可能な通信部と、を備えることが望ましい。
【0023】
上記の時計において、前記クロノグラフモードの選択、および前記クロノグラフモードが選択された場合の時間計測の開始を実行する場合に操作される入力部を備え、前記制御部は、前記入力部が操作された場合に、前記少なくとも2つの針を基準位置に向けて移動させるとともに、時間計測を開始することが望ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、アナログ針によりクロノグラフの計測時間を表示する時計の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態に係る時計の構成例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る時計の平面図である。
図3】第1実施形態に係る時計が実行する動作モード切り替えの処理の流れを示したフローチャートである。
図4】第1実施形態に係る時計の動作モード切り替え時における動作を説明する図である。
図5】第1実施形態に係る時計が実行するクロノグラフモードの処理の流れを示したフローチャートである。
図6】第1実施形態に係る時計における針を基準位置へ移動させる処理の流れを示したフローチャートである。
図7】第1実施形態に係る時計における時針の運針を再開させる処理の流れを示したフローチャートである。
図8】第1実施形態に係る時計のクロノグラフモードにおける動作を説明する図である。
図9】第1実施形態に係る時計のクロノグラフモードにおける動作を説明する図である。
図10】第1実施形態に係る時計のクロノグラフモードにおける動作を説明する図である。
図11】第1実施形態に係る時計のクロノグラフモードにおける動作を説明する図である。
図12】第1実施形態に係る時計のクロノグラフモードにおける動作を説明する図である。
図13】第1実施形態に係る時計のクロノグラフモードにおける動作を説明する図である。
図14】第1実施形態に係る時計のクロノグラフモードにおける動作を説明する図である。
図15】第1実施形態の変形例に係る時計の構成例を示すブロック図である。
図16】第2実施形態に係る時計が実行するクロノグラフモードの処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。なお、実施形態の時計は、針を有するアナログクォーツ式時計である。
【0028】
[第1実施形態]
最初に、第1実施形態に係る時計の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る時計の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、時計1は、ケース10と、表示部20と、電源部40と、発振回路50と、分周回路60と、入力部70と、主制御部80(制御部)と、通信部90と、記憶部100と、駆動部110と、を備えている。時計1は、後述する主時計部2において現在時刻を表示する時計モードや、主時計部2において時間計測を行うクロノグラフモード、主時計部2において残時間表示を行うタイマーモード、予め設定されたタイムゾーンの現在時刻を主時計部2に表示するデュアルタイムモード等の動作モードを選択可能である。動作モードの選択は、使用者が入力部70を操作することにより行われる。また、時計1は、無線のネットワークを介して端末9(外部機器)と通信を行い、情報の送受信を行う。
【0029】
端末9は、通信機能を有する機器、例えばスマートフォンやタブレット端末等である。端末9は、例えば操作部、表示部、制御部、GPS(Global Positioning System;グローバル・ポジショニング・システム)、通信部、電池等を含んで構成されている。端末9は、GPSを用いて取得した時刻情報や位置情報、動作指示等を、ネットワークを介して時計1へ送信する。
【0030】
<ケース>
図2は、第1実施形態に係る時計の平面図である。
図2に示すように、ケース10は、胴11と、裏蓋(不図示)と、ガラス12と、ベゼル13と、を備えている。胴11は、円筒状に形成されている。胴11には、ベゼル13が嵌合されている。胴11の一方の開口は、ベゼル13を介してガラス12により閉塞されている。胴11の他方の開口は、裏蓋(不図示)により閉塞されている。なお、以下の説明では、ケース10の裏蓋から見たガラス12側を表側と称し、その反対側を裏側と称する。
【0031】
<表示部>
表示部20は、文字板21と、ダイヤルリング27と、複数の針31〜36と、日車38と、を備えている。なお、表示部20は、上述したベゼル13を含んでいてもよい。複数の針31〜36は、時刻を表示可能な時針31、分針32および秒針33と、時針31、分針32および秒針33が表示する時刻とは異なる時刻を表示可能な小時針34および小分針35と、時計1が実行しているモード情報等を表示可能なモード針36と、である。文字板21は、後述する太陽電池41により円形状に形成され、ケース10の胴11の内側に配置されている。文字板21は、時針31、分針32および秒針33に対応する主目盛22と、小時針34および小分針35に対応する小目盛23と、モード針36に対応するモード目盛24と、日車38の日文字39を表示する小窓25と、を表側に備えている。モード目盛り24は、時計1が実行可能な各種モードの名称等が明示された文字列等である。
【0032】
ダイヤルリング27は、ケース10の胴11の内側において、ベゼル13の内周に取り付けられている。ダイヤルリング27は、文字板21の外周に沿って配置されている。
【0033】
複数の針31〜36は、それぞれ文字板21の表側に配置されている。
時針31、分針32および秒針33は、文字板21の中央を通る第1回転軸O回りに回転する。時針31は、第1回転軸Oに直交する方向に沿って延びている。分針32は、第1回転軸Oに直交する方向に沿って時針31よりも長く延びている。分針32の先端32aは、時針31の先端31aよりも第1回転軸Oから離れ、時針31の先端31aよりもダイヤルリング27に近く位置している。秒針33は、第1回転軸Oに直交する方向に沿って分針32よりも長く延びている。秒針33の先端33aは、分針32の先端32aよりも第1回転軸Oから離れ、分針32の先端32aよりもダイヤルリング27に近く位置している。
【0034】
時針31、分針32および秒針33は、これらの先端31a〜33aを文字板21の主目盛22に合せることで、時計モードが選択された場合に時刻を指示し、クロノグラフモードが選択された場合に計測時間を指示する。これにより、時針31、分針32、秒針33および主目盛22は、時刻や計測時間を表示する主時計部2を構成している。
【0035】
