特許第6934911号(P6934911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6934911
(24)【登録日】2021年8月26日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】静脈電気刺激装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/00 20060101AFI20210906BHJP
   A61M 5/42 20060101ALI20210906BHJP
   A61N 1/04 20060101ALI20210906BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   A61M5/00 500
   A61M5/42 520
   A61N1/04
   A61N1/36
【請求項の数】20
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-99777(P2019-99777)
(22)【出願日】2019年5月28日
(62)【分割の表示】特願2016-515442(P2016-515442)の分割
【原出願日】2014年9月15日
(65)【公開番号】特開2019-155136(P2019-155136A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年6月27日
(31)【優先権主張番号】61/878,869
(32)【優先日】2013年9月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517269770
【氏名又は名称】ノービンタム メディカル テクノロジー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス デイヴィッド ブルース
【審査官】 上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−045562(JP,A)
【文献】 特表2007−524459(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102011015073(DE,A1)
【文献】 国際公開第1999/027991(WO,A1)
【文献】 実開平01−043943(JP,U)
【文献】 特表2009−538173(JP,A)
【文献】 特開2012−228575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
A61M 5/42
A61N 1/04
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気静脈刺激装置であって、
電気出力信号を生成するように構成された信号発生器と、
前記信号発生器から前記電気出力信号を受信するように構成されるとともに対象者と複数の位置で電気連通して配置されるように構成された複数の電極と、
を備え、
前記信号発生器が、
増加する電圧が減少する第1の局所的な最大値を有する第1の電圧の山と、
前記第1の電圧の山に続く電圧の谷であって、減少する電圧が増加する第1の局所的な最小値を有する電圧の谷と、
前記電圧の谷の直後に続き、前記第1の電圧の山より低い第2の電圧の山であって、静脈筋ポンプを作動させるための量の運動筋刺激を達成するように調整できる持続時間を有する第2の電圧の山と、
を含む波形を有し、前記複数の電極によって伝達された場合に対象者の標的静脈の生理機能を非侵襲的に変える、前記電気出力信号を生成するように構成され、前記電気出力信号は、前記第1の電圧の山と前記電圧の谷との間に、前記標的静脈の感覚神経を安静にするトリガーとなり、スタンバイ電圧にリセットする部分を有し、前記第2の電圧の山のより長い持続時間が前記運動筋刺激の量を増加させる、電気静脈刺激装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記電極のうちの第1の電極が、前記電気出力信号を前記対象者の一方の手足に与えるように構成され、前記電極のうちの第2の電極が、前記電気出力信号を前記対象者の前記手足または前記対象者の他方の手足に与えるように構成されることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記波形が前記対象者の静脈の針刺し部位にて痛み信号を抑制するようにさらに構成されることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記電気出力信号の前記波形が、前記第2の電圧の山と対象者への出力電圧がゼロの期間とのあいだの2つの局所的な最小値を有する第2の電圧の谷と、前記出力電圧がゼロの期間の後の対象者のベースライン状態と、を含むことを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記電圧の谷に送達される出力電圧は、前記電気出力信号の正の部分を取り消し、神経の極性回復することを可能にするように神経の信号と釣り合っていることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記信号発生器が、
前記対象者の静止電位を測定し、前記静止電位にもとづき刺激の次のシーケンスを準備するようにプログラムされることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記信号発生器が、
前記対象者の電気抵抗およびキャパシタンスにもとづき生体電気フィードバックをモニタリングし、前記生体電気フィードバックにもとづき後続する出力信号を自動調整するようにプログラムされることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記第1の電圧の山が前記標的静脈を囲む筋を刺激することを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記信号発生器のための電源をさらに備えることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項10】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記電気出力信号が、前記第2の電圧の山に続くゼロ電圧部分を含むことを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項11】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記電気出力信号が、1ミリアンペア未満の電流、4から12ヘルツの間の周波数、および0ボルトと90ボルトの間の出力電圧を持つAC信号であることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項12】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記標的静脈が膨張させられることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項13】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記信号発生器によって生成される前記電気出力信号を前記電極に提供するように構成された電気リードであって、該電気リードのそれぞれが、前記電極のそれぞれを前記信号発生器に接続する、電気リード、をさらに備えることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項14】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記第1の電圧の山の大きさを調整するように構成された可変コントロールをさらに備えることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項15】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記第1の電圧の山の大きさが約40ボルトまで可変であることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項16】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記信号発生器が、
