(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6935251
(24)【登録日】2021年8月27日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】発光素子搭載用パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20210906BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20210906BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20210906BHJP
H01L 23/36 20060101ALN20210906BHJP
【FI】
H01S5/022
H01L23/12 K
H01L23/02 F
!H01L23/36 C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-134261(P2017-134261)
(22)【出願日】2017年7月10日
(65)【公開番号】特開2019-16722(P2019-16722A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098615
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】森田 雅仁
【審査官】
村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−125996(JP,A)
【文献】
特開昭57−090992(JP,A)
【文献】
特開2005−175325(JP,A)
【文献】
特開2015−225873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面および裏面を有し、且つ前記表面に発光素子の搭載部を含むか、あるいは、前記表面側に別体の前記搭載部を配置可能とした基板と、該基板に支持されるリードピンと、前記基板の表面または裏面の何れか一方と対向する対向表面および該対向表面と対向する対向裏面を有するセラミック部材と、を備えた発光素子搭載用パッケージであって、
上記基板の表面と裏面との間には、上記リードピンを貫通させる第1貫通穴が形成されており、
上記セラミック部材は、上記対向表面と対向裏面との間を貫通する第2貫通穴を有し、前記対向表面には、前記第2貫通穴の開口部を囲んで形成されたメタライズ層を有し、
上記リードピンは、上記第1貫通穴および上記第2貫通穴を貫通し、且つ該リードピンの軸部から径方向に延びた鍔部が、ロウ材層を介して、上記セラミック部材の対向裏面側における第2貫通穴の開口部の周辺部に固定されていると共に、
上記リードピンの軸部と上記セラミック部材の第2貫通穴の内周面とは、上記ロウ材層を介さずに対向しており、
上記セラミック部材は、上記メタライズ層を介して、上記基板の第1貫通穴における表面側または裏面側の開口部の周辺に固定されている、
ことを特徴とする発光素子搭載用パッケージ。
【請求項2】
前記メタライズ層は、前記第2貫通穴の対向表面側における開口部から離間して形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子搭載用パッケージ。
【請求項3】
前記基板と前記セラミック部材との接合は、前記メタライズ層と、該メタライズ層の上に沿って配設されたロウ材層と、を介して成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光素子搭載用パッケージ。
【請求項4】
前記基板と前記発光素子の搭載部とは、別体であり、該発光素子の搭載部は、基板よりも熱伝導率が大きい放熱体に含まれ、上記基板は、その表面と裏面との間を貫通する第3貫通穴を有し、且つ上記放熱体は、前記第3貫通穴に挿入された姿勢で上記基板に固定されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の発光素子搭載用パッケージ。
【請求項5】
前記第3貫通穴は、平面視で円弧形状、長方形状、正方形状、あるいは円形状であり、前記放熱体は、熱良導性の金属からなる円弧柱体形状、直方体形状、立方体形状、あるいは円柱体形状を呈し、その底面の周辺に沿って、前記基板の裏面における第3貫通穴の開口部の周辺との接合を可能とするフランジを有している、
ことを特徴とする請求項4に記載の発光素子搭載用パッケージ。
【請求項6】