小時針34および小分針35は、第2回転軸P回りに回転する。第2回転軸Pは、第1回転軸Oから見て9時方向の位置に設けられている。小時針34は、第2回転軸Pに直交する方向に沿って延びている。小分針35は、第2回転軸Pに直交する方向に沿って小時針34よりも長く延びている。
【0036】
小時針34および小分針35は、これらの先端を文字板21の小目盛23に合せることで、時刻を指示可能に形成されている。これにより、小時針34、小分針35および小目盛23は、時刻を表示する小時計部3(副表示部)を構成している。小時計部3は、時計モードおよびクロノグラフモードとは異なるモードの情報を表示可能となっている。小時計部3は、クロノグラフモードが選択された場合に、時計モードが選択された場合に主時計部2において表示していた現在時刻を表示する。
【0037】
モード針36は、第3回転軸Q回りに回転する。第3回転軸Qは、第1回転軸Oから見て6時方向の位置に設けられている。モード針36は、その先端を文字板21のモード目盛24に合せることで、例えば使用者が実行可能なモードや、時計1において実行されているモード等を指示する。
【0038】
日車38は、文字板21の裏側に配置されている。日車38は、第1回転軸O回りに回転する。日車38の表側を向く面には、日文字39が明示されている。日車38は、日文字39を文字板21の小窓25を通じて表側に露出させることで、日付を表示する。
【0039】
<電源部>
図1に示すように、電源部40は、太陽電池41と、充放電制御回路42と、二次電池43と、を備えている。
太陽電池41は、例えばソーラーパネルであって、文字板21を形成している。太陽電池41は、受光面を表側に向けた状態で配置されている。太陽電池41は、光エネルギーを電力に変換し、充放電制御回路42を介して変換した電力を二次電池43に供給する。
【0040】
二次電池43は、太陽電池41から供給された電気エネルギーを蓄える蓄電池である。二次電池43は、例えばリチウムイオンポリマー電池である。二次電池43は、蓄えた電力を主制御部80と通信部90とに供給する。
充放電制御回路42は、太陽電池41によって発電された電力の二次電池43への充電を制御する。充放電制御回路42は、二次電池43に蓄電されている電力の、主制御部80および通信部90への供給を制御する。
【0041】
<発振回路>
発振回路50は、水晶振動子と組み合わせることで発振器を実現する回路である。発振回路50は、生成した所定の周波数の信号を分周回路60に出力する。
【0042】
<分周回路>
分周回路60は、発振回路50が出力した所定の周波数の信号を分周し、分周した信号を主制御部80に出力する。
【0043】
<入力部>
入力部70は、動作モードの選択や、クロノグラフモードが選択された場合の時間計測の開始を実行する場合等に操作される。入力部70は、スタート/ストップボタン71、リセットボタン72、および竜頭74を備えている。入力部70は、ケース10の胴11の側面に配置されている。スタート/ストップボタン71は、第1回転軸Oから見て2時の位置に設けられている。リセットボタン72は、第1回転軸Oから見て4時の位置に設けられている。竜頭74は、スタート/ストップボタン71とリセットボタン72との間に設けられている。入力部70は、使用者により操作(例えば押圧操作や回転操作)された場合に、この操作に応じた操作信号を主制御部80に出力する。
【0044】
<主制御部>
主制御部80は、入力部70が出力した操作結果に基づいて、時計1が備える各構成要素の制御を行う。主制御部80は、電源制御部81と、駆動制御部82と、を備えている。
【0045】
電源制御部81は、二次電池43から供給される電力を、所望の電圧値に降圧して、各回路に供給する。
駆動制御部82は、例えばモータドライバIC(集積回路)である。駆動制御部82は、駆動部110を駆動する駆動信号を生成し、生成した駆動信号によって駆動部110を駆動する。
【0046】
<通信部>
通信部90は、例えばWi−Fi(Wireless Fidelity)規格や、Bluetooth(登録商標) LE(Low Energy)規格の通信方式を用いて、端末9等の外部機器との間で各種情報の送受信を行う。通信部90は、端末9から受信した情報を主制御部80に出力する。また、通信部90は、主制御部80が出力した情報を、端末9へ送信する。通信部90は、例えばクロノグラフモードにおいて計測した計測時間等の情報を端末9へ送信する。
【0047】
<記憶部>
記憶部100は、例えば、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)やROM(Read Only Memory)等の不揮発性の記憶媒体である。記憶部100は、主制御部80が通信部90を介して端末9から取得した情報や、クロノグラフモードにおいて計測した計測時間等を記憶する。
【0048】
<駆動部>
駆動部110は、複数のステッピングモータ111A〜111Gと、複数の輪列112A〜112Gと、を備えている。複数のステッピングモータ111A〜111Gは、第1ステッピングモータ111A(第1モータ)、第2ステッピングモータ111B(第2モータ)、第3ステッピングモータ111C(第3モータ)、第4ステッピングモータ111D、第5ステッピングモータ111E、第6ステッピングモータ111Fおよび第7ステッピングモータ111Gである。複数の輪列112A〜112Gは、第1輪列112A(輪列機構)、第2輪列112B(輪列機構)、第3輪列112C、第4輪列112D、第5輪列112E、第6輪列112Fおよび第7輪列112Gであって、それぞれ少なくとも1つの歯車を含んで構成されている。複数のステッピングモータ111A〜111G、および複数の輪列112A〜112Gは、ケース10の胴11の内側に配置された図示しない地板等に取り付けられている。
【0049】
各ステッピングモータ111A〜111Gは、駆動制御部82が出力した駆動パルスによって動作する。第1ステッピングモータ111Aは、第1輪列112Aを介して時針31を回転駆動する。第2ステッピングモータ111Bは、第2輪列112Bを介して分針32を回転駆動する。第3ステッピングモータ111Cは、第3輪列112Cを介して秒針33を回転駆動する。第4ステッピングモータ111Dは、第4輪列112Dを介して小時針34を回転駆動する。第5ステッピングモータ111Eは、第5輪列112Eを介して小分針35を回転駆動する。第6ステッピングモータ111Fは、第6輪列112Fを介してモード針36を回転駆動する。第7ステッピングモータ111Gは、第7輪列112Gを介して日車38を回転駆動する。
【0050】