電源スイッチと、
集積回路を含む発振器と、
入力に応答して前記第1の電圧の山の大きさを調整するように構成された可変コントロールと、
出力回路と、をさらに備え、前記出力回路が、
演算増幅器およびコンデンサを含む第1段と、
センタタップトランスを含む第2段と、を備えることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項17】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記電極のそれぞれが、粘着剤層が片側に配置されている電極パッドを備えることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項18】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記複数の位置が前記対象者の手足における位置を含むことを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項19】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記複数の位置の1つが前記対象者の手であることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【請求項20】
請求項1に記載の電気静脈刺激装置であって、
前記複数の位置の1つが前記対象者の腕であることを特徴とする電気静脈刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者の静脈から採血する、患者の静脈を介して流体または薬物を投与する、または患者の静脈内に末梢静脈内カニューレを挿入する助けとなるように、改善された静脈アクセスを提供するための医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2014年9月15日にPCT国際特許出願として出願されており、2013年9月17日に出願された米国特許仮出願第61/878,869号の優先権を主張し、その開示をその全体として参照により本明細書に組み込む。
【0003】
医療患者において末梢静脈アクセスを得るための1つの標準的な慣行が、80年にわたって著しくは変化していない。典型的には、この標準的な慣行は、患者の腕の上部にあてがわれた止血帯の使用を含む。止血帯をあてがうことにより、心臓への血液の流れが停止し、動脈および毛細管から使用可能などんな圧力でも静脈を充填し膨張させることが可能になる。次いで、医師、補助医師、救急医療技師、または看護師など医療従事者は、針を用いて膨張した静脈にアクセスし、採血し、または薬物もしくは他の流体を投与するために膨張した静脈内に末梢静脈カテーテルもしくは他のそのようなカニューレを挿入することができる。これは有痛性の、時には危険な、時間がかかる不正確な方法である。
【0004】
大多数の患者において、この手法は、血液学分析のための採血のために、あるいは静脈内カニューレを配置し、それだけには限らないが膨張剤(たとえば、コロイド(たとえば、血液、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ、基質除去ヘモグロビン)、クリスタロイド(たとえば、通常の生理食塩水、乳酸リンゲル液、グルコース/デキストロース、ハートマン溶液)、血液ベースの産物(たとえば、赤血球、血漿、血小板)、血液代用剤(たとえば、酸素担持代用薬)、緩衝液(たとえば、静脈内炭酸水素ナトリウム、乳酸リンゲル液)、栄養配合物(たとえば、末梢非経口栄養)を含む流体、またはそれだけには限らないが抗生物質、鎮痛薬、もしくは化学療法を含む薬物を患者の血流内に投与するために十分なものである。しかし、大抵の患者、たとえば老年患者または癌治療患者において、静脈アクセスを得ることは、いくつかの理由で困難かつ問題となる可能性があり、これにより、医療従事者は、患者の静脈への静脈内アクセスをうまく得るために、何度も繰り返し試行することを必要とすることになり得る。患者において静脈アクセスを得ようと繰り返し試行することは、血腫、周囲の組織内への流体浸潤(これは、化学療法物質と共に、激しい局所的反応を引き起こす可能性がある)、痛み、ショック、不快感、血管収縮を含む様々な有害な問題を引き起こすことがあり、緊急の状況では、従事者が中心静脈アクセス手法、または静脈へのアクセスを得るための「静脈切開」(組織を開くこと)に切り替えることを必要とし得る。
【0005】
これらの問題が生じ得る多くのタイプの患者がある。高齢患者または老年患者は、弱い静脈を有することが多く、または脱水による末梢の機能停止を受ける。小児患者および出生時(新生児)患者は、小さな静脈および身体の著しい未熟により、静脈アクセスを得ることが特に困難である。外傷、ショック、または脱水を通じて血液体積を失った患者(ERおよび救急医療患者、交通事故または軍事的戦闘で負傷した患者、圧挫被害者、飢餓被害者など)は、末梢の機能停止を受ける可能性が高く、静脈を突き止め浮き出させることを困難にするが、従事者が最も迅速に静脈アクセスを得ることを必要とする患者であることがしばしばである。肥満患者は、医療従事者が静脈アクセスを得るために静脈を突き止め浮き出させる際に困難に遭遇する別の患者グループである。癌治療患者もまた、とりわけ静脈炎により、医療従事者が静脈アクセスを得ることが困難である。
【0006】
静脈穿刺のための標的静脈を突き止め、または適正かつ成功裏の静脈穿刺がいつ達成されたか決定するために、他の方法およびデバイスが使用されている。しかし、そのようなデバイスおよび方法は、受動的かつ非侵襲性のデバイスおよび技法であるか、または静脈内の針の位置を決定するために、実際に最初に標的静脈の穿刺を必要とする侵襲性の機械的デバイスおよび技法(これは、他の方法で標的静脈を突き止める、または針を標的静脈内に挿入する容易さを高める助けとならない)である。受動的な技法およびデバイスの一例は、患者の皮膚を通して、患者の標的静脈内の赤血球内の、下にあるイオンの反射率を読み取ろうとして患者の皮膚に接して配置された可視または紫外の強い光源の使用である。この受動的な技法は、標的静脈を突き止める助けとなり得るが、成功裏に静脈穿刺を達成する容易さを高めない。さらに、静脈は、医療従事者が針を挿入しようと試みるとき、しばしば針から動いて遠ざかることになる。管腔を穿刺しその中での位置を決定することを必要とする能動的な機械デバイスを使用することの欠点は、静脈穿刺を実施する機械が遠くへ進みすぎ、針を押して標的静脈の反対側に完全に抜けた場合、その結果、静脈の二重貫通(double penetration)となり、針の先端を静脈の管腔内に引き戻すことを必要とすることである。したがって、そのような機械的技法は、第2の静脈穿刺から血液が漏れ、患者内で血腫を引き起こすおそれがある二重貫通の可能性を許してしまう点で欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0082517号
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0177184号
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0088986号
【特許文献4】米国特許第5562718号
【特許文献5】米国特許第4459988号
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/0156958号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、手、腕、足、または脚内の患者の静脈を膨張させ、医療従事者によるより容易な静脈アクセスを可能にする、より迅速、確実、痛みの少ない、効率的、安全、かつ反復可能な方法が求められている。さらに、老年患者、小児患者、出生時患者、および外傷患者を含むより広い患者範囲にわたって患者の手、腕、足、または脚内の静脈のより迅速、確実、かつ反復可能な膨張または拡張を引き起こし、静脈アクセスを得る際に医療従事者の助けとなることができる医療装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
