特許第6934803号(P6934803)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6934803
(24)【登録日】2021年8月26日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】フェンス
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20210906BHJP
【FI】
   E04H17/14 103A
   E04H17/14 103Z
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-208206(P2017-208206)
(22)【出願日】2017年10月27日
(65)【公開番号】特開2019-78144(P2019-78144A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100210826
【弁理士】
【氏名又は名称】土肥 千里
(72)【発明者】
【氏名】古川 忠司
(72)【発明者】
【氏名】赤井 忠剛
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−256691(JP,A)
【文献】 特開昭63−004162(JP,A)
【文献】 特開2012−246698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 − 17/26
E04F 11/00 − 11/18
E04D 1/00 − 3/40
E04D 13/00 − 15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、笠木と、一のカバー材と、他のカバー材とを備え、支柱は、壁上面に立設し、笠木は、支柱の寸法よりも大きな寸法の支柱挿通孔を有し、支柱を挿通させて壁上面に取り付けてあり、一のカバー材又は他のカバー材の少なくとも何れか一方のカバー材は、笠木に設けた支柱挿通孔の縁部に係止してあり、縁部に沿って他方のカバー材に向けて摺動可能であり、一のカバー材と他のカバー材が、支柱を挟んで支柱挿通孔を塞ぐことを特徴とするフェンス。
【請求項2】
支柱と、連結材と、笠木と、一のカバー材と、他のカバー材とを備え、支柱は、壁上面に立設し、連結材は、支柱の寸法よりも大きな寸法の支柱挿通孔を有し、支柱を挿通させて壁上面に取り付けてあり、笠木は、連結材によって壁上面において連結してあり、一のカバー材又は他のカバー材の少なくとも何れか一方のカバー材は、連結材に設けた支柱挿通孔の縁部に係止してあり、縁部に沿って他方のカバー材に向けて摺動可能であり、一のカバー材と他のカバー材が、支柱を挟んで支柱挿通孔を塞ぐことを特徴とするフェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック塀等に設置するフェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非特許文献1に示すように、ブロック塀等の壁の上面に支柱を立設して設置されるフェンスがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「エクステリア総合カタログ(STX1089A)」三協立山株式会社、2017年2月、p.622
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなフェンスは、雨水等がフェンスを伝って壁へ流れることにより、壁が汚れることが問題であった。本発明は上記実情に鑑み、壁の汚れを防止し、施工性に優れたフェンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうち請求項1の発明は、支柱と、笠木と、一のカバー材と、他のカバー材とを備え、支柱は、壁上面に立設し、笠木は、支柱の寸法よりも大きな寸法の支柱挿通孔を有し、支柱を挿通させて壁上面に取り付けてあり、一のカバー材又は他のカバー材の少なくとも何れか一方のカバー材は、笠木に設けた支柱挿通孔の縁部に係止してあり、縁部に沿って他方のカバー材に向けて摺動可能であり、一のカバー材と他のカバー材が、支柱を挟んで支柱挿通孔を塞ぐことを特徴とする。
