特許第6935110号(P6935110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6935110回流水槽の水位調整装置および水位調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6935110
(24)【登録日】2021年8月27日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】回流水槽の水位調整装置および水位調整方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 10/00 20060101AFI20210906BHJP
【FI】
   G01M10/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-110736(P2020-110736)
(22)【出願日】2020年6月26日
【審査請求日】2020年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】590005874
【氏名又は名称】株式会社西日本流体技研
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼本 亮仁
【審査官】 瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−076108(JP,A)
【文献】 特開平11−183315(JP,A)
【文献】 特開2014−198327(JP,A)
【文献】 特開平09−112500(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第111307410(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回流水槽における水流の流速に対応する定在波の腹の位置の水位を測定する水位測定手段と、
前記水位測定手段により測定された水位に応じて前記回流水槽の水を給排水して、前記回流水槽を適正水位とする給排水手段とを備えた回流水槽の水位調整装置。
【請求項2】
前記水位測定手段は、前記回流水槽の水位を測定する水位測定装置と、前記回流水槽の流速に対応する定在波の腹の位置に、前記水位測定装置を流れ方向に平行に移動させる平行移動装置とを備えた請求項1記載の回流水槽の水位調整装置。
【請求項3】
前記水位測定手段により、前記回流水槽における水流の流速が0のときの流れ方向に沿った水位を適正水位として格納されると共に、流速ごとの定在波の腹の位置が格納される記憶部を備え、
前記水位測定手段は、流速に対応する定在波の腹の位置を前記記憶部から読み出し、定在波の腹の位置の水位を測定し、
前記給排水手段は、測定された腹の位置の水位と前記適正水位との大小関係により、給水または排水を行う請求項1または2記載の回流水槽の水位調整装置。
【請求項4】
水位測定手段が、回流水槽における水流の流速に対応する定在波の腹の位置の水位を測定するステップと、
給排水手段が、前記水位測定手段により測定された水位に応じて前記回流水槽の水を給排水して、前記回流水槽を適正水位とするステップとを含む回流水槽の水位調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回流水槽の水流の水位を適正水位に調整する水位調整装置および水位調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回流水槽では、模型船を使用して様々な検証が行われている。そのため、水位が変化すると、検証結果が影響を受け、精度よい検証を行うことが困難となる。
従って、回流水槽を使用した各種試験において、計測精度を向上させるためには、試験状態の再現性を高めることが非常に重要である。
【0003】
この試験状態の再現性に影響を与える要因の一つとして、定在波と呼ばれる波があり、この定在波は観測部の水位を適正に調整することによって小さくすることが可能となる。
この水位の調整は、水槽への給排水により行われているが、目視にて定在波を観測しながら給排水を行う作業は、適正水位とする判断には熟練した技術が必要である。
【0004】