大まかに言えば、本開示は、電気静脈刺激を対象とする。可能な一構成では、また非限定的な例として、電気静脈刺激を使用し、静脈への改善されたアクセスを提供する。本開示では、それだけには限らないが以下の態様を含む様々な態様について述べられている。
【0010】
一態様は、対象者内の標的静脈を対象者の皮膚の表面下から膨張させるための電気静脈刺激装置であって、電源と、電源によって給電され、指定された電気出力信号を生成するように構成された信号発生器と、信号発生器と電気連通する、かつ対象者と電気連通して配置されるように構成された複数の電極とを備え、電気出力信号は、出力電圧、電流、および予めプログラムされた反復するサイクルで時間と共に変化する波形を含み、出力電圧、電流、および波形は、対象者内の複数の末梢神経を刺激し、対象者の1本以上の手足における静脈筋ポンプ機構を作動させ、標的静脈の生理機能を非侵襲的に変える生理学的応答を引き出すように構成され、標的静脈が対象者の皮膚の表面下で膨張される、電気静脈刺激装置である。
【0011】
他の態様は、末梢標的静脈を刺激し、静脈を対象者の皮膚の表面下で膨張させ、静脈穿刺を容易にする方法であって、電気静脈刺激装置を用いて調整可能な電気出力信号を生成するステップであって、信号は、調整可能な出力電圧、調整可能な電流、および対象者内の標的静脈を対象者の皮膚の表面下で膨張させる対象者内の生理学的静脈応答を引き出すように構成された調整可能な出力電圧波形を含み、電気刺激装置は、調整可能な電気信号を生成するように構成された電動式の信号発生器と、信号発生器と電気連通する、かつ対象者と電気連通して配置されるように構成された複数の電極とを備える、ステップと、複数の電極を介して対象者に出力信号を送信するステップとを含む方法である。
【0012】
他の態様は、対象者の静脈の針刺し部位にて痛み信号を抑制する方法であって、電気静脈刺激装置を用いて調整可能な電気出力信号を生成するステップであって、信号は、調整可能な出力電圧、調整可能な電流、および対象者内の標的静脈を対象者の皮膚の表面下で膨張させる対象者内の生理学的静脈応答を引き出すように構成された調整可能な出力電圧波形を含み、電気刺激装置は、調整可能な電気信号を生成するように構成された電動式の信号発生器と、信号発生器と電気連通する、かつ対象者と電気連通して配置されるように構成された複数の電極とを備えるステップと、複数の電極を介して対象者に出力信号を送信し、それにより、末梢神経を刺激し、対象者の少なくとも1本の手足内で静脈ポンプ機構を作動させるステップとを含む方法である。
【0013】
他の態様は、人の静脈にアクセスする方法であって、人の手足の一部分を容器内に受け取るステップと、電解液を容器内に供給するステップであって、電解液が手足の一部分に接触する、ステップと、電気信号発生器によって生成された少なくとも1つの信号で手足の一部分を電気刺激するステップであって、電気信号は、電解液と接触する少なくとも1つの電極によって電解液に与えられる、ステップと、電気刺激に応答して、人の手足内の少なくとも1つの静脈を膨張させるステップと、静脈にアクセスするために、静脈が膨張している間に静脈内に針の先端を挿入するステップとを含む方法である。
【0014】
他の態様は、採血するとき、またはカテーテルなど静脈内カニューレを静脈内に挿入するとき医療従事者が静脈アクセスを得ることを容易にするために、患者の手足内の末梢静脈を一時的に拡大し膨張させるための静脈電気刺激装置である。静脈電気刺激装置は、静脈の解剖学的部分を形成する1つ以上の筋を、静脈の管腔の円周を拡大させるように刺激するように構成され、したがって、標的静脈を皮膚に押し付けさせ、同時に、静脈内の血液の総体積を増大する助けとなり得る標的静脈内の真空を生み出し、これもまた静脈穿刺を実施するのをより容易かつ安全にする助けとなる。
【0015】
他の態様は、1対の電気出力端子を有する信号発生器と、信号発生器と電気連通する電源と、近位端で信号発生器の出力端子と電気連通する少なくとも1対の電気リードと、リードの近位端と電気連通し、電気信号を患者(または対象者)内に導入するように構成された少なくとも1対の電極とを含む装置である。患者または対象者は、ほ乳類、より具体的には人間とすることができる。
【0016】
他の態様では、装置は、従来使用されている、または止血帯の使用を必要とする受動的な手段を使用するのではなく、活性電気信号を使用して、患者の手足内での静脈穿刺のために標的にされる末梢静脈の生理機能を非侵襲的に変えるように構成される。本開示の一態様では、装置によって患者の皮膚に与えられる活性信号は、生理学的応答および標的静脈の状態/挙動の変化を引き出し、静脈を血液で充填し膨張/拡大させ、より剛直にさせ、したがって皮膚を通した静脈の視認性を高める。このようにして、そのような装置および方法を使用すると、医療従事者が成功裏に、かつ適正に静脈穿刺を達成することが容易になる。標的静脈内またはその周りの組織の生理機能を非侵襲的に変化させ、標的静脈を突き止め、何度も試行する必要なしに成功裏に、かつ適正に静脈穿刺を達成する容易さを高める助けとなる他の能動デバイスは、現在存在しない。
【0017】
他の態様では、電気信号発生器は、複数のコンデンサおよび抵抗器と、出力電圧を調整するための少なくとも1つの電位差計とを含む。電気信号発生器は、出力信号を調整するように較正されたプログラミングをさらに含み、出力信号は、出力電圧、出力電流、出力電圧波形、および/または時間の経過につれて患者に加えられる信号周波数のうちの1つ以上を含むことができ、患者の手足の運動筋内の静脈ポンプ作用を刺激し、患者の末梢静脈の膨張を引き起こす。一実施形態では、電気信号発生器は、出力電圧、および出力電圧波形の形状を変化させるように構成される。出力電圧は、どれだけの数の筋繊維が招集され興奮させられるか(すなわち、波形の筋刺激部分)、ならびにシナプス接合部にわたって神経インパルスを興奮させるためにどれだけのエネルギーが使用されるかを決定する。出力電圧波形の形状は、どの情報が脳に伝えられるかを決定する。
【0018】
他の態様では、生成される電気信号は、1ミリアンペア未満のAC信号であり、電位差計からの出力電圧は、0から90ボルトの範囲内にある。
【0019】
他の態様では、電気信号発生器は、患者の手足の上にある皮膚に与えられる特定の事前定義された出力電圧波形を生成する。生成される電気波形の一部分は、標的静脈を囲む小さい筋が物理的応答を示し、筋拡張および筋収縮を引き起こす周波数、デューティサイクル、パルス幅、および電圧に特に調整される。この事前定義された波形、および静脈内の得られる応答は、静脈を剛直にし、それらの円周を拡大する。事前定義された波形の別の部分は、皮膚内の近くの神経を刺激し、針刺しに起因する身体内の痛み信号を無効にする。この神経刺激は、通常、静脈穿刺に伴う痛みおよび不安を低減する。電気信号のさらに別の部分は、エンドルフィンを身体に解放するように脳を刺激し、それにより患者の不安を低減する。
【0020】
本開示の他の態様は、外部電気刺激装置を使用して末梢神経を刺激し、患者の手足内の静脈ポンプ機構を作動させ、それにより末梢神経を膨張させ、皮膚の表面下でより見えるようにすることによって、患者内の末梢静脈アクセスを医療従事者に提供し、一方、静脈の針刺し部位にて痛み信号を抑制する方法である。
【0021】
他の態様では、緊急でない患者については、本明細書に開示されているいくつかの実施形態を使用する1つの利益は、静脈アクセスを獲得する医療従事者によって費やされる時間の削減、および医療従事者が従来、静脈アクセスを得るのが困難であった患者グループにおける静脈アクセスの試行に失敗する数の削減である。さらに、緊急の状況では、また緊急の患者については、迅速に静脈アクセスを得る能力を有することは、臍脈管液および/または薬物が投与され得る速度を増大し、それにより生活の時間(vital minutes)および患者の生命を潜在的に守ることができる。
【0022】
図は例示的のためのものにすぎず、必ずしも原寸に比例して示されていない。しかし、本開示は、添付の図面と併せ読めば、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の電気静脈刺激および拡張装置の例示的な実施形態の上部正面等角投影図である。
図2】例示的な電気信号発生器の内部回路および電気構成要素を露出するように開位置にある電気信号発生器のカバーを示す、図1の電気静脈刺激および拡張装置の上面等角投影図である。
