(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0001】
本発明は、非常に透明であり、ソラリゼーションに関して非常に良好な耐性を有するガラス、それらの製造方法およびそれらの使用に関する。好ましくは、本発明のガラスは、光ファイバーのコアガラスとして使用される。さらに、本発明は、クラッドガラスと、コアガラスとしての本発明によるガラスとを含む光ファイバーに関する。本発明は、さらに、光学素子またはこのような光学素子のプリフォームだけでなく、イメージング、投射、遠距離通信、光通信工学、モバイルドライブおよびレーザー技術の分野における、このようなガラスの使用に関する。
【0002】
光ファイバーケーブルは、様々な技術および医療分野、例えば、一般産業工学、照明−および交通工学、自動車、医療工学(例えば、歯科医療または内視鏡検査など)の分野において、光の伝送のためにますます用いられている。それらの良好な熱的および化学的耐性の結果として、ガラス製の光ファイバーケーブルが通例用いられ、それらは、ファイバー束として纏められる単独のファイバーからなる。広く知られているように、1本の光ファイバーにおける光は、内部全反射により伝送される。最も一般的に用いられる光ファイバーは、ステップインデックス型ファイバーであり、コアガラスのコアからなり、コアガラスは、その横断面に渡る一定の屈折率を特徴とする。コアガラスは、クラッドガラスのシースによって囲まれ、クラッドガラスは、コアガラスより低い屈折率を特徴とする。コアとクラッドガラスの間の境界で、内部全反射が起こる。
【0003】
広く知られているように、このようなファイバー内にカップリングされ得る光の量は、ファイバーの開口数(NA)の平方とファイバーコアの横断面に比例する。NAは、ファイバーが受光できる角度範囲のサインに相当する。角度範囲は、また、開口角としても指定される。
【0004】
開口数のほかに、当然、ファイバーにおける光の減衰が、大きな役割を果たす。そのため、減衰の少ないコアガラスだけを使用することができる。このようなコアガラスの溶融のための原材料は、それらの高い純度のため、比較的高価である。この結果として、このようなファイバーまたはそれらから製造される光ファイバーの製造コストは高くなり得る。さらに、PbO、CdO、As
2O
3、BeO、HgO、Tl
2O、ThO
2のような毒性成分は、環境保護の理由で、使用すべきではない。
【0005】
光ファイバーケーブルで伝送される光の量のほかに、多くの場合、色の歪み(colour cast)が少ない光の伝送が、顕著な役割を果たす。ファイバーが含むコアガラスの透過の分光依存性の結果として、光源でカップリングしたものの色座標(colour locus)の、多かれ少なかれ顕著な色シフトが起こる。この結果として、一般的に、放出される光は黄色くなる。これは、例えば、医療での内視鏡検査、例えば健康な組織および悪性の組織の区別のための画像の写真記録などにおける、中立的な色の再現が極めて重要な用途の妨げになる。
【0006】
特に、モバイル用途において、ファイバーの信頼性、すなわち、約−50℃〜110℃の温度変化への曝露に関する耐エージング性、機械的歪みに対する耐性、特に、疲労強度、さらには、環境の影響および洗浄処理に対する化学的耐性が、重要である。これに関連して、特に、耐候性、およびアルカリ溶液に対するコアの耐性が重要である。やはり重要であるのは、ファイバーの高密度性であり、その理由は、航空機または自動車の積載量および燃料消費に直接影響を及ぼすためである。ステップインデックスファイバーの高密度性は、大部分、コアガラスの高密度性に依存する。
【0007】
多成分ガラスからのステップインデックス型光ファイバーの製造は、いわゆる二重ルツボまたはバー−パイプ(bar-pipe)法により実施される。それぞれの場合において、コアおよびクラッドガラスは、10
5〜10
6dPasの粘度範囲に対応する温度に加熱され、こうして、ファイバーに線引きされる。減衰が少なく安定なファイバーの製造のために、コアおよびクラッドガラスの特質は、一方では、一連の特性、例えば、粘度勾配、熱膨張係数、結晶化する傾向などにおいて、互いに適合していなければならない。他方では、それらは、高純度を特徴としていなければならず、これは、上で説明したように、純粋な原材料を用いることによって、また最も重要なこととして、製造方法によって保証される。
特に、コアとクラッドガラスの間の境界でのコアとクラッドガラスの間の反応、例えば、拡散または結晶化は、起こってはならず、これらは、ファイバーコア内の誘導光の内部全反射を妨げ、それによって減衰を増加させるであろう。さらに、結晶化によって、ファイバーの機械的安定性が損なわれる。さらに、ガラス製造の間に清澄剤として機能するか、または汚染物質としてガラスに導入される多価成分が、放射源を使用すると、分光透過率に変化をもたらす。この効果はソラリゼーションと呼ばれる。
【0008】
さらに、溶融設備(melting aggregate)が重要であるが、その理由は、それらがまた、汚染を引き起こし、そのために、減衰および他の特質に悪影響を及ぼす可能性があるためである。このように、PT−設備からの白金の沈着は、短い波長領域における減衰パラメータを増加させ得る。対照的に、石英−設備では、SiO
2−設備の溶解の増加が起こる。ガラスにおけるSiO
2および汚染物質(例えば、Fe)の沈着の増加は、特性、例えば、屈折率または減衰の変化につながる。これらのパラメータの調整は、初期設定され、より不安定な溶融プロセスによって妨げられる。
【0009】
前記のように、ソラリゼーションは、光(例えば、UV光)による照射後のガラスの、違う波長領域における透過率の低下である。ガラスの照射時間が長いほど、この効果の度合いは大きくなる。光ファイバーは、多くの場合、強い光に曝されるので、ソラリゼーションが、できるだけ小さく保たれることが、極めて重要である。
【0010】
ソラリゼーションは、照射の前後のガラスの透過率を互いに比較することによって測定できる。本明細書では、尺度として、標準光タイプD65と比較した色温度の低下が用いられる。
【0011】
標準光タイプD65は、6500Kの温度のプランク放射体(黒体)の放射分布に対応する。これは、灰色の雲に覆われた日の昼光の放射分布に大体一致する。
【0012】
色度(color point)および色温度D65は、光ファイバーの透過スペクトルから計算される。最初に、無照射光ファイバーのスペクトルが測定され、色温度が計算される。光源による照射後、UVおよびVIS領域の透過を減衰させる、色中心および欠陥が、コアガラスに現れる。無照射および照射光ファイバーの間の色温度の違いが、計算され、ソラリゼーションの尺度として用いられる。
【0013】
ガラスの照射により、また、透過率が低下する。観察者は、透過光の色の知覚の、ある程度明白なシフトを実感する。普通の観察者にとって、D65からの150Kの色温度変化より上の相違を認識することができる。
【0014】
実際には、光ファイバーでは、良好な色の再現性、したがってまた照明を受ける対象の純粋な色の印象を保証するために、高い色温度が必要とされる。特に、光ファイバーにおけるコアガラスとして用いられるガラスは、低い減衰(dB/km)を有していなければならない。結局、光は、光ファイバーにおいて、できるだけ低い吸収を伴う仕方で、比較的長い距離を、移動しなければならない。
【0015】
DE10245987B3は、低い減衰および中立的な色の伝送によって特徴付けられ、環境に優しい原材料を用いる方法で製造される、鉛含有コアガラスを記載する。これらのガラスは、スズを含まない。このガラスが、この場合に必要とされる、高温でのスズによる清澄を受けると想定される場合、900〜1100nmでの減衰が、大きく増加するであろう。このガラスの場合、低減衰は、低波長で達成できるにすぎず、IR領域において、約1050nmの強いFe
2+のバンドが生じるであろう。さらに、このガラスは、普通の清澄剤(ヒ素およびアンチモン酸化物)が用いられるので、ソラリゼーションへの高い傾向を示すと推定される。さらに、これらの清澄剤は、それらの毒性作用のせいで、望ましくない。
【0016】
DE102007063463A1は、光ファイバーのためのコアガラスを記載する。
この出願に記載されているガラスは、低温で清澄されなければならないが、その理由は、そうでなければ、ガラスにおける白金の含有量が高くなりすぎるためである。As
2O
3およびSb
2O
3が、好ましい清澄剤として提案されている。これらの清澄剤の使用により、優れた耐ソラリゼーション性は、達成できない。スズによる清澄は、推奨される選択肢ではない。
【0017】
DE3026605A1は、良好な耐久性を有する光学ガラスを記載する。しかし、それは、多量のCaOおよびMgOを用いる。さらに、TiO
2が使用され、これは、特にUV領域において、ガラスの減衰に影響を及ぼす。この理由で、本発明での減衰パラメータは、このようなガラスでは実現されず、さらに、それらの意図する用途では必要でないが、その理由は、それが、ガラスファイバーの製造ではなく薄いガラス層の製造を意図するためである。
【0018】
JP2009−203083Aは、少量のSiO
2を含むガラス組成物を記載する。これによって、ファイバーガラスに必要な化学的耐性は、得ることができない。さらに、屈折率を増加させる多くの成分が使用され、このことが、常に存在する汚染物質のせいで、良好な減衰を妨げる。
【0019】
JP2009−263141Aは、光学ガラスを教示し、それらは、TiO
