特許第6935230号(P6935230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6935230
(24)【登録日】2021年8月27日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20210906BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20210906BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20210906BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20210906BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20210906BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20210906BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20210906BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20210906BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20210906BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20210906BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20210906BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20210906BHJP
   A61Q 19/04 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   A61K8/9789
   A61K8/06
   A61K8/19
   A61K8/25
   A61K8/31
   A61K8/34
   A61K8/37
   A61K8/64
   A61K8/81
   A61K8/87
   A61K8/88
   A61Q19/00
   A61Q19/04
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-98317(P2017-98317)
(22)【出願日】2017年5月17日
(65)【公開番号】特開2018-193325(P2018-193325A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 有加
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−051611(JP,A)
【文献】 特開2017−008009(JP,A)
【文献】 特開2005−170860(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3154481(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)、(C)並びに(D):
(A)油溶性カミツレ抽出物 乾燥固形分量として、0.001質量%以上2質量%以下
(B)油剤 0.1質量%以上20質量%以下、
(C)有機粉体及び粘土鉱物系粉体から選ばれる1種以上の粉体 0.005質量%以上12質量%以下、並びに
(D)水 35質量%以上
を含有し、
成分(C)に対する成分(B)の質量比(B/C)が、0.5以上30以下である乳化化粧料。
【請求項2】
成分(C)が、マイカ、タルク、セリサイト、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー及びテトラフルオロエチレンパウダーから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の乳化化粧料。
【請求項3】
成分(C)に対する成分(B)の質量比(B/C)が、1.0以上22.5以下である請求項1又は2記載の乳化化粧料。
【請求項4】
成分(B)が極性油及び非極性油を含み、非極性油に対する極性油の質量比(極性油/非極性油)が0.02以上30以下である請求項1〜のいずれか1項記載の乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚等に適用する乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
カミツレ抽出物は、美白作用の他、光老化抑制作用、コラーゲン産生促進作用、養毛作用、ATP産生促進作用、皮膚バリア機能改善作用、細胞分化促進作用、コラーゲンゲル収縮促進作用、毛穴収縮作用等の多くの生理作用を有することから、皮膚化粧料、毛髪化粧料、入浴剤等に配合されている(特許文献1〜5等)。
【0003】
また、カミツレ抽出物その他の植物抽出物を配合した化粧料の形態としては、水性化粧料、油性化粧料及び乳化化粧料が採用されている(特許文献1〜5等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−25742号公報
【特許文献2】特開平8−73324号公報
【特許文献3】特開平8−92056号公報
【特許文献4】特開平10−72336号公報
【特許文献5】特開2007−161666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、消費者の要求レベルが高まり、カミツレ抽出物を配合した化粧料のうち、乳化化粧料は使用感が良好であるものの、カミツレ抽出物由来のわずかな原料臭、皮膚に塗布した際の感触等の点で既存の化粧料は十分満足できるものではなかった。
