特許第6934393号(P6934393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6934393
(24)【登録日】2021年8月25日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】車輌用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/34 20060101AFI20210906BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20210906BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20210906BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20210906BHJP
   B60Q 1/38 20060101ALI20210906BHJP
   B60Q 1/44 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   B60Q1/34 A
   F21S41/663
   F21V23/00 140
   B60Q1/04 E
   B60Q1/34 B
   B60Q1/38 B
   B60Q1/44 B
   B60Q1/44 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-211995(P2017-211995)
(22)【出願日】2017年11月1日
(65)【公開番号】特開2019-84846(P2019-84846A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】山田 謙二
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/127340(US,A1)
【文献】 特開2015−33980(JP,A)
【文献】 特開2016−88401(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/138713(WO,A1)
【文献】 特開2016−126948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/34
F21S 41/00
F21V 23/00
B60Q 1/04
B60Q 1/38
B60Q 1/44
F21W 102/00
F21W 103/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する少なくとも三つの複数の発光部が並んで配置され前記複数の発光部の並び方向において前記複数の発光部から時間差を持って順に光が出射される車輌用灯具であって、
隣り合う二つの発光部が隣接発光体として設けられ、
少なくとも一つの前記隣接発光体における二つの前記発光部の間に、一方の前記発光部から出射される光の他方の前記発光部側への進行を遮断する遮光部が設けられ、
二つの前記発光部の間に前記遮光部が設けられていない前記隣接発光体における二つの前記発光部の出射開始時間の差を第1の時間差とし、
二つの前記発光部の間に前記遮光部が設けられている前記隣接発光体における二つの前記発光部の出射開始時間の差を第2の時間差としたときに、
前記第2の時間差が前記第1の時間差より小さくされた
車輌用灯具。
【請求項2】
前記第2の時間差が前記第1の時間差に対して20%乃至40%小さくされた
請求項1に記載の車輌用灯具。
【請求項3】
前記発光部が複数の光源によって構成された
請求項1又は請求項2に記載の車輌用灯具。
【請求項4】
前記発光部をそれぞれ有する複数の灯具ユニットが設けられ、
全ての前記発光部の点消灯を制御する制御回路が設けられた
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用灯具。
【請求項5】
前記複数の灯具ユニットが同一の構成にされた
請求項4に記載の車輌用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光部から時間差を持って順に光が出射される車輌用灯具についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ターンシグナルランプ等の車輌用灯具には、光を出射する複数の発光部が並んで配置され複数の発光部の並び方向において時間差を持って順に発光部から光が出射される所謂シーケンシャルタイプの車輌用灯具がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなタイプの車輌用灯具は、複数の発光部の並び方向において光が一方から他方へ流れるように視認され、視認者の注意を惹き易く、特に、車輌用標識灯に好適であり、被視認性及び意匠性の向上を図ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−126948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車輌用灯具の内部には各種の構造物が設けられており、複数の発光部から時間差を持って順に光が出射された場合に、構造物によって光の遮蔽や反射等が生じ、順に行われる発光部の点灯が視認者において感覚的に等間隔で行われていないように認識される