特許第6934790号(P6934790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6934790
(24)【登録日】2021年8月26日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 9/09 20060101AFI20210906BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20210906BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20210906BHJP
   H04N 5/235 20060101ALI20210906BHJP
   H04N 5/341 20110101ALI20210906BHJP
【FI】
   H04N9/09 A
   H04N5/225 800
   H04N5/232 290
   H04N5/235 500
   H04N5/341
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-183197(P2017-183197)
(22)【出願日】2017年9月25日
(65)【公開番号】特開2019-62256(P2019-62256A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 和彦
【審査官】 大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−130819(JP,A)
【文献】 特開平06−350928(JP,A)
【文献】 特開2012−253674(JP,A)
【文献】 特開2000−341710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−5/257
H04N 5/30−5/378
H04N 9/04−9/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
R、G1、G2、Bに色分解する色分解光学系と、
前記Rを撮像するR撮像素子と、
前記G1を撮像するG1撮像素子と、
前記G2を撮像するG2撮像素子と、
前記Bを撮像するB撮像素子と、
前記R撮像素子、前記B撮像素子、前記G1撮像素子、前記G2撮像素子からの映像信号を処理する映像信号処理回路と、
を備え、
前記R撮像素子は、奇数フレームおよび偶数フレームにおいて、前記Rを出力映像コマ数で撮像し、
前記G1撮像素子は、
前記奇数フレームにおいて、前記G1を出力映像コマ数で撮像し、
前記偶数フレームにおいて、前記R、前記G2、前記Bの撮像コマの(N−1)/2N程位相をずらして、前記G1を出力映像コマ数のN倍のコマ数で撮像し、
前記G2撮像素子は、
前記奇数フレームにおいて、前記R、前記G1、前記Bの撮像コマの(N−1)/2N程位相をずらして、前記G2を出力映像コマ数のN倍のコマ数で撮像し、
前記偶数フレームにおいて、前記G2を出力映像コマ数で撮像し、
前記B撮像素子は、前記奇数フレームおよび前記偶数フレームにおいて、前記Bを出力映像コマ数で撮像し、
前記映像信号処理回路は、
前記奇数フレームにおいて、前記G2撮像素子で撮像したG2撮像信号と前記G1撮像素子で撮像したG1撮像信号を加算して低域G信号を作成し、前記G2撮像信号をN倍した信号と前記G1撮像信号とを加算して第一加算信号を生成し、該第一加算信号を遅延して第一遅延加算信号を生成し、該第一遅延加算信号を遅延して第二遅延加算信号を生成し、前記第一加算信号と前記第一遅延加算信号とを加算して第二加算信号を生成し、該第二加算信号と前記第二遅延加算信号とを加算して第三加算信号を生成し、該第三加算信号をビットシフトした信号を前記第一遅延加算信号で減算して高域差分信号を生成して、前記高域差分信号を、前記R撮像素子で撮像したR撮像信号の低域通過信号と、前記低域G信号と、前記B撮像素子で撮像したB撮像信号の低域通過信号とに加算し、