したがって、本発明の課題は、カミツレ抽出物を含有する、原料臭が改善され、使用感がさらに改善された化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、カミツレ抽出物と油剤とを配合して乳化化粧料を製造し、その使用感や香りについて種々検討してきたところ、カミツレ抽出物として油溶性カミツレ抽出物を採用し、これに油剤と特定の粉体とを配合して乳化化粧料とすれば、香りが良好で、べたつき、ぺたつきが少なく、皮膚上での伸びが良好な乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記成分(A)、(B)、(C)並びに(D):
(A)油溶性カミツレ抽出物、
(B)油剤 0.1質量%以上20質量%以下、
(C)有機粉体及び粘土鉱物系粉体から選ばれる1種以上の粉体 0.005質量%以上12質量%以下、並びに
(D)水 35質量%以上
を含有する乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の乳化化粧料は、カミツレ抽出物を含有し、香りが良好で、べたつきやぺたつきが少なく、皮膚上での伸びが良好であり、粉っぽさも少なく、使用感が優れている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の乳化化粧料に含有される(A)油溶性カミツレ抽出物は、カミツレの油溶性溶媒による抽出物であり、油溶性溶媒による抽出液及び当該抽出液を乾燥して乾燥粉末の形態としたもののいずれも含むが、種々の生理効果を向上させる観点から、油溶性溶媒による抽出液として使用することが好ましい。
【0010】
カミツレとは、キク科(Asteraceae(Compositae))シカギク属の一年草カモミール(学名:Matricaria recutita又はMatricaria chamomilla)の和名である。カミツレとしては、種々の近縁種があるが、生理作用の点からジャーマン・カモミール(German chamomile)が好ましい。カミツレの抽出部位としては、全草、茎、葉及び花のいずれでもよいが、生理作用、香りの点から花がより好ましい。
【0011】
油溶性カミツレ抽出物の抽出に用いられる溶媒は、油溶性であればよいが、生理作用の優れた抽出物を得る点から、親油性有機溶剤が好ましい。
親油性有機溶剤としては、溶解度パラメータ(SP値)が15〜21の範囲にある油剤が好ましく、例えば、ミリスチン酸イソプロピル(SP値17.0)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(SP値17.7)、流動パラフィン(SP値16.4)、スクワラン(SP値16.2)及びこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。また、これらは、ヒマシ油、パーシック油、大豆油、ヒマワリ油等の植物由来の油等であってもよい。一般に、抽出に用いる親油性有機溶剤によって、抽出物に含まれる成分の種類と量が異なる。本発明において、親油性有機溶剤としてスクワランを用いた抽出物が、特に優れた生理効果を与えるので好ましい。なお、SP値とは物質間の相溶性の尺度をいい、特開平10−194920号公報に記載の方法に基づき、Hansenの3次元溶解度パラメーターを計算することにより求められる。
【0012】
油溶性カミツレ抽出物は、例えば、特開平10−194920号公報記載の方法により、カミツレから親油性有機溶剤を用いて抽出することにより製造できる。具体的には、粉砕した乾燥カミツレ花に、カミツレ花に対して1〜100質量倍の親油性有機溶剤を加え、10〜90℃で1〜96時間の条件で攪拌抽出を行うのが好ましい。温度は、親油性有機溶剤の種類により適宜設定することができる。
【0013】
本発明で用いる油溶性カミツレ抽出物には、カマズレン、ウンベリフェロン、7−メトキシクマリン、マトリシン、マトリカリン、タラキサステロール、ウペオール、アピイン、下記式(1)で表されるスピロエーテル化合物等の成分が含まれている。
【0014】
【化1】
【0015】
(Z体、E体の両異性体を含む)
【0016】
これら成分のうち、有効な美白効果等の生理効果を得る観点から、スピロエーテル化合物(1)を含有するのが好ましい。
本発明において、油溶性カミツレ抽出物中のスピロエーテル化合物(1)の含有量は、10〜500ppmが好ましい。10ppm以上とすることで、確実に生理効果を得ることができ、500ppm以下とすることで、乳化化粧料中での保存安定性の確保という効果がある。油溶性カミツレ抽出物中のスピロエーテル化合物(1)の含有量は、100〜480ppmがより好ましく、200〜450ppmがさらに好ましく、300〜440ppmがさらに好ましく、360〜420ppmがさらに好ましい。
【0017】
本発明の乳化化粧料中の(A)油溶性カミツレ抽出物の含有量は、生理効果、香り及び使用感を向上させる観点から、乾燥固形分量として、0.001質量%以上が好ましく、0.0015質量%以上がより好ましく、また、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。具体的には、乾燥固形分量として、0.001〜5質量%が好ましく、0.0015〜4質量%がより好ましく、0.0015〜2質量%がさらに好ましい。
ここで乾燥固形分量とは、抽出物を乾燥して溶媒を除去した固形分量であり、溶媒量が判明している場合は溶媒量を除いた残量である。
【0018】
また、前記のように、(A)油溶性カミツレ抽出物の中には、好ましくは、スピロエーテル化合物(1)が10〜500ppm含まれており、本発明の乳化化粧料中には、生理効果、香り及び使用感を向上させる観点から、スピロエーテル化合物(1)が、0.01ppm以上含まれているのが好ましく、0.02ppm以上含まれているのがより好ましく、0.05ppm以上含まれているのがさらに好ましく、また、30ppm以下含まれているのが好ましく、20ppm以下含まれているのがより好ましく、10ppm以下含まれているのがさらに好ましい。具体的には、スピロエーテル化合物(1)の含有量は、本発明の乳化化粧料中に0.01〜30ppmが好ましく、0.02〜20ppmがより好ましく、0.05〜10ppmがさらに好ましい。