可能性があり、被視認性が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、複数の発光部から時間差を持って順に光が出射されたときの被視認性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1に、本発明に係る車輌用灯具は、光を出射する少なくとも三つの複数の発光部が並んで配置され前記複数の発光部の並び方向において前記複数の発光部から時間差を持って順に光が出射される車輌用灯具であって、隣り合う二つの発光部が隣接発光体として設けられ、少なくとも一つの前記隣接発光体における二つの前記発光部の間に、一方の前記発光部から出射される光の他方の前記発光部側への進行を遮断する遮光部が設けられ、二つの前記発光部の間に前記遮光部が設けられていない前記隣接発光体における二つの前記発光部の出射開始時間の差を第1の時間差とし、二つの前記発光部の間に前記遮光部が設けられている前記隣接発光体における二つの前記発光部の出射開始時間の差を第2の時間差としたときに、前記第2の時間差が前記第1の時間差より小さくされたものである。
【0008】
これにより、二つの発光部の間に遮光部が設けられている隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差が、二つの発光部の間に遮光部が設けられていない隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差より小さくなる。
【0009】
第2に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記第2の時間差が前記第1の時間差に対して20%乃至40%小さくされることが望ましい。
【0010】
これにより、第2の時間差の第1の時間差に対する割合が60%乃至80%にされる。
【0011】
第3に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記発光部が複数の光源によって構成されることが望ましい。
【0012】
これにより、発光部においてそれぞれ複数の光源から光が出射される。
【0013】
第4に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記発光部をそれぞれ有する複数の灯具ユニットが設けられ、全ての前記発光部の点消灯を制御する制御回路が設けられることが望ましい。
【0014】
これにより、全ての発光部の点消灯が制御回路によって制御される。
【0015】
第5に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記複数の灯具ユニットが同一の構成にされることが望ましい。
【0016】
これにより、複数の灯具ユニットにおいて各別に異なる部品を必要としない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、二つの発光部の間に遮光部が設けられている隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差が、二つの発光部の間に遮光部が設けられていない隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差より小さくなるため、順に行われる発光部の点灯が視認者において感覚的に等間隔で行われているように認識され、被視認性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図2乃至図5と共に本発明車輌用灯具の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用灯具の断面図である。
図2】リフレクターを有する構成にされた車輌用灯具の断面図である。
図3図2のIII−III線に沿う断面図である。
図4】導光体を有する構成にされた車輌用灯具の断面図である。
図5】複数の車輌用灯具に発光部が設けられた例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明車輌用灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0020】
以下に示した実施の形態は、本発明車輌用灯具をターンシグナルランプに適用したものである。尚、本発明は、テールランプ、クリアランスランプ、ストップランプ、デイタイムランニングランプ、コーナーリングランプ、ハザードランプ、ポジションランプ、バックランプ、フォグランプ又はこれらの組み合わせであるコンビネーションランプ等の各種の車輌用灯具に広く適用することができる。
【0021】
以下の説明にあっては、光の外部への照射方向を後方として前後上下左右の方向を示すものとする。但し、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0022】
車輌用灯具1は、例えば、車体の左右両端部にそれぞれ取り付けられて配置されている。車輌用灯具1は後方に開口された凹部を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞するカバー3とを備えている(図1参照)。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成されている。灯具外筐4の内部空間は灯室5として形成されている。
【0023】
