【文献】
Joseph Nathaniel Kaye,Symbolic Olfactory Display,Massachusetts Institute of Technology,2001年,第90-92ページ,<URL: file://kvrdf99004v.ring.meti.go.jp/JShare$/TRDA0378/Downloads/49889988-MIT.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記香り発生手段は、各々その香源を示す識別番号が付された複数個の香りカートリッジを装填可能で、当該複数個の香りカートリッジの中で指定された任意の香りカートリッジから香りを発生可能であり、
前記香り情報は、前記識別番号を含み、
前記香り発生手段は、
当該香り発生手段に装填された前記複数個の香りカートリッジの各々に付された前記識別番号を記憶する識別番号記憶手段と、
前記香り発生手段に装填された前記複数個の香りカートリッジの中で、前記香り情報が含む前記識別番号が付された香りカートリッジを駆動して香りを発生させるカートリッジ駆動手段とを含む、請求項1に記載の香りディスプレイ。
前記コマンド送信手段は、前記香り読み出し手段により読み出された香り情報にしたがって香りを発生するように、前記通信先情報記憶手段により記憶された通信先の香りディスプレイの各々に前記コマンドを送信するための全送信手段を含む、請求項5に記載の香りディスプレイ制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0023】
<第1の実施形態>
インターネット上では、いわゆるスケジューリングサービスが広く提供されている。スケジューリングサービスを用いると、特定の日の特定の時間帯に、どこで、どのようなイベントが行われるかが容易に記録できる。この結果、例えば日単位、週単位、月単位、及び年単位である人又はグループ等のスケジュールが確認できる。また、イベントの開始時刻又はそれより所定時間前に特定の電子メール(以下単に「メール」という。)のアドレス(以下、「メールアドレス」という。)にスケジュール開始に関する通知のメールを送信するサービスが提供されていることが多い。
【0024】
このイベントの中には、例えば上記したような瞑想の時間、仕事の合間のリフレッシュの時間等、それらが行われる場所で特定の香りを発生させれば、より効果的になると考えられるイベントがある。この第1の実施形態は、こうしたスケジューリングサービスを利用して、特定の場所に設けられた香りディスプレイを適時に動作させるようにするためのものである。
【0025】
こうした動作を香りディスプレイにさせるためにスケジューリングサービスを利用する上で難しいのは、スケジューリングサービスそのものの動作をカスタマイズすることができないということである。通常のスケジューリングで登録可能なのは、イベント名、イベント開始日時、終了日時(又はイベント継続時間)、場所、出席者名及びその連絡先等に限定され、香りを指定することは難しい。
【0026】
そこで以下の実施形態では、予めイベント名とそのイベントで発生すべき香りとの組み合わせを香りディスプレイに記憶させておく。スケジューリングサービスにそのイベントを登録し、そのイベントが行われる場所に備えられた香りディスプレイにイベント開始時刻にイベント名を指定したメールを送信すれば、メールを受信した香りディスプレイはそのイベント名をキーに香りを決定し、決定された香りを発生できる。以下、この第1の実施形態に係る香りスケジューリングシステムで利用される香りディスプレイについて説明する。
【0027】
[構成]
図1に、第1の実施形態に係る香りディスプレイを用いた香りスケジューリングシステム50の概略構成を示す。
図1を参照して、香りスケジューリングシステム50は、インターネット60に接続され、複数のクライアントに対してスケジューリングサービスを提供する既存のスケジューリングサーバ62と、インターネット60及び携帯電話通信網64を介してスケジューリングサーバ62と通信可能で、スケジューリングサーバ62のスケジューリングサービスを利用することが可能なスマートフォン66と、無線ルータ68を介してインターネット60及びその上の他端末と通信可能で、複数の香りディスプレイ82、90及び92を所有する事業所70とを含む。なお、香りディスプレイ82、90、92は、いずれも特許文献1に開示されたものと同様、複数個(例えば6個)の香りカートリッジが装填可能で、そのうち任意の香りカートリッジから香りを噴射できる。
【0028】
事業所70の社屋には執務室80があり、執務室80内の所定の位置には、無線ルータ68との無線通信を通じてスケジューリングサーバ62からそれぞれメールを受信可能な香りディスプレイ90及び香りディスプレイ92が設置されている。また事業所70の社屋には、香りディスプレイ82、及び香りディスプレイ82を制御するためのパネル型コンピュータ84が設けられている。香りディスプレイ82及びパネル型コンピュータ84は互いに無線で通信可能であり、パネル型コンピュータ84はさらに無線ルータ68を介してスケジューリングサーバ62と通信可能である。なお
図1ではパネル型コンピュータ84と通信可能な香りディスプレイを香りディスプレイ82の1個のみ表示しているが
、一般的には同種又は異種の複数個の香りディスプレイがパネル型コンピュータ84と通信しパネル型コンピュータ84により管理される。
【0029】
なお、香りディスプレイ90、92及びパネル型コンピュータ84にそれぞれメールアドレスが割り当てられており、図示しないメールサーバを介してスケジューリングサーバ62からイベント通知のメールを受信する。
【0030】
図2を参照して、香りディスプレイ82
、90、92は、図示しない複数個
の香りカートリッジから香りを噴射させるよう、各カートリッジに対応して設けられた複数個