【0019】
本発明の乳化化粧料には、(B)油剤としては、油溶性カミツレ抽出物の香り及び伸びを向上させる観点、べたつき及びぺたつきを抑制する観点から、極性油及び非極性油のいずれか一方あるいは両方を含有するが、両者を含有するのが好ましい。(B)油剤が極性油及び非極性油を含む場合、非極性油に対する極性油の質量比(極性油/非極性油)は、油溶性カミツレ抽出物の香り及び伸びを向上させる観点、べたつき及びぺたつきを抑制する観点から、0.02以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.04以上がさらに好ましく、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、23以下がさらに好ましい。当該質量比は、具体的には、0.02〜30が好ましく、0.03〜25がより好ましく、0.04〜23がさらに好ましい。なお、本発明において、べたつきとは、化粧料を手にとり皮膚に塗布して伸ばす際に、手を皮膚に対し水平方向に動かした際に感じる化粧料の付着感をいい、ぺたつきとは、化粧料を皮膚に塗布して伸ばす際に、手を皮膚から垂直方向に離したときに感じる化粧料の付着感をいう。
【0020】
非極性油としては、炭化水素油が挙げられる。炭化水素油としては、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン等が挙げられる。これらの炭化水素油のうち、伸びを向上させる観点から、流動パラフィン、流動イソパラフィン及びスクワランから選ばれる少なくとも1種が好ましく、流動イソパラフィン及びスクワランから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0021】
極性油としては、エステル油、エーテル油、シリコーン油、フッ素油、高級脂肪酸、高級アルコール等が挙げられる。
エステル油としては、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油及びテトラエステル油が挙げられる。モノエステル油としては、炭素数2〜24の脂肪族又は芳香族のモノカルボン酸又はジカルボン酸のモノエステルが挙げられ、具体例としては、2−エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、イソデシルベンゾエート、メトキシケイヒ酸オクチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、コハク酸2−エチルヘキシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、安息香酸アルキル(C12〜C15)等が挙げられる。これらの中では、香り及び伸びを向上させる観点から、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル及び、メトキシケイヒ酸オクチルから選ばれる少なくとも1種が好ましく、イソノナン酸イソノニル及びイソノナン酸イソトリデシルから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0022】
ジエステル油としては、炭素数3〜18のジカルボン酸のジエステル、多価アルコールのジ脂肪酸エステル等が挙げられ、具体例としては、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジステアリン酸グリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、ジ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらの中では、香り及び伸びを向上させる観点から、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジステアリン酸グリコール及びジイソステアリン酸プロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種が好ましく、ジカプリル酸プロピレングリコール及びジカプリン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0023】
トリエステル油としては、3価以上の多価アルコールのトリ脂肪酸エステルが挙げられ、具体的には、トリミリスチン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリオレイン酸グリセリン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン等が挙げられ、また、オリーブ油、ホホバ油等の植物由来のものであってもよい。これらの中では、香り及び伸びを向上させる観点から、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリオレイン酸グリセリン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリン及びトリイソステアリン酸グリセリンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンがより好ましい。また、トリエステル油は、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンを含むことがさらに好ましい。
【0024】