2を含んでいなければならず、伝統的な清澄剤により清澄される。このため、本発明に従う減衰パラメータは達成できない。確かに、先行技術において、PbOを使用しないで、妥当な減衰を可能にするコアガラスが知られている。しかし、この減衰は、通常、約400〜800nmの波長領域に関するにすぎない。IR波長領域では、このような減衰は達成されていない。さらに、先行技術において、ガラス成分としてのPbOを省くと、結果として、PbOが媒介する耐ソラリゼーション性が大きく低下する。
【0020】
高い耐ソラリゼーション性および低減衰を有するガラスを提供することが、本発明の目的である。このガラスは、光ケーブルにおけるコアガラスとして使用されるはずである。
さらに、ガラスは、高純度で製造されるべきであり、それらは、特にアルカリ溶液に対する、良好な耐性を特徴とすべきである。アルカリ溶液に対する耐性は、医療分野における前記ガラスの使用にとって重要である。これらの分野では、アルカリ溶液が、しばしば、洗浄剤として使用される。
【0021】
この目的は、特許請求の範囲の主題によって解決される。
【0022】
この目的は、SnO
2を含み、1050nmの波長で1300dB/kmまでの減衰を特徴とするガラスによって解決される。好ましい態様は、前記波長で、<1050dB/km、<900dB/km、<800dB/km、またはさらに、<400dB/kmの減衰を特徴とする。<400dB/kmのパラメータが、特に、<1.65の屈折率で、実現可能である。減衰は、DIN 58141−1に従って求められる。いくつかの好ましい態様において、前記減衰は、少なくとも50dB/kmまたは100dB/kmである。近IR領域におけるこの低い減衰の理由は、できるだけ低い数値であることが好ましい、Fe
2+/Fe
3+の非常に利点のある比である。これは、ガラスに、Fe
2+より多くのFe
3+が含まれることが好ましいことを意味する。この利点のある比は、ガラスでは、とても求めることができないが、その理由は、含まれる鉄が、非常に少ない量でのみ存在し、そのため、Fe
2+およびFe
3+の検出限界を下回る、ガラスの不純物であるためである。このため、減衰が、全ての酸化状態の鉄の濃度、およびFe
2+/Fe
3+の比の尺度である。
【0023】
鉄の僅かな不純物は、防ぐことができない。それは、原材料によって導入されるが、また、溶融設備の隣接材料によっても導入される。好ましい態様において、1050nmでの減衰は、<300dB/kmにすぎず、さらに好ましくは、<250dB/km、さらに好ましくは、<180dB/km、特に好ましくは、<150dB/kmである。
【0024】
このように、1050nmでの減衰は、ガラスに存在するFe
2+の量の尺度である。これまで、特に純粋な原材料の選択という方法によって、Fe
2+の含有量の低減を保証しようと試みられてきた。しかし、これは、非常に費用が掛かり、労力を要する。元素の低原子価状態−したがって、鉄の場合には、成分Fe
2+−は、高温で、最も顕著に生成される。
【0025】
本発明のガラスは、SnO
2を用いることによって、清澄される。清澄剤として用いられ、通常利用される、ヒ素およびアンチモンの酸化物とは対照的に、SnO
2の使用は、ほとんどソラリゼーションの原因とならない。
【0026】
本発明のガラスは、清澄処理の後、バブリングされて、ガラスに含まれるFe
2+の主要な量が、Fe
3+に変換される。その理由は、清澄処理の後、より低い温度で、Fe
2+/Fe
3+の平衡は、再び、Fe
3+の方向にシフトするためである。ガラスが固化した後になって初めて、平衡は準凍結される。こうして、本発明によれば、それは、比較的低い温度でバブリングされるであろう。
【0027】
本発明のよるガラスは、Fe
2+および/またはFe
3+を、好ましくは0〜10ppmの含有量で含む。さらに好ましくは、本発明によるガラスは、鉄を、好ましくは、少なくとも0.1で、好ましくは、10ppm(m/m)以下の含有量で含む。好ましい態様において、鉄の含有量は、5ppm以下、さらに好ましくは、3ppm以下、特に、2ppm以下である。この場合、含有量は、鉄の全ての化学種に、したがって、特に、Fe
2+およびFe
3+に関する。特に断らなければ、ppmおよびppbで記載される情報は、常に、質量比に関する。
【0028】
成分SnO
2は、従来の清澄剤であるAs
2O
3およびSb
2O
3を用いないことを可能にする。その結果、本発明の好ましいガラスは、As
2O
3および/またはSb
2O
3を含まない。それらの毒性作用以外に、ヒ素およびアンチモンは、ソラリゼーションへのガラスの傾向を強く促進する。ヒ素およびアンチモンを用いないことは、本発明によるガラスの、そのソラリゼーションおよび環境への優しさに関する、優れた特性に寄与する。
【0029】
ソラリゼーションは、欠陥中心(とりわけ、色中心)によって引き起こされる。SnO
2は、それ自体では、このような中心を生成せず、また、他の成分が、このような中心を生成するように促さない。それに応じて、SnO
2は、欠陥中心を生じる、いわゆる2次反応を促進しない。これに関して、それは、不活性である。
【0030】
好ましくは、本発明のガラスにおけるSnO
2の含有量は、少なくとも0.01
質量%、さらに好ましくは、少なくとも0.03
質量%、より一層好ましくは、少なくとも0.04
質量%である。SnO
2は清澄剤として役立ち、他の清澄剤に比べて、ソラリゼーションの原因にならない−またはほとんどならない。量が少なすぎると、満足のいく清澄処理は実施できない。しかしながら、量が多すぎると、SnO
2は、ソラリゼーションへの傾向に悪影響を及ぼす。これは、SnO
2によって、望ましくない不純物、例えば、酸化鉄が導入されることによって、さらに、これらの不純物によるレドックス電位の増加によって、引き起こされる。したがって、ガラス中のこの成分の含有量は、好ましくは、1
質量%、さらに好ましくは0.8
質量%、特に好ましくは0.4
質量%を超えるべきではない。
【0031】
好ましくは、本発明によるガラスは、300Wのキセノン高圧ショートアークランプによる数百時間の照射後でさえ、>400〜1050nmの全波長領域に渡って、減衰の変化を示さないか、僅かな変化を示す。
【0032】
好ましくは、同様に1500lmの透過光束および/または300Wのキセノン高圧ショートアークランプによる450時間の照射後に、5mmの直径および1000mmの長さを有する光ファイバーの、1050nmの波長での減衰は、1300dB/km、好ましくはさらに1050dB/kmより小さく、さらに好ましくは、900dB/kmより小さい、または800dB/kmより小さく、特に好ましいこのパラメータは、400dB/kmより小さい。
【0033】
この説明において、ガラスが1つの成分を含まない、またはガラスが特定の成分を含まないと言われる時には、この成分がガラス中に不純物として存在することだけが許容されることを意味する。これは、それが必須の量として添加されないことを意味する。本発明によれば、必須でない量は、100ppmより小さく、好ましくは50ppmより小さく、最も好ましくは10ppmより小さい量である。
【0034】
好ましくは、本発明のガラスは、ファイバーガラス、特に、光ファイバーにおけるコアガラスである。好ましくは、それゆえに、ガラスは、ファイバー状である、すなわち、特に、少なくとも1mの長さ、および、好ましくは基本的に円形の横断面を有する。
【0035】
本発明によるガラスは、SnO
2により清澄される。SnO
2は、清澄プロセスに必要とされる酸素を、高温でのみ放出する高温清澄剤である。このため、清澄プロセスの間、ヒ素またはアンチモンの酸化物を用いる清澄プロセスの間より、高い温度が必要である。しかし、より高い温度は、結果として、上記のように、多価イオン(例えば、Fe
2+に還元される鉄)の還元を起こす。これらのイオンは、ガラス中に、原材料によって、または溶融設備によって、導入される。非常に純粋な原材料を使用する場合でさえ、ppbの範囲の不純物は存在する。
【0036】
清澄剤としてのSnO
2の使用、したがってまた、As
2O
3およびSb
2O
3のような他の清澄剤を用いないことが可能であることは、良好な内部品質(少数の泡)、および、特に、高い耐ソラリゼーション性を有するガラスの製造を可能にする。
【0037】
本発明の手段により、選ばれた試験条件での照射後に、標準光源D65に対して150K未満の、ソラリゼーションによって引き起こされるガラスの色温度低下を生じる。色温度D65は、DIN 58141 Part 2に従って測定される、分光透過率の推移から計算される。選ばれる試験条件は、23℃の周囲温度、光源のZeiss Superlux 301、光源:Perkin Elmer 300BF、5mmの直径および1000mmの長さを有する光ファイバー寸法である。
【0038】
酸化鉄の存在下では、高温清澄プロセスはガラスの減衰に悪影響を及ぼす。特に、IR領域を用いる場合、高い割合(portion)のFe
2+は不利である。Fe
2+は、約1050nmの波長を吸収し、このため、近IRにおけるファイバーの透過および減衰を、それぞれ悪化させる。
【0039】
本発明によれば、Fe
2+が介在する課題は、清澄プロセスの後で、酸化ガスによりガラスをバブリングすることによって解決される。好ましくは、バブリングは、高くても1550℃、特に、高くても1480℃の温度で実施される。あるガラス、特に、1.65を超える高屈折率を有するガラスでは、1300℃より低い温度が、予防策として選択されるべきである。この理由は、屈折率を増加させる成分が、最高の純度では得ることができないためである。より高い温度は、望まれる効果に関して、逆効果である。好ましくは、酸化ガスは酸素を含む。好ましくは、酸化ガスは、主に酸素からなる。代わりに、オゾンが用いられてもよい。
