特許第6934893号(P6934893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6934893切削工具およびそのための三角形状の割出し可能切削インサート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6934893
(24)【登録日】2021年8月26日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】切削工具およびそのための三角形状の割出し可能切削インサート
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/20 20060101AFI20210906BHJP
【FI】
   B23C5/20
【請求項の数】23
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-564804(P2018-564804)
(86)(22)【出願日】2017年6月6日
(65)【公表番号】特表2019-519384(P2019-519384A)
(43)【公表日】2019年7月11日
(86)【国際出願番号】IL2017050629
(87)【国際公開番号】WO2018002911
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2020年4月28日
(31)【優先権主張番号】15/197,855
(32)【優先日】2016年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】メン ユリ
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/014977(WO,A1)
【文献】 特開2013−163244(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/030183(WO,A1)
【文献】 特開2015−226960(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0348599(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/187736(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/06、5/10、5/20、5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
割出し可能な三角形状の切削インサート(20)であって、
対向する上側および下側端面(22、24)を備え、それらの間に周面(26)が延在し、中心軸(A1)がそれらを貫通して延在し、
前記周面(26)は三つのコーナ面(30)と円周方向に交互する三つの側面(28)を含み、各コーナ面(30)は前記上側端面(22)と交差して上側切刃(32)を形成し、各側面(28)は内方に凹んだ配置面(34)を有し、前記下側端面(24)は、隆起した下側支持面(36)と、前記下側支持面(36)の周りに円周方向に離間された三つの下側当接凹部(38)とを有し、各下側当接凹部(38)は、半径方向外方に向いた下側当接面(40)を含み、
ここで、
前記中心軸(A1)に対して直角であり前記三つの配置面(34)と交差する正中平面(M)でとった第一断面において、前記三つの配置面(34)は、
三つの第一辺および三つの第一コーナと、
三つの第一二等分平面(P1)であって、各第一二等分平面(P1)は前記中心軸(A1)を含み、前記三つの第一コーナのうちの一つを二等分する、第一二等分平面(P1)と、
三つの垂直配置平面(PVL)であって、各垂直配置平面(PVL)は前記正中平面(M)に対して直角であり、前記三つの第一辺のうちの一つを含む、垂直配置平面(PVL)と
を有する第一仮想三角形(T1)を画成し、
前記正中平面(M)に対して平行であり前記三つの下側当接面(40)と交差する水平下側平面(PHL)でとった第二断面において、前記三つの下側当接面(40)は、
三つの第二辺および三つの第二コーナと、
三つの第二二等分平面(P2)であって、各第二二等分平面(P2)は前記中心軸(A1)を含み、前記三つの第二コーナのうちの一つを二等分する、第二二等分平面(P2)と
を有する第二仮想三角形(T2)を画成し、
前記三つの第二二等分平面(P2)のいずれも、前記三つの第一二等分平面(P1)のいずれとも同一平面上になく、
各垂直配置平面(PVL)は、前記上側切刃(32)のうちの二つと交差する、
切削インサート(20)。
【請求項2】
各第一二等分平面(P1)は、前記配置面(34)のうちの一つと交差し、
各第二二等分平面(P2)は、前記下側当接面(40)のうちの一つと交差する、
請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項3】
前記周面(26)全体が前記中心軸(A1)に対して平行に延在し、前記上側および下側端面(22、24)の両方と交差する、請求項1または2に記載の切削インサート(20)。
【請求項4】
