特許第6935268号(P6935268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6935268多層プリント配線板の製造方法、および多層プリント配線板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6935268
(24)【登録日】2021年8月27日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】多層プリント配線板の製造方法、および多層プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20210906BHJP
【FI】
   H05K3/46 B
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-154499(P2017-154499)
(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公開番号】特開2019-33223(P2019-33223A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】高 野 祥 司
(72)【発明者】
【氏名】成 澤 嘉 彦
(72)【発明者】
【氏名】松 田 文 彦
(72)【発明者】
【氏名】重 岡 赳 志
【審査官】 三森 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−071749(JP,A)
【文献】 特開2002−185102(JP,A)
【文献】 特開2011−171658(JP,A)
【文献】 特開2011−228348(JP,A)
【文献】 特開2013−149904(JP,A)
【文献】 特開2006−237088(JP,A)
【文献】 特開2002−246743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面および前記第1の主面と反対側の第2の主面を有するコア基材と、前記第1の主面に形成された第1の金属箔とを有する第1の金属箔張積層板を準備する工程と、
前記第1の金属箔をパターニングして、アライメント孔を有するターゲットマークを形成する工程と、
前記コア基材を厚さ方向に貫通し、底面に前記アライメント孔が露出した有底孔を形成する工程と、
前記有底孔を形成した後、前記ターゲットマークを構成する金属箔の裏面を鏡面化する処理を行う工程と、
第3の主面および前記第3の主面と反対側の第4の主面を有する第1のビルドアップ基材と、前記第3の主面に形成された第2の金属箔とを有する第2の金属箔張積層板を準備する工程と、
前記第2の金属箔張積層板を厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を形成する工程と、
第5の主面および前記第5の主面と反対側の第6の主面を有する第2のビルドアップ基材と、前記第5の主面に形成された第3の金属箔とを有する第3の金属箔張積層板を準備する工程と、
前記第3の金属箔張積層板を厚さ方向に貫通する第2の貫通孔を形成する工程と、
前記第4の主面が前記第1の主面に対向し且つ前記アライメント孔が厚さ方向に見て前記第1の貫通孔内に位置するように、前記第2の金属箔張積層板を前記第1の金属箔張積層板に積層する工程と、
前記第6の主面が前記第2の主面に対向し且つ前記第2の貫通孔が前記有底孔に連通するように、前記第3の金属箔張積層板を前記第1の金属箔張積層板に積層する工程と、
前記ターゲットマークの前記アライメント孔を基準にして前記第2の金属箔および前記第3の金属箔をパターニングして第1の配線パターンおよび第2の配線パターンをそれぞれ形成する工程と、
を備えることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
【請求項2】
前記コア基材は、液晶ポリマーまたはポリイミドからなることを特徴とする請求項に記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項3】
前記第2の貫通孔の直径は、前記有底孔の直径よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記コア基材、前記第1のビルドアップ基材および前記第2のビルドアップ基材は、可撓性を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項5】
第1の主面および前記第1の主面と反対側の第2の主面を有するコア基材と、前記第1の主面に形成され、アライメント孔が設けられたターゲットマークと、を有するコア配線板と、
第3の主面および前記第3の主面と反対側の第4の主面を有する第1のビルドアップ基材と、前記第3の主面に形成された第1の配線パターンとを有する第1のビルドアップ配線板と、
第5の主面および前記第5の主面と反対側の第6の主面を有する第2のビルドアップ基材と、前記第5の主面に形成された第2の配線パターンとを有する第2のビルドアップ配線板と、を備え、
前記第1のビルドアップ配線板は、前記第4の主面が前記第1の主面に対向するように、接着剤層を介して前記コア配線板に積層され、
前記第2のビルドアップ配線板は、前記第6の主面が前記第2の主面に対向するように、接着剤層を介して前記コア配線板に積層され、
前記コア配線板には、前記コア基材を厚さ方向に貫通する有底孔が形成され、
前記第1のビルドアップ配線板には、前記第1のビルドアップ基材を厚さ方向に貫通する第1の貫通孔が形成され、
前記第2のビルドアップ配線板には、前記第2のビルドアップ基材を厚さ方向に貫通し、前記有底孔に連通する第2の貫通孔が形成され、
