特許第6935188号(P6935188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6935188
(24)【登録日】2021年8月27日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】光線追跡能力を備えたガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20210906BHJP
   A61B 18/20 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   A61B34/20
   A61B18/20
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-222976(P2016-222976)
(22)【出願日】2016年11月16日
(65)【公開番号】特開2017-94082(P2017-94082A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2019年11月15日
(31)【優先権主張番号】62/256,304
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/289,813
(32)【優先日】2016年10月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】ラム・ベルナルド・メイヤー
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−524863(JP,A)
【文献】 特開2011−227870(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0142425(US,A1)
【文献】 特開2007−209531(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0208252(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
A61B 18/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
患者のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンを表示するように構成されたスクリーンと、
前記患者内に挿入されるように構成されたセンサを備えるプローブと、
前記センサの場所及び配向を追跡するように構成された追跡システムと、
プロセッサであって、
前記追跡システムと前記CTスキャンを位置合わせし、
前記追跡システムを用いて、前記プローブの座標を追跡し、
前記追跡された座標に基づいて、前記センサの前記場所を表すアイコンを、前記スクリーン上の前記CTスキャン上に重ね合わせ、
前記センサの前記配向に対応する方向に前記アイコンから発せられ、前記CTスキャンのグレイレベル値が規定の閾値と交差する画素において終端する光線を、前記CTスキャン上に重ね合わせるように構成された、プロセッサと、を備える、装置。
【請求項2】
前記光線が、前記CTスキャンの黒又はほぼ黒領域を横断するが、前記規定の閾値より明るいグレイレベルの画素で終端される光線である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記グレイレベル分布が、前記CTスキャンにおける局所組織密度を示す、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記光線を前記終端点に重ね合わせることに応じて、前記プローブからのレーザ放射を、前記終端点に対応する前記患者内の所望のアブレーション標的の場所に方向付けるレーザと、前記プローブの遠位端に前記センサであるコイルを備え、前記レーザと連結された光ファイバが前記コイルの内部を通り抜けている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記追跡システムが、磁気追跡システムを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記CTスキャンが、前記患者の副鼻腔のCTスキャンを含み、前記プローブが、前記副鼻腔に挿入されるように構成され、かつ寸法合わせされたガイドワイヤを備える、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、外科手術に関し、より具体的には、副鼻腔レーザ外科手術に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ手術は、組織を外科用メスで切断するよりはむしろ、組織をアブレーション又は気化させるようにレーザ光線を用いる。
【0003】
本特許出願において参照により組み込まれている文献は、いずれかの用語が、本明細書において明示的又は暗示的になされている定義と矛盾する様態でこれらの組み込まれた文献において定義されている範囲において、本明細書における定義のみが考慮されるべきである場合を除き、本出願の一体部分と見なされるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のある実施形態は、方法を提供するものであり、該方法は、
患者内のセンサの場所及び配向を追跡するように構成された追跡システムと、患者のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンを位置合わせすることと、
CTスキャンをスクリーン上に表示することと、
追跡システムを用いて患者内にセンサを含むプローブの座標を追跡することと、
追跡された座標に基づいて、センサの場所を表すアイコンを、スクリーン上のCTスキャン上に重ね合わせることと、
センサの配向に対応する方向にアイコンから発せられる光線を、CTスキャン上に重ね合わせ、CTスキャンのグレイレベル分布に応じて選択された終端点に向かってスクリーンを横切らせることと、を含む。
【0005】
代替的な実施形態では、グレイレベル分布は、CTスキャンにおける局所組織密度を示す。
【0006】
更なる代替的な実施形態では、光線を重ね合わせることは、表示されたCTスキャンのグレイレベル値が規定の閾値と交差する画素において、光線を終端させることを含む。
【0007】
更に他の代替的な実施形態では、本方法は、光線を終端点に重ね合わせることに応じて、プローブからのレーザ放射を、終端点に対応する患者内の所望のアブレーション標的の場所に方向付けることを含む。
【0008】
開示された実施形態では、追跡システムは、磁気追跡システムを含む。
【0009】
更なる開示された実施形態では、CTスキャンは、患者の副鼻腔のCTスキャンを含み、プローブは、副鼻腔に挿入されるように構成され、かつ寸法合わせされたガイドワイヤからなる。
【0010】
本発明のある実施形態により、装置が更に提供され、該装置は、
患者のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンを表示するように構成されたスクリーンと、
患者内に挿入されるように構成されたセンサを有するプローブと、
センサの場所及び配向を追跡するように構成された追跡システムと、
プロセッサであって、
追跡システムとCTスキャンを位置合わせし、
追跡システムを用いてプローブの座標を追跡し、
追跡された座標に基づいて、センサの場所を表すアイコンを、スクリーン上のCTスキャン上に重ね合わせ、
センサの配向に対応する方向にアイコンから発せられる光線を、CTスキャン上に重ね合わせ、CTスキャンのグレイレベル分布に応じて選択された終端点に向かってスクリーンを横切らせるように構成された、プロセッサとを含む。
【0011】
本開示は、図面と併せて、以下の本開示の実施形態の詳細説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による、レーザ外科手術システムの概略図である。
図2A】本発明の一実施形態による、ガイドワイヤの概略縦断図であり。
図2B】ガイドワイヤの概略断面図である。
図3】本発明の一実施形態による、レーザ外科手術システムの操作において実施される工程のフローチャートである。
図4】本発明の実施形態による、フローチャートの工程のいくつかを例示する概略図である。
図5】本発明の実施形態による、フローチャートの工程のいくつかを例示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概観
レーザ放射は、副鼻腔の外科的処置において組織をアブレーションするために用いることができる。しかしながら、レーザ放射は、正確に標的化する必要があり、これは、不正確な標的化が健常な組織に外傷をもたらし得るためである。本発明の実施形態は、処置における患者の実際の照射の前に、レーザ放射が正確に標的化されることを確認することができるシステムを医師に提供する。
【0014】
処置が実施される前に、患者の頭部のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンが取得される。処置の開始時において、磁界発生装置が患者の頭部の周囲に位置付けられる。発生装置からの磁界は、磁界内の磁気センサにおいて信号を発生し、この信号を用いて、センサの場所及び配向を追跡する。センサは、プローブの遠位端に組み込まれ、本明細書では、処置に用いられるガイドワイヤを備えることが想定される。ガイドワイヤはまた、ガイドワイヤの近位端から遠位端まで通り抜ける光ファイバも有し、レーザは、光ファイバの近位端に連結される。
【0015】
処置のために、CTスキャンは、医師に対してスクリーン上に表示される。医師は、ガイドワイヤを患者の外鼻孔に挿入し、システムプロセッサが、ガイドワイヤの遠位端の位置に対応するセンサの位置を表すアイコンをCTスキャン上に表示する。医師は、アイコンを用いて、ガイドワイヤをスキャン上のマーカーに近接する所望の位置に移動させ、このマーカーは、アブレーションされる患者内の部位に対応する。
【0016】
所望の位置において、医師は、システムプロセッサを起動させ、ガイドワイヤの遠位端の配向によって画定される方向にアイコンから発せられる仮想光線を、CTスキャン上に表示させる。プロセッサは、CTスキャンのグレイレベルに従って仮想光線を持続するように構成される。すなわち、光線は、通常、スキャンの黒又はほぼ黒領域を横切るが、ヒットするより明るいグレイレベルで終端するように構成される。(黒及びほぼ黒レベルは、近位端レーザからの放射を妨げることがない空気などの領域に対応する。より明るいグレイレベルは、通常、照射されることが望ましくない組織に対応する。)
【0017】
仮想光線が、マーカーに達するようにCTスキャン上に示されて、アイコンからマーカーまで何も遮るものがないことを医師に検証するとき、医師は、システムプロセッサを起動させ、トグルでレーザをオンに切り換える。トグルでレーザをオンに切り換えることにより、マーカーで表された標的がアブレーションされる。
【0018】
したがって、本発明の一実施形態では、患者のCTスキャンは、患者内のセンサの場所及び配向を追跡することができる、追跡システム、通常は磁気追跡システムと位置合わせされる。CTスキャンは、スクリーン上に表示され、プロセッサは、患者内に挿入されているセンサを備えるプローブの座標を、追跡システムを用いて追跡する。追跡された座標に基づいて、プロセッサは、センサの場所を表すアイコンを、スクリーン上のCTスキャン上に重ね合わせる。加えて、プロセッサは、センサの配向に対応する方向にアイコンから発せられている光線を、CTスキャン上に重ね合わせる。光線は、スクリーン上で、CTスキャンのグレイレベル分布に応じて選択された終端点に向かって横切らせられる。
【0019】
光線が終端点まで横切ると、レーザ放射が、プローブから、終端点に対応する患者内の所望のアブレーション標的の場所まで方向付けられ得る。
【0020】
発明の詳細
ここで、本発明の一実施形態による、レーザ外科手術システム20の概略図である図1を参照する。システム20は、通常、患者22の副鼻腔の一部をアブレーションするためにレーザが操作される侵襲的処置中に用いられ、本システムは、以下により詳細に記述されるように、本システムにおいて用いられる、通常はガイドワイヤの形態であり本明細書においてガイドワイヤ28とも称される、プローブ28を含む。
【0021】
処置の前に、通常は数日前に、患者22の頭部のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンが行われる。CTスキャンからのデータは、システム20を動作させるシステムプロセッサ40による使用のために記憶される。
【0022】
実際の処置については、磁界発生装置24のセットが、患者の頭部に近接して置かれる。以下により詳細に記述されるように、ガイドワイヤ28は、その遠位端32に磁界センサ30を備え、発生装置24からの磁界は、センサの場所及び配向、したがって、ガイドワイヤの遠位端座標の場所及び配向が、遠位端が患者の副鼻腔に挿入された後に追跡されることを可能にする。患者内に挿入されたセンサを追跡するための発生装置24などの磁界発生装置を用いるシステムは、米国特許出願第14/792,823号(Govariら)、米国仮特許出願第62/209,946号(Gliner)、及び同第62/221,367号(同様にGliner)に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。Diamond Bar,CAのBiosense Websterにより生産されているCarto(登録商標)システムは、本明細書に記載されるものと同様の追跡システムを用いて、磁界によって照射された領域におけるコイルの場所及び配向を追跡する。
【0023】
明確かつ簡単にするために、本出願は、センサ30が、発生装置24を備える磁気追跡システムによって追跡される磁界センサであると想定する。しかしながら、センサ30については、他のタイプのセンサ及び他のタイプの追跡システムが使用されてもよく、当業者であれば、必要な変更を加えて、本出願を他のタイプのセンサ及び追跡システムに適合させることができることが理解されよう。したがって、本発明の範囲は、これらの他のタイプのセンサ及び追跡システムを含む。
【0024】
システム20の要素は、磁気追跡モジュール42などの1つ又は2つ以上のモジュールと通信する処理装置(PU)41を備えるシステムプロセッサ40によって制御されることができ、磁気追跡モジュール42は、処理装置が発生装置24を制御しかつセンサ30を追跡することを可能にする。処理装置は、その機能が以下に記載されるレーザモジュール44と通信することもできる。
【0025】
発生装置24は、発生装置の基準系を画定し、センサ30の場所及び配向は、この基準系に対して決定される。処置の開始時に、患者の頭部のCTスキャンは、発生装置の基準系と位置合わせされる。例えば、CTスキャンは、患者の鼻尖、及び眉毛の間の点などの他の外側形体を含む。発生装置の基準系とCTスキャンを位置合わせするために、システム20の操作者は、センサ30に類似するセンサを有するワンド先端を、CTスキャン内に存在する特定の外側形体上に置くことができる。PU 41は、モジュール42を使用して、発生装置の基準系内の特定の外側形体の位置を見つけ出すことができ、位置合わせのために、CTスキャン中の形体のこれらの位置及び場所の間の対応関係を形成することができる。しかしながら、当該技術分野において既知である、使用される追跡システムとCTスキャンとの間の位置合わせの任意の他の好都合な方法が用いられてもよい。
【0026】
プロセッサ40は、キーパッド及び/又はマウス若しくはトラックボールなどのポインティングデバイスを通常は含む動作制御装置50を備える、コンソール48内に実装され得る。コンソール48はまた、ガイドワイヤ28の近位端52などのシステム20の他の要素に、及びガイドワイヤの近位端ホルダ53内に取り付けられたレーザ60に接続する。医師54が、処置を実施しながら、動作制御装置を用いてプロセッサと対話し、プロセッサは、システム20によって生成された結果をスクリーン56上で提示することができる。
【0027】
プロセッサ40は、プロセッサのメモリ内に記憶されたソフトウェアを用いてシステム20を動作させる。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子的形態でプロセッサ40にダウンロードされてもよいし、又は代替的若しくは追加的に、磁気メモリ、光メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供かつ/若しくは記憶されてもよい。
【0028】
図2Aは、本発明の一実施形態による、ガイドワイヤ28の概略縦断図であり、図2Bは、線IIB−IIBに沿って取られたガイドワイヤの概略断面図である。ガイドワイヤ28は、通常、ステンレス鋼ワイヤのコイル58として形成され、一実施形態では、0.9mmの外径を有する。しかしながら、本発明の他の実施形態のガイドワイヤは、0.9mm超の又は0.9mm未満である外径を有してもよい。
【0029】
光ファイバ62は、コイル58を通り抜け、通常、ガイドワイヤの遠位端に固定された窓64に接着されて終端する。光ファイバが、ガイドワイヤの近位端52で終端し、レーザ60が、光ファイバの近位端終端部に取り付けられることによって、電圧印加されるとき、レーザはレーザ放射を光ファイバに向かって方向付ける。通常は、光学素子が、エネルギーを光ファイバに方向付けるために用いられるが、簡略化のために、そのような素子は図面には示されていない。
【0030】
遠位端32の切り取り部70は、遠位端の内部要素を示す。磁界センサ30は、遠位端の内部に固定的に取り付けられている。磁界センサは、通常、コイル58の対称軸に対して平行な、通常コイル58の対称軸と一致する対称軸を有する単軸コイルであり、光ファイバは、単軸コイルの内部を通り抜けることができる。
【0031】
導電ワイヤ72は、センサを通過する発生装置24からの磁界に応じて、センサ30によって生成された信号を、プロセッサ40に伝達する。あるいは、信号は、無線でプロセッサ40に伝達されてもよい。取得された信号から、プロセッサは、センサ30の配向及び場所、したがって遠位端32の配光及び場所を演算することができる。
【0032】
図3は、本発明の実施形態による、システム20の動作において実行される工程のフローチャートであり、図4及び5は、これらの工程のいくつかを例示する概略図である。準備工程100において、患者22のCTスキャンが実施され、患者の走査画像が、上で述べたように、発生装置24によって画定される基準系と位置合わせされる。図4は、スクリーン56上に提示されている、患者の概略的なCTスキャン130を例示する。
【0033】
初期処置工程102において、医師54はガイドワイヤ28を患者22の鼻尖に挿入し、プロセッサ40は、センサ30からの信号を用いて、遠位端32の場所及び配向を取得かつ追跡する。プロセッサは、工程100において実行された位置合わせを用いて、遠位端32の場所及び配向を表すアイコン132を、スキャン130上に重ね合わせる。図4は、工程102について、スキャン130上のアイコン132を例示する。
【0034】
処置工程104を続ける上で、医師は、ガイドワイヤ28、及びアイコン132もスキャン上のマーカー134に近接する所望の位置に移動させ、このマーカーは、アブレーションされる患者内の部位に対応する。所望の位置において、医師は、システム20を起動させ、これにより、プロセッサ40は、遠位端32の配向によって画定される方向にアイコン132から発せられている仮想光線136を、スキャン130上に重ね合わせる。
【0035】
プロセッサ40は、CTスキャンのグレイレベルに従って仮想光線136を持続させるように構成される。すなわち、光線は、通常、スキャンの黒又はほぼ黒領域を横断するが、ヒットするより明るいグレイレベル上のスキャンの特定の画素で終端するように構成される。黒及びほぼ黒レベルは、レーザ60からの放射を妨げることがない空気などの領域に対応する。仮想光線が横切ることができる実際のグレイレベル、及び仮想光線が横切ることができないレベルは、医師54による処置の前の規定の閾値として設定されてもよく、これらのレベルは、不用な実験をすることなく決定され得る。CTスキャンのグレイレベルは、局所組織密度を示すことが理解されよう。
【0036】
図5は、光線がスキャンのより明るいグレイレベルを横切ることがないために、マーカー134に届いているような仮想光線136を例示する。
【0037】
動作工程106において、マーカー134に届いているような仮想光線136がスキャン130上に示されると、医師は、制御装置50及び/又はホルダ53内の制御装置を用いて、トグルでレーザ60をオンに切り換えることができる。トグルでレーザをオンに切り換えることにより、マーカー134で表された標的がアブレーションされる。
【0038】
上述の実施形態は、例として引用されたものであること、及び本発明は、上に具体的に示されて記載されているものに限定されるものではないということが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上文に記載された様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせ、並びに、先行技術において開示されていないが前述の記載を読めば当業者が想到するであろうそれらの変更例及び改良例の両方を含む。
【0039】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
患者内のセンサの場所及び配向を追跡するように構成された追跡システムと、前記患者のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンを位置合わせすることと、
前記CTスキャンをスクリーン上に表示することと、
前記追跡システムを用いて、前記患者内での前記センサを備えるプローブの座標を追跡することと、
前記追跡された座標に基づいて、前記センサの前記場所を表すアイコンを、前記スクリーン上の前記CTスキャンに重ね合わせることと、
前記センサの前記配向に対応する方向に前記アイコンから発せられる光線を、前記CTスキャン上に重ね合わせ、前記CTスキャンのグレイレベル分布に応じて選択された終端点に向かって前記スクリーンを横切らせることと、を含む、方法。
(2) 前記グレイレベル分布が、前記CTスキャンにおける局所組織密度を示す、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記光線を重ね合わせることは、前記表示されたCTスキャンのグレイレベル値が規定の閾値と交差する画素において、前記光線を終端させることを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記光線を前記終端点に重ね合わせることに応じて、前記プローブからのレーザ放射を、前記終端点に対応する前記患者内の所望のアブレーション標的の場所に方向付けることを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記追跡システムが、磁気追跡システムを含む、実施態様1に記載の方法。
【0040】
(6) 前記CTスキャンが、前記患者の副鼻腔のCTスキャンを含み、前記プローブが、前記副鼻腔に挿入されるように構成され、かつ寸法合わせされたガイドワイヤを備える、実施態様1に記載の方法。
(7) 装置であって、
患者のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンを表示するように構成されたスクリーンと、
前記患者内に挿入されるように構成されたセンサを備えるプローブと、
前記センサの場所及び配向を追跡するように構成された追跡システムと、
プロセッサであって、
前記追跡システムと前記CTスキャンを位置合わせし、
前記追跡システムを用いて、前記プローブの座標を追跡し、
前記追跡された座標に基づいて、前記センサの前記場所を表すアイコンを、前記スクリーン上の前記CTスキャン上に重ね合わせ、
前記センサの前記配向に対応する方向に前記アイコンから発せられる光線を、前記CTスキャン上に重ね合わせ、前記CTスキャンのグレイレベル分布に応じて選択された終端点に向かって、前記スクリーンを横切らせるように構成された、プロセッサと、を備える、装置。
(8) 前記グレイレベル分布が、前記CTスキャンにおける局所組織密度を示す、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記光線を重ね合わせることは、前記表示されたCTスキャンのグレイレベル値が規定の閾値と交差する画素において、前記光線を終端させることを含む、実施態様7に記載の装置。
(10) 前記光線を前記終端点に重ね合わせることに応じて、前記プローブからのレーザ放射を、前記終端点に対応する前記患者内の所望のアブレーション標的の場所に方向付けるレーザを備える、実施態様7に記載の装置。
【0041】
(11) 前記追跡システムが、磁気追跡システムを含む、実施態様7に記載の装置。
(12) 前記CTスキャンが、前記患者の副鼻腔のCTスキャンを含み、前記プローブが、前記副鼻腔に挿入されるように構成され、かつ寸法合わせされたガイドワイヤを備える、実施態様7に記載の装置。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5