(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6934778
(24)【登録日】2021年8月26日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】管の内側輪郭を撮像するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20210906BHJP
【FI】
G01B11/24 K
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-168491(P2017-168491)
(22)【出願日】2017年9月1日
(65)【公開番号】特開2018-49005(P2018-49005A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2020年4月24日
(31)【優先権主張番号】10 2016 216 568.2
(32)【優先日】2016年9月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ヴィッツマン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ヴィーデンマン
【審査官】
仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−025771(JP,A)
【文献】
特開2009−258080(JP,A)
【文献】
特開2003−185418(JP,A)
【文献】
特開昭62−118243(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0128368(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管(5)の内側輪郭を撮像するための方法であって、以下の工程:
− 管(5)を準備する工程、
− 準備した管の第一の管端部に管の長手方向で第一の偏光方向(3)の光を放射する工程、
− 放射した光を第二の管端部の下流で反射させる工程、ここで、反射に基づき管を通って戻る光は、第一の偏光方向(3)に対して直交する第二の偏光方向(9)を有する、
− 第一の管端部の上流でビームスプリッター(4)により、反射された戻り光を、偏光フィルター(8)に向けるように調整する工程、
および
− 戻り光を偏光フィルター(8)でフィルタリングして、第二の偏光方向(9)を有する戻り光のみを透過させる工程
を含む方法。
【請求項2】
管が、透明な材料または不透明な材料からなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記透明な材料または不透明な材料が、ガラスからなる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
管が、0.5m〜3mの長さと、2mm〜100mmまでの間の内径とを有し、かつ管長さ対内径の比が、10から1000までの間にある、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
管が、1m〜2.5mの長さと、5mmから50mmまでの間の内径とを有し、かつ管長さ対内径の比が、20から500までの間にある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
管が、1.4m〜2mの長さと、5mmから50mmまでの間の内径とを有し、かつ管長さ対内径の比が、30から300までの間にある、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
光が、狭帯域光または単色光であり、かつ/または管材料の吸光度または反射率が最大である波長を有し、かつ/または直線偏光もしくは円偏光され、かつ/またはストロボスコピック方式で放射され、かつ/またはコリメートされる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
放射された光が、反射の前後で、第二の管端部の下流の光学素子を通過することで、光は第二の通過後に第二の偏光方向を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
戻り光が、偏光フィルター(8)の通過後に、戻り光を記録するための受光器(10)で記録される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
画像を基にして内側輪郭が公差範囲内にあるかどうかが調べられる、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法により管の内側輪郭を撮像するための装置であって、少なくとも:
− 管を準備するための手段、
− 準備した管の第一の管端部に管の長手方向で第一の偏光方向(3)の光を放射するための手段、
− 放射した光を第二の管端部の下流で反射させるための手段(6,7)、ここで、反射に基づき管を通って戻る光は、第一の偏光方向(3)に対して直交する第二の偏光方向(9)を有する、
− 第一の管端部の上流にビームスプリッター(4)を有し、ビームスプリッター(4)が、戻り光を、当該戻り光を透過させるための手段(8)に向けるように調整されている手段、
− 第二の偏光方向(9)を有する戻り光のみを透過させるための手段(8)
を含む、装置。
【請求項12】
光を放射するための手段が、テレセントリック光源(1)を有する、請求項11記載の装置。
【請求項13】
第一の偏光方向(3)の光を放射するための手段が、白熱灯、ガス放電管、発光ダイオードまたはレーザーの群からの少なくとも1つの発光手段を有し、回転セクター絞り、電子駆動装置またはQスイッチの群からの、強度を変調するための手段、および第一の偏光方向の偏光フィルターを含む、請求項11または12記載の装置。
【請求項14】
光を放射するための手段および戻り光を透過させるための手段(8)の両方が、それぞれ偏光フィルターを有し、ここで、放射するための手段の偏光フィルターは、第一の偏光方向(3)に従って調整されており、戻り光を透過させるための手段(8)の偏光フィルターは、第二の偏光方向(9)に従って調整されており、かつ両方の偏光フィルターが直線偏光フィルターとしてまたは両方の偏光フィルターが円偏光フィルターとして形成されている、請求項11から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
光を反射させるための手段(6,7)が、光の偏光方向を回転させるための手段(6)および光の偏光方向を保持しながら光を反射させるための手段(7)の両方を有し、ここで、偏光方向を回転させるための手段(6)が、第二の管端部と光を反射させるための手段(7)との間に配置されている、請求項11から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記光の偏光方向を回転させるための手段(6)が、1/4波長板である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
反射させるための手段(7)が、リトロリフレクターまたはミラーである、請求項11から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
戻り光を透過させるための手段(8)の下流に光学狭帯域フィルターを有し、その透過範囲が、戻り光のスペクトルに適合されている、請求項11から17までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
透過させるための手段(8)により透過された戻り光を記録するための受光器(10)を有し、ここで、受光器(10)は、テレセントリック受光器である、請求項11から18までのいずれか1項記載の装置。
【請求項20】
撮像された内側輪郭が公差範囲内にあるかどうかを評価するためのユニット(11)を有する、請求項11から19までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の内側輪郭を撮像するための方法および装置に関する。
【0002】
管の重要な品質基準の1つが、その内径公差である。例えば、工業用温度計の毛細管および管については、例えば±0.02mmの範囲の内径公差が維持されなければならない。精密ガラス管の場合、例えば、核磁気共鳴検査用のサンプルキャリアとして使用するために、マイクロメートル範囲のさらに一層狭い公差が求められる。ガラス製医薬品包装容器の分野でも、狭い公差が維持される必要があり、なぜなら、包装された薬剤の投与精度にこれが直接的な影響を及ぼすからである。
【0003】
独国特許出願公開第19908623号明細書(DE 199 08 623 A1)からは、連続的な管引抜き法に基づく精密ガラス管の製造法が知られている。要求される最終寸法および低い公差を達成するために、引き抜かれたガラス管の外径および内径の両方は、引抜き方向に対して半径方向の少なくとも1つの測定点で連続的に測定される。測定値は、精密ガラス管の所定の基準値と比較される。測定値を確かめるために、レーザー測定法が用いられる。
【0004】
独国特許出願公開第102009015627号明細書(DE 10 2009 015 627 A1)には、透明な回転対称体の内径、外径および壁厚を測定するための方法および装置が開示されている。ここで、内側輪郭を測定するために、線光源の光が、物体の回転対称軸に対して横方向に平行に放射され、かつ同様に横方向に受光素子で検出される。