図3図1の電気静脈刺激および拡張装置の別の上面等角投影図である。
図4】使用する準備ができている装置を示し、装置の信号発生器に電気接続されている電解液の容器内に患者が指先を配置している、図1の電気静脈刺激および拡張装置の別の上部正面等角投影図である。
図5】使用中の装置を示し、患者の静脈の膨張および突出を示す、図1の電気静脈刺激および拡張装置の別の上部正面等角投影図である。
図6】本開示の電気静脈刺激および拡張装置の信号発生器の一実施形態の電気図である。
図7図6に示されている信号発生器によって生成されるものなど、出力信号の1サイクルについての出力電圧対時間の波形グラフである。
図8】別の例示的な波形を示す波形グラフである。
図9】別の例示的な波形を示す波形グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
様々な実施形態について、いくつかの図を通して同様の符号が同様の部分およびアセンブリを表す図面を参照して詳細に述べる。様々な実施形態を参照することは、添付の特許請求の範囲を限定しない。さらに、本明細書に記載の例は、限定するものとすることは意図されておらず、添付の特許請求の範囲について多数の可能な実施形態のいくつかを示すにすぎない。
【0025】
本開示は、様々な形態での実施形態が可能であるが、本開示が本発明の例示とみなされるべきであること、本発明を本明細書に示されている特定の実施形態に限定することは意図されていないことを理解して、1つ以上の現在好ましい実施形態が図面に示されており、以下で述べられることになる。見出しは、便宜上提供されているにすぎず、本発明を限定するものとは決して解釈すべきでない。どの見出しの下に示されている実施形態も、任意の他の見出しの下に示されている実施形態と組み合わされてもよい。
【0026】
図1〜5を参照すると、患者の腕または他の手足を通して電気信号を送達し、患者の手および/または腕内の静脈を膨張または拡張させ、それにより皮膚の周囲の表面下でより見えるようにするように構成された電気刺激装置1が本明細書に概して示されている。そのような信号は、1本の手足に直接、たとえば1本の手足に沿って、その手足を上って、脊椎にわたって、および/または他の手足を下って送達することができる。それを行う際に、刺激装置は、患者の腕または手内の末梢静脈をより見えるようにし、それにより採血、または末梢静脈カニューレを挿入するために静脈アクセスを医療従事者に提供する。この装置は概して、1対の電極または他の電気信号送達デバイスによって患者の手および/または腕(または他の手足)と電気連通して配置され、これは、デバイスを患者の腕に接続し、患者の電気的に接続された手足を通して所定の電気信号を送達する。
【0027】
したがって、静脈は、電気刺激を受けている間、血液で充填され、静脈内の内圧を増大する。静脈内の増大された圧力は、静脈をより剛直にし、それにより針または他の静脈内カニューレを挿入するために必要とされる物理抵抗または力を増大する。標的静脈の増大された物理抵抗は、医療従事者が、静脈内に針を挿入するための改善された物理的な感触を有することを、また針の先端が静脈の中央管腔内に正しく挿入された場合を針が静脈を刺し貫いた場合(これは、深刻な医療合併症を引き起こす可能性がある)からよりよく区別することを可能にする。
【0028】
一般に、電気刺激装置1は、電気信号発生器10と、信号発生器と電気連通し、そこに電力を供給するように構成された電源12と、近位端で電気信号発生器の複数の電気出力端子16に接続された少なくとも1対の電気リード14と、電気リード14のそれぞれの遠位端に接続された少なくとも1対の電極18とを備える。
【0029】
電源12は、たとえば9ボルトバッテリ、他の電圧のバッテリ、または充電式バッテリなど、可搬の電源であってもよい。あるいは、電源は、壁内の典型的な電力コンセント内に差し込まれる標準的な電力コードを使用してもよい。
【0030】
電気信号発生器10の一例が図6に示されている。電源12、電気リード14、容器28、および電解液30もまた図6に示されている。いくつかの実施形態は、1つ以上のリード14、電極18、および容器28に結合された2つ以上の電気信号発生器10を含む。
【0031】
電気信号発生器10は、図7〜9を参照して示されている、または述べられている波形のうちの1つ、または別の好適な波形を有するものなど電気出力信号を生成するように動作可能な電子回路20を備える。いくつかの実施形態では、電子回路20は、互いに電気連通する抵抗器、コンデンサ、トランス、およびマイクロプロセッサのうちの1以上などエレクトロニクスを含む。図6に示されている例では、電気信号発生器10の電子回路20は、電源スイッチ50、発振器52、可変コントロール54、および出力回路56を含む。この例では、発振器52は、マイクロコントローラ62など集積回路を含む。出力回路56は、演算増幅器64、66およびコンデンサ68を含むものなど第1段58と、トランス70を含む第2段60とを含む。第2段60の出力は、出力端子16を形成し、出力端子16は、リード14および電極18に電気的に結合され、出力信号を患者に送達することができる。
【0032】
発振器52は、初期発振信号を生成するように動作する。この例では、発振器は、方形波発生器を含む。方形波発生器の一例は、米国アリゾナ州チャンドラーのMicrochip Technology Inc.から入手可能な8ピン、フラッシュベースの8ビットCMOSマイクロコントローラ、部品番号PIC12F675である。方形波発生器の別の例は、555タイマである。方形波発生器は、方形波信号を作り出し、方形波信号は、0ボルトと5ボルトの間など、低電圧と高電圧の間で発振する。この例では、方形波は、4Hzから12Hzの範囲内の周波数を有する。一例として、周波数は、7.83Hzである。この範囲内の周波数は、刺激後、次の刺激前に、患者内の神経に極性回復する時間を与えるので、より速い周波数より好ましいことが判明している。この周波数は、神経がより素早く極性回復することができる健康な人についてより高いものとすることができ、一方、この周波数は、一般に、神経が極性回復するためにより多くの時間を必要とする健康でない人についてより低いものである必要がある。
【0033】
いくつかの実施形態では、信号発生器10は、信号発生器10の電子回路と電気連通する1つ以上の電位差計22、24など可変コントロール54を含む。1つ以上の可変コントロール54は、医療従事者、患者、または別の人など操作者が、信号の大きさを増大または減少させるためなど、信号発生器10によって生成される信号の大きさを調整するために入力を提供することを可能にする。この例では、信号発生器内にある各電位差計22、24は、それ自体のリード14および電極18を有しその電圧が可変コントロール54に結合されたそれ自体の強度調整ノブによって調整される別個の出力電圧チャネル(それぞれがそれ自体の信号発生器10を有する)に対応し、可変コントロール54は、リード14および電極18を介して信号発生器10から患者に送られるチャネルの出力電圧を調整/設定する。患者が受ける出力電圧を調整することができることにより、患者は、電圧を快適なレベルに調整して下げることができ、したがって、これは、デバイスの使用に関する患者の不安を下げることに貢献し、したがって、標的静脈内の血液の量を減少させ得る不安またはストレスによって誘発される血管収縮の機会を低減する。
【0034】
一実施形態では、信号発生器10は、2つの可変コントロール(たとえば、電位差計22、24)を含み、したがって、それぞれがそれ自体の信号発生器10を有する2つの別個の出力電圧チャネルを有することができ、各強度ノブおよび可変コントロール54が出力電圧を、2つの出力電圧チャネルのそれぞれに対応する電極の2つのセットに沿って患者に送られるように別々に調整する。2つの電位差計の第1の電位差計22、およびそのそれぞれの出力電圧チャネルは、標的静脈をふくらます、または膨張させるように構成される出力電圧を患者に与える。2つの電位差計の第2の電位差計24、およびそのそれぞれの出力電圧チャネルは、痛みに関連する神経信号を遮断することによって針刺し部位での痛みを止めるように構成される出力電圧を患者に与える。本実施形態では、2つの出力電圧チャネルは同一であるが、代替の実施形態では、各電位差計は、異なる範囲で出力電圧を調整するように構成されてもよい。2つの別個のチャネルを有し、それぞれが出力電圧を調整する能力を有することにより、刺激装置1を、足、首、肘、または他のそのような標的静脈部位内の標的静脈に適応するように構成することができる。