第1輪列112Aの減速比は、第1ステッピングモータ111Aが所定ステップ数ステップ動作することで、時針31が第1回転軸O回りに1周するように設定されている。また、第2輪列112Bの減速比は、第2ステッピングモータ111Bが所定ステップ数ステップ動作することで、分針32が第1回転軸O回りに1周するように設定されている。第1輪列112Aおよび第2輪列112Bは、時針31および分針32の1周にかかる所定ステップ数が同一となるように構成されている。すなわち、時針31および分針32は、1ステップ毎の回転角度が同一となっている。所定ステップ数は、60の倍数であることが望ましく、さらには60に2のN乗(Nは1以上の整数)を乗じた値であることがより望ましい。第3輪列112Cの減速比は、第3ステッピングモータ111Cが60回ステップ動作することで、秒針33が第1回転軸O回りに1周するように設定されている。第3輪列112Cは、秒針33の1周にかかるステップ数が60となるように構成されている。
【0051】
<時計の動作>
次に、第1実施形態に係る時計1の動作について説明する。
主制御部80は、入力部70からの入力に応じて、時計1が実行する動作モードを切り替える。ここで、動作モードは、上述した時計モードやクロノグラフモード、タイマーモード、デュアルタイムモード等を有する。クロノグラフモードにおける時間計測は、時針31によるスプリットタイムの表示を含んでいる。各動作モードは、入力部70が操作されることで切り替わる。
【0052】
主制御部80は、時計モードが選択された場合に、モード目盛24のうち時計モードを意味する文字列等(図示の例では「Mode1」と記載された文字列)をモード針36が指示するように、第6ステッピングモータ111Fを制御する。また、主制御部80は、クロノグラフモードが選択された場合に、モード目盛24のうちクロノグラフモードを意味する文字列等(図示の例では「Mode2」と記載された文字列)をモード針36が指示するように、第6ステッピングモータ111Fを制御する。
【0053】
図3は、第1実施形態に係る時計が実行する動作モード切り替えの処理の流れを示したフローチャートである。図4は、第1実施形態に係る時計の動作モード切り替え時における動作を説明する図である。
図3に示すように、主制御部80は、時計モードを含むクロノグラフモード以外の動作モードが選択されている場合に入力部70(例えば竜頭74)が操作されると(ステップS10)、クロノグラフモードに移行してステップS20の処理を実行する。主制御部80は、入力部70が再度操作されるまでの間(ステップS30)、ステップS20の処理を実行する。ステップS30において入力部70が再度操作されると、主制御部80は、動作モードをクロノグラフモードからクロノグラフモード以外の動作モードに切り替える。ステップS20の処理については後述する。なお、クロノグラフモードが選択された場合に、主制御部80は、時計モードが選択された場合に主時計部2が表示していた現在時刻を小時計部3が表示するように、第4ステッピングモータ111Dおよび第5ステッピングモータ111Eを制御する。
【0054】
主制御部80は、ステップS30において入力部70が再度操作されると、ステップS40〜S60の処理を実行する。ステップS40〜S60では、主制御部80は、時針31および分針32をそれぞれの目標位置まで互いに逆方向に回転させるように制御する。
【0055】
具体的に、ステップS40〜S60では、以下の処理を実行する。ステップS40では、主制御部80は、時針31の現在位置から目標位置までの反時計回り方向における距離(角度)が、分針32の現在位置から目標位置までの反時計回り方向における距離(角度)よりも小さいか否かを判定する。なお、時針31および分針32の目標位置とは、動作モードの切り替え後における時針31および分針32の位置である。例えば、動作モードをクロノグラフモードから時計モードに切り替える場合には、時針31および分針32の目標位置は、現在時刻を示す位置である。時針31の現在位置から目標位置までの反時計回り方向における距離が、分針32の現在位置から目標位置までの反時計回り方向における距離よりも小さいと主制御部80が判定した場合(S40:Yes)、ステップS50の処理を行う。時針31の現在位置から目標位置までの反時計回り方向における距離が、分針32の現在位置から目標位置までの反時計回り方向における距離以上と主制御部80が判定した場合(S50:Yes)、ステップS60の処理を行う。
【0056】
ステップS50では、主制御部80は、時針31を反時計回り方向に逆転させて目標位置に移動させるとともに、分針32を時計回り方向に正転させて目標位置に移動させる。また、主制御部80は、秒針33を正転させて目標位置に移動させる。例えば、ステップS50では、図4に示すように、時針31、分針32および秒針33の目標位置が8時19分55秒の位置であって、時針31、分針32および秒針33が0時の位置に位置する場合、主制御部80は、時針31を逆転させ、分針32および秒針33を正転させる。
【0057】
ステップS60では、主制御部80は、時針31を正転させて目標位置に移動させるとともに、分針32を逆転させて目標位置に移動させる。また、主制御部80は、秒針33を正転させて目標位置に移動させる。
以上により、時計モードを含むクロノグラフモード以外の動作モードからクロノグラフモードへの切り替え、およびクロノグラフモードからクロノグラフモード以外の動作モードへの切り替えが完了する。
【0058】
なお、本実施形態では、ステップS40、ステップS50およびステップS60において、時針31の現在位置から目標位置までの反時計回り方向における距離が、分針32の現在位置から目標位置までの反時計回り方向における距離と等しい場合には、分針32を逆転させる。しかしながらこれに限定されず、時針31の現在位置から目標位置までの反時計回り方向における距離が、分針32の現在位置から目標位置までの反時計回り方向における距離と等しい場合には、時針32を逆転させてもよい。例えば、時針31および分針32の1周にかかるステップ数が相違するように第1輪列112Aおよび第2輪列112Bが構成されている場合には、時針31および分針32のうち1周にかかるステップ数が少ない針を逆転させることが望ましい。
【0059】
続いてステップS20の処理について説明する。
図5は、第1実施形態に係る時計が実行するクロノグラフモードの処理の流れを示したフローチャートである。図6は、第1実施形態に係る時計における針を基準位置へ移動させる処理の流れを示したフローチャートである。図7は、第1実施形態に係る時計における時針の運針を再開させる処理の流れを示したフローチャートである。図8から図14は、第1実施形態に係る時計のクロノグラフモードにおける動作を説明する図である。なお、図5では、スタート/ストップボタンを「S/Sボタン」と記載している(以下の図面でも同様)。図5に示す処理は、上述したステップS20の処理に対応する。