前記第二仮想三角形(T2)は三つの垂直当接平面(PVA)を有し、各垂直当接平面(PVA)は前記正中平面(M)に対して直角であり、前記三つの第二辺のうちの一つを含み、前記上側切刃(32)のうちの一つと交差する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の切削インサート(20)。
【請求項5】
前記水平下側平面(PHL)は前記三つの配置面(34)と交差する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の切削インサート(20)。
【請求項6】
前記第一および第二仮想三角形(T1、T2)の回転方向に隣接するコーナにそれぞれ関連する前記第一および第二二等分平面(P1、P2)は、鋭角の二等分角(β1)を形成し、前記二等分角(β1)は30°以下の値を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の切削インサート(20)。
【請求項7】
各下側当接面(40)は、前記三つの第一二等分平面(P1)のいずれにも交差されない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の切削インサート(20)。
【請求項8】
前記切削インサート(20)の端面図において、前記三つの第二コーナは前記第一仮想三角形(T1)の外側に位置する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の切削インサート(20)。
【請求項9】
前記切削インサート(20)の端面図において、各上側切刃(32)は、第一および第二端点(N1、N2)を有する湾曲した上側ノーズ刃部分(52)を含み、各垂直配置平面(PVL)は、前記上側ノーズ刃部分(52)のうちの二つと、それぞれの第一および第二端点(N1、N2)の間で交差する、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の切削インサート(20)。
【請求項10】
前記切削インサート(20)のコーナ側面図において、各上側ノーズ刃部分(52)は、その全長に沿って前記正中平面(M)に向かって傾く、請求項9に記載の切削インサート(20)。
【請求項11】
前記上側および下側端面(22、24)は同一であり、
各コーナ面(30)は前記下側端面(24)と交差して下側切刃(56)を形成し、
前記上側端面(22)は、隆起した上側支持面(58)と、前記上側支持面(58)の周りに円周方向に離間された三つの上側当接凹部(60)とを有し、
各上側当接凹部(60)は、半径方向外方に向いた上側当接面(62)を含む、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の切削インサート(20)。
【請求項12】
前記正中平面(M)は前記上側および下側端面(22、24)の間の中間に位置し、
前記周面(26)は前記正中平面(M)の周りに鏡面対称を示さない、
請求項11に記載の切削インサート(20)。
【請求項13】
各上側切刃(32)は全体として前記上側支持面(58)よりも前記正中平面(M)の近くに位置し、
各下側切刃(56)は全体として前記下側支持面(36)よりも前記正中平面(M)の近くに位置する、
請求項11または12に記載の切削インサート(20)。
【請求項14】
ベース面(72)と、前記ベース面(72)に対して横方向の間隔をあけた第一および第二ポケット壁(74、76)とを有するインサート受け入れポケット(70)を備えた切削体(68)であって、前記第一および第二ポケット壁(74、76)は、前記インサート受け入れポケット(70)の正面図において外部ポケット角(δ1)を形成する、切削体(68)と、
前記切削体(68)の前記インサート受け入れポケット(70)内に取り外し可能に固定された、割出し可能な三角形状の切削インサート(20)と、
を備えた切削工具(66)であって、前記切削インサート(20)は、
対向する上側および下側端面(22、24)を備え、それらの間に周面(26)が延在し、中心軸(A1)がそれらを貫通して延在し、
前記周面(26)は三つのコーナ面(30)と円周方向に交互する三つの側面(28)を含み、各コーナ面(30)は前記上側端面(22)と交差して上側切刃(32)を形成し、各側面(28)は、内方に凹んだ配置面(34)を有し、
前記下側端面(24)は、隆起した下側支持面(36)と、前記下側支持面(36)の周りに円周方向に離間された三つの下側当接凹部(38)とを有し、各下側当接凹部(38)は、前記配置面(34)のいずれにも非平行に半径方向外方に向いた下側当接面(40)を含み、
前記中心軸(A1)に対して直角であり前記三つの配置面(34)と交差する正中平面(M)でとった第一断面において、前記三つの配置面(34)は、
三つの第一辺および三つの第一コーナと、
三つの第一二等分平面(P1)であって、各第一二等分平面(P1)は前記中心軸(A1)を含み、前記三つの第一コーナのうちの一つを二等分する、第一二等分平面(P1)と、
三つの垂直配置平面(PVL)であって、各垂直配置平面(PVL)は前記正中平面(M)に対して直角であり、前記三つの第一辺のうちの一つを含む、垂直配置平面(PVL)と
を有する第一仮想三角形(T1)を画成し、
ここで、
前記下側支持面(36)は前記ベース面(72)と接触し、
前記三つの配置面(34)のうちの一つのみが有効であり、前記第一ポケット壁(74)と接触し、
