【実施例】
【0033】
以下では、実施例及び比較例を通じて本発明を更に具体的に説明する。しかし、次の実施例及び比較例は、本発明に対する理解を促進するために例示の目的としてのみ提供されたものであるだけで、本発明の範疇及び範囲がここに限定されないことを明らかにしておく。次の実施例と比較例の試料はいずれも70℃〜100℃の温度で1時間と120℃の温度で1時間の2段階の熱硬化過程を経た。実施例と比較例では、吸湿剤としてシグマアルドリッチ(Sigma−Aldrich,Inc.)のCaOナノパウダ製品を用いた。実施例1乃至3と比較例1乃至8は、水分浸透防止効果の測定のためのものであり、
図2に示された構造を有するが、一辺が3cmである正方形のガラス基板上に真空の熱蒸着で形成された厚さ250nm、一辺2cmである正方形のCa層を封止樹脂組成物でコーティングした後、その上に一辺が3cmである正方形のガラス基板で覆って製作されたものである。柔軟度の測定のための実施例4乃至8は、エポキシ樹脂、硬化剤及び吸湿剤の混合物を厚さ150μmであるポリエチレンナフタレート(poly(ethylene naphthalate)(PEN))フィルム上にコーティング後、硬化して作られる。実施例及び比較例の封止樹脂組成物の厚さは80μm〜150μmである。
【0034】
<実施例>
実施例1は、KR−177製品及びKR−207製品を、それぞれ、0.5g及び0.5gで混合したエポキシ樹脂を用いて、該エポキシ樹脂に対する硬化剤の当量比は1:1とし、硬化剤であるKH−8006製品とG−640製品の重量比を0.4:0.6とし、エポキシ樹脂と硬化剤の重量和に対して30重量%の吸湿剤を含む封止樹脂組成物を含む試料である。
【0035】
実施例2は、硬化剤であるKH−8006製品とG−640製品の重量比を0.6:0.4とすること以外は、実施例1と同一の方法で製造された試料である。
【0036】
実施例3は、硬化剤であるKH−8006製品とG−640製品の重量比を0.8:0.2とすること以外は、実施例1と同一の方法で製造された試料である。
【0037】
実施例1乃至3は、水分浸透遮断特性を測定するための試料であり、2枚のガラス基板の間に位置する。
【0038】
実施例4は、KR−177製品及びKR−207製品を、それぞれ、0.2g及び0.8gで混合したエポキシ樹脂を用いて、該エポキシ樹脂に対する硬化剤の当量比は1:1とし、硬化剤であるKH−8006製品とG−640製品の重量比を0.8:0.2とし、エポキシ樹脂と硬化剤の重量和に対して30重量%の吸湿剤を含む封止樹脂組成物を含む試料である。
【0039】
実施例5は、実施例4のエポキシ樹脂に代えて、KR−177製品及びKR−207製品を、それぞれ、0.4g及び0.6gで混合したエポキシ樹脂を用いること以外は、実施例4と同一の方法で製造された試料である。
【0040】
実施例6は、実施例4のエポキシ樹脂に代えて、KR−177製品及びKR−207製品を、それぞれ、0.5g及び0.5gで混合したエポキシ樹脂を用いること以外は、実施例4と同一の方法で製造された試料である。
【0041】
実施例7は、実施例4のエポキシ樹脂に代えて、KR−177製品及びKR−207製品をそれぞれ0.6g及び0.4gで混合したエポキシ樹脂を用いること以外は、実施例4と同一の方法で製造された試料である。
【0042】
実施例8は、実施例4のエポキシ樹脂に代えて、KR−177製品及びKR−207製品をそれぞれ0.8g及び0.2gで混合したエポキシ樹脂を用いること以外は、実施例4と同一の方法で製造された試料である。
【0043】
実施例4乃至8は、封止材の柔軟特性を測定するための試料であり、プラスチックフィルム上にコーティングした。
【0044】
<比較例>
比較例1は、KR−177製品からなるエポキシ樹脂1gを用いて、該エポキシ樹脂に対する硬化剤の当量比は1:1とし、硬化剤であるKH−8006製品とG−640製品の重量比を0.2:0.8とし、エポキシ樹脂と硬化剤の重量和に対して50重量%の吸湿剤を含む封止樹脂組成物を含む試料である。
【0045】
比較例2は、硬化剤であるKH−8006製品とG−640製品の重量比を0.3:0.7とすること以外は、比較例1と同一の方法で製造された試料である。
【0046】
比較例3は、硬化剤であるKH−8006製品とG−640製品の重量比を0.4:0.6とすること以外は、比較例1と同一の方法で製造された試料である。
【0047】
比較例4は、硬化剤であるKH−8006製品とG−640製品の重量比を0.5:0.5とすること以外は、比較例1と同一の方法で製造された試料である。
【0048】
比較例5は、KR−177製品からなるエポキシ樹脂1gを用いて、該エポキシ樹脂に対する硬化剤の当量は1:1とし、硬化剤としてKH−8006製品を用いて、エポキシ樹脂と硬化剤の重量和に対して10重量%の吸湿剤を含む封止樹脂組成物を含む試料である。