のマイクロブロア140を含むマイクロブロア群112と、香りを消散させるために、香りを含まない空気を噴射するためのシロッコファン116と、外部から与えられるコマンドにより指定される条件にしたがってシロッコファン116を駆動するための駆動回路基板114と、マイクロブロア群112に含まれるマイクロブロア140等及びシロッコファン116を個別に駆動可能な制御基板110と、制御基板110に接続され、香りディスプレイ82に装填される各香りカートリッジに封入されている香りを示す識別番号を、各香りカートリッジに貼付されているNFC(Near Field Communication)タグ(図示せず)との近距離通信により取得する、複数個
のNFCチップ150、…、152を含むNFCチップ群118とを含む。
【0031】
制御基板110は、外部と無線通信可能で外部から与えられる情報と、NFCチップ群118からの情報とに基づいてマイクロブロア群112及びシロッコファン116を制御するための制御用プロセッサ130と、いずれも制御用プロセッサ130に接続されたメモリ138及びタイマ139と、制御用プロセッサ130からの命令にしたがってマイクロブロア群112内の各マイクロブロア140、…を制御するための入出力I/F134と、NFCチップ群118内のNFCチップ150、…、NFCチップ152から各カートリッジの香りの識別子を受信し制御用プロセッサ130に入力するための入出力I/F132と、制御用プロセッサ130が外部、例えばパネル型コンピュータ84(
図1参照)と無線通信するための無線通信ユニット136とを含む。
図1に示す香りディスプレイ90及び香りディスプレイ92の場合には無線通信ユニット136が無線ルータ68を介してスケジューリングサーバ62と通信する。
【0032】
なお、メモリ138はROM(Read−Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを含む。ROMには、
図3を参照して後述するイベントによる香り発生のためのプログラムと、このプログラムが利用する、イベント名とそのイベントで発生させる香りの識別番号(香り識別番号、香りIDともよぶ)との対応表(イベント対応テーブル)が記憶されている。RAMには制御用プロセッサ130が実行するプログラムがロードされ、また制御用プロセッサ130が作業領域として使用する。なお、香り識別番号とは、香りカートリッジに封入されている香源の種類を示す識別番号である。香り識別番号は香りの種類によって一意に定められる。各香りカートリッジには、その香りカートリッジに
封入されている香源を特定する香り識別番号を記憶したNFCタグ(図示せず)が貼り付けられており、後述するように各香りディスプレイはこれらNFCタグと近距離通信することで各香りカートリッジの香り識別番号を取得し香り識別番号テーブルとして保持している。
【0033】
図1に示す香りディスプレイ90
、92は、スケジューリングサーバ62からメールサーバを介してではあるが直接にイベント通知を受けて動作する。それに対して香りディスプレイ82はスケジューリングサーバ62から直接にイベント通知を受けるわけではない。パネル型コンピュータ84がスケジューリングサーバ62からイベント通知を受け、それを解釈してパネル型コンピュータ84に接続されている香りディスプレイ82
を制御する。ただし、香りディスプレイ82、90、
92等で実行されるプログラムは後述するように同じ構成を持つ。
【0034】
以下の説明では、スケジューリングサーバ62にイベントを登録するときには、例えばスマートフォン66を操作し、所定のイベント名と、そのイベントの開始時刻及び終了時刻と、通知メールの送信先アドレスとをスケジューリングサーバ62に登録するものとする。イベント名に続けて、カンマとともに、香りディスプレイからの香りの噴射継続時間、及びその強さを入力してもよいが、これらはオプションであって必須ではない。
【0035】
図3は、
図2に示すメモリ138に記憶されている、イベント通知を受けて所定の香りを発生するよう香りディスプレイ82、90等を動作させるためのプログラムの制御構造を示す。
図3を参照して、このプログラムは、
図2に示す制御用プロセッサ130が無線通信ユニット136を介してイベント通知であるメールを受信したことに応答して起動する。このプログラムは、受信されたメールからメッセージテキストを抽出するステップ180と、ステップ180で抽出されたテキストからイベント名、噴射継続時間(もしあれば)、及び噴射の強さ(もしあれば)を抽出するステップ182と、ステップ182でイベント名の抽出に成功したか否かを判定し、その結果にしたがって制御の流れを分岐させるステップ184とを含む。ここでのイベント名の抽出の成否の判定は、
図2に示すメモリ138に予め記憶されているイベント対応テーブルに、抽出した文字列があるか否かにより判定する。
【0036】
なお、メールテキストからカンマ等のデリミタで分離された複数の要素を抽出するのはプログラム命令により容易に実現できる。分離したときに要素が2つあるとき(2つしかないとき)には、先頭がイベント名、2番目が噴射継続時間である。噴射継続時間は秒単位の数字である。要素が3つあるときは、先頭及び2番目がそれぞれイベント名及び噴射継続時間であるのは2個のときと同じであり、3個目が噴射の強さを示す。噴射の強さもこの実施形態では数字である。2番目及び3番目の文字列がないとき、又は2番目及び3番目の文字列がそれぞれ日時及び数字ではないときには、これらは無視され、噴射継続時間及び噴射の強さとしてそれぞれ所定のデフォルト値が使用される。
【0037】
このプログラムはさらに、ステップ184の判定が肯定のとき、すなわちメールのテキストから少なくとも正しいイベント名のいずれかが抽出されたことに応答して実行され、指定されたイベント名に対応する香りの識別番号をイベント対応テーブルから読み出すステップ185と、この香りの識別番号に該当する香りの識別番号を持つ香りカートリッジを
