特許第6934779号(P6934779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6934779
(24)【登録日】2021年8月26日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】ミラー装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20210906BHJP
【FI】
   B60R1/06 G
   B60R1/06 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-170447(P2017-170447)
(22)【出願日】2017年9月5日
(65)【公開番号】特開2019-43437(P2019-43437A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105925
【氏名又は名称】サカエ理研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】武田 有司
(72)【発明者】
【氏名】大野 洋司
【審査官】 浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−206567(JP,A)
【文献】 特開2017−149396(JP,A)
【文献】 特開2012−106528(JP,A)
【文献】 特開2005−190716(JP,A)
【文献】 特開2015−024775(JP,A)
【文献】 米国特許第05296973(US,A)
【文献】 特許第6013151(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)に設けられるミラー装置であって、
有底筒状のハウジング(30)と、
前記ハウジングに収容されており、前記車両または前記車両の周辺を含む鏡像を映すことが可能な主ミラー(40)と、
前記ハウジングに設けられており、凸部(52)および前記車両または前記車両の周辺を含む鏡像を映すことが可能な鏡面であり、前記凸部に形成されている補助ミラー(51)を有するブラケット(50)と、
前記補助ミラーが露出するように形成され、前記凸部に係合可能なブラケット孔(61)を有し、前記ブラケットを覆うように前記ハウジングに設けられているブラケットカバー(60)と、
を備えるミラー装置。
【請求項2】
前記補助ミラーは、膜である請求項1に記載のミラー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドアに設けられるドアミラー等のミラー装置が知られている。特許文献1に記載されているように、ミラー装置は、車両の後方を視認可能にする主ミラーおよび車両の周辺を視認可能にする補助ミラーを備えることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6013151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、補助ミラーと補助ミラー支持部とが両面テープにより貼り付けられており、補助ミラーと補助ミラー支持部との組み立てがしにくい。補助ミラーが比較的多数設けられる場合、補助ミラーの数に応じて、両面テープの数が必要になり、補助ミラーと補助ミラー支持部との組み立てがよりしにくい。また、補助ミラーは、加工がしにくく、補助ミラーが比較的多数設けられる場合、ミラー装置のコストが増加する虞がある。
【0005】
本開示の目的は、組み立てしやすいミラー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、車両(1)に設けられるミラー装置である。
ミラー装置は、有底筒状のハウジング(30)、主ミラー(40)、ブラケット(50)およびブラケットカバー(60)を備える。
主ミラーは、ハウジングに収容されており、車両または車両の周辺を含む鏡像を映すことが可能である。
ブラケットは、凸部(52)および補助ミラー(51)を有する。
補助ミラーは、車両または車両の周辺を含む鏡像を映すことが可能な鏡面であり、凸部に形成されている。
ブラケットカバーは、ブラケット孔(61)を有し、ブラケットを覆うようにハウジングに設けられている
ブラケット孔は、補助ミラーが露出するように形成され、凸部に係合可能である。
【0007】
ブラケットと一体となっている補助ミラーをブラケットカバーが覆うように設けられている。ブラケットと補助ミラーとが一体となっているため、両面テープを用いる必要がなく、ブラケットをブラケットカバーで覆う。これにより、ハウジング、ブラケットおよびブラケットカバーが組み立てやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態のミラー装置が用いられる車両の構成図。
図2】一実施形態のミラー装置の斜視図。
図3】一実施形態のミラー装置の斜視図。
図4図1のIVから見た車両の側面図。
図5】一実施形態のミラー装置のハウジングのロアカバー、ブラケットおよびブラケットカバーの斜視図。
図6図1のVIから見た車両の側面図。
図7】一実施形態のミラー装置のブラケットおよびブラケットカバーの断面図。
図8】一実施形態のミラー装置のブラケットおよびブラケットカバーの断面図。
図9】他の実施形態のミラー装置のブラケットおよびブラケットカバーの断面図。
図10】他の実施形態のミラー装置が用いられる車両の構成図。
図11】比較例のミラー装置の補助ミラーおよび補助ミラー支持部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ミラー装置としてのドアミラーの実施形態を図面に基づいて説明する。複数の実施形態の説明において、実質的に同一の構成には、同一の符号を付して説明する。本実施形態という場合、複数の実施形態を包括する。
