(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面は模式的なものであり、各部の寸法の関係や比率は、現実と異なる。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの構成を模式的に示す部分断面図であり、当該光学ユニットの光軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。同図に示す光学ユニット1は、第一の光デバイスであるレンズ2と、レンズ2を拘持する略筒状のレンズホルダ10と、入力された電気信号に応じたレーザ光を出射する光源3aを有する第二の光デバイスである半導体レーザ3と、半導体レーザ3を拘持する筒状のレーザホルダ20とを備えている。
図1では、レンズホルダ10の中心軸と、レーザホルダ20の中心軸とは、互いに一致しており、かつ光学ユニット1の光軸Nに一致しているものとして説明する。光学ユニット1は、光源3aが出射した光を、レンズ2を介して外部に出射する。本実施の形態1において、レンズホルダ10は第一の光デバイス拘持体、レーザホルダ20は第二の光デバイス拘持体に相当する。
【0015】
レンズ2は、ガラスや樹脂を用いて形成されるコリメートレンズや集光レンズにより構成される。なお、本実施の形態1では、レンズホルダ10が一つのレンズ2を拘持しているものとして説明するが、レンズホルダ10が複数のレンズからなる光デバイスを拘持するものであってもよい。
【0016】
レンズホルダ10は、レンズ2を拘持する環状の第1拘持部10aと、第1拘持部10aの光軸N方向の端部から半導体レーザ3に向けて光軸N方向に沿って延在し、レーザホルダ20と嵌合する筒状の第1嵌合代部10bと、を有する。第1拘持部10aには、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2が固定される。なお、第1嵌合代部10bの内部壁面のなす径は、レーザホルダ20の外周の径と同じであるが、レーザホルダ20が嵌入可能な径であればよい。
【0017】
レーザホルダ20は、半導体レーザ3を拘持する第2拘持部20aと、第2拘持部20aの光軸N方向の端部からレンズ2側と反対側に向けて光軸N方向に延在し、レンズホルダ10と嵌合する筒状の第2嵌合代部20bと、を有する。第2拘持部20aには、例えばレーザ溶接によって半導体レーザ3が固定される。第2拘持部20aの外周のなす径は、レンズホルダ10の内周のなす径と同等か、若干小さい。
【0018】
レンズホルダ10およびレーザホルダ20は、レーザ光によって溶融固化した際に、同じ程度の収縮率を有する材料を用いて構成されていることが好ましい。この材料としては、ステンレス鋼(フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト系)、鉄鋼材料(機械構造用炭素鋼、一般構造用圧延鋼)、インバー材、樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene:ABS、Poly Ether Ether Ketone:PEEK)が挙げられる。また、光学ユニット1の作製において、レンズホルダ10とレーザホルダ20とを嵌合させるときに、レンズホルダ10とレーザホルダ20との位置調整を容易に行えるように、第1嵌合代部10bおよび第2嵌合代部20bの表面粗さを小さくしてもよいし、第1嵌合代部10bと第2嵌合代部20bとの嵌合部分の一部に、第1嵌合代部10bと第2嵌合代部20bとが非接触となるような切欠き等による隙間が形成されるようにしてもよい。
【0019】
光学ユニット1において、レンズ2と半導体レーザ3の光源3aとの間の距離d
1は、予め設定されている光学条件を満たす距離である。
【0020】
また、レンズホルダ10とレーザホルダ20とは、第1嵌合代部10bおよび第2嵌合代部20bが径方向で重なる部分であって、光軸N方向において第1拘持部10aの拘持面P
10および第2拘持部20aの拘持面P
20に挟まれる領域R
Aの外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「拘持面P
10」とは、第1拘持部10aがレンズ2と接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。また、「拘持面P
20」とは、第2拘持部20aが半導体レーザ3と接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、レンズホルダ10およびレーザホルダ20には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部30が形成される。この際、光学ユニット1において、レンズ2および半導体レーザ3は、各々が、溶接部30に対して同じ側でレンズホルダ10およびレーザホルダ20に拘持されている。すなわち、レンズホルダ10およびレーザホルダ20において、レンズ2および半導体レーザ3をそれぞれ拘持してデバイスに連なっている部分が、溶接部30を通過し、光軸Nと直交する平面に対して同じ側にある。なお、拘持面は、拘持部が光学デバイスと接触している部分の光軸N
1方向の中央を通過するものとして説明したが、光学デバイスと接触している部分の光軸N
1方向の一方の端部を通過する等、通過位置の設計変更が可能である。
【0021】
図2は、
図1に示す光学ユニット1の溶接部30を含む領域Rを拡大した図である。上述したように、第1嵌合代部10bの一部と第2嵌合代部20bの一部とには、互いを接合する溶接部30が形成されている。各嵌合代部の光軸N方向と直交する径方向の長さを厚さ、光軸N方向の長さを幅としたとき、溶接部30は、第1嵌合代部10bの厚さ方向の中央部の溶接幅w
1と、第2嵌合代部20bの厚さ方向の中央部の溶接幅w
2とが、略同じである。具体的に、溶接幅w
1と溶接幅w
2とが略同じとは、レーザ光が照射されるレンズホルダ10の溶接幅w
1に対する、レーザホルダ20の溶接幅w
2の比(w
2/w
1)が、0.75≦w
2/w
1≦1.25の関係を満たしていることをいう。この範囲において、例えば、溶接幅w
1が0.4mmである場合、溶接幅w
2は0.3〜0.5mmとなる。
【0022】
次に、溶融固化によるホルダの収縮について、
図3および
図4を参照して説明する。
図3および
図4は、溶融固化した際の寸法変化を測定する方法を説明する図である。
【0023】
まず、測定用の筒状部材(以下、測定用部材という)40の外表面に、二つのマーカM
1、M
2を付与する(
図3参照)。マーカM
1、M
2は、インクによるものであってもよいし、シール材を用いたものであってもよい。マーカM
1、M
2は、測定用部材40の光軸N
10方向に沿って設けられていることが好ましい。
【0024】
その後、マーカM
1、M
2の間の距離d
11を測定する。距離d
11は、マーカM
1とマーカM
2との間の光軸N
10方向の距離である。
【0025】
溶融固化前のマーカM
1、M
2の間の距離d
11を測定後、マーカM
1とマーカM
2との間の一部にレーザ光を照射して、測定用部材40の一部を溶融固化させる。この際、
図4に示すように、測定用部材40の全周にわたってレーザ光を照射する。例えば、測定用部材40を光軸N
10を回転軸として回転させるか、またはレーザ光を出射するレーザヘッドを測定用部材40の外周に沿って回転させながらレーザ光を照射する。これにより、測定用部材40に光軸N
10を周回する溶接部41が形成される。溶接部41の形成により、測定用部材40は、該溶接部41を境界として両端部が互いに近づく方向(
図4における矢印D
1、D
2)に収縮する。
【0026】
測定用部材40に溶接部41を形成した後、マーカM
1とマーカM
2との間の距離d
12を測定する。この距離d
12は、溶融固化による測定用部材40の収縮によって、上述した距離d
11よりも小さくなる。この距離d
11と距離d
12との差を、寸法変化量(収縮量)として算出する。その後、レーザ光の強度を変えて、上述したように溶接幅w
10を形成し、収縮による寸法変化量を測定する。レーザ光の強度を変えることにより、異なる溶接幅における寸法変化量が得られる。
【0027】