前記三つの下側当接面(40)のうちの一つのみが有効であり、前記第二ポケット壁(76)と接触する、
切削工具(66)。
【請求項15】
各配置面(34)は関連する側面(28)において内方に凹んでおり、
各垂直配置平面(PVL)は前記上側切刃(32)のうちの二つと交差する、
請求項14に記載の切削工具(66)。
【請求項16】
前記ポケット角(δ1)は、60°より大きく90°以下の値を有する、請求項14または15に記載の切削工具(66)。
【請求項17】
各第一二等分平面(P1)は、前記上側切刃(32)のうちの一つおよび前記配置面(34)のうちの一つと交差し、
前記有効な上側切刃(32)と交差する前記第一二等分平面(P1)は、前記有効な配置面(34)および前記第一ポケット壁(74)とも交差する、
請求項14〜16のいずれか一項に記載の切削工具(66)。
【請求項18】
前記正中平面(M)に対して平行であり前記三つの下側当接面(40)と交差する水平下側平面(PHL)でとった第二断面において、前記三つの下側当接面(40)は、
三つの第二辺および三つの第二コーナと、
三つの第二二等分平面(P2)であって、各第二二等分平面(P2)は前記中心軸(A1)を含み、前記三つの第二コーナのうちの一つを二等分する、第二二等分平面(P2)と
を有する第二仮想三角形(T2)を画成する、請求項14〜17のいずれか一項に記載の切削工具(66)。
【請求項19】
前記三つの第二二等分平面(P2)のいずれも、前記三つの第一二等分平面(P1)のいずれとも同一平面上にない、請求項18に記載の切削工具(66)。
【請求項20】
前記上側および下側端面(22、24)は同一であり、
各コーナ面(30)は前記下側端面(24)と交差して下側切刃(56)を形成し、
前記上側端面(22)は、隆起した上側支持面(58)と、前記上側支持面(58)の周りに円周方向に離間された三つの上側当接凹部(60)とを有し、
各上側当接凹部(60)は、半径方向外方に向いた上側当接面(62)を含む、
請求項14〜19のいずれか一項に記載の切削工具(66)。
【請求項21】
前記切削工具(66)は工具軸(A2)の周りに回転可能であり、
前記第二ポケット壁(76)は全体として前記第一ポケット壁(74)よりも前記工具軸(A2)から半径方向に遠くに位置する、
請求項14〜20のいずれか一項に記載の切削工具(66)。
【請求項22】
前記切削体(68)は、対向する前方および後方方向(F、R)にそれぞれ向いた前方端(84)と後端(86)との間に延在する円周壁(82)を有する円筒形状であり、
複数のインサート受け入れポケット(70)が前記前方端(84)に隣接して前記円周壁(82)に形成され、
各インサート受け入れポケット(70)の前記第一および第二ポケット壁(74、76)が前記前方方向(F)に分岐する、
請求項14〜21のいずれか一項に記載の切削工具(66)。
【請求項23】
前記ベース面(72)は平面状であり、
前記ベース面(72)に対して平行なポケット平面(P)が前記第一および第二ポケット壁(74、76)と交差して第一および第二仮想交差直線(LI1、LI2)をそれぞれ形成し、
前記ポケット角(δ1)が前記第一および第二仮想交差線(LI1、LI2)の間に形成される、
請求項14〜22のいずれか一項に記載の切削工具(66)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に金属切削工程における使用のための、特にフライス加工およびプロファイル加工作業のための、切削工具およびそのための三角形状の割出し可能切削インサートに関する。
【背景技術】
【0002】
フライス加工およびプロファイル加工作業において使用される切削工具の分野の中には、切削体のインサート受け入れポケット内に取り外し可能に保持される三角形状の割出し可能切削インサートの多数の例が存在する。
【0003】
特許文献1は、対向する上側および下側端面を有し、それらの間に周面が延在する三角形状の割出し可能切削インサートであって、周面は三つの側面と三つのコーナ面とを含み、各コーナ面は上側端面と交差して湾曲した上側切刃を形成し、各側面は内方に凹んだ配置面を有する、割出し可能切削インサートを開示する。
【0004】
特許文献2は、対向する上側および下側端面を有し、それらの間に周面が延在する三角形状の割出し可能切削インサートであって、周面は三つの側面と三つのコーナ面とを含み、各コーナ面は上側端面と交差して上側切刃を形成する、割出し可能切削インサートを開示する。各上側切刃は、第一端と第二端とを有する円弧状構成要素と、円弧状構成要素の第一および第二端のそれぞれの第一および第二構成要素とを含み、第一および第二構成要素は円弧状構成要素よりも湾曲が少ない。下側端面は三つの半径方向に延在する取り付け溝を含み、各側面は第一および第二支持面により形成される少なくとも一つの実質的にV形状の谷を含む。
【0005】
コンパクトな取り付け手段を有する改良された三角形状の割出し可能切削インサートを提供することが本発明の目的である。
【0006】
三角形状の割出し可能切削インサートが高いレベルの安定性で切削体に取り外し可能に固定される改良された切削工具を提供することも本発明の目的である。
【0007】
フライス加工およびプロファイル加工作業に特に適した改良された切削工具を提供することが本発明のさらなる目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国特許第103506680号