【0006】
本発明のうち請求項2の発明は、支柱と、連結材と、笠木と、一のカバー材と、他のカバー材とを備え、支柱は、壁上面に立設し、連結材は、支柱の寸法よりも大きな寸法の支柱挿通孔を有し、支柱を挿通させて壁上面に取り付けてあり、笠木は、連結材によって壁上面において連結してあり、一のカバー材又は他のカバー材の少なくとも何れか一方のカバー材は、連結材に設けた支柱挿通孔の縁部に係止してあり、縁部に沿って他方のカバー材に向けて摺動可能であり、一のカバー材と他のカバー材が、支柱を挟んで支柱挿通孔を塞ぐことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のうち請求項1の発明によれば、笠木は支柱の寸法よりも大きな寸法の支柱挿通孔を有し、支柱を挿通させて壁上面に取り付けてあるので、支柱にパネル支持金具等の部品を取り付けた状態でも施工可能であり、壁が雨水等によって汚れない。一のカバー材又は他のカバー材は摺動可能であるため、支柱の施工誤差に対応できる。また、一のカバー材と他のカバー材は支柱を挟んで支柱挿通孔を塞ぐため、支柱にパネル支持金具等の部品を取り付けた状態や、パネル体を取り付けた後でも施工可能である。
【0008】
本発明のうち請求項2の発明によれば、笠木は連結材によって壁上面において連結してあり、連結材は支柱の寸法よりも大きな寸法の支柱挿通孔を有し、支柱を挿通させて壁上面に取り付けてあるので、支柱にパネル支持金具等の部品を取り付けた状態でも施工可能であり、壁が雨水等によって汚れない。また、笠木は長さ調節以外の加工が不要であるため施工性が良い。一のカバー材又は他のカバー材は摺動可能であるため、支柱の施工誤差に対応できる。一のカバー材と他のカバー材は支柱を挟んで支柱挿通孔を塞ぐため、支柱にパネル支持金具等の部品を取り付けた状態や、パネル体を取り付けた後でも施工可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】フェンスの第一実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はA−A線断面の要部拡大図である。
図2】(a)は第一実施形態の笠木の斜視図、(b)は笠木ベースの斜視図、(c)は笠木ベースと笠木を壁に取り付けた状態の側面図である。
図3】第一実施形態のカバー材を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は斜視図である。
図4】(a)(b)(c)は既設のフェンスに笠木を取り付ける際の施工手順を示す斜視図である。
図5】(a)(b)(c)はフェンスの第一実施形態の施工手順を示す要部拡大図である。
図6】(a)(b)(c)は一のカバー材及び他のカバー材の取り付け手順を示す図1のB−B線断面概略図である。
図7図1のC−C線断面概略図である。
図8】フェンスの第二実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はD−D線断面の要部拡大図である。
図9】第二実施形態の一のカバー材を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図10】第二実施形態の他のカバー材を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図11】第二実施形態の一のカバー材と他のカバー材の笠木への取付けを示す斜視図である。
図12】(a)(b)(c)はフェンスの第二実施形態の施工手順を示す要部拡大図である。
図13】(a)は図8のE−E線断面概略図、(b)は図8のF−F線断面概略図である。
図14】フェンスの第三実施形態を示し、(a)は正面図、(b)はG−G線断面の要部拡大図である。
図15】第三実施形態の連結材を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は二つの連結材を連結させた状態の斜視図である。
図16】(a)(b)(c)はフェンスの第三実施形態の施工手順を示す要部拡大図である。