図5は、溶融固化した際の寸法変化の測定結果の一例を説明する図であって、溶接幅と寸法変化量との関係を示す図である。
図5に示すように、溶接幅と寸法変化量とは、略比例している(
図5中の近似直線S参照)。これにより、溶接部30において、レンズホルダ10における溶接幅と、レーザホルダ20の溶接幅との差が大きくなるほど、溶融固化前のレンズ2および半導体レーザ3の位置関係の変化が大きくなることが容易に予測できる。
【0028】
次に、上述した光学ユニット1を作製する方法について、
図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
【0029】
まず、第1嵌合代部10bの内部に、第2拘持部20a側からレーザホルダ20を挿入して嵌合させる。その後、レンズ2と光源3aとの間の距離d
1が、光学条件を満たす距離となるように、レンズホルダ10に対してレーザホルダ20を相対移動させてレンズ2と半導体レーザ3との間の光路長を調整する。
【0030】
その後、レーザヘッド100を配置して、レンズホルダ10の外表面にレーザ光Lを照射することにより、レンズホルダ10の一部、およびレーザホルダ20の一部を溶融固化させる。この際のレーザ光Lの照射位置は、第1嵌合代部10bと第2嵌合代部20bとが径方向で重なり合う位置であり、かつ光軸N方向における領域R
Aの外側に位置している。また、レーザ光Lの強度分布、または、レーザヘッド100の移動によって、レンズホルダ10からレーザホルダ20にかけて均一な溶接幅となるように、レンズホルダ10およびレーザホルダ20を溶融固化させる。この際、レーザ光は、パルス光により間欠的に照射してもよいし、連続的に照射してもよい。溶接部30は、レーザ光が間欠的に照射される場合に、ホルダの周方向に沿って間欠的に溶接ビードが形成されるものであってもよいし、周方向の全周にわたって連続的に溶接ビードが連なっているものであってもよい。また、溶接部30は、レーザ光が連続的に照射される場合、周方向に延びる一つの溶接ビードからなる。
【0031】
図7は、レーザ溶接を行う際に用いるレーザ光の特性を説明する図である。
図7は、レーザ光のビームウエストを通る断面におけるビーム強度の分布を示す図である。
図7に示すように、本実施の形態1では、ホルダを溶融可能な下限強度I
Lにおけるビーム径W
Lと、ピーク強度I
Pにおけるビーム径W
Pの値が略同じで、ビームの縁から中心に向かってビーム強度が急峻に立ち上がってピーク強度I
Pに達するトップハット型の強度分布のレーザ光を用いてレーザ溶接を行う。これにより、照射領域の単位面積当たりの蓄積エネルギーが略均一なレーザ光がホルダに照射される。また、例えば、一般的に知られているガウシアン型の強度分布を有するレーザ光を、ビーム強度分布変換を行う光学系を通過させることによって、ビーム径W
Lとビーム径W
Pとが略同じでビーム断面の縁から内部に向かってビーム強度が急峻に立ち上がるトップハット型の強度分布に変換して照射するようにしてもよい。
【0032】
以上説明した本発明の実施の形態1では、第1嵌合代部10bと第2嵌合代部20bとが重なり合い、かつ第1拘持部10aの拘持面P
10および第2拘持部20aの拘持面P
20に挟まれる領域R
Aの外側に、レンズホルダ10における溶接幅w
1と、レーザホルダ20の溶接幅w
2とが略同じである溶接部30を形成して、レンズホルダ10とレーザホルダ20とを接合するようにした。これにより、レーザ溶接した際、各ホルダは同じ収縮量で収縮し、かつレンズ2および半導体レーザ3が収縮により同じ側に移動する。その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、レンズホルダ10およびレーザホルダ20を溶接することが可能となる。このように、本実施の形態1によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0033】
(実施の形態1の変形例)
図8は、本発明の実施の形態1の変形例に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図8は、当該光学ユニットの中心軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。上述した実施の形態1では、第二の光デバイスが半導体レーザ3であるものとして説明したが、本変形例では、第二の光デバイスとしてイメージセンサ4を用いる。本変形例に係る光学ユニット1Aは、例えば、被検体内に挿入される挿入部を備えた内視鏡に設けられる。
【0034】
同図に示す光学ユニット1Aは、第一の光デバイスであるレンズ2と、レンズ2を拘持する略筒状のレンズホルダ11と、外部からの光を受光する受光面4aを有し、受光した光を電気信号に変換する第二の光デバイスであるイメージセンサ4と、イメージセンサ4を拘持する筒状のセンサホルダ21とを備えている。
図8では、レンズホルダ11の中心軸と、センサホルダ21の中心軸とは、互いに一致しており、かつ光学ユニット1Aの光軸Nに一致しているものとして説明する。レンズ2は、外部からの光を受光面4aで結像させるためのレンズである。本変形例において、レンズホルダ11は第一の光デバイス拘持体、センサホルダ21は第二の光デバイス拘持体に相当する。
【0035】
レンズホルダ11は、内部壁面のなす径であって、光軸Nと直交する方向の径が、センサホルダ21の外周のなす径と略同等である。レンズホルダ11は、レンズ2を拘持する環状の第1拘持部11aと、第1拘持部11aの光軸N方向の端部からイメージセンサ4に向けて光軸N方向に延在し、センサホルダ21と嵌合する筒状の第1嵌合代部11bと、を有する。第1拘持部11aには、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2が固定される。なお、レンズホルダ11の内部壁面のなす径は、センサホルダ21の外周の径と同じであるが、センサホルダ21を嵌入することが可能な径であればよい。
【0036】
センサホルダ21は、イメージセンサ4を拘持する第2拘持部21aと、第2拘持部21aの光軸N方向の端部からレンズ2側とは反対側に向けて光軸N方向に延在し、レンズホルダ11と嵌合する筒状の第2嵌合代部21bと、を有する。第2拘持部21aには、例えばレーザ溶接によってイメージセンサ4が固定される。センサホルダ21の外周のなす径は、レンズホルダ11の内周のなす径と同等か、若干小さい。
【0037】
イメージセンサ4は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いて実現される。イメージセンサ4は、受光した観察光を光電変換して電気信号を生成する。
【0038】
光学ユニット1Aにおいて、レンズ2とイメージセンサ4の受光面4aとの間の距離d
2は、予め設定されている光学条件を満たす距離である。
【0039】
また、レンズホルダ11とセンサホルダ21とは、第1嵌合代部11bおよび第2嵌合代部21bが径方向で重なる部分であって、光軸N方向において第1拘持部11aの拘持面P
11および第2拘持部21aの拘持面P
21に挟まれる領域R
Bの外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「拘持面P
11」とは、第1拘持部11aがレンズ2と接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。また、「拘持面P
21」とは、第2拘持部21aがイメージセンサ4と接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、レンズホルダ11およびセンサホルダ21には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部31が形成される。また、光学ユニット1Aにおいて、レンズ2およびイメージセンサ4は、各々が、溶接部31に対して同じ側でレンズホルダ11およびセンサホルダ21に拘持されている。溶接部31は、上述した溶接部30と同様に、レンズホルダ11の厚さ方向の中央部の溶接幅と、センサホルダ21の厚さ方向の中央部の溶接幅とが、ほぼ同じとなっている。
【0040】
光学ユニット1Aは、上述した光学ユニット1と同様にして作製される。具体的には、第1嵌合代部11bの内部に、第2拘持部21a側からセンサホルダ21を挿入して嵌合させる。この際、レンズ2と受光面4aとの間の距離d
