【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を有する光シート顕微鏡により、また請求項17の特徴を有する方法により、解決される。
【0008】
したがって、本発明は、カメラとこのカメラから光シートまでの検出光路を定める検出光学系とにより、光シートによって照明される複数の対象面を同時にイメージングする手段を有する、光シート顕微鏡を提供する。ここで、対象面は、検出光学系の焦点面の周囲に配置されている。
【0009】
言い換えれば、本発明は、光シート技術を利用して、検出レンズとカメラとの間に、対象物の複数の平面から成る対象物データを同時に形成する光学手段を配置する。この対象物データから、その後、検出光学系の焦点面を設けるために、後処理ユニットにおいて、複数の対象面のシャープな像を取得可能である。
【0010】
よって、本発明では、一方では、光効率を同等に保持したまま深度情報を著しく増大し、または深度情報を同等に保持したまま光効率を著しく増大することができる。他方では、複数の平面を同時にイメージングできる。このことは、多数のダイナミックプロセスにとって、特に種々の平面での事象を相互に相関させるべき場合に有利でありまたは完全に必須である。つまり、本発明の光シート顕微鏡によれば、大きなボリュームを同時に高速にイメージングでき、したがって、生体細胞でのオルガネラのトラッキング(追跡)およびきわめて迅速なプロセスの観察などのタスク設定に特に適する。この場合、例えば対象物および光シートの運動による隣り合う領域の連続走査、ひいては検出対物レンズおよび/または内部フォーカシング系の同期は不可能であるかまたは望ましくない。
【0011】
光シート顕微鏡における、対象面を形成するための空間フィルタを用いた相互に並列な複数の対象面の照明は、P.P.MondalらおよびS.B.Purnapartaらに開示されている。
【0012】
数百マイクロメートルの大きさの生体の観察域では、光シート技術は従来専ら広域照明と組み合わされて使用されており、このことは例えばPrevedelらおよびLevoyらおよびBroxtonらに説明されている。広域照明のために、対象物内の蛍光が数十の被写界深度を検出軸に沿って延在させ、厚い試料の像はきわめて小さいコントラストしか有さない。
【0013】
複数の平面を同時にイメージングする代替的な手法は、例えば米国特許出願公開第20130176622号明細書(US20130176622A1)に記載されたMFM(マルチフォーカスマイクロスコピー)である。この手法では、9個から25個の平面が並列的にセンサに結像される。しかし、このために必要な光学系は、ライトフィールド顕微鏡検査に比べて著しく複雑である。なお、MFMは透過照明またはエピフルオレセンス励起をベースとしている。国際公開第2014/147261号(WO2014/147261)には、光シート照明と組み合わされたMFM法が説明されている。
【0014】
米国特許出願公開第2015/0177506号明細書(US2015/0177506A1)には、光シート技術に適用されるプロセスが説明されている。当該プロセスは、試料照明に一方側からのビーム束を用いている。種々の空間角度から到来する成分は、シフト可能なアパーチャ絞りを経て検出対物瞳でフィルタリングされる。このことは、種々の試料成分が連続撮像されてしまうという欠点を有しており、これに対して、ライトフィールド顕微鏡では強く並列化された撮像が優先される(シングルショット)。
【0015】
Skupschらによれば、PIV(粒子画像流速測定法)のための、一方側からシリンドリカルレンズを通して複数の光シートによって照明され、マイクロレンズアレイを介した検出とライトフィールド技術による再構成とが行われる構造が提案されている。
【0016】
本発明の特に有利な実施形態によれば、光シートによって照明される複数の対象面を同時にイメージングするために、検出光学系からカメラまでの光路に、好ましくはカメラ内に組み込まれるマイクロレンズアレイ(MLA)が配置される。マイクロレンズアレイは、光路において、カメラから所定の距離を置いてその前方に配置される。当該距離は、好ましくは、少なくともピクセル数個およびマイクロレンズの焦点距離の数倍分である。なお、マイクロレンズアレイの各マイクロレンズは、ピクセル間隔よりも大きい。
【0017】