前記偶数フレームにおいて、前記G1撮像素子で撮像したG1撮像信号と前記G2撮像素子で撮像したG2撮像信号を加算して低域G信号を作成し、前記G1撮像信号をN倍した信号と前記G2撮像信号とを加算して第一加算信号を生成し、該第一加算信号を遅延して第一遅延加算信号を生成し、該第一遅延加算信号を遅延して第二遅延加算信号を生成し、前記第一加算信号と前記第一遅延加算信号とを加算して第二加算信号を生成し、該第二加算信号と前記第二遅延加算信号とを加算して第三加算信号を生成し、該第三加算信号をビットシフトした信号を前記第一遅延加算信号で減算して高域差分信号を生成して、前記高域差分信号を、前記R撮像素子で撮像したR撮像信号の低域通過信号と、前記低域G信号と、前記B撮像素子で撮像したB撮像信号の低域通過信号に加算する撮像装置。
【請求項2】
請求項1の撮像装置において、
前記R撮像素子、前記G1撮像素子、前記G2撮像素子および前記B撮像素子はそれぞれFIT−CCD又はグローバルシャッタCMOS撮像素子のフォトダイオードの蓄積時間と読出し時間が独立に設定できる撮像素子であり、
前記Nは2である撮像装置。
【請求項3】
請求項1の撮像装置において、
前記R撮像素子、前記G1撮像素子、前記G2撮像素子および前記B撮像素子はそれぞれFIT−CCD又はグローバルシャッタCMOS撮像素子のフォトダイオードの蓄積時間と読出し時間が独立に設定できる撮像素子であり、
前記Nは3である撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関し、撮像素子からの映像信号を変換して出力する機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
4K(2160×3840)や8K(4320×7680)のUHDTV(Ultra High Definition TeleVision)のカメラでは、HDR(High Dynamic Range)映像が出力される。
【0003】
特許文献1では、色分解光学系とRG1G2Bの4ケのCMOS撮像素子とを有する撮像装置において、RG1G2Bで個別オフセットシャッタを行い、広いダイナミックレンジを確保している。
【0004】
グローバルシャッタと呼ばれるフォトダイオードから映像信号電荷を一斉に読出すCMOS撮像素子は低消費電力で高速読出し可能である。フォーカルプレーンシャッタまたはローリングシャッタと呼ばれるフォトダイオードから映像信号電荷を順次読出すCMOS撮像素子は低価格で低消費電力で高速読出し可能であるが、被写体が動くと、フォトダイオードから映像信号電荷を順次読出す時間分、被写体の画面位置で読出す時間が異なり、動く被写体が変形する。
【0005】
そこで、高速の撮像フレームレート画像信号をフレーム加算し低速の出力フレームレート画像信号を生成している(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2016/046959号
【特許文献2】特開2008−118698号公報
【特許文献3】特開2013−165439号公報
【特許文献4】特開2013−165313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
色分解光学系と撮像素子を3枚用いるテレビジョンカメラは、ズームレンズの製作を容易にするため、軸上色収差の典型値分、赤の撮像素子と青の撮像素子の軸上位置を緑の撮像素子の軸上位置からオフセットさせて色分解光学系に貼り合せてある。
そのため、3枚用ズームレンズを色分解光学系分のダミーガラス付のアダプタを介して、単板カラー撮像素子と組み合わせると、軸上色収差の典型値分、赤の撮像素子と青の撮像素子の軸上位置を緑の撮像素子の軸上位置が異なり、赤と青の変調度が劣化する。
【0008】