【0005】
これに対して、本発明の基礎をなす課題は、管の内径の測定を可能にする改善された方法を提供することである。さらに、本発明の基礎をなす課題は、相応の装置を提供することである。
【0006】
この課題は、本発明に従って、特許請求項1の特徴を有する方法および特許請求項8の特徴を有する装置によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属特許請求項に示される。
【0007】
管の内側輪郭を撮像するための本発明による方法は、少なくとも以下の工程:
− 管を準備する工程、
− 準備した管の第一の端部に管の長手方向で第一の偏光方向の光を放射する工程、
− 放射した光を第二の管端部の下流で反射させる工程、ここで、反射に基づき管を通って戻る光は、第一の偏光方向に対して直交する第二の偏光方向を有する、および
− 戻り光を偏光フィルターでフィルタリングして、第二の偏光方向を有する戻り光のみを透過させる工程
を含む。
【0008】
内側輪郭という用語は、本発明に従って、管のその前端部での内側輪郭線を意味し、これを基にして内径の寸法許容差を測定することができる。管の長手方向は、本発明に従って、その開放された端部間の連結方向として定義される。中空円筒体の形状の管の場合、長手軸は円筒軸に対応する。
【0009】
本発明による方法の場合、第一の偏光方向の光が、第一の管端部にその長手方向で放射される。ここで、このタイプの偏光およびその方向は、適切な偏光フィルターの使用に起因し得るか、または特にレーザーを使用した場合には、使用される発光手段の固有の特性であり得る。放射されて、その際に管の壁の前端部に入射する光の一部は、そこで部分的に反射され、かつ部分的に透過される。
【0010】
反射された光の成分は、偏光フィルターに入射し、これは、放射された光の偏光方向に対して直交する透過偏光方向を有する。つまり、この偏光フィルターは、管の前端部で反射された光を透過しない。
【0011】
管の前端部で透過された光の成分は、管壁を長手方向で通過し、ここで、吸収プロセスおよび/または散乱プロセスに基づき減衰される。それに対して、管の内側断面に入射する放射された光の成分は、実質的に減衰されずに管を長手方向で通過する。
【0012】
管の第二の端部では、光は管壁および管の内側断面から出射して、その下流で再び反射し戻される。ここで、戻り光の偏光方向は、元の偏光方向に直交する第二の偏光方向を有する。ここで、管壁を通って戻る光の成分は、さらに減衰されるのに対して、管の内側断面を通って戻る光は、実質的に減衰されずに再び管の第一の端部から出射する。そこで光は、前述の前端部で反射された光の場合と同様に、偏光フィルターに入射し、このフィルターにより、光は偏光方向の事前の変化に基づき透過される。
【0013】
つまり、偏光フィルターにより透過された光は、管の内側断面を通過する放射された光の成分に実質的に対応する。したがって、この光成分は、管の内側輪郭を撮像し、かつ受光器(receiver)により記録されることができる。そのとき、記録された内側輪郭によって、管の内側断面が所定の公差範囲内にあるかどうかを調べることが可能である。
【0014】
ここで、特に有利なのは、画像の高いコントラストが達成可能なことである。これは、管の端面に入射する放射された光の成分が、第二の偏光フィルターを通過することができないか、またはそのごくわずかな成分しか通過することができないためである。この理由は、一方では、端面で反射された光の成分の偏光方向が回転されず、したがって偏光フィルターにより透過されず、他方では、端面で透過される放射された光の成分が、管の壁によって往復方向で強く減衰されるからである。
【0015】
さらに、内側輪郭の画像の質が管断面積の質と実質的に無関係であることが特に有利である。特に、例えば破断エッジ、貝殻状断口、鋸引き面粗さ等に基づく、管断面積の不十分な軸方向の振れの状態にかかわらず、内側輪郭の精密な画像を達成可能である。
【0016】
そのうえまた、管は中空光導波路のように機能する。反射に基づく光の方向反転によって、反射後の光は、ほぼ同じ経路に沿って移動して、反対側の照明された管端部に再び戻る。これに基づき、検査されるべき断面積は、シングルパスで光を通したときと比べて非常に均一に照明される。特に、これによって、場合によってはあり得る管の撓みまたは非同軸照明が補償される。
【0017】
更なる特別な利点は、本発明が、透明な材料からなる管および不透明な材料からなる管の両方の内側輪郭を撮像するのに適していることである。これによって、ガラスが、無色、着色されたもの、透明もしくは光散乱性であるか、またはその外側または内側にコーティングを有しているかにかかわらず、ガラスからなる管の内側輪郭を撮像するのにも特に適している。本発明に適している更なる材料は、例えば、プラスチックまたは金属である。
