(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重合体粒子と付加反応硬化型シリコーン樹脂を含有する、重合体粒子含有シリコーン樹脂組成物であって、前記重合体粒子が、炭素数4以上10以下のアルキル基又はシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選択される一種以上のエステル化合物、スチレン系化合物、及び架橋剤を含む重合性組成物の架橋重合体粒子の表面にシリコーン樹脂層を有するものであり、前記重合性組成物における前記エステル化合物の含有量が5〜90質量%であり、前記重合性組成物におけるスチレン系化合物の含有量が5〜90質量%であり、前記重合体粒子の疎水性指数が66以上であり、前記重合体粒子含有シリコーン樹脂組成物中の重合体粒子の含有量が0.1〜10質量%であり、前記重合体粒子含有シリコーン樹脂組成物中の付加反応硬化型シリコーン樹脂の含有量が30〜99質量%である、重合体粒子含有シリコーン樹脂組成物。
炭素数4以上10以下のアルキル基又はシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選択される一種以上のエステル化合物、スチレン系化合物、及び架橋剤を含む重合性組成物の架橋重合体粒子の表面にシリコーン樹脂層を有する重合体粒子であって、前記重合性組成物における前記エステル化合物の含有量が5〜90質量%であり、前記重合性組成物におけるスチレン系化合物の含有量が5〜90質量%であり、疎水性指数が66以上である、重合体粒子。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の重合体粒子含有シリコーン樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」と記載することもある)は、重合体粒子と付加反応硬化型シリコーン樹脂を含有する。
【0010】
本発明の組成物が光散乱性に優れ、吸湿性の低いものとなるメカニズムは定かではないが、本発明の組成物に含まれる重合体粒子は疎水性が高く、水分を吸着しにくいためと推定される。さらに本発明の組成物に含まれる重合体粒子はシリコーン樹脂への分散性に優れることから、光拡散性に優れると推定される。
【0011】
本発明において、重合体粒子は、重合性組成物の架橋重合体粒子を含む。本発明において、重合性組成物は、特定のエステル化合物、スチレン系化合物、及び架橋剤を含む。
【0012】
エステル化合物としては、炭素数4以上のアルキル基又はシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び/又はカルボン酸ビニルである。
【0013】
(メタ)アクリル酸エステルにおけるアルキル基又はシクロアルキル基の炭素数は、光散乱性に優れ、低吸湿性の粒子を得る観点から、4以上であり、好ましくは5以上であり、より好ましくは6以上であり、高効率に粒子を得る観点から、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下である。炭素数4以上のアルキル基又はシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどが挙げられ、好ましくはメタクリル酸シクロヘキシルである。なお、本明細書において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を指す。
【0014】
カルボン酸ビニルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ネオデカン酸ビニル等が挙げられる。
【0015】
エステル化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、重合性組成物中、好ましくは5〜90質量%であり、より好ましくは10〜80質量%である。エステル化合物を2種以上使用する場合における含有量は、その合計量を指す。
【0016】
スチレン系化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、エチルビニルベンゼンなどが挙げられ、好ましくはスチレンである。
【0017】
スチレン系化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、重合性組成物中、好ましくは5〜90質量%であり、より好ましくは10〜80質量%である。
【0018】
重合性組成物中、エステル化合物とスチレン系化合物の質量比(エステル化合物/スチレン系化合物)は、特に限定されるものではないが、好ましくは1/45〜45/1であり、より好ましくは1/8〜8/1である。
【0019】
架橋剤としては、特に限定されるものではないが、エチレングリコールジ(メタ)クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、などの多官能(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、および、これらの誘導体などの芳香族ジビニル化合物などが挙げられ、分散性の観点から、好ましくはエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンである。
【0020】
架橋剤の含有量は、特に限定されるものではないが、エステル化合物とスチレン系化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部であり、より好ましくは3〜30質量部である。
【0021】
架橋重合体粒子の体積平均粒子径は、光拡散性の観点から、好ましくは0.5〜30μmであり、より好ましくは0.5〜10μmであり、さらに好ましくは0.5〜5.0μmである。
【0022】
架橋重合体粒子の変動係数は、光拡散性の観点から、好ましくは5〜30%であり、より好ましくは、5〜25%、さらに好ましくは5〜20%である。
