(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記微細媒体の階層化構造を破壊させることなく、前記微細媒体の洗浄を行うのに効率的な逆洗空気流量の設定用に調節可能な逆洗空気流制御部を更に備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルタ。
前記階層状媒体の底層は2.5 mmから6 mmの範囲内の直径を有する粒状材を備え、粒状材の中間層は0.5 mmから2 mmの範囲内の直径を有する粒状材を備え、微細媒体の上層は0.1 mmから0.4 mmの範囲内の有効径を有する粒状材を備える、請求項6に記載のフィルタ。
前記中間層の密度が4 g/mlであり、前記上層の密度が3 g/ml未満であり、これらの層は2.7 g/mlの密度を有する砂材、2.5 g/mlの密度を有するガラス材、又は1.6 g/mlの密度を有するプラスチック材を備える、請求項7に記載のフィルタ。
自動的にバルブを制御することで、前記濾過媒体の下から空気を導入する空気逆洗により、前記微細媒体に空気逆洗サイクルを生じさせる制御手段を更に備え、このサイクルにより、前記微細媒体及び該微細媒体の分散物を、前記微細媒体の上部の大量の洗浄水と混合させ、その空気逆洗中に、前記微細媒体を、洗浄水の上部には含まれないよう洗浄水の下部内に局限する、請求項11に記載のフィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、タンク100に配置される多層媒体床フィルタ内の砂媒体の典型的な配置を示す。媒体床は、当技術分野において知られるように多様な密度を有する。このようなフィルタにおいて、典型的には、最微粒媒体110は最上層に配置され、タンク100内に垂直に配置された多様な層を通じて下降するにつれてより粗くなる1つ以上の中間ステージ112を備える。従って、最粗粒媒体114は、典型的には、スクリーンにより支持される最底層に配置される。いくつかの場合、媒体114は、タンク100の底部に配置され、スクリーンは出口120と関連付けられる。
【0015】
本発明に用いられる多様な各層の微粒媒体、中間媒体及び粗粒媒体の正確な定義は、実施分野、産業分野、使用条件及び政府規制を非限定的に含む、多様な要因によって変化することを理解されたい。しかしながら、内容比較のため、媒体密度又は媒体径などの1つ以上の物性をタンク100内の媒体の多様な層を区別するための特性の選択肢とすることもできる。例えば、2.7 g/mlの密度を有