【0035】
この例では、信号発生器10の電子回路20は、出力回路56をさらに含む。この出力回路は、発振器52によって生成される方形波信号を、図7〜9の1つに示されている波形を有するものなど所望の出力信号に変換するように動作する。
【0036】
出力回路の第1段58は、演算増幅器64、66とコンデンサ68とを含むエレクトロニクスを含む。第1段58は、ユーザからの入力を受け取り、信号発生器10によって生成される信号の大きさを調整するために可変コントロール54に結合される。この例では、可変コントロール54は、可変抵抗を提供する電位差計である。可変コントロール54は、演算増幅器64の入力に電気的に結合される。可変コントロール54によって提供される信号の電圧は、可変コントロールが調整されたとき変化する。演算増幅器64は、この例では、ユニティゲインバッファ増幅器として構成される。いくつかの実施形態では、可変コントロールは、出力電圧の大きさを、その大きさが0ボルトから40ボルトまで調整可能であるように調整するように動作する。いくつかの実施形態では、最大出力電圧は、40ボルトの±10%内である。他の実施形態は、出力電圧の他の範囲を有する。いくつかの実施形態では、送達される電流は、患者の自然電気抵抗、刺激される表面積、または接続媒質(たとえば、水対ゲル)の導電率、自己粘着性電極、皮膚上の油の量、患者のキャパシタンス、ならびに脱水および患者のストレスレベルなど他の技術的/解剖学的要因など、他の要因に依存する。
【0037】
発振器52は、方形波出力を生成し(たとえば、ピン7)、次いでこれがコンデンサ68に供給される。コンデンサ68は、方形波信号を、鋭い電圧遷移を有する前縁と、それに続く電圧が次第に弱まる後縁とを有する一連のパルスに変換する。次いで、信号は第2段60に提供され、そこで非反転構成で配置された演算増幅器66を含む増幅器を使用してなど、さらに濾波および増幅される。
【0038】
次いで、増幅された信号は、信号を増幅および整流するように動作するトランス70を含む第2段60に提供される。
【0039】
いくつかの実施形態では、トランス70は、不等の巻き線比を有する。一例として、トランスは10:1トランスであり、これは、出力で電圧を増大するように昇圧構成で配置される。他の可能な実施形態では、トランスは、降圧構成で配置することができる。他の実施形態は、他の巻き線比を有する。他の実施形態では、出力はまた、トランスを使用することなしに第2段内で生成され得る。
【0040】
この例では、トランス70は、センタタップトランスである。第1段58によって精製される発振信号は、1次巻き線およびセンタタップに提供され、1対のダイオードと共に動作し、出力信号を整流する。出力信号は、2次巻き線で生成され、出力端子16に供給される。1次巻き線対2次巻き線の比は、トランス70によってもたらされる増幅を決定する。
【0041】
いくつかの実施形態では、回路20は、出力信号を自動的に変えるように構成される電子構成要素および/またはプログラミングをさらに含み、出力信号は、可変コントロール(たとえば、電位差計22、24)を調整する必要なしに、時間の経過につれて変動する出力電圧、出力電流、出力電圧波形の形状、および/または出力信号の周波数のうちの1つ以上を含むことができる。一実施形態では、出力信号は、マイクロプロセッサにおいて特定のコンピュータコードまたはソフトウェアプログラムを実行することによって、時間の経過につれて変化され得る。他の実施形態では、出力信号は、信号発生器10の回路内に典型的な点滅発光ダイオード(LED)63を含むことによって安価に、ランダムに変化され得る。点滅LEDは、電力が供給されたとき自動的に明滅し、「オン」状態と「オフ」状態の間で交番し、2つの状態間の点滅の周波数は、入力電圧に依存する。一実施形態では、点滅LEDは、マイクロプロセッサの下流、および電極によって患者に取り付けられる出力リードに接続される増幅回路の上流で電子回路内に配置される。「オン」状態と「オフ」状態の間で発振する点滅LEDは、出力電流を絶えずオンとオフに切り替えており、時間の経過につれて、点滅LEDの点滅周波数に従って、信号発生器10に電気出力信号および電圧を変動させる。このようにして、LEDは、信号発生器からの出力信号のための反復タイマとして働く。また、LEDの周波数はその入力電圧に依存するので、電位差計からの電圧を調整することにより、無限に可変の出力信号を患者に与えるように、点滅LEDの周波数が変化することになる。
【0042】
さらに、安価な点滅LEDの場合と同様に、点滅LEDを作製するために使用される構成要素の品質を下げるほど、所与の電圧について点滅の周波数の一貫性または安定性において、より多くの変動またはランダム性があることになる。したがって、より低い品質の点滅LEDは、より高い品質の点滅LEDのものよりランダムな点滅パターンを提供する。したがって、一実施形態では、信号発生器10から患者に送られる電気信号の周波数におけるより多くのランダム性を達成するために、本明細書に開示されている回路内でより低い品質の点滅LEDを使用することは、有益となり得る。
【0043】
代替の実施形態では、時間の経過につれて出力信号および電圧を変動させる追加の方法が、本開示の範囲から逸脱することなしに、本明細書において企図されている。出力信号を本明細書に記載のように変動させることにより、患者の身体は、短い暴露の後で静脈系が普通ならもはや応答しなくなる一定の出力信号におそらくは慣れてしまうのではなく、変化する出力信号に絶えず反応している。
【0044】
信号発生器10はまた、電気刺激装置1を使用する医療従事者に、装置への電力がいつ「オン」にされたかについて示すために、LEDまたは他の点灯式のインジケータなど、少なくとも1つのインジケータ32を含むことができる。電気信号がいつ患者に送られているかを示すために、追加のインジケータが含まれてもよい。一実施形態では、インジケータは、両機能を実施してもよいが、代替の実施形態では、2つの機能のそれぞれを伝えるために、別個のインジケータが使用されてもよい。
【0045】
装置1は、リアルタイムの出力電圧および信号、初期設定の出力電圧および信号、障害状態、刺激装置の障害診断情報、または望まれ得るそのような設定、出力、もしくはフィードバック情報を医療従事者に伝え、医療従事者のために表示するように構成されたプログラミングおよび/または表示画面をも含むことができる。他の実施形態では、装置1は、患者に送られるリアルタイムの電気情報(たとえば、電気信号および/または電圧対時間)をグラフィカルに表示するように構成されたディスプレイを含んでもよい。他の実施形態では、刺激装置1は、本明細書に開示されている情報のいずれか/すべてを表示するために別個のスタンドアロンの外部ディスプレイに装置が接続されることを可能にするように構成されるデータ出力プログラミングおよび関連の出力コネクタを含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、電子回路20は、1つ以上の回路板上に配置される。回路板は、少なくとも1つの基板層を含み、典型的には、電子構成要素間の電気接続をなすために、電気トレースの少なくとも1つの層がその上に形成されている。いくつかの実施形態では、電気信号発生器10は、回路板上に形成される。
【0047】
出力信号は、近位端で信号発生器10に、また遠位端で1対の電極18に接続された2本の電気リード26によって信号発生器10から患者の身体に送られる。本開示の一実施形態では、電極18は、患者の指および親指の先端(またはそれ以上)の少なくともいくつかが沈められる電解液30を保持するように構成される、たとえば1対のマニキュア爪の浸漬ボウルまたは他のそのような同様の容器など、1対のカップまたは他の容器28として構成されてよい。いくつかの実施形態では、電極は、粘着剤によって容器の内部に締結される、または容器内に成形されるなど、容器28に接続され、または他の方法で関連付けられる。また、電極は、いくつかの実施形態では、容器にしっかり締結されることなしに容器内に配置することができる。いくつかの実施形態では、容器が電極として機能するように、容器は導電性である。いくつかの実施形態では、容器は、手の指の少なくとも先端、または足の爪先を受け入れるようにサイズ設定され形作られた1つ以上の陥凹領域を含む。電解液を使用する目的は、患者が自分の指を中に配置することができる、また電気信号がそれを通して患者に送達され得る導電性の液体媒質を提供することである。一実施形態では、電解液は、鉱物と水の混合物であってよい。しかし、代替の実施形態では、電解液は、電気リードと患者の皮膚との間の導電率を高めるために使用される任意の他のタイプの溶液であってもよい。