【0018】
本発明による方法は、特に、0.5m〜3m、好ましくは1m〜2.5m、特に好ましくは1.4m〜2mの長さを有する管を測定するのに適している。そのような管の内径は、好ましくは2mmから100mmまでの間、特に好ましくは5mmから50mmまでの間である。ここで、管長さ対内径の比は、10から1000までの間、好ましくは20から500までの間、特に好ましくは30から300までの間であってよい。
【0019】
管の内側輪郭を撮像するための本発明による装置は、少なくとも、管を準備するための手段、準備した管の第一の管端部に管の長手方向で第一の偏光方向の光を放射するための手段、放射した光を第二の管端部の下流で反射させるための手段、ここで、反射に基づき管を通って戻る光は、第一の偏光方向に対して直交する第二の偏光方向を有する、および第二の偏光方向を有する戻り光のみを透過させるための手段を含む。
【0020】
本発明の好ましい実施形態によれば、狭帯域光源、特に単色光源が使用される。このような光源は、好ましくは、発光ダイオード(LED)またはレーザーであってよい。しかしながら、白熱ランプまたはガス放電管のような広帯域光源も、相応の狭帯域フィルターとともに使用することができる。有利には、実質的に平行な光ビームを放つテレセントリック光源が使用される。
【0021】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、特に透明な材料の場合、管材料の吸光度が最大である波長の光が選択される。これは、管壁を通って進む光の成分が特に強く減衰されるという利点を有する。これは、なかでも短い管の場合に有利であり、なぜなら、この場合、より短い光路長を減衰のために利用可能だからである。
【0022】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、特に不透明な材料の場合、放射された光の波長は、有利には、選択された波長で材料の反射率が最大値を有するように選択され、なぜなら、そうすることで、管の端面で透過される光の成分が最小限に抑えられるからである。
【0023】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、放射された光の偏光の種類は直線偏光である。ここで、戻り光の偏光方向は±90°回転され、したがって放射された光の偏光方向に対して直交する。あるいは、偏光の種類は円偏光であってもよい。この場合、例えば、放射された光は左円偏光されて、戻り光は右円偏光されるか、逆もまた同様である。つまり、この場合も、管を通って戻る光の偏光方向は、元の偏光方向に対して直交する。
【0024】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、光の放射は、例えば、搬送装置上で通り過ぎる管の内側輪郭を撮像するためにストロボスコープ方式で(stroboskopisch)行われる。ストロボ光を生成するために、光源は、好ましくは、放射された光の強度を相応して変調することができる、回転セクター絞り(Sektorblende)、電子駆動装置またはQスイッチを有する。チョッパーとも呼ばれる回転セクター絞りは、多方面で特に適しており、かつ上述の任意の発光手段と一緒に用いられることができる。電子駆動装置は、特に発光ダイオードまたはレーザーダイオードの変調に適している。Qスイッチは、通常、レーザーを使用する場合にのみ可能である。
【0025】
例えば、管が測定装置を通過する毎に、例えば1000分の1秒の長さの短い光パルスが、通り過ぎる管の内側輪郭を記録するために放たれる。ここで、光パルスの時間の長さは、コンベアベルトの速度、所望の測定精度、光パルスの強度および場合によっては受光器の感度に応じて選択される。
【0026】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、コリメート光が使用される。これは、長い管の場合に特に有利であり、なぜなら、これによって、受光器に到達する光の強度の低下が光ビームの断面積の拡大により回避されるからである。
【0027】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、放射された光は、管の後端から出射した後に、反射の前と後の両方で光学素子を通過し、その結果、光学素子を2回目に通過した後の光は、元の偏光方向に対して直交する偏光方向を有する。つまり、直線偏光された光の場合、反射光は光学素子を2回通過した後に、その偏光方向に関して90°回転される。円偏光された光の場合、相応して、例えば、左旋の光が右旋の光に変換されるか、逆もまた同様である。好ましくは、このような光学素子として1/4波長板が使用される。ここで、1/4波長板の動作範囲は、有利には、使用される光の周波数帯域に適合されている。