2が、光学条件を満たす距離となるように、レンズホルダ11に対してセンサホルダ21を相対移動させてレンズ2とイメージセンサ4との間の光路長を調整する。その後、レンズホルダ11の外表面における上述した位置に対してレーザ光を照射することにより、第1嵌合代部11bの一部、および第2嵌合代部21bの一部を溶融固化させる。
【0041】
以上説明した本発明の実施の形態1の変形例では、実施の形態1と同様にして、第1嵌合代部11bと第2嵌合代部21bとが重なり合い、かつ第1拘持部11aの拘持面P
11および第2拘持部21aの拘持面P
21に挟まれる領域R
Bの外側に、レンズホルダ11における溶接幅と、センサホルダ21の溶接幅とが略同じである溶接部31を形成して、レンズホルダ11とセンサホルダ21とを接合するようにした。これにより、レーザ溶接した際の、レンズホルダ11およびセンサホルダ21の収縮量、ならびに各ホルダが拘持する光デバイスの移動方向が同じになり、その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、レンズホルダ11およびセンサホルダ21を溶接することが可能となる。このように、本実施の形態1の変形例によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0042】
なお、上述した変形例では、第二の光デバイスがイメージセンサであるものとして説明したが、第二の光デバイスが、イメージセンサに加え、圧縮やフィルタリングを行うDSP(Digital Signal Processor)等、イメージセンサとは別に設けられ、該イメージセンサが取得した電気信号を処理する電子部品を含むものであってもよい。
【0043】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図9は、当該光学ユニットの中心軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。上述した実施の形態1では、レーザホルダ20がレンズホルダ10に収容される構成を説明したが、本実施の形態2では、レンズホルダ12がレーザホルダ22に収容される構成である。
【0044】
同図に示す光学ユニット1Bは、第一の光デバイスであるレンズ2と、レンズ2を拘持する略筒状のレンズホルダ12と、上述した半導体レーザ3と、半導体レーザ3を拘持する筒状のレーザホルダ22とを備えている。
図9では、レンズホルダ12の中心軸と、レーザホルダ22の中心軸とは、互いに一致しており、かつ光学ユニット1Bの光軸Nに一致しているものとして説明する。本実施の形態2において、レンズホルダ12は第一の光デバイス拘持体、レーザホルダ22は第二の光デバイス拘持体に相当する。
【0045】
レンズホルダ12は、レンズ2を拘持する環状の第1拘持部12aと、第1拘持部12aの光軸N方向の端部から半導体レーザ3側と反対側に向けて光軸N方向に延在し、レーザホルダ22と嵌合する筒状の第1嵌合代部12bと、を有する。第1拘持部12aには、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2が固定される。
【0046】
レーザホルダ22は、内部壁面のなす径であって、光軸Nと直交する方向の径が、レンズホルダ12の外周のなす径と同等である。レーザホルダ22は、半導体レーザ3を拘持する第2拘持部22aと、第2拘持部22aの光軸N方向の端部からレンズ2に向けて光軸N方向に延在し、レンズホルダ12と嵌合する筒状の第2嵌合代部22bと、を有する。第2拘持部22aには、例えばレーザ溶接によって半導体レーザ3が固定される。なお、第2嵌合代部22bの内部壁面のなす径は、レンズホルダ12の外周の径と同じであるが、第1嵌合代部12bを嵌入することが可能な径であればよい。
【0047】
光学ユニット1Bにおいて、レンズ2と半導体レーザ3の光源3aとの間の距離d
1は、予め設定されている光学条件を満たす距離である。
【0048】
また、レンズホルダ12とレーザホルダ22とは、第1嵌合代部12bおよび第2嵌合代部22bが径方向で重なる部分であって、光軸N方向において第1拘持部12aの拘持面P
12および第2拘持部22aの拘持面P
22に挟まれる領域R
Aの、該光軸N方向の外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「拘持面P
12」とは、第1拘持部12aがレンズ2と接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。また、「拘持面P
22」とは、第2拘持部22aが半導体レーザ3と接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、レンズホルダ12およびレーザホルダ22には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部32が形成される。また、光学ユニット1Bにおいて、レンズ2および半導体レーザ3は、各々が、溶接部32に対して同じ側でレンズホルダ12およびレーザホルダ22に拘持されている。
【0049】
光学ユニット1Bは、上述した光学ユニット1と同様にして作製される。具体的には、第2嵌合代部22bの内部に、第1拘持部12a側からレンズホルダ12を挿入して嵌合させる。この際、レンズ2と光源3aとの間の距離d
1が、光学条件を満たす距離となるように、レーザホルダ22に対してレンズホルダ12を相対移動させてレンズ2と半導体レーザ3との間の光路長を調整する。その後、レーザホルダ22の外表面における上述した位置に対してレーザ光を照射することにより、レンズホルダ12の一部、およびレーザホルダ22の一部を溶融固化させる。本実施の形態2では、溶融したホルダの一部がレンズ2に付着することを防止するために、冷却ガスをレンズホルダ12内に噴射して、レンズホルダ12の内部側の溶融部分を強制的に固化させたり、レンズ2を保護するカバー等の保護部材を用いたりすることが好ましい。
【0050】
以上説明した本発明の実施の形態2では、実施の形態1と同様にして、第1嵌合代部12bと第2嵌合代部22bとが重なり合い、かつ第1拘持部12aの拘持面P
12および第2拘持部22aの拘持面P
22に挟まれる領域R
Aの外側に、レンズホルダ12の溶接幅と、レーザホルダ22の溶接幅とが略同じである溶接部32を形成して、レンズホルダ12とレーザホルダ22とを接合するようにした。これにより、レーザ溶接した際の、レンズホルダ12およびレーザホルダ22の収縮量、ならびに各ホルダが拘持する光デバイスの移動方向が同じになり、その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、レンズホルダ12およびレーザホルダ22を固定することが可能となる。このように、本実施の形態2によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0051】
(実施の形態2の変形例)
図10は、本発明の実施の形態2の変形例に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図10は、当該光学ユニットの中心軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。上述した実施の形態2では、第二の光デバイスが半導体レーザ3であるものとして説明したが、本変形例では、第二の光デバイスがイメージセンサ4である。
【0052】
同図に示す光学ユニット1Cは、第一の光デバイスであるレンズ2と、レンズ2を拘持する略筒状のレンズホルダ13と、上述したイメージセンサ4と、イメージセンサ4を拘持する筒状のセンサホルダ23とを備えている。
図10では、レンズホルダ13の中心軸と、センサホルダ23の中心軸とは、互いに一致しており、かつ光学ユニット1Cの光軸Nに一致しているものとして説明する。本変形例において、レンズホルダ13は第一の光デバイス拘持体、センサホルダ23は第二の光デバイス拘持体に相当する。
【0053】