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0107248号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、対向する上側および下側端面を有し、それらの間に周面が延在し、中心軸がそれらを貫通して延在する、割出し可能な三角形状の切削インサートが提供され、
周面は三つのコーナ面と円周方向に交互する三つの側面を含み、各コーナ面は上側端面と交差して上側切刃を形成し、各側面は内方に凹んだ配置面を有し、
下側端面は、隆起した下側支持面と、下側支持面の周りに円周方向に離間された三つの下側当接凹部とを有し、各下側当接凹部は、半径方向外方に向いた下側当接面を含み、
ここで、
中心軸に対して直角であり、三つの配置面と交差する正中平面でとった第一断面において、三つの配置面は、
三つの第一辺および三つの第一コーナと、
三つの第一二等分平面であって、各第一二等分平面は中心軸を含み、三つの第一コーナのうちの一つを二等分する、第一二等分平面と、
三つの垂直配置平面であって、各垂直配置平面は正中平面に対して直角であり、三つの第一辺のうちの一つを含む、垂直配置平面と
を有する第一仮想三角形を画成し、
正中平面に対して平行であり、三つの下側当接面と交差する水平下側平面でとった第二断面において、三つの下側当接面は、
三つの第二辺および三つの第二コーナと、
三つの第二二等分平面であって、各第二二等分平面は中心軸を含み、三つの第二コーナのうちの一つを二等分する、第二二等分平面と
を有する第二仮想三角形を画成し、
三つの第二二等分平面のいずれも、三つの第一二等分平面のいずれとも同一平面上になく、
各垂直配置平面は、上側切刃のうちの二つと交差する。
【0010】
また、本発明によれば、ベース面と、ベース面に対して横方向の間隔をあけた第一および第二ポケット壁とを有するインサート受け入れポケットを備えた切削体であって、第一および第二ポケット壁は、インサート受け入れポケットの正面図において外部ポケット角を形成する、切削体と、
切削体のインサート受け入れポケット内に取り外し可能に固定された、割出し可能な三角形状の切削インサートと
を備えた切削工具が提供され、
切削インサートは、
対向する上側および下側端面を備え、それらの間に周面が延在し、中心軸がそれらを貫通して延在し、
周面は三つのコーナ面と円周方向に交互する三つの側面を含み、各コーナ面は上側端面と交差して上側切刃を形成し、各側面は配置面を有し、
下側端面は、隆起した下側支持面と、下側支持面の周りに円周方向に離間された三つの下側当接凹部とを有し、各下側当接凹部は、半径方向外方に向いた下側当接面を含み、
中心軸に対して直角であり、三つの配置面と交差する正中平面でとった第一断面において、三つの配置面は、
三つの第一辺および三つの第一コーナと、
三つの第一二等分平面であって、各第一二等分平面は中心軸を含み、三つの第一コーナのうちの一つを二等分する、第一二等分平面と、
三つの垂直配置平面であって、各垂直配置平面は正中平面に対して直角であり、三つの第一辺のうちの一つを含む、垂直配置平面と
を有する第一仮想三角形を画成し、
ここで、
下側支持面はベース面と接触し、
三つの配置面のうちの一つのみが有効であり、第一ポケット壁と接触し、
三つの下側当接面のうちの一つのみが有効であり、第二ポケット壁と接触する。
【0011】
より良い理解のために、ここで添付の図面を参照しながら単なる例として本発明を説明するが、図面において鎖線は部材の部分図のためのカットオフ境界線を表す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一部の実施形態による切削インサートの斜視図である。
図2図1に示された切削インサートの第一端面図である。
図3図1に示された切削インサートの側面図である。
図4図1に示された切削インサートのコーナ側面図である。
図5】線V‐Vに沿ってとった図2に示された切削インサートの断面図である。
図6】線VI‐VIに沿ってとった図2に示された切削インサートの断面図である。
図7】線VII‐VIIに沿ってとった図3に示された切削インサートの断面図である。
図8】線VIII‐VIIIに沿ってとった図3に示された切削インサートの断面図である。
図9図1に示された切削インサートの第二端面図である。
図10】線X‐Xに沿ってとった図3に示された切削インサートの断面図である。
図11】本発明の一部の実施形態による切削工具の、その切削インサートのうちの一つが取り外された状態の斜視図である。
図12図11に示された切削工具のインサート受け入れポケットの、その切削インサートが取り外された状態の正面図である。
図13図12に示されたインサート受け入れポケットの端面図である。
図14図12に示されたインサート受け入れポケットの、その切削インサートが固定された状態の正面図である。
図15図14に示されたインサート受け入れポケットの端面図である。
図16】線XVI‐XVIに沿ってとった図14に示されたインサート受け入れポケットの断面図である。