【0048】
先の実施形態は、指先を電解液内に配置することを可能にするための小さい容器として構成された電極を開示したが、電極はそのような実施形態に限定されるべきでなく、代替の実施形態では、望むように代替の構成を有することができる。たとえば、代替の実施形態では、電極は、それだけには限らないが腕および/または脚を含めて、患者の手全体、足、または患者の身体の任意の部分を、信号発生器と電気連通する電解液内に沈めることを可能にする代替のサイズの容器であってもよい。代替の実施形態では、電極は、導電性のゲルまたは粘着剤層が片側に配置されている1対の導電性電極パッドとして構成され、電極パッドが患者の皮膚に粘着する助けとなるように、また導電性パッドと患者の皮膚との間の良好な電気接続をなす助けとなるようにしてもよい。そのような電極パッドは、経皮的末梢神経電気刺激(TENS)デバイスまたは可搬の除細動器で使用されるものに類似のものであってよい。さらに、代替の実施形態では、電極は、接触ベースの電極である金属ピンタイプのプローブまたは金属プレートのうちの1つ以上であってもよい。代替の実施形態では、電極は、機械構造においてパルスオキシメトリを測定するために使用されるものと同様なフィンガクランプタイプのプローブであってもよい。追加の実施形態では、これらの電極は、本明細書における開示の範囲から逸脱することなしに、導電性の衣類、または代替の物理的構成を有するそのような接触ベースの電極であってもよい。追加の実施形態では、これらの電極は、磁界を生成する1つ以上の電磁石として構成されてもよく、その磁界内に、患者が自分の手、足、または手足を配置することができる。電磁界は、磁界に対する変化を介して患者の身体内に相補的な電気信号を生成するように構成される。そのような実施形態では、患者は、信号発生器に直接接続されない。
【0049】
一実施形態では、電極を通じて患者の手足に送られる信号発生器10からの電気信号出力は、交流信号(AC)である電気信号を含む。一実施形態では、患者に送られるAC信号は、7.83Hz(または1秒当たり7.83回の完全な交流サイクル)の周波数を有する。これは、出力回路が1秒当たり7.83回遮断されることを意味する。7.83Hzのこの周波数は、一実施形態では、患者の神経に成功裏の出力信号間で極性回復する時間を提供し、したがって次の後続の出力信号のために準備をする時間を有するように選択された。神経に極性回復することを可能にする適切な時間を提供することにより、信号発生器10によって生成される信号は、電極の近傍における皮膚、神経、および筋に対して一貫した効果を有する。
【0050】
しかし、上記の実施形態は7.83Hzの周波数で動作するが、出力信号の周波数は、そのような指定された周波数だけに限定されると読まれるべきでなく、代替の実施形態では、AC信号またはDC信号は、本開示の範囲から逸脱することなしに、異なる周波数を有することができる。代替の実施形態では、出力信号の周波数は、信号発生器の特定の回路設計に応じて、任意の代替の周波数であってよい。たとえば、代替の実施形態では、異なるデューティサイクルまたは出力サイクル、さらには後で開発される異なる波形が、異なる周波数を使用することができる。さらに、代替の実施形態では、信号発生器10は、異なる年齢の患者間の生理学的な差、患者の循環系開存性、ならびに患者の身体の他の生物医学的および/または生体電気的側面に関連する検知されたフィードバックに基づいて、出力信号の周波数または波形を調整するように構成されてもよい。一実施形態では、信号発生器10内のマイクロプロセッサは、より薄い皮膚、より敏感な皮膚、出血に敏感な皮膚など、通常、老齢化患者に伴う変化について出力信号を調整するプログラミングをさらに含んでもよい。
【0051】
一実施形態では、電位差計22、24のうちの少なくとも1つによって送られる信号発生器10からの出力電圧は、最初に、0ボルトと90ボルトの間の範囲内となるように設定される。他の実施形態では、2つの出力電圧チャネルのそれぞれが、0ボルトと90ボルトの間の範囲内となるように設定されてもよい。しかし、代替の実施形態では、電位差計22、24は、本明細書に開示されているものより大きい、またはより小さい出力電圧範囲を有してもよく、本開示の範囲から逸脱することなしに、そのようなより大きい、またはより小さい出力電圧範囲内で、それぞれ初期出力電圧値に選択可能に設定されても、新しい出力電圧値に調整されてもよい。
【0052】
フィードバックシステム
信号発生器10は、出力信号の各連続するサイクル間の時間中、患者の身体の抵抗およびキャパシタンスを測定するように構成される積分フィードバックシステムをさらに含むことができる。一実施形態では、フィードバックシステムは、患者に送られる出力信号を調整するために、患者の身体の電気抵抗および容量性抵抗(すなわち、電気的な背圧)、ならびにそれらに対する任意の変化に応答する10対1(10:1)オーディオトランスを使用する。各人体は、電気抵抗を提供する。この抵抗は、身体の重量、水分過剰などで変化し得る。この電気抵抗はまた、治療中に変化し得る。信号発生器10は、オーディオトランスを使用し、患者の身体の電気抵抗を測定し、それに応答して、信号の一部として患者に伝達される出力電圧および/または電流を適切に変える。それを行う際、信号は、フィードバックシステムからのフィードバックに基づいて変えられ、治療に対する患者の身体的応答が変化しているときでさえ(すなわち、患者の電気的な背圧、または身体的抵抗および/またはキャパシタンスに対する変化)、信号発生器10は、患者の身体内の同じ臨床的または生理学的応答を引き出していることを確実にする。
【0053】
単純なトランスは、患者の身体の電気的な背圧を単純かつ安価に監視する仕事を実施する。マイクロプロセッサが患者と電気連通するトランスを介して患者の身体内で非常に高い電気抵抗を検出したときには、信号発生器から患者への所与の一定の出力電圧について、非常に少ない電流が信号発生器から患者内に流れることになる。信号発生器からの入力電流が非常に低い場合(小さいバッテリによって給電されているときなど)、かつ出力電圧リードが大きな抵抗を有していない場合には、バッテリ電力が低下し、電流が著しく降下する。人体の測定される電気抵抗はかなり一定であるが、人体のキャパシタンスは、大きく変動し得る。これは問題である。なぜなら、人体のコンデンサのような部分から電気エネルギーまたは電荷が突然解放されると、身体は、患者の神経系または心臓系に損傷を引き起こし、またそうでない場合、治療によって引き起こされる患者の身体内の所望の臨床的応答を遮断する可能性がある、痛みを伴う電気の衝撃を受けることになる可能性がある。
【0054】
フィードバックのトランスは、信号発生器の出力電圧を濾波し、この電圧は、時間の経過につれて、予めプログラムされた電圧波形に従って変動し、所望の静脈膨張応答を引き出すのに最も効果的である電圧波形の特定の部分が患者を通過することを可能にする。患者内の電気的な背圧は、信号発生器によって取り込まれ読み取られ得る、患者の身体からの結果的に生じる電気信号を生み出す患者の身体内の反応を引き起こし、次いで、この電気信号を入力として使用し、信号発生器からの出力信号の次のサイクルの出力電圧を調整することができる。
【0055】
代替の実施形態では、フィードバック機構は、患者の電気抵抗およびキャパシタンスのフィードバックを監視し、次いで、監視されたフィードバックに基づいて、患者に送られる出力信号を調整するように構成される信号発生器のマイクロプロセッサ内の特定のプログラミングとすることができる。代替の実施形態では、フィードバックシステムは、本開示の範囲から逸脱することなしに、患者の抵抗およびキャパシタンスを測定するように構成された複数のセンサ、またはフィードバック抵抗およびキャパシタンスを測定するように構成された任意の他のそのような電気構成要素もしくはコンピュータコードを使用してもよい。
【0056】