前記基板と、前記セラミック部材との線膨張係数の差が、5ppm(K-1)以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の発光素子搭載用パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーダイオードなどの発光素子を搭載するための発光素子搭載用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金属製のベースプレートと、その表面上に接合され金属製で且つ平面視が矩形枠状のフレームと、該フレームの一側壁に形成され、且つ光ファイバーの一端に装着されたホルダーを貫通させるホルダー挿入部と、前記フレームの前記一側壁に隣接し且つ対向する一対の側壁に配置され、該一対の側壁を個別に貫通する一対のセラミック基板と、該セラミック基板ごとの内部を貫通して形成され、且つ上記フレームの内外方向に沿ったタングステンやモリブデンからなる複数の導体部と、該複数の導体部の外端側に個別に接合される複数のリードと、を備えた光通信用パッケージが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、前記光通信用パッケージのように、前記導体部を介して発光素子に電力を投入する場合、タングステンなどからなる前記導体部の電気抵抗が高いため、前記発光素子に投入すべき電力を十分に増加させることができなかった。
更に、前記導体部を有するセラミック基板を、前記フレームの側壁に空けた矩形状の貫通孔に挿入して固着するため、該貫通孔の内寸法と上記セラミック基板の外寸法との寸法公差を厳しく管理しないと、該セラミック基板の挿入が困難となったり、あるいは、該セラミック基板と上記貫通孔との間に隙間が過度に形成され、パッケージ内部の気密性が維持できなくなる、という問題があった。
【0004】
一方、金属製のアイレット(基板)に設けた複数の貫通穴の内側に、リード端子(リードピン)を個別に貫通させ、前記貫通穴内の空間をガラスにより封止してなる半導体装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、前記半導体装置のように、前記リード端子と貫通穴の内壁面との隙間をガラスで塞ぐ封止構造では、前記アイレットやリード端子に対し熱応力が加えられた場合、上記ガラスにクラックなどの損傷や、甚だしくは破損などを生じ易いため、前記半導体装置の内部おける気密性が確保し難い、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−126840号公報(第1〜5頁、
図1〜5)
【特許文献2】特開昭58−56482号公報(第1〜5頁、第1〜4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、背景技術で説明した問題点を解決し、追って搭載される発光素子に投入する電力を容易に増大できると共に、パッケージ内部の気密性を確実に維持できる発光素子搭載用パッケージを提供する、ことを課題とする。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、表面側に発光素子の搭載部を有する基板と、該基板の表面または裏面側に接合されるセラミック部材とに、リードピンが連続して貫通する貫通穴を個別に形成する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の発光素子搭載用パッケージ(請求項1)は、
表面および裏面
を有し、且つ前記表面に発光素子の搭載部を
含むか、あるいは、前記表面側に別体の前記搭載部を配置可能とした基板と、該基板に支持されるリードピンと、前記基板の表面または裏面の何れか一方と対向する対向表面および該対向表面と対向する対向裏面を有するセラミック部材と、を備えた発光素子搭載用パッケージであって、上記基板の表面と裏面との間には、上記リードピンを貫通させる第1貫通穴が形成されており、上記セラミック部材は、上記対向表面と対向裏面との間を貫通する第2貫通穴を有し、前記対向表面には、前記第2貫通穴の開口部
を囲んで形成されたメタライズ層を有し、上記リードピンは、上記第1貫通穴
および上記第2貫通穴
を貫通
し、且つ該リードピ
ンの軸部から径方向に延びた鍔部
が、ロウ材層を介して、上記セラミック部材の対向裏面側における第2貫通穴の開口部の周辺部に固定され
ていると共に、上記リードピンの軸部と上記セラミック部材の第2貫通穴の内周面とは、上記ロウ材層を介さずに対向しており、上記セラミック部材は、上記メタライズ層を介して、上記基板の第1貫通穴における表面側または裏面側の開口部の周辺に固定されている、ことを特徴とする。
【0008】
前記パッケージは、以下の効果(1)と(2)を奏することが可能となる。