前記アライメント孔は、前記第1の貫通孔の底面に露出し前記第3の主面側から視認可能であるとともに、前記有底孔の底面に露出し前記第5の主面側からも視認可能であり、
前記有底孔の底面に露出した前記ターゲットマークは鏡面化処理されていることを特徴とする多層プリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プリント配線板の製造方法、および多層プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板に対する高密度化の要求を受け、複数のプリント配線板が積層された多層プリント配線板が開発されている。多層プリント配線板の一つとして、特許文献1には混成多層回路基板が記載されている。多層プリント配線板には、可撓性を有する多層フレキシブルプリント配線板(多層FPC)も含まれる。
【0003】
多層プリント配線板の各層の導電パターンは、公知のフォトファブリケーション手法を用いて形成される。すなわち、銅張積層板の銅箔の上にフォトレジスト層を形成した後、パターンが描かれた露光マスク(フォトマスク)をフォトレジスト層の上に位置合わせしてから配置する。そして、露光マスクを通してフォトレジスト層に光を照射した後、現像処理を行ってエッチングマスクを形成する。その後、エッチングマスクを用いて銅箔をエッチングすることにより導電パターンを形成する。導電パターンの形成においては、各層の導電パターン間の位置精度を高めることが重要である。導電パターンの位置精度を高くすることにより、例えば、層間接続部のランドを小径化することができる。
【0004】
特許文献2には、内層にアライメント用のターゲットを設けるとともに、レーザ加工でこれを露出させた状態でアライメントを行い、ビアホール形成加工のための位置合わせデータを取得するようにした多層プリント配線板の製造方法が記載されている。この方法では、ターゲットが露出しているので、明瞭にこれを認識してアライメントを行うことができ、位置合わせ精度が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2631287号
【特許文献2】特開平10−256737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、多層プリント配線板が使用される電子機器の小型化、高密度化の進展を受けて近年、多層プリント配線板の端面と配線パターンとの間の距離を小さくすることが要求されるようになっている。
【0007】
例えば、幅が非常に狭いケーブル状であって、各層に水平位置が同じ複数の配線パターンを有する多層フレキシブルプリント配線板が必要とされる。この場合、外形加工の際に各層の配線パターンが多層フレキシブルプリント配線板の側端面に露出しないように、各層の配線パターンの位置精度を高める必要がある。
【0008】
各層の配線パターンを形成するための露光工程は、従来、特許文献2に記載されているように、被加工の銅箔に最も近接した内側の配線パターンと同時に形成されたターゲットマークを用いて露光マスクを位置合わせしてから行われていた。すなわち、配線パターンは、被加工の導電膜の一つ内層側に位置するターゲットマークを基準にして形成されていた。
【0009】
しかしながら、この方法では、多層化が進むにつれて配線パターンの位置ずれが累積するという課題がある。すなわち、従来の方法では、露光時の位置精度×露光回数分の位置ずれを見込む必要がある。例えば、各層の配線パターン形成時の位置合わせ精度(露光マスクの配置精度)が±10μmで、計5回の露光により6層の多層プリント配線板を製造する場合、配線パターンの位置ずれとして±50μmを見込まねばならない。これより小さい値を見込んだ場合は、歩留まりが低下するおそれがある。レーザ光による外形加工精度が例えば±25μmとすると、外形加工端を配線パターンから75μmまでしか近接させることができない。
【0010】
そこで、本発明は、各層の配線パターンの位置ずれの累積を防止し、各層の配線パターンの位置精度を向上させることが可能な多層プリント配線板の製造方法および多層プリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る多層プリント配線板の製造方法は、
第1の主面および前記第1の主面と反対側の第2の主面を有するコア基材と、前記第1の主面に形成された第1の金属箔とを有する第1の金属箔張積層板を準備する工程と、
前記第1の金属箔をパターニングして、アライメント孔を有するターゲットマークを形成する工程と、
第3の主面および前記第3の主面と反対側の第4の主面を有する第1のビルドアップ基材と、前記第3の主面に形成された第2の金属箔とを有する第2の金属箔張積層板を準備する工程と、
前記第2の金属箔張積層板を厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を形成する工程と、
第5の主面および前記第5の主面と反対側の第6の主面を有する第2のビルドアップ基材と、前記第5の主面に形成された第3の金属箔とを有する第3の金属箔張積層板を準備する工程と、
前記第3の金属箔張積層板を厚さ方向に貫通する第2の貫通孔を形成する工程と、
前記第4の主面が前記第1の主面に対向し且つ前記アライメント孔が厚さ方向に見て前記第1の貫通孔内に位置するように、前記第2の金属箔張積層板を前記第1の金属箔張積層板に積層する工程と、
前記第6の主面が前記第2の主面に対向し且つ前記アライメント孔が厚さ方向に見て前記第2の貫通孔内に位置するように、前記第3の金属箔張積層板を前記第1の金属箔張積層板に積層する工程と、