【0040】
本発明によれば、バブリングが清澄プロセスの間に実施されることは、必要ではない。
その理由は、SiO
2が化学的清澄剤として用いられるからである。したがって、好ましくは、清澄プロセスの間にバブリングは実施されない。
【0041】
バブリング工程の間、ガラスの粘度が、バブリングに適切な範囲にあることが必要である。そのため、ガラスは、バブリングが実施される温度で、10
0.9〜≦10
2.2dPasの粘度を有するべきである。特に、1300℃でのガラスの粘度は、10
2dPas以下である。
【0042】
例示として、次の表は、本発明による3種のガラス(例7、8および21のガラス、これらは下で説明される)について、本発明による組成が用いられた時に、ガラスの粘度が、温度の関数として、どのように変わるかを示す。
【表A】
【0043】
好ましくは、バブリング処理は、少なくとも1000℃、好ましくは、少なくとも1100℃、より好ましくは1200℃、特に好ましくは、少なくとも1350℃の温度で実施される。好ましくは、温度は、1550℃の値、より好ましくは1500℃の値、最も好ましくは1480℃の値、特に1400℃を超えるべきではない。より高い温度は、より低い粘度を生じるが、また、より低い原子価に向かう、多価成分の平衡のシフトを生じる。バブリング処理の間、粘度が高すぎると、ガラス溶融物中の泡は、上昇して出て行くことができないか、または、全く不完全に、上昇して出て行くだけであり、この結果として、望ましくない泡の形成が起こる。粘度が低すぎる場合には、やはり、溶融物中の泡の滞留時間が短すぎる。さらに、大きすぎる泡が生成され、このため、少なすぎる、泡の表面が生成し、このため、酸素の交換が少なすぎる結果となる。溶融物と泡の間のガスの効率的な交換のためには、大きな界面が必要とされ、大きすぎる泡は望ましくない。本発明による好ましい泡の大きさは、直径が、約10mm〜約100mmの範囲である。正確に球状でない形状を有する泡の場合には、言われているのは、泡の最小の直径である。
【0044】
本発明によれば、ガラスおよび/またはガラス溶融物の粘度は、撹拌機粘度計により求められる。
【0045】
例えば、4Lまでの体積の溶融物が、バッチ式設備において、好ましくは少なくとも20分間、バブリングされる。実際に、特定の状況−個々のガラスおよび不純物の量に応じて決まる−下に、より短いバブリング時間もまた十分であり得るが、ほとんどの場合、約20分後になって初めて、減衰のかなりの向上が達成される。このため、バブリング時間は、好ましくは少なくとも10分、さらに好ましくは、少なくとも15分、より好ましくは、少なくとも20分、最も好ましくは、少なくとも25分である。
【0046】
500〜1000g/minの容量を有する連続溶融設備の場合には、当業者は、どれだけ多くのバブリング時間が、最適な減衰結果を達成するために必要とされるか分かるであろう。
【0047】
これらの低い温度で、酸化ガスは、多価イオンの酸化を引き起こす。鉄の場合には、Fe
2+が、Fe
3+に酸化されるであろう。こうして、約1050nmのFe
2+の吸収は、低下させられるであろう。このため、約350nmの3価イオンのバンドが、より強くなるであろうが、低い吸収係数のせいで、それは、小さい値のものであり、350nmの位置のせいで、それは、本発明の使用を妨げない。高い清澄温度での多価イオンの還元の不利な点は、こうして、清澄工程後のバブリング工程によって、再び、埋め合わされるであろう。バランスのある粘度調整は、さらなるバブリング工程にもかかわらず、ガラス中に存在する泡に関して、非常に良好な特性を有するガラスを生じる。
【0048】
清澄工程の後のバブリング工程により、Fe
2+/Fe
3+、およびSn
2+/Sn
4+の非常に利点のある比が、ガラスにおいて実現され、この結果として、ガラスの減衰は非常に小さくなる。これらの比は、満足のいく仕方では、分析によって求めることができず、大変な努力によってのみ求めることができる(O. Corumluogluら、「Determination of ferrous iron and total iron
in glass by a colorimetric method」、Glass Technol、1999、40(1)、24−8)。それゆえに、減衰が、代理のパラメータとして用いられなければならない。
【0049】
本発明によるガラス系において、良好な相関が、一方では、Fe
2+/Fe
3+、およびSn
2+/Sn
4+の比と、他方では、ガラスの減衰との間に広く一般に存在する。存在する鉄の化学種は、分析的手法では定量できない。本発明によれば、Fe
2+/Fe
3+の比は、本発明に従う減衰値が達成されるように調整される。そのために必要な手段が、ここで詳細に記載されている。
【0050】
本発明によれば、900nmおよび700nmでのガラスの減衰の差(D900−D700)は、好ましくは、500dB/kmより小さく、さらに好ましくは、400dB/kmより小さく、特に好ましくは、300dB/kmより小さい。あるガラスは、150dB/kmより小さく、さらに好ましくは、100dB/kmより小さい、または50dB/kmより小さいパラメータを実現しさえする。この差(相対値)は、相殺によって、時には存在する絶対測定の誤差のない、ガラスの良好なIR特性に対する特徴である。対象の全波長領域に渡り平坦な減衰曲線は、後での使用にとって、非常に利点がある。
【0051】
IR領域における減衰に関する、このような強い効果が、清澄工程の後のバブリングによって達成できることは驚きである。
【0052】
好ましくは、本発明のガラスは、少なくとも8
質量%、さらに好ましくは、少なくとも23
質量%、より一層好ましくは、少なくとも24
質量%、特に好ましくは、少なくとも25
質量%、またはさらに26
質量%のSiO
2を含む。さらに好ましくは、少なくとも28.3
質量%のSiO
2、特に好ましくは、少なくとも34
質量%のSiO
2が含まれる。ある好ましい態様において、ガラスは、実に、少なくとも35
質量%、さらに好ましくは、少なくとも42
質量%のSiO
2を含む。
【0053】
SiO
2はガラス生成物質である。この成分の量が少なすぎると、不安定なガラスを生じる。特に、化学的耐性、特に、耐酸性が、SiO
2の含有量が少なすぎる場合に、弱められる。
【0054】
しかし、SiO
2成分は、ガラスのプロセス温度を上昇させる。高いプロセス温度は、不都合を生じる。非常に高温の溶融物は、それらが接触している材料を、激しく攻撃する。その結果、用いられている材料は、より短い寿命を示す。さらに、より多量の不純物がガラスに導入され、これらは、やはり、透過に、したがって減衰に、またソラリゼーションに、望ましくない影響を生じ得る。さらに、大きすぎるSiO
2の割合は、開口度(N
A)の低下を生じる。プロセス温度が、余りに高くならないように、好ましくは、SiO
2の含有量は、62.1
質量%の最大量までに限定されるべきである。さらに好ましくは、本発明によるガラスにおけるSiO
2の含有量は、55
質量%以下、特に好ましくは、53
質量%以下である。特に好ましい態様において、ガラスは、51.8
質量%以下のSiO
2、より一層好ましくは、50
質量%以下にすぎないSiO
2を含む。特定の態様において、本発明のガラスは、高い屈折率を実現するために、厳しく限定された量のSiO
2を有する。これらのガラスは、35
質量%以下、さらに好ましくは、33
質量%以下、より一層好ましくは、32
質量%、特に好ましくは、31
質量%以下のSiO
2を含む。
【0055】
好ましくは、本発明によるガラスは、10
質量%まで、さらに好ましくは6
質量%まで、より一層好ましくは2.8
質量%まで、特に好ましくは、1.5
質量%以下のAl
2O
3を含む。Al
2O
3の含有量は、結果として、珪酸含有ベースマトリックスの化学的耐性を増加させる。Al
2O
3の含有量は、多すぎると、ガラスの融点の大きな増加を生じ、そのために、結果として、製造努力を増大させ得る。特に、他のガラス生成物質のため、すでに十分な化学的耐性を有するガラスの場合には、本発明によるAl
2O
3の含有量は、好ましくは、1
質量%以下、さらに好ましくは0.5
質量%以下、特に好ましくは、0.3
質量%以下に限定される。本発明による特に好ましい態様において、Al
2O
3は、含められなくてもよい。
【0056】
B
2O
3もまた、本発明によるガラスに含められてもよい。好ましい態様において、少なくとも0.1
質量%、さらに好ましくは0.5
質量%、特に好ましくは、少なくとも6
質量%のB
2O
3が含められる。この成分は、ガラスの粘度、したがってまた、融点、清澄およびプロセスの温度を低下させる。しかし、大きすぎるB
2O
3の含有量は、特にアルカリ含有媒体に関して、化学的耐性を低下させ得るので、好ましくは、B
2O
3の含有量は、24
質量%以下である。さらに好ましくは、15
質量%以下、さらに好ましくは、5.1
質量%以下または<5
質量%、より一層好ましくは、4
質量%以下、より好ましくは3.5
質量%、さらに好ましくは、3
質量%以下、特に好ましくは、1.5
質量%以下のB
2O
3が、本発明のガラスに含まれる。ある好ましい場合において、ガラスは、1
質量%未満のB
2O
3を含む。
【0057】
好ましくは、本発明のガラスにおけるSiO
2の含有量は、B
2O
3の含有量より大きい。そのことにより、適切な化学的耐性が可能になる。好ましくは、SiO
2の含有量は、B
2O
3の含有量の2倍以上でさえあるべきである。成分B
2O
3対SiO
2の適切な比を用いることによって、とりわけ、必要とされる伝導度に合わせることができるので、ガラスは、高周波設備で加熱できる。B