このような回流水槽の水位調整について特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1に記載の回流水槽の水位調整装置は、回流水槽のインペラ軸に備えたエンコーダ等によって得られるインペラ回転数と、設定インペラ回転数との回転数差から補正水量を演算し、補正水量によって給水系或いは排水系のいずれかの流体制御弁を選択し、開動作させる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−104031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の回流水槽の水位調整装置では、インペラの回転数から補正のための給排水の水量を決定している。定在波は、流速以外に観測部に設置される模型船などの供試体の形状、さらには供試体によって生じる波などの様々な要因によっても影響を受ける。回流水槽における船型開発試験では、波高数mmの定在波が試験結果に大きな影響を与えるが、仮に容量が100トンの大型の回流水槽であっても、わずか数リットルの容量の変化により定在波の波高は数mm単位で変化してしまう。
従って、特許文献1に記載の回流水槽の水位調整装置では、正確に定在波を抑え込むことが難しい。
【0007】
リアルタイムに定在波を計測しながら給排水を行い、適正水位を設定することが可能となれば、より再現性の高い試験が実施可能となる。
【0008】
そこで本発明は、リアルタイムに定在波を計測しながら給排水を行い、適正水位を設定することが可能な回流水槽の水位調整装置および水位調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の回流水槽の水位調整装置は、回流水槽における水流の流速に対応する定在波の腹の位置の水位を測定する水位測定手段と、前記水位測定手段により測定された水位に応じて前記回流水槽の水を給排水して、前記回流水槽を適正水位とする給排水手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の回流水槽の水位調整方法は、水位測定手段が、回流水槽における水流の流速に対応する定在波の腹の位置の水位を測定するステップと、給排水手段が、前記水位測定手段により測定された水位に応じて前記回流水槽の水を給排水して、前記回流水槽を適正水位とするステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、水位測定手段が、水流の流速に対応する定在波の腹の位置の水位を測定するので、回流水槽に供試体が浮かべられ、測定環境が変わっても、測定された水位に応じて、給排水手段が給排水することで適正水位を保つことができる。
【0012】
前記水位測定手段は、前記回流水槽の水位を測定する水位測定装置と、前記回流水槽の流速に対応する定在波の腹の位置に、前記水位測定装置を流れ方向に平行に移動させる平行移動装置とを備えたものとすることができる。
回流水槽の水位を測定する水位測定装置が、平行移動装置により、流れ方向に沿って移動するので、1台の水位測定装置により流速に応じて発生する定在波の腹の水位を、細かなステップで測定することができる。
【0013】
前記水位測定手段により、前記回流水槽における水流の流速が0のときの流れ方向に沿った水位を適正水位として格納されると共に、流速ごとの定在波の腹の位置が格納される記憶部を備え、前記水位測定手段は、流速に対応する定在波の腹の位置を前記記憶部から読み出し、定在波の腹の位置の水位を測定し、前記給排水手段は、測定された腹の位置の水位と前記適正水位との大小関係により、給水または排水を行うものとすることができる。
予め適正水位と、流速ごとの定在波の腹の位置とが測定されて記憶部に格納されているため、流速が決まれば水位の測定位置が決定され、その位置の水位を適正水位に合わせるように回流水槽の水を給排水すればよいので、迅速に適正な水位に調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、測定環境が変わっても、測定された水位に応じて、給排水手段が給排水することで適正水位を保つことができるので、リアルタイムに定在波を計測しながら給排水を行い、適正水位を設定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る水位調整装置が設置された回流水槽を示す図である。
図2図1に示す水位調整装置の制御装置の構成を説明するための図である。
図3図1に示す水位調整装置により水位検定を行った結果を示す図であり、(A)は、結果を示す表、(B)は定在波を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係る回流水槽の水位調整装置を図面に基づいて説明する。
図1に示す本実施の形態に係る回流水槽100の水位調整装置1は、リアルタイムに定在波を計測しながら給排水を行い、適正水位を設定することを可能とするものである。
【0017】
(回流水槽の構成)
まず、回流水槽100の構成について説明する。
回流水槽100は、一定方向の水流が循環する水槽110と、水槽110内の水を強制的に循環させる水流を生じさせる水流発生装置120と、観測部111における水深方向の流速分布を均一にするための表面加速装置130とを備えている。