本実施形態のドアミラーは、車両に用いられる。
【0010】
まず、本実施形態のドアミラー11が設けられる車両1について説明する。車両1の前進方向を「前」とする。車両1の後退方向を「後」とする。また、前進方向から見て上側を「上」とする。前進方向から見て下側を「下」とする。上下方向と車両の高さ方向である車高方向とは、同一方向である。さらに、前進方向から見て右側を「右」とする。前進方向から見て左側を「左」とする。左右方向と車両の幅方向である車幅方向とは、同一方向である。
【0011】
図1に示すように、車両1は、左ドア2および右ドア3を備える。
左ドア2および右ドア3は、車両1の車内を開閉可能である。左ドア2および右ドア3に、ドアミラー11がそれぞれ設けられている。ドアミラー11により、車両1の運転手は、車両1の後方または車両1の周辺を視認できる。
【0012】
(一実施形態)
図2および図3に示すように、ドアミラー11は、ドア取付部20、ハウジング30、主ミラー40、ブラケット50およびブラケットカバー60を備える。図において、左ドア2に設けられているドアミラー11が記載されている。また、図において、主ミラー40の所在を明確にするため、主ミラー40をドット柄で記載している。
【0013】
ドア取付部20は、左ドア2または右ドア3に取り付け可能である。なお、ドア取付部20は、例えば、複数の穴が設けられており、ねじ、嵌合用の爪、ボルトまたはナット等により、左ドア2または右ドア3に取り付けられる。
【0014】
ハウジング30は、有底筒状に形成され、樹脂で形成されている。ハウジング30は、ドア取付部20に対して回転可能に接続されている。
また、ハウジング30は、主ミラー40を収容可能であり、主ミラーカバー31およびロアカバー32を有する。
【0015】
主ミラーカバー31は、ハウジング30の後側の部位であり、車両1の運転席側から視認できる。また、主ミラーカバー31は、主ミラー40を収容している。
さらに、主ミラーカバー31は、主ミラー40が外部に露出するように、開口している。主ミラーカバー31は、、車両1の運転席から運転手が視認できるように、開口している。
ロアカバー32は、ハウジング30の前側の部位であり、ドアミラー11に対して車両1の運転席とは反対側の部位である。ロアカバー32は、主ミラーカバー31と嵌合される。
【0016】
主ミラー40は、基部および主鏡で構成されており、平面鏡または凸面鏡に形成されている。基部は、樹脂、ガラスまたは金属等で形成される。主鏡は、めっきにより、基部の表面に成膜されている。
主ミラー40は、車両1または車両1の周辺を含む鏡像を映すことが可能である。
【0017】
図4に示すように、主ミラー40により、車両1の運転手は、路面を含みつつ、車両1の後方の範囲を視認できる。図において、主ミラー40が映す範囲である主範囲Amを破線で示す斜線のハッチングで記載する。
【0018】
図5に示すように、ブラケット50は、有底筒状に形成され、樹脂で形成されている。ブラケット50は、ハウジング30のロアカバー32に取り付けられる。
また、ブラケット50は、補助ミラー51をブラケット50の外面の全面に有する。図において、補助ミラー51の所在を明確にするため、補助ミラー51をドット柄で記載している。
【0019】
補助ミラー51は、鏡面であって、めっきで成膜される膜であり、補助ミラー51とブラケット50とは一体となっている。なお、補助ミラー51は、真空蒸着、熱蒸着もしくはスパッタリング等の物理蒸着法、または、化学めっきもしくは電気めっき等の化学蒸着法により成膜される膜であってもよい。
補助ミラー51は、車両1または車両1の周辺を含む鏡像を映すことが可能である。
【0020】
図6に示すように、車両1の運転手は、路面を含みつつ、車両1の前輪4を含む範囲、車両1の後輪5を含む範囲または前輪4と後輪5との間の範囲を補助ミラー51により視認できる。図において、補助ミラー51が映す範囲である補助範囲Asを破線で示す斜線のハッチングで記載する。補助範囲Asは、補助ミラー51の用途に応じて任意に設定される。
【0021】
図5に戻って、ブラケットカバー60は、有底筒状に形成され、樹脂で形成されている。ブラケットカバー60は、ブラケット50とともにハウジング30のロアカバー32に取り付けられる。なお、ブラケット50およびブラケットカバー60は、例えば、複数の穴が設けられており、ねじ、嵌合用の爪、ボルトまたはナット等により取り付けられる。
【0022】
また、ブラケットカバー60は、少なくとも1つのブラケット孔61を有する。
ブラケット孔61は、補助ミラー51が外部に露出するように、形成されている。ブラケット孔61を介して、補助ミラー51により車両1の運転手が補助範囲Asを視認できる。
【0023】
従来、特許文献1の構成では、補助ミラーと補助ミラー支持部とが両面テープにより貼り付けられている。
図11に示すように、比較例のミラー装置90では、めっき等の蒸着により成膜される補助ミラー91とブラケットに相当する補助ミラー支持部92とが両面テープ93により貼り付けられている。図において、両面テープ93の所在を明確にするため、両面テープ93を斜線のハッチングで記載し、誇張して記載している。また、図において、補助ミラー91の所在を明確にするため、補助ミラー91をドット柄で記載し、誇張して記載している。
【0024】