図2に示すメモリ138に格納されているカートリッジテーブルでルックアップするステップ186と、ステップ186で、該当する香り識別番号を持つカートリッジがあるか否かを判定し、判定結果にしたがい制御の流れを分岐させるステップ188とを含む。
【0038】
このプログラムはまた、ステップ188の判定が肯定である時に実行され、ステップ182でメールテキストから抽出された(抽出されなかったときはデフォルトの)噴射継続時間を
図2に示すタイマ139に設定するステップ190と、ステップ190に引き続き、タイマ139の計測を開始するステップ192と、指定された香り識別番号の香りのカートリッジを、ステップ182でメールテキストから抽出された(又はデフォルトの)強さで駆動し、香りを噴出させるステップ194と、ステップ192でスタートしたタイマによる計時が満了したか否かを判定し、タイマが満了していないときには制御をステップ194に戻し、満了したときにはこのプログラムの実行を終了させるステップ196とを含む。
【0039】
このプログラムはさらに、ステップ184の判定が否定のとき、及びステップ188の判定が否定のときに実行され、予め定められたエラー処理(例えばエラーメッセージを所定のメールアドレスに送信する、エラーの詳細をログファイルに書き込む、等)を行い、香り発生中であれば香りの発生を中止してプログラムの実行を終了させるステップ198を含む。
【0040】
図4は、
図1に示すパネル型コンピュータ84のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4を参照して、パネル型コンピュータ84は、プロセッサ300、ペリフェラルI/F304及びメモリコントローラ306を搭載した半導体集積回路250を含む。プロセッサ300、ペリフェラルI/F304及びメモリコントローラ306は互いにバス302を介して通信可能である。
【0041】
半導体集積回路250のメモリコントローラ306にはメモリ260が接続されている。メモリ260はこの実施形態では揮発性メモリと不揮発性メモリとの組み合わせを含む。不揮発性メモリはフラッシュメモリを含み、例えばプロセッサ300を動作させるための基本的プログラム、アプリケーションプログラム等を記憶している。揮発性メモリは作業用メモリ、及びプログラムの実行時のメインメモリとして使用される。
【0042】
パネル型コンピュータ84はさらに、ペリフェラルI/F304を介してプロセッサ300との無線による相互通信が可能なRF回路252と、オーディオ回路254と、センサ群256と、ディスプレイコントローラ262及びカメラコントローラ266と、半導体集積回路250に接続され、図示しない可搬型メモリ、可搬型ハードディスク等が接続可能な外部ポート258とを含む。ディスプレイコントローラ262にはさらにタッチパネルディスプレイ264が接続される。カメラコントローラ266には同様にカメラ268が接続される。
【0043】
図5は、
図4に示すメモリ260の中の不揮発性メモリに記憶された、スケジューリングサーバ62からのメッセージに応答して香りディスプレイ82を制御するためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図5に制御構造を示すプログラムは、スケジューリングサーバ62からメールが着信したことに応答して起動される。
【0044】
図5を参照して、このプログラムは、受信したメールからメッセージテキストを抽出するステップ180と、ステップ180において抽出されたメッセージテキストから、イベント名、噴射継続時間、噴射の強さを示す情報を抽出するステップ182を含む。このステップでも、
図3のステップ182と同様、噴射継続時間、噴射の強さを示す情報がなければ、それぞれデフォルトの値が適用される。
【0045】
このプログラムはさらに、ステップ182の結果、イベント名の抽出が成功したか否かにしたがって制御の流れを分岐させるステップ184と、ステップ184の判定が肯定であるときに、指定されたイベントに対応する香り識別番号を、メモリ260に記憶されたイベント対応表から読み出すステップ185と、読み出された香り識別番号を持つ香りカートリッジを香りディスプレイ82に装填されたカートリッジに付されているNFCタグからの香りの識別番号と各カートリッジの装填位置とを記憶したカートリッジテーブルでルックアップするステップ186とを含む。このカートリッジテーブルは、予め香りディスプレイ82からパネル型コンピュータ84が受信しメモリ260(
図4参照)に記憶しておく。ステップ
184の判定は、予め準備された、イベント名と、そのイベントで発生すべき香りの識別番号とを対応付けて記憶したイベントテーブルにそのイベント名を持つレコードが記憶されているか否かにより判定する。そのレコードがあれば、そのレコードから同時にそのイベントで発生すべき香りの識別番号が読み出される。
【0046】
このプログラムはさらに、ステップ186で指定された香り識別番号を持つ香りカートリッジのカートリッジ番号がカートリッジテーブルにあるか否かを判定し、その結果により制御の流れを分岐させるステップ188と、ステップ188での判定が肯定のときに、ステップ186で読み出されたカートリッジ番号の香りカートリッジから、指定された噴射継続時間で、指定された噴射の強さで香りを含んだ空気を噴射するよう香りディスプレイ82を起動して処理を終了するステップ350と、ステップ184の判定が否定、すなわち受信したメッセージに含まれるイベントがイベント対応テーブルにない場合、及びステップ188の判定が否定、すなわち、ステップ185で読み出された香りの識別番号を持つ香りカートリッジがカートリッジテーブルにない場合に実行され、所定のエラー処理を行って処理を終了するステップ198とを含む。
【0047】
[動作]
以上説明した香りスケジューリングシステム50は以下のように動作する。