本発明は、3枚用ズームレンズと色分解光学系と4枚以上のモノクロ撮像素子と組み合わせ、フォーカルプレーンシャッタ歪が少なく、ダイナミックレンジが広い撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、撮像装置は、R、G1、G2、Bに色分解する色分解光学系と、前記Rを撮像するR撮像素子と、前記G1を撮像するG1撮像素子と、前記G2を撮像するG2撮像素子と、前記Bを撮像するB撮像素子と、前記R撮像素子、前記B撮像素子、前記G1撮像素子、前記G2撮像素子からの映像信号を処理する映像信号処理回路と、を備える。前記R撮像素子は、奇数フレームおよび偶数フレームにおいて、前記Rを出力映像コマ数で撮像する。前記G1撮像素子は、前記奇数フレームにおいて、前記G1を出力映像コマ数で撮像し、前記偶数フレームにおいて、前記R、前記G2、前記Bの撮像コマの(N−1)/2N程位相をずらして、前記G1を出力映像コマ数のN倍のコマ数で撮像する。前記G2撮像素子は、前記奇数フレームにおいて、前記R、前記G1、前記Bの撮像コマの(N−1)/2N程位相をずらして、前記G2を出力映像コマ数のN倍のコマ数で撮像し、前記偶数フレームにおいて、前記G2を出力映像コマ数で撮像する。前記B撮像素子は、前記奇数フレームおよび前記偶数フレームにおいて、前記Bを出力映像コマ数で撮像する。前記映像信号処理回路は、前記奇数フレームにおいて、前記G2撮像素子で撮像したG2撮像信号と前記G1撮像素子で撮像したG1撮像信号を加算して低域G信号を作成し、前記G2撮像信号をN倍してから前記G1撮像信号と選択して高域差分信号を生成して、前記高域差分信号を、前記R撮像素子で撮像したR撮像信号の低域通過信号と、前記低域G信号と、前記B撮像素子で撮像したB撮像信号の低域通過信号とに加算し、前記偶数フレームにおいて、前記G1撮像素子で撮像したG1撮像信号と前記G2撮像素子で撮像したG2撮像信号を加算して低域G信号を作成し、G1撮像信号をN倍してからG2撮像信号と選択して高域差分信号を生成して、前記高域差分信号を、前記R撮像素子で撮像したR撮像信号の低域通過信号と、前記低域G信号と、前記B撮像素子で撮像したB撮像信号の低域通過信号に加算する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フォーカルプレーンシャッタ歪が少なく、ダイナミックレンジを広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例に係るカメラシステムの全体構成を示すブロック図である。
図2A】実施例に係る撮像装置の動作を示す模式図であり、RG1G2Bの2倍速と等速の蓄積期間を示す図である。
図2B】実施例に係る撮像装置の動作を示す模式図であり、RG1G2Bの2倍速と等速の蓄積の等速読出しを示す図である。
図2C】変形例に係る撮像装置の動作を示す模式図であり、RG1G2Bの3倍速と等速の蓄積期間を示す図である。
図2D】変形例に係る撮像装置の動作を示す模式図であり、RG1G2Bの3倍速と等速の蓄積の等速読出しを示す図である。
図3A】実施例に係る撮像装置の回路を示すブロック図である。
図3B】変形例に係る撮像装置の回路を示すブロック図である。
図4】実施例に係る補間信号処理を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
CCD(Charge-Coupled-Device)撮像素子から出力された信号から雑音を除去するCDS(Correlated Double Sampling)と暗電流補正と利得可変増幅回路(Automatic Gain Control以下AGC)とデジタル映像信号(Vi)に変換するADC(Analog Digital Converter)とを内蔵したAFE(Analog Front End)があり、更にタイミング発生部( Timing Generator:TG)を内蔵したAFEとCCDと転送駆動回路とを1つのパッケージにした撮像素子もある。
【0013】
フォーカルプレーンシャッタCMOS撮像素子同様にフォトダイオードの蓄積時間と読出し時間が関連しているIT(Interline Transfer)−CCDと、グローバルシャッタCMOS撮像素子同様にフォトダイオードの蓄積時間と読出し時間が独立に設定できるFIT(Frame Interline Transfer)−CCDとがある。