2O
3を含む態様において、SiO
2対B
2O
3の質量比は、好ましくは5を超え、さらに好ましくは6を超え、より好ましくは7を超え、特に好ましくは8を超える。しかし、この質量比は、大きすぎるべきではなく、特に、このパラメータは、50、好ましくは40、さらに好ましくは30、特に好ましくは15を超えるべきではない。
【0058】
B
2O
3は、特定の溶融設備に関して、攻撃的挙動を示し、それゆえに、使用に際して特別な事前の策を必要とする。このため、本発明によれば、B
2O
3を用いないで、ガラスに必要とされる粘度特性を保証することが好ましい。したがって、特に好ましくは、本発明によるガラスは、B
2O
3を含まない。
【0059】
十分な化学的耐性と共に、依然としてガラスの良好な加工性が助長されるように、好ましくは、SiO
2、Al
2O
3およびB
2O
3の全含有量は、70
質量%以下、さらに好ましくは、65
質量%以下、より好ましくは、60
質量%以下、特に好ましくは、50
質量%以下、または40
質量%以下である。この目的のために、これらの酸化物の全含有量は、好ましくは、少なくとも25
質量%、さらに好ましくは、少なくとも27
質量%、より好ましくは、少なくとも30
質量%、特に好ましくは、少なくとも40
質量%、より好ましくは、少なくとも41
質量%である。
【0060】
化学的耐性を向上させるために、Ta
2O
5が、特に、少なくとも0.4
質量%、さらに好ましくは、少なくとも1.2
質量%、特に好ましくは、少なくとも3.5
質量%の量で、添加され得る。しかし、この成分の含有量は、好ましくは、22
質量%、さらに好ましくは10
質量%、より好ましくは9
質量%、特に好ましくは7
質量%、殊に好ましくは6
質量%の値を超えるべきではない。
【0061】
本発明のガラスは、好ましくは、少なくとも1種のアルカリ酸化物を含む。アルカリ酸化物は、網目修飾剤として働き、極端でない温度で、通常のタンクにおいて、ガラスを製造するために必要である。好ましくは、少なくとも0.1
質量%、さらに好ましくは、少なくとも0.2
質量%、より好ましくは、少なくとも5
質量%、さらに好ましくは、少なくとも6
質量%、特に好ましくは、少なくとも9
質量%が用いられる。アルカリ酸化物は、Li、Na、K、RbおよびCsの酸化物を意味する。さらに好ましい態様において、アルカリ酸化物は、Li、NaおよびKの酸化物を含むだけである。
【0062】
しかし、アルカリ酸化物は、それらが、多すぎる量で使用された時、ガラスの化学的耐性を弱める。さらに、アルカリ酸化物は、膨張係数を増加させ、これは、熱成形の場合に、ガラスにクラックの生成を引き起こし得る。したがって、本発明のガラスにおけるアルカリ酸化物の割合は、好ましくは、20
質量%以下、さらに好ましくは、18
質量%以下、より好ましくは、15
質量%以下、特に好ましくは、10
質量%以下、殊に好ましくは、5
質量%以下に限定される。
【0063】
好ましくは、アルカリ酸化物のLi
2O、Na
2OおよびK
2Oが用いられる。Rb
2Oおよび/またはCs
2Oもまた使用され得る。しかし、それらの割合は、それぞれ、好ましくは、21
質量%まで、好ましくは15
質量%まで、特に2
質量%まで、好ましくは、1.5
質量%までの量に限定される。好ましくは、本発明によるガラスは、Li
2O、Na
2OおよびK
2Oの混合物を含み、さらなるアルカリ酸化物は含まない。
【0064】
クラッドガラスにおけるアルカリ酸化物Li
2O、Na
2OおよびK
2Oの1つの、互いに対する、および全アルカリ酸化物に対する比は、本発明によるガラスをコアガラスとして用いるために重要である。すなわち、ガラス線引き処理の間に、大部分の可動性イオン、したがって主にアルカリイオンの相互拡散のプロセスが起こる。ある程度までは、これらのプロセスは、コアガラスとクラッドガラスの間の化学結合を生じ、したがって、ファイバーの安定性を根本的に保証するので、望ましい。これらのプロセスが余りに激しくなる時、または、コアガラスもしくはクラッドガラスにおける枯渇または集中による結晶相の生成に寄与するイオンの拡散が起こる時、これらの拡散過程は、望ましくない結果を生むことになる。このため、一方では、コアガラスとクラッドガラスの間に濃度勾配が存在すべきであるが、他方では、それらは、余りに大きくなるべきではない。
【0065】
好ましくは、Na
2Oの含有量は、18.5
質量%まで、さらに好ましくは15
質量%まで、特に好ましくは14
質量%まで、より好ましくは9
質量%までである。この成分の含有量は、少なくとも1
質量%、好ましくは、少なくとも2
質量%、さらに好ましくは、少なくとも4
質量%、特に好ましくは、少なくとも5
質量%であり得る。一態様において、ガラスは、Na
2Oを含んでさえいない。
【0066】
K
2Oの含有量は、25.7
質量%までであり得る。しかし、特に好ましくは、本発明のガラスにおけるK
2Oの割合は、Na
2Oの割合より小さい。K
2Oの特に好ましい含有量は、15
質量%以下、さらに好ましくは、12
質量%以下、より一層好ましくは、6.5
質量%以下、特に、3
質量%以下、または2
質量%以下、特に好ましくは、1
質量%以下である。好ましくは、この成分の含有量は、少なくとも0.9
質量%、さらに好ましくは、少なくとも2.9
質量%、特に好ましくは、少なくとも%であるべきである。しかし、特定の態様は、K
2Oを含まない。
【0067】
特別の注意が、また、Li
2Oの割合にも集中されなければならない。リチウムイオンは、系の最も動き易い成分であり、さらに、特に、Al
2O
3および核形成剤としてのZrO
2の存在下に、LiAlO
2のような結晶相の生成に寄与する。多くのガラスにおいて、ZrO
2は、光学的特性の調整のために、絶対に必須である。多くのクラッドガラスは、Al
2O
3を含むので、コア−クラッドの境界での結晶化作用による危険を最小限度に抑えるために、各コアガラスにおいて、Li
2Oを全く含まないことが当然であると思われる。しかし、それ自体にLi
2Oを含む、かなりの数のクラッドガラスもまた存在する。
【0068】
コアガラスにLi
2Oが全く含まれていない時、Li
2O含有クラッドガラスの場合に、クラッドガラスからコアガラスへのLi
2Oの拡散が起こり、これは、コア−クラッドの界面の光学的性質に悪影響を及ぼし得る。このため、本発明のガラスは、好ましくは、Li
2Oを含む。
【0069】
本発明のガラスを、様々なクラッドガラスと組み合わせ、それから様々な異なる製品を製造することが可能であるので、好ましい態様において、本発明のガラスに、ある割合のLi
2Oを含ませることには意味があると分かった。この割合は、Li
2O含有クラッドガラスからコアガラスへの拡散による悪影響を抑えるのに十分なだけ、大きくあるべきであり、Li
2Oを含まず、Al
2O
3を含むクラッドガラスにおける結晶化作用を防ぐのに十分なだけ、小さくあるべきである。本発明者らが、集中的な努力によって見出したように、この目標は、少なくとも0.2
質量%、さらに好ましくは少なくとも0.4
質量%、または少なくとも0.5〜10
質量%、さらに好ましくは、0.8〜5
質量%または<3
質量%、特に好ましくは、0.6〜2
質量%、または実に1
質量%までにすぎない、Li
2Oの割合によって達成される。
【0070】
好ましくは、本発明のガラスは、ZnOを、40
質量%まで、特に、38
質量%までの含有量で含む。ZnOは、網目修飾剤として働き、さらに、ガラスの光学的特性の調整に役立つ。特に好ましくは、その含有量は、28
質量%以下、さらに好ましくは、25
質量%以下、さらに好ましくは、24
質量%以下、より好ましくは、23
質量%以下、特に好ましくは、22
質量%以下に限定されるべきである。好ましくは、ZnOは、本発明のガラスに、少なくとも0.05
質量%、さらに好ましくは、少なくとも3
質量%、特に好ましくは、少なくとも8
質量%、少なくとも10
質量%、または少なくとも11
質量%の含有量で含められる。別の態様は、ガラスに、12
質量%を超えて、特に、少なくとも13
質量%、より好ましくは、少なくとも16
質量%を含む。特に好ましい態様は、実に、少なくとも20
質量%を含む。
【0071】
多かれ少なかれ、全ての温度で粘度曲線の一定のシフトを生じるアルカリ酸化物とは対照的に、網目修飾剤として、ZnOは、高い温度では大きな減少を、低い温度では、僅かな減少を、または増加さえも生じる。これは非常に望ましい挙動であるが、その理由は、できるだけ低い温度での溶融および清澄の間、ずっと低い粘度であるべきであるためである。これは、タンクの材料への攻撃を最小限度に抑え、例えばタンクの付属部品からの白金の溶解による、黄色化を防ぐ。
【0072】
本発明のガラスは、BaOを含んでいてもよい。BaOの含有量は、57.8
質量%以下、さらに好ましくは、42
質量%以下、特に好ましくは、30
質量%以下、さらに好ましくは、12.8
質量%以下であるべきである。本発明の別の好ましい態様において、ガラスは、35
質量%まで、さらに好ましくは34
質量%まで、より好ましくは33
質量%まで、特に好ましくは32
質量%までを含む。好ましい態様において、この成分の含有量は、少なくとも0.5
質量%、好ましくは、少なくとも0.8
質量%、さらに好ましくは、少なくとも9
質量%である。ある好ましい態様は、少なくとも5
質量%、さらに好ましくは、少なくとも7
質量%、より好ましくは、少なくとも9
質量%、特に好ましくは、少なくとも11
質量%のBaOを含む。
【0073】