図17】(a)は図14のH−H線断面概略図、(b)は図14のI−I線断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明に係るフェンスは、ブロック塀等の壁2の上面に設置されるものである。図1に示すように、壁2の上面には左右方向に間隔をおいて複数の支柱1が立設してあり、支柱1はパネル体3を支持している。また、笠木4が支柱挿通孔4hに支柱1を挿通させて壁2の上面を覆うように取り付けてあり、支柱挿通孔4hは一のカバー材5と他のカバー材5が支柱1を挟んで配置されることにより塞いである。
【0011】
支柱1は、図1(b)に示すように、断面矩形の中空形材である。壁2がブロック塀の場合は、上面の設置穴に支柱1が挿入され、モルタル等を充填して固定してある。支柱1の前側の見付面には、図5に示すように、側面視L字状のパネル支持金具6がネジで取り付けてあり、パネル支持金具6に支持されて、パネル体3が支柱1に架設してある。
【0012】
壁2の上面には、笠木ベース7が配置され、笠木ベース7の上に笠木4が設置される。
笠木4は、左右方向に延びる長尺材であって、見込方向の寸法は壁2より大きい。図2(a)(c)に示すように、側面視すると下方に開口を向けた略コ字形状であり、壁2の見付面から離れて垂下する水切り部4aを前後両端部に備える。水切り部4aは、壁2上面より下方に延びており、壁2上面より上方には内側に延出する延出部4bが形成してある。また、笠木4の下面に形成された被係合部4cは、笠木ベース7の上面に形成された係合部7cと係合する。なお第一実施形態の笠木4は、支柱1の寸法よりも大きい寸法の支柱挿通孔4hが設けてあり、支柱1を支柱挿通孔4hに挿通させて壁2上面に取り付けられる。支柱挿通孔4hの大きさについては、支柱1と支柱1に取り付けたパネル支持金具6を挿通可能な大きさであることが望ましい。
【0013】
笠木ベース7は、図4(c)に示すように、壁2の上面に左右の間隔をおいて複数配置され、笠木4を支持する。図2(b)(c)に示すように、笠木ベース7の上面には、笠木4との係合部7cが形成してあり、下面には、見込方向中央部において固定部7aが形成してある。固定部7aは壁2の上面より下方へ延び、下端は錨状に形成されており、壁2上面の取付孔2hに充填されたモルタルに埋まって笠木ベース7を固定する。笠木ベース7の前後両端部には、壁2の見付面近傍から外側へ延出する延出部7bが形成してある。笠木ベース7の延出部7bは笠木4の延出部4bと重ね合わせてネジ止めされる。
【0014】
一のカバー材5及び他のカバー材5は、支柱1を前後から挟んで支柱挿通孔4hを塞ぎ、笠木4内に雨水等が浸入するのを防ぐ。第一実施形態の一のカバー材5と他のカバー材5は同一の形状であって、図1(b)及び図3に示すように、矩形平板の一辺を矩形に切り欠いて支柱収容部5aが設けてあり、一のカバー材5と他のカバー材5を連結した際に形成される支柱収容部5aの寸法は、支柱1の寸法と略同じである。支柱収容部5aを構成する三辺のうち対向する左右二辺には折り取り自在部5b,5bが設けてある。折り取り自在部5bは、図3(c)に示すように、支柱収容部5aの縁部から内側へ向かって延出しており、その基部は肉薄に形成されている。支柱収容部5aの左右外側にはそれぞれカバー材5の下面から下方へ延びる脚部5eが設けてある。図6(c)に示すように、支柱1を挟み込んで一のカバー材5と他のカバー材5を連結したとき、一のカバー材5と他のカバー材5の脚部5e,5eは支柱1の左右側面に位置し、その見込寸法は支柱1の見込寸法と略同じである。一のカバー材5と他のカバー材5の脚部5eの見込寸法は、支柱挿通孔4hの見込寸法より小さい。脚部5eの側部には係止部5fが設けてある。係止部5fは外側に向けて突出する爪状であり、図7に示すように、係止部5fが支柱挿通孔4hの縁部に掛かることによって、一のカバー材5及び他のカバー材5が笠木4に係止される。なお、一のカバー材5及び他のカバー材5を笠木4へ係止した状態で、係止部5fは支柱挿通孔4hの端部に沿って摺動可能であり、一のカバー材5及び他のカバー材5を支柱挿通孔4h内に嵌め込んで見込方向に摺動させることができる。左右一方の脚部5eには被係合部5dが設けてあり、他方の脚部5eには鉤状の係合部5cが形成してある。係合部5c及び被係合部5dは支柱収容部5aの開口方向と同じ方向に形成してあり、一のカバー材5と他のカバー材5が支柱収容部5aを対向させ支柱1を前後から挟むように連結されるとき、互いに対向する係合部5cと被係合部5dがそれぞれ係合する。一のカバー材5及び他のカバー材5は、柱1が支柱挿通孔4hの見込方向のどの位置にあっても支柱収容部5aに収まるように摺動可能であり、どの位置に摺動しても支柱挿通孔4hを覆うことができるほどの大きさである。一のカバー材5と他のカバー材5によって支柱1を挟み込んだときの支柱1と、一のカバー材5又は他のカバー材5と、支柱挿通孔4hとの寸法関係を、図1(b)に示すように、