前記ターゲットマークの前記アライメント孔を基準にして前記第2の金属箔および前記第3の金属箔をパターニングして第1の配線パターンおよび第2の配線パターンをそれぞれ形成する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る多層プリント配線板の製造方法は、
第1の主面および前記第1の主面と反対側の第2の主面を有するコア基材と、前記第1の主面に形成された第1の金属箔とを有する第1の金属箔張積層板を準備する工程と、
前記第1の金属箔をパターニングして、アライメント孔を有するターゲットマークを形成する工程と、
第3の主面および前記第3の主面と反対側の第4の主面を有する第1のビルドアップ基材と、前記第3の主面に形成された第2の金属箔とを有する第2の金属箔張積層板を準備する工程と、
前記第2の金属箔張積層板を厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を形成する工程と、
前記第4の主面が前記第1の主面に対向し且つ前記アライメント孔が厚さ方向に見て前記第1の貫通孔内に位置するように、前記第2の金属箔張積層板を前記第1の金属箔張積層板に積層する工程と、
前記ターゲットマークの前記アライメント孔を基準にして前記第2の金属箔をパターニングして配線パターンを形成する工程と、
第5の主面および前記第5の主面と反対側の第6の主面を有する第2のビルドアップ基材と、前記第5の主面に形成された第3の金属箔とを有する第3の金属箔張積層板を準備する工程と、
前記第3の金属箔張積層板を厚さ方向に貫通する第2の貫通孔を形成する工程と、
前記第6の主面が前記第2の金属箔張積層板の前記第3の主面に対向し且つ前記アライメント孔が厚さ方向に見て前記第2の貫通孔内に位置するように、前記第3の金属箔張積層板を前記第2の金属箔張積層板に積層する工程と、
前記ターゲットマークの前記アライメント孔を基準にして前記第3の金属箔をパターニングして配線パターンを形成する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る多層プリント配線板は、
第1の主面および前記第1の主面と反対側の第2の主面を有するコア基材と、前記第1の主面に形成され、アライメント孔が設けられたターゲットマークと、を有するコア配線板と、
第3の主面および前記第3の主面と反対側の第4の主面を有する第1のビルドアップ基材と、前記第3の主面に形成された第1の配線パターンとを有する第1のビルドアップ配線板と、
第5の主面および前記第5の主面と反対側の第6の主面を有する第2のビルドアップ基材と、前記第5の主面に形成された第2の配線パターンとを有する第2のビルドアップ配線板と、を備え、
前記第1のビルドアップ配線板は、前記第4の主面が前記第1の主面に対向するように、接着剤層を介して前記コア配線板に積層され、
前記第2のビルドアップ配線板は、前記第6の主面が前記第2の主面に対向するように、接着剤層を介して前記コア配線板に積層され、
前記コア配線板には、前記コア基材を厚さ方向に貫通する有底孔が形成され、
前記第1のビルドアップ配線板には、前記第1のビルドアップ基材を厚さ方向に貫通する第1の貫通孔が形成され、
前記第2のビルドアップ配線板には、前記第2のビルドアップ基材を厚さ方向に貫通し、前記有底孔に連通する第2の貫通孔が形成され、
前記アライメント孔は、前記第1の貫通孔の底面に露出し前記第3の主面側から視認可能であるとともに、前記有底孔の底面に露出し前記第5の主面側からも視認可能であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る多層プリント配線板は、
第1の主面および前記第1の主面と反対側の第2の主面を有するコア基材と、前記第1の主面に形成され、アライメント孔が設けられたターゲットマークと、を有するコア配線板と、
第3の主面および前記第3の主面と反対側の第4の主面を有する第1のビルドアップ基材と、前記第3の主面に形成された第1の配線パターンと、を有する第1のビルドアップ配線板と、
第5の主面および前記第5の主面と反対側の第6の主面を有する第2のビルドアップ基材と、前記第5の主面に形成された第2の配線パターンと、を有する第2のビルドアップ配線板と、を備え、
前記第1のビルドアップ配線板は、前記第4の主面が前記第1の主面に対向するように、接着剤層を介して前記コア配線板に積層され、
前記第2のビルドアップ配線板は、前記第6の主面が前記第3の主面に対向するように、接着剤層を介して前記第1のビルドアップ配線板に積層され、
前記第1のビルドアップ配線板には、前記第1のビルドアップ基材を厚さ方向に貫通する第1の貫通孔が形成され、
前記第2のビルドアップ配線板には、前記第2のビルドアップ基材を厚さ方向に貫通し、前記第1の貫通孔に連通する第2の貫通孔が形成され、
前記アライメント孔は、前記第1の貫通孔の底面に露出し、前記第5の主面側から視認可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各層の配線パターンの位置ずれの累積を防止し、各層の配線パターンの位置精度を向上させることが可能な多層プリント配線板の製造方法および多層プリント配線板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図2A】第1の例に係るターゲットマークの平面図である。
図2B】第2の例に係るターゲットマークの平面図である。
図2C】2つのターゲットマークと、配線パターンの配置例を示す平面図である。