灯室5には、例えば、第1の灯具ユニット6と第2の灯具ユニット7が左右に並んで配置されている。第1の灯具ユニット6は車輌における内側に位置され、第2の灯具ユニット7は車輌における外側に位置されている。
【0024】
第1の灯具ユニット6は後方に開口された灯具ケース8と灯具ケース8の開口を閉塞するカバーレンズ9と灯具ケース8の前側において前後方向を向く向きで位置された基板10と基板10に搭載された光源11、11、・・・とを有している。
【0025】
灯具ケース8は前後方向を向くベース面部12とベース面部12の外周部から後方に突出された周面部13とを有している。ベース面部12には透過孔12a、12a、・・・が左右に離隔して形成されている。ベース面部12の後面と周面部13の内周面とは反射面として形成されていてもよい。
【0026】
カバーレンズ9には、例えば、光の拡散等を行う図示しないレンズステップが形成されている。
【0027】
基板10は、例えば、ベース面部12の前面に取り付けられている。光源11、11、・・・は基板10の後面に左右に離隔して搭載されている。光源11、11、・・・は、基板10がベース面部12に取り付けられた状態において、それぞれ透過孔12a、12a、・・・に配置される。
【0028】
第2の灯具ユニット7は第1の灯具ユニット6と同様の構成にされ、灯具ケース8とカバーレンズ9と基板10と光源11、11、・・・を有している。
【0029】
第1の灯具ユニット6の光源11、11、・・・は、例えば、六つが設けられており、車輌における内側に位置された三つの光源11、11、11が第1の発光部14として設けられ、車輌における外側に位置された三つの光源11、11、11が第2の発光部15として設けられている。
【0030】
第2の灯具ユニット7の光源11、11、・・・は、例えば、六つが設けられており、車輌における内側に位置された三つの光源11、11、11が第3の発光部16として設けられ、車輌における外側に位置された三つの光源11、11、11が第4の発光部17として設けられている。
【0031】
車輌用灯具1においては、隣り合う二つの発光部が隣接発光体として設けられている。従って、第1の発光部14と第2の発光部15によって第1の隣接発光体18が構成され、第2の発光部15と第3の発光部16によって第2の隣接発光体19が構成され、第3の発光部16と第4の発光部17によって第3の隣接発光体20が構成される。
【0032】
上記のように構成された車輌用灯具1においては、第1の発光部14の光源11、11、11から同時に光が出射され、第2の発光部15の光源11、11、11から同時に光が出射され、第3の発光部16の光源11、11、11から同時に光が出射され、第4の発光部17の光源11、11、11から同時に光が出射される。また、第1の発光部14と第2の発光部15と第3の発光部16と第4の発光部17においては、発光箇所が順に変更され光が流れるように視認されるシーケンシャルの発光状態が形成されるように第1の発光部14から時間差を持って順に光が出射され、順に第1の発光部14と第2の発光部15と第3の発光部16と第4の発光部17が点灯される。
【0033】
光源11、11、・・・は一定時間点灯された後に消灯されるが、このような光源11、11、・・・の点消灯制御は制御回路50によって行われる。従って、シーケンシャルの発光状態の制御も制御回路50によって行われる。
【0034】
光源11から光が出射されると、出射された光は透過孔12aを通ってカバーレンズ9に入射され、カバーレンズ9によって拡散されカバー3を透過されて後方へ照射される。
【0035】
このとき第2の発光部15の光源11、11、11から出射された光は一部が第1の灯具ユニット6における灯具ケース9の周面部13に達し、第3の発光部16側への進行が遮断される。また、同様に、第3の発光部16の光源11、11、11から出射された光は一部が第2の灯具ユニット7における灯具ケース9の周面部13に達し、第2の発光部15側への進行が遮断される。
【0036】
従って、第1の灯具ユニット6の周面部13のうち第2の灯具ユニット7側に位置された部分と第2の灯具ユニット7の周面部13のうち第1の灯具ユニット6側に位置された部分とは、光の進行を遮断する遮光部21として機能する。
【0037】
車輌用灯具1においては、上記したように、順に第1の発光部14と第2の発光部15と第3の発光部16と第4の発光部17が点灯される。このとき隣り合う発光部の出射開始時間が以下のように設定されている。
【0038】
二つの発光部の間に遮光部21が設けられていない隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差を第1の時間差とし、二つの発光部の間に遮光部21が設けられている隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差を第2の時間差とすると、第2の時間差が第1の時間差より小さくされている。
【0039】
従って、第1の発光部14と第2の発光部15の出射開始時間の差と第3の発光部16と第4の発光部17の出射開始時間の差とが第1の時間差とされ、第2の発光部15と第3の発光部16の出射開始時間の差が第2の時間差とされ、第2の時間差が第1の時間差より20%乃至40%小さくされている。
【0040】
具体的には、第1の発光部14と第2の発光部15の第1の時間差が、例えば、54msecにされ、第2の発光部15と第3の発光部16の第2の時間差が、例えば、36msecにされ、第3の発光部16と第4の発光部17の第1の時間差が、例えば、54msecにされている。