【0023】
本明細書において、体積平均粒子径、変動係数は、以下の方法により測定される。
架橋重合体粒子の体積平均粒子径、変動係数は、コールターMultisizer
TM3(ベックマン・コールター社製測定装置)により測定する。測定は、ベックマン・コールター社発行のMultisizer
TM3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施するものとする。
なお、測定に用いるアパチャーは、測定する架橋重合体粒子の大きさによって、適宜選択する。Current(アパチャー電流)及びGain(ゲイン)は、選択したアパチャーのサイズによって、適宜設定する。例えば、50μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−800、Gain(ゲイン)は4と設定する。
測定用試料としては、架橋重合体粒子0.1gを0.1質量%ノニオン性界面活性剤水溶液10ml中にタッチミキサー(ヤマト科学社製、「TOUCHMIXER MT−31」)及び超音波洗浄器(ヴェルヴォクリーア社製、「ULTRASONICCLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く撹拌しておき、架橋重合体粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。架橋重合体粒子の体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算術平均である。
架橋重合体粒子の粒子径の変動係数(CV値)を、以下の数式によって算出する。
架橋重合体粒子の粒子径の変動係数=(架橋重合体粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差÷架橋重合体粒子の体積平均粒子径)×100
【0024】
重合体粒子は、シリコーン樹脂への分散性の観点から、さらにシリコーン樹脂を含むことが好ましく、架橋重合体粒子の表面にシリコーン樹脂層を有することがより好ましい。重合体粒子に含まれるシリコーン樹脂としては、後述するシリコーン樹脂と同じものを使用することができる。シリコーン樹脂の含有量は重合体粒子に対し、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。なお、架橋重合体粒子の表面にシリコーン樹脂層を有する重合体粒子は、架橋重合体粒子にシリコーン樹脂を塗布した後に乾燥するなど、公知の方法で表面処理をすることなどにより得られる。
【0025】
重合体粒子の疎水性指数は、シリコーン樹脂への分散性の観点から、好ましくは66以上であり、より好ましくは、75以上である。
【0026】
本明細書において、疎水性指数は、以下の方法により測定される。
底部に撹拌子を置いた200mlのガラスビーカーに、イオン交換水50mlを投入し、水面に重合体粒子0.2gを浮かべた後、撹拌子を緩やかに回転させる。その後、ビーカー内の水中にビュレットの先端を沈め、撹拌子を緩やかに回転させながら、前記重合体粒子添加から5分後に、ビュレットからメタノールを徐々に導入する。メタノールは1mlずつ導入し、1ml導入する度に3分撹拌を行い、また1mlずつ導入した。水面の重合体粒子の全量が完全に水中に沈むまで(水面に浮いている重合体粒子がなくなった状態)メタノールの導入を続け、水中に重合体粒子が完全に沈んだときのメタノール導入量(ml)を測定し、下式に基づき疎水性指数を求める。
疎水性指数(%)=100×メタノール導入量(ml)/(イオン交換水の量(ml)+メタノール導入量(ml))
なお、ビュレットからメタノールを添加する前に、水面に浮かべた重合体粒子が水中に完全に沈んだ場合は、疎水性指数を0と判定する。
【0027】
重合体粒子の水分含有量は、低吸湿性のシリコーン樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。重合体粒子の水分含有量は、カールフィッシャー水分計にて測定される。
【0028】
重合体粒子の屈折率は、光拡散性の観点から、好ましくは1.500〜1.570であり、より好ましくは1.510〜1.565であり、さらに好ましくは1.520〜1.560である。
【0029】
本明細書において、屈折率は、液浸法により測定される。
具体的には、まず、スライドガラス上に重合体粒子を載せ、屈折液(CARGILLE社製:カーギル標準屈折液、屈折率 nD25 1.496〜1.592の屈折液を、屈折率差0.002刻みで複数準備)を滴下する。そして、重合体粒子と屈折液をよく混ぜた後、下から岩崎電気社製高圧ナトリウムランプ NX35(中心波長589nm)の光を照射しながら、上部から光学顕微鏡により粒子の輪郭を観察する。そして、輪郭が見えない場合を、屈折液と重合体粒子の屈折率が等しいと判断する。
なお、光学顕微鏡による観察は、重合体粒子の輪郭が確認できる倍率での観察であれば特に問題ないが、粒子径5μmの粒子であれば500倍程度の観察倍率が適当である。上記操作により、重合体粒子と屈折液の屈折率が近いほど重合体粒子の輪郭が見えにくくなることから、重合体粒子の輪郭が判りにくい屈折液の屈折率をその重合体粒子の屈折率と等しいと判断する。
また、屈折率差が0.002の2種類の屈折液の間で重合体粒子の見え方に違いがない場合は、これら2種類の屈折液の中間の値を当該重合体粒子の屈折率と判断する。例えば、屈折率1.554と1.556の屈折液それぞれで試験をしたときに、両屈折液で重合体粒子の見え方に違いがない場合は、これら屈折液の中間値1.555を重合体粒子の屈折率と判定する。
なお、上記の測定においては試験室気温22℃〜24℃の環境下で測定を実施する。
【0030】
本発明の組成物中の重合体粒子の含有量は、光拡散性の観点から、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜8質量%であり、さらに好ましくは1〜5質量%である。