テトラエステル油としては、4価以上の多価アルコールのテトラ脂肪酸エステルが挙げられ、具体的には、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトラオクタン酸ペンタエリスリット、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリットが挙げられる。これらの中では、香り、及び伸びを向上させる観点から、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトラオクタン酸ペンタエリスリット及びテトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリットから選ばれる少なくとも1種が好ましく、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリットがより好ましい。また、テトラエステル油は、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリットを含むことがさらに好ましい。
【0025】
エーテル油としては、ジアルキルエーテルが挙げられ、具体的には、ジヘキシルエーテル、ジカプリリルエーテル、セチル−1,3−ジメチルブチルエーテル等が挙げられる。これらの中では、香り及び伸びを向上させる観点から、ジカプリリルエーテル及びセチル−1,3−ジメチルブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種が好ましく、セチル−1,3−ジメチルブチルエーテルがより好ましい。また、エーテル油は、セチル−1,3−ジメチルブチルエーテルを含むことがさらに好ましい。
【0026】
シリコーン油としては、メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、網状型メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。これらの中では、香り及び伸びを向上させる観点から、メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン及び網状型メチルポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、メチルポリシロキサンがより好ましい。また、シリコーン油は、メチルポリシロキサンを含むことがさらに好ましい。
【0027】
フッ素油としては、フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等が挙げられる。
【0028】
高級脂肪酸としては、炭素数12〜24の脂肪酸が挙げられ、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の直鎖飽和脂肪酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、セイコセン酸、エルカ酸等の直鎖不飽和脂肪酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等の分岐飽和脂肪酸等が挙げられる。これらの中では、香り、伸びを向上させる観点、及びべたつき、ぺたつきを抑制する観点から、直鎖飽和脂肪酸が好ましく、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びベヘニン酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ステアリン酸及びベヘニン酸から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
【0029】
高級アルコールとしては、炭素数12〜24のアルコールが挙げられ、具体的には、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、バチルアルコール、キミルアルコール、ベヘニルアルコール、デシルテトラデカノール、オクチルドデカノール等の直鎖飽和アルコール、イソステアリルアルコール等の分岐飽和アルコール、オレイルアルコール等の直鎖不飽和アルコールが挙げられる。これらの中では、香り、伸びを向上させる観点、及びべたつき、ぺたつきを抑制する観点から、直鎖飽和アルコール及び分岐飽和アルコールから選ばれる少なくとも1種が好ましく、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、バチルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール及びイソステアリルアルコールから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、バチルアルコール及びベヘニルアルコールから選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
【0030】
本発明における(B)油剤中には、前記油剤の中で、べたつきを抑制する観点から、エステル油、エーテル油及び高級アルコールから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、少なくとも高級アルコールを含むことがより好ましく、炭素12〜24の高級アルコールを含むことがさらに好ましい。
【0031】
本発明の乳化化粧料中の(B)油剤の含有量は、(A)油溶性カミツレ抽出物の香りを向上させる観点、乳化化粧料の皮膚上での伸びを向上させる観点、べたつき、ぺたつきを抑制する観点から0.1質量%以上20質量%以下である。(B)油剤の含有量が0.1質量%以上では香り及び伸びが向上し、20質量%以下であるとべたつき、ぺたつきが抑制されるので好ましい。
(A)油溶性カミツレ抽出物の香りを向上させる観点からは、(B)油剤の含有量は、1.5質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、また、18質量%以下が好ましく、16質量%以下がより好ましい。具体的には、1.5〜18質量%が好ましく、4〜16質量%がより好ましい。
乳化化粧料の皮膚上での伸びを向上させる観点からは、(B)油剤の含有量は、1.5質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましく、また、18質量%以下が好ましく、16質量%以下がより好ましく、14質量%以下がさらに好ましい。具体的には、1.5〜18質量%が好ましく、4〜16質量%がより好ましく、7〜14質量%がさらに好ましい。