本発明によれば、再構成の2つの異なる形式を使用できる。使用される手法は、マイクロレンズアレイの選択位置に密接に関連している。マイクロレンズアレイは、チューブレンズ(TL)の像面に配置可能であるか、または従来の撮像系で画像センサ(S)またはカメラが配置される検出光学系の位置に配置可能である。この場合、画像センサは、マイクロレンズの焦点距離の位置に配置される。当該配置をタイプAと称する。この手法の欠点は、個々の対象面の像のピクセル数(ひいては分解能)がマイクロレンズの個数と1:1でスケーリングされるということである。つまり、像当たりのピクセル数はマイクロレンズ数と等しく、分解可能な平面の個数は、ピクセルとマイクロレンズとのエッジ長さの比によってスケーリングされる。例えば、1つのマイクロレンズのエッジ長さがセンサ上の5ピクセルに相当する場合、5つの平面を分解することができる。
【0018】
これに代えて、マイクロレンズアレイを、チューブレンズと共に望遠鏡が形成されるように配置することもできる。この場合、マイクロレンズアレイは、
図8に示されているように、チューブレンズの(仮想)像をセンサに結像する(タイプB)。像の再構成は、相応に適応化された再構成アルゴリズムによって行われる。当該再構成アルゴリズムは、複数のマイクロレンズの像において対象物の点像を求め、そこから、例えば三角法および視差を用いて、対象物における位置を逆算する。z方向の分解能、ひいては分解可能な平面の数は、この場合、異なるマイクロレンズによる同じ対象点の像の間隔(三角法での底辺の長さ)によって与えられる。種々のマイクロレンズの像での対象点の同一性は、個々のマイクロレンズの像の相関を可能にする対象点の特徴の利用可能性の前提である。つまり、対象物の点の複数の像を点光源に対応づけできなければならない。言い換えれば、マイクロレンズ後方のセンサ上の位置により、対象物ボリュームにおいて、直線状の領域(またはマイクロレンズに対応する対象物ボリュームのPSF(点拡がり関数)の領域)が、結像された対象点に沿って定義される。こうした第2の直線状の領域は、同じ対象点の像の位置によりセンサ上で他のマイクロレンズの後方に定義される。この場合、対象点は、2つの直線状の領域の交点に配置しなければならない。
【0019】
焦点距離および直径またはマイクロレンズの開口数および光軸に沿ったMLAの位置は、主に結像系の品質に作用する重要な観点である。タイプAが使用される場合、マイクロレンズの開口数は、理想的にはチューブレンズの開口数に一致する。タイプBでは特に、センサに対して相対的なマイクロレンズアレイの位置と、マイクロレンズアレイのマイクロレンズの直径とが重要であり、これらについては後にもういちど述べる。対象点の分離可能性(光学系の分解能)は、センサ上での対象点の像のスポットサイズとその間隔とに依存する。これらは、マイクロレンズの焦点距離および直径またはマイクロレンズの開口数ならびに光軸に沿ったMLAの位置によって定められる。
【0020】
マイクロレンズ直径vの幾何学的近似におけるスポットサイズ直径s、マイクロレンズの焦点距離f
ML、MLAから中間像までの距離gに依存する、中間像平面(ZBE)からセンサまでの距離dは、
s=v(1−d/b)
から得られ、ここで1/f
ML=1/b+1/g、すなわちb=gf
ML/(g−f
ML)である。各パラメータは
図9に示されている。
【0021】
gの変化分は、対物レンズ(OL)の焦点面(FE)に対する光軸zに沿った対象物での点光源の位置Δzから、このΔzの値が小さい場合、Δg=−M
2Δzによって得られる。
【0022】
MLAからZBEまでの距離がおよそg
optに相当するようにMLAおよびセンサが配置されれば、焦点面の点光源(PLQ)はシャープにセンサに結像される。また離れたPLQは、焦点面までの距離dzが大きくなるにつれて不鮮明に結像されるようになり、この場合はdz=(g−g
opt)M
2またはg=g
opt−dzM
2が当てはまる。
【0023】
当該評価は、基本的には、センサでの定められたスポットサイズを上回らない領域を求めることができれば充分である。ここで、もちろん、幾何光学系の妥当性の限界は考慮しなければならない。
【0024】
例えば、一実施形態において、MLAからセンサまでの距離dは、対物レンズの焦点面の対象物がシャープにセンサに結像されるように、すなわちΔz=0およびΔg=0に対してb=dすなわちd=gf
ML/(g−f
ML)となるマイクロレンズアレイの中間像の距離gが得られるように、選定される。結像の鮮鋭性(スポット直径s)は、gが低下する場合または増大する場合、低下する(スポットサイズsは増大する)。