水槽110は、例えば、垂直型タイプつまり上下回りに循環する水槽である。水槽110は、その上部側には各種の実験を計測する観測部111が形成されている。観測部111は、外側から観測できるよう、上方が開放され、側方は透明な樹脂板やガラス板による観測窓111aが配置されている。
【0018】
観測部111内の上流側には、観測部111内に循環流入する水の流入口が開口されている。観測部111内の下流側には、観測部111内を流れた水を排出する排出口が開口されている。これら流入口及び排出口が形成された観測部111両端の外側には、流入管路112および排出管路113が各々設けられ、一端側が接続されている。
【0019】
流入管路112および排出管路113の他端側には、下側方向に向かって約90度湾曲された上部コーナー部115,115がそれぞれ形成され、一端側が接続されている。上部コーナー部115,115の下方に向かって湾曲された他端側には、内向きの水平方向に向かって約90度湾曲された下部コーナー部116,116が設けられ、一端側が接続されている。そして、下部コーナー部116,116の他端部は、観測部111の下方に配設された連通管路117と接続されている。
【0020】
水流発生装置120は、連通管路117の内部に設けられた送流用インペラ121と、送流用インペラ121を駆動するためのインペラシャフト122と、インペラシャフト122が水槽110から外側へ延びて回転軸に連結するモーター123とを備えている。
【0021】
(水位調整装置の構成)
このような回流水槽100の水位を調整する水位調整装置1の構成について説明する。
本実施の形態に係る水位調整装置1では、回転数検出装置2と、水位測定装置3と、平行移動装置4と、給排水装置5と、制御装置6を備えている。
【0022】
回転数検出装置2は、インペラシャフト122に設けられたロータリーエンコーダなどとすることができる。ロータリーエンコーダは、光電式、磁気式、静電容量式などとすることができる。回転数検出装置2は、測定した信号を制御装置6に出力する。
【0023】
水位測定装置3は、観測部111の上方に配置され、波高を測定するものである。水位測定装置3は、レーザ変位計とすることができる。
平行移動装置4は、観測部111の上方に流れ方向F1に平行に配置されている。平行移動装置4は、水位測定装置3を流れ方向と平行に一次元移動させる。平行移動装置4は、水位測定装置3(レーザ変位計)が装着された取付部が流れ方向と平行に配置された軸部を移動する、X軸トラバーサ(一次元トラバーサ)とすることができる。
水位測定装置3は、測定した信号を制御装置6に出力する。また、平行移動装置4は、制御装置6からの指示によって水位測定装置3を移動させる。
【0024】
給排水装置5は、回流水槽100に、指示された水量の給水をしたり、排水をしたりする。本実施の形態では、給排水装置5は、貯水タンク51と、給水ポンプ52と、排水ポンプ53と、給水用流量計54と、排水用流量計55とを備えたものとすることができる。
【0025】
貯水タンク51は、水槽110に給水する水が貯留され、水槽110から排水された水が貯留される。
給水ポンプ52は、貯水タンク51から水槽110へ導水する。排水ポンプ53は、水槽110から貯水タンク51へ汲み上げる。
給水用流量計54は、貯水タンク51から給水ポンプ52を介して水槽110までの管路に配置され、給水ポンプ52による流量を測定する。排水用流量計55は、水槽110から給水ポンプ52を介して貯水タンク51までの管路に配置され、排水ポンプ53による流量を測定する。
【0026】
図2に示すように、制御装置6は、水位調整装置1の全体を統括制御するものである。制御装置6は、検定演算部61と、流速指定部62と、位置指定部63と、水位演算部64と、給排水指示部65と、入力部66と、表示部67と、記憶部68とを備えている。
【0027】
検定演算部61は、事前に調整用テーブル(検定データ)を作成する際に、各種の演算を行うものである。
流速指定部62は、所望とする流速が入力されると、流速に応じた回転数となるようモーター123(図1参照)に指示する。流速指定部62は、回転数検出装置2(ロータリーエンコーダ)からのパルス信号に基づいて回転数を計数し、入力された流速となるよう回転数を調整する。
【0028】
位置指定部63は、回流水槽のおける水流の流速に対応する定在波の腹の位置を指定する。
水位演算部64は、水位測定装置3により測定された水位から、流速0のときの水位を減算して差分(相対値)を算出して通知する。
給排水指示部65は、水位演算部64から通知された差分に基づいて、記憶部68から給排水量を読み出し、差分に応じた給排水量を給水ポンプ52または排水ポンプ53に指示する。