乳化化粧料のべたつきを抑制する観点からは、(B)油剤の含有量は、0.2質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上がさらに好ましく、また、16質量%以下が好ましく、13質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらに好ましい。具体的には、0.2〜16質量%が好ましく、0.4〜13質量%がより好ましく、1.2〜12質量%がさらに好ましい。
乳化化粧料のぺたつきを抑制する観点からは、(B)油剤の含有量は、0.2質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上がさらに好ましく、また、18質量%以下が好ましく、16質量%以下がより好ましく、13質量%以下がさらに好ましい。具体的には、0.2〜18質量%が好ましく、0.4〜16質量%がより好ましく、1.2〜13質量%がさらに好ましい。
(B)油剤の含有量は、(A)油溶性カミツレ抽出物の香り及び伸びの向上、べたつき及びぺたつきの抑制を考慮すると、1.5質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、また、18質量%以下が好ましく、16質量%以下がより好ましい。具体的には、1.5〜18質量%が好ましく、4〜16質量%がより好ましい。
【0032】
本発明の乳化化粧料は、(C)有機粉体及び粘土鉱物系粉体から選ばれる1種以上の粉体を含有する。これらの粉体を含有することにより、酸化チタン等の金属酸化物粉体を配合した場合に比べて、(A)油溶性カミツレ抽出物含有乳化化粧料の皮膚上での伸びが向上し、また、べたつき及びぺたつきが抑制され、粉っぽさも少なくなる。
【0033】
成分(C)の粉体のうち、有機粉体としては、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、テトラフルオロエチレンパウダー等のフッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、長鎖アルキルリン酸金属塩、N−モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、及びこれらの複合体等が挙げられる。このうち、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダーが好ましく、ナイロンパウダーがより好ましい。これらの有機粉体は1種でも2種以上を用いてもよい。
【0034】
粘土鉱物系粉体としては、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、ベントナイト、雲母、ゼオライト等が挙げられる。このうち、マイカ、タルク、セリサイトが好ましく、タルクがより好ましい。これらの粘土鉱物系粉体は1種でも2種以上を用いてもよい。
【0035】
成分(C)の粉体は、疎水化処理されている粉体であるのが、乳化化粧料のべたつき、ぺたつき及び粉っぽさを抑制する観点で好ましい。疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、シリコーン処理、脂肪酸処理、ラウロイルリジン処理、レシチン処理、N−アシルアミノ酸処理、金属石鹸処理、フッ素化合物処理、アルキルシラン処理等が挙げられる。なかでも、シリコーン処理、フッ素化合物処理、アルキルシラン処理が好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたシリコーン処理;オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランを用いたアルキルアルコキシシシラン処理、フッ素化合物処理するのがより好ましく、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン処理をするのがさらに好ましい。これらの処理を併用しても良い。
【0036】
成分(C)の体積平均粒子径は、特に限定されるものではないが、乳化化粧料のべたつき、ぺたつき及び粉っぽさを抑制する観点から、有機粉体の場合は0.005μm以上12μm以下が好ましく、0.01μm以上10μm以下がより好ましい。また、粘土鉱物系粉体の場合には0.005μm以上10μm以下が好ましく、0.01μm以上5μm以下がより好ましい。ここで体積平均粒子径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布計(例えば、堀場製作所社製、LA−920)を用いて、レーザー回折/散乱法で測定された体積基準粒度分布から算出されるメジアン径を意味する。
【0037】
本発明の乳化化粧料中の(C)粉体の含有量は、(A)油溶性カミツレ抽出物の香りを向上させる観点、乳化化粧料の皮膚上での伸びを向上させる観点、及びべたつき、ぺたつきを抑制する観点、粉っぽさを抑制する観点から、0.005質量%以上12質量%以下である。(C)粉体の含有量が0.005質量%以上であると香り及び伸びが向上し、12質量%以下であると、皮膚上でののびが向上し、ぺつたき感及びべたつき感が抑制され、粉っぽさも抑制されるので好ましい。
(A)油溶性カミツレ抽出物の香りを向上させる観点からは、(C)粉体の含有量は、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、また10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。具体的には、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。
乳化化粧料の皮膚上での伸びを向上させる観点からは、(C)粉体の含有量は、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、また、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましい。具体的には、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。