【0041】
二つの発光部の間に遮光部21が設けられていない隣接発光体、例えば、第1の隣接発光体18の第1の発光部14と第2の発光部15が順に点灯されたときには、第1の発光部14から出射された光の一部が第2の発光部15側に進行し、視認者においては第2の発光部15が点灯される前において恰も第2の発光部15が点灯しているように認識される。この現象は第3の隣接発光体20においても同様である。
【0042】
一方、二つの発光部の間に遮光部21が設けられている隣接発光体である第2の隣接発光体19の第2の発光部15と第3の発光部16が順に点灯されたときには、上記したように、第2の発光部15から出射された光の第3の発光部16側への進行が遮断される。従って、視認者においては第3の発光部16が点灯される前において第3の発光部16が点灯しているようには認識されない。
【0043】
このように二つの発光部の間に遮光部21が設けられていない隣接発光体と二つの発光部の間に遮光部21が設けられている隣接発光体とでは、視認者において点灯状態が異なるように認識される。従って、上記したように、第2の時間差を第1の時間差より小さくすることにより、視認者において第1の発光部14と第2の発光部15と第3の発光部16と第4の発光部17が同じ時間差で順に点灯されているように認識される。
【0044】
以上に記載した通り、車輌用灯具1にあっては、二つの発光部の間に遮光部21が設けられていない隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差を第1の時間差とし、二つの発光部の間に遮光部21が設けられている隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差を第2の時間差としたときに、第2の時間差が第1の時間差より小さくされている。
【0045】
従って、二つの発光部の間に遮光部21が設けられている隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差が、二つの発光部の間に遮光部21が設けられていない隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差より小さくなるため、順に行われる発光部の点灯が視認者において感覚的に等間隔で行われているように認識され、被視認性の向上を図ることができる。
【0046】
また、第2の時間差が第1の時間差に対して20%乃至40%小さくされているため、第2の時間差の第1の時間差に対する割合が60%乃至80%にされ、隣り合う全ての発光部間の出射開始時間の差が感覚的に略均一であるように認識され、高い被視認性を確保することができる。
【0047】
さらに、発光部14、15、16、17がそれぞれ複数の光源11によって構成されているため、発光部14、15、16、17においてそれぞれ複数の光源11から光が出射され、輝度の向上を図った上で被視認性の向上を図ることができる。
【0048】
さらにまた、発光部をそれぞれ有する第1の灯具ユニット6と第2の灯具ユニット7が設けられ、全ての発光部14、15、16、17の点消灯を制御する制御回路50が設けられている。
【0049】
従って、全ての発光部14、15、16、17の点消灯が制御回路50によって制御されるため、最低限の数の制御回路によって全ての発光部の点消灯を制御することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0050】
また、第1の灯具ユニット6と第2の灯具ユニット7は同一の構成にされているため、第1の灯具ユニット6と第2の灯具ユニット7において各別に異なる部品を必要とせず、車輌用灯具1の製造コストの低減を図ることができる。
【0051】
尚、上記には、第1の灯具ユニット6と第2の灯具ユニット7の二つの灯具ユニットが設けられた例を示したが、灯具ユニットの数は任意であり、灯具ユニットは一つでもよく三つ以上であってもよい。この場合においても、これらの灯具ユニットを同一の構成にしてもよい。また、上記には、四つの発光部が設けられた例を示したが、発光部の数は三つ以上であれば任意である。さらに、上記には、一つの発光部が三つの光源11によって構成された例を示したが、発光部を構成する光源の数は任意であり、一つ又は二つであってもよく、四つ以上であってもよい。
【0052】
上記には、光源11、11、・・・から出射された光が反射や導光されることなく直射光として照射される構成の車輌用灯具1を例として説明したが、本発明は、以下のような光を反射して照射する車輌用灯具1Aや光を導いて照射する車輌用灯具1Bに適用することも可能である(図2乃至図4参照)。
【0053】
尚、以下に示す車輌用灯具1A、1Bは、上記した車輌用灯具1と比較して、灯具ユニットの構成が異なることのみが相違するため、車輌用灯具1と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については車輌用灯具1における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0054】
車輌用灯具1Aは第1の灯具ユニット6Aと第2の灯具ユニット7Aが左右に並んで配置されている(図2参照)。第1の灯具ユニット6Aは車輌における内側に位置され、第2の灯具ユニット7Aは車輌における外側に位置されている。
【0055】