図3】第1の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図4】第1の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図5図4に続く、第1の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図6図5に続く、第1の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図7図6に続く、第1の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図8図7に続く、第1の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図9】第2の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図10図9に続く、第2の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図11図10に続く、第2の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図12図11に続く、第2の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図13図12に続く、第2の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付す。また、図面は模式的なものであり、各実施形態に係る特徴部分を中心に示すものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法について、図1図8を参照しつつ説明する。
【0019】
まず、図1(1)に示すように、金属箔張積層板10(第1の金属箔張積層板)を準備する。金属箔張積層板10は、コア基材11と、金属箔12と、金属箔13とを有する、いわゆる両面金属箔張積層板である。
【0020】
コア基材11は、主面11a(第1の主面)、および主面11aと反対側の主面11b(第2の主面)を有する。金属箔12はコア基材11の主面11aに形成され、金属箔13はコア基材11の主面11bに形成されている。コア基材11の厚さは例えば50μmであり、金属箔12,13の厚さは例えば12μmである。
【0021】
コア基材11は、絶縁性の材料からなる。本実施形態では、コア基材11は、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer:LCP)、ポリイミド等の可撓性を有する材料からなる。なお、コア基材11は、他の絶縁材料からなるものでもよいし、あるいは可撓性を有しない材料から構成されてもよい。金属箔12,13は、本実施形態では銅箔であるが、これに限らず、他の金属(例えば銀、アルミニウム)からなるものでもよい。
【0022】
次に、図1(2)に示すように、金属箔12をパターニングして、アライメント孔14aを有するターゲットマーク14を形成する。ターゲットマーク14は、後段の工程で各層の配線パターンを形成する際に共通に用いられる。ターゲットマーク14の直径は例えば3mmであり、アライメント孔14aの直径は例えば0.5mmである。
【0023】
金属箔12のパターニングは、公知のフォトファブリケーション手法を用いて金属箔12をエッチングすることにより行われる。金属箔12のパターニングにより、ターゲットマーク14とともに、配線パターン15を形成してもよい。
【0024】
ターゲットマーク14の外形形状は、図2Aに示すように円形であるが、これに限るものではない。例えば、図2Bに示すように、ターゲットマーク14の外形形状は四角形でもよい。なお、ターゲットマーク14は複数個形成してもよい。例えば、図2Cに示すように、配線パターン15を挟んで2個のターゲットマーク14を形成してもよい。
【0025】
図1(2)に示すように、金属箔13をパターニングして、配線パターン16を形成する。本実施形態では、金属箔12と金属箔13を同時に加工して配線パターン15と配線パターン16をそれぞれ形成する。
【0026】
ここで、金属箔のパターニング方法の詳細を説明する。
【0027】
まず、金属箔12および金属箔13の上にフォトレジスト層(図示せず)を形成する。このフォトレジスト層は、ドライフィルムを金属箔12,13上にラミネートすることにより形成してもよいし、あるいはエッチングレジストペーストを金属箔12,13上に塗布することにより形成してもよい。次に、金属箔12を被覆するフォトレジスト層の上に表側用の露光マスク(図示せず)を位置合わせして配置する。同様に、金属箔13を被覆するフォトレジスト層の上に裏側用の露光マスク(図示せず)を位置合わせして配置する。
【0028】
その後、フォトレジスト層を露光、現像することによりエッチングマスクを形成する。そして、エッチングマスクを用いて金属箔12と金属箔13をエッチングする。エッチング終了後、エッチングマスクを剥離する。
【0029】
このようにしてターゲットマーク14、配線パターン15および配線パターン16が形成される。配線パターン15および16は比較的高い位置精度(例えば±10μm以内)で形成することが可能である。本実施形態では、配線パターン16は、配線パターン15と平面視してほぼ重なるように形成される。配線パターン15,16は、図1(2)において紙面と垂直方向に延在している。なお、本実施形態において配線パターン15,16は、中心線がほぼ同じであれば、幅が異なっていてもよい。
【0030】
上記のようにして金属箔12,13のパターニングを行い、ターゲットマーク14および配線パターン15,16を形成した後、図1(3)に示すように、有底孔17を形成する。この有底孔17の直径は、アライメント孔14aの直径よりも大きく、例えば1mmである。