図5に示すように、主制御部80は、クロノグラフモードが選択されると、ステップS20において最初にステップS102の処理を実行する。
【0060】
(ステップS102)
主制御部80は、時針31、分針32および秒針33を基準位置(0時の位置)に移動させる。続いて、ステップS104の処理に進む。
【0061】
ここで、ステップS102の処理について詳述する。
図6に示すように、主制御部80は、ステップS102において最初にステップS302(針位置判定ステップ)の処理を実行する。
【0062】
(ステップS302)
主制御部80は、時針31および分針32が基準位置(0時の位置)から所定の角度範囲外に位置しているか否かを判定する。所定の角度範囲は、任意に設定できる。例えば、所定の角度範囲は、基準位置を中心とした時計回り方向および反時計回り方向の双方向における30°以内の範囲である。時針31および分針32が基準位置から所定の角度範囲外に位置していると主制御部80が判定した場合(S302:Yes)、ステップS304(2方向帰針ステップ)の処理に進む。時針31および分針32のうちすくなくとも一方が基準位置から所定の角度範囲外に位置していないと主制御部80が判定した場合(S302:No)、ステップS306(最短帰針ステップ)の処理に進む。
【0063】
(ステップS304)
主制御部80は、時針31および分針32を互いに逆方向に回転させて基準位置に移動させる。具体的に、主制御部80は、時針31および分針32の一方を正転させて基準位置に移動させ、時針31および分針32の他方を逆転させて基準位置に移動させる。また、主制御部80は、秒針33を正転させて基準位置に移動させる。例えば、ステップS304では、主制御部80は、図8に示すように時針31および分針32を移動させる。具体的に、図8に示すように、時針31が基準位置から時計回り方向に240°の位置(8時の位置)に位置し、分針32が基準位置から時計回り方向に120°の位置(4時の位置)に位置する場合、主制御部80は、時針31を正転させ、分針32を逆転させる。続いて、ステップS104の処理に進む。なお、時針31および分針32のうち、正転させる針および逆転させる針の組み合わせは、例えば基準位置への移動中に時針31および分針32が第1回転軸Oの軸方向から見て互いに重ならない組み合わせが望ましい。すなわち、時針31および分針32のうち反時計回り方向における現在位置から基準位置までの距離が遠い一方の針を正転させ、他方の針を逆転させることが望ましい。
【0064】
(ステップS306)
主制御部80は、時針31および分針32を第1回転軸O回りの周方向における最短距離で基準位置に移動させる。また、主制御部80は、秒針33を正転させて基準位置に移動させる。例えば、ステップS306では、主制御部80は、図9に示すように時針31および分針32を移動させる。具体的に、図9に示すように、時針31が基準位置から時計回り方向に30°の位置(1時の位置)に位置し、分針32が基準位置から時計回り方向に120°の位置(4時の位置)に位置する場合、主制御部80は、時針31および分針32を逆転させる。続いて、ステップS104の処理に進む。
【0065】
(ステップS104)
主制御部80は、スタート/ストップボタン71が操作されたか否かを判定する。スタート/ストップボタン71が操作されたと主制御部80が判定した場合(S104:Yes)、ステップS106(運針開始ステップ)の処理に進み、時間計測を開始する。スタート/ストップボタン71が操作されていないと主制御部80が判定した場合(S104:No)、再度ステップS104の処理に進む。
【0066】
(ステップS106)
主制御部80は、図10に示すように、時針31、分針32および秒針33の運針を同時に開始させる。具体的に、主制御部80は、第1ステッピングモータ111A、第2ステッピングモータ111Bおよび第3ステッピングモータ111Cに駆動パルスを印加することにより、時針31、分針32および秒針33を正転駆動する。なお、本実施形態のクロノグラフモードでは、時針31および分針32に計測時間の秒を指示させ、秒針33に計測時間の分を指示させる。図10に示す例では、時計1は、計測開始時からの経過時間として、0分13秒を表示している。続いて、ステップS108の処理に進む。
【0067】
なお、本実施形態では、秒針33は、1周にかかるステップ数が60となっているので、計測開始後の1分間は、図10に示すように秒針33は基準位置に位置したままとなる。ただし、秒針33の1周にかかるステップ数が60よりも大きくなるように第3輪列112Cが構成されている場合には、この限りではない。例えば、秒針33の1周にかかるステップ数が120となるように第3輪列が構成されている場合、時間計測開始の30秒後に、秒針33は基準位置から1ステップ回転する。
【0068】
ステップS106において、主制御部80は、第1ステッピングモータ111Aおよび第2ステッピングモータ111Bのそれぞれに対して、同時に駆動パルスを出力する。これにより、第1ステッピングモータ111Aおよび第2ステッピングモータ111Bは、時針31および分針32を同時に回転駆動する。時針31および分針32は、1ステップ毎の回転角度が同一となっているので、第1回転軸Oの軸方向から見て重なった状態で運針する。
【0069】
(ステップS108)
主制御部80は、リセットボタン72が操作されたか否かを判定する。リセットボタン72が操作されたと主制御部80が判定した場合(S108:Yes)、ステップS110の処理に進む。リセットボタン72が操作されていないと主制御部80が判定した場合(S108:No)、ステップS120の処理に進む。
【0070】
(ステップS110)
主制御部80は、図11に示すように、時針31の運針を停止させる。主制御部80は、運針を停止した時針31によりスプリットタイム(停止時の計測時間)を指示させつつ、運針を継続する分針32および秒針33により計測開始時からの全経過時間を指示させて時間計測を継続させることができる。図11に示す例では、時計1は、スプリットタイムとして0分13秒を表示し、計測開始時からの全経過時間として0分17秒を表示している。続いて、ステップS112の処理に進む。
【0071】
(ステップS112)
主制御部80は、リセットボタン72が操作されたか否かを判定する。リセットボタン72が操作されたと主制御部80が判定した場合(S112:Yes)、ステップS114の処理に進む。リセットボタン72が操作されていないと主制御部80が判定した場合(S112:No)、ステップS116の処理に進む。