【0014】
以下、グローバルシャッタCMOS撮像素子で説明するが、グローバルシャッタCMOS撮像素子をTGとAFEとFIT−CCDに置き換えても同様である。また、フォーカルプレーンシャッタCMOS撮像素子又はTGとAFEとIT−CCDとを有する撮像素子でも詳細なタイミングチャートは異なるが可能である。
【実施例】
【0015】
実施例に係るカメラシステムの構成について図1を用いて説明する。図1は実施例に係るカメラシステムの全体構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、カメラシステム10はレンズ1と撮像装置2とを備える。撮像装置2は撮像素子3Rと撮像素子3G1と撮像素子3G2と撮像素子3Bと映像信号処理回路4と4色分解光学系5とCPU6とを備える。レンズ1は3枚用ズームレンズである。撮像素子3Rは赤(R)の周辺回路を集積した撮像素子であり、CMOS撮像素子、又はCCD撮像素子とタイミング発生部(Timing Generator:TG)とAFEとCCD転送駆動回路とを1つのパッケージにした撮像素子である。
【0017】
撮像素子3G1は第1の緑(G1)の周辺回路を集積した撮像素子であり、CMOS撮像素子、又はCCD撮像素子とTGとAFEとCCD転送駆動回路とを1つのパッケージにした撮像素子である。
【0018】
撮像素子3G2は第2の緑(G2)の周辺回路を集積した撮像素子であり、CMOS撮像素子、又はCCD撮像素子とTGとAFEとCCD転送駆動回路とを1つのパッケージにした撮像素子である。
【0019】
撮像素子3Bは青(B)の周辺回路を集積した撮像素子であり、CMOS撮像素子、又はCCD撮像素子とTGとAFEとCCD転送駆動回路とを1つのパッケージにした撮像素子である。
【0020】
映像信号処理回路4はFPGAとフレームメモリとで構成され、TGとコマ速度変換と補間処理とを含み、RG1G2Bの4板(撮像素子3R、3G1、3G2、B)で撮像の縦横倍の画素数の映像(HDR映像)を出力する。
【0021】
4色分解光学系5は入射光をR、G1、G2、Bに色分解するプリズムである。
【0022】
図3Aは実施例に係る撮像装置の回路を示すブロック図である。
【0023】
CMOS撮像素子3Bは、等速のクロック(CLK)と水平同期信号(HD)と垂直同期信号(VD)とを入力し、等速の映像信号(BVi)を出力する。出力された映像信号(BVi)はB撮像信号ともいう。
【0024】
CMOS撮像素子3G1は、蓄積用の倍速のクロック(×2CLK)又は読出し用の等速のクロック(CLK)と、蓄積用の倍速の水平同期信号(×2HD)又は読出し用の等速の水平同期信号(HD)と、蓄積用の4倍速の垂直同期信号(×4VD)又は位相をずらした倍速の垂直同期信号(Offset×2VD)若しくは読出し用の等速の垂直同期信号(VD)と、を入力し、倍速の映像信号(×2G1Vi)を蓄積し、又は等速の映像信号(G1Vi)を読み出して出力する。出力された映像信号(G1Vi)はG1撮像信号ともいう。
【0025】
CMOS撮像素子3G2は、蓄積用の倍速のクロック(×2CLK)又は読出し用の等速のクロック(CLK)と、蓄積用の倍速の水平同期信号(×2HD)又は読出し用の等速の水平同期信号(HD)と、蓄積用の4倍速の垂直同期信号(×4VD)又は位相をずらした倍速の垂直同期信号(Offset×2VD)若しくは読出し用の等速の垂直同期信号(VD)と、を入力し、倍速の映像信号(×2G2Vi)を蓄積し、又は等速の映像信号(G2Vi)を読み出して出力する。出力された映像信号(G2Vi)はG2撮像信号ともいう。
【0026】
CMOS撮像素子3Rは、等速のクロック(CLK)と水平同期信号(HD)と垂直同期信号(VD)とを入力し、等速の映像信号(RVi)を出力する。出力された映像信号(RVi)はR撮像信号ともいう。
【0027】