レンズホルダ13は、レンズ2を拘持する環状の第1拘持部13aと、第1拘持部13aの光軸N方向の端部からイメージセンサ4側と反対側に向けて該光軸N方向に延在し、センサホルダ23と嵌合する筒状の第1嵌合代部13bと、を有する。第1拘持部13aには、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2が固定される。
【0054】
センサホルダ23は、内部壁面のなす径であって、光軸Nと直交する方向の径が、レンズホルダ12の外周のなす径と同等である。センサホルダ23は、イメージセンサ4を拘持する第2拘持部23aと、第2拘持部23aの光軸N方向の端部からレンズ2に向けて光軸N方向に延在し、レンズホルダ13と嵌合する筒状の第2嵌合代部23bと、を有する。第2拘持部23aには、例えばレーザ溶接によってイメージセンサ4が固定される。なお、第2嵌合代部23bの内部壁面のなす径は、レンズホルダ13の外周の径と同じであるが、第1嵌合代部13bを嵌入することが可能な径であればよい。
【0055】
光学ユニット1Cにおいて、レンズ2とイメージセンサ4の受光面4aとの間の距離d
2は、予め設定されている光学条件を満たす距離である。
【0056】
また、レンズホルダ13とセンサホルダ23とは、第1嵌合代部13bおよび第2嵌合代部23bが径方向で重なる部分であって、光軸N方向において第1拘持部13aの拘持面P
13および第2拘持部23aの拘持面P
13に挟まれる領域R
Bの、該光軸N方向の外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「拘持面P
13」とは、第1拘持部13aがレンズ2と接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。また、「拘持面P
23」とは、第2拘持部23aがイメージセンサ4と接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、レンズホルダ13およびセンサホルダ23には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部33が形成される。また、光学ユニット1Cにおいて、レンズ2およびイメージセンサ4は、各々が、溶接部33に対して同じ側でレンズホルダ13およびセンサホルダ23に拘持されている。溶接部33は、上述した溶接部32と同様に、レンズホルダ13の厚さ方向の中央部の溶接幅と、センサホルダ23の厚さ方向の中央部の溶接幅とが、ほぼ同じとなっている。
【0057】
光学ユニット1Cは、上述した光学ユニット1Bと同様にして作製される。具体的には、第2嵌合代部23bの内部に、第1拘持部13a側からレンズホルダ13を挿入する。この際、レンズ2と受光面4aとの間の距離d
2が、光学条件を満たす距離となるように、センサホルダ23に対するレンズホルダ13の位置を調整する。その後、センサホルダ23の外表面における上述した位置に対してレーザ光を照射することにより、レンズホルダ13の一部、およびセンサホルダ23の一部を溶融固化させる。
【0058】
以上説明した本発明の実施の形態2の変形例では、実施の形態2と同様にして、第1嵌合代部13bと第2嵌合代部23bとが重なり合い、かつ第1拘持部13aの拘持面P
13および第2拘持部23aの拘持面P
23に挟まれる領域R
Bの外側に、レンズホルダ13における溶接幅と、センサホルダ23の溶接幅とが略同じである溶接部33を形成して、レンズホルダ13およびセンサホルダ23を接合するようにした。これにより、レーザ溶接した際の、レンズホルダ13およびセンサホルダ23の収縮量および移動方向が同じになり、その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、レンズホルダ13およびセンサホルダ23を溶接することが可能となる。このように、本実施の形態2の変形例によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0059】
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図11は、当該光学ユニットの中心軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。本実施の形態3では、光学ユニットが三つのレンズホルダを備える。
【0060】
同図に示す光学ユニット1Dは、第一の光デバイスである三つのレンズ(レンズ2a、2b、2c)と、各レンズをそれぞれ拘持する略筒状の三つのレンズホルダ(第1レンズホルダ14A、第2レンズホルダ14Bおよび第3レンズホルダ14C)と、上述したイメージセンサ4と、イメージセンサ4を拘持する筒状のセンサホルダ24とを備えている。
図11では、第1レンズホルダ14A、第2レンズホルダ14B、第3レンズホルダ14Cの中心軸と、センサホルダ24の中心軸とは、互いに一致しており、かつ光学ユニット1Dの光軸Nに一致しているものとして説明する。本実施の形態3では、第1レンズホルダ14A、第2レンズホルダ14B、第3レンズホルダ14Cおよびセンサホルダ24において、接合対象のホルダの一方が第一の光デバイス拘持体、他方が第二の光デバイス拘持体となる。
【0061】
第1レンズホルダ14Aは、外周の径および内周の径が軸方向に沿って段階的に変化する形状をなしている。具体的には、第1レンズホルダ14Aは、レンズ2aを拘持する環状の第1拘持部141と、第1拘持部141の光軸N方向の端部からレンズ2bに向けて光軸N方向に延在し、一端でセンサホルダ24と嵌合し、他端で第2レンズホルダ14Bと嵌合する第1嵌合代部142と、を有する。第1拘持部141および第1嵌合代部142は、厚さが略同じである。第1嵌合代部142は、第1拘持部141に連なり、外周のなす径が第1拘持部141の外周のなす径と略同じである筒状の第1本体部142aと、外周のなす径が、第1本体部142aの外周のなす径よりも大きい第2本体部142bとを有する。第1拘持部141には、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2aが固定される。
【0062】
第2レンズホルダ14Bは、軸方向に沿って段付き形状をなしている。具体的には、第2レンズホルダ14Bは、レンズ2bを拘持する環状の第1拘持部143と、第1拘持部143の光軸N方向の端部からレンズ2cに向けて光軸N方向に延在し、一端で第1レンズホルダ14Aと嵌合し、他端で第3レンズホルダ14Cと嵌合する第1嵌合代部144と、を有する。第1拘持部143および第1嵌合代部144は、厚さが略同じである。第1嵌合代部144は、第1拘持部143に連なり、外周のなす径が第1拘持部143の外周のなす径と略同じである筒状の第1本体部144aと、外周のなす径が、第1本体部144aの外周のなす径よりも大きい第2本体部144bとを有する。第1拘持部143には、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2bが固定される。
【0063】
第3レンズホルダ14Cは、レンズ2cを拘持する第1拘持部145と、第1拘持部145の光軸N方向の端部からレンズ2b側とは反対側に向けて光軸N方向に延在し、第2レンズホルダ14Bと嵌合する筒状の第1嵌合代部146と、を有する。第1拘持部145および第1嵌合代部145は、厚さが略同じである。第3レンズホルダ14Cの外周のなす径は、第2本体部144bの内周の径とほぼ同等であり、第2本体部144bの内部に嵌入できる径であればよい。第1拘持部145には、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2cが固定される。
【0064】
センサホルダ24は、軸方向に沿って段付き形状をなしている。具体的には、センサホルダ24は、イメージセンサ4を拘持する環状の第2拘持部24aと、第2拘持部24aの光軸N方向の端部からレンズ2aに向けて光軸N方向に延在し、第1レンズホルダ14Aと嵌合する第2嵌合代部24bと、を有する。第1拘持部24aおよび第1嵌合代部24bは、厚さが略同じである。第2嵌合代部24bは、第2拘持部24aに連なり、開口の径が第2拘持部24aと同じである筒状の第1本体部241と、開口の径が、第1本体部241の開口の径よりも大きい第2本体部242とを有する。第2拘持部24aには、例えばレーザ溶接によってイメージセンサ4が固定される。
【0065】