a:一のカバー材又は他のカバー材の見込方向端部から支柱外周面までの寸法、
b:支柱挿通孔の見込方向寸法、
c:支柱の見込方向寸法、
とする。脚部5eの見込寸法が支柱1と同じであるとき、一のカバー材5又は他のカバー材5の支柱挿通孔4h内における摺動範囲はb−cとして表され、a>b−cの条件式を満足するため、一のカバー材5及び他のカバー材5は笠木4上で見込方向に摺動可能である。
【0015】
本発明を既設のフェンスに適用する場合、支柱1を立設させたまま施工することが可能である。既設のフェンスに適用する際の施工手順を図4及び図5に基づいて説明する。
まず、図4(a)に示す既設のフェンスのパネル体3を支柱1から取り外す。図4(b)において、支柱1は壁2の上面に立設し、支柱1の前面側にはパネル支持金具6が取り付けられたままの状態である。次いで、図4(c)に示すように、壁2の上面に笠木ベース7を複数設置する。支柱挿通孔4hを設けた笠木4には、端部を覆う端部キャップ8や、長手方向に隣接する笠木4,4の端部を連結する連結材10、フェンスがコーナー部を有する場合はコーナー連結材を取り付けておく。また、一のカバー材5と他のカバー材5は、支柱1の寸法に支柱収容部5aの寸法を合わせるため、必要に応じて折り取り自在部5b,5bを切り取っておく。次に、図5(a)に示すように、支柱挿通孔4hに支柱1とパネル支持金具6を挿通させ、笠木4を壁2上面の笠木ベース7上へ仮置きする。そして、図5(c)に示すように、一のカバー材5と他のカバー材5を、支柱1の前後から挟み込むように配置して笠木4の支柱挿通孔4hを塞ぐ。図5(b)から図5(c)の過程を図6に基づいて詳述すると、まず、一のカバー材5と他のカバー材5を、支柱1の前後において支柱収容部5aを対向させて配し、図6(b)のように脚部5eを支柱挿通孔4h内に嵌めると、係止部5fが支柱挿通孔4hの縁部に掛かることにより笠木4へ係止される。脚部5eの見込寸法は、支柱挿通孔4hの見込寸法より小さいため、係止部5fを支柱挿通孔4hに係合した状態で一のカバー材5又は他のカバー材5を見込み方向へ摺動することができる。そして、一のカバー材5と他のカバー材5を支柱1が支柱収容部5a内に収まるように見込方向へ摺動させ、互いに対向する係合部5cと被係合部5dを係合させて繋ぎ合わせるとともに支柱挿通孔4hを塞ぐと、図5(c)及び図6(c)の状態となる。その後、笠木4を笠木ベース7と係合させてネジ止めした後、支柱1にパネル体3を取り付けることによりフェンスが完成する。
なお、本発明のフェンスを新設する際は、壁2の上面に支柱1を立設させて図4(b)に示す状態とし、その後は既設のフェンスに適用させる場合と同様の手順で施工可能である。
【0016】
このように構成したフェンスの第一実施形態によれば、笠木4は支柱1の寸法よりも大きな寸法の支柱挿通孔4hを有し、支柱1を挿通させて壁2上面に取り付けてあるので、支柱1にパネル支持金具6等の部品を取り付けた状態でも施工可能であり、壁2が雨水等によって汚れない。支柱挿通孔4hについて、支柱1の寸法よりも大きな寸法とは、例えば、支柱1がパネル支持金具6を備える場合は少なくとも支柱1及びパネル支持金具6を挿通可能な大きさである。
一のカバー材5又は他のカバー材5は見込方向に摺動可能であるため、支柱1の施工誤差に対応できる。詳しくは、a:一のカバー材又は他のカバー材の見込方向端部から支柱外周面までの寸法、b:支柱挿通孔の見込方向寸法、c:支柱の見込方向寸法、としたときに、a>b−cの条件式を満足するので、一のカバー材5又は他のカバー材5は、見込方向に摺動可能であり支柱1の施工誤差に対応できる。
また、一のカバー材5と他のカバー材5は支柱1を前後から挟んで支柱挿通孔4hを塞ぐため、支柱1にパネル支持金具6等の部品や、パネル体3を取り付けた状態でも施工可能である。さらに、一のカバー材5と他のカバー材5は、支柱挿通孔4hの内周に位置する支柱収容部5aの縁に折り取り自在部5bを形成してあるため、必要に応じて折り取り自在部5bを切り取って支柱収容部5aを拡張することで異なる寸法の支柱1に適用することができる。