両面テープ93を用いて貼り付ける場合、補助ミラー91と補助ミラー支持部92との密着性が向上するように、プライマー塗布等の処理をする必要がある。これにより、補助ミラー91と補助ミラー支持部92とを組み立てる工数がかかり、補助ミラー91と補助ミラー支持部92との組み立てがしにくい。また、補助ミラー91が比較的多数の場合、補助ミラー91の数に応じて、両面テープ93の数が必要になり、補助ミラー91と補助ミラー支持部92との組み立てがよりしにくい。さらに、補助ミラー91が補助ミラー支持部92の外側から嵌め込まれるため、両面テープ93等が必要になり、補助ミラー91と補助ミラー支持部92との組み立てがしにくい。また、補助ミラー91は、加工がしにくく、補助ミラー91が比較的多数の場合、ミラー装置90のコストが増加する虞がある。
そこで、本実施形態のドアミラー11は、組み立てしやすくなる。
【0025】
図7に示すように、ドアミラー11のブラケットカバー60は、ブラケット50と一体となっている補助ミラー51を覆うように、設けられている。ブラケットカバー60がブラケット50を覆いやすいように、ブラケットカバー60とブラケット50との間には、空間64が設けられている。なお、ブラケット50およびブラケットカバー60の断面図において、ブラケット50およびブラケットカバー60を拡大して記載している。また、断面図において、補助ミラー51の所在を明確にするため、補助ミラー51を誇張して記載している。
【0026】
ブラケット50は、凸部52をさらに有する。図において、凸部52が明確になるように、凸部52を誇張記載している。凸部52において外部に露出する端面53に補助ミラー51が成膜されている。
凸部52は、補助ミラー51が外部に露出するように、それぞれのブラケット孔61に向かって延びている。
さらに、凸部52は、ブラケット孔61に係合可能である。
【0027】
図8に示すように、それぞれのブラケット孔61に位置し、ブラケットカバー60の内側における開口部を内側開口部63とする。
対向する内側開口部63同士を結ぶ曲線を内側開口部曲線Ciとする。内側開口部曲線Ciの局所的な曲がり具合を円に近似できる。この近似円の半径を内側曲率半径Riとする。内側曲率半径Riを有する円の中心を内側曲率中心Oiとする。図において、内側曲率半径Riおよび内側曲率中心Oiは、内側開口部曲線Ciの任意の点に対して記載している。
【0028】
それぞれのブラケット孔61に位置し、ブラケットカバー60の外側における開口部を外側開口部65とする。
対向する外側開口部65同士を結ぶ曲線を外側開口部曲線Coとする。外側開口部曲線Coの局所的な曲がり具合を円に近似できる。この近似円の半径を外側曲率半径Roとする。外側曲率半径Roを有する円の中心を外側曲率中心Oとする。図において、外側曲率半径Roおよび外側曲率中心Oは、外側開口部曲線Coの任意の点に対して記載している。補助ミラー51が外部に露出している面を補助ミラー露出面54とする。
【0029】
内側開口部曲線Ciは、内側曲率中心Oiが補助ミラー露出面54とは反対側であり、ブラケットカバー60の外側に位置するように、設定された点の集合体である。外側開口部曲線Coは、外側曲率中心Oが補助ミラー51に対して補助ミラー露出面54とは反対側、かつ、ブラケットカバー60の外側に位置するように、設定された点の集合体である。
【0030】
凸部52の端面53に成膜されている補助ミラー51は、内側開口部曲線Ciよりもブラケットカバー60の外側、かつ、外側開口部曲線Coよりもブラケットカバー60の内側に設けられている。凸部52の端面53に成膜されている補助ミラー51は、ブラケット孔61内に位置する。
【0031】
(効果)
(1)ブラケット50と一体となっている補助ミラー51をブラケットカバー60が覆うように設けられている。ブラケット50と補助ミラー51と一体となっているため、両面テープを用いる必要がなくなり、プライマー塗布等の処理をする必要がない。ブラケットカバー60がブラケット50を覆うように、ブラケットカバー60とブラケット50とを組み立てるだけである。このため、ロアカバー32、ブラケット50およびブラケットカバー60が組み立てやすくなる。
【0032】
(2)補助ミラー51は、凸部52を含むブラケット50の外面の全面に成膜されている。補助ミラー51を成膜するときに、マスク等をする必要がなく、成膜が簡素化されるため、補助ミラー51の成膜が容易になる。
【0033】
(他の実施形態)
(i)熱圧着等によりフィルムがブラケットに圧着されることによって、補助ミラーは、成膜されてもよい。また、ホットスタンプ等による印刷をして、補助ミラーは、成膜されてもよい。
【0034】
(ii)図9に示すように、補助ミラー51は、外側開口部曲線Coよりもブラケットカバー60の外側に設けられてもよい。すなわち、補助ミラー51は、ブラケット孔61から突き出してもよい。
(iii)複数のブラケット孔の数、形状または大きさにそれぞれ対応するように、凸部を形成してもよい。また、補助ミラーを成膜するときに、マスク等を用いて、凸部のみに補助ミラーが成膜されてもよい。
【0035】
(iv)図10に示すように、ミラー装置12は、車両1のフェンダー6付近に設けられてもよい。ミラー装置12が設けられる位置は、限定されない。また、補助ミラー51は、車両1の前方を含む範囲を鏡像として映してもよい。
(v)主鏡は、真空蒸着、熱蒸着もしくはスパッタリング等の物理蒸着法、または、化学めっきもしくは電気めっき等の化学蒸着法により成膜される膜であってもよい。
以上、本開示はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ・・・車両、
30 ・・・ハウジング、
40 ・・・主ミラー、
50 ・・・ブラケット、
51 ・・・補助ミラー、
52 ・・・凸部、
60 ・・・ブラケットカバー、
61 ・・・ブラケット孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11