図1を参照して、ユーザが、例えばスマートフォン66を用いてスケジューリングサーバ62にイベントを登録する。このイベントで香りディスプレイ82等が発生すべき香りについては予め定められており、香りディスプレイ82、90、
92等にイベント名をキーとするイベント対応テーブルの形で記憶されている。イベントの登録は、通常のスケジューリングサービスのものと同様である。すなわちユーザは、イベントのイベント名、開始時刻、終了時刻、場所、及びイベント開始時のメールの送信先を登録する。もしも香りの噴射継続時間及び噴射の強さを指定したければ、イベント名に続けて、カンマを区切り文字として噴射継続時間及び噴射の強さを予め決められた書式(数字)で登録する。
【0048】
スケジューリングサーバ62はイベントを
図示しないスケジュールテーブ
ルに登録する。この後、一定時間間隔で、登録されたイベント開始時刻となった直後のイベント、すなわち実質的に現在時刻と一致する開始時刻を持つイベントがあるか否かをスケジュールテーブル
において調べる処理を繰り返す。そのようなイベントがあるとスケジューリングサーバ62は、そのイベントについて指定されたメールの送信先に、イベント名と、もしあれば噴射継続時間とその強さとをカンマで区切ったメッセージを含むメールを送信する。ここでは、例えば香りディスプレイ90、92及びパネル型コンピュータ84が同じメールアドレスでメールを比較的短い時間でチェックするものとする。
【0049】
例えば香りディスプレイ90がこのメールを受信すると、香りディスプレイ90は以下のように動作する。
図3を参照して、ステップ180においてメールからメッセージテキストを抽出し、ステップ182でそのメッセージテキストから、イベント名と、もしあれば噴射継続時間及びその強さとを抽出する。ステップ184でこのイベント名がイベント対応テーブルにあるか否かを判定する。もしそのイベント名がイベント対応テーブルにあれば判定は肯定となり、ステップ185でそのイベントに対応する香りの識別番号がイベント対応テーブルから読み出される。もしもそのイベント名がイベント対応テーブルになければ判定は否定となり、ステップ198で所定のエラー処理がされ、香りの発生はされずに処理は終了する。
【0050】
ステップ186では、ステップ185でイベントテーブルから読み出された香りの識別番号を持つ香りカートリッジが、香りディスプレイ90の持っているカートリッジテーブル内にあるか否かが判定される。もしもそのような香りカートリッジがカートリッジテーブルの中になければ、指定された香りは発生できない。したがって制御はステップ198に進み、エラー処理をしてプログラムの実行を終了する。そのような香りカートリッジがカートリッジテーブルにあれば、その香りを香りディスプレイ90が発生できる。したがって、ステップ190でタイマに噴射継続時間を設定しステップ192でそのタイマをスタートする。続くステップ194では指定された識別番号の香りのカートリッジを、指定された香り強度で駆動する。具体的には、ステップ194では所定の時間長の交番信号で、指定された香り強度により定まる振幅の信号を、指定された香りの識別番号に対応するカートリッジのマイクロブロアに送信する。一定時間の交番信号の出力が終わるとステップ196でタイマが満了したか否かが判定される。タイマが満了していなければステップ194が繰り返される。このようにして、噴射継続時間の間、継続して、指定された噴射強さで指定された識別番号の香りが、その識別番号のNFCタグを持つカートリッジから外部に噴射される。タイマが満了したらプログラムの実行を終了する。
【0051】
図1に示す香りディスプレイ90及び香りディスプレイ92が同じメールアドレスのメールを受信するように設定されており、かつ同じ識別番号の香りカートリッジを持っていれば、ほぼ同時に同じ強さで同じ香りが香りディスプレイ90と香りディスプレイ92との双方から噴射される。したがって、執務室80のように限られた空間に香りディスプレイ90及び香りディスプレイ92のように複数の香りディスプレイを設置しておくことで、空間全体に一定の香りを広げることができる。
【0052】
一方、香りディスプレイ82の場合には香りディスプレイ90、92とは異なり、間にパネル型コンピュータ84が介在する。ここでは、パネル型コンピュータ84も香りディスプレイ90、92と同じメールアドレスが割り当てられているものとする。すると、
図5を参照して、パネル型コンピュータ84は、ステップ180において、受信したメールからメッセージテキストを抽出し、ステップ182においてそのメッセージテキストからイベント名、もしあればさらに噴射継続時間及び噴射の強さに関する情報を抽出する。ステップ184ではイベント名の抽出に成功したか否かを判定する。具体的には、パネル型コンピュータ84が保持しているイベントテーブルに、抽出したイベント名があれば抽出に成功したと判定し、なければ失敗と判定する。イベント名の抽出に失敗した場合にはステップ198でエラー処理を実行し、プログラムの実行を終わる。したがって香りの発生はされない。
【0053】
イベント名の抽出に成功した場合には、イベント対応テーブルからそのイベント名に対応する香り識別番号をステップ185で読み出し、さらにその香り識別番号を持つ香りカートリッジを香りディスプレイ82のカートリッジテーブルでルックアップする(ステップ186)。具体的には、パネル型コンピュータ84が予め香りディスプレイ82との通信により取得し記憶していたカートリッジテーブルから、指定された識別番号を持つ香りカートリッジをルックアップ。続くステップ188でそのような香りカートリッジがあるか否かを判定する。
該当する香りカートリッジがなければ、指定された香りの発生はできないので、ステップ188の判定が否定となり、ステップ198でエラー処理がされ、プログラムの実行は終了する。香りは発生されない。
【0054】
ステップ
188で指定され
た香りの識別番号をもつカートリッジが香りディスプレイ82に装填されていると判定された場合には、ステップ350で、