【0028】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、光を反射するために、その偏光方向を保持しながら光を反射するリトロリフレクターが使用される。有利には反射された光を弱く散乱させるだけの、そのようなリトロリフレクターにより、コリメートして放射された光は、反射後に弱く発散することになる。これによって、有利には、例えば、管の撓みに起因するデッドゾーンが実質的に均一に照明される。更なる利点は、リトロリフレクターによって大型の照明開口絞りを実現することができるという可能性にある。
【0029】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、リトロリフレクターの代わりにミラーが用いられる。これは、特に高温での用途に有利であり得る。
【0030】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、管の壁の前端部で反射される光および管を通って戻る光の両方は、管の第一の端部から出射した後に、非偏光ビームスプリッターを通って偏光フィルターの方向に向きが変えられる。ここで、偏光フィルターの動作範囲は、有利には、使用される光の周波数帯域に適合されている。好ましくは、このビームスプリッターは、非偏光ビームスプリッタプレートであり、特に好ましくは非偏光ビームスプリッターキューブである。
【0031】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、非偏光ビームスプリッターおよび偏光フィルターの代わりに偏光ビームスプリッターが使用される。これによって、有利には、装置中の光学素子の総数が減らされる。ここで、この実施形態は、さらにエネルギー効率の点でより有利であり、なぜなら、全体的に生じる光の損失がより少ないからである。
【0032】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、戻り光は、偏光フィルターを通過した後に、戻り光を記録するための受光器を用いて記録される。有利には、この受光器は、テレセントリック受光器、例えば、テレセントリック対物レンズを有するカメラである。
【0033】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、外部光をフィルタリングするための狭帯域フィルターが受光器の上流で使用され、その透過範囲は、有利には、戻り光のスペクトルに適合されている。これによって、受光器で検出された画像の信号対雑音比をさらに改善することができる。
【0034】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、画像を基にして内側輪郭が公差範囲内にあるかどうかが調べられ、ここで、画像は、予め定義された輪郭と比較される。このために、本装置は、撮像された内側輪郭がこの公差範囲内にあるかどうかを評価するために、好ましくは受光器に接続されたユニットを有する。
【0035】
本発明の更なる利点は、照明および受光器を別個に調整する可能性である。さらに、本発明は、高い精度での高速測定を可能にする。
【0036】
さらに、有利な実施形態を基にして、本発明の機能の仕方を、図面を参照して以下により詳細に説明する。
図1は、本発明による装置の実施形態の原理説明図を示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明による装置の実施形態の原理説明図を示す。
【0038】
図1の装置は、テレセントリック光源(1)を有する。テレセントリック光源(1)の下流には、偏光フィルター(2)が、この偏光フィルター(2)を通過するテレセントリック光源(1)の光を直線偏光に変えるために投射平面に対して垂直な偏光方向(3)で配置されている。
【0039】
偏光フィルター(2)の下流には、入射する光の成分を管(5)の方向に透過させる非偏光ビームスプリッター(4)が配置されている。管の下流には、主軸が光の偏光面に対して45°の角度をなす1/4波長板(6)が配置されている。その後ろにリトロリフレクター(7)が続く。
【0040】
リトロリフレクター(7)により反射されてビームスプリッター(4)に達する光の成分は、ビームスプリッター(4)により偏光フィルター(8)に向けられる。偏光フィルター(8)は、偏光フィルター(2)の偏光方向(3)に垂直な透過偏光方向(9)を有する。
【0041】
偏光フィルター(8)の下流には、受光器(10)、例えば、テレセントリック光学アセンブリを有するカメラが配置されている。受光器(10)は、管(5)の内側輪郭の画像を提供し、これにより、評価ユニット(11)を使用して、例えば、要求される公差が維持されているかについて調べられることができる。これは、例えば、クロスベルト上で本発明による測定装置を通り過ぎるカープルであってよい。