【0031】
重合体粒子の製造方法は、特に限定されるものではないが、シード重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合などの方法により製造することができる。
【0032】
シード重合法で製造する場合において、シード粒子は、メタクリル酸メチルなどのビニル系モノマー、n−オクチルメルカプタンなどの分子量調整剤、過硫酸カリウムなどの重合開始剤などを用いて公知の方法で調製することができる。シード粒子としては、特に限定されるものではないが、体積平均粒子径0.1〜3.0μmが好ましく、重量平均分子量が5,000〜100,000が好ましく、真球状のものが好ましい。
【0033】
付加反応硬化型シリコーン樹脂は、シリコーン樹脂に付加反応に供される官能基を導入したものが使用される。官能基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペテニル基、ヘキセニル基などが挙げられ、シリコーン樹脂の分子鎖の両末端、片末端、側鎖などに導入される。シリコーン樹脂としては、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0034】
本発明の組成物中の付加反応硬化型シリコーン樹脂の含有量は、光拡散性の観点から、好ましくは30〜99質量%であり、より好ましくは60〜90質量%であり、さらに好ましくは50〜80質量%である。
【0035】
本発明の組成物においては、付加反応硬化型以外のシリコーン樹脂を含有してもよく、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェン基封鎖ジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。
【0036】
本発明の組成物は、任意に他の成分を含有することができる。他の成分としては、充填剤、反応抑制剤、難燃性付与剤、耐熱性向上剤、接着性付与剤、チキソ性付与剤、顔料、可塑剤などが挙げられる。
【0037】
本発明の組成物は、有機溶剤を含まない方が好ましい。有機溶剤を含まないことで、有機溶剤の揮発による硬化時の寸法変化は少なく、また硬化後も残存有機溶剤のブリードアウトの懸念が低く好ましい。
【0038】
本発明の組成物の吸湿性は、本発明の組成物を硬化させたもので評価する。この硬化物を24℃、相対湿度60%の環境下に24時間放置した後の水分値をカールフィッシャー水分計で測定して判定することができる。本発明の組成物の吸湿後の水分値は、吸湿性を低くする観点から、好ましくは500ppm以下であり、より好ましくは、450ppm以下であり、さらに好ましくは400ppm以下である。
【0039】
なお、本発明の組成物は、塩化白金酸とビニルシロキサンの錯塩などの白金触媒下で硬化させることができる。
【0040】
本発明の組成物の光学特性は、本発明の組成物を硬化させたもので評価する。この硬化物を透明ガラスプレート状に30μm厚で塗布し、その上にガラスカバーを貼りあわせ、塗布層を80℃で硬化させて作製されたガラスプレートのヘイズ及び全光線透過率を測定する。ここで、ヘイズは及び全光線透過率は、ヘイズ及び全光線透過率の測定は、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、商品名「NDH4000」)を使用して、JIS K 7361−1に従って、測定する。
【0041】
本発明の組成物のヘイズは、光拡散性の観点から、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは99%以上である。
【0042】
本発明の組成物の全光線透過率は、光拡散性の観点から、好ましくは75%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは99%以上である。
【0043】
本発明の組成物は、吸湿性が低く、光学特性にも優れることから、有機EL部材として好適に用いられる。
【0044】
本発明の組成物は、付加反応硬化型シリコーン樹脂中に重合体粒子を分散させることにより製造することができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0046】
製造例1(シード粒子の製造)
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、水性媒体としての水3000gと、単官能(メタ)アクリル系単量体としてのメタクリル酸メチル500gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン5gとを仕込み、セパラブルフラスコの内容物を攪拌しながらセパラブルフラスコの内部を窒素置換し、セパラブルフラスコの内温を70℃に昇温した。さらに、セパラブルフラスコの内温を70℃に保ちながら、重合開始剤としての過硫酸カリウム2.5gをセパラブルフラスコの内容物に添加した後、12時間重合反応させ、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンは、固形分(ポリメタクリル酸メチル粒子)を14質量%含有し、その固形分は、体積平均粒子径が0.45μmであり、重量平均分子量が15000である真球状粒子(シード粒子)であった。この真球状粒子を含むエマルジョンをシード粒子分散体として、後述する重合体粒子の製造に用いた。
【0047】
製造例2(重合体粒子の製造)