ZnOと同様に、BaOは、ガラスの屈折率を増加させ、アルカリ酸化物と同様に、その高い塩基性のせいで、SiO
2およびZrO
2のような酸性成分の溶解に寄与する。しかし、BaOの結晶化への傾向は、ZnOのそれより大きく、このため、BaOは、より少量でのみ用いられるべきである。純度および自己吸収の理由で、ZnOもまた好ましい。
したがって、特定の態様において、本発明のガラスは、9.2
質量%までのBaOを含むにすぎない。
【0074】
さらに、高周波設備における本発明のガラスの加工性のために、ZnOを含む態様において、BaO対ZnOの質量比を、好ましくは、少なくとも0.01、さらに好ましくは、少なくとも0.2、より好ましくは、少なくとも0.3、特に好ましくは、少なくとも0.5に調整することが、有利であることが分かった。これに関して、質量比は、好ましくは、22、さらに好ましくは3、特に好ましくは2.5の値を超えるべきではない。
【0075】
BaOは、完全に、または部分的に、SrOによって置換されていてもよい。SrOは、0〜24.4
質量%、好ましくは9
質量%まで、特に好ましくは8
質量%まで、殊に好ましくは6
質量%まで、さらに好ましくは4
質量%までの量で含められてもよい。しかし、この手段により、多くのガラスにおいて、明確な如何なる利点も実現されず、SrOは、BaOと同じ程度には、屈折率を増加させない。したがって、好ましい態様において、それは、1
質量%まで、さらに好ましくは0.8
質量%まで、特に好ましくは0.5
質量%までで用いられ、さらに好ましくは、全く使用されない。
【0076】
また、CaOおよび/またはMgOが、BaOの一部に置換されてもよいが、それらは、屈折率、耐酸性および不純物に関して、一層たやすく、悪影響を示すので、好ましくは、それらは、用いられない。
【0077】
ある態様において、好ましくは、MgOは、0〜8
質量%、さらに好ましくは、0
質量%〜6
質量%、より一層好ましくは、0
質量%〜3
質量%の含有量で含まれる。CaOは、8
質量%まで、好ましくは、6
質量%または3
質量%までにすぎない、さらに好ましくは、2
質量%または1
質量%までにすぎない量で存在してもよい。特に好ましくは、本発明によるガラスは、CaO、MgO、BaOおよびSrOからなる群から選択される少なくとも1種以上のアルカリ土類酸化物を含まない。特に好ましくは、本発明によるガラスは、MgOを含まないが、その理由は、それが、他のアルカリ土類酸化物に比べて一層大きなそのイオン移動性のせいで、クラッドガラスとの望ましくない反応を生じる傾向を示し、これが、やはり、透過に悪影響を及ぼし得るためである。
【0078】
ガラスの良好な特性を保つために、アルカリ土類酸化物の合計は、好ましくは、42
質量%、好ましくは35
質量%の値を超えるべきではない。好ましい態様において、アルカリ土類(RO)含有量とZnOの合計は、18
質量%〜55
質量%、特に好ましくは20
質量%〜53
質量%、さらに好ましくは21
質量%〜52
質量%である。これらの成分のさらに好ましい含有量範囲は、33〜48
質量%、33〜46
質量%、34〜45
質量%、および35〜44
質量%である。
【0079】
アルカリ土類酸化物に関して、要約すると、どのアルカリ土類酸化物が、どの量で用いられるべきかは、ガラスの残りの成分に応じて決まると言える。
【0080】
ベースのガラス系は、これまでに挙げられた成分によって明確に規定される。しかし、高い屈折率と同時に良好な化学的耐性および結晶化への低い傾向を実現するために、多くの場合、これらの成分は十分でなく、さらなる補助酸化物が用いられなければならない。
この場合、特に、La
2O
3、ZrO
2および/またはHfO
2が好ましい。また、Ta
2O
5も、本発明に従って、添加され得る。
【0081】
好ましくは、本発明によるガラスは、La
2O
3を含む。この成分は、ガラスの屈折率を強力に増加させる。好ましくは、それは、0〜16.5
質量%、好ましくは、1.6
質量%〜14.5
質量%、さらに好ましくは、4
質量%〜12
質量%の割合で用いられる。好ましい態様において、この成分の含有量は、少なくとも5
質量%、さらに好ましくは、少なくとも9
質量%、より好ましくは、少なくとも10
質量%または少なくとも12
質量%、より一層好ましくは、少なくとも13
質量%または少なくとも14
質量%である。La
2O
3が少量で用いられる場合、達成される屈折率増加は、識別できにくい。この成分が、多すぎる量で用いられた場合、結晶化への傾向は、大きく増大し、その結果、そのガラスは、全てのタイプのファイバーに対して、もはや使用できない。さらに、La
2O
3は、SiO
2含有耐火材料に関して、極度に攻撃的である。この理由で、本発明によるLa
2O
3の含有量は、好ましくは、25
質量%以下、さらに好ましくは、24
質量%以下、または23
質量%以下、特に好ましくは、21
質量%以下に限定される。
【0082】
La
2O
3は、当量のLu
2O
3によって置き換えられてもよい。しかし、この酸化物は、ずっと多くの不純物を含むので、通常、それは含まれない。好ましくは、本発明のガラスは、Sc
2O
3を含まない。さらに、好ましくは、本発明のガラスは、Gd
2O
3を含まないが、その理由は、この成分が、580nmに弱いバンドを示すためである。
【0083】
高い屈折率の調整と良好な化学的耐性の実現とのために非常に助けとなる2つの成分は、ZrO
2およびHfO
2である。0.01
質量%または0.02
質量%のHfO
2の最小含有量が好ましいが、その理由は、HfO
2は、少量でもすでにガラスの結晶化への傾向を妨害するためである。高い屈折率を実現するために、ZrO
2とHfO
2の合計で1.4
質量%の最小含有量が好ましい。好ましくは、ZrO
2の含有量は、0.1
質量%〜10
質量%であり、HfO
2の含有量は、0.03
質量%〜14.2
質量%であり、ここで、さらに好ましいのは、1
質量%〜6.9
質量%、より好ましくは、2.1
質量%〜6
質量%のZrO
2含有量であり、特に好ましくは、0.04
質量%〜3
質量%、特に、0.05
質量%〜1
質量%のHfO
2含有量である。特に好ましい態様において、ZrO
2の含有量は、少なくとも0.05
質量%、または少なくとも1
質量%、好ましくは、少なくとも3
質量%であり;ZrO
2の含有量は、好ましくは8または6
質量%を超えるべきではない。ここで、HfO
2の僅かな好ましい最小含有量にもかかわらず、すでに結晶化傾向に、よい効果が見られることは驚くべきである。しかし、今のところ、HfO
2の価格および純度は、ZrO
2に比べて、依然として、競合できるものではない。この理由で、HfO
2の含有量は、2
質量%、特に1.5
質量%の値を超えるべきではない。
【0084】
本発明によるガラスは、7.5
質量%までのGeO
2を含んでいてもよい。GeO
2は、良好なガラス生成物質であり、特に、IR領域の透過および/または減衰の分野において要求が厳しい場合に、利点がある。好ましくは、それは、本発明のガラスに、4
質量%まで、さらに好ましくは3
質量%までの量で含まれる。好ましくは、本発明のガラスは、GeO
2を含まない。また、Ga
2O
3も良好なガラス生成物質であり、本発明のガラスに、5
質量%まで、好ましくは4
質量%まで、特に好ましくは、3
質量%までで含まれ得る。
しかし、別の態様は、Ga
2O
3を含まない。
【0085】
さらに、本発明によるガラスは、22
質量%まで、好ましくは10
質量%まで、さらに好ましくは9
質量%まで、特に好ましくは8
質量%まで、より好ましくは5
質量%まで、または4
質量%までのTa
2O
5を含んでいてもよく、ここで、最小含有量は、好ましくは、少なくとも0.3
質量%、または少なくとも0.5
質量%である。この酸化物は、光学的特性の調整に使用され得る。他の高屈折率酸化物(ZrO
2、La
2O
3、HfO
2)との相互影響において、屈折率の増加が、酸化物ZrO
2、La
2O
3、およびHfO
2の使用によって、より良く達成されないかどうかが、正確に考慮されなければならない。
【0086】
また、La
2O
3の代わりとして、Y
2O
3が使用されてもよい。好ましくは、本発明のガラスは、0〜20
質量%のY
2O
3を含む。しかし、やはり経済的理由のせいで、好ましくは、本発明のガラスはY
2O
3を含まない。好ましくは、Ta
2O
5とY
2O
3を合わせた含有量は、本発明に従う光学的特性の調整のために、30
質量%以下である。
【0087】
好ましくは、本発明によるガラスにおけるフッ素および/またはフッ化物の含有量は、0
質量%〜3
質量%、さらに好ましくは、0
質量%〜2
質量%である。好ましくは、本発明のガラスはこの成分を含まない。
【0088】
PbOは、本発明によるガラスに含まれていてもよいが、30
質量%以下、さらに好ましくは、20
質量%以下の量で含まれるにすぎない。好ましくは、PbOは、少なくとも0.01
質量%、さらに好ましくは、少なくとも0.1
質量%の量で用いられる。この成分は、ソラリゼーションに対してガラスを保護する。Pbは、健康に有害であり得るので、特に好ましくは、本発明によるガラスは、PbOを含まない。本発明による多くのガラスが、PbOを用いないで、優れた耐ソラリゼーション性を実現することは、注目に値する。
【0089】
P
2O
5が、本発明のガラスに含まれていてもよい。それは粘度を低下させる。しかし、結晶化に対する安定性および抵抗が低下し得るので、P
2O
5の含有量は、好ましくは、6
質量%まで、さらに好ましくは4
質量%までに限定される。さらに、P
2O