【0017】
次に、図8乃至図12に基づき、本発明のフェンスの第二実施形態について説明する。第一実施形態と異なるのは、支柱挿通孔41hと一のカバー材51及び他のカバー材52の態様である。第二実施形態では、二つの笠木41,42が支柱1を左右から挟むように配置され、支柱挿通孔41hは支柱1の左右いずれか一方側に位置する笠木41の一端部を矩形に切り欠いて設けてある。支柱挿通孔41hの寸法は支柱1の寸法よりも大きく、支柱1と支柱1に取り付けたパネル支持金具6を挿通可能な大きさであることが望ましい。また第二実施形態において、一のカバー材51及び他のカバー材52は、支柱1を左右から挟み込んで支柱挿通孔41hを塞ぐものであり、一のカバー材51と他のカバー材52の形状は異なる。
一のカバー材51は、支柱挿通孔41hを設けた笠木41に取り付けられるものであり、図9に示すように、矩形平板の一辺を矩形に切り欠いて支柱収容部51aとし、平面視略コ字形状に形成してある。支柱収容部51aの寸法は、支柱1の寸法と略同じであって、支柱収容部51aを構成する三辺のうち一辺には、折り取り自在部51bが設けてある。折り取り自在部51bは、支柱収容部51aの縁部から内側へ向かって延出しており、その基部は肉薄に形成されている。また、一のカバー材51の底面には正面視L字形状の係止部51cが設けてある。係止部51cは支柱収容部51aに沿って、見込方向に設けてあり、図13(b)に示すように、係止部51cが支柱挿通孔41hの縁部に掛かることによって、一のカバー材51が係止される。係止部51cの見込寸法は、支柱収容部51a(支柱1)の見込寸法と略同じであり、支柱挿通孔41hの見込寸法より小さい。
他のカバー材52は、図8(b)に示すように、笠木41,42の連結材としての役割を有するものである。他のカバー材52は、図10に示すように、側面視すると下向きに開口する略コ字形状の外周部52aを備え、長手方向に隣接する二つの笠木41,42の端部を連結する。
【0018】
フェンスの第二実施形態も、第一実施形態と同様に新設及び既設のフェンスに対して適用することができる。なお、施工手順は図4(b)の状態まで第一実施形態と同様であるため、図4(b)の状態から先の施工手順を図11及び図12に基づいて説明する。
図11に示すように、一方の笠木41の支柱挿通孔41hに一のカバー材51を取り付けておく。一方の笠木41に取り付けられた一のカバー材51は、支柱収容部51aの開口を外側に向けており、係止部51cの見込寸法が支柱挿通孔41hの見込寸法より小さいため、係止部51cを支柱挿通孔41hに係合した状態で見込方向に摺動可能である。また、他方の笠木42の端部には、他のカバー材52を取り付けておく。
図12(a)に示すように、壁2の上面に笠木ベース7を取り付ける。次に、他のカバー材52を取り付けた他方の笠木42を、図12(b)に示すように、他のカバー材52の側面に支柱1を当接させて、笠木ベース7上へ仮置きする。そして、支柱1が支柱収容部51a内に収まるように一のカバー材51を摺動させて一方の笠木41を配置することにより、二つの笠木41,42、及び、一のカバー材51と他のカバー材52が支柱1を左右から挟み込み、支柱挿通孔41hを塞ぐ。その後、笠木41,42を笠木ベース7と係合させてネジ止めした後、支柱1にパネル体3を取り付けることによりフェンスが完成する。
【0019】
このように構成したフェンスの第二実施形態は、第一実施形態と同様の効果を奏する他、二つの笠木41,42が支柱1を左右から挟むように配置され、他のカバー材52は二つの笠木41,42の連結材としての役割も有するため、パネル体3を支柱1に固定した状態でも笠木41,42を壁2に施工可能であり、既設のフェンスに施工することが容易である。
【0020】