映像信号処理回路4は、等速の映像信号(RVi)を入力し映像信号(RVo)を出力し、等速の映像信号(G1Vi)および等速の映像信号(G2Vi)を入力し映像信号(GVo)を出力し、等速の映像信号(BVi)を入力し映像信号(BVo)を出力する。
【0028】
図2A、2Bは実施例に係る撮像装置の動作を示す模式図であり、図2AはRG1G2Bの2倍速と等速の蓄積期間を示す図であり、図2BはRG1G2Bの2倍速と等速の蓄積の読出し期間を示す図である。
【0029】
映像出力垂直周期を60p(1秒間に60コマ)とすると、等速のRの撮像垂直周期は60p、等速のG1の撮像垂直周期は60p、倍速のG1の撮像垂直周期は120p、倍速のG2の撮像垂直周期は120p、等速のBの撮像垂直周期60pである。
【0030】
図2Aに示すように、奇数フレームは、R、G1、Bを出力映像コマ数(蓄積周期=映像出力垂直周期=60p)で撮像しG2を出力映像コマ数の2倍(蓄積周期=2×映像出力垂直周期=120p)で撮像し、出力映像に用いるR、G1、Bの撮像コマ位相がG2の撮像コマの概略中心タイミングになるようにR、G1、Bの撮像コマの1/4程G2の位相をずらす(オフセットする)。偶数フレームでG1を120pの蓄積周期で蓄積したフォトダイオード(PD)の電荷は一度掃き捨ててから、奇数フレームでG1を60pの蓄積周期で蓄積する。同様に、偶数フレームでG2を60pの蓄積周期で蓄積したPDの電荷は一度掃き捨ててから、奇数フレームでG2を120pの蓄積周期で蓄積する。PDからフレームメモリに転送してから掃き捨てまでの時間はオフセット量(G1の撮像コマの1/4程≒240p)としている。
【0031】
図2Aに示すように、偶数フレームは、R、G2、Bを出力映像コマ数で撮像しG1を出力映像コマ数の2倍で撮像し、出力映像に用いるR、G2、Bの撮像コマ位相がG1撮像コマの概略中心タイミングになるようにR、G2、Bの撮像コマの1/4程G1の位相をずらす。偶数フレームでG2を120pの蓄積周期で蓄積したPDの電荷は一度掃き捨ててから、奇数フレームでG2を60pの蓄積周期で蓄積する。同様に、偶数フレームでG1を60pの蓄積周期で蓄積したPDの電荷は一度掃き捨ててから、奇数フレームでG1を120pの蓄積周期で蓄積する。PDからフレームメモリに転送してから掃き捨てまでの時間はオフセット量(G2の撮像コマの1/4程≒240p)としている。
【0032】
図2Bに示すように、奇数フレームは、R、G1、Bを出力映像コマ数(映像出力垂直周期=60p)で通常の感度およびダイナミックレンジで読み出し、G2を出力映像コマ数(映像出力垂直周期=60p)で通常の1/2の感度および2倍のダイナミックレンジで読み出す。
【0033】
図2Bに示すように、偶数フレームは、R、G2、Bを出力映像コマ数(映像出力垂直周期=60p)で通常の感度およびダイナミックレンジで読み出し、G1を出力映像コマ数(映像出力垂直周期=60p)で通常の1/2の感度および2倍のダイナミックレンジで読み出す。
【0034】
実施例では、RG1G2Bの4板でG1、G2を交互に倍速蓄積と等速読出しを行う。
【0035】
次に、実施例の補間処理について図4を用いて説明する。図4は実施例に係る補間処理を示すブロック図である。
【0036】
映像信号処理回路4は映像信号処理部104と撮像素子駆動部190とを備える。映像信号処理部104は、倍率色収差と貼合誤差補正部107、補間処理部108、ガンマ補正輪郭補正含む映像信号処理部114、映像信号出力部180で構成されている。
【0037】
倍率色収差と貼合誤差補正部107は、入力されたG1信号、G2信号、R信号、B信号に対して、レンズで発生する倍率色収差の補正と、撮像素子と色分解光学系5の貼り合せ誤差の補正を行い、補間処理部108に出力する。
【0038】
補間処理部108は、選択部115、LPF(Low Pass Filter)部110、LPF部111、LPF部112、LPF部113、減算部116、加算部118、加算部119、加算部120、加算部213、増幅器(A1)121、増幅器(A2)122で構成されている。