【0072】
(ステップS114)
主制御部80は、時針31の運針を再開する。続いて、ステップS108の処理に進む。
【0073】
ここで、ステップS114の処理について詳述する。
図7に示すように、主制御部80は、ステップS114において最初にステップS402の処理を実行する。
【0074】
(ステップS402)
主制御部80は、ステップS402において時針31の運針を停止してから1分以上経過したか否かを判定する。時針31の運針を停止してから1分以上経過したと主制御部80が判定した場合(S402:Yes)、ステップS404の処理に進む。時針31の運針を停止してから1分以上経過していないと主制御部80が判定した場合(S402:No)、ステップS406の処理に進む。
【0075】
(ステップS404)
主制御部80は、図12に示すように、時針31を分針32の位置まで正転早送りする。すなわち、主制御部80は、計測開始時からの全経過時間を指示する位置にまで時針31を正転早送りする。この際、主制御部80は、時針31を1周正転早送りした後、連続して分針32と同じ位置まで正転早送りする。つまり、主制御部80は、時針31を少なくとも1周正転させる。その後、主制御部80は、時針31を分針32に同期させて、時針31および分針32を計測開始時からの全経過時間を指示するように運針させる。図12に示す例では、時計1は、時針31の運針再開前に表示していたスプリットタイムが0分13秒であって、計測開始時からの全経過時間として、1分28秒を表示している。続いて、再度ステップS108の処理に進む。なお、主制御部80は、ステップS404の処理において、時針31を1周以上2周未満正転させてもよいし、時針31の運針停止時間に応じて2周以上正転させてもよい。
【0076】
(ステップS406)
主制御部80は、図13に示すように、時針31を分針32と同じ位置まで正転早送りする。すなわち、主制御部80は、計測開始時からの全経過時間を指示する位置にまで時針31を正転早送りする。その後、主制御部80は、時針31を分針32に同期させて、時針31および分針32を計測開始時からの全経過時間を指示するように運針させる。図13に示す例では、時計1は、時針31の運針再開前に表示していたスプリットタイムが0分13秒であって、計測開始時からの全経過時間として、0分28秒を表示している。続いて、再度ステップS108の処理に進む。
【0077】
(ステップS116)
主制御部80は、スタート/ストップボタン71が操作されたか否かを判定する。スタート/ストップボタン71が操作されたと主制御部80が判定した場合(S116:Yes)、ステップS118(運針停止ステップ)の処理に進み、時間計測を中断する。スタート/ストップボタン71が操作されていないと主制御部80が判定した場合(S116:No)、再度ステップS112の処理に進む。
【0078】
(ステップS118)
主制御部80は、分針32および秒針33の運針を停止させる。これにより、主制御部80は、時間計測を中断する。続いて、ステップS124の処理に進む。
【0079】
(ステップS120)
主制御部80は、スタート/ストップボタン71が操作されたか否かを判定する。スタート/ストップボタン71が操作されたと主制御部80が判定した場合(S120:Yes)、ステップS122(運針停止ステップ)の処理に進み、時間計測を中断する。スタート/ストップボタン71が操作されていないと主制御部80が判定した場合(S120:No)、再度ステップS108の処理に進む。
【0080】
(ステップS122)
主制御部80は、図14に示すように、時針31、分針32および秒針33の運針を停止させる。これにより、主制御部80は、時間計測を中断する。なお、図14に示す例では、時計1は、計測開始時から計測中断時までの全経過時間として1分4秒を表示している。続いて、ステップS124の処理に進む。
【0081】
(ステップS124)
主制御部80は、リセットボタン72が操作されたか否かを判定する。リセットボタン72が操作されたと主制御部80が判定した場合(S124:Yes)、再度ステップS102の処理に進み、再計測の開始を待機する。リセットボタン72が操作されていないと主制御部80が判定した場合(S124:No)、ステップS126の処理に進む。
【0082】
(ステップS126)
主制御部80は、スタート/ストップボタン71が操作されたか否かを判定する。スタート/ストップボタン71が操作されたと主制御部80が判定した場合(S16:Yes)、再度ステップS106の処理に進み、時間計測を再開する。スタート/ストップボタン71が操作されていないと主制御部80が判定した場合(S126:No)、再度ステップS124の処理に進む。
【0083】
このように、本実施形態の時計1は、クロノグラフモードが選択された場合に、時針31および分針32の運針を同時に開始させることで時間計測を開始し、時針31の運針を停止させることでスプリットタイム(停止時の計測時間)を指示し、分針32の運針を継続させることで時間計測を継続するように制御する主制御部80を備える。この構成によれば、クロノグラフモードにおいて、時針31および分針32を用いて計測開始時からの全経過時間をスプリットタイムとともに表示できる。このため、計測開始時からの全経過時間をスプリットタイムとともに表示することを実現するにあたり、計測開始時からの全経過時間をスプリットタイムとともに表示するための、時針31および分針32以外の新たな針の設置を省略できる。したがって、新たな針の設置に伴うステッピングモータ等の駆動源や輪列機構等の設置も省略できるので、時計の構成部品の増加に伴う時計1の外形の大型化を抑制できる。
【0084】
また、時計1は、第1ステッピングモータ111Aおよび第2ステッピングモータ111Bにより、時針31および分針32を駆動するので、時針31および分針32をそれぞれ独立して運針させることができる。したがって、計測開始時からの全経過時間をスプリットタイムとともに表示する機能を容易に実現できる。
【0085】
また、時計1は、時針31および分針32の1周にかかるステップ数が同一となるように構成された第1輪列112Aおよび第2輪列112Bを備える。これにより、時針31および分針32の1ステップごとの回転角度が等しくなる。このため、クロノグラフモードが選択された場合に、時針31および分針32を重なった状態で運針させることができる。よって、時針31および分針32の運針時において、相対位置の位置ずれが防止される。したがって、時針および分針の1周にかかるステップ数が異なる場合と比較して、時針31および分針32による計測時間の指示の見栄えを向上させることができる。また、時針31および分針32が指示する計測時間のずれが抑制され、計測時間を精度良く表示することができる。