図17】線XVII‐XVIIに沿ってとった図14に示されたインサート受け入れポケットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、対向する上側および下側端面22、24を有し、それらの間に周面26が延在し、中心軸A1がそれらを貫通して延在する、図1〜4に示すような割出し可能切削インサート20に関する。
【0014】
本発明の一部の実施形態では、切削インサート20は中心軸A1の周りで割出し可能でありうる。
【0015】
また、本発明の一部の実施形態では、切削インサート20は、好ましくは炭化タングステン等の超硬合金をプレス成形および焼結することにより製造されることができ、コーティングされてもされなくてもよい。
【0016】
本発明によれば、図1〜4に示すように、周面26は、三つのコーナ面30と円周方向に交互する三つの側面28を含み、各コーナ面30は上側端面22と交差して上側切刃32を形成し、各側面28は配置面34を有する。
【0017】
本発明の一部の実施形態では、各コーナ面30は、中心軸A1に対して平行に延在し、上側および下側端面22、24の両方と交差しうる。
【0018】
また、本発明の一部の実施形態では、各配置面34は平面状でありうる。
【0019】
さらに、本発明の一部の実施形態では、各配置面34は上側および下側端面22、24の両方と交差しうる。
【0020】
図5に示すように、各配置面34は中心軸A1に対して平行でありうる。
【0021】
本発明の一部の実施形態では、周面26全体が中心軸A1に対して平行に延在し、上側および下側端面22、24の両方と交差することができ、切削インサート20は「ネガティブ」型切削インサートと表されうる。
【0022】
本発明によれば、図1〜4に示すように、下側端面24は、隆起した下側支持面36と、下側支持面36の周りに円周方向に離間された三つの下側当接凹部38とを有し、各下側当接凹部38は、半径方向外方に向いた下側当接面40を含む。
【0023】
本発明の一部の実施形態では、下側支持面36は平面状であり、中心軸A1に対して直角な下側支持平面PLSを画成してもよい。
【0024】
図3および4に示すように、下側支持平面PLSは、三つのコーナ面30のいずれとも交差しなくてもよい。
【0025】
また、図3および4に示すように、下側支持平面PLSは周面26と交差せず、このようにして隆起した下側支持面36が効率的に研削されるのを可能にしてもよい。
【0026】
本発明の一部の実施形態では、各下側当接面40は平面状でありうる。
【0027】
図6に示すように、各下側当接面40は中心軸A1に対して平行でなくてもよい。
【0028】
また、図6に示すように、各下側当接面40は、下側支持面36と鈍角の内部傾斜角γ1を形成することができ、各鈍角の傾斜角γ1は120°以下の値を有しうる。
【0029】
説明および特許請求の範囲の全体を通して「内部角」という用語の使用は、二つの平面状面構成要素の間の、これらの面構成要素が上に形成された部材の内側を測定した角度を指すものと理解されたい。
【0030】
図3に示すように、三つの配置面34のうちの一つに対して直角な切削インサート20の側面図においては、一つの下側当接面40だけが視認可能でありうる。
【0031】
また、図3に示すように、前記一つの下側当接面40は全体的に視認可能でありうる。
【0032】
本発明の一部の実施形態では、三つの下側当接凹部38は同一でありうる。
【0033】
図2に示すように、下側端面24は、中心軸A1の周りに三回回転対称性を示しうる。
【0034】
本発明の一部の実施形態では、下側端面24と周面26との交差部に下側周縁42が形成されうる。
【0035】
図3に示すように、各下側当接面40は下側周縁42の単一の周縁部分44で周面26と交差しうる。
【0036】
また、図3に示すように、各下側当接面40は、三つの周縁部分44のうちの一つで三つの配置面34のうちの一つと交差しうる。
【0037】
本発明によれば、図7に示すように、中心軸A1に対して直角であり三つの配置面34と交差する正中平面Mでとった第一断面においては、三つの配置面34が三つの第一辺と三つの第一コーナとを有する第一仮想三角形T1を画成する。第一仮想三角形T1は、三つの第一二等分平面P1と三つの垂直配置平面PVLとを有し、各第一二等分平面P1は中心軸A1を含み、第一仮想三角形の三つの第一コーナのうちの一つを二等分し、各垂直配置平面PVLは正中平面Mに対して直角であり、第一仮想三角形の三つの第一辺のうちの一つを含む。
【0038】
本発明の一部の実施形態では、各第一二等分平面P1は、上側切刃32のうちの一つと交差しうる。
【0039】
また、本発明の一部の実施形態では、図7に示すように、各第一二等分平面P1は配置面34のうちの一つと交差しうる。
【0040】
さらに本発明の一部の実施形態では、上側端面22は、各上側切刃32に隣接する上側すくい面46を含みうる。
【0041】
図5および6に示すように、各上側すくい面46は、正中平面Mに向かって内方に傾斜し、それにより切削インサート20が正のすくい角で切削作業を行うことを可能にしてもよい。
【0042】
本発明の一部の実施形態では、各下側当接凹部38は、凹部床面48をそのそれぞれの下側当接面40に隣接して含みうる。
【0043】
図6に示すように、中心軸A1は上方から下方向D、Dに延在することができ、各凹部床面48は正中平面Mの反対に概ね下方方向Dに向きうる。
【0044】