光学ユニット1Dにおいて、第1レンズホルダ14Aの第1本体部142aが、センサホルダ24の第2本体部242に挿入された状態で固定されている。また、光学ユニット1Dでは、レンズ2aとイメージセンサ4の受光面4aとの間の距離d
31が、予め設定されている光学条件を満たす距離となるように、第1レンズホルダ14Aとセンサホルダ24との相対的な位置が調整されている。第1レンズホルダ14Aとセンサホルダ24とは、第1嵌合代部142および第2嵌合代部24bが径方向で重なる部分であって、光軸N方向において第1拘持部141の拘持面P
14Aおよび第2拘持部24aの拘持面P
24に挟まれる領域R
Bの外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「拘持面P
14A」とは、第1拘持部141がレンズ2aと接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。また、「拘持面P
24」とは、第2拘持部24aがイメージセンサ4と接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、第1レンズホルダ14Aおよびセンサホルダ24には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部34aが形成される。また、レンズ2aおよびイメージセンサ4は、各々が、溶接部34aに対して同じ側で第1レンズホルダ14Aおよびセンサホルダ24に拘持されている。溶接部34aは、上述した溶接部33と同様に、第1レンズホルダ14A(ここでは第1本体部142a)の厚さ方向の中央部の溶接幅と、センサホルダ24(ここでは第2本体部242)の厚さ方向の中央部の溶接幅とが、ほぼ同じとなっている。
【0066】
また、光学ユニット1Dにおいて、第2レンズホルダ14Bの第1本体部144aが、第1レンズホルダ14Aの第2本体部142bに挿入された状態で固定されている。光学ユニット1Dでは、レンズ2aとレンズ2bとの間の距離d
32が、予め設定されている光学条件を満たす距離となるように、第1レンズホルダ14Aと第2レンズホルダ14Bとの相対的な位置が調整されている。また、第1レンズホルダ14Aと第2レンズホルダ14Bとは、第1嵌合代部142および第1嵌合代部144が径方向で重なる部分であって、光軸N方向において第1拘持部141の拘持面P
14Aおよび第1拘持部143の拘持面P
14Bに挟まれる領域R
C1の外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「拘持面P
14B」とは、第1拘持部143がレンズ2bと接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、第1レンズホルダ14Aおよび第2レンズホルダ14Bには、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部34bが形成される。また、レンズ2aおよびレンズ2bは、各々が、溶接部34bに対して同じ側で第1レンズホルダ14Aおよび第2レンズホルダ14Bに拘持されている。溶接部34bは、上述した溶接部34aと同様に、第1レンズホルダ14A(ここでは第2本体部142b)の厚さ方向の中央部の溶接幅と、第2レンズホルダ14B(ここでは第1本体部144a)の厚さ方向の中央部の溶接幅とが、ほぼ同じとなっている。
【0067】
また、光学ユニット1Dにおいて、第3レンズホルダ14Cが、第2レンズホルダ14Bの第2本体部144bに挿入された状態で固定されている。光学ユニット1Dでは、レンズ2bとレンズ2cとの間の距離d
33が、予め設定されている光学条件を満たす距離となるように、第2レンズホルダ14Bと第3レンズホルダ14Cとの相対的な位置が調整されている。また、第2レンズホルダ14Bと第3レンズホルダ14Cとは、第1嵌合代部144および第1嵌合代部146が径方向で重なる部分であって、光軸N方向において第1拘持部143の拘持面P
14Bおよび第1拘持部145の拘持面P
14Cに挟まれる領域R
C2の外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「拘持面P
14C」とは、第1拘持部145がレンズ2cと接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、第2レンズホルダ14Bおよび第3レンズホルダ14Cには、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部34cが形成される。また、レンズ2bおよびレンズ2cは、各々が、溶接部34cに対して同じ側で第2レンズホルダ14Bおよび第3レンズホルダ14Cに拘持されている。溶接部34cは、上述した溶接部34aと同様に、第2レンズホルダ14B(ここでは第2本体部144b)の厚さ方向の中央部の溶接幅と、第3レンズホルダ14C(ここでは第1嵌合代部146)の厚さ方向の中央部の溶接幅とが、ほぼ同じとなっている。
【0068】
次に、上述した光学ユニット1Dを作製する方法について、
図12〜
図16を参照して説明する。
図12〜
図16は、本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
【0069】
まず、センサホルダ24の第2本体部242の内部に、第1拘持部141側から、第1レンズホルダ14Aの第1本体部142aを挿入する(
図12参照)。その後、レンズ2aと受光面4aとの間の距離d
31が、光学条件を満たす距離となるように、センサホルダ24に対する第1レンズホルダ14Aの位置を調整する。
【0070】
その後、レーザヘッド100を配置して、センサホルダ24の第2本体部242の外表面にレーザ光Lを照射することにより、第1レンズホルダ14Aの一部、およびセンサホルダ24の一部を溶融固化させる。この際のレーザ光Lの照射位置は、第1嵌合代部142および第2嵌合代部24bが径方向で重なる部分であって、第1拘持部141の拘持面P
14Aおよび第2拘持部24aの拘持面P
24に挟まれる領域R
Bの外側に位置している。これにより、溶接部34aが形成され、第1レンズホルダ14Aとセンサホルダ24とが接合される(
図13参照)。
【0071】
続いて、第1レンズホルダ14Aの第2本体部142bの内部に、第1拘持部143側から、第2レンズホルダ14Bの第1本体部144aを挿入する(
図14参照)。その後、レンズ2aとレンズ2bとの間の距離d
32が、光学条件を満たす距離となるように、第1レンズホルダ14Aに対する第2レンズホルダ14Bの位置を調整する。
【0072】
その後、レーザヘッド100を配置して、第1レンズホルダ14Aの第2本体部242bの外表面にレーザ光Lを照射することにより、第1レンズホルダ14Aの一部、および第2レンズホルダ14Bの一部を溶融固化させる。この際のレーザ光Lの照射位置は、第1嵌合代部142および第2嵌合代部144が径方向で重なる部分であって、第1拘持部141の拘持面P
14Aおよび第1拘持部143の拘持面P
14Bに挟まれる領域R
C1の外側に位置している。これにより、溶接部34bが形成され、第1レンズホルダ14Aと第2レンズホルダ14Bとが接合される(
図15参照)。
【0073】
続いて、第2レンズホルダ14Bの第2本体部144bの内部に、第1拘持部145側から第3レンズホルダ14Cを挿入する(
図16参照)。その後、レンズ2bとレンズ2cとの間の距離d
33が、光学条件を満たす距離となるように、第2レンズホルダ14Bに対する第3レンズホルダ14Cの位置を調整する。
【0074】
その後、レーザヘッド100を配置して、第2レンズホルダ14Bの第2本体部144bの外表面にレーザ光Lを照射することにより、第2レンズホルダ14Bの一部、および第3レンズホルダ14Cの一部を溶融固化させる。この際のレーザ光Lの照射位置は、第1嵌合代部144および第1嵌合代部146が径方向で重なる部分であって、第1拘持部143の拘持面P
14Bおよび第1拘持部145の拘持面P
14Cに挟まれる領域R
C2の外側に位置している。これにより、
図11に示すように、溶接部34cが形成され、第2レンズホルダ14Bと第3レンズホルダ14Cとが接合される。
【0075】
