(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6935114
(24)【登録日】2021年8月27日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】ロール状部材及び巻き取り方法
(51)【国際特許分類】
B65H 18/28 20060101AFI20210906BHJP
A61F 13/15 20060101ALN20210906BHJP
【FI】
B65H18/28
!A61F13/15 300
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2021-21757(P2021-21757)
(22)【出願日】2021年2月15日
【審査請求日】2021年2月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511172210
【氏名又は名称】株式会社ヨシモト印刷社
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉 本 孝 志
【審査官】
大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2020−062834(JP,A)
【文献】
特開2015−066769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/00−18/28
A61F 13/15−13/84
B41J 2/01
B41J 15/00−15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面の部位に印刷した印刷部を有する帯状部材をロール状に巻き取る巻き取り方
法であって、
前記帯状部材の前記印刷部と前記印刷部に対向する前記帯状部材の部位とが接触する
のを防止する透明又は半透明又は前記帯状部材の原反の生地と同色の接触阻止部材を前記
帯状部材に設け、前記接触阻止部材を介して前記帯状部材がロール状に巻き取られている
ものであり、前記接触阻止部材は、前記印刷部の周囲を連続又は不連続に環状に囲んだものであり、
前記印刷部の前記帯状部材からの厚みhは、前記接触阻止部材の前記帯状部材からの厚みH(H>h)である
ことを特徴とする巻き取り方法。
【請求項2】
一方の面の部位に印刷した印刷部を有する帯状部材をロール状に巻き取ったロール状
部材であって、
前記帯状部材の前記印刷部と前記印刷部に対向する前記帯状部材の部位とが接触する
のを防止する透明又は半透明又は前記帯状部材の原反の生地と同色の接触阻止部材を前記
帯状部材に設け、前記接触阻止部材を介して前記帯状部材がロール状に巻き取られている
ものであり、前記接触阻止部材は、前記印刷部の周囲を連続又は不連続に環状に囲んだものであり、
前記印刷部の前記帯状部材からの厚みhは、前記接触阻止部材の前記帯状部材からの厚みH(H>h)である
ことを特徴とするロール状部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状部材及び巻き取り方法に係り、特に、印刷部のインキの転写防止を図ったロール状部材及び巻き取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外側に外面シート、内側に内面シート、この内面シートと前記外面シートとの間に吸収体を有するおむつがあり(例えば、特許文献参照)、上記外面シートにキャラクタ、模様等を印刷している。
また、おむつの製造過程において、外面シートに用いられる「キャラクタ、模様等を印刷したシート状部材(帯状部材)」をロール状に巻き取る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-68322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、「キャラクタ、模様等を印刷したシート状部材(帯状部材)」をロール状に巻き取ると、シート状部材(帯状部材)が非常に薄いこともあって、印刷した部位に当接するシート状部材(帯状部材)にインキが転写し、見栄えが良くないという問題点が生じた。
【0005】
本発明は、上記問題点を除去するようにしたロール状部材及び巻き取り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の巻き取り方法は、一方の面の部位に印刷した印刷部を有する帯状部材をロール状に巻き取る巻き取り方法であって、前記帯状部材の前記印刷部と前記印刷部に対向する前記帯状部材の部位とが接触するのを防止する透明又は半透明又は前記帯状部材の原反の生地と同色の接触阻止部材を前記帯状部材に設け、前記接触阻止部材を介して前記帯状部材がロール状に巻き取られている
ものであり、前記接触阻止部材は、前記印刷部の周囲を連続又は不連続に環状に囲んだものであり、前記印刷部の前記帯状部材からの厚みhは、前記接触阻止部材の前記帯状部材からの厚みH(H>h)である。
【0010】
また、請求項
2記載のロール状部材は、一方の面の部位に印刷した印刷部を有する帯状部材をロール状に巻き取ったロール状部材であって、前記帯状部材の前記印刷部と前記印刷部に対向する前記帯状部材の部位とが接触するのを防止する透明又は半透明又は前記帯状部材の原反の生地と同色の接触阻止部材を前記帯状部材に設け、前記接触阻止部材を介して前記帯状部材がロール状に巻き取られている
ものであり、前記接触阻止部材は、前記印刷部の周囲を連続又は不連続に環状に囲んだものであり、前記印刷部の前記帯状部材からの厚みhは、前記接触阻止部材の前記帯状部材からの厚みH(H>h)である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の巻き取り方法によれば、帯状部材の印刷部と前記印刷部に対向する前記帯状部材の部位とが接触するのを防止する透明又は半透明又は、前記帯状部材の原反の生地と同色の接触阻止部材を前記帯状部材に設け、前記接触阻止部材を介して前記帯状部材がロール状に巻き取られているため、帯状部材の印刷部のインキが前記印刷部に対向する前記帯状部材の部位への転写を防ぐことができる。
【0015】
また、請求項
1記載の巻き取り方法によれば、接触阻止部材は、印刷部の周囲を連続又は不連続に環状に囲んだものであり、前記印刷部の帯状部材からの厚みhは、前記接触阻止部材の前記帯状部材からの厚みH(H>h)であるという簡易な手段により、帯状部材の印刷部のインキが前記印刷部に対向する前記帯状部材の部位への転写を防ぐことができる。
【0018】
また、請求項
2記載のロール状部材によれば、帯状部材の印刷部と前記印刷部に対向
する前記帯状部材の部位とが接触するのを防止する透明又は半透明又は、前記帯状部材の
原反の生地と同色の接触阻止部材を前記帯状部材に設け、前記接触阻止部材を介して前記
帯状部材がロール状に巻き取られているため、帯状部材の印刷部のインキが前記印刷部に
対向する前記帯状部材の部位への転写を防ぐことができる。
【0019】
また、請求項
2記載のロール状部材によれば、接触阻止部材は、印刷部の周囲を連続
又は不連続に環状に囲んだものであり、前記印刷部の帯状部材からの厚みhは、前記接触
阻止部材の前記帯状部材からの厚みH(H>h)であるという簡易な手段により、帯状部
材の印刷部のインキが前記印刷部に対向する前記帯状部材の部位への転写を防ぐことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本願発明の一実施例のロール状部材を撮影した写真である。
【
図2】
図2は、
図1のロール状部材の帯状形状の長手方向に沿って切断した概略的断面図である。
【
図4】
図4は、
図1のロール状部材の長手方向に沿って切断した概略的断面図である。
【
図5】
図5は、
図1のロール状部材の長手方向を直交する幅方向に沿って切断した概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施例のロール状部材及び巻き取り方法を
図1乃至
図5を参照して説明する。
【0024】
図1に示すRはロール状部材で、ロール状部材Rを構成する帯状部材1は、外側に向けられる外面シートと、内側に向けられる液透過性の内面シートと、前記外面シートと内面シートとの間に位置する吸収層とを有する紙おむつにあって、例えば、この紙おむつの外側の外面シートに用いられるもので、材質は、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル不織布(又は、紙)等である。
【0025】
ロール状部材Rは、一方の面1Aの部位に印刷した印刷部2を有する帯状部材1をロール状に巻き取ったもので、印刷部2は、キャラクタ、三角、丸等の図形、文字、数字、模様等を印刷したものである。印刷は、例えば、版の凸部にインキを紙、帯状部材に転写する「フレキソ印刷」「グラビア印刷」等で、インキは、例えば、市販されている水性フレキソインキ、油性(有機溶剤型)フレキソインキ、水性グラビアインキ、油性(有機溶剤型)グラビアインキ等が用いられる。
また、
図2に示す3は透明な接触阻止部材で、例えば、市販されている水性フレキソワニスが用いられる。
即ち、
図5に示すように、帯状部材1の印刷部2と印刷部2に対向する帯状部材1の部位とが接触するのを防止する透明な接触阻止部材3を帯状部材1に設け、接触阻止部材3を介して帯状部材1がロール状に巻き取られている。なお、接触阻止部材3は、透明に限らず、半透明又は帯状部材1の原反の生地と同色(例えば、帯状部材1の原反の生地の色が白色であれば、接触阻止部材3は白色である。)でも良い。
【0026】
従って、一方の面1Aの部位に印刷した印刷部2を有する帯状部材1をロール状に巻き取る巻き取り方法(又は、一方の面1Aの部位に印刷した印刷部2を有する帯状部材1をロール状に巻き取ったロール状部材R)によれば、帯状部材1の印刷部2と印刷部2に対向する帯状部材1の部位とが接触するのを防止する透明又は半透明又は帯状部材1の原反の生地と同色の接触阻止部材3を帯状部材1に設け、接触阻止部材3を介して帯状部材1がロール状に巻き取られているため、帯状部材1の印刷部2のインキが印刷部2に対向する帯状部材1の部位への転写を防ぐことができる。
【0027】
接触阻止部材3は、例えば、
図3に示すように、印刷部2の周囲を連続に環状に囲んだものである。なお、図示では、接触阻止部材3は、印刷部2の周囲を連続に環状に囲んでいるが、印刷部2の周囲を不連続に環状に囲むようにしても良い。
また、印刷部2の帯状部材1からの厚みh[例えば、hは、1μm(ミクロン)]は、接触阻止部材3の帯状部材1からの厚みH(H>h)[例えば、Hは、1.5μm(ミクロン)]である。
このように、接触阻止部材3は、印刷部2の周囲を連続または不連続に環状に囲んだものであり、印刷部2の帯状部材1からの厚みhは、接触阻止部材3の帯状部材1からの厚みH(H>h)であるという簡易な手段により、帯状部材1の印刷部2のインキが印刷部2に対向する帯状部材1の部位への転写を防ぐことができる。
【0028】
要するに、ロール状に巻かれた帯状部材1の幅方向の断面(ロール状に巻かれた帯状部材1の長手方向を直交する幅方向の断面)において、印刷部2の両側に接触阻止部材3が位置し(
図5参照)、印刷部2の帯状部材1からの厚みhは、接触阻止部材3の帯状部材1からの厚みH(H>h)であれば良い。この場合、接触阻止部材3を一方の面1A(一方の面を表面とすれば、)、つまり、印刷部2と同じ面(表面)に設けても良いが、接触阻止部材3を印刷部2と異なる他方の面(一方の面1Aを表面とすれば、他方の面1Bは、裏面である。)に設けても良い。
【0029】
また、印刷部2と接触阻止部材3との間に隙間がなく接触していると、印刷部2のインキが接触阻止部材3を介して、接触阻止部材3に当接する帯状部材1の部位へ転写する不具合を有するが、本実施例の巻き取り方法(ロール状部材R)によれば、印刷部2と接触阻止部材3との間に隙間4(例えば、0.5μm〜1.0μm)を有して並設されているため、前記不具合を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0030】
R ロール状部材
1 帯状部材
1A 一方の面
2 印刷部
3 接触阻止部材
4 隙間
【要約】
【課題】
本発明の目的は、印刷部のインキの転写防止を図ったロール状部材及び巻き取り方法を提供するものである。
【解決手段】
巻き取り方法は、 一方の面1Aの部位に印刷した印刷部2を有する帯状部材1をロール状に巻き取る巻き取り方法であって、帯状部材1の印刷部2と印刷部2に対向する帯状部材1の部位とが接触するのを防止する透明又は半透明又は、帯状部材1の原反の生地と同色の接触阻止部材3を帯状部材1に設け、接触阻止部材3を介して帯状部材1がロール状に巻き取られているものである。
【選択図】
図2