5は、ソラリゼーションへの傾向を強める成分である。特に好ましくは、本発明によるガラスは、強く発熱性のバッチ反応、望ましくない結晶化生成物の生成、およびソラリゼーションへの傾向の危険のためにもまた、P
2O
5を含まない。
【0090】
Cr
2O
3、NiO、CuO、CoO、Fe
2O
3、およびさらなる着色元素のような着色不純物の含有量は、できるだけ少なくするべきである。それゆえに、10ppm、好ましくは5ppm、さらに好ましくは3ppm、より好ましくは2ppm、特に好ましくは0.5ppmの上限が、超えられるべきではない。
【0091】
好ましくは、本発明によるガラスは、Biの酸化物を含まないが、その理由は、それらが、近UV領域における自己吸収のために、ガラスの黄色化を引き起こすためである。さらに、Bi
2O
3は、高温でBi
0に容易に還元され、これは、灰色の曇りを生じる。
【0092】
さらに、本発明によるガラスは、好ましくは、白金を含まない。好ましくは、Ag
2O、Au
2O
3およびTl
2Oもまた、本発明によるガラスに含まれない。
【0093】
技術的理由のせいで、本発明のガラスは、MnOを少量含み得る。MnOは、それが少量で用いられた時、色度シフトを改善する。多すぎる量では、MnOは、ソラリゼーションを生じ、照射後に、Mn
3+への光酸化により、550nmにバンドを生じる。したがって、この成分の含有量は、500ppb以下、好ましくは、<250ppb、さらに好ましくは、<150ppbである。特に好ましくは、本発明によるガラスは、MnOを含まない。
【0094】
本発明によるガラスから製造されるファイバーには、2つの用途が知られている。一方では、全スペクトル領域に渡る、できるだけ小さい減衰が望まれる。この場合、できるだけ小さい色温度シフトが求められる。これは、できるだけ多くの量の光が透過させられるべきである場合に、意味がある。他方では、対象が、昼光に類似の光で照明されるべきである場合に、できるだけ中立的な色温度が求められる。これは、高い色温度、および照射の場合に、負の色温度シフトに帰着する。
【0095】
元素のマンガンは、Mn
2+およびMn
3+の酸化状態で、ガラス中に存在する。酸化状態Mn
2+は、ほぼ無色であり、減衰スペクトルに如何なるバンドも生じない。酸化状態Mn
3+は、約550nmに広い吸収を示し、このため、赤みを帯びた色の印象が生じる。しかし、Fe
2+およびFe
3+のバンドが一緒になり、色合いには何の変化も生じない。約1700℃の高い清澄温度で、マンガンは、ほとんど専ら(>99%)、酸化状態Mn
2+で存在する。酸素による酸化、または強いUV光の照射により、Mn
2+は、Mn
3+に変換され得る。
【0096】
前記の反応は、避けることができないので、できるだけ小さい減衰のために、ガラスが、容易に評価できる量のマンガンを含むことが防がれなければならない。したがって、この用途では、<200ppb、好ましくは、<100ppb、特に好ましくは、<50ppbのマンガンの含有量が、固持されるべきである。本発明によるガラスにおけるMnOの含有量は、好ましくは、<200ppbである。
【0097】
高い色中立性を有するファイバーを得るために、200〜500ppbの量のマンガンを添加することが有用であり得る。本発明によるガラスにおける、200〜500ppbのMnO含有量は、高い色中立性を有するファイバーを得るために、好ましい。色中心Mn
3+の活性化は、UV光による一時的な照射により、達成され得る。
【0098】
マンガンによるドーピングは、酸化マンガンを不純物として含む適切に選択される原材料により、別個の成分としてのMnOの添加により、または、マンガンを合金に含む溶融設備の構造要素により、実現され得る。好ましくは、マンガンの放出は、特定の限界内での、構造要素の温度スキームを通じて、制御され得る。
【0099】
500ppbを超えるマンガン含有量を有するガラスの照射の前に、550nmでの減衰値は、<300dB/kmである。数時間の照射の後、約550nmのバンドは、>300dB/kmに高まる。例示として、
図5は、この効果を一層明瞭に際立たせるために、500ppbよりずっと多いマンガン含有量を有するガラスを示す。
図5は、1.5ppmのマンガンを含む、例11のガラスの減衰スペクトルを示し、スペクトルは、3時間後にすでに、550nmで300dB/kmを超える減衰値を示す。
【0100】
好ましくは、本発明のガラスは、AsおよびSbを含まないが、その理由は、これらの成分が、毒性に関して疑問があり、このため、多くの場合に、受け入れられないためである。さらに、これらの2つの成分は、ソラリゼーションを引き起こす。耐ソラリゼーション性を有するガラスが、これらの成分を用いないで製造できることが、本発明の本質的な利点である。
【0101】
さらに、好ましくは、本発明のガラスは、Nbおよび/またはTiを含まないが、その理由は、これらの成分が、実際に、ソラリゼーションに関して、ある程度、安定性を増大させるが、同時に、また、短波長領域における減衰を増加させるためである。UV領域における自己吸収は、ガラスの望ましくない黄色化を生じる。Ceは、これに関して、Tiに似た挙動を示すので、本発明のガラスが、この成分を含まないこともまた好ましい。ソラリゼーション安定剤Ti、CeおよびPbを含めないことが可能であるにもかかわらず、高い耐ソラリゼーション性が実現されることが、本発明の利点である。好ましくは、本発明によるガラスは、この説明において挙げられていない成分を含まない。特に、Nb
2O
5の場合、今のところ、利用可能な純度は満足すべきものではないこと、および、クラッドガラスの一部との望ましくない界面効果(これは、減衰の増加を生じ得る)もまた誘発されることが、考慮されなければならない。この理由で、好ましくは、本発明のガラスは、Nb
2O
5を含まない。
【0102】
本発明の好ましいガラスは、
重量パーセントで、次の組成を有する。
【表B】
【0103】
特に好ましい本発明のガラスは、
重量パーセントで、次の組成を有する。
【表C】
【0104】
別の特に好ましい本発明のガラスは、
重量パーセントで、次の組成を有する。
【表D】
【0105】
別の特に好ましい本発明のガラスは、
重量パーセントで、次の組成を有する。
【表E】
【0106】
重量パーセントで次の組成を有するガラスは、本発明によれば、特に好ましい。
【表F】
【0107】
別の特に好ましい本発明のガラスは、
重量パーセントで、次の組成を有する。
【表G】
【0108】
さらなる好ましい態様において、本発明によるガラスは、
重量パーセントで、次の組成を有する。
【表H】
【0109】
ここで、R
2Oは、全てのアルカリ金属酸化物の含有量の合計である。
【0110】
次の成分の1つ以上が含まれていてもよい:Cs
2O、Rb
2O、MgO、CaO、SrO、Gd
2O
3、Lu
2O
3、Sc
2O
3、Y
2O
3、In
2O
3、Ga
2O
3、およびWO
3。
【0111】
次の成分:TiO
2、CeO
2、Nb
2O
5、MoO
3、Bi
2O
3、PbO、CdO、Tl
2O、As
2O
3、Sb
2O
3、SO
3、SeO
2、TeO
2、BeO、放射性元素、および着色成分は、そうではないと文中に記載されていない限りにおいて、ガラスに含まれるべきではないか、または、避けることのできない、原材料の不純物である濃度でのみ、含まれるべきである。特に、TiO
2は、含まれるべきではないが、その理由は、この成分が、UV領域におけるかなりの吸収を引き起こし得るためである。好ましい態様において、成分WO
3もまた、含まれない。
【0112】
成分TiO
2、CeO
2、Nb
2O
5および/またはBi
2O
3は、本発明によるガラスに、0.5
質量%以下、好ましくは0.3
質量%まで、特に好ましくは0.2
質量%まで、含めることができる。好ましい態様において、本発明のガラスは、これらの成分を含まない。
【0113】
好ましくは、本発明によるガラスは、光学的活性成分、特に、Sm
2O
3、Nd
2O
3、Dy
2O
3、Pr
2O
3、Eu
2O
3、Yb
2O
3、Tb
2O
3、Er
2O
3、Tm
2O
3、および/またはHo
2O
3を含まない。CeO
2は、ソラリゼーションに対して安定化するために使用され得る。しかし、CeO
2は、UV領域において吸収し、そのため、本発明による好ましいガラスは、CeO
2を含まない。
【0114】
アルカリ土類金属酸化物成分であるLa
2O
3、Ta
2O
5、ZrO
2、およびHfO
2を合わせた含有量は、特に1.65を超える屈折率を有するガラスでは、好ましくは、少なくとも40
質量%、さらに好ましくは、少なくとも42
質量%、より好ましくは、少なくとも50
質量%、特に好ましくは、少なくとも55
質量%になる。これらの成分の含有量が少なすぎると、通常、好ましい屈折率を得ることができない。配合に対する条件として、この合計は、72
質量%の値を超えるべきではない。
【0115】
本発明のガラスは、さらに、フッ素および/またはフッ化物ならびに/あるいは塩素および/または塩化物を含み得る。フッ化物の含有量は、好ましくは、0.6
質量%まで、さらに好ましくは0.55
質量%までの量である。塩化物は、本発明のガラスに、0.2
質量%以下、好ましくは0.15
質量%までの量で含まれ得る。本発明のガラスの特定の態様は、フッ素および/またはフッ化物ならびに/あるいは塩素および/または塩化物を含まない。好ましくは、本発明のガラスは、光ファイバーにおけるコアガラスである。このコアガラスに適するクラッドガラスは、下に記載される。本発明のガラスは、次に記載される方法により、得ることができる。
【0116】
本発明は、また、溶融部、清澄部および調質部を有する溶融デバイスにおける、本発明によるガラスの製造方法にも関し、この方法は、