このようにして、各ホルダが拘持する光デバイスの配置に応じてレーザ溶接を行うことによって、レンズ2aと受光面4aとの間の距離d
31、レンズ2aとレンズ2bとの間の距離d
32、レンズ2bとレンズ2cとの間の距離d
33、さらには、レンズ2cから受光面4aまでの距離d
3(=d
31+d
32+d
33)の変化を抑制しつつ、ホルダ同士を接合することができる。
【0076】
以上説明した本発明の実施の形態3では、実施の形態1と同様にして、互いに重なり合い、かつ光軸N方向で隣り合うホルダの拘持部の拘持面によって挟まれる領域の外側にレーザ光を照射して溶接部を形成することによって、光軸N方向で隣り合うホルダ同士を接合するようにした。これにより、レーザ溶接した際の、接合対象のホルダ同士の収縮量および移動方向が同じになり、その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、第1レンズホルダ14A、第2レンズホルダ14B、第3レンズホルダ14Cおよびセンサホルダ24を溶接することが可能となる。このように、本実施の形態3によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0077】
また、上述した実施の形態3によれば、外周のなす最大径が同じである第1レンズホルダ14A、第2レンズホルダ14Bおよびセンサホルダ24が段付き形状をなして連結しているため、光学ユニットの径を増大させずに、連結するレンズホルダの数を増やすことが可能である。
【0078】
なお、上述した実施の形態3では、光学ユニット1Dが三つのレンズホルダを備えるものとして説明したが、二つのレンズホルダ、または四つ以上のレンズホルダを備える構成であっても適用可能である。
【0079】
(実施の形態4)
図17は、本発明の実施の形態4に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図17は、当該光学ユニットの中心軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。上述した実施の形態3では、連結方向(光軸N方向)で隣り合うホルダ同士をレーザ溶接によって接合するものとして説明したが、本実施の形態4では、センサホルダと、複数のレンズホルダとを一括して接合する。
【0080】
図17に示す光学ユニット1Eは、第一の光デバイスである二つのレンズ(レンズ2a、2b)と、各レンズをそれぞれ拘持する略筒状の二つのレンズホルダ(第1レンズホルダ15A、第2レンズホルダ15B)と、上述したイメージセンサ4と、イメージセンサ4を拘持する筒状のセンサホルダ25とを備えている。
図17では、第1レンズホルダ15A、第2レンズホルダ15Bの中心軸と、センサホルダ25の中心軸とは、互いに一致しており、かる光学ユニット1Eの光軸Nに一致しているものとして説明する。なお、第1レンズホルダ15A、第2レンズホルダ15Bおよびセンサホルダ25において、第1レンズホルダ15Aを第一の光デバイス拘持体とした場合、第2レンズホルダ15Bおよびセンサホルダ25が第二の光デバイス拘持体となる。
【0081】
第1レンズホルダ15Aは、レンズ2aを拘持する環状の第1拘持部151と、第1拘持部151の光軸N方向の端部からイメージセンサ4に向けて光軸N方向に延在し、第2レンズホルダ15Bおよびセンサホルダ25とそれぞれ嵌合する第1嵌合代部152と、を有する。第1拘持部151には、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2aが固定される。
【0082】
第2レンズホルダ15Bは、レンズ2bを拘持する環状の第1拘持部153と、第1拘持部153の光軸N方向の端部からレンズ2aに向けて光軸N方向に延在し、第1レンズホルダ15Aを嵌合し、さらに第1レンズホルダ15Aを介してセンサホルダ25を保持する第1嵌合代部154を有する。第2レンズホルダ15Bの内周のなす径は、第1レンズホルダ15Aの外周の径とほぼ同等であり、第1レンズホルダ15Aを嵌入できる径であればよい。第1拘持部153には、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2bが固定される。
【0083】
センサホルダ25は、イメージセンサ4を拘持する環状の第2拘持部25aと、第2拘持部25aの光軸方向Nの端部からレンズ2a側とは反対側に向けて光軸N方向に延在し、第1レンズホルダ15Aと嵌合する第2嵌合代部25bと、を有する。センサホルダ25の外周のなす径は、第1レンズホルダ15Aの内周の径とほぼ同等であり、第1レンズホルダ15Aの内部に嵌入できる径であればよい。第2拘持部25aには、例えばレーザ溶接によってイメージセンサ4が固定される。
【0084】
光学ユニット1Eにおいて、センサホルダ25は、第2拘持部25a側から第1レンズホルダ15Aの第1嵌合代部152に挿入された状態で固定されている。光学ユニット1Eでは、レンズ2aとイメージセンサ4の受光面4aとの間の距離d
41が、予め設定されている光学条件を満たす距離となるように、第1レンズホルダ15Aとセンサホルダ25との相対的な位置が調整されている。
【0085】
また、光学ユニット1Eにおいて、第1レンズホルダ15Aが、第1拘持部151側から第2レンズホルダ15Bの第1嵌合代部154に挿入された状態で固定されている。光学ユニット1Eでは、レンズ2bとイメージセンサ4の受光面4aとの間の距離d
42が、予め設定されている光学条件を満たす距離となるように、第2レンズホルダ15Bとセンサホルダ25との相対的な位置が調整されている。
【0086】
第1レンズホルダ15A、第2レンズホルダ15Bおよびセンサホルダ25は、光軸N方向と直交する方向に沿ってすべてが重なる領域において、レーザ光による溶融固化によって接合されている。具体的に、第1レンズホルダ15A、第2レンズホルダ15Bおよびセンサホルダ25は、第1嵌合代部152、第1嵌合代部154および第2嵌合代部25bが径方向で重なる部分であって、光軸N方向において第1拘持部151の拘持面P
15Aおよび第2拘持部25aの拘持面P
25に挟まれる領域R
B1の外側の部分、かつ光軸N方向において第1拘持部153の拘持面P
15Bおよび第2拘持部25aの拘持面P
25に挟まれる領域R
B2の外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「拘持面P
15A」とは、第1拘持部151がレンズ2aと接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。また、「拘持面P
15B」とは、第1拘持部153がレンズ2bと接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。また、「拘持面P
25」とは、第2拘持部25aがイメージセンサ4と接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、第1レンズホルダ15A、第2レンズホルダ15Bおよびセンサホルダ25には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部35が形成される。また、レンズ2a、2bおよびイメージセンサ4は、各々が、溶接部35に対して同じ側で第1レンズホルダ15A、第2レンズホルダ15Bおよびセンサホルダ25にそれぞれ拘持されている。溶接部35は、上述した溶接部31と同様に、第1レンズホルダ15Aの厚さ方向の中央部の溶接幅と、第2レンズホルダ15Bの厚さ方向の中央部の溶接幅と、センサホルダ25の厚さ方向の中央部の溶接幅とが、ほぼ同じとなっている。
【0087】
以上説明した本発明の実施の形態4では、第1レンズホルダ15A、第2レンズホルダ15Bおよびセンサホルダ25のすべてが光軸N方向と直交する径方向で重なり、かつ光軸N方向において一端側のデバイスを拘持する拘持部の拘持面と他端側のデバイスを拘持する拘持部の拘持面とに挟まれる領域の外側にレーザ光を照射して、各溶接幅が同じである溶接部35を形成して、ホルダを接合するようにした。これにより、レーザ溶接した際の、接合対象のホルダ同士の収縮量および移動方向が同じになり、その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、第1レンズホルダ15A、第2レンズホルダ15Bおよびセンサホルダ25を溶接することが可能となる。このように、本実施の形態4によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0088】