【0025】
特に有利な実施例では、dは、d=gf
ML/(g−f
ML)となるように選定される。ここで、gは、対象物内の平面に対応する中間像平面を定義する。この平面は、焦点面に比べて、ガリレオ望遠鏡(
図8a)ではおよそ検出対物レンズに近い位置に、またはケプラー望遠鏡(
図8b)ではおよそ検出対物系から相当に離れた位置にある。この場合、対物レンズから相当に離れた平面または対物レンズに近い平面は、良好な分解能を有する領域にあり、一義的に再構成可能である。
【0026】
この場合、固定の限界は、(特にケプラー望遠鏡のケースで)g>fが満足される場合にのみgが低下する(またはΔgの値が増大する)ことを表す。そうでない場合、センサでのスポットサイズが大きくなることにより、一義的な再構成が困難となる。この場合、当該領域では、分解能もきわめて劣悪となる。
【0027】
別の重要なパラメータは、対象点を結像するマイクロレンズの数、すなわち光軸に対する横断方向の軸に沿った対物レンズのアパーチャを分割するマイクロレンズの数に関連する。当該数は、マイクロレンズの捕捉角度θ
ML=arctan(v/2g)とチューブレンズの捕捉角度θ
TL=arctan(d
TL/2/(f
TL−Δg))との商から得られ、ここでdはチューブレンズのアパーチャである。センサでのスポットサイズおよび分解能は確かにθ
ML/θ
TLには依存しないが、対物レンズボリュームでの相応のPSFは、近似的に0.61λ/NA×θ
ML/θ
TLによって与えられる。
【0028】
Δgの値は、焦点面から大きく離れた平面における対象物または大きなΔzを有する対象物では、θ
ML<<θ
TLであってそのつどきわめて多数のマイクロレンズが対象点を結像するような大きさとなりうる。これにより個々の画像内の信号が低下し、分解能も同様に大幅に低下してしまう。
【0029】
本発明における上述した評価の意義は、光シート照明において、従来こうしたコンテクストで使用されている照明形式(エピフルオレセンス励起)とは異なり、照明領域の厚さを検出光学系の被写界深度領域に(または逆に検出光学系の被写界深度領域を照明領域の厚さに)正確に適合化できることにある。したがって、(a)一義的な対応づけが可能な領域のみ、または(b)できるだけ高い分解能が得られる領域のみが照明される。
【0030】
ポイント(a)は、マイクロレンズアレイにあまりに近い(g<f)中間像を有する対象点を照明しないことにより達成される。これにより、再構成でのアーチファクトが回避される。ポイント(b)は、それぞれ光軸に対する横断方向の軸線に沿った少数のマイクロレンズ、例えば2つまたは3つのマイクロレンズ(すなわち全部で約4つから7つのマイクロレンズ)しか対象点を結像しない位置にある領域の対象点のみを照明することにより達成される。上述したように、こうした照明領域は、理想的には、スポットサイズが想定可能な値、例えば最小値の2倍を上回らないよう、さらに制限されるかまたはMLAに合わせて適合化されなければならない。
【0031】
検出対物レンズの焦点面の周囲の狭い領域の、上述した有利な選択性かつ所期の照明のために、本発明によれば理想的には光シート照明が扱われる。
【0032】
一般に、異なる2種のマイクロレンズアレイの使用、すなわち唯一の焦点距離を有するマイクロレンズのみを有し、ここではホモジニアスアレイとも称されるマイクロレンズアレイと、複数の異なる焦点距離、例えば3つの異なる焦点距離を有し、ここではヘテロジニアスアレイとも称されるマイクロレンズアレイとの使用を考察する。種々のマイクロレンズを複合したアレイを使用することの利点は、再構成像にいっそう高い分解能が得られることである。なぜなら、センサでのスポットサイズが焦点距離にも依存するからである。
【0033】
本発明ではさらに、有利なビームプロファイルについて論ずる。このことは、光シート顕微鏡の組み合わせ装置のコンテクストにおいて新規である。
【0034】
本発明の有利な一実施形態によれば、光シート顕微鏡の、検出光学系からカメラまでの検出光路に、目的にしたがってマイクロレンズアレイを導入し、カメラで記録された生データを後処理することにより、検出光学系のもとの焦点面の周囲に配置される複数の対象面の像が形成される。好ましくは、マイクロレンズアレイは、ライトフィールド顕微鏡の一部を形成することができる。
【0035】