− 溶融部において混合物を溶融する工程、
− 溶融物を、清澄部において清澄する工程、
− 清澄工程の後、溶融物を、調質部において酸化ガスでバブリングする工程、を含む。
【0117】
バブリング工程の間、好ましくは、ガラスは、10
0.9〜10
2.2dPasの粘度範囲に保たれる。
【0118】
本発明による方法において、好ましくは、清澄工程は、少なくとも1600℃、さらに好ましくは、少なくとも1650℃、特に好ましくは、少なくとも1700℃の温度で実施される。これら温度は、清澄剤SnO
2が十分な効果を発揮できるために必要である。
しかし、高すぎる温度は、より大きな値のFe
2+/Fe
3+の比−したがって、より大きな割合の還元型を生じる。この効果は、清澄温度の値が、好ましくは2000℃、さらに好ましくは1900℃、特に好ましくは1800℃を超えないという対策により、軽減されるであろう。
【0119】
清澄工程の後のバブリング工程という手法は、ガラス溶融所の専門家の知識と相いれず、それによれば、清澄プロセスの後、ガスが、溶融物に導入されることは許されない;というのは、清澄工程の理由は、ガラスからの泡の除去であるからである。したがって、今日まで、清澄の後のバブリングは、望ましくない結果を生むと想定されてきた。今や、適切なプロセス管理により、製品の用途は、ガラスの泡に関する品質が低下させられ得る個々の場合においてさえ、危うくされないことが示された。それによって、ソラリゼーションおよび減衰に関して優れた特性を有するガラスを得ることができる。前には、光ファイバー用途のガラスは、ヒ素またはアンチモンを用い、清澄されなければならなかった。本発明による技法は、これらのガラスで、スズによる清澄もまた可能にする。
【0120】
製造方法が、バブリング工程なしで実施される場合、個々のガラスは、ガラス中のスズの全量に対する割合で、>5%〜<20%のSn
2+の割合を有する。バブリング工程により、本発明に従う1050nmでの減衰、および、スズの全量に対して、<5%のSn
2+の含有量が得られる。望まれる用途に応じて、減衰は、この様にして変更できる。
【0121】
さらに、バブリング工程は、ガラスから水を除去する。水は、Fe
2+のように、近IRに吸収がある。好ましくは、このバンドは、乾燥ガスを用いるバブリング工程により、最小限度に抑えられ得る。
【0122】
さらに、バブリング工程は、結果として、ガラスにおける散乱点をより少なくする、ガラスのさらなる均質化を生じ、こうして、透過および減衰にそれぞれよい影響を及ぼす。
したがって、これは結果として、700dB/kmのような大きさだけ、全IR波長領域における本発明によるガラスの減衰を減少させ、これは特に、光ファイバーの長さが長い用途で利点がある。
【0123】
本発明によれば、バブリング工程は、高すぎる温度で実施されるべきではない。それゆえに、好ましくは、本発明によれば、バブリング工程は、1550℃未満、好ましくは1500℃未満、より好ましくは1480℃未満、さらに好ましくは1450℃未満、より一層好ましくは1400℃未満、特に好ましくは1350℃未満の温度で実施される。高すぎる温度では、バブリングの目的が達成されないことがあり得るが、その理由は、多価イオン、特に鉄が、再び還元されるためである。しかし、バブリング工程の理由は、まさに、この現象に反する。温度の低下により、粘度は上昇する。したがって、好ましくは、バブリング工程の間の温度は、1000℃、好ましくは1200℃、さらに好ましくは1250℃の値より下になるべきではない。バブリングプロセスの間の溶融物の粘度を管理することは重要である。バブリングプロセスの間、溶融物は、好ましくは、少なくとも10
0.8dPasで、好ましくは、10
2.2dPas以下の粘度を有する。粘度が低すぎると、泡の生成が起こり得る。
【0124】
好ましくは、酸化ガスが、石英管または底部バブリングにより、溶融物に導入される。
【0125】
ガラス混合物は、高周波加熱の助けにより溶融され得る。しかし、好ましくは、電極および/またはバーナー加熱デバイスを有する強制冷却セラミックタンクにおいて、混合物を溶融することもまた可能である。しかし、好ましくは、清澄容器は、高周波で加熱される。調質容器は、好ましくは、電気抵抗加熱により運転される。
【0126】
本発明によれば、好ましくは、「高周波加熱」は、加熱される混合物が、交番電磁場の誘導カップリングによって加熱される方法を意味する。好ましくは、交番電磁場は、少なくとも50kHz、さらに好ましくは、少なくとも100kHzの周波数を有する。好ましくは、周波数は、5MHz以下、さらに好ましくは、3MHz以下、特に好ましくは、1MHz以下である。
【0127】
電磁場は、好ましくは予熱された、電気伝導性ガラス溶融物に、交流を生じ、これにより、結果として、ジュール熱のため、溶融物の直接加熱が起こる。好ましくは、ガラス溶融物は、≧1200℃で、0.1Ω
-1cm
-1より大きな電気伝導度を有するべきである。
本発明による組成範囲を考慮して得られるガラス溶融物は、このような伝導度を示す。
【0128】
このプロセスにより、エネルギーの導入は、溶融物において直接行われるので、溶融容器を外側から冷却することが可能である、これは、特に、自由放射、空気冷却または水冷却によって実行され得る。
【0129】
溶融容器の壁−好ましくは金属の−は、好ましくは、高周波放射が、それを通して浸透できるように、スリットを有する。壁部分における好ましい水冷却により、種によって異なる材料のスカル外皮が形成され、それに溶融物が取り囲まれる。そのため、3000℃までの溶融温度が実現可能である。ルツボの壁に形成される外皮は、溶融物とルツボ材料の接触を防ぐ。そのため、ルツボの材料移動とルツボからの材料取込みが、未然に回避される。
【0130】
スカル生成ルツボの使用により、溶融物内に突き出る電極の通常の使用を、やめることができ、その結果、電極材料により起こる得る不純物が防がれる。
【0131】
好ましくは、清澄容器は、冷媒−冷却式側壁および底部からなる。それらは、また、好ましくは、金属または金属合金からなる。着色を生じない合金/金属の場合、それがコーティングされてないということがあり得る。好ましい態様は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる容器壁を含む。しかし、さらなる態様は、また、ニッケル系合金、銅、黄銅、貴金属(例えば、Pt金属)またはステンレス鋼、およびこれらの混合物の容器でもあり、全ての場合において、これらは着色イオンによる溶融物の汚染を避けるために、コーティングされていなければならない。
【0132】
コーティングは、フッ素含有プラスチック、例えば、テフロン(登録商標)、または、他の材料/酸化物、例えば、Al
2O
3、MgO、ZrO
2、Y
2O
3からなっていてよく、これらは、容器の金属壁からのイオンの移動を、確実に防止する。好ましくは、運転の間、溶融物は、高周波交番電磁場により誘導加熱される。電極による伝導性電気加熱もまた可能であるが、許容される溶融温度の最大値での電気伝導度が、溶融物の直接高周波加熱に十分でない場合に、用いられるだけである。電気式、または化石燃料で稼働するバーナーの形の、代わりとなる放射ヒーターによる加熱もまた、可能である。ルツボ内容物と交番電磁場とのカップリングの初期プロセスでは、好ましくは、化石燃料で稼働するバーナーの形の、このような追加の加熱が用いられる。
【0133】
溶融容器は、強制冷却を有するスカル生成ルツボ、または、好ましくは強制冷却を備える、セラミックタンクである。
【0134】
コアガラスとして本発明によるガラスを含み、クラッドガラスによる覆われる、光ファイバーも、また、本発明に従う。この光ファイバーは、好ましくは、ステップインデックス型ファイバーである。ファイバーの十分な安定性を保証するために、コアガラスは、用いられるクラッドガラスのそれを、少なくとも1.5〜2.6×10
-6K
-1超える熱膨張係数α
(20/300℃)を示すべきである。
【0135】
クラッドガラスの屈折率は、光がコアとクラッドガラスの間の界面で反射されるように、コアガラスのそれより小さい。好ましくは、コアガラスの屈折率は、1.55〜1.75、特に、少なくとも1.65である。特に好ましい態様において、屈折率は、1.69〜1.74、特に好ましくは1.70〜1.725である。好ましくは、クラッドガラスの屈折率は、1.48〜1.52である。
【0136】
本発明によるガラスのアッベ数ν
dは、42〜60、好ましくは43〜52、さらに好ましくは44〜51、特に好ましくは45〜50の範囲にある。
【0137】
光ファイバーとして本発明によるガラスと共に用いられるのに適するクラッドガラスは、好ましくは、>60
質量%、さらに好ましくは、>65
質量%、特に好ましくは、少なくとも69
質量%のSiO
2含有量を有する。好ましくは、SiO
2含有量は、75
質量%以下、特に好ましくは73
質量%までである。クラッドガラスは、光ファイバーにおいて、本発明によるガラスを取り囲む。本発明によるガラスは、いわゆるコアガラスを形作る。したがって、明確な傾向として、クラッドガラスは、コアガラスより強く、環境からの影響を受ける。高いSiO
2含有量は、より良好な化学的耐性を付与する。こうして、好ましくは、クラッドガラスにおけるこの成分の含有量は、コアガラスのそれより大きい。
【0138】
さらに、クラッドガラスは、少なくとも5.5
質量%のアルカリ酸化物を含む。さらに好ましくは、クラッドガラスのアルカリ酸化物含有量は、少なくとも7
質量%、特に好ましくは、少なくとも8
質量%である。この場合、好ましくは、アルカリ酸化物には、Na
2O、K