【0086】
また、主制御部80は、クロノグラフモードが選択された場合における停止時の計測時間の秒を指示する針として時針31を制御するとともに、クロノグラフモードが選択された場合における時間計測の秒を継続する針として分針32を制御する。さらに、主制御部80は、クロノグラフモードが選択された場合における計測時間の分を指示する針として秒針33を制御する。これにより、時計モードが選択された場合に時刻を指示する時針31、分針32および秒針33を、クロノグラフモードにおける計測時間を指示する針として用いることができる。
【0087】
また、主制御部80は、クロノグラフモードが選択された場合に、時針31の運針を再開する際、時針31を分針32の位置まで正転早送りさせるように制御する。これにより、時針31を時間計測時と同じ方向に回転させることができるので、時針31を分針32の位置まで逆転させる場合と比較して、ユーザーに対する違和感の少ない挙動で時針31の運針を再開させることができる。
【0088】
また、主制御部80は、クロノグラフモードが選択され、かつ時針31の運針の再開が時針31の運針停止から1分以上経過した場合、時針31を少なくとも1周回転させる。これにより、時針31の運針停止時間が1分以上であったことを時針31の挙動により表現できる。
【0089】
また、主制御部80は、時針31および分針32を互いに逆方向に回転させて基準位置に移動させるステップ(ステップS304)を実行する。これにより、時間計測時とは異なる挙動により時針31および分針32を基準位置に移動させることができる。したがって、時間計測とは異なる動作を実行していることをユーザーに対して明確に示すことができる。しかも、時針31および分針32を同方向に回転させて基準位置に移動させる場合と比較して、ダイナミックな挙動をユーザーに示すことができる。
【0090】
また、主制御部80は、運針を停止された時針31および分針32のうち少なくとも一方が基準位置から所定の角度範囲外に位置していない場合、すなわち時針31および分針32のうち少なくとも一方が基準位置から所定の角度範囲内に位置している場合、時針31および分針32を最短距離で基準位置に移動させるステップ(ステップS306)を実行する。このため、前記一方の針の移動時間と、他方の針の移動時間と、の差の拡大を抑制することができる。これにより、時針31および分針32の基準位置への移動時間の増加を抑制することができる。
【0091】
また、主制御部80は、クロノグラフモードからクロノグラフモード以外の動作モードに切り替える場合に、時針31および分針32のそれぞれの目標位置まで、時針31および分針32を互いに逆方向に回転させるように制御する。これにより、時間計測時とは異なる挙動により時針31および分針32を移動させることができる。したがって、時間計測とは異なる動作を実行していることをユーザーに対して明確に示すことができる。しかも、時針31および分針32を同方向に回転させて目標位置に移動させる場合と比較して、ダイナミックな挙動をユーザーに示すことができる。
【0092】
また、主制御部80は、時針31および分針32のうち、現在位置から目標位置までの反時計回り方向における距離が短い一方の針を反時計回りに逆転させ、他方の針を時計回りに正転させるように制御する。このため、前記一方の針を時計回りに逆転させ、前記他方の針を反時計回りに正転させる場合と比較して、時針31および分針32の移動時間を短縮できる。したがって、動作モードの切り替えを速やかに行うことが可能となる。
【0093】
ここで、針による計測時間の指示の見栄えおよび精度を向上させるためには、計測時間の秒を指示する針の1周にかかるステップ数を大きくすることが望ましい。しかしながら、計測時間を指示する針の1周にかかるステップ数を大きくした場合、時計モードが選択された場合における針の運針に伴うステッピングモータへの駆動パルスの印加回数も増加し、消費電力が増加する。計測時間の秒を指示する針として秒針33を用いた場合、計測時間の秒を指示する針として時針31や分針32を用いた場合と比較して、時計モードが選択された場合におけるステッピングモータへの駆動パルスの印加回数は増加する。これにより、時計1が太陽電池41の発電した電力により動作する場合、電力不足が生じるおそれがある。
本実施形態では、時針31および分針32が計測時間の秒を指示する針であるので、太陽電池41が発電した電力が不足することを抑制できる。
【0094】
また、時針31および分針32の1周にかかるステップ数は60の倍数である。このため、時針31および分針32の1周にかかるステップ数が60よりも小さい場合と比較して、時針31および分針32に計測時間をより細かく指示させることができる。したがって、計測時間を精度良く表示できる時計1とすることができる。
【0095】
しかも、時針31および分針32の1周にかかるステップ数は60に2のN乗(Nは1以上の整数)を乗じた値である。このため、分周回路60から出力された信号を、主制御部80において容易に分周することができる。したがって、計測時間を精度良く表示できる時計1を容易に構成することができる。
【0096】
また、主制御部80は、クロノグラフモードが選択された場合に、時計モードが選択された場合に主時計部2において表示していた現在時刻を小時計部3において表示する。このため、クロノグラフモードが選択された場合においても現在時刻を表示できる時計1とすることができる。
【0097】
また、時計1は、クロノグラフモードにおいて計測した計測時間を端末9に送信することが可能な通信部90を備える。このため、例えば端末9において計測時間を記録してデータを蓄積することが可能となる。
【0098】
そして、本実施形態の時計1は、時針31、分針32および秒針33により時刻を表示する時計モードと、時針31でスプリットタイムを指示するクロノグラフモードと、を選択可能である。このため、スプリットタイムを表示するための、時針31、分針32および秒針33以外の新たな針の設置を省略できる。したがって、新たな針の設置に伴うステッピングモータ等の駆動源や輪列等の設置も省略できるので、時計1の構成部品の増加に伴う時計1の外形の大型化を抑制できる。
【0099】
[第1実施形態の変形例]
次に、第1実施形態の変形例に係る時計の構成について説明する。
図15は、第1実施形態の変形例に係る時計の構成例を示すブロック図である。
図15に示すように、時計101は、ケース10と、表示部20と、電源部40と、発振回路50と、分周回路60と、入力部70と、主制御部80A(制御部)と、記憶部100と、複数のモータユニット120A,120B,120C,120Dと、を備えている。なお、以下では、複数のモータユニット120A,120B,120C,120Dのうち1つを特定しない場合は、単にモータユニットという。他の構成部品についても同様である。