本発明の一部の実施形態では、下側端面24は、三つの第一二等分平面P1のいずれの周りにも鏡面対称を示さなくてもよい。
【0045】
また、本発明の一部の実施形態では、各下側当接面40は、三つの第一二等分平面P1のいずれとも交差しなくてもよい。
【0046】
さらに一部の実施形態では、図2に示すように、切削インサート20の端面図において、各下側当接面40は第一仮想三角形T1の外側に延在せず、このようにして切削インサート20を取り付けるためのコンパクトな手段を提供してもよい。
【0047】
本発明の第一態様では、図8に示すように、正中平面Mに対して平行であり三つの下側当接面40と交差する水平下側平面PHLでとった第二断面において、三つの下側当接面40が三つの第二辺と三つの第二コーナとを有する第二仮想三角形T2を画成する。第二仮想三角形T2は三つの第二二等分平面P2を有し、各第二二等分平面P2は中心軸A1を含み、第二仮想三角形の三つの第二コーナのうちの一つを二等分する。
【0048】
本発明の第一態様では、三つの第二二等分平面P2のいずれも三つの第一二等分平面P1のいずれとも同一平面上になく、このようにして三つの配置面34および三つの下側当接面40を利用する際により広い範囲の取り付けオプションを提供する。
【0049】
本発明の一部の実施形態では、第一および第二仮想三角形T1、T2はいずれも正三角形でありうる。
【0050】
図2に示すように、切削インサート20の端面図において、第二仮想三角形の三つの第二コーナは、第一仮想三角形T1の外側に位置しうる。
【0051】
また図2に示すように、切削インサート20の端面図において、第二仮想三角形の三つの第二コーナは、切削インサート20の周辺部の外側に位置しうる。
【0052】
本発明の一部の実施形態では、図2に示すように、第一および第二仮想三角形T1、T2の回転方向に隣接するコーナにそれぞれ関連する第一および第二二等分平面P1、P2は、鋭角の二等分角β1を形成することができ、二等分角β1は30°以下の値を有しうる。
【0053】
また、本発明の一部の実施形態では、図2に示すように、各第二二等分平面P2は、下側当接面40のうちの一つと交差しうる。
【0054】
図3に示すように、水平下側平面PHLは三つの配置面34と交差しうる。
【0055】
図8に示すように、水平下側平面PHLでとった第二断面において、各下側当接面40は、配置面34のうちの一つと内部当接角α1を形成しうる。
【0056】
本発明の一部の実施形態では、各当接角α1は60°より大きく90°以下の値を有し、このようにして切削インサート20が高いレベルの安定性で取り付けられることを可能にしうる。
【0057】
また、本発明の一部の実施形態では、当接角α1は75°より大きい値を有しうる。
【0058】
さらに、本発明の一部の実施形態では、切削インサート20は、下側支持面36に開いた中心軸A1と同軸の中心ボア50を有しうる。
【0059】
図2に示すように、切削インサート20の端面図において、中心ボア50は全体として第二仮想三角形T2の内側に位置しうる。
【0060】
本発明の一部の実施形態では、図8に示すように、第二仮想三角形T2は三つの垂直当接平面PVAを有することができ、各垂直当接平面PVAは正中平面Mに対して直角であり第二仮想三角形の三つの第二辺のうちの一つを含む。
【0061】
図9に示すように、各垂直当接平面PVAは、上側切刃32のうちの一つと交差しうる。
【0062】
本発明の一部の実施形態では、図3および4に示すように、各上側切刃32は、正中平面Mから最も遠くおよび最も近くにそれぞれ位置する軸方向最上および軸方向最下点NU、を含みうる。
【0063】
図9に示すように、切削インサート20の端面図において、軸方向最上点Nは第二仮想三角形T2の外側に位置しうる。
【0064】
また図9に示すように、切削インサート20の端面図において、軸方向最下点Nは第二仮想三角形T2の内側に位置しうる。
【0065】
本発明の第一態様では、図9に示すように、各配置面34は内方に凹んでいてもよく(すなわち切削インサート20の端面図において中心軸A1に向かって内方方向に凹んでいる)、各垂直配置平面PVLは上側切刃32のうちの二つと交差しうる。
【0066】
配置面34を内方に凹むように構成することによって、切削インサート20を取り付けるためのコンパクトな手段が提供されることを理解されたい。
【0067】
図9に示すように、切削インサート20の端面図において、各上側切刃32は、第一および第二端点N1、N2を有する湾曲した上側ノーズ刃部分52を含みうる。
【0068】
本発明の一部の実施形態では、各垂直配置平面PVLは、上側ノーズ刃部分52のうちの二つと、それぞれの第一および第二端点N1、N2の間で交差しうる。
【0069】
各湾曲した上側ノーズ刃部分52をその二つの隣接する垂直配置平面PVLを横断して延在するように構成することによって、切削インサート20がプロファイル加工作業に特に適したものになることを理解されたい。
【0070】
図9に示すように、切削インサート20の端面図において、各上側ノーズ刃部分52は、一定の上側ノーズ刃半径Rを有しうる。
【0071】
本発明の一部の実施形態では、上側ノーズ刃半径Rは、0.25mm〜5.0mmの間の値を有しうる。
【0072】
図9に示すように、切削インサート20の端面図において、各上側切刃32は、そのそれぞれの上側ノーズ刃部分52から離れるように延在する二つのストレート切刃部分54a、54bを含みうる。