(1)前記リードピンは、前記基板に設けた第1貫通穴と、前記セラミック部材に設けた第2貫通穴とを連続して貫通しているので、前記基板の表面側の前記搭載部に追って搭載される発光素子との電気的接続を、ボンディングワイヤーなどを介して直接得ることができる。従って、上記発光素子に投入すべき電力の増加に伴った十分な電流を給電することが可能となる。
(2)前記リードピンは、その径方向に延びた前記鍔部を介して、前記セラミック部材の第2貫通穴における対向裏面側の開口部の周辺に固定され、且つ該セラミック部材は、前記メタライズ層を介して、前記基板に設けた第1貫通穴の周辺に固定されている。そのため、上記リードピンは、上記鍔部とセラミック部材の対向裏面との接合面、および、該セラミック部材の対向表面と前記基板の表面または裏面との接合面、という2つの接合面(平面)を介して前記基板に支持されるので、従来のような厳しい寸法交差の管理をすることなく、パッケージ内部の気密性を確実且つ容易に維持できる。
【0009】
尚、前記基板は、追ってその表面側に発光素子を搭載した後に、例えば、金属板をプレス加工などにより、底面側が開口した円柱形状に成形した箱状体(キャップ)をロウ付けや溶接などで接合して、外部から封止する形態としても良い。
また、上記箱状体は、外形が円柱形状あるいは多角柱形状を呈し、追って前記搭載部に発光素子が搭載された後、該発光素子を外部から封止する。
更に、前記発光素子は、例えば、レーザーダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)などである。
また、前記基板、リードピン、および箱状体は、例えば、コバール(Fe−29%Ni−17%Co)、42アロイ(Fe−42%Ni)、194合金(Cu−2.3%Fe−0.03%P)などからなる。
【0010】
更に、前記基板、リードピン、および箱状体の表面には、例えば、所要の厚みのニッケル膜を介して、所要の厚みの金膜が順次被覆されている。
また、前記第1貫通穴は、前記基板の互いに離れた位置に、一対が円形状などにして形成されている。
更に、前記セラミック部材は、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどからなる。
また、前記第2貫通穴は、上記セラミック部材に複数個(2個以上)が並列且つ直線状に形成されている。
加えて、前記メタライズ層は、タングステン(以下、単にWと記載する)やモリブデン(以下、単にMoと記載する)などからなる。
【0011】
また、本発明には、前記メタライズ層は、前記第2貫通穴の対向表面側における開口部から離間して形成されている、発光素子搭載用パッケージ(請求項2)も含まれる。
これによれば、以下の効果(3)を得ることができる。
(3)前記セラミック部材の対向表面の周辺側に形成されたメタライズ層は、該対向表面に開口する第2貫通穴の開口部から離間しているので、上記セラミック部材を前記基板の表面または裏面における第1貫通穴の周辺に固定する際に、上記メタライズ層の上に沿って配設されるロウ材などが前記リードピンに不用意に接触して、短絡などの不具合を生じ難くしている。
【0012】
更に、本発明には、前記基板と前記セラミック部材との接合は、前記メタライズ層と、該メタライズ層の上に沿って配設されたロウ材層と、を介して成されている、発光素子搭載用パッケージ(請求項3)も含まれる。
これによれば、上記メタライズ層およびロウ材層を介して、前記基板とセラミック部材とが強固に接合されているので、前記効果(2),(3)を更に確実に得ることができる。
尚、前記ロウ材層には、銀ロウ(例えば、Ag−Cu合金)が例示される。
【0013】
更に、本発明には、前記基板と前記発光素子の搭載部とは、別体であり、該発光素子の搭載部は、基板よりも熱伝導率が大きい放熱体に含まれ、上記基板は、その表面と裏面との間を貫通する第3貫通穴を有し、且つ上記放熱体は、前記第3貫通穴に挿入された姿勢で上記基板に固定されている、発光素子搭載用パッケージ(請求項4)も含まれる。
これによれば、発光素子の搭載部を有する前記放熱体は、前記基板よりも熱伝導率が大きく、且つ前記第3貫通穴に挿入されて固定されているので、追って上記搭載部に搭載された発光素子が発する熱を、上記放熱体を介して、本パッケージの外部に効果的に放熱することが可能となる(以下、効果(4)という)。
尚、上記放熱体は、例えば、銅、銀、またはアルミニウム合金、あるいは、これらの何れか1つをベースとする合金からなる。
【0014】
また、本発明には、前記第3貫通穴は、平面視で円弧形状、長方形状、正方形状、あるいは円形状であり、前記放熱体は、熱良導性の金属からなる円弧柱体形状、直方体形状、立方体形状、あるいは円柱体形状を呈し、その底面の周辺に沿って、前記基板の裏面における第3貫通穴の開口部の周辺との接合を可能とするフランジを有している、発光素子搭載用パッケージ(請求項5)も含まれる。