有利には、特にマイクロレンズの高いパッケージング密度を保証するために、ひいてはマイクロレンズが配置される平面での高い分解能を保証するために、マイクロレンズアレイのマイクロレンズの中心が長方形または正方形の格子上またはこれに代えて六角形の格子上に配置される。高いパッケージング密度を保証するためには、マイクロレンズは六角形の格子上に配置される。ただし、標準的には、レンズは正方形の格子上に配置される。MLAが像平面に存在する再構成では、正方形の格子がふつうである。なぜなら、マイクロレンズの後方で集束される光を、正方形のピクセルを有する「通常の」像のピクセルにまとめることのほうが簡単だからである。MLAがイメージングを行う構成では、六角形のパターンが好ましい。
【0036】
有利には、FWHM被写界深度の照明ビームが約300μmである(開口数およそ0.06に相当)場合、カメラによって3つの平面の像が2μm間隔で形成されるように、または5つの平面の像が1μm間隔で形成されるように、顕微鏡の検出光学系とマイクロレンズアレイとが構成されかつ相互に調整される。この場合、本発明において、理想的には、4μmの範囲にわたって、3つ
から5つの個別像をそれぞれ1μmの被写界深度で形成する顕微鏡の検出光学系とマイクロレンズアレイとの組み合わせ装置が使用される。つまり、Skupschらとは異なり、検出光学系およびマイクロレンズアレイのユニットの被写界深度は、検出軸に沿った対象物の広がり(または関心対象物領域の広がり)を著しく下回る。また、より短い被写界深度またはより長い被写界深度との組み合わせを使用することもできる。
【0037】
ガウシアンプロファイルを有するビームでの照明の問題は、照明軸に沿った個々の対象物平面が同じ強度で照明されず、また隣り合う各平面が同じパワーで照明されないということである。この問題を克服するために、本発明によれば、像野全体が検出軸に沿って実質的に等しいビームプロファイルで照明されるように照明ビームのガウシアンプロファイルを均質化する手段が設けられる。理想的には、イメージングすべき平面全体も、実質的に等しい光強度で照明される。ビームプロファイル均質化手段の有利な実施形態では、照明光路に配置されるビーム整形光学素子が形成され、このビーム整形光学素子は、イメージングすべき平面全体が実質的に等しい光強度で照明されるように選択された幅を有するシルクハット状プロファイルを照明ビームに付与するように構成される。これに代えて、ビームプロファイル均質化手段が、照明光路に配置され、イメージングすべき平面全体が実質的に等しい光強度で照明されるように照明ビームを軸線方向で高頻度に往復シフトさせる光学素子、例えばTAGレンズまたはETL(電気的に調整可能なレンズ)を有するように構成してもよい。このことは特に、照明軸に沿った横方向のプロファイルが補償/消去に要する変調度を有するという前提条件において有利である。
【0038】
また、代替的な撮像モードを、検出対物レンズ(およびマイクロレンズアレイ)の有効な被写界深度で検出軸に沿いかつナイキストの定理にしたがった走査に必要なよりも相互に大きく離れた複数の平面を照明し、同期して検出することによって得ることもできる。この場合、対象物が検出対物レンズの焦点面に対して相対的に所定の刻み幅でシフトされるように、積層像を撮影することができる。ここでの所定の刻み幅は、ナイキストサンプリングは可能であるが、1ステップで/位置ごとに検出される平面の間隔よりは小さい刻み幅である。これにより、隣り合う各平面はもはや同時には撮影されないが、大きなボリュームをイメージング可能にする生の像の数を小さくすることで、速度を高めることができる。
【0039】
ライトフィールドカメラと光シート照明との組み合わせ装置の明瞭な利点は、検出光学系の被写界深度を大幅に増大できることによって得られる。各平面を同期してイメージングおよび照明でき、その間隔を「通常の」検出光学系(マイクロレンズアレイなしの純粋な対物レンズ)の被写界深度に比べて格段に大きくできる。このようにして高められた被写界深度において、光シートは、検出軸に沿った位置を良好に特定できるようにパターン化することもできる。
【0040】