【0031】
有底孔17はコア基材11を厚さ方向に貫通しており、有底孔17の底面にはアライメント孔14aが露出している。有底孔17を形成することにより、ターゲットマーク14(アライメント孔14a)は、コア基材11の主面11b側からも視認可能となる。
本実施形態では、有底孔17は、主面11bにレーザ光を照射し、コア基材11をレーザ加工することにより形成される。このレーザ加工にはCOレーザ等を使用する。レーザ光はターゲットマーク14の略中心(アライメント孔14a近辺)を狙って照射される。レーザ光照射位置の調整は、配線パターン16あるいは配線パターン16と同時に形成したターゲットマーク(図示せず)を基準にして行ってもよい。これにより、特殊なアライメントによらず有底孔17を形成することが可能である。
【0032】
なお、有底孔17を形成した後、ターゲットマーク14を構成する金属箔12の裏面(コア基材11と接着していた面)を鏡面化する処理を行ってもよい。例えば、ターゲットマーク14に対して、プラズマ処理またはエッチング処理(例えば1μm程度の軽いエッチング)を行うことで、金属箔12の裏面を鏡面化する。これにより、主面11b側から見たときのターゲットマーク14の視認性を向上させることができる。
【0033】
次に、図3(1)に示すように、金属箔張積層板20(第2の金属箔張積層板)を準備する。金属箔張積層板20は、ビルドアップ基材21(第1のビルドアップ基材)と、金属箔22(第2の金属箔)と、接着剤層23とを有している。なお、接着剤層23は必須ではない。
【0034】
ビルドアップ基材21は、主面21a(第3の主面)および主面21aと反対側の主面21b(第4の主面)を有する。金属箔22は主面21aに形成され、接着剤層23は主面21bに仮付けされている。ビルドアップ基材21の厚さは例えば50μmであり、金属箔22の厚さは例えば12μmである。
【0035】
ビルドアップ基材21は、絶縁性の材料からなる。本実施形態では、ビルドアップ基材21は、液晶ポリマー、ポリイミド等の可撓性を有する材料からなる。なお、ビルドアップ基材21は、他の絶縁材料からなるものでもよいし、あるいは可撓性を有しない材料から構成されてもよい。金属箔22は、本実施形態では銅箔であるが、これに限らず、他の金属(例えば銀、アルミニウム)からなるものでもよい。
【0036】
次に、図3(2)に示すように、金属箔張積層板20を厚さ方向に貫通する貫通孔24(第1の貫通孔)を形成する。この貫通孔24は、例えばレーザ加工でビルドアップ基材21を部分的に除去することにより形成される。貫通孔24の直径は、例えば2.5mmである。貫通孔24の直径は、アライメント孔14aの直径よりも大きい必要がある。
【0037】
なお、貫通孔24の直径は、ターゲットマーク14の直径よりも少し小さいことが好ましい。これにより、ターゲットマーク14の周縁部を接着剤層23で押さえることができる(図6(1)参照)。
【0038】
次に、図4(1)に示すように、金属箔張積層板30(第3の金属箔張積層板)を準備する。金属箔張積層板30は、ビルドアップ基材31(第2のビルドアップ基材)と、金属箔32(第3の金属箔)と、接着剤層33とを有している。なお、接着剤層33は必須ではない。
【0039】
ビルドアップ基材31は、主面31a(第5の主面)および主面31aと反対側の主面31b(第6の主面)を有する。金属箔32は主面31aに形成され、接着剤層33は主面31bに仮付けされている。ビルドアップ基材31の厚さは例えば50μmであり、金属箔32の厚さは例えば12μmである。
【0040】
ビルドアップ基材31は、絶縁性の材料からなる。本実施形態では、ビルドアップ基材31は、液晶ポリマー、ポリイミド等の可撓性を有する材料からなる。なお、ビルドアップ基材31は、他の絶縁材料からなるものでもよいし、あるいは可撓性を有しない材料から構成されてもよい。金属箔32は、本実施形態では銅箔であるが、これに限らず、他の金属(例えば銀、アルミニウム)からなるものでもよい。
【0041】
次に、図4(2)に示すように、金属箔張積層板30を厚さ方向に貫通する貫通孔34(第2の貫通孔)を形成する。この貫通孔34は、例えばレーザ加工でビルドアップ基材31を部分的に除去することにより形成される。貫通孔34の直径は、例えば2.5mmである。貫通孔34の直径は、アライメント孔14aの直径よりも大きい必要がある。
【0042】
なお、貫通孔34の直径は、有底孔17の直径よりも大きいことが好ましい。これにより、後段の工程において金属箔張積層板30を金属箔張積層板10上に積層する際に多少の位置ずれが発生したとしても、外側から貫通孔34を通してアライメント孔14aを視認することができる。
【0043】
次に、図5および図6(1)に示すように、ビルドアップ基材21の主面21bがコア基材11の主面11aに対向し且つアライメント孔14aが厚さ方向に見て貫通孔24内に位置するように、金属箔張積層板20を金属箔張積層板10に接着剤層23を介して積層する。この積層は、例えばピンガイドで金属箔張積層板間の位置合わせした後に行う。以下の積層工程についても同様である。
【0044】
次に、図5および図6(1)に示すように、ビルドアップ基材31の主面31bがコア基材11の主面11bに対向し且つアライメント孔14aが厚さ方向に見て貫通孔34内に位置するように、金属箔張積層板30を金属箔張積層板10に接着剤層33を介して積層する。この際、金属箔張積層板30は、貫通孔34が有底孔17に連通するように金属箔張積層板10に積層される。
【0045】
なお、金属箔張積層板20,30に接着剤層23,33が設けられていない場合は、ローフローボンディングシートをコア基材11の両面にラミネートした後、金属箔張積層板20,30をコア基材11上に積層してもよい。