次に、図14乃至図17に基づき、本発明のフェンスの第三実施形態について説明する。他の実施形態と異なるのは、笠木43は長さ調節以外の加工が不要である点と、二つの笠木43,43が支柱挿通孔9hを有する二つの連結材9,9によって連結される点である。なお、一のカバー材5及び他のカバー材5には、第一実施形態と同一形状のカバー材5が用いられる。二つの連結材9,9は、同一の形状のものが支柱1を前後から挟み込むように連結し、左右の笠木43,43の端部を連結するものである。連結材9は、図15に示すように、被覆部9aと笠木支持部9b,9cから構成される。被覆部9aは、矩形の前後一辺を切り欠いて支柱挿通孔9hを形成してあり、平面視すると支柱挿通孔9hが見込方向に開口する略コ字形状である。また被覆部9aの上面及び見込面は、笠木43と略面一に形成されている。被覆部9aの左右両側には、それぞれ左右方向に延びる二つの笠木支持部9b,9cが形成してあり、壁2上面において笠木支持部9b,9cの上面は笠木ベース7の上面と略同じ高さである。二つの笠木支持部9b,9cのうち、端部側に設けた笠木支持部9bには、笠木43をネジ止めするための固定部9fが設けてある。固定部9fは前後外側に向かって延出し、笠木ベース7の延出部7bと略同じ高さに形成してある。また、中央側に設けた笠木支持部9cは、左右一方側の笠木支持部9cに嵌合溝9dが形成してあり、他方側の笠木支持部9cに被嵌合部9eが形成してある。嵌合溝9dと被嵌合部9eは、支柱挿通孔9hの開口方向と同じ方向に設けてあり、二つの連結材9,9が支柱挿通孔9hを対向させ支柱1を前後から挟み込むように連結されるとき、互いに対向する嵌合溝9dと被嵌合部9eがそれぞれ係合する。二つの連結材9,9が連結して形成する支柱挿通孔9hは、支柱1の寸法よりも大きい寸法であり、望ましくは支柱1と支柱1に取り付けたパネル支持金具6を挿通可能な大きさである。
【0021】
フェンスの第三実施形態も、他の実施形態と同様に新設及び既設のフェンスに対して適用することができる。なお、施工手順は図12(a)の状態まで第二実施形態と同様であるため、図12(a)の状態から先の施工手順を図16に基づいて説明する。
まず、図16(a)に示すように、二つの連結材9,9を支柱1の前後から挟み込んで連結させる。次に、図16(b)及び図17(a)(b)に示すように、一のカバー材5と他のカバー材5を、支柱1の前後から挟み込むように配置する。一のカバー材5と他のカバー材5は、脚部5eを連結材9,9の支柱挿通孔9h内に嵌め込むと、係止部5fが支柱挿通孔9hの縁部に掛かることにより連結材9,9へ係止される。次いで、支柱1が支柱収容部5a内に収まるように見込方向へ摺動させ、対向する係合部5cと被係合部5dを係合させて繋ぎ合わせるとともに支柱挿通孔9hを塞ぐ。そして、笠木43を連結材9,9の左右両側に配置することで図16(c)に示す状態となり、その後、笠木43を笠木ベース7と係合させてネジ止めした後、支柱1にパネル体3を取り付けることによりフェンスが完成する。
【0022】
このように構成したフェンスの第三実施形態は、笠木43は連結材9によって壁2上面において連結してあり、連結材9は支柱1の寸法よりも大きな寸法の支柱挿通孔9hを有し、支柱1を挿通させて壁2上面に取り付けてあるので、支柱1にパネル支持金具6等の部品を取り付けた状態でも施工可能であり、壁2が雨水等によって汚れない。なお、連結材9は一つの部材であってもよいが、第三実施形態のように二つの連結材9,9を連結させて用いることによって、パネル体3を支柱1に固定した状態でも施工可能である。
また、笠木43は長さ調節以外の加工が不要であるため施工性が良い。一のカバー材5又は他のカバー材5は摺動可能であるため、支柱1の施工誤差に対応できる。一のカバー材5と他のカバー材5は支柱1の前後を挟んで連結材9の支柱挿通孔9hを塞ぐため、支柱1にパネル支持金具6等の部品を取り付けた状態や、パネル体3を支柱1に取り付けた後でも施工可能である。
【0023】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えばカバー材は支柱挿通孔を塞ぐものであればよく、連結材は笠木を繋ぐものであればよく、いずれも上記の実施形態とは異なる形状や構造を有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 支柱
2 壁
3 パネル体
4,43 笠木
41 一の笠木
42 他の笠木
4h,9h,41h 支柱挿通孔
5,51 一のカバー材
5,52 他のカバー材
6 パネル支持金具
7 笠木ベース
9,10 連結材
図1
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