【0049】
比較例6は、吸湿剤の量がエポキシ樹脂と硬化剤の重量和に対して30重量%であること以外は、比較例5と同一の方法で製造された試料である。
【0050】
比較例7は、吸湿剤の量がエポキシ樹脂と硬化剤の重量和に対して50重量%であること以外は、比較例5と同一の方法で製造された試料である。
【0051】
比較例8は、吸湿剤の量がエポキシ樹脂と硬化剤の重量和に対して70重量%であること以外は、比較例5と同一の方法で製造された試料である。
【0052】
<実施例と比較例の対比>
本発明の実施例によって製造された封止組成物の効果を測定する方法とその測定結果を次に具体的に説明する。
【0053】
<試験例1:水分浸透防止の評価>
以下の結果は、実施例及び比較例の試料を85℃の温度、85%相対湿度の雰囲気下において、時間による試料内のカルシウム層のサイズ変化及び吸湿剤の色相変化を観察して水分浸透の防止の程度を測定したものである。
【0054】
図3(a)は、実施例1乃至3で吸湿剤の時間による色相変化を観察して測定した水分浸透長さの変化に関するグラフである。該グラフから分かるように、製造した後、144時間経過後の実施例1乃至3において、それぞれ、試料側面から1.7mm、1.2mm及び0.7mmの水分浸透が測定され、これから、硬化剤内において多官能性硬化剤の比率が高いほど水分浸透防止機能に優れることが確認される。特に、
図3(b)に示された通り、実施例3の場合には、1000時間経過後にも水分が3.3mmのみ浸透して非常に優れた特性を示した。
【0055】
図4は、85℃の温度、85%相対湿度の雰囲気下で144時間経過時の比較例1乃至4を撮影した写真である。比較例1乃至4のうち、多官能性硬化剤の比率が最も高い比較例4で吸湿剤の色相変化が最も小さく、水分透過率が最も低いが、接触力に問題があり得るため、他の膜との積層における使用が制限的であり得る。
【0056】
図5は、実施例1と比較例3の時間経過によるカルシウム層の変化を撮影した写真であり、
図5(a)乃至5(c)は、それぞれ実施例1の試料製作直後、26時間経過後及び90時間経過後を撮影したものであり、
図5(d)乃至5(f)は、それぞれ比較例3の試料製作直後、26時間経過後及び90時間経過後を撮影したものである。試料製作直後には、実施例1と比較例3のカルシウム層及び吸湿剤のサイズ及び色相の変化はないが、90時間経過後には、実施例1がカルシウム層の変化はなく、吸湿剤の色相変化が更に小さく、比較例3に比べて吸湿水分浸透防止効果に更に優れることが確認される。
【0057】
次に、比較例5乃至8は、試料内の吸湿剤であるCaOの重量比を異ならせたものであり、試料製作から100時間後に測定した水分浸透長さから、CaOの量が多いほど水分浸透防止効果が大きくなることを表1から確認することができる。しかし、CaOの量があまりにも多く含まれた試料の場合、接着力が落ちて基板が剥離する問題が生じ得る。
【0058】
【表1】
【0059】
従って、水分浸透防止効果及び接着力等をいずれも考慮すると、封止樹脂組成物内のCaOはエポキシ樹脂と硬化剤の重量和に対する重量比が25重量%以上、45重量%以下であることが好ましく、封止樹脂組成物内のエポキシ樹脂及び硬化剤の数や種類が変わってもCaOの量の好ましい範囲は実質的に同一である。
【0060】
従って、本発明の一実施形態による封止樹脂組成物内のCaOは、エポキシ樹脂と硬化剤の重量和に対する重量比が10重量%以上50重量%以下であることが好ましい。
【0061】
<試験例2:試料の柔軟度の評価>
試料の柔軟度は、柔軟持続テスタ機(Flexural Endurance Taster)(IPC社のCK−700FET製品)を用いて、曲げる前の長さ2cm、曲げた後の長さ1cmの条件で試料の曲率半径を測定して評価する。
【0062】
表2は、実施例4乃至8の曲率半径を測定した結果である。該結果から、エポキシ樹脂内でKR−207製品の比率が大きくなるほど曲率の半径が小さくなり、柔軟度が向上することが分かる。
【0063】
【表2】
【0064】
図6は、実施例2又は3の封止樹脂組成物の表面を撮影した走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)写真であり、
図6(a)及び(b)は、それぞれ、実施例2の試料を100回曲げ(bending)の前及び後に撮影した走査型電子顕微鏡写真であり、
図6(c)及び(d)は、それぞれ、実施例3の試料を100回曲げの前及び後に撮影した走査型電子顕微鏡写真である。これらの写真から、実施例2及び3は多数の曲げにもかかわらず、膜にクラック(crack)等の損傷がほぼ発生しないことが確認される。