【0100】
主制御部80Aは、入力部70が出力した操作結果に基づいて、時計1が備える各構成要素の制御を行う。主制御部80Aは、例えばCPU(中央演算装置)である。主制御部80Aは、ステッピングモータを駆動するための指示信号をモータユニットの駆動制御部へ出力する。
【0101】
モータユニットは、それぞれ、駆動制御部と、ステッピングモータと、輪列と、支持体と、を備えている。なお、モータユニットの内部には、発振回路や記憶部等を設けることも可能である。支持体は、時計本体に対して着脱可能の別体のユニットの形態として構成され、当該形態はいわゆるカセットタイプやカートリッジタイプと称することもできる。この場合、モータユニットは、時計本体を完成品とした場合の半製品、中間製品として取り扱われるものである。
【0102】
ここで、支持体は、基板、ベースとなる地板、地板上に配置された部品を反対側から抑える受板、その他ケース部、ステッピングモータの回転軸が接合する軸受等を含む。地板上に基板が配置され、基板上に、配線、駆動制御部、ステッピングモータ、輪列等が配置される。これら部品を、受板により留めることでユニットが組み立てられる。なお、地板には、接続端子となる電極が配置され、この電極がユニット内部の電子部品とユニット外部(時計本体側)とを電気的に導通する役目を担う。
【0103】
第1モータユニット120Aは、時針31、分針32および秒針33を駆動する。第1モータユニット120Aは、第1駆動制御部121Aと、第1ステッピングモータ111Aと、第2ステッピングモータ111Bと、第3ステッピングモータ111Cと、第1輪列112Aと、第2輪列112Bと、第3輪列112Cと、第1支持体122Aと、を備えている。第1駆動制御部121Aは、例えばモータドライバIC(集積回路)である。第1駆動制御部121Aは、ステッピングモータ111A,111B,111Cを駆動する駆動信号を生成し、生成した駆動信号によってステッピングモータ111A,111B,111Cを駆動する。第1支持体122Aは、第1モータユニット120Aの外郭を形成する。第1支持体122Aは、ステッピングモータ111A,111B,111Cや輪列112A,112B,112C、第1駆動制御部121A等、第1モータユニット120Aの各構成要素を支持している。
【0104】
第2モータユニット120Bは、小時針34および小分針35を駆動する。第2モータユニット120Bは、第2駆動制御部121Bと、第4ステッピングモータ111Dと、第4輪列112Dと、第5輪列112Eと、第2支持体122Bと、を備えている。第2駆動制御部121Bは、例えばモータドライバICである。第2駆動制御部121Bは、第4ステッピングモータ111Dを駆動する駆動信号を生成し、生成した駆動信号によって第4ステッピングモータ111Dを駆動する。第2支持体122Bは、第2モータユニット120Bの外郭を形成する。第2支持体122Bは、第4ステッピングモータ111Dや輪列112D,112E、第2駆動制御部121B等、第2モータユニット120Bの各構成要素を支持している。
【0105】
第3モータユニット120Cは、モード針36を駆動する。第3モータユニット120Cは、第3駆動制御部121Cと、第6ステッピングモータ111Fと、第6輪列112Fと、第3支持体122Cと、を備えている。第3駆動制御部121Cは、例えばモータドライバICである。第3駆動制御部121Cは、第6ステッピングモータ111Fを駆動する駆動信号を生成し、生成した駆動信号によって第6ステッピングモータ111Fを駆動する。第3支持体122Cは、第3モータユニット120Cの外郭を形成する。第3支持体122Cは、第6ステッピングモータ111Fや第6輪列112F、第3駆動制御部121C等、第3モータユニット120Cの各構成要素を支持している。
【0106】
第4モータユニット120Dは、日車38を駆動する。第4モータユニット120Dは、第4駆動制御部121Dと、第7ステッピングモータ111Gと、第7輪列112Gと、第4支持体122Dと、を備えている。第4駆動制御部121Dは、例えばモータドライバICである。第4駆動制御部121Dは、第7ステッピングモータ111Gを駆動する駆動信号を生成し、生成した駆動信号によって第7ステッピングモータ111Gを駆動する。第4支持体122Dは、第4モータユニット120Dの外郭を形成する。第4支持体122Dは、第7ステッピングモータ111Gや第7輪列112G、第4駆動制御部121D等、第4モータユニット120Dの各構成要素を支持している。
【0107】
このように、時計101がモータユニットを有する構成であっても、主制御部80Aが上述した第1実施形態の主制御部80と同様の制御を行うことで、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0108】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る時計の動作について説明する。
図16は、第2実施形態に係る時計が実行するクロノグラフモードの処理の流れを示したフローチャートである。
図3および図5に示す第1実施形態では、主制御部80は、入力部70(例えば竜頭74)が操作された場合(ステップS10)に、時針31、分針32および秒針33を基準位置に移動させ(ステップS304、ステップS306)、さらにスタート/ストップボタン71が操作された場合(S104:Yes)に、時間計測開始する。これに対して図16に示す第2実施形態では、主制御部80は、入力部70(例えばスタート/ストップボタン71)が操作された場合(ステップS10)に、時針31、分針32および秒針33を基準位置に向けて移動させるとともに時間計測を開始する点(ステップS202)で、第1実施形態と異なっている。なお、第1実施形態と同様の構成および処理内容については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0109】
主制御部80は、入力部70からの入力に応じて、時計1が実行する動作モード(時計モードやクロノグラフモード、タイマーモード、デュアルタイムモード等)を切り替える。本実施形態では、主制御部80は、時計モードが選択された場合にスタート/ストップボタン71が操作されると(ステップS10)、クロノグラフモードに移行してステップS20の処理を実行する。主制御部80は、スタート/ストップボタン71が再度操作(例えば長押し)されるまでの間(ステップS30)、ステップS20の処理を実行する。主制御部80は、クロノグラフモードが選択されると、ステップS20において最初にステップS202の処理に進む。