【0039】
補間処理部108は、入力されたG1信号とG2信号をフレームごとに交互に増幅器121、122でN倍して感度を揃えて選択部115で加算してG1+G2信号を生成し、LPF部111の画素遅延部209と画素遅延部211とでG1+G2信号を遅延させ、加算部117と加算部212で遅延していないG1+G2信号と遅延させたG1+G2信号を加算し、ビットシフト部210で感度を揃え、減算部116でビットシフト部210の出力を画素遅延部209の出力で減算してG差分信号を生成する。
【0040】
加算部120は感度1/NでダイナミックレンジN倍のG2撮像信号(または通常の感度で通常のダイナミックレンジのG1撮像信号)と通常の感度で通常のダイナミックレンジのG1撮像信号(または感度1/NでダイナミックレンジN倍のG2撮像信号)を加算する。LPF部110は加算部120で生成したG1撮像信号(またはG2撮像信号)を主に低域G信号を作成してRG1B撮像信号(またはRG2B撮像信号)を主となるがG2(またはG1)により高ダイナミックレンジの低域輝度信号を作成する。
【0041】
加算部213はLPF部110で処理した信号にG差分信号を加算する。加算部118はR信号をLPF部112で処理した信号にG差分信号を加算する。加算部119はG信号をLPF部113で処理した信号にG差分信号を加算する。
【0042】
図3Bは変形例に係る撮像装置の回路を示すブロック図である。
【0043】
CMOS撮像素子3Bは、等速のクロック(CLK)と等速の水平同期信号(HD)と等速の垂直同期信号(VD)とを入力し、等速の映像信号(BVi)を出力する。
【0044】
CMOS撮像素子3G1は、蓄積読出用の3倍速のクロック(×3CLK)又は蓄積読出用の等速のクロック(CLK)と、蓄積読出用の3倍速の水平同期信号(×3HD)又は蓄積読出用の等速の水平同期信号(HD)と、蓄積読出用の3倍速の垂直同期信号(×3VD)又は蓄積読出用の等速の垂直同期信号(VD)とを入力し、3倍速の映像信号(×3G1Vi)を蓄積し、または等速の映像信号(G1Vi)を読み出して出力する。
【0045】
CMOS撮像素子3G2は、蓄積読出用の3倍速のクロック(×3CLK)又は蓄積読出用の等速のクロック(CLK)と、蓄積読出用の3倍速の水平同期信号(×3HD)又は蓄積読出用の等速の水平同期信号(HD)と、蓄積読出用の3倍速の垂直同期信号(×3VD)又は蓄積読出用の等速の垂直同期信号(VD)とを入力し、3倍速の映像信号(×3G2Vi)を蓄積し、等速の映像信号(G2Vi)を読み出して出力する。
【0046】
CMOS撮像素子3Rは、等速のクロック(CLK)と水平同期信号(HD)と垂直同期信号(VD)とを入力し、等速の映像信号(RVi)を出力する。
【0047】
図2C、2Dは変形例の動作を示す模式図であり、図2CはR、G1、G2、Bの3倍速と等速の蓄積期間を示す図であり、図2DはR、G1、G2、Bの3倍速と等速の蓄積の読出し期間を示す図である。
【0048】
映像出力垂直周期を60p(1秒間に60コマ)とすると、等速のRの撮像垂直周期は60p、等速のG1の撮像垂直周期は60p、3倍速のG1の撮像垂直周期は180p、3倍速のG2の撮像垂直周期は180p、等速のBの撮像垂直周期60pである。
【0049】
図2Cに示すように、奇数フレームは、R、G1、Bを出力映像コマ数(蓄積周期=映像出力垂直周期=60p)で撮像しG2を出力映像コマ数の3倍(蓄積周期=3×映像出力垂直周期=180p)で撮像し、出力映像に用いるR、G1、Bの撮像コマ位相がG2の撮像コマの概略中心タイミングになるようにR、G1、B撮像コマの1/3程G2の位相をずらす(オフセットする)。偶数フレームでG1を180pの蓄積周期で蓄積したPDの電荷は一度掃き捨ててから、奇数フレームでG1を60pの蓄積周期で蓄積する。同様に、偶数フレームでG2を60pの蓄積周期で蓄積したPDの電荷は一度掃き捨ててから、奇数フレームでG2を180pの蓄積周期で蓄積する。PDからフレームメモリに転送してから掃き捨てまでの時間はオフセット量(G1の撮像コマの1/3程≒180p)としている。