【0042】
図1の装置の動作中、まず管(5)が、ビームスプリッター(4)と1/4波長板(6)との間の測定位置にもたらされる。テレセントリック光源(1)は、偏光フィルター(2)により偏光方向(3)に偏光されるコリメート光を放つ。有利には、コリメート光の波長は、管(5)の壁の材料中で光の減衰が特に大きくなるように選択される。管が、例えばクリアガラスからなる場合、例として、赤外域の波長、好ましくは、1.5μmより高い波長が選択される。管材料に応じて、例えば、UV光または可視光の使用も有利であり得る。
【0043】
コリメートされ直線偏光された光の一部は、ビームスプリッター(4)を介して管(5)に達する。管(5)の壁の端面(12)に入射する光の成分は、端面(12)で部分的に反射され、かつ部分的に透過される。管(5)の端面により反射された光の成分は、ビームスプリッター(4)を介して偏光フィルター(8)に達する。偏光フィルター(8)の透過偏光方向(9)は、偏光フィルター(2)の偏光方向(3)に対し垂直であるため、この光の成分は、偏光フィルター(8)によりフィルタリングされる。
【0044】
管の壁の端面(12)で透過された光の成分は、管(5)を通って壁内を長手方向で抜け、ここで、散乱度および吸光度に基づき減衰される。管(5)の反対側の端部に達する透過光の成分は、1/4波長板(6)を通過し、ここで、円偏光される。その後、この光の成分はリトロリフレクター(7)で反射され、再度1/4波長板(6)を通過する。これによって、光は再び直線偏光され、ここで、得られる偏光方向は、元の偏光方向に対して合計90°回転され、したがって透過偏光方向(9)に対応する。
【0045】
この光の成分は、それから管(5)の壁を逆方向で通過し、戻り方向でさらに減衰される。管(5)の往復方向における長い光路長に基づき、この光の成分は非常に強く減衰されることから、この光の成分は、ビームスプリッター(4)を介して偏光フィルター(8)に達することができないか、またはほとんど達することができない。これは、テレセントリック光源(1)の波長が、可能な限り大きな吸光度が生じるように選択されている場合に特に当てはまる。
【0046】
ビームスプリッター(4)により管(5)の内側断面に入射するコリメート光の成分は、実質的に減衰されずに管(5)を通過し、その後に1/4波長板(6)により円偏光される。その後、偏光方向を保持しながらリトロリフレクター(7)で反射が行われる。再帰反射後、光のこの成分は、1/4波長板(6)を再度通過したときに再び直線偏光される。1/4波長板(6)を2回通過することに基づき、光は、その偏光方向に関して合計90°回転されて透過偏光方向(9)になる。
【0047】
光は、それから実質的に減衰されずに管(5)の内側断面を通過して、光を偏光フィルター(8)に向けるビームスプリッター(4)に再び戻る。偏光方向は、透過偏光方向に向けて回転されているため、この光の成分は、偏光フィルター(8)を通過して受光器(10)に達する。そこで管(5)の内側輪郭の高コントラストかつ精密な画像が得られる。この画像は評価ユニット(11)に転送され、これにより、例えば、管(5)の内側断面が許容公差内にあるかどうかが調べられる。
【0048】
リトロリフレクター(7)を使用した場合、管(5)が曲がっていても内側輪郭の鮮明な画像が得られることが特に有利である。再帰反射後の放射されたコリメート光の発散が弱いことに基づき、すなわち、管(5)の撓みに起因するデッドゾーンが実質的に均一に照明される。
【0049】
さらに、偏光フィルター(2)および(8)ならびに非偏光ビームスプリッターの代わりに偏光ビームスプリッターを用いることも可能である。
【0050】
管(5)は、例えば、同じ速度で移動するコンベアベルト上に配置されていてよい。管(5)が、ビームスプリッター(4)と1/4波長板(6)との間の
図1に示す位置に配置されると直ちに、管(5)の内側輪郭を記録するための短い光パルスを放つテレセントリック光源(1)が作動される。コンベアベルト上の次の管がこの測定位置を通過すると直ちに、次の測定のために光パルスが再度放たれる。このプロセスは、それから同じ手法ですべての管に対して繰り返される。あるいは、照明を連続的に行ってもよく、かつ受光器には、管が測定位置を通過するときにのみ開くクロージャーが設けられていてよい。
【符号の説明】
【0051】
1 テレセントリック光源、 2 偏光フィルター、 3 偏光方向、 4 ビームスプリッター、 5 管、 6 1/4波長板、 7 リトロリフレクター、 8 偏光フィルター、 9 透過偏光方向、 10 受光器、 11 評価ユニット、 12 端面