一実施形態では、装置1は、信号発生器10からの出力信号すべてを停止し、患者の身体が最後の出力信号に反応するのを待つように構成され得る。患者の身体が最後の信号に反応したとき、患者の身体は、結果的に生じる電気信号を作り出し、この信号を、信号発生器10によって取り込み、解析し、患者に送られる信号発生器10からの次の出力信号を変えるために使用することができる。これは、適切なマイクロプロセッサおよびソフトウェアでリアルタイムに行うことができる。代替の実施形態では、信号発生器のフィードバック機構が、出力信号の連続するサイクル間で10%を超える患者の生体電気的抵抗またはキャパシタンスの変化を測定した場合、10%を超える変化は、患者の身体がストレス応答を受けており、もはや出力信号に応答していないことを示すので、信号発生器は、シャットオフする、または障害モードに進むように構成されている。一実施形態では、信号発生器は、個々の患者の特定の生理機能および関連の生体電気的特性に基づいて、出力信号波形、電圧、および電流を自動的に調整することになる。
【0057】
他の実施形態では、信号発生器は、患者の生理学的応答データを含めて、刺激装置を使用して患者から生理学的データを収集するためのソフトウェアを含む。次いで、そのデータを信号発生器によって記憶および解析し、特定の患者のために出力信号および達成された静脈応答を最適化するように、出力信号をリアルタイムで変化させるために使用することができる。
【0058】
信号発生器内には、電極を介して患者に送られる電流および電圧の量、ならびに患者に送られている出力電圧波形の形状を制御し、患者から受け取られる電気フィードバック(すなわち、患者の内部の身体の抵抗およびキャパシタンス)を監視し、リアルタイムで、電圧出力、電流出力、または患者に送られる電圧波形の形状のうちのいずれかを自動的に調整するように構成されたプログラミングを有するマイクロプロセッサが含まれてもよい。マイクロプロセッサは、本開示の範囲から逸脱することなしに、任意の速度または内部メモリサイズを有する任意のプログラム可能なマイクロプロセッサであってよい。一実施形態では、マイクロプロセッサは、信号発生器から患者に送られる元の出力信号を患者からの戻り信号に比較するように構成された比較器回路を含むことができる。次いで、比較の結果は、マイクロプロセッサによって、出力信号を比例的に変化させ、患者に送られる次の出力信号のバランスを保つために使用される。そのような実施形態では、マイクロプロセッサは、最初の信号と共に患者に送られるベースライン波形をそのメモリ内に記憶しておくことができる。次いで、応答/反射信号が、フィードバックシステムを通じて患者からマイクロプロセッサに送り返され、この応答/反射信号もまた、マイクロプロセッサ内に記憶される。その後、マイクロプロセッサは、事前に記憶された着信応答/反射信号に基づいて、次の発信信号を、静脈を最もよく見えるように提示するために必要な最良の波形、電圧、および電流を搬送するように患者の神経を優しく扱うように適合する。この比較プロセスは、毎回患者に設定される出力信号が患者の末梢静脈内の所望の生理学的および臨床的応答を引き出し続けることを確実にし、患者の身体が送られる信号に慣れるのを防止する。
【0059】
さらに、プロセッサは、事前定義された信号周波数を維持するように構成されたプログラミングを含む。たとえば、一実施形態では、マイクロプロセッサは、7.83Hzの予めプログラムされた信号周波数を維持するようにプログラムされる。しかし、代替の実施形態では、本開示から逸脱することなしに、代替の周波数が選択されてもよい。たとえば、肥満患者、老年患者、または出生時患者など、患者のグループまたはサブセットによっては、最適な静脈提示結果を引き出す助けとするために、代替の信号周波数が必要となり得る。さらに、一実施形態では、マイクロプロセッサは、たとえば電源が時間の経過および継続使用につれて電力をゆっくり使い果たすバッテリであるときなど、絶えず衰える電圧で適正に動作し続けるようにプログラムおよび構成され得る。
【0060】
波形グラフ
図7は、信号の単一のサイクルの活性部分の一実施形態の例示的なグラフを示す。グラフは、患者内の所望の静脈膨張および痛み抑制応答を引き出すことができる出力信号の出力電圧(Y軸)を、ミリ秒単位の時間(X軸)に対して示す。様々な山および谷の位置および振幅を含む信号の形状は、たとえば医療従事者が静脈穿刺を実施する助けとなる、標的末梢静脈の活性信号ベースの拡大を引き出すことができる例示的な波形である。
【0061】
図7を参照すると、複数の点1〜9が、信号の出力電圧対時間を示すグラフ化された波形上で識別されている。グラフ上の点1は、反復出力信号の新しいサイクルの開始に対応し、状態の変化に対する患者の感覚神経を(皮膚の表面内のその樹状突起を介して)注意喚起または刺激するように選択される信号発生器からの初期出力電圧を示す。この初期出力電圧は、一意の電圧、電流、および波形を有し、脳が末端を監視することができるように中枢神経系に送られることになる患者の身体内の小さな電気信号を開始する。それに応答して、脳は、脳への信号が生じたその特定の感覚樹状突起に治癒信号を送り返す。
【0062】
グラフ上の点2は、神経刺激信号の主要な有効部分に対応する。この点は、患者の手足内の末梢神経に過剰反応させ、標的末梢静脈を囲む近くの筋の、同時のテタニーまたは収縮を引き起こす出力信号の神経刺激部分における主な出力電圧である。これは、信号発生器上の電位差計22、24のうちの1つのノブを介して調整される波形の部分である。過体重の患者では、点2での電圧レベルが、皮膚内の脂肪の層によって自動的に抑制される。したがって、過体重の患者については、信号を患者の神経に到達させ、脂肪層の抵抗を克服するために、より高い出力電圧を患者に送ることが必要となり得る。これは、10対1(10:1)オーディオトランス、または他のそのようなトランスを使用し、患者に送られる出力電圧信号を増幅することによって達成することができる。あるいは、信号が神経に到達し得るように脂肪層の抵抗を克服するために電圧を増大することは、マイクロプロセッサ内に含まれるプログラミングの実装によっても達成することができる。
【0063】
電圧波形グラフ内の点3は、患者内の感覚神経を「オフにする」ようにトリガする出力電圧に対応する。これに関して、点3は、神経を静止するようにトリガする電圧であり、そのスタンバイ電圧にリセットし、出力信号の次の後続サイクルで再び使用され「オン」にトリガされるのを待つ。電圧波形グラフ内の点4は、信号の正の部分を取り消し、神経時間がそれ自体リセットする、または極性回復することを可能にするように刺激装置の神経信号のバランスを保つ出力電圧である。
【0064】
波形グラフ内の点5は、出力信号の筋刺激部分に対応し、筋に静脈筋ポンプを刺激させる出力信号であり、静脈筋ポンプは、静脈を膨張させ、血液で充填させる。図7に表されている波形では、信号のこの部分が活性である時間の長さは短いが、患者によっては、出力信号内の出力電圧のこの部分が活性である時間の長さは、静脈筋ポンプを作動させるために適正な量の運動筋刺激を達成するように調整されることになる。信号のこの部分が活性であることが長いほど、筋がより多く刺激される。さらに、静脈を囲む小さな筋は、静脈筋ポンプ作用を作動させるために、より大きな筋のものとは異なる量の能動的な刺激時間を必要とする。波形のこの部分はまた、患者ごとに調整され、各患者における最適な静脈筋ポンプ作用を達成することができる。
【0065】
波形グラフ内の点6は、運動筋刺激がシャットオフされ、リセットし、信号の次のサイクルの準備をすることを可能にする点である。波形グラフ内の点7は、患者の末梢神経系からの反射信号の背圧に対応し、神経系が神経の制御を引き継ぎ、患者の筋および神経活動を安定化させようと試みていることを示す。波形グラフ内の点8は、患者に対するゼロ出力電圧の期間に対応し、末梢神経系が患者のベースライン電位をその元の静止電位または内部電圧に優しく復元して戻すために使用する積分フィードバックループの一部である。くつろいでリラックスした患者では、その静止電位または測定電圧は、20ミリボルト程度となり得る。しかし、不安を抱く患者によっては、その測定される静止電位は、ゼロボルト、または正の測定電圧となることがあり、これは、普通なら典型的なリラックスした患者より高い電位または電圧である。この初期静止電位測定は、信号発生器からの最初の、および各後続の治療出力信号の基本パラメータをセットアップするために使用される。