(実施の形態5)
図18は、本発明の実施の形態5に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図18は、当該光学ユニットの中心軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。本実施の形態5では、複数のレンズホルダと、一つのセンサホルダとを備え、所定のレンズホルダの内部に、その他のレンズホルダと、センサホルダとが収容されている。
【0089】
図18に示す光学ユニット1Fは、各々が第一の光デバイスである四つのレンズ(レンズ2a、2b、2c、2d)と、レンズ2aを拘持する略筒状の第1レンズホルダ16Aと、レンズ2b、2cを拘持する略筒状の第2レンズホルダ16Bと、レンズ2dを拘持する略筒状の第3レンズホルダ16Cと、上述したイメージセンサ4と、イメージセンサ4を拘持する筒状のセンサホルダ26とを備えている。
図18では、第1レンズホルダ16A、第2レンズホルダ16Bおよび第3レンズホルダ16Cの中心軸と、センサホルダ26の中心軸とは、互いに一致しており、かつ光学ユニット1Fの光軸Nにそれぞれ一致しているものとして説明する。なお、第1レンズホルダ16A、第2レンズホルダ16B、第3レンズホルダ16Cおよびセンサホルダ26において、第1レンズホルダ16Aを第一の光デバイス拘持体とした場合、第2レンズホルダ16B、第3レンズホルダ16Cおよびセンサホルダ26が第二の光デバイス拘持体となる。
【0090】
第1レンズホルダ16Aは、レンズ2aを拘持する環状の第1拘持部161と、第1拘持部161の光軸N方向の端部からレンズ2bに向けて光軸N方向に延在し、第2レンズホルダ16B、第3レンズホルダ16Cおよびセンサホルダ26と嵌合する第1嵌合代部162と、を有する。第1拘持部161には、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2aが固定される。
【0091】
第2レンズホルダ16Bは、レンズ2b、2cを拘持する環状の第1拘持部163と、第1拘持部163の光軸N方向の端部からレンズ2dに向けて光軸N方向に延在し、第1レンズホルダ16Aと嵌合する第1嵌合代部164と、を有する。第2レンズホルダ16Bの外周のなす径は、第1レンズホルダ16Aの内周の径とほぼ同等であり、第2レンズホルダ16Bを、第1レンズホルダ16Aの内部に嵌入できる径であればよい。第1拘持部163には、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2b、2cが固定される。
【0092】
第3レンズホルダ16Cは、レンズ2dを拘持する環状の第1拘持部165と、第1拘持部165の光軸N方向の端部からイメージセンサ4に向けて光軸N方向に延在し、第1レンズホルダ16Aと嵌合する第1嵌合代部166と、を有する。第3レンズホルダ16Cの外周のなす径は、第1レンズホルダ16Aの内周の径とほぼ同等であり、第3レンズホルダ16Cを、第1レンズホルダ16Aの内部に嵌入できる径であればよい。第1拘持部165には、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2dが固定される。
【0093】
センサホルダ26は、イメージセンサ4を拘持する環状の第2拘持部26aと、第2拘持部26aの光軸N方向の端部からレンズ2d側とは反対側に向けて光軸N方向に延在し、第1レンズホルダ16Aと嵌合する第2嵌合代部26bと、を有する。センサホルダ26の外周のなす径は、第1レンズホルダ16Aの内周の径とほぼ同等であり、センサホルダ26を、第1レンズホルダ16Aの内部に嵌入できる径であればよい。第2拘持部26aには、例えばレーザ溶接によってイメージセンサ4が固定される。
【0094】
光学ユニット1Fにおいて、第2レンズホルダ16Bが、第1レンズホルダ16Aの内部に挿入された状態で固定されている。光学ユニット1Fでは、レンズ2aとレンズ2bとの間の距離d
51が、予め設定されている光学条件を満たす距離となるように、第1レンズホルダ16Aと第2レンズホルダ16Bとの相対的な位置が調整されている。また、第1レンズホルダ16Aと第2レンズホルダ16Bとは、第1嵌合代部162および第1嵌合代部164が径方向で重なる部分であって、光軸N方向において第1拘持部161の拘持面P
16Aおよび第1拘持部163の拘持面P
16Bに挟まれる領域R
C3の外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「拘持面P
16A」とは、第1拘持部161がレンズ2aと接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。また、「拘持面P
16B」とは、第1拘持部163がレンズ2cと接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。光デバイスが複数の素子を有する場合、領域R
C3は、最も離れている素子間を端とする領域となる。この場合、領域R
C3は、レンズ2aと接触する部分の中央とレンズ2cと接触する部分の中央とが両端となる。このレーザ溶接によって、第1レンズホルダ16Aおよび第2レンズホルダ16Bには、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部36aが形成される。また、レンズ2aおよびレンズ2b、2cは、各々が、溶接部36aに対して同じ側で第1レンズホルダ16Aおよび第2レンズホルダ16Bに拘持されている。溶接部36aは、上述した溶接部31と同様に、第1レンズホルダ16Aの厚さ方向の中央部の溶接幅と、第2レンズホルダ16Bの厚さ方向の中央部の溶接幅とが、ほぼ同じとなっている。
【0095】
また、光学ユニット1Fにおいて、第3レンズホルダ16Cが、第1レンズホルダ16Aの内部に挿入された状態で固定されている。光学ユニット1Fでは、レンズ2aとレンズ2dとの間の距離d
52が、予め設定されている光学条件を満たす距離となるように、第1レンズホルダ16Aと第3レンズホルダ16Cとの相対的な位置が調整されている。また、レンズホルダ16Aとレンズホルダ16Cとは、第1嵌合代部162および第1嵌合代部166が径方向で重なる部分であって、光軸N方向において第1拘持部161の拘持面P
16Aおよび第1拘持部165の拘持面P
16Cに挟まれる領域R
C4の外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「拘持面P
16C」とは、第1拘持部165がレンズ2dと接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、第1レンズホルダ16Aおよび第3レンズホルダ16Cには、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部36bが形成される。また、レンズ2aおよびレンズ2dは、各々が、溶接部36bに対して同じ側で第1レンズホルダ16Aおよび第3レンズホルダ16Cに拘持されている。溶接部36bは、上述した溶接部31と同様に、第1レンズホルダ16Aの厚さ方向の中央部の溶接幅と、第3レンズホルダ16Cの厚さ方向の中央部の溶接幅とが、ほぼ同じとなっている。
【0096】
また、光学ユニット1Fにおいて、センサホルダ26が、第1レンズホルダ16Aに挿入された状態で固定されている。光学ユニット1Fでは、レンズ2aとイメージセンサ4の受光面4aとの間の距離d
53が、予め設定されている光学条件を満たす距離となるように、第1レンズホルダ16Aとセンサホルダ26との相対的な位置が調整されている。また、第1レンズホルダ16Aとセンサホルダ26とは、第1嵌合代部162および第2嵌合代部26bが径方向で重なる部分であって、光軸N方向において第1拘持部161の拘持面P
16Aおよび第2拘持部26aの拘持面P
26に挟まれる領域R
Bの外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「拘持面P