乳化化粧料のべたつきを抑制する観点からは、(C)粉体の含有量は、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上がさらに好ましく、また、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。具体的には、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましく、0.2〜4質量%がさらに好ましい。
乳化化粧料のぺたつきを抑制する観点からは、(C)粉体の含有量は、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上がさらに好ましく、また、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。具体的には、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましく、0.2〜4質量%がさらに好ましい。
(C)粉体の含有量は、(A)油溶性カミツレ抽出物の香り及び伸びの向上、べたつき、ぺたつきの抑制、粉っぽさの抑制を考慮すると、0.05質量%以上が好ましく、0.08質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、また、10質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。具体的には、0.05〜10質量%が好ましく、0.08〜6質量%がより好ましく、0.1〜4質量%がさらに好ましい。
【0038】
なお、本発明の効果を損しない範囲で、本発明の乳化化粧料は、成分(C)以外の粉体、たとえば、酸化チタン等の金属酸化物粉体を含有することができる。成分(C)以外の粉体の乳化化粧料中の含有量は、(A)油溶性カミツレ抽出物の香りを向上させる観点、乳化化粧料の皮膚上での伸びの向上の観点、べたつき、ぺたつきの抑制の観点、粉っぽさの抑制の観点から、4質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0039】
また、本発明の乳化化粧料の(C)粉体(成分(C))に対する(B)油剤(成分(B))の質量比(B/C)は、(A)油溶性カミツレ抽出物の香りの向上、伸びの向上、べたつき及びぺたつきの抑制、粉っぽさの抑制の観点から0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、1.0以上がさらに好ましく、2.0以上がよりさらに好ましく、また、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、22.5以下がさらに好ましく、16以下がよりさらに好ましい。具体的には、0.5〜30が好ましく、0.8〜25がより好ましく、1.0〜22.5がさらに好ましく、2.0〜16がさらに好ましい。
(A)油溶性カミツレ抽出物の香りを向上させる観点からは、B/Cは0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、25以下がより好ましい。皮膚上での伸びを向上させる観点からは、B/Cは0.8以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、25以下がより好ましい。べたつきを抑制する観点からは、B/Cは1.0以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、4.0以上がさらに好ましく、また、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、22.5以下がさらに好ましい。ぺたつきを抑制する観点からは、B/Cは0.5以上が好ましく、0.8以上はより好ましく、また、25以下が好ましく、16以下がより好ましい。粉っぽさを抑制する観点からは、B/Cは1.0以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、25以下がより好ましい。
【0040】
また、本発明の乳化化粧料の成分(C)に対する成分(A)(乾燥固形分量)の質量比(A/C)は、成分(A)の香りの向上、伸びの向上、べたつき、ぺたつき、粉っぽさを抑制する観点から、1×10-4以上が好ましく、2×10-4以上がより好ましく、5×10-4以上がさらに好ましく、また、5×10-3以下が好ましく、3×10-3以下がより好ましく、2.2×10-3以下がさらに好ましい。具体的には、1×10-4〜5×10-3が好ましく、2×10-4〜3×10-3がより好ましく、5×10-4〜2.2×10-3がさらに好ましい。
【0041】
本発明の乳化化粧料は、(D)水を35質量%以上含有する。(D)水の含有量は、(A)油溶性カミツレ抽出物の香りの向上、伸びの向上、べたつき及びぺたつきを抑制する観点、粉っぽさを抑制する観点から、77〜99質量%が好ましく、80〜97質量%がより好ましく、82〜95質量%がさらに好ましい。
【0042】
本発明の乳化化粧料には、前記成分の他、(E)界面活性剤、(F)増粘剤、保湿剤、防腐剤、薬効成分、紫外線吸収剤、色素、香料、成分(A)以外の植物抽出物、殺菌剤、制汗剤、清涼剤、酸化防止剤、乳化安定剤、pH調整剤等を含有することができる。なお、これらの各剤は、各剤としての用途に限られず、目的に応じて他の用途、たとえば、制汗剤を香料として含有したり、他の用途との併用として、たとえば、制汗剤と香料としての効果を奏するものとして含有することができる。
【0043】
本発明の乳化化粧料は、使用感及び乳化化粧料の外観安定性を向上させる観点から、成分(E)として界面活性剤を含むことが好ましい。