第1の灯具ユニット6Aは光を反射するリフレクター22と灯室5の下端側において上下方向を向く向きで配置された基板10Aと基板10Aに搭載された、例えば、二つの光源11、11とを有している(図2及び図3参照)。
【0056】
リフレクター22は、例えば、左右に連続して設けられた二つの反射部23、23を有し、反射部23、23の内面が反射面23a、23aとして形成されている。
【0057】
光源11、11は基板10Aの上面に左右に離隔して搭載されている。光源11、11はそれぞれ反射部23、23の内側に配置されている。車輌における内側に位置された光源11は第1の発光部14Aとして設けられ、車輌における外側に位置された光源11は第2の発光部15Aとして設けられている。
【0058】
第2の灯具ユニット7Aは第1の灯具ユニット6Aと同様の構成にされ、リフレクター22と基板10Aと光源11、11を有している。車輌における内側に位置された光源11は第3の発光部16Aとして設けられ、車輌における外側に位置された光源11は第4の発光部17Aとして設けられている。
【0059】
車輌用灯具1Aにおいては、第1の発光部14Aと第2の発光部15Aによって第1の隣接発光体18Aが構成され、第2の発光部15Aと第3の発光部16Aによって第2の隣接発光体19Aが構成され、第3の発光部16Aと第4の発光部17Aによって第3の隣接発光体20Aが構成される。
【0060】
第1の発光部14Aと第2の発光部15Aと第3の発光部16Aと第4の発光部17Aにおいては、発光箇所が順に変更され光が流れるように視認されるシーケンシャルの発光状態が形成されるように第1の発光部14Aから時間差を持って順に光が出射され、順に第1の発光部14Aと第2の発光部15Aと第3の発光部16Aと第4の発光部17Aが点灯される。
【0061】
光源11、11、・・・は点消灯制御が図示しない制御回路によって行われる。
【0062】
車輌用灯具1Aには反射部23とカバー3の間に光を拡散する光制御レンズが設けられていてもよい。
【0063】
光源11から光が出射されると、出射された光は反射部23の反射面23aで反射され、カバー3を透過されて後方へ照射される。
【0064】
このとき第2の発光部15Aの光源11から出射された光は一部が第1の灯具ユニット6Aにおける反射部23の第2の灯具ユニット7A側の端部に達し、第3の発光部16A側への進行が遮断される。また、同様に、第3の発光部16Aの光源11から出射された光は一部が第2の灯具ユニット7Aにおける反射部23の第1の灯具ユニット6A側の端部に達し、第2の発光部15A側への進行が遮断される。
【0065】
従って、第1の灯具ユニット6Aの反射部23のうち第2の灯具ユニット7A側に位置された部分と第2の灯具ユニット7Aの反射部23のうち第1の灯具ユニット6A側に位置された部分とは、光の進行を遮断する遮光部21Aとして機能する。
【0066】
車輌用灯具1Aにおいては、上記したように、順に第1の発光部14Aと第2の発光部15Aと第3の発光部16Aと第4の発光部17Aが点灯される。このとき隣り合う発光部の出射開始時間が以下のように設定されている。
【0067】
二つの発光部の間に遮光部21Aが設けられていない隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差を第1の時間差とし、二つの発光部の間に遮光部21Aが設けられている隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差を第2の時間差とすると、第2の時間差が第1の時間差より小さくされている。
【0068】
従って、第1の発光部14Aと第2の発光部15Aの出射開始時間の差と第3の発光部16Aと第4の発光部17Aの出射開始時間の差とが第1の時間差とされ、第2の発光部15Aと第3の発光部16Aの出射開始時間の差が第2の時間差とされ、第2の時間差が第1の時間差より20%乃至40%小さくされている。
【0069】
このように第2の時間差が第1の時間差より小さくされることにより、視認者において第1の発光部14Aと第2の発光部15Aと第3の発光部16Aと第4の発光部17Aが同じ時間差で順に点灯されているように認識される。
【0070】
車輌用灯具1Bは第1の灯具ユニット6Bと第2の灯具ユニット7Bが左右に並んで配置されている(図4参照)。第1の灯具ユニット6Bは車輌における内側に位置され、第2の灯具ユニット7Bは車輌における外側に位置されている。
【0071】
第1の灯具ユニット6Bは光を導く導光体24と導光体24の前方側において左右に離隔して配置された基板10B、10Bと基板10B、10Bにそれぞれ搭載された光源11、11とを有している。
【0072】
導光体24は左右方向に延びる導光部24aと導光部24aの前面からそれぞれ光源11、11に近付く方向に突出され導光部24aに対して傾斜された入光部24b、24bとを有している。導光部24a後面が光出射面として形成され、後面に図示しない拡散ステップが形成され前面に図示しない反射ステップが形成されている。
【0073】
第1の灯具ユニット6Bと第2の灯具ユニット7Bの間には遮光部21Bが配置されている。
【0074】
光源11、11は入光部24b、24bの先端面に対向する状態で位置されている。車輌における内側に位置された光源11は第1の発光部14Bとして設けられ、車輌における外側に位置された光源11は第2の発光部15Bとして設けられている。
【0075】