【0029】
入力部66は、キーボードやマウス、タッチパネルとすることができる。
表示部67は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイとすることができる。
記憶部68は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリとすることができる。記憶部68には、OSやアプリケーションソフトの他、各種の設定、調整用テーブルが格納されている。
【0030】
このように水位調整装置1が構成されていることで、本発明における水位測定手段は、レーザ変位計による水位測定装置3と、X軸トラバーサによる平行移動装置4と、位置指定部63と、水位演算部64とにより形成することができる。また、本発明における水位調整手段は、給排水指示部65と、貯水タンク51と、給水ポンプ52と、排水ポンプ53とにより形成することができる。
【0031】
(水位調整装置の動作および使用状態)
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る回流水槽の水位調整装置1の動作および使用状態について図面に基づいて説明する。まず、流速に対する定在波を予め測定する。
【0032】
(ゼロ点計測)
流速0とし、図1に示す観測部111の上流側端部を位置X=0として、X=0から平行移動装置4により水位測定装置3を流れ方向F1(X軸方向)に移動させて、連続サンプリングを行い、静止水位h0(X)を測定する。水位h0(X)は、位置X=0における水位を0とした相対値とする。また、この水位h0(X)が適正水位となる。
【0033】
(水位検定(定在波測定))
(1)流速Vを入力部66により入力することで、流れ方向F1のサンプリング周期、測定範囲を自動演算する。
ここで、サンプリング周期dXは、dX=λ/20としている。また、流れ方向F1の最大測定範囲の位置Xmaxは、Xmax=波長λ/2または波長λとしている。そして、波長λは、λ=2πV2/gで求められる。但し、Vは流速、gは重力加速度である。
【0034】
(2)平行移動装置4(X軸トラバーサ)により流れ方向F1(X軸方向)に水位測定装置3(レーザ変位計)を移動させて、dX刻みでXmaxまで連続サンプリングして、hm(X)を測定する。
【0035】
(3)次に、水位h(X)=hm(X)‐h0(X)を、流速Vに関連付けて記憶部68(図2参照)に格納すると共に、表示部(図示せず)にグラフで表示する。これにより、流速0における水位との差分の相対値が算出できる。但し、mは、正の整数であり、流速Vを変えての測定回数を示す。
【0036】
(4)そして、操作者は、(2),(3)を繰り返して、hm(X)を測定して、流速Vごとの水位h(X)を算出する。
【0037】
(5)操作者は、水位h(X)が算出されると、流速Vにおける定在波の腹の位置であるXVと、XVにおける適正水位hVとを決定する。hVは、XVの位置のh0(X)である。
(6)操作者は、流速Vごとに(1)〜(5)を行い、流速Vごとの腹の位置XV(V)と適正水位hV(V)とによる調整用テーブル(検定データ)を、入力部66を操作して入力して、記憶部68に格納させる。
【0038】
図3に、定在波データの一例を示す。図3に示す例では、流速Vが1m/s、定在波の波長λが0.641m、サンプリング周期を200μsとしたときのデータである。
図3(B)に示すグラフからも判るように、位置Xが250mmのときに、定在波の腹に対応することが判る。従って、流速Vが1m/sのときに、X=250mmの位置で測定すれば、定在波の腹の位置の水位を測定することができる。
【0039】
(水位調整)
以上のようにして定在波データが決定されると、運用が可能となる。
図1に示す回流水槽100を運転するときには、まず、図2に示す入力部66を操作して流速Vを入力することで、流速指定部62は、流速Vに応じた回転数となるようモーター123(図1参照)に指示する。また、流速指定部62は、回転数検出装置2からの信号に基づいて、モーター123への回転を微調整する。
【0040】
次に、位置指定部63は、流速Vに基づいて調整用テーブルから、定在波の腹の位置XV(V),適正水位hV(V)を記憶部68から読み出す。
【0041】
次に、記憶部68から読み出された定在波の腹の位置であるXV(V)に基づいて位置指定部63は、平行移動装置4に移動を指示する。
平行移動装置4は、水位測定装置3を移動させて、XV(V)における現在の水位h(X)を測定する。XV(V)における水位h(X)が測定されると、水位演算部64が、h(X)‐h0(X)を演算する。
【0042】