(E)界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤等公知のものが使用できるが、乳化安定性に優れるため、香りがより良好で、べたつき、ぺたつきがより少なく、皮膚上での伸びがより良好であり、使用感がより向上するために非イオン界面活性剤が好ましい。非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレングリコール型非イオン性界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン等のモノ脂肪酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、同様の観点から、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノ脂肪酸ソルビタンから選ばれる1種がより好ましく、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。また、(E)界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含むことがさらに好ましい。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキサイドの付加モル数は、使用感及び外観安定性を向上させる観点から、25〜70が好ましく、30〜60がより好ましく、40〜60がさらに好ましい。具体的には、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油から選ばれる1種が好ましい。
(E)界面活性剤の乳化化粧料中の含有量は、使用感及び乳化化粧料の外観安定性を向上させる観点から、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましく、0.1〜0.8質量%がさらに好ましい。
【0044】
本発明の乳化化粧料は、伸びやべたつき、ぺたつき等の使用感及び乳化化粧料の外観安定性を向上させる観点から、成分(F)として増粘剤を含むことが好ましい。
(F)増粘剤としては、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(アルキル変性カルボキシビニルポリマーともいう)、カルボキシルビニルポリマー等のアクリル酸系ポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、高重合ポリオキシエチレンが挙げられ、これらの中では、伸びやべたつき、ぺたつき等の使用感及び乳化化粧料の外観安定性を向上させる観点から、アクリル酸系ポリマーが好ましく、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体及びカルボキシルビニルポリマーから選ばれる1種が好ましく、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体がより好ましい。また、(F)増粘剤は、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を含むことが好ましい。
アクリル酸系ポリマーとしては、メタアクリル酸、アクリル酸、メタアクリレート、アクリレート、メタアクリルアミド、及びアクリルアミドから選ばれるモノマーを構成単位とするホモポリマー又はこれらモノマーを2種以上含むコポリマーであればよく、例えば、アルキル変性カルボキシビニルポリマー(PEMULEN TR−1、TR−2;ルーブリゾール社)、カルボキシビニルポリマー(シンタレンK、L;和光純薬工業社)、SEPPIC社から販売されているポリアクリルアミド(SEPIGEL 305)、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(SIMULGEL EG)、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(SIMULGEL FL、SIMULGEL NS、SEPIPLUS S、SEPINOV EMT 10)、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー(SEPIPLUS 265)、ポリアクリレート−13(SEPIPLUS 400)等が挙げられる。
(F)増粘剤の乳化化粧料中の含有量は、伸びやべたつき、ぺたつき等の使用感及び乳化化粧料の外観安定性を向上させる観点から、0.1〜0.6質量%が好ましく、0.2〜0.5質量%がより好ましく、0.3〜0.4質量%がさらに好ましい。
【0045】
本発明の乳化化粧料は、一般に皮膚に塗布する形の乳化化粧料であれば特に限定されず、通常の皮膚化粧料の他、下地化粧料としても利用可能である。剤型としては、一般に用いられるものであり、O/W型又はW/O型エマルション等が挙げられ、具体的には、乳液、クリーム、パック、ジェル等が挙げられる。
【0046】
本発明の乳化化粧料は、例えば、成分(C)、(D)及び水溶性成分を混合し水相を製造し、一方、成分(A)、(B)及びその他の油性成分を混合して油相を製造し、水相と油相とを、必要に応じて加熱して混合することで、乳化化粧料を得ることができる。
【0047】
本発明の乳化化粧料は、皮膚、好ましくは頭皮を除く皮膚、より好ましくは顔、身体、手足等のいずれかに塗布することにより、使用することができる。
【実施例】
【0048】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0049】
実施例1〜18及び比較例1〜4
表1及び表2記載の成分を用いて乳化させ、乳化化粧料(O/W)を製造した。
すなわち、80℃に加熱した成分(D)に、成分(F)を加え、ホモディスパー攪拌機にて1500rpmの条件で撹拌し、均一に分散させた。その後、苛性カリフレークを加え撹拌し、さらに、成分(C)及びその他の水性成分を混合し、水相を得た。80℃の温度下で、成分(A)、(B)、(E)及びその他の油性成分をプロペラ攪拌機にて300rpmの撹拌条件で加熱混合し、油相を得た。そして、80℃で、水相に油相を加え、プロペラ攪拌機にて300rpmの撹拌条件で混合し、その後、1℃/1分の速さで25℃まで冷却し、乳化化粧料を得た。得られた乳化化粧料を用いて、香り及び使用感の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0050】