図2に示すマイクロブロア群112の中で、そのカートリッジを駆動するマイクロブロアを、指定された噴射継続時間でかつ指定された強さで香りを噴射するよう、香りディスプレイ82に対してコマンドを通知する。この結果、香りディスプレイ82はこのコマンドに応答して起動し、指定されたマイクロブロアに、指定された噴射継続時間でかつ指定された強さで香りを噴射させる。パネル型コンピュータ84は、このような処理をパネル型コンピュータ84が管理する全ての香りディスプレイに対して実行する。
【0055】
[効果]
以上のようにこの実施形態に係る香りスケジューリングシステム50では、一般的なスケジューリングサービスを有効に利用し、イベントに関する一般的な登録をスケジューリングするだけで、所望の場所に、所望の時刻に、そのイベントに対して予め割り当てられていた香りを噴射させることができる。例えばある部屋でミーティング又は瞑想をしたりするときには、そのイベントと場所を指定するだけで、そのミーティング又は瞑想等のイベントの内容に応じた香りをその
場所の香りディスプレイに噴射させることができる。また、職場で一定時間に休憩を取ることが決まっている場合に、休憩時間になると同時にリフレッシングな香りを職場に噴射させることができる。その結果、様々なイベントに応じた香りを、イベントのスケジューリングという簡単な操作のみで利用できるという効果がある。
【0056】
<第2の実施形態>
[構成]
上記第1の実施形態では、外部のスケジューリングサービスを利用して香りの発生を制御している。仮にスケジューリングサービスを例えば社内で運用できる場合には、第1の実施形態と比較してさらに柔軟なシステムを構築できる。この第2の実施形態に係る社内スケジューリングシステム400(
図6)は、そのようなシステムである。
【0057】
図6を参照して、社内スケジューリングシステム400は、
図1に示す香りスケジューリングシステム50と比較して、
図1のスケジューリングサーバ62に代えて無線ルータ68を介して事業所70の社内LAN(Local Area Network)に接続された社内スケジューリングサーバ410を含む点、及び同じく無線ルータ68を介して社内LANに接続可能で、社内スケジューリングサーバ410の設定を行うためのコンピュータ412を含む点において、
図1の香りスケジューリングシステム50と異なる。それ以外のハードウェア構成については香りスケジューリングシステム50と同じである。
【0058】
図7を参照して、社内スケジューリングサーバ410は、DVD(Digital Versatile Disc)478を挿入可能なDVDドライブ502を有するコンピュータ470と、いずれもコンピュータ470に接続された、ユーザと対話するためのキーボード474、マウス476、及びモニタ472とを含む。もちろんこれはユーザ対話のための構成の一例であって、ユーザ対話に利用できる一般のハードウェア及びソフトウェア(例えばタッチパネル、音声入力、ポインティングデバイス一般)であればどのようなものも利用できる。
【0059】
コンピュータ470は、DVDドライブ502に加えて、CPU490と、GPU492と、CPU490、GPU492、及びDVDドライブ502に接続されたバス510と、バス510に接続され、コンピュータ470のブートアッププログラム等を記憶するROM496と、バス510に接続され、プログラムを構成する命令、システムプログラム、及び作業データ等を記憶するRAM498と、バス510に接続された不揮発性メモリであるHDD(Hard Disk Drive)500とを含む。HDD500は、コンピュータ470の電源がオフのときもCPU490及びGPU492が実行するプログラム、並びにCPU490及びGPU492が実行するプログラムが使用するデータ等を記憶するためのものである。コンピュータ470はさらに、他端末との通信を可能とする社内LAN486への接続を提供するネットワークI/F508と、USBメモリ484が着脱可能で、USBメモリ484とコンピュータ470内の各部との通信を提供するUSBポート506と、バス510に接続された音声I/F504と、音声I/F504に接続されるスピーカ480及びマイクロフォン482とを含む。
【0060】
なお、
図6に示すコンピュータ412についても、その基本的構成は
図7に示すものと同様である。
【0061】
図8に、HDD500又はRAM498に記憶される、この第2の実施形態に係る社内スケジューリングサーバ410で使用されるプログラム及びデータベースの各種テーブルの構成を示す。
図8を参照して、社内スケジューリングサーバ410が実行するプログラムは、スケジューリングサービスのインターフェイスを提供するウェブサーバプログラム600と、スケジューリングサービスのうち、イベントをスケジュールとして登録するために実行されるスケジュール追加プログラム602と、後述する各種テーブルのうち、各種マスターテーブルを保守するためのマスターテーブル保守プログラム604と、スケジューリングされたイベントのうち、イベント開始時刻となったイベントに関するスケジュールの通知を所定の連絡先にメッセージとして送信する処理を行うスケジュール通知プログラム606と、後述するデータベースを管理するデータベースプログラム620とを含む。これらプログラムのうちウェブサーバプログラム600及びデータベースプログラム620はメモリに
ロードされ常駐している。しかしそれ以外のプログラムは、実行時以外には通常はHDD500に記憶されており、実行時にメモリにロードされる。メモリ容量に余裕があればこれらはメモリに常駐するが、メモリ容量が足りなくなるとこれらはメモリから削除される。
【0062】