【0110】
(ステップS202)
主制御部80は、時針31、分針32および秒針33を基準位置に向けて移動させるとともに、時針31、分針32および秒針33の運針を同時に開始させる。主制御部80は、ステップS10(図3参照)においてスタート/ストップボタン71が操作された時点から時間計測を開始する。また。主制御部80は、時針31、分針32および秒針33を、時計モードにおいて現在時刻を指示していた位置から、基準位置に向けて移動させる。主制御部80は、時針31や分針32、秒針33が基準位置に向けた移動中に計測開始時からの経過時間に対応する位置を達した場合に、針の駆動の制御を時間計測の運針に順次切り替える。続いてステップS108の処理に進む。なお、ステップS202は、第1実施形態におけるステップS302と同様の判定処理、並びにステップS304およびステップS306と同様の処理を含んでいてもよい。
【0111】
(ステップS124)
図5に示す第1実施形態では、リセットボタン72が操作されたと主制御部80が判定した場合(S124:Yes)、ステップS102に進む。これに対して第2実施形態では、リセットボタン72が操作されたと主制御部80が判定した場合(S124:Yes)、ステップS228の処理に進む。
【0112】
(ステップS228)
主制御部80は、時針31、分針32および秒針33を基準位置に移動させる。続いて、ステップS230の処理に進む。
【0113】
(ステップS230)
主制御部80は、スタート/ストップボタン71が操作されたか否かを判定する。スタート/ストップボタン71が操作されたと主制御部80が判定した場合(S230:Yes)、ステップS232の処理に進み、時間計測を開始する。スタート/ストップボタン71が操作されていないと主制御部80が判定した場合(S230:No)、再度ステップS230の処理に進む。
【0114】
(ステップS232)
主制御部80は、時針31、分針32および秒針33の運針を同時に開始させる。具体的な処理は、第1実施形態のステップS106と同様である。
【0115】
(ステップS126)
図5に示す第1実施形態では、スタート/ストップボタン71が操作されたと主制御部80が判定した場合(S126:Yes)、ステップS106の処理に進む。これに対して第2実施形態では、スタート/ストップボタン71が操作されたと主制御部80が判定した場合(S126:Yes)、ステップS232の処理に進み、時間計測を再開する。
【0116】
このように、本実施形態によれば、主制御部80は、スタート/ストップボタン71からの入力に応じて、時針31、分針32および秒針33を基準位置に向けて移動させるとともに、時間計測を開始する。このため、時計モードを選択していた場合に、クロノグラフモードの選択、およびクロノグラフモードにおける時間計測の開始を、スタート/ストップボタン71の1回の操作で行うことができる。したがって、迅速に時間計測を開始できる時計1とすることができる。
【0117】
なお、上記各実施形態では、スプリットタイムを時針31により指示させる際に、スタート/ストップボタン71を操作することにより、時針31の運針を停止させているが、時針31の運針の停止方法はこれに限定されない。例えば、通信部90は、マラソン等のコース上における所定地点に敷設される計時用マット(外部機器)から送信された電波を受信可能に形成され、主制御部80は、通信部90が計時用マットから送信された電波を受信することにより、時針31の運針を停止させる処理、および時針31の運針を停止させる処置のうち少なくとも1つの処理を実行させてもよい。この構成によれば、マラソン等においてコース上に敷設された計時用マットの近くを使用者が通過した際に、自動的に時間計測を開始したり、スプリットタイムを計測して表示したりすることが可能となる。したがって、スプリットタイムの計測が容易な時計1とすることができる。
【0118】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、クロノグラフモードが選択された場合に、時針31の運針を停止させることでスプリットタイムを表示しているが、運針を停止させる針は時針31に限定されない。例えば、分針32の運針を停止させることでスプリットタイムを表示するように構成されていてもよい。
【0119】
また、上記実施形態においては、スプリットタイムを表示する際に、時針31の運針を停止させるとともに分針32および秒針33の運針を継続しているが、これに限定されない。例えば、スプリットタイムを表示する際に、時針31および秒針33の運針を停止させて、時針31にスプリットタイムの秒を指示させ、秒針33にスプリットタイムの分を指示させるように構成していてもよい。
【0120】
また、上記実施形態においては、時針31、分針32および秒針33を用いて時間計測を行っているが、これに限定されない。時針31、分針32および秒針33のうち少なくとも2つの針を用い、一方の針の運針を停止させて停止時の計測時間を指示し、他方の針の運針を継続させることで時間計測を継続するように構成されていてもよい。
【0121】
また、上記実施形態においては、主制御部80は、ステップS10,S30において動作モードの切り替え条件として、入力部70の特定の部材の操作(長押しを含む)を条件としているが、これに限定されない。例えば主制御部は、動作モードの切り替え条件として、入力部70の複数の部材の同時操作を条件としてもよい。
【0122】
また、上記実施形態においては、モード針36は、第6ステッピングモータ111Fの駆動力により駆動されるが、これに限定されない。モード針36は、例えばユーザーが入力部70(例えば竜頭74)を操作した力を動力源として駆動されるように構成されていてもよい。
【0123】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1…時計 3…小時計部(副表示部) 9…端末(外部機器) 31…時針(針、第1針) 32…分針(針、第2針) 33…秒針(針) 41…太陽電池 70…入力部 71…スタート/ストップボタン(入力部) 80,80A…主制御部(制御部) 90…通信部 111A…第1ステッピングモータ 111B…第2ステッピングモータ 111C…第3ステッピングモータ 112A…第1輪列(輪列機構) 112B…第2輪列(輪列機構)
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
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図16