第2の灯具ユニット7Bは第1の灯具ユニット6Bと同様の構成にされ、導光体24と基板10B、10Bと光源11、11を有している。車輌における内側に位置された光源11は第3の発光部16Bとして設けられ、車輌における外側に位置された光源11は第4の発光部17Bとして設けられている。
【0076】
車輌用灯具1Bにおいては、第1の発光部14Bと第2の発光部15Bによって第1の隣接発光体18Bが構成され、第2の発光部15Bと第3の発光部16Bによって第2の隣接発光体19Bが構成され、第3の発光部16Bと第4の発光部17Bによって第3の隣接発光体20Bが構成される。
【0077】
第1の発光部14Bと第2の発光部15Bと第3の発光部16Bと第4の発光部17Bにおいては、発光箇所が順に変更され光が流れるように視認されるシーケンシャルの発光状態が形成されるように第1の発光部14Bから時間差を持って順に光が出射され、順に第1の発光部14Bと第2の発光部15Bと第3の発光部16Bと第4の発光部17Bが点灯される。
【0078】
光源11、11、・・・は点消灯制御が図示しない制御回路によって行われる。
【0079】
光源11から光が出射されると、出射された光は入光部24bから入射されて導光部24aによって左右方向に導かれながら導光部24aの後面から拡散光として出射され、カバー3を透過されて後方へ照射される。
【0080】
このとき第2の発光部15Bの光源11から出射された光は一部が遮光部21Bに達し、遮光部21Bによって第3の発光部16B側への進行が遮断される。また、同様に、第3の発光部16Bの光源11から出射された光は一部が遮光部21Bに達し、遮光部21Bによって第2の発光部15B側への進行が遮断される。
【0081】
車輌用灯具1Bにおいては、上記したように、順に第1の発光部14Bと第2の発光部15Bと第3の発光部16Bと第4の発光部17Bが点灯される。このとき隣り合う発光部の出射開始時間が以下のように設定されている。
【0082】
二つの発光部の間に遮光部21Bが設けられていない隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差を第1の時間差とし、二つの発光部の間に遮光部21Bが設けられている隣接発光体における二つの発光部の出射開始時間の差を第2の時間差とすると、第2の時間差が第1の時間差より小さくされている。
【0083】
従って、第1の発光部14Bと第2の発光部15Bの出射開始時間の差と第3の発光部16Bと第4の発光部17Bの出射開始時間の差とが第1の時間差とされ、第2の発光部15Bと第3の発光部16Bの出射開始時間の差が第2の時間差とされ、第2の時間差が第1の時間差より20%乃至40%小さくされている。
【0084】
このように第2の時間差が第1の時間差より小さくされることにより、視認者において第1の発光部14Bと第2の発光部15Bと第3の発光部16Bと第4の発光部17Bが同じ時間差で順に点灯されているように認識される。
【0085】
尚、上記には、第1の灯具ユニット6Bと第2の灯具ユニット7Bの間に遮光部21Bが配置された例を示したが、例えば、導光体24、24における導光部24a、24aの対向する各端面を全反射面として形成することにより遮光部21Bと同様に光を遮断することが可能である。また、導光体24、24における導光部24a、24aの対向する各端面に金属蒸着等が施されることにより遮光部21Bと同様に光を遮断することも可能である。
【0086】
これらの場合には遮光部21Bを設ける必要がないため、車輌用灯具1Bの部品点数の削減及び構造の簡素化を図ることができる。
【0087】
尚、上記には、一つの車輌用灯具に三つ以上の発光部が設けられた例を示したが、本発明は複数の車輌用灯具に全体として三つ以上の発光部が設けられる構成にも適用することができる(図5参照)。
【0088】
例えば、左右に並ぶ二つの車輌用灯具1C、1Cにそれぞれ第1の灯具ユニット6と第2の灯具ユニット7が配置された構成に適用することが可能である。このような例としては、一方の車輌用灯具1Cが車輌の固定部に配置され、他方の車輌用灯具1Cが車輌の可動部、例えば、トランクリッド等に配置される構成がある。
【0089】
この場合には一方の車輌用灯具1Cにおける発光部の点消灯制御を行う制御回路と他方の車輌用灯具1Cにおける発光部の点消灯制御を行う制御回路とが各別に必要であるが、車輌用灯具1C、1Cの内部構造を同一構造にすることにより製造コストの低減を図ることが可能になる。
【符号の説明】
【0090】
1…車輌用灯具、6…第1の灯具ユニット、7…第2の灯具ユニット、11…光源、14…第1の発光部、15…第2の発光部、16…第3の発光部、17…第4の発光部、18…第1の隣接発光体、19…第2の隣接発光体、20…第3の隣接発光体、21…遮光部、50…制御回路、1A…車輌用灯具、6A…第1の灯具ユニット、7A…第2の灯具ユニット、11…光源、14A…第1の発光部、15A…第2の発光部、16A…第3の発光部、17A…第4の発光部、18A…第1の隣接発光体、19A…第2の隣接発光体、20A…第3の隣接発光体、21A…遮光部、1B…車輌用灯具、6B…第1の灯具ユニット、7B…第2の灯具ユニット、11…光源、14B…第1の発光部、15B…第2の発光部、16B…第3の発光部、17B…第4の発光部、18B…第1の隣接発光体、19B…第2の隣接発光体、20B…第3の隣接発光体、21B…遮光部
図1
図2
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図5