この実施形態で使用されるスケジューリングサービスのためのデータベースは、登録されたスケジュールの情報を保持するスケジュールテーブル608と、イベントが行われる可能性がある場所を予め記憶しておく施設マスターテーブル610と、スケジュールされる可能性がある各種のイベントを記憶するイベントマスターテーブル612と、各種イベントで発生される可能性がある各種の香りに関する情報を記憶する香りマスターテーブル614と、社内スケジューリングサーバ410が管理する領域内に存在する香りディスプレイに関する情報を記憶する香りディスプレイマスターテーブル616と、社内スケジューリングサーバ410が提供するスケジューリングサービスを利用するユーザに関する情報を記憶するユーザーマスターテーブル618とを含む。これら各種テーブルはデータベースの稼働時には基本的にはメモリに常駐しているが、メモリ容量が不足すると随時HDD500に書き戻される。
【0063】
図9は、
図8に示すスケジュールテーブル608の構成を示す。
図9を参照して、スケジュールテーブル608の各レコードは、一意のスケジュールIDと、イベントの種類(イベント名)を示すイベントIDと、イベントの開始日時及び終了日時と、イベントが行われる施設を示す施設IDと、そのイベントで発生させるべき香りを示す香りの識別番号(香りID)と、香りを発生させるときの強さを示す香り強さと、このスケジュールを登録したユーザを示す登録者IDと、このスケジュールが登録された日時を表す登録日時と、このイベントに出席するユーザのIDである出席者ID、及びイベント開始に先立ち所定日時に出席者に事前通知する事前通知スケジュールとを含む。
【0064】
図10は、
図8に示す施設マスターテーブル610の各レコードの構成を示す。
図10を参照して、施設マスターテーブル610は、一意の施設IDと、その施設名とを含む。
【0065】
図11は、
図8に示すイベントマスターテーブル612の各レコードの構成を示す。
図11を参照して、イベントマスターテーブル612の各レコードは、一意のイベントIDと、イベント名と、そのイベントで発生させるデフォルトの香りの識別番号であるデフォルト香りIDと、デフォルトの香りの強さとを含む。
【0066】
図12は、
図8に示す香りマスターテーブル614の各レコードの構成を示す。
図12を参照して、香りマスターテーブル614の各レコードは、香りの識別番号である香りIDと、香り名と、備考とを含む。備考は、香りを選択するときにユーザが参考とするためのものである。
【0067】
図13は、
図8に示す香りディスプレイマスターテーブル616の各レコードの構成を示す。
図13を参照して、香りディスプレイマスターテーブル616は、一意の香りディスプレイIDと、香りディスプレイ名と、その香りディスプレイが設置されている施設の識別番号である設置施設IDと、その施設内のこの香りディスプレイの設置位置と、香りディスプレイが搭載している香りカートリッジ数と、第1から第24までの香りカートリッジの香りIDとを含む。この実施形態では、各香りディスプレイが搭載可能な香りカートリッジの数は、香りディスプレイによっても異なるが、最大で24個と想定されている。また香りディスプレイ名はネットワークにおいてこの香りディスプレイにアクセスするためのアドレスとしても利用される。
【0068】
図14は、クライアント(例えばコンピュータ412)から社内スケジューリングサーバ410にアクセスしてスケジュールを登録する際の、コンピュータ412と社内スケジューリングサーバ410との間のシーケンス図である。
図14を参照して、まずステップ650でコンピュータ412から社内スケジューリングサーバ410のスケジュール入力画面にアクセスする。社内スケジューリングサーバ410はこのアクセスに応答して、ステップ652で、施設マスターテーブル610、イベントマスターテーブル612、香りマスターテーブル614にアクセスし、スケジュール入力画面を生成してコンピュータ412に送信する。なおコンピュータ412から社内スケジューリングサーバ410にアクセスするときには、コンピュータ412を操作しているユーザのユーザIDを用いて社内スケジューリングサーバ410にログインする必要がある。アクセスが許可されているユーザか否か、及びスケジュール設定が許可されているユーザか否かは、ユーザーマスターテーブル618にそのユーザが登録されているか否か、及びそのユーザに割り当てられている権限で判定される。
【0069】
コンピュータ412では、社内スケジューリングサーバ410から送信されて来たスケジュール入力画面をステップ654で表示し、ユーザにイベント名、イベント開始日時、終了日時、イベントが行われる施設IDを入力させる。入力が完了したらコンピュータ412は入力された情報を社内スケジューリングサーバ410に送信する。なおこの入力では、ステップ652で施設マスターテーブル610、イベントマスターテーブル612及び香りマスターテーブル614等にアクセスした情報を用い、イベント名とイベントID、施設名と施設ID、香り名と香りIDとを列挙したドロップボックス等により容易にイベントが入力できるようにすることが望ましい。コンピュータ412から社内スケジューリングサーバ410には、イベント開始時刻及び終了時刻に加えイベントID、施設ID、香りIDが送信される。
【0070】
社内スケジューリングサーバ410はこの通信に応答して、ステップ656においてこの入力をチェックし、エラーがあればエラーメッセージとともに入力画面をコンピュータ412に再送する。エラーがなければイベントに関する情報をスケジュールテーブル608に登録する。この後、ステップ658でイベント通知プログラムを起動して処理を終了する。
【0071】
イベント通知プログラムの制御構造を
図15に示す。イベント通知プログラムとは、スケジュールテーブル608に登録されているイベントのうち、開始時刻になった直後のイベント、すなわち実質的に現在時刻と一致する開始時刻を持つイベントを検索し、あれば、そのイベントに登録されている施設の香りディスプレイに、そのイベントのイベント名と、香りの噴射継続時間と、発生すべき香りの香りIDと、香りの強さとを示す情報を通知するプログラムである。このプログラムは、基本的には所定の時間間隔で繰り返し実行されるが、