【0046】
次に、積層された金属箔張積層板10,20,30(積層体)を加熱・加圧して一体化する。具体的には、真空プレス装置または真空ラミネータ装置を用いて、積層体に対して加熱および加圧を行う。例えば、積層体を150〜200℃程度に加熱するとともに、2〜4MPa程度の圧力で加圧する。なお、この温度は液晶ポリマーの軟化温度より50℃以上低い。本工程により接着剤層23,33は硬化する。
【0047】
次に、図7(2)に示すように、ターゲットマーク14のアライメント孔14aを基準にして金属箔22および金属箔32をパターニングして、配線パターン25(第1の配線パターン)および配線パターン35(第2の配線パターン)をそれぞれ形成する。本実施形態では、配線パターン25,35は配線パターン15,16と平面視してほぼ重なるように形成される。
【0048】
配線パターン25,35は、具体的には以下のようにして形成される。
【0049】
まず、図6(2)に示すように、ラミネータ装置を用いて、積層体の外表面にドライフィルム41および42を貼り付ける。これにより、貫通孔24の開口はドライフィルム41により覆われ、貫通孔34の開口はドライフィルム42により覆われる。ドライフィルム41,42としては、貫通孔24,34をテンティング可能な厚み(例えば30μm厚)を有するドライフィルムレジストを用いることが望ましい。
【0050】
次に、積層体の表側および裏側に設けられた2台のカメラ(図示せず)により、積層体のアライメント孔14aを認識する。そして、認識されたアライメント孔14aの位置に基づいて表側用と裏側用の2枚の露光マスク(フォトマスク)の位置合わせを行い、それぞれドライフィルム41および42上に配置する。その後、ドライフィルム41,42を露光、現像することにより、図7(1)に示すように、エッチングマスク41a,41b,42a,42bを形成する。なお、ドライフィルム41,42の露光は両面露光により同時に行ってもよいし、片面ずつ行ってもよい。
【0051】
エッチングマスク41a,42aは、金属箔22,32をエッチングする際にターゲットマーク14がエッチングされないように保護するために形成されている。エッチングマスク41b,42bは、配線パターン25,35を形成するためのエッチングマスクである。このように本実施形態では、共通のアライメント孔14aを基準にして露光マスクを配置するため、高い位置精度でエッチングマスク41b,42bを形成することができる。
【0052】
その後、エッチングマスク41a,41b,42a,42bを用いて金属箔22と金属箔32をエッチングする。エッチング終了後、エッチングマスク41a,41b,42a,42bを剥離する。これにより、配線パターン25,35が形成される。エッチングマスク41b,42bが高い位置精度で形成されているため、配線パターン25,35を配線パターン15,16に対して高い位置精度(例えば±10μm以内)で形成することができる。
【0053】
配線パターン25,35は、図7(2)において紙面と垂直方向に延在している。なお、本実施形態において配線パターン25,35は、中心線がほぼ同じであれば、幅が異なっていてもよい。
【0054】
ここまでの工程を経て、図7(2)に示すように、4層の多層プリント配線板が得られる。4層の配線パターン15,16,25,35は高い位置精度で形成される。
【0055】
さらに多層のプリント配線板を製造する場合は、上記の工程(ビルドアップ用の金属箔張積層板の準備、貫通孔の形成、積層、および金属箔のパターニング)を繰り返せばよい。図8は、図7(2)に示す4層の多層プリント配線板の両面に金属箔張積層板を積層した6層の多層プリント配線板を示している。最外層の配線パターン26,36は、配線パターン25,35と同様に、共通のアライメント孔14aを基準として形成されたエッチングマスクを用いたエッチングにより形成される。よって、配線パターン26,36は高い位置精度で形成される。このため、配線パターン26,36は配線パターン25,35に対して高い位置精度(例えば±10μm以内)で形成される。その結果、6層の配線パターン15,16,25,26,35,36を高い位置精度で形成することができる。
【0056】
配線パターン26,36は、図8において紙面と垂直方向に延在している。なお、本実施形態において配線パターン26,36は、中心線がほぼ同じであれば、幅が異なっていてもよい。
【0057】
上記のように本実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法によれば、各層の配線パターンを高い位置精度で形成することができる。これにより、例えば、配線パターンと、多層プリント配線板の外形加工端との間の距離を短くすることができる。図8の例で言えば、配線パターン15,16,25,26,35,36の横方向の位置ずれが小さいため、カットラインC1とカットラインC2間の長さを短くすることができる。これにより、例えばケーブル状の細長いプリント配線板を容易に製造することができる。
【0058】
多層プリント配線板の外形加工は、例えば、画像アライメント方式のレーザ加工により行われる。すなわち、ターゲットマーク14のアライメント孔14aをカメラで認識してレーザ光源および多層プリント配線板の位置合わせを行い、カットラインに沿って外形加工を行う。カットラインは、レーザの加工精度の範囲内で配線パターンに近接した位置に設定することが可能である。
【0059】