【0066】
波形グラフ内の点9は、患者のベースライン状態に対応し、活性出力信号または電圧は患者の身体に送られず、患者は、普通なら刺激装置からの出力信号によって影響を受けない。また、これは、信号発生器が患者の内部電位を測定しており、信号の新しいサイクルを開始する準備をしており、患者から測定されるフィードバックに基づいて出力信号の活性部分を調整している期間に対応する。
【0067】
図8〜9は、他の実施形態で、または対象者の異なる特性により異なる対象者と共に使用することができる他の例示的な波形を示す。
【0068】
いくつかの実施形態では、波形は、以下の特性の1つ以上を有する。到達される最高電圧は、静脈を囲む筋を刺激する。戻りまでのベースラインからの信号の幅は、ベースラインは、近くの随意運動筋を、静脈筋ポンプとして機能し、隣接する静脈から血液を空にするように機能するように刺激する。ベースラインへの戻りにより、両筋の作用が停止する。ベースラインへの第1の戻りに続く負のパルスは、筋および神経の元の静止状態への戻りを開始させる。負のパルスは、元の正の極性の位相で送達されるエネルギーに等しいエネルギーの大きさ(たとえば、ワット)を有する負の極性のパルスを送達する。ベースラインへの第2の戻りにより、極性のバランシングが終わる。次の信号までの期間は、神経細胞および筋細胞が刺激の次のシーケンスを再編成および準備することを可能にする。他の波形は、他の特性を有する。
【0069】
装置動作および刺激作用
動作時には、刺激装置は、以下のように機能する。電極が患者の指または手と電気的に接触して配置される。一実施形態では、これは、患者が各手の指先を電解液の別個の容器内に配置することを必要とする。各容器内の電解液は、一方の端部が電解液内で、また反対の端部が信号発生器の出力接点へ終端される別個の電気リードによって信号発生器と電気連通して配置される。代替の実施形態では、これらの電極は、患者の皮膚に直接添着される粘着剤で裏打ちされたパッドであってもよい。
【0070】
電力源が信号発生器に電力を供給する。医療従事者は、2つの電位差計のうちの少なくとも1つの調整ノブを回すことによって患者への出力電圧を調整する。信号発生器が「オン」に切り替えられ、予めプログラムされた電気出力信号がリードおよび電極を通じて患者の指先、手、および腕に伝達される。予めプログラムされた出力信号は、各サイクルについて様々な指定された時点で、予めプログラムされた変動する出力電圧の反復サイクルを含む。一実施形態では、初期出力電圧が0ボルトと90ボルトの間に設定されてもよく、送達される信号は、1ミリアンペア未満である。しかし、代替の実施形態では、出力電圧範囲はより大きくてもより小さくてもよく、本実施形態に開示されているものとは異なる電圧範囲をカバーしてもよく、出力信号は、本開示の範囲から逸脱することなしに1ミリアンペアより大きくてもよい。
【0071】
出力電気信号の各サイクルは、活性出力電圧の期間と、出力電圧が患者の手足に与えられていない静止の期間とを含む。予めプログラムされた出力電圧は、出力電圧があることに対して患者の感覚神経に注意喚起する開始段階と、末梢神経に末梢標的静脈を囲む運動筋を収縮させる主要神経刺激段階と、感覚神経を「オフ」にする、端部から神経への刺激段階と、神経に送られた刺激信号を取り消し、神経が静止することを可能にするバランシング段階と、静脈筋ポンプを作動させる筋刺激段階と、筋の作動を終了する機能停止段階と、電気的な背圧段階と、電気フィードバック段階と、患者の系の時間が次のサイクルが始まる前に静止することを可能にするために活性電圧出力がない静止段階とを含むいくつかの段階を含む。いくつかの実施形態で使用される波形のこのサイクル部分は、必ずしもすべての実施形態で必要とされない。他の実施形態は、本明細書に記載の作用のうちの1つ以上を引き起こす他の波形を使用する。さらに、好適な波形は、患者の生理機能、電子回路の設計および制限、ならびに/または信号を患者に送達するために使用される方法に関連して様々であり得る。
【0072】
患者に与えられる出力信号における反復電気サイクルの結果は、以下のような患者における生理学的応答である。生成される電気信号の一部分が、電極の近くの筋を刺激し、収縮および弛緩させる。これらの筋は、事実上円形であり、収縮したとき管を形成する。この管は、通常より大きく、毛細管および近くの動脈を介して使用可能などんな血液をも引き込む効果を有することができる真空を生み出す。さらに、波形の一部は、静脈筋ポンプとして働く隣接する筋を刺激し、静脈内で局所的な血圧を高め、したがっていまや視覚的に明らかな膨張した静脈により多くの血液を追加する。この静脈筋ポンプは、血液を動脈および毛細管から心臓に戻すように移動する身体の癖である。静脈内にある多数の弁が、逆行の血液流を防止し、したがって静脈穿刺のためのより容易なアクセスのために標的静脈の内部容積を拡大する助けとなる。老年患者など患者グループによっては、この静脈筋ポンプ作用は、標的静脈と心臓の間に付着される止血帯を使用することにより、現在開示されている電気静脈刺激と共にさらに助けられ得る。
【0073】
いくつかの実施形態の電気静脈刺激装置は、手の甲、足の甲、および前腕内の静脈を提示するように最も良好に機能する。
【0074】
一実施形態では、電気静脈刺激装置は、電極に隣接する組織(したがって、標的静脈部位)を麻痺させるように構成される出力電圧波形の一部分がある点で、TENSデバイスとしてさらに動作する。この含まれる機能は、電気静脈刺激装置を使用しながら標的静脈内に針を挿入するプロセスを、針刺しが実際に行われたとき患者にとってあまり痛みを伴うものでないものにする。2つの電位差計を有する実施形態では、第2の電位差計が、TENSデバイス機能を生み出す出力電圧チャネルを制御する。第2の出力チャネルは、麻痺効果を特に局所的なエリアに集束するために、推定される針刺し部位の近くで患者の皮膚上に直接取り付けられるように構成され得る。第2のチャネルは、この神経鈍化機能を特に実施するように構成され得る。したがって、一実施形態では、一方の出力電圧チャネルが、拡大され充血した静脈の誇示を達成するために使用され、他方の出力電圧チャネルが、針刺しのエリアを麻痺させるために使用される。
【0075】
本開示の装置は、従来使用されている、または止血帯の使用を必要とする受動的な手段を使用するのではなく、活性電気信号を使用して、患者の手足内での静脈穿刺のために標的にされる末梢静脈の生理機能を非侵襲的に変えるように構成される。本開示の一態様では、装置によって患者の皮膚に与えられる活性信号は、生理学的応答および標的静脈の状態/挙動の変化を引き出し、静脈を血液で充填し膨張/拡大させ、より剛直にさせ、したがって(電気刺激前の手を示す図4に比べて)電気刺激中および電気刺激後、図5に示されているように、皮膚の下を可視化するのをより容易にする。このようにして、本明細書に開示されているそのような装置および方法を使用すると、医療従事者が標的静脈を突き止め、成功裏に、かつ適正に静脈穿刺を達成することが容易になる。標的静脈内またはその周りの組織の生理機能を非侵襲的に変化させ、標的静脈を突き止め、何度も試行する必要なしに成功裏に、かつ適正に静脈穿刺を達成する容易さを高める助けとなる他の能動デバイスは、現在存在しない。
【0076】
本明細書で論じられているように、一実施形態は、人の静脈にアクセスする方法であって、人の手足の一部分を容器内に受け取るステップと、電解液を容器内に供給するステップであって、電解液が手足の一部分に接触する、ステップと、電気信号発生器によって生成された少なくとも1つの信号で手足の一部分を電気的に刺激するステップであって、電気信号は、電解液と接触する少なくとも1つの電極によって電解液に与えられる、ステップと、電気刺激に応答して、人の手足内の少なくとも1つの静脈を膨張させるステップと、静脈にアクセスするために、静脈が膨張している間に静脈内に針の先端を挿入するステップとを含む方法である。
【0077】
上述の様々な実施形態は、例示のために提供されているにすぎず、添付の特許請求の範囲を限定すると解釈されるべきでない。当業者なら、本明細書に示され述べられている例示的な実施形態および応用例に従うことなしに、また以下の特許請求の範囲の真の精神および範囲から逸脱することなしに、様々な修正および変更を加えることができることを容易に理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9