これによれば、前記放熱体は、本体の底面の周辺に沿って一体に有するフランジと、前記基板の裏面における第3貫通穴の開口部の周辺とを、ロウ材などを介して接合されるので、前記効果(2),(4)を確実に奏することができる。
【0015】
加えて、本発明には、前記基板と、前記セラミック部材との線膨張係数の差が、5ppm(K
-1)以下である、発光素子搭載用パッケージ(請求項6)も含まれる。
これによれば、前記セラミック部材と、前記基板との線熱膨張係数の差が、5ppm(K
-1)以下と比較的小さいため、前記セラミック部材と基板との接合部に対して加えられる熱応力が緩和されるので、前記効果(2)を一層確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(A)、(B)は本発明における一形態の発光素子搭載用パッケージを互いに異なる視覚で示す斜視図。
【
図2】(A)は
図1(A)中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図、(B)は
図1(A)中のY−Y線の矢視に沿った垂直断面図、(C)は放熱体を示す斜視図。
【
図3】(A)、(B)はセラミック部材の対向表面側と対向裏面側とを個別に示す斜視図。
【
図4】上記パッケージの使用状態を示す垂直断面図。
【
図5】(A)、(B)は異なる形態の発光素子搭載用パッケージを互いに異なる視覚で示す斜視図。
【
図6】上記パッケージの使用状態を示す垂直断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1(A)、(B)は、一形態の発光素子搭載用パッケージ(以下、単にパッケージと称する)1aを、斜め上方または斜め下方からの視覚で示した斜視図、
図2(A)は、
図1(A)中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図である。
上記パッケージ1aは、
図1(A)、(B)、
図2(A)に示すように、対向する表面3および裏面4を有する基板2と、該基板2の表面3側から上方に突出した放熱体6の上面である発光素子の搭載部7aと、上記基板2の表面3側に配設されたセラミック板(セラミック部材)9と、該セラミック板9および前記基板2を個別に貫通し、且つ該基板2に支持される一対のリードピン20と、を備えている。
【0018】
前記基板2は、例えば、コバールからなり、平面視が円形状の表面3および裏面4と、これらの間に位置する円周形の側面5とを有する。
図1(B)、
図2(A)に示すように、該基板2の表面3と裏面4との間には、一対の丸い第1貫通穴11が隣接して貫通している。また、該基板2の異なる位置の表面3と裏面4との間には、平面視が円弧形状を呈する1つの第3貫通穴13が貫通している。
また、前記放熱体6は、銅からなり、
図2(B)、(C)に示すように、前記発光素子の搭載部7aを上面に含む円弧柱体形状の本体7と、該本体7の底面から周辺側に一定の幅ずつ張り出したフランジ8と、を一体に有する。該放熱体6は、その本体7を前記基板2の第3貫通穴13内に裏面4側から挿入した姿勢で、上記フランジ8と裏面4との間で後述するロウ材層により接合されている。
尚、上記放熱体6と第3貫通穴13とを省略し、発光素子の搭載部を前記基板2の表面3上の何れかに設定した形態としても良い。
【0019】
更に、前記セラミック板9は、例えば、アルミナからなり、
図3(A)、(B)に示すように、前記基板2の表面3に対向する長方形状の対向表面10と、該対向表面10と対向する相似形状の対向裏面15とを有し、該対向表面10と対向裏面15と間には、一対の丸い第2貫通穴12が並列に貫通している。
尚、上記セラミック板9を構成するアルミナと、上記基板2を構成するコバールとの線膨張係数の差は、5ppm(K
-1)以下である。
上記対向表面10において、上記一対の第2貫通穴12の開口部ごとから離間し、且つ該一対の第2貫通穴12を個別に囲むように、該対向表面10のほぼ全面に亘りメタライズ層14が形成されている。一方、上記対向裏面15における上記第2貫通穴12の開口部ごとの周辺には、幅の狭い円環形状のセラミック部17を介して、それらの周りにリング形状の導体部16が個別に形成されている。
尚、上記メタライズ層14と導体部16とは、WあるいはMoからなる。
【0020】
加えて、前記リードピン20も、コバールからなり、
図2(A)と、これと直交する視覚の
図4とに示すように、垂直方向に細長い軸部21と、該軸部21から径方向に延びた円板形状の鍔部22と、を一体に有している。
図2(A)、