26」とは、第2拘持部26aがイメージセンサ4と接触している部分の光軸N方向の中央を通過し、かつ光軸Nに対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、第1レンズホルダ16Aおよびセンサホルダ26には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部36cが形成される。また、レンズ2aおよびイメージセンサ4は、各々が、溶接部36cに対して同じ側で第1レンズホルダ16Aおよびセンサホルダ26に拘持されている。溶接部36cは、上述した溶接部31と同様に、第1レンズホルダ16Aの厚さ方向の中央部の溶接幅と、センサホルダ26の厚さ方向の中央部の溶接幅とが、ほぼ同じとなっている。
【0097】
次に、上述した光学ユニット1Fを作製する方法について、
図19〜
図23を参照して説明する。
図19〜
図23は、本発明の実施の形態5に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
【0098】
まず、第1レンズホルダ16Aの内部に、第1拘持部163側から第2レンズホルダ16Bを挿入する(
図19参照)。その後、レンズ2aとレンズ2bとの間の距離d
51が、光学条件を満たす距離となるように、第1レンズホルダ16Aに対する第2レンズホルダ16Bの位置を調整する。
【0099】
その後、レーザヘッド100を配置して、第1レンズホルダ16Aの外表面にレーザ光Lを照射することにより、第1レンズホルダ16Aの一部、および第2レンズホルダ16Bの一部を溶融固化させる。この際のレーザ光Lの照射位置は、第1嵌合代部162および第1嵌合代部164が径方向で重なる部分であり、かつ上述した領域R
C3の外側となる位置である。これにより、溶接部36aが形成され、第1レンズホルダ16Aと第2レンズホルダ16Bとが接合される(
図20参照)。
【0100】
続いて、第1レンズホルダ16Aの内部に、第3レンズホルダ16Cを挿入する(
図21参照)。その後、レンズ2aとレンズ2dとの間の距離d
52が、光学条件を満たす距離となるように、第1レンズホルダ16Aに対する第3レンズホルダ16Cの位置を調整する。
【0101】
その後、レーザヘッド100を配置して、第1レンズホルダ16Aの外表面にレーザ光Lを照射することにより、第1レンズホルダ16Aの一部、および第3レンズホルダ16Cの一部を溶融固化させる。この際のレーザ光Lの照射位置は、第1嵌合代部162および第1嵌合代部166が径方向で重なる部分であり、かつ上述した領域R
C4の外側となる位置である。これにより、溶接部36bが形成され、第1レンズホルダ16Aと第3レンズホルダ16Cとが接合される(
図22参照)。
【0102】
続いて、第1レンズホルダ16Aの内部に、センサホルダ26を挿入する(
図23参照)。その後、レンズ2aとイメージセンサ4の受光面4aとの間の距離d
53が、光学条件を満たす距離となるように、第1レンズホルダ16Aに対するセンサホルダ26の位置を調整する。
【0103】
その後、レーザヘッド100を配置して、第1レンズホルダ16Aの外表面にレーザ光Lを照射することにより、第1レンズホルダ16Aの一部、およびセンサホルダ26の一部を溶融固化させる。この際のレーザ光Lの照射位置は、第1嵌合代部162および第2嵌合代部26bが径方向で重なる部分であり、かつ領域R
Bの外側となる位置である。これにより、
図18に示すように、溶接部36cが形成され、レンズホルダ16aとセンサホルダ26とが接合される。
【0104】
このようにして、各ホルダが拘持する光デバイスの配置に応じてレーザ溶接を行うことによって、レンズ2aとレンズ2bとの間の距離d
51、レンズ2aとレンズ2dとの間の距離d
52、レンズ2aと受光面4aとの間の距離d
53の変化を抑制しつつ、ホルダ同士を接合することができる。なお、上述した作製方法では、第2レンズホルダ16Bから第1レンズホルダ16Aに挿入していくものとして説明したが、センサホルダ26から、第3レンズホルダ16C、第2レンズホルダ16Bの順で挿入するようにしてもよい。
【0105】
以上説明した本発明の実施の形態5では、実施の形態1と同様にして、ホルダ同士が光軸N方向と直交する径方向で重なり、かつ光軸N方向において一端側のデバイスを拘持する拘持部の拘持面と他端側のデバイスを拘持する拘持部の拘持面とに挟まれる各領域の外側にレーザ光をそれぞれ照射して、各溶接幅が同じである溶接部36a〜36cを形成して、第1レンズホルダ16A、第2レンズホルダ16B、第3レンズホルダ16Cおよびセンサホルダ26のうちの接合対象同士をそれぞれ接合するようにした。これにより、レーザ溶接した際の、接合対象のホルダ同士の収縮量および移動方向が同じになり、その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、第1レンズホルダ16A、第2レンズホルダ16B、第3レンズホルダ16Cおよびセンサホルダ26を溶接することが可能となる。このように、本実施の形態5によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0106】
また、上述した実施の形態5によれば、第1レンズホルダ16Aの内部に、第2レンズホルダ16B、第3レンズホルダ16Cおよびセンサホルダ26を挿入するようにしたので、例えば、他のホルダの内部に収容されるレンズホルダに配置するレンズの径を収容順に応じて段階的に小さくする必要なく、ホルダを増やすことが可能である。
【0107】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、上述した実施の形態1〜5では、溶接部が、光軸N方向と直交する方向で重なり合う部材のうち、最も外周側のホルダの外周側の表面から最も内周側のホルダの内周側の表面に達するものとして説明したが、溶接部はこの構成に限らない。
図24は、レーザ溶接により形成される溶接部の他の例を説明する模式図である。例えば、
図24に示すように、溶接部30Aが、最も内周側のホルダの内周側の表面に達しないものであってもよい。
【0108】
また、上述した実施の形態1〜5では、レーザ光によるレーザ溶接を行ってホルダ同士を接合するものとして説明したが、接合方法はこれに限らない。例えば、電子ビーム溶接や、抵抗溶接等の公知の溶接技術を用いることも可能である。ただし、接触式の溶接装置を用いる場合は、溶接する際にホルダ間に位置ずれが生じないように、被接触式の溶接を行う場合と比して、一段と強固にホルダを固定することが好ましい。
【0109】
また、上述した実施の形態1〜5では、第二の光デバイス拘持体が、半導体レーザまたはイメージセンサのみを拘持しているものとして説明したが、第二の光デバイス拘持体が、光デバイスであるレンズをさらに拘持するようにしてもよい。この場合、第二の光デバイス拘持体は、第2拘持部が複数の光デバイスを拘持することになる。
【0110】
また、上述した第一および第二の光デバイスは、各々が、レンズや、貼り合せまたは互い独立した複数のレンズからなる群レンズ、光ファイバ、光導波路光アイソレータ、半導体レーザ、発光素子、受光素子、光増幅器、撮像素子、光電変換素子等、光を伝達したり、他のエネルギーに変換したりする素子であって、その素子そのものや、これらの何れかの素子を備えたデバイスから選択される一つである。
【0111】
また、上述した実施の形態1〜5において、各ホルダは、光軸N方向からみた形状が、円でもよいし、楕円でもよいし、多角形でもよい。各ホルダは、光デバイスを拘持可能なスリーブ状をなしていればよい。
【0112】
また、上述した実施の形態1〜5において、接合対象の組をなすホルダは、溶接により接合可能であれば、光軸N方向からみた形状が互いに異なる形状をなすものであってもよいし、光軸Nと直交する方向で重なり合うすべての部分において嵌合する必要はなく、一部が嵌合していればよいし、光デバイス同士における光軸Nと直交する方向の位置決めが可能であれば、重なり合う部分に隙間があってもよい。
【0113】
このように、本発明は、特許請求の範囲に記載した技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な実施の形態を含みうるものである。