【0073】
本発明の一部の実施形態では、各第一二等分平面P1は上側ノーズ刃部分52のうちの一つと交差しうる。
【0074】
図9に示すように、切削インサート20の端面図において、各上側ノーズ刃部分52は、そのそれぞれの第一二等分平面P1の周りに鏡面対称を示しうる。
【0075】
図4に示すように、切削インサート20のコーナ側面図において、各上側ノーズ刃部分52は、その全長に沿って正中平面Mに向かって傾きうる。
【0076】
本発明の一部の実施形態では、図2および9に示すように、上側および下側端面22、24は同一であってもよく、各コーナ面30が下側端面24と交差して下側切刃56を形成し、上側端面22は、隆起した上側支持面58と、上側支持面58の周りに円周方向に離間された三つの上側当接凹部60とを有し、各上側当接凹部60は、半径方向外方に向いた上側当接面62を含む。
【0077】
本発明のこのような実施形態において、切削インサート20は、「両面」割出し可能切削インサートと表されうる。
【0078】
一部の実施形態では、各上側当接凹部60は、上側すくい面46のうちの一つに境を接しうる。
【0079】
また、一部の実施形態では、図9に示すように、切削インサート20の端面図において、各上側当接面62は第一仮想三角形T1の外側に延在せず、このようにして両面切削インサート20を取り付けるためのコンパクトな手段を提供してもよい。
【0080】
図2に示すように、切削インサート20の端面図において、各下側切刃56は、湾曲した下側ノーズ刃部分64を含みうる。
【0081】
また図2に示すように、切削インサート20の端面図において、各下側ノーズ刃部分64は、一定の下側ノーズ刃半径Rを有しうる。
【0082】
本発明の一部の実施形態では、下側ノーズ刃半径Rは、0.25mm〜5.0mmの間の値を有しうる。
【0083】
図3および4に示すように、各上側切刃32は全体として上側支持面58よりも正中平面Mの近くに位置してもよく、各下側切刃56は全体として下側支持面36よりも正中平面Mの近くに位置してもよい。
【0084】
本発明の一部の実施形態では、下側および上側支持面36、58はいずれも平面状であり、中心軸A1に対して直角でありうる。
【0085】
また、本発明の一部の実施形態では、中心ボア50は、下側および上側支持面36、58の両方に開いていてもよい。
【0086】
図10に示すように、正中平面Mに対して平行であり三つの上側当接面62と交差する水平上側平面PHUでとった第三断面において、三つの上側当接面62が第三仮想三角形T3を画成しうる。
【0087】
また図10に示すように、第三仮想三角形T3の三つのコーナは、第一仮想三角形T1の三つの第一二等分平面P1と一致しなくてもよい。
【0088】
本発明の一部の実施形態では、正中平面Mは上側および下側端面22、24の間の中間に位置してもよく、周面26は正中平面Mの周りに鏡面対称を示さなくてもよい。
【0089】
また、本発明の一部の実施形態では、図3および4に示すように、各第一二等分平面P1は正中平面Mと交差して第一二等分軸A1を形成することができ、切削インサート20は三つの第一二等分軸A1のうちのいずれか一つの周りに二回回転対称を示しうる。
【0090】
図11〜17に示すように、本発明の第二態様は、切削体68と少なくとも一つの割出し可能切削インサート20とを有する切削工具66であって、各切削インサート20が切削体68のインサート受け入れポケット70内に取り外し可能に固定された、切削工具66に関する。
【0091】
本発明の第二態様では、図12および13に示すように、各インサート受け入れポケット70は、ベース面72と、ベース面72に対して横方向の間隔をあけた第一および第二ポケット壁74、76とを有する。
【0092】
本発明の一部の実施形態では、各切削インサート20は、中心ボア50を通って延在し、ベース面72のねじ付きボア80を係合するクランプスクリュ78により、それぞれのインサート受け入れポケット70内に取り外し可能に固定されうる。
【0093】
本発明の第二態様では、インサート受け入れポケット70の正面図において、図12に示すように、第一および第二ポケット壁74、76が外部ポケット角δ1を形成する。
【0094】
本発明の一部の実施形態では、ベース面72は平面状でありうる。
【0095】
また、本発明の一部の実施形態では、図13に示すように、ベース面72に対して平行なポケット平面Pが第一および第二ポケット壁74、76と交差して第一および第二仮想交差直線LI1、LI2をそれぞれ形成しうる。
【0096】
また、図12に示すように、第一および第二仮想交差線LI1、LI2の間にポケット角δ1が形成されうる。
【0097】
本発明の一部の実施形態では、ポケット角δ1は、60°より大きく90°以下の値を有し、このようにして切削インサート20がインサート受け入れポケット70内に高いレベルの安定性で取り付けられることを可能にしうる。
【0098】
また、本発明の一部の実施形態では、ポケット角δ1は75°より大きい値を有しうる。
【0099】
さらに、本発明の一部の実施形態では、ポケット角δ1は当接角α1に等しくてもよい。
【0100】
図16に示すように、第一ポケット壁74は平面状であり、ベース面72に対して直角でありうる。