本実施形態によれば、各層の配線パターンは共通のターゲットマークを基準にして形成されるため、位置ずれの累積を防止することができる。よって、外形加工端がレーザ加工精度(例えば±25μm)と、配線パターンの形成位置精度(例えば±10μm)との2乗平均値(例えば±27μm)まで配線パターンに近接した多層プリント配線板を得ることができる。
【0060】
このように、本実施形態によれば、特に高価な装置を適用することなく、従来方法に比べて外形加工端を配線パターンへ近接させることが可能となる。
【0061】
なお、図8の例では、外形加工の際にターゲットマーク14が形成された領域を切り落としたが、当該領域を残しておいてもよい。
【0062】
上記の多層プリント配線板の製造方法は一例に過ぎず、種々の変更を行ってもよい。例えば、金属箔張積層板10,20,30の各々に対する加工工程の実施順序は任意である。金属箔張積層板20,30に貫通孔24,34を形成した後に金属箔張積層板10のターゲットマーク14や有底孔17を形成してもよい。
【0063】
また、有底孔17は、ターゲットマーク14を形成した後に形成してもよい。
【0064】
また、コア基材11が透明な材料からなる場合で、カメラが絶縁基材を通してターゲットマーク14を視認可能であるときは、有底孔17は形成しなくてもよい。
【0065】
また、金属箔張積層板10は、両面金属箔張積層板であるが、これに限らず、片面(主面11a)にのみ金属箔が形成された片面金属箔張積層板であってもよい。
【0066】
また、ターゲットマーク14は、上記製造方法により製造された多層プリント配線板の識別情報を含むように形成されたものでもよい。例えば、ターゲットマーク14は、バーコード、二次元コード等の形状に形成されたものであってもよい。これにより、多層プリント配線板を初期の工程(金属箔張積層板10の加工)からトレースすることが可能になる。
【0067】
<多層プリント配線板>
第1の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法により製造された多層プリント配線板は以下の構成を有する。
【0068】
本実施形態に係る多層プリント配線板は、図7(2)に示すように、コア配線板1と、コア配線板1の一方の主面に積層されたビルドアップ配線板2と、コア配線板1の他方の主面に積層されたビルドアップ配線板3と、を備えている。
【0069】
コア配線板1は、コア基材11と、コア基材11の主面11aに形成され、アライメント孔14aが設けられたターゲットマーク14とを有する。ビルドアップ配線板2は、ビルドアップ基材21と、ビルドアップ基材21の主面21aに形成された配線パターン25とを有する。ビルドアップ配線板3は、ビルドアップ基材31と、ビルドアップ基材31の主面31aに形成された配線パターン35とを有する。
【0070】
ビルドアップ配線板2は、主面21bがコア基材11の主面11aに対向するように、接着剤層23を介してコア配線板1に積層されている。ビルドアップ配線板3は、主面31bがコア基材11の主面11bに対向するように、接着剤層33を介してコア配線板1に積層されている。
【0071】
コア配線板1には、コア基材11を厚さ方向に貫通する有底孔17が形成されている。ビルドアップ配線板2には、ビルドアップ基材21を厚さ方向に貫通する貫通孔24が形成されている。ビルドアップ配線板3には、ビルドアップ基材31を厚さ方向に貫通し、有底孔17に連通する貫通孔34が形成されている。
【0072】
ターゲットマーク14のアライメント孔14aは、貫通孔24の底面に露出しビルドアップ基材21の主面21a側から視認可能であるとともに、有底孔17の底面に露出しビルドアップ基材31の主面31a側からも視認可能である。
【0073】
また、本実施形態に係る多層プリント配線板は、図7(2)に示すように、多層プリント配線板の長手方向に延在する配線パターン15,16,25,35を各層に有する。そして、配線パターン15,16,25,35の、長手方向に直交する幅方向の位置は、多層プリント配線板の厚さ方向に見てほぼ同じである。
【0074】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法について、図9図13を参照して説明する。第2の実施形態の第1の実施形態との相違点の一つは、金属箔張積層板20,30の積層方法である。第1の実施形態では、金属箔張積層板10の一方の主面に金属箔張積層板20を積層し、他方の主面に金属箔張積層板30を積層した。これに対し、第2の実施形態では、金属箔張積層板20,30のいずれも金属箔張積層板10の片面側に積層する。
【0075】
以下、第1の実施形態との重複部分の説明は適宜省略し、相違点を中心に第2の実施形態について説明する。
【0076】
まず、図9に示すように、金属箔張積層板10を準備した後、金属箔12をパターニングして、アライメント孔14aを有するターゲットマーク14を形成する。第1の実施形態と同様にして、配線パターン15,16も形成する。ただし、本実施形態では、有底孔17を形成する必要はない。
【0077】
次に、金属箔張積層板20を準備した後、図9に示すように、金属箔張積層板20を厚さ方向に貫通する貫通孔24を形成する。
【0078】
次に、図9および図10(1)に示すように、ビルドアップ基材21の主面21bがコア基材11の主面11aに対向し且つアライメント孔14aが厚さ方向に見て貫通孔24内に位置するように、接着剤層23を介して金属箔張積層板20を金属箔張積層板10に積層する。その後、積層された金属箔張積層板10,20(積層体)を加熱・加圧して一体化する。本工程により接着剤層23は硬化する。
【0079】
次に、図11(2)に示すように、ターゲットマーク14のアライメント孔14aを基準にして金属箔22をパターニングして配線パターン25を形成する。配線パターン25は、以下のようにして形成する。