図4に示すように、上記リードピン20と前記セラミック板9とは、該セラミック板9の対向裏面15における前記導体部16と、該導体部16ごとの上に配置されたロウ材層18とを介して、上記リードピン20の鍔部22ごとの下面における周辺側と上記対向裏面15とが接合されている。
尚、上記ロウ材層18は、例えば、銀ロウからなる。
【0021】
更に、前記セラミック板9の対向表面10側に形成された前記メタライズ層14と、その上に沿って配置された前ロウ材層18とを介して、前記基板2の表面3側と上記セラミック板9とが接合されている。即ち、前記リードピン20は、上記セラミック板9を介して上記基板2に支持されていると共に、その軸部21は、上記基板2の前記第1貫通穴11の中心付近と、上記セラミック板9の前記第2貫通穴12の中心付近とを、連続して貫通している。
そして、
図4に示すように、追って前記放熱体6の搭載部7aには、例えば、レーザーダイオードなどの発光素子19が搭載され、該発光素子19と前記一対のリードピン20の上端部ごととの間は、一対のボンディングワイヤー23を介して、個別に導通可能とされる。
【0022】
加えて、
図4に示すように、前記基板2の表面3における上方には、該表面3の周辺側に、全体が円筒形状を呈し、底面が開口している金属(例えば、コバール)製のキャップ24のフランジ25がロウ付けなどにより接合される。その結果、該キャップ24によって、前記セラミック板9、発光素子19、鍔部22を含むリードピン20ごとの上端側部分を外部から確実に封止することができる。
尚、上記キャップ24の天井板には、上記発光素子19が発光した光を外部に発射するため、図示しないレンズ付きの透孔26が形成されている。また、前記リードピン20は、その軸部21を図示しないプリント基板などのマザーボード側の外部接続端子に挿入することで、外部との電気的な接続を可能とする。
【0023】
図5(A)、(B)は、前記パッケージ1aとは異なる形態のパッケージ1bを示す前記同様の斜視図、
図6は、その使用状態を示す垂直断面図である。
上記パッケージ1bは、
図5(A)、(B)に示すように、前記同様の基板2、放熱体6、セラミック板9、および一対のリードピン20を備えている。
該パッケージ1bでは、
図5(B)、
図6に示すように、基板2の裏面4側に対して、セラミック板9が前記同様にして接合されると共に、該セラミック板9における第2貫通穴12付近ごとに、前記鍔部22を介して、一対のリードピン20が個別に接合されている。
【0024】
そのため、
図6に示すように、前記リードピン20の軸部21は、前記基板2の第1貫通穴11の中心付近と、その下方に同軸心状に位置する前記セラミック板9の第2貫通穴12の中心付近とを、連続して貫通している。
更に、
図6に示すように、追って前記放熱体6の搭載部7aに、発光素子19が搭載され、該発光素子19と前記一対のリードピン20の上端部ごととの間は、一対のボンディングワイヤー23を介して、個別に導通可能とされる。
そして、前記基板2の表面3における上方には、前記同様の金属製のキャップ24が配設されることにより、上記発光素子19を外部から封止できる、
【0025】
前記パッケージ1a,1bによれば、前記リードピン20が、前記基板2に設けた第1貫通穴11と、前記セラミック板9に設けた第2貫通穴12とを連続して貫通しているので、前記基板2の表面3側の前記搭載部7aに追って搭載される発光素子19との電気的接続を、ボンディングワイヤー23を介して直接得ることができる。従って、上記発光素子19に投入すべき電力の増加に伴った十分な電流を給電することが可能となる。
また、前記リードピン20は、その径方向に延びた前記鍔部22を介して、前記セラミック板9の第2貫通穴12における対向裏面15側の開口部の周辺に接合(固定)され、且つ該セラミック板9は、前記メタライズ層14およびロウ材層18を介して、前記基板2に設けた第1貫通穴11の周辺に固定されている。
【0026】
そのため、前記リードピン20は、前記鍔部22とセラミック板9の対向裏面15との接合面、および、該セラミック板9の対向表面10と前記基板2の表面3あるいは裏面4との接合面、という2つの接合面(平面)を介して、前記基板2に支持されるので、従来のような厳しい寸法交差の管理をすることなく、パッケージ1a,1b内部の気密性を確実且つ容易に維持することができる。
更に、前記セラミック板9の対向表面10に形成されたメタライズ層14は、該対向表面10に開口する第2貫通穴12の開口部から離間しているので、上記セラミック板9を前記基板2の表面3または裏面4における第1貫通穴11の周辺に固定する際、上記メタライズ層14の上に沿って配設されるロウ材18が前記リードピン20に不用意に接触して、短絡などの不具合を生じ難くされている。
【0027】