図14のステップ658のように何らかのイベントが登録された直後にも実行される。
この実施形態では、香りの噴射継続時間は、読出したイベントの開始時刻と終了時刻とから算出されるイベント継続時間とする。
【0072】
図15を参照して、イベント通知プログラムは、タイマから現在時刻を取得するステップ700と、開始時刻が、前回の処理時刻(このプログラムが直前に実行された時刻)と今回の処理時刻との間にあるようなイベントをスケジュールテーブル608で検索し、そのようなイベントのレコードに記録されている施設IDを持つ香りディスプレイのレコードを香りディスプレイマスターテーブル616から読み出すステップ702と、ステップ702の処理の結果、該当するイベントがあったか否かを判定し、なければこのプログラムの実行を終了するステップ704とを含む。
【0073】
このプログラムはさらに、ステップ704の判定が肯定のときに実行され、ステップ702で検索された各香りディスプレイに対してステップ708を実行してプログラムの実行を終了するステップ706とを含む。
【0074】
ステップ708では社内スケジューリングサーバ410は、処理対象の香りディスプレイに対して、イベント名と、香りの噴射継続時間と、香りIDと、噴射時の香りの強さとを送信する。
【0075】
一方、この実施形態では、ステップ702で検索される香りディスプレイIDの中には、
図1に示されるパネル型コンピュータ84のように、1又は複数の香りディスプレイをまとめて管理するコンピュータのIDも含まれている。これは例えば1つの部屋に複数の香りディスプレイが配置されているときに、部屋単位で香りディスプレイを制御したり、施設内の様々な場所で常に統一された香りを発生するよう複数の香りディスプレイを制御したりする処理を容易にするためである。
【0076】
図16は、そのようなコンピュータが持つ、香りディスプレイを管理するための管理対象香りディスプレイテーブル750の各レコード構成を示す。
図16を参照して、この管理対象香りディスプレイテーブル750の各レコードは、その香りディスプレイの香りディスプレイ名(アドレス)と、その機種名と、その香りディスプレイに搭載されている香りカートリッジの数と、第1から第24の香りカートリッジの香りIDとを含む。この場合にも、各香りディスプレイが搭載可能な香りカートリッジの数は、最大でも24個であることが想定されている。
【0077】
図17は、1又は複数の香りディスプレイをまとめて管理するためのコンピュータ(管理コンピュータ)が実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図17を参照して、このプログラムは、社内スケジューリングサーバ410から受信したメッセージからイベント名、噴射継続時間、香り識別番号及び噴射の強さを抽出するステップ800と、管理対象となっている各香りディスプレイが保持している香り識別番号テーブルを取得するステップ802と、各香りディスプレイに対してステップ806を実行してプログラムの実行を終了するステップ804とを含む。各香りディスプレイでは、装填されている香りカートリッジのNFCタグとNFCチップとの間の近距離無線通信により、それら香りカートリッジの香り識別番号を取得し、香り識別番号テーブルという形式で保持している。
【0078】
ステップ806は、
処理対象の香りディスプレイに、社内スケジューリングサーバ410から指定された香りIDを持つ香りカートリッジが装填されているか否かを判定して制御の流れを分岐させるステップ820と、ステップ820の判定が肯定であるときに、処理対象の香りディスプレイに対し、発生すべき香りの香りID、噴射継続時間、香りの強さを指定して、香りを発生するコマンドを送信してこのステップ806の実行を終了するステップ822と、ステップ820の判定が否定であるときに、所定のエラー処理を実行してステップ806の実行を終了するステップ824とを含む。
【0079】
なお、ステップ802の処理を毎回行うのは、各香りディスプレイに装填されている香りカートリッジの構成が随時変更される可能性があるためである。
【0080】
[動作]
この実施形態では、社内スケジューリングサーバ410からはメール経由ではなく直接に対象の各香りディスプレイ
90、92又は
パネル型コンピュータ84のような管理コンピュータにイベント名、噴射継続時間、香りID及び香りの強さが送信される。
パネル型コンピュータ
84の管理対象でない香りディスプレイ
90、92の場合には、メールサーバにアクセスして受信したメールからではなく、社内スケジューリングサーバ410から直接にメッセージを受信することを除き、第1の実施形態と同様に動作する。
【0081】
パネル型コンピュータ
84を経由する場合、
パネル型コンピュータ
84とその管理対象である香りディスプレイ
82とは以下のように動作する。
【0082】
パネル型コンピュータ
84は、社内スケジューリングサーバ410から受信したメッセージからイベント名、噴射継続時間、香りID及び噴射の強さを抽出する(ステップ800)。
パネル型コンピュータ
84はさらに、管理対象となっている各香りディスプレイの香りIDテーブルを取得する(ステップ802)。ステップ806で
パネル型コンピュータ
84は、各香りディスプレイに対してステップ806を実行してプログラムの実行を終了する。
【0083】
ステップ806では
パネル型コンピュータ
84は、
処理対象の香りディスプレイ
82に、社内スケジューリングサーバ410から指定された香りIDを持つ香りカートリッジが装填されているか否かを判定して制御の流れを分岐させる(ステップ820)。指定された香りIDを持つ香りカートリッジが処理対象の香りディスプレイ
82に装填されているとき(ステップ820の判定が肯定であるとき)には、