攪拌機及び温度計を備えた5Lの反応器に、スチレン300gと、メタクリル酸シクロヘキシル500gと、架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレート200gと重合開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル8gとを互いに溶解させて単量体混合物を得た。得られた単量体混合物を、予めノニオン性界面活性剤としてのポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル10gをイオン交換水990gに溶解させることにより得られた界面活性剤水溶液1000gと混合し、高速乳化・分散機(商品名「ホモミクサーMARK II 2.5型」、プライミクス株式会社製)に入れて10000rpmで10分間処理して、乳化液を得た。この乳化液に、製造例1で得られたシード粒子分散体24g(固形分3.4g)を加え、30℃で3時間攪拌し、分散体を得た。この分散体に、高分子分散安定剤としてのポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、商品名「ゴーセノール(登録商標)GH−17」)の4質量%水溶液2000gと、重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.6gとを加え、その後、70℃で5時間攪拌し次いで105℃で2.5時間攪拌することにより重合反応を行った。重合後の分散体を加圧濾過機にて脱水し、温水を用いて洗浄した後、70℃で24時間真空乾燥することで、重合体粒子Aを得た。得られた重合体粒子Aの体積平均粒子径は1.5μm、屈折率は1.525であった。
【0048】
製造例3(重合体粒子の表面被覆)
製造例2で得られた重合体粒子Aにメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面被覆を実施した。メチルハイドロジェンポリシロキサン30gをイソプロピルアルコール1000gに溶解させた。続いて溶液を重合体粒子A500gに対し、スプレーでまんべんなく塗布した。その後、塗布された重合体粒子を70℃で24時間真空乾燥することでイソプロピルアルコールを除去することで、メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面被覆された重合体粒子A−2を得た。得られた重合体粒子A−2の疎水性指数は81、水分含有量は0.03%であった。
【0049】
製造例4
メタクリル酸シクロヘキシルを300g、スチレンを600g、エチレングリコールジメタクリレートを100gとしたこと以外は製造例2と同様にして重合体粒子Bを得た。得られた重合体粒子Bの体積平均粒子径は1.5μm、屈折率は1.555であった。その後、製造例3と同様にして表面処理を実施し、メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理された重合体粒子B−2を得た。得られた重合体粒子C−2の疎水性指数は82、水分含有量は0.05%であった。
【0050】
製造例5
メタクリル酸シクロヘキシルの代わりにメタクリル酸メチル500gを用いたこと以外は、製造例2と同様にして重合体粒子Cを得た。得られた重合体粒子Cの体積平均粒子径は1.5μm、屈折率は1.525であった。その後、製造例3と同様にして表面処理を実施し、メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理された重合体粒子C−2を得た。得られた重合体粒子C−2の疎水性指数は45、水分含有量は0.7%であった。
【0051】
製造例6
メタクリル酸シクロヘキシルの代わりにメタクリル酸イソブチルを450g、スチレンを450g、エチレングリコールジメタクリレートを100gとしたこと以外は製造例2と同様にして重合体粒子Dを得た。得られた重合体粒子Dの体積平均粒子径は1.5μm、屈折率は1.535であった。その後、製造例3と同様にして表面処理を実施し、メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理された重合体粒子D−2を得た。得られた重合体粒子D−2の疎水性指数は72、水分含有量は0.04%であった。
【0052】
実施例1〜3、比較例1〜2
150℃で2時間減圧乾燥したポリジメチルシロキサン(23℃における粘度が3000mPa・sであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたもの)100質量部とメチルハイドロジェンポリシロキサン10質量部、及び表1に記載した重合体粒子5質量部を混合し、触媒として塩化白金酸とビニルシロキサンの錯塩(白金原子として約10ppm)の存在下、室温で均一に硬化させた。こうして実施例1〜3、比較例1〜2の重合体粒子含有シリコーン樹脂組成物を得た。
【0053】
<吸湿性>
各実施例、比較例で得られた重合体粒子含有シリコーン樹脂組成物の水分値、及び当該組成物を24℃、相対湿度60%の環境下に24時間放置した後の水分値をカールフィッシャー水分計で測定し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:吸湿後の水分値500ppm以下
×:吸湿後の水分値500ppm以上
【0054】
<光学特性>
各実施例、比較例で得られた重合体粒子含有シリコーン樹脂組成物を透明ガラスプレート状に30μm厚で塗布し、その上にガラスカバーを貼りあわせた。塗布層を80℃で硬化させた。こうして作製されたガラスプレートの光学特性(全光線透過率、ヘイズ)を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。なお、全光線透過率は80%以上であれば有機EL部材として好適に使用することができる。
○:ヘイズ80%以上
×:ヘイズ80%以下
【0055】
【表1】
【0056】
表1より、重合性組成物として炭素数4以上のアルキル基又はシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、スチレン系化合物、及び架橋剤を含む重合体粒子を使用した実施例1〜3は、吸湿性、光学特性が良好であった。一方、重合性組成物として特定のエステル化合物を含まない重合体粒子を使用した比較例1では吸湿性が劣るものであり、シリコーン樹脂粒子を使用した比較例2では光学特性が劣るものであった。