2O、Li
2Oが含まれる。
【0139】
好ましくは、Na
2Oの含有量は、少なくとも0.5
質量%、さらに好ましくは、少なくとも2
質量%である。クラッドガラスの特定の態様において、少なくとも6
質量%のNa
2Oが、クラッドガラスに含まれる。好ましくは、Na
2Oの含有量は、15.5
質量%以下、さらに好ましくは、15
質量%以下である。
【0140】
好ましくは、Li
2Oは、ガラスに、0.7
質量%まで、さらに好ましくは、0.6
質量%までの割合で存在する。好ましい態様において、ガラスは、Li
2Oを含まない。
【0141】
好ましくは、クラッドガラスのK
2O含有量は、少なくとも2
質量%、さらに好ましくは、少なくとも2.5
質量%である。K
2Oの含有量は、8
質量%以下、好ましくは7.5
質量%までである。好ましい態様において、ガラスはK
2Oを含まない。好ましいクラッドガラスは、Na
2OおよびK
2Oの外には、さらなるアルカリ酸化物を含まない。
【0142】
さらに、本発明によるクラッドガラスは、CaO、MgO、BaOおよびZnO、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも0.5
質量%の酸化物を含む。さらに好ましくは、これらの酸化物の全含有量は、少なくとも0.6
質量%である。好ましくは、このような酸化物の全含有量は、12
質量%以下、好ましくは、11
質量%以下、さらに好ましくは、5
質量%以下、特に好ましくは、2.5
質量%以下である。好ましくは、クラッドガラスは、CaO、MgO、BaOおよびZnOからなる群から選択されるちょうど2種の酸化物を含む。特に好ましくは、クラッドガラスは、CaO、MgO、BaOおよびZnOからなる群から選択される1種の酸化物だけを含む。
【0143】
さらに、本発明に従うクラッドガラスは、Al
2O
3を、少なくとも0.5
質量%、好ましくは1
質量%の含有量で含み、さらに好ましくは、少なくとも2
質量%のAl
2O
3が、ガラスに含まれる。しかし、クラッドガラスは、7.5
質量%以下、好ましくは7
質量%まで、さらに好ましくは、3
質量%以下、より一層好ましくは1
質量%のAl
2O
3を含む。
【0144】
さらに、クラッドガラスは、B
2O
3を含んでいてもよく、少なくとも9
質量%、好ましくは、少なくとも9.5
質量%のB
2O
3が、クラッドガラスに含まれる。特に好ましくは、クラッドガラスは、19
質量%以下、特に好ましくは18.5
質量%までのB
2O
3を含む。
【0145】
好ましい態様において、クラッドガラスは、コアガラスより大きい、成分B
2O
3およびAl
2O
3を合わせた含有量を有する。
【0146】
好ましくは、クラッドガラスにおけるSiO
2の含有量は、コアガラスにおけるSiO
2含有量より大きい。さらに、好ましくは、クラッドガラスにおけるLa
2O
3の含有量は、コアガラスにおけるそれよりずっと小さい。コアにおけるSiO
2の大きすぎる割合は、La
2O
3により調整される比較的高い屈折率の調整を、もはや許さない。さらに、好ましくは、クラッドガラスにおけるZnOの含有量は、コアガラスにおけるそれよりずっと小さい。その理由は、好ましくは、コアガラスの粘度は、クラッドガラスのそれより小さいためである。これは、ファイバーの引張り特性を向上させる。好ましい態様において、クラッドガラスにおけるZnOとBaOの含有量の合計は、コアガラスにおけるこの合計より小さい。
【0147】
クラッドガラスは、ZrO
2を含んでいてもよく、好ましくは、0.04
質量%以下、さらに好ましくは0.03
質量%までのZrO
2が、クラッドガラスに存在する。
【0148】
As
2O
3は、ガラスに、0.05
質量%まで、好ましくは0.01
質量%までの含有量で含まれていてもよい。酸化ヒ素は、ソラリゼーションの原因である。クラッドガラスでは、本発明によるコアガラス程には、良好な減衰は重要でない。それにもかかわらず、ヒ素は毒性があり、このため、避けられるべきであるという理由で、特に好ましくは、クラッドガラスはAs
2O
3を含まない。同じことは、Sb
2O
3にも言える。
【0149】
さらに、クラッドガラスは、フッ素および/またはフッ化物ならびに/あるいは塩素および/または塩化物を含み得る。好ましくは、フッ化物の含有量は、0.6
質量%まで、さらに好ましくは、0.55
質量%までである。塩化物は、ガラスに、0.2以下、好ましくは0.15
質量%までの含有量で含まれ得る。クラッドガラスの特定の態様は、フッ素および/またはフッ化物ならびに/あるいは塩素および/または塩化物を含まない。
【0150】
次の表は、本発明によるガラスと一緒に使用され得る、クラッドガラスのいくつかの好ましい組成を示す。クラッドガラスは(酸化物ベースでの
重量パーセントで)以下を含む。
【表I】
【0151】
当業者は、当技術分野における彼の知識により、さらに別のクラッドガラスを用いることができる。しかし、必要な物理的特徴が実在する場合でさえ、クラッドガラスが、全ての場合におけるコアガラスと本当に調和し、また結果として良好なステップインデックス型ファイバーとなるかどうかは、確実には予測できない。したがって、それぞれの個々の場合に、使用に際してのその適合性について、意図するクラッドガラス−コアガラスのマッチングを実験的に試験することが勧められる。
【0152】
[実施例]
本発明によるガラスの製造のために、避けられない不純物にかかわりなく、通常の原材料による組成物を、高周波加熱スカル生成ルツボに入れ、1500〜1580℃で3時間に渡って溶融した。溶融物を1550〜1630℃の温度に加熱し、次に、45分間、清澄した。次に、温度を、1540℃に下げ、バブリングを、酸素を用いて、30分間、実施した。次いで、温度を、15〜20分間かけて、1450℃に下げ、ガラスをキャストした。660℃から先では、ガラスブロックの冷却は、それが周囲温度に達するまで、10K/hの速度で行った。
【0153】
結果は表1に要約されている。光学ガラス/コアガラスの組成の詳細は、酸化物ベースでの重量パーセントで示され、分析された。さらに、n
dは屈折率、ν
dはアッベ数、PgFは波長gとFでの相対部分分散、α
20/300はISO 7991による20℃〜300℃の範囲の線熱膨張係数、TgはISO 7884によるガラス転移温度、ρはアルキメデスの原理に相当する浮力浮揚法による密度、CRはISO/WD 13384による耐候性、FRはSCHOTT法による耐汚染性、また、ARはISO/DIN 10629による耐アルカリ性を意味する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0154】
表2に、2種のクラッドガラスが、それらの個々の組成と共に、列挙されている(分析により、酸化物ベースでの重量パーセントで)。さらに、n
dは屈折率、α
20/300はISO 7991による20℃〜300℃の範囲の線熱膨張係数、EWは10
7.6dPasの粘度への軟化温度、SはISO 12116による耐酸性、LはDIN ISO 695による耐塩基性を意味する。
【表2】
【0155】
本発明によるガラスは、光ファイバーのコアグラスとして特に適しているので、表1からコアガラスを選択し、表2から選択されるクラッドガラスと一緒に、30、50および70μmの直径を有する光ファイバーを製造し、表3に示されている、それらの物理的データを求めた。
【0156】
ファイバーの製造は、先行技術に従って、円筒形オーブンを有する通常のロッド−パイプ線引き機で、確立されたロッド−パイプ線引き法に従って行った。ファイバーの減衰は、DIN 58141 part 1に従って求めた。OWは、開口角であり、DIN 5814−3に従って求め、ΔOWは、平均で50μmの径のファイバーにおける、長さ1mと長さ3.8mの開口角の差である。
【0157】
ファイバーの一定距離を通過した後で、ファイバーから放出される光の色温度[K]を、標準光D65(色温度6504K)の照射後に、求めた。結果は表3に列挙されている。異なる光の波長での減衰は、dBkm
-1で示し、開口角、さらには開口角の差は、角度で示した。
【表3-1】
【表3-2】
【0158】
次の表4は、例8のガラスの様々な変形形態で、本発明による手段の効果を示す。
【表4】
【0159】
異なる減衰が、一方では、異なる清澄温度から、他方では、原材料が、異なる製造業者から購入されたという事実から、生じる。全ての手段から、バグリングプロセスが減衰に最も強い効果を有することが分かる。
【表5】
【0160】
例7のガラスでもまた、バブリングと減衰の間の明白な関係が示された。
【0161】
次の表6は、試料におけるSn
2+の含有量と、一方では清澄温度との、他方ではバブリングとの間の関係を示す(
質量%での量)。
【表6】
【0162】
高温で、スズの、より大きな部分が還元型で存在することが分かる。SnO
2が清澄剤として働くためには、他方において、非常に高い温度が必要である。表は、清澄工程の後の、本発明によるバブリングの場合、Sn
2+の含有量は低下する。バブリングプロセスの影響は、特に明白である。Sn
2+対スズの全含有量の比は、Fe
2+対鉄の全含有量の比と同じ程度である。
【0163】
求められる値は、大きな測定誤差を伴う。したがって、本発明によるガラスは、減衰(dB/km)によって特徴付けられる。次の例は、ガラスにおけるFe
2+含有量の低下が、減衰に良好な強い影響を有することを示す。これは、SnO
2による清澄プロセスを許す比較的低い清澄温度によって、ガラスを酸化し、均質化し、散乱点を減らす、追加のO
2バブリングによって、また非常に純粋な原材料の使用によって、促進される。