【0080】
まず、図10(2)に示すように、金属箔22の上にドライフィルム41を貼り付ける。これにより、貫通孔24の開口はドライフィルム41により覆われる。次に、カメラ(図示せず)で積層体の外側からドライフィルム41を通してアライメント孔14aを認識する。そして、認識されたアライメント孔14aの位置に基づいて露光マスクの位置合わせを行い、ドライフィルム41上に露光マスクを配置する。その後、ドライフィルム41を露光、現像することにより、図11(1)に示すように、エッチングマスク41a,41bを形成する。その後、エッチングマスク41a,41bを用いて金属箔22をエッチングする。これにより、図11(2)に示すように、配線パターン25が形成される。
【0081】
次に、金属箔張積層板30を準備した後、図12に示すように、金属箔張積層板30を厚さ方向に貫通する貫通孔34を形成する。
【0082】
なお、図12では貫通孔24と貫通孔34の直径は同じであるが、これに限らず、貫通孔34の直径を貫通孔24の直径よりも大きくしてもよい。これにより、後段の工程において金属箔張積層板30を金属箔張積層板20上に積層する際に多少の位置ずれが発生したとしても、外側から貫通孔34を通してアライメント孔14aを視認することができる。
【0083】
次に、図12および図13(1)に示すように、ビルドアップ基材31の主面31bがビルドアップ基材21の主面21aに対向し且つアライメント孔14aが厚さ方向に見て貫通孔34内に位置するように、接着剤層33を介して金属箔張積層板30を金属箔張積層板20に積層する。なお、貫通孔34は貫通孔24に連通するように配置される。その後、積層された金属箔張積層板10,20,30を加熱・加圧して一体化する。本工程により接着剤層33は硬化する。
【0084】
次に、図13(2)に示すように、ターゲットマーク14のアライメント孔14aを基準にして金属箔32をパターニングして配線パターン35を形成する。配線パターン35は、配線パターン25と同様の方法で形成される。
【0085】
ここまでの工程を経て、図13(2)に示すように、4層の多層プリント配線板が得られる。4層の配線パターン15,16,25,35は共通のアライメント孔14aを基準にして形成されるため、高い位置精度で形成されている。
【0086】
なお、上記の工程を繰り返すことにより、さらに多層のプリント配線板を製造することが可能である。
【0087】
上記のように本実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法によれば、各層の配線パターンを高い位置精度で形成することができる。これにより、例えば、配線パターンと、多層プリント配線板の外形加工端との間の距離を短くすることができる。
【0088】
<多層プリント配線板>
第2の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法により製造された多層プリント配線板は以下の構成を有する。
【0089】
本実施形態に係る多層プリント配線板は、図13(2)に示すように、コア配線板1と、コア配線板1に積層されたビルドアップ配線板2と、ビルドアップ配線板2に積層されたビルドアップ配線板3と、を備えている。
【0090】
コア配線板1は、コア基材11と、コア基材11の主面11aに形成され、アライメント孔14aが設けられたターゲットマーク14とを有する。ビルドアップ配線板2は、ビルドアップ基材21と、ビルドアップ基材21の主面21aに形成された配線パターン25とを有する。ビルドアップ配線板3は、ビルドアップ基材31と、ビルドアップ基材31の主面31aに形成された配線パターン35とを有する。
【0091】
ビルドアップ配線板2は、ビルドアップ基材21の主面21bがコア基材11の主面11aに対向するように、接着剤層23を介してコア配線板1に積層されている。ビルドアップ配線板3は、ビルドアップ基材31の主面31bがビルドアップ基材21の主面21aに対向するように、接着剤層33を介してビルドアップ配線板2に積層されている。
【0092】
ビルドアップ配線板2には、ビルドアップ基材21を厚さ方向に貫通する貫通孔24が形成されている。ビルドアップ配線板3には、ビルドアップ基材31を厚さ方向に貫通し、貫通孔24に連通する貫通孔34が形成されている。
【0093】
ターゲットマーク14のアライメント孔14aは、貫通孔24の底面に露出し、ビルドアップ基材31の主面31a側から(すなわち、積層体の外側から)視認可能である。
【0094】
また、本実施形態に係る多層プリント配線板は、図13(2)に示すように、多層プリント配線板の長手方向に延在する配線パターン15,16,25,35を各層に有する。そして、配線パターン15,16,25,35の、長手方向に直交する幅方向の位置は、多層プリント配線板の厚さ方向に見てほぼ同じである。
【0095】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 コア配線板
2,3 ビルドアップ配線板
10 金属箔張積層板
11 コア基材
11a,11b 主面
12,13 金属箔
14 ターゲットマーク
14a アライメント孔
15,16 配線パターン
17 有底孔
20,30 金属箔張積層板
21,31 ビルドアップ基材
21a,21b,31a,31b 主面
22,32 金属箔
23,33 接着剤層
24,34 貫通孔
25,26,35,36 配線パターン
41,42 ドライフィルム
41a,41b,42a,42b エッチングマスク
C1,C2 カットライン
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13