複数の平面の照明は、もちろん、ガウシアンビームとは異なるビームで行うこともできる。上述したように、できるだけ平坦なビームプロファイルが推奨される。またこれに代えて、ベッセルビームおよびベッセル近似のビームも利用可能である。この場合、ベッセルビームのリング構造は、各リングが他の平面を照明するように検出光学系に適応化される。この場合、照明のために特に、例えば種々の部分ビームの干渉パターンとして検出平面に沿ったストライプパターンを形成するビームが所望される。このことは、例えば、単純な2ビーム干渉によって達成できる。特に有利には、Mathieuビーム、または向かい合うように原点に関して対称に位置する2つのリングセグメントから成る角度スペクトルを有するビームが使用される。リングセグメントの配向状態は、照明の光軸を中心とした領域に、検出軸に沿ったストライプパターンが所期の通りに形成され、種々の検出平面のできるだけ等しい強度での均等な照明を可能にするビーム整形が行われるように選択される。
【0041】
本発明の光シート顕微鏡のさらなる使用領域は、検出光学系の被写界深度の領域が検出光学系の被写界深度よりも格段に薄い光シートによって照明される場合に開拓される。当該前提条件で、有利には、光シートの形成のために照明光学系の前方に配置される、好ましくは走査ミラーを含む手段を設けることができ、これにより、光シートは、連続して種々の平面すなわち選択的に焦点面および各対象面が照明されるよう、検出光学系の検出軸に沿って段階的にまたは連続的に相互にオフセットされた位置へ移動される。これにより、光シートは、試料を通る像野寸法に対して垂直に移動可能となり、このことは、例えば、光シート顕微鏡による検査において特にその安定性のためにほとんど移動させることのできない生体試料が走査される際に有利である。
【0042】
本発明の顕微鏡の別の有利な実施形態によれば、検出光路は、ビームスプリッタを含むビームスプリッタコンフィグレーション部により、マイクロレンズアレイを経てカメラへ通じるさらなる検出分路と、マイクロレンズアレイの前置接続なしでカメラへ通じる検出分路と、に分割される。これにより、検出光学系の焦点面での高分解能の試料の結像が、前置接続されたマイクロレンズアレイを含む、相対的に低い分解能を有するカメラによる結像に加えて得られる。
【0043】
2つの検出分路を形成するためのビームスプリッタコンフィグレーション部は、ミラーを用いて、有利には、マイクロレンズアレイを有する検出分路とマイクロレンズアレイなしの検出分路とが並列的に同じカメラへ結像されるように構成可能である。本発明はまた、対象物ボリュームが光シート構造にしたがって層状に検出およびイメージングされる本発明の光シート顕微鏡を用いて、光シートによって照明される複数の対象面を同時にイメージングする方法を提供する。
【0044】
ビームスプリッタに代えて、マイクロレンズアレイを有する光路またはマイクロレンズアレイなしの光路を選択的に利用可能にするため、傾動ミラーを用いることもできる。2つの光路は、例えばレンズの焦点距離の異なる組み合わせによって、または付加的に組み込まれる望遠鏡によって、異なる寸法を有してもよい。
【0045】
当該方法では、対象物ボリュームが、有利には、検出された対象面の、対象物に対する相対運動により、時間的に連続してカメラに結像される。
【0046】
これに代えて、照明される複数の対象面を同時に検出することにより、各対象物ボリュームを同期して検出およびイメージングすることもできる。各対象面は、マイクロレンズアレイなしの検出光学系の有効被写界深度で必要となるよりも相互に遠く離れている。これにより、検出軸に沿いかつナイキストの定理にしたがった走査が行われる。
【0047】
有利には、大きな対象物ボリュームをイメージングするため、対象物が検出光学系の焦点面に対して所定の刻み幅でシフトされるよう、検出および撮像が行われる。ここでの刻み幅は、ナイキストサンプリングは可能であるが、位置ごとに1ステップで検出される面の間隔よりも小さい。
【0048】
有利には、本発明の光シート顕微鏡は照明光路に走査ミラーを含み、この走査ミラーを用いて、光シートを検出軸に沿ってシフトさせることができる。これにより、試料の複数の平面を所期の通りに連続して照明でき、光シートの各位置でカメラによって像を撮影できる。この場合、マイクロレンズアレイは、被写界深度を増大するために用いられる。光シートの位置に依存せず、センサが撮影したデータから、照明されるボリューム内の1つもしくは複数の対象面の像を再構成することができる。この場合相応に、光シートは、少なくとも1つの対物レンズ、マイクロレンズアレイおよび好ましくはチューブレンズを含む検出光学系の被写界深度よりも格段に薄い。
【0049】
以下に本発明を図に即して詳細に説明する。