パネル型コンピュータ
84は、処理対象の香りディスプレイ
82に対し、発生すべき香りの香りID、噴射継続時間、香りの強さを指定して、香りを発生するコマンドを送信してステップ806の実行を終了する(ステップ822)。指定された香りIDを持つ香りカートリッジが処理対象の香りディスプレイ
82に装填されていないとき(ステップ820の判定が否定であるとき)には、
パネル型コンピュータ
84は香りディスプレイ
82にコマンドを送信することなく、所定のエラー処理を実行してステップ806の実行を終了する(ステップ824)。
【0084】
パネル型コンピュータ
84により管理されている各香りディスプレイの動作は第1の実施形態と同様である。
【0085】
[効果]
この第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり社内スケジューリングサーバ410から各香りディスプレイ及び管理コンピュータに対して、メール経由ではなく直接にメッセージが送信される。そのため、イベント開始時刻になると同時に、ほとんど遅延がなく各香りディプレイ及び管理コンピュータに対して香り発生のためのイベント通知が送信され、イベントの開始に遅れることなく所定の香りが各地点で発生される。香りディスプレイ及び管理コンピュータが反復的にメールサーバにアクセスする必要もなくなり、ネットワークの負荷が軽減される。
【0086】
管理コンピュータを介して香りディスプレイを管理する場合には、同じ部屋等に設置されている香りディスプレイを同時に動作させるために、社内スケジューリングサーバ410は管理コンピュータだけにメッセージを送信すればよい。そのため、社内スケジューリングサーバ410での香りディスプレイの管理が容易になるという効果がある。
【0087】
<第3の実施形態>
[構成]
上記第1の実施形態及び第2の実施形態のいずれでも、イベント開始時刻だけに香りが発生される。香り発生の継続時間を長くすれば香りの効果が長い間持続するが、香源の消費が早くなり経済的ではない。また香りは一旦放出すればある程度の時間は持続するので、そうした意味でも継続時間を長くすることは好ましくない。
【0088】
一方、イベントの間、ずっと香りの効果を持続させるほうが望ましいと考えられる場合も多い。そうした要求がある場合には、例えば第1の実施形態及び第2の実施形態のいずれでも、同じイベントを複数回、開始時刻に所定の時間間隔を設けて登録すれば同様の効果が得られる。しかしこの場合、本来であれば1回のイベントが複数回登録されてスケジュール管理の上で好ましくない。
【0089】
そこで、例えば社内スケジューリングサーバ410にスケジュールを登録する際に、スケジュールの開始時刻とは別に、香りの発生の時間間隔を登録するようにしてもよい。この場合、たとえば
図9のスケジュールテーブル608に、この時間間隔のフィールドを設ける。そして
図15のステップ702で、イベントの開始時刻に代えて、イベントの開始時刻+香りの発生の時間間隔×i(i=0、1、K、ただしKはイベントの開始時刻+香りの発生の時間間隔×Kがイベントの終了時刻より小さく、イベントの開始時刻+香りの発生の時間間隔×(K+1)がイベントの終了時刻より大きくなるような自然数)を比較の対象とすればよい。
【0090】
[動作]
こうした構成とすると、
図15のプログラムを社内スケジューリングサーバ410が実行すると、あるイベントの開始時刻から終了時刻までの所定時間ごとにステップ704の判定が肯定となり、そのたびに対象の香りディスプレイから香りが発生される。
【0091】
[効果]
したがってこの実施形態によれば、あるイベントの開始から終了までの間、所定間隔で香りが発生され、その効果を持続させることができる。
【0092】
<第4の実施形態>
上記いずれの実施形態でも、スケジュール管理を行う装置と、香りを発生する装置とは別々である。しかしこの発明はそのような実施形態には限定されない。スケジュール管理を行う装置と、香りを発生する装置とが同一でもよい。すなわち、
図1に示す香りディスプレイ82自体にスケジュール管理機能を持たせるようにしてもよい。
【0093】
この場合、
図15に制御構造を示すプログラムと
図3又は
図5に制御構造を示すプログラムを香りディスプレイの内部で別々に動作させ、両者の間でメッセージを交換するようにしてもよい。又は、
図15に制御構造を示すプログラムと
図3又は
図5に制御構造を示すプログラムとを統合して1つのプログラムとしてもよい。
【0094】
この場合、スケジュール自体を何らかの形で香りディスプレイのみで登録できるようにしてもよいし、別のコンピュータ等で作成したスケジュールを香りディスプレイにダウンロードするようにしてもよい。
【0095】
このように香りディスプレイで香りの発生イベントのスケジュールを管理できるようにすると、各ユーザが、自分の香りディスプレイのスケジュールを別々に行えるようになる。その結果、各ユーザが自分の好みのタイミングで、自分の好みの香りを楽しめるので、仕事の上でも、プライベートな暮らしでも、リラックスしながらメリハリのきいた時間を過ごすことができる。
【0096】
今回開示された実施形態は単に例示であって、本発明が上記した実施形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【解決手段】香りディスプレイは、外部からメッセージを受信するためのメッセージ受信部180と、イベントのイベント名と、当該イベントにおいて発生させる香りに関する香り情報との対応関係を記憶する対応関係記憶部と、メッセージ受信部180が受信したメッセージからイベント名及びイベントに関係する時間情報を含むイベント情報を抽出するイベント情報抽出部182と、対応関係記憶部からイベント名に対応する香り情報を読み出す香り情報読み出し部185及び186と、香り情報読み出し部185及び186により読み出された香り情報にしたがって香りを発生する香り発生部194とを含む。