このとき、給排水指示部65は、hV(V)と、h(X)との関係を判定する。例えば、hV(V)>h(X)であれば給水を、給水ポンプ52に指示する。また、hV(V)<h(X)であれば排水を、排水ポンプ53に指示する。
このようにして、給排水指示部65は、測定された水位と適正水位との大小関係により給水または排水を指示している。
【0043】
このとき、給排水指示部65は、必要な給排水量を、供給時間または排水時間で決定してもよいし、給水用流量計54と排水用流量計55とにより給排水量を監視して所定の水量になったら、給水ポンプ52および排水ポンプ53の動作を停止するようにしてもよい。
そして、給排水指示部65は、|hV(V)−h(X)|≦閾値hErrであれば水位調整完了である。例えば、この閾値hErrは、1mmとすることができる。
【0044】
以上のように、本実施の形態に係る水位調整装置1によれば、水位測定装置3と平行移動装置4とにより、水流の流速に対応する定在波の腹の位置の水位を測定するので、回流水槽100に供試体が浮かべられることにより、測定環境が変わっても、測定された水位に応じて、給排水指示部65から給水ポンプ52と排水ポンプ53とに給排水を指示することができる。従って、水位調整装置1は、リアルタイムに定在波を計測しながら給排水を行い、適正水位を設定することが可能である。
【0045】
水位を測定するために、水位測定装置3を流れ方向F1に沿って並べてもよいが、多数の水位測定装置3を配置する必要がある。しかし、水位調整装置1では、回流水槽の水位を測定する水位測定装置3が、平行移動装置4により、流れ方向F1に沿って移動するので、1台の水位測定装置3により流速に応じて発生する定在波の腹の水位を、細かなステップで測定することができる。
【0046】
記憶部68には、適正水位hV(V)と、流速ごとの定在波の腹の位置XV(V)が格納されている。位置指定部63が、XV(V)が示す位置に水位測定装置3を移動するように、平行移動装置4に指示する。この位置で、水位測定装置3が水位を測定する。そして、給排水指示部65が、測定された腹の位置の水位h(X)と、適正水位hV(V)との大小関係により、給水または排水を行う。
予め適正水位と、流速ごとの定在波の腹の位置とが測定されているため、流速が決まれば水位の測定位置が決定され、その位置の水位を適正水位に合わせるように水槽110の水を給排水すればよいので、迅速に適正な水位に調整することができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、給排水手段として貯水タンク51から給水ポンプ52に水槽110へ給水したり、水槽110から排水ポンプ53により貯水タンク51に排水したりしているが、貯水タンク51を上下させて水槽110の水位より高く位置させて給水したり、低く位置させて排水したりするようにしてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、回流水槽100は垂直型タイプであったが、本発明は水槽が水平方向に延びて環状に形成された水平型タイプの回流水槽でも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、水流を発生させ、観測部に供試体を浮かべて、様々な検証を行う回流水槽に好適である。
【符号の説明】
【0050】
1 水位調整装置
2 回転数検出装置
3 水位測定装置
4 平行移動装置
5 給排水装置
51 貯水タンク
52 給水ポンプ
53 排水ポンプ
54 給水用流量計
55 排水用流量計
6 制御装置
61 検定演算部
62 流速指定部
63 位置指定部
64 水位演算部
65 給排水指示部
66 入力部
67 表示部
68 記憶部
100 回流水槽
110 水槽
111 観測部
111a 観測窓
112 流入管路
113 排出管路
115 上部コーナー部
116 下部コーナー部
117 連通管路
120 水流発生装置
121 送流用インペラ
122 インペラシャフト
123 モーター
130 表面加速装置
F1 流れ方向
【要約】
【課題】リアルタイムに定在波を計測しながら給排水を行い、適正水位を設定することが可能な回流水槽の水位調整装置および水位調整方法を提供する。
【解決手段】回流水槽100の水位調整装置1は、制御装置6の位置指定部が、平行移動装置4に指示して、回流水槽100における水流の流速に対応する定在波の腹の位置の水位を、水位測定装置3を流れ方向F1に平行に移動させて測定する。水位測定装置3により測定された水位に応じて、制御装置6の給排水指示部が、回流水槽100の水を給水ポンプ52と排水ポンプ53とにより給排水して、回流水槽100を適正水位とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3