【0101】
図17に示すように、第二ポケット壁76は平面状であり、ベース面72と鈍角の外部第一支持角μ1を形成しうる。
【0102】
本発明の第二態様では、下側支持面36がベース面72と接触し、上側切刃32のうちの一つが有効である各割出し位置で:
三つの配置面34のうちの一つのみが有効であり、第一ポケット壁74と接触し、
三つの下側当接面40のうちの一つのみが有効であり、第二ポケット壁76と接触する。
【0103】
これらの前記接触の場合のほかに、各切削インサート20は、そのそれぞれのインサート受け入れポケット70と追加の接触をしなくてもよい。
【0104】
図14に示すように、有効な上側切刃32と交差する第一二等分平面P1は、有効な配置面34および第一ポケット壁74とも交差する。
【0105】
各第一二等分平面P1が配置面34のうちの一つと交差する本発明の実施形態では、図16に示すように、有効な第一ポケット壁74で作用する切削力に対抗する第一反力F1が中心軸A1およびクランプスクリュ78を通って有利に導かれることを理解されたい。
【0106】
また、各第二二等分平面P2が下側当接面40のうちの一つと交差する本発明の実施形態では、図17に示すように、有効な第二ポケット壁76で作用する切削力に対抗する第二反力F2が中心軸A1およびクランプスクリュ78を通って有利に導かれることも理解されたい。
【0107】
各下側切刃56が全体として下側支持面36よりも正中平面Mの近くに位置し、下側支持面36がベース面72と接触する本発明の実施形態では、図15に示すように、有効でない下側切刃56とベース面72との間にギャップGが有利に提供されることをさらに理解されたい。
【0108】
なお、切削インサート20の端面図において各下側当接面40が第一仮想三角形T1の外側に延在しない本発明の実施形態では、第二ポケット壁76も第一仮想三角形T1の外側に延在せず、このようにしてコンパクトな取り付け設備が達成されることをさらに理解されたい。
【0109】
本発明の一部の実施形態(図示せず)では、上側支持面58がベース面72と接触し、下側切刃56のうちの一つが有効である各割出し位置で:
三つの配置面34のうちの一つのみが有効であり、第一ポケット壁74と接触し得、
三つの上側当接面60のうちの一つのみが有効であり、第二ポケット壁76と接触しうる。
【0110】
これらの前記接触の場合のほかに、各切削インサート20は、そのそれぞれのインサート受け入れポケット70と追加の接触をしなくてもよい。
【0111】
図11に示すように、切削工具66は工具軸A2の周りに回転可能であってもよく、各インサート受け入れポケット70の第二ポケット壁76は全体として第一ポケット壁74よりも工具軸A2から半径方向に遠くに位置しうる。
【0112】
また、図11に示すように、工具軸A2は回転方向Dを画成することができ、各インサート受け入れポケット70のベース面72は回転方向Dに向きうる。
【0113】
本発明の一部の実施形態では、図11に示すように、切削体68は、対向する前方および後方方向F、Rにそれぞれ向いた前方端84と後端86との間に延在する円周壁82を有する円筒形状でありうる。
【0114】
また、図11に示すように、複数のインサート受け入れポケット70が前方端84に隣接して円周壁82に形成されることができ、各インサート受け入れポケット70の第一および第二ポケット壁74、76が前方方向Fに分岐しうる。
【0115】
第二ポケット壁76が第一ポケット壁74よりも工具軸A2から半径方向に遠くに位置し、第一仮想三角形T1の外側に延在しない本発明の実施形態では、図11および14に示すように、有効な上側または下側切刃32、56の後方に位置する円周壁82の逃げ部分88で切削工具66に良好なクリアランスが提供され、このようにして切削工具66がプロファイル加工作業に特に適するようにされることを理解されたい。
【0116】
本発明の一部の実施形態では、図11に示すように、各切削インサート20の有効な上側または下側切刃32、56は、そのそれぞれの上側または下側ノーズ刃部分52、64上に位置する半径方向最外切削点Nを有しうる。
【0117】
また、本発明の一部の実施形態では、セット間で上側および下側ノーズ刃半径R、Rの値が異なる数セットの切削インサート20が、
各セットの配置面34が研削されず、
各セットの下側および上側当接面40、62が研削されず、
各セットのコーナ面30が、各セットの半径方向最外切削点Nが工具軸A2から同じ距離に位置するように研削される
製造方法によって複数の同一のインサート受け入れポケット70内に取り外し可能に固定されうる。
【0118】
未研削配置面34と未研削下側および上側当接面40、62とを有する数セットの切削インサート20は、最小限の研削で同一の素地から効率的に製造されうることを理解されたい。
【0119】
また、各セットの半径方向最外切削点Nが工具軸A2から同じ距離に位置することにより、数セットの切削インサート20が最小限のセットアップ時間で同じ切削体68上に効率的に取り付けられうることも理解されたい。
【0120】
本発明をある程度具体的に説明したが、本明細書の以下に請求される本発明の精神または範囲から逸脱することなく様々な変更および修正が行われうることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17