しかも、前記発光素子19の搭載部7aを有する前記放熱体6は、前記基板2よりも熱伝導率が大きく、且つ前記第3貫通穴13に挿入されて固定されているので、追って上記搭載部7aに搭載された発光素子19が発する熱を、上記放熱体6を介して、外部に効果的に放熱することが可能となる。
加えて、前記セラミック板9と基板3との線膨張係数の差は、5ppm(K
-1)以下であるため、該セラミック板9と基板3との接合部に対して加わる熱応力が緩和されている。
従って、前記パッケージ1a,1bによれば、前記効果(1)〜(4)を確実に奏することができる。
【0028】
また、前記発光素子搭載用パッケージ1aによれば、セラミック板9が基板2の表面3側に配置されているため、該セラミック板9と基板2とを面で接合して気密性を確保する本形態においても、本パッケージ1a全体の低背化が可能となる。更に、前記発光素子搭載用パッケージ1bにおいて、セラミック板9の厚み以上に深い凹部を基板2の裏面4側に形成し、該凹部内にセラミック板9を接合することで、該基板2とセラミック板9とを面で接合して気密性を確保する本形態においても、本パッケージ1b全体の低背化が可能となる。加えて、セラミック板9と基板2とを面で接合するため、上記凹部の開口幅をセラミック板9の幅よりも十分に大きく形成することで、前記凹部の寸法精度を厳しく管理する必要がなくなる。
【0029】
本発明は、前述した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記基板2、リードピン20、およびキャップ24は、42アロイ、あるいは194合金からなるものとしても良い。
また、前記基板は、その表面および裏面が平面視で矩形(正方形または長方形)を呈する形態であっても良い。
更に、前記セラミック板9は、窒化アルミニウム、ムライト、あるいはガラス−セラミックの何れか1つからなるものとしても良い。
【0030】
また、前記第1貫通穴11と第2貫通穴12とは、それぞれ4個、6個、8個、10個、あるいは12個以上の偶数個としても良いし、これら対応して前記セラミック板9を2個以上併用する形態としても良い。
更に、前記リードピン20の鍔部22は、平面視で矩形状を含む正多角形を呈する形態としても良い。
また、前記発光素子は、発光ダイオードなどとしても良い。
加えて、前記ロウ材(接合材)層には、アルミナ、ケイ酸、酸化ボロン、酸化亜鉛、酸化鉛、カルシア、パラジウム、白金、銅、金、または炭素の何れかを用いても良い。
【0031】
また、前記実施の形態において、セラミック部材は、板状のセラミック板9としたが、該セラミック部材は、少なくとも前記基板2と面で接合できる板状部を有する構成であれば良い。例えば、セラミック板9の対向表面10から個別に立設し、該対向表面10側における第2貫通穴12ごとの開口部を囲むように形成された筒状部を有するセラミック部材としても良い。かかる形態によれば、前記筒状部が基板2に形成された第1貫通穴11内ごとに挿入されると共に、該セラミック部材の板状部により基板2と面で接合することで、本パッケージ内部の気密性を確保でき、且つ、第1貫通穴11を構成する内壁面と、該第1貫通穴11を貫通するリードピン20との接触による不用意な短絡を防ぐこともできる。
【0032】
また、前記実施の形態では、セラミック部材と基板2との線膨張係数の差を5ppm(K
-1)以下としたが、セラミック部材と基板2との接合箇所において、気密性が確保される限りにおいては、これに限るものではない。例えば、セラミック部材と基板2との面での接合における最大直線長さが5mm以下である場合には、上記線膨張係数の差が5ppm(K
-1)よりも大きくても、気密性を確保した接合が可能となる。
更に、セラミック部材と基板2との面での接合を行う際に、両物の間に応力を緩和する部材を介在させることによって、上記線膨張係数の差を5ppm(K
-1)よりも大きくしても、気密性を確保した接合が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば、追って基板の表面側に搭載される発光素子に対する投入電力を容易に増大でき、且つパッケージ内部の気密性を確実に維持できる発光素子搭載用パッケージを確実に提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
1a,1b…発光素子搭載用パッケージ
2……………基板
3……………表面
4……………裏面
6……………放熱体
7a…………搭載部
8……………フランジ
9……………セラミック板(セラミック部材)
10…………対向表面
11…………第1貫通穴
12…………第2貫通穴
13…………第3貫通穴
14…………メタライズ層
15…………対向裏面
18…………ロウ材層
19…………発光素子
20…………リードピン
21…………軸部
22…………鍔部