【0050】
図2Cに示すように、偶数フレームは、R、G2、Bを出力映像コマ数で撮像しG1を出力映像コマ数の3倍で撮像し、出力映像に用いるR、G2、Bの撮像コマ位相がG1の撮像コマの概略中心タイミングになるようにR、G2、Bの撮像コマの1/3程G1の位相をずらす。偶数フレームでG2を180pの蓄積周期で蓄積したPDの電荷は一度掃き捨ててから、奇数フレームでG2を60pの蓄積周期で蓄積する。同様に、偶数フレームでG1を60pの蓄積周期で蓄積したPDの電荷は一度掃き捨ててから、奇数フレームでG1を180pの蓄積周期で蓄積する。PDからフレームメモリに転送してから掃き捨てまでの時間はオフセット量(G2の撮像コマの1/3程≒180p)としている。
【0051】
図2Dに示すように、奇数フレームは、R、G1、Bを出力映像コマ数(映像出力垂直周期=60p)で通常の感度およびダイナミックレンジで読み出し、G2を出力映像コマ数の3倍(読出周期=3×映像出力垂直周期=180p)で通常の1/3の感度および3倍のダイナミックレンジで読み出す。
【0052】
図2Dに示すように、偶数フレームは、R、G2、Bを出力映像コマ数(映像出力垂直周期=60p)で通常の感度およびダイナミックレンジで読み出し、G1を出力映像コマ数の3倍(読出周期=3×映像出力垂直周期=180p)で通常の1/3の感度および3倍のダイナミックレンジで読み出す。
【0053】
変形例では、RG1G2Bの4板でG1、G2を交互に3倍速蓄積と等速読出しを行う。
【0054】
つまり、実施例、変形例(本実施例)に係る撮像装置は、R、G1、G2、Bに色分解する色分解光学系と、Rを撮像するR撮像素子と、G1を撮像するG1撮像素子と、G2を撮像するG2撮像素子と、Bを撮像する撮像素子と、R撮像素子、B撮像素子、G1撮像素子、G2撮像素子からの映像信号を処理しHDR映像を出力する映像信号処理回路と、を備える。
【0055】
R撮像素子は、奇数フレームおよび偶数フレームにおいて、Rを出力映像コマ数(出力映像周期)で撮像する。
【0056】
G1撮像素子は、
奇数フレームにおいて、G1を出力映像コマ数(出力映像周期)で撮像し、
偶数フレームにおいて、出力映像に用いるR、G2、Bの撮像コマ(蓄積周期)位相がG1の撮像コマ(蓄積周期)の概略中心タイミングになるように、R、G2、Bの撮像コマ(蓄積周期)の(N−1)/2N程位相をずらして、G1を出力映像コマ数のN倍のコマ数で撮像(出力映像周期の1/Nの周期で蓄積)する。
【0057】
G2撮像素子は、
奇数フレームにおいて、出力映像に用いるR、G1、Bの撮像コマ(蓄積周期)位相が前記G2の撮像コマ(蓄積周期)の概略中心タイミングになるように、R、G1、Bの撮像コマ(蓄積周期)の(N−1)/2N程位相をずらして、G2を出力映像コマ数のN倍のコマ数で撮像(出力映像周期の1/Nの周期で蓄積)し、
偶数フレームにおいて、G2を出力映像コマ数(出力映像周期)で撮像する。
【0058】
B撮像素子は、奇数フレームおよび偶数フレームにおいて、Bを出力映像コマ数(出力映像周期)で撮像する。
【0059】
映像信号処理回路は、
奇数フレームにおいて、
(a)感度1/NでダイナミックレンジN倍のG2撮像素子で撮像したG2撮像信号と通常の感度で通常のダイナミックレンジのG1撮像素子で撮像したG1撮像信号とを加算してG1撮像信号を主に低域G信号を作成(R撮像信号、G1撮像信号、B撮像信号を主となるがG2により高ダイナミックレンジの低域輝度信号を作成)し、
(b)感度1/NのG2撮像信号をN倍してからG1撮像信号と選択して高域差分信号を生成して、生成した高域差分信号を、R撮像素子で撮像したR撮像信号の低域通過信号と、低域G信号と、B撮像素子で撮像したB撮像信号の低域通過信号と、に加算して感度を揃えたG1撮像信号+G2撮像信号を主に高域輝度信号を作成し、
偶数フレームにおいて、
(a)感度1/NでダイナミックレンジN倍のG1撮像素子で撮像したG1撮像信号と通常の感度で通常のダイナミックレンジのG2撮像素子で撮像したG2撮像信号とを加算してG2撮像信号を主に低域G信号を作成(R撮像信号、G2撮像信号、B撮像信号を主となるがG1により高ダイナミックレンジの低域輝度信号を作成)し、
(b)感度1/NのG1撮像信号をN倍してからG2撮像信号と選択して高域差分信号を生成して、生成した高域差分信号を、R撮像素子で撮像したR撮像信号の低域通過信号と、低域G信号と、B撮像素子で撮像したB撮像信号の低域通過信号に加算して感度を揃えたG1撮像信号+G2撮像信号を主に高域輝度信号を作成する。
【0060】
上記の撮像装置において、
R撮像素子、G1撮像素子、G2撮像素子およびB撮像素子はそれぞれFIT−CCD又はグローバルシャッタCMOS撮像素子のフォトダイオードの蓄積時間と読出し時間が独立に設定できる撮像素子であり、
G1撮像素子は、偶数フレームにおいて、出力映像に用いるR、G2、Bの撮像コマ(蓄積周期)位相がG1の撮像コマ(蓄積周期)の概略中心タイミングになるように、R、G2、Bの撮像コマ(蓄積周期)の1/4程位相をずらして、G1を出力映像コマ数の2倍のコマ数で撮像(出力映像周期の1/2の周期で蓄積)する。
【0061】
G2撮像素子は、奇数フレームにおいて、出力映像に用いるR、G1、Bの撮像コマ(蓄積周期)位相が前記G2の撮像コマ(蓄積周期)の概略中心タイミングになるように、R、G1、Bの撮像コマ(蓄積周期)の1/4程位相をずらして、G2を出力映像コマ数の2倍のコマ数で撮像(出力映像周期の1/2の周期で蓄積)する。
【0062】
又は、上記の撮像装置において、
R撮像素子、G1撮像素子、G2撮像素子およびB撮像素子はそれぞれFIT−CCD又はグローバルシャッタCMOS撮像素子のフォトダイオードの蓄積時間と読出し時間が独立に設定できる撮像素子であり、
G1撮像素子は、偶数フレームにおいて、出力映像に用いるR、G2、Bの撮像コマ(蓄積周期)位相がG1の撮像コマ(蓄積周期)の概略中心タイミングになるように、R、G2、Bの撮像コマ(蓄積周期)の1/3程位相をずらして、G1を出力映像コマ数の3倍のコマ数で撮像(出力映像周期の1/3の周期で蓄積)する。
【0063】
G2撮像素子は、奇数フレームにおいて、出力映像に用いるR、G1、Bの撮像コマ(蓄積周期)位相が前記G2の撮像コマ(蓄積周期)の概略中心タイミングになるように、R、G1、Bの撮像コマ(蓄積周期)の1/3程位相をずらして、G2を出力映像コマ数の3倍のコマ数で撮像(出力映像周期の1/3の周期で蓄積)する。
【0064】
本実施例によれば、高価なダイナミックレンジの広い撮像素子を用いることなく、電子的に合成することによりダイナミックレンジを広げ、UHDTV8Kカメラや4KカメラをHDRハイダイナミックレンジに対応できる。低価格な撮像素子を活用でき、広い運用範囲を確保できる。そして、UHDTV8Kカメラや4Kカメラの映像制作の自由度が増加する。
【0065】
特に、昼間の日光の5600Kの色温度でRの感度が下がる屋外の中継や、メタルハライド照明や発光ダイオード等の高色温度照明でRの感度が下がる中継や監視や検査で有効である。また、同一フレーム内信号処理で残像がなく、スポーツ中継や監視や検査で有効である。
【0066】
その結果、高画質の映像信号を生成する用途の放送用カメラや高い信頼性が要求される原子力発電所や新幹線等の監視用カメラや自動車の車体塗装や織物等の確認の産業用カメラ等に適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1:レンズ
2:撮像装置
3B、3G1、3G2、3R:撮像素子
4:映像信号処理回路
5:4色分解光学系
6:CPU
104:映像信号処理部
108:補間処理部
110、111、112、113:LPF部
115:選択部
116:減算部
118、119、120、213:加算部
121,122:増幅器
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4