<評価項目>
(1)香り
専門パネラー1名により、手を市販の無香料洗顔料(キュレル泡洗顔料 花王社製)を用いて良く洗い、タオルでしっかり拭いた。その後、乳化化粧料を0.1mL片側の手の甲に乗せた。もう一方の手の親指・小指以外の指3本、第1〜3関節まで使って1秒間に1回転、直径6cmの円を描くように60秒間伸ばす。60秒後に最も原料臭を感じない場合を9、最も原料臭を感じる場合を1として、9段階で評価した。
【0051】
(2)のび
専門パネラー1名により、手を市販の無香料洗顔料(キュレル泡洗顔料 花王社製)を用いて良く洗い、タオルでしっかり拭いた。その後、乳化化粧料を0.1mL片側の手の甲に乗せた。もう一方の手の親指・小指以外の指3本、第1〜3関節まで使って1秒間に1回転、直径6cmの円を描くようにして伸ばす。伸ばし始めの5秒間において抵抗感が最もない場合を9、抵抗感が最もある場合を1として、9段階で評価した。
【0052】
(3)べたつき(水平方向)
専門パネラー1名により、手を市販の無香料洗顔料(キュレル泡洗顔料 花王社製)を用いて良く洗い、タオルでしっかり拭いた。その後、乳化化粧料を0.1mL片側の手の甲に乗せた。もう一方の手の親指・小指以外の指3本、第1〜3関節まで使って1秒間に1回転、直径6cmの円を描くように60秒間伸ばす。その後、乳化化粧料を塗布した手の甲にもう一方の手の平、指を押し付け、水平方向に動かした際に、最も水平方向にくっつきにくい場合を9、手に肌が最も水平方向にくっつく場合を1として、9段階で評価した。
【0053】
(4)ぺたつき(垂直方向)
専門パネラー1名により、手を市販の無香料洗顔料(キュレル泡洗顔料 花王社製)を用いて良く洗い、タオルでしっかり拭いた。その後、乳化化粧料を0.1mL片側の手の甲に乗せた。もう一方の手の親指・小指以外の指3本、第1〜3関節まで使って1秒間に1回転、直径6cmの円を描くように60秒間伸ばす。その後、乳化化粧料を塗布した手の甲にもう一方の手の平、指を押し付け、垂直方向に動かした際に、最も垂直方向にくっつきにくい場合を9、手に肌が最も垂直方向にくっつく場合を1として、9段階で評価した。
【0054】
(5)粉っぽさ
専門パネラー1名により、手を市販の無香料洗顔料(キュレル泡洗顔料 花王社製)を用いて良く洗い、タオルでしっかり拭いた。その後、乳化化粧料を0.1mL片側の手の甲に乗せた。もう一方の手の親指・小指以外の指3本、第1〜3関節まで使って1秒間に1回転、直径6cmの円を描くように60秒間伸ばす。その後、乳化化粧料を塗布した手の甲にもう一方の手の平、指を押し付け、水平方向および垂直方向に動かした際に、最も粉っぽさを感じない場合を9、最も粉っぽさを感じる場合を1として、9段階で評価した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
*1:カミツレKSQ(丸善製薬社製、スピロエーテル370ppm)の有効分
*2:油溶性カミツレ抽出物中の溶媒含む
*3:東レナイロン微粒子 SP−500L(東レ社製)
*4:SI-タルク JA-46R(三好化成社製)
*5:エマノーン CH-60(K)(花王社製)
*6:PEMULEN TR−1 POLYMERIC EMULSIFIER(US)(ベルギー)(Lubrizol Advanced Materials, Inc.製)
*7:微粒子酸化チタン TM-600KS(テイカ社製)
【0058】
表1及び表2のように、(A)油溶性カミツレ抽出物に、(B)油剤0.1〜20質量%、(C)粉体0.005〜12質量%、及び(D)水を配合した乳化化粧料は、成分(A)の香りが良好で、皮膚上での伸びが良好で、べたつき、ぺたつき、粉っぽさが少なく使用感が良好である。一方、(C)粉体の含有量が12質量%を超える乳化化粧料(比較例2)や酸化チタンを配合した乳化化粧料(比較例3、4)は、伸びが悪く、べたつきやぺたつきがあった。また、(B)油剤を20質量%超える量含有する乳化化粧料(比較例1)は、べたつきやぺたつき、伸びの点で使用感が良くなかった。
【0059】
実施例19(化粧水)
【0060】
【表3】
【0061】
*8:シリコーンKF−96A−6CS(信越化学工業社製)
*9:ファルコレックス アルテア(一丸ファルコス社製)
*1、*2、*3及び*5は、前記と同じ。
【0062】
実施例20(クリーム)
【0063】
【表4】
【0064】
*10:ニッコール SMT(日本サーファクタント工業社製)
*11:カーボポール981 POLYMER(Lubrizol Advanced Materials, Inc.製)
*1、*2、*4、*5及び*9は、前記と同じ。
【0065】
実施例21(美容液)
【0066】
【表5】
【0067】
*12:特開平9-67241号公報記載、合成例3のセチル−1,3−ジメチルブチルエーテル
*1、*2、*3、*5及び*9は、前記と同じ。
【0068】
実施例22(美容液)
【0069】
【表6】
【0070】
*13:シリコーン KMP−590(信越化学工業社製)
*1、*2、*3、*5及び*9は、前記と同じ。
【0071】
実施例23(UV防御化粧料)
【0072】
【表7】
【0073】
*14:フィンソルブ TN (Innospec Active Chemicals LLC製)
*15:シリコーン TSF405A(信越化学工業社製)
*16:SIMULGEL EG(SEPPIC S.A.製)
*17:微粒子酸化チタンMTY-110M3S(テイカ社製)
*18:微粒子酸化チタンMT-100TV(テイカ社製)
*1、*2、*4及び*9は、前記と同じ。
【0074】
実施例24(乳液)
【0075】
【表8】
【0076】
*19:SPE−104NB(花王社製)
*1、*2、*4、*8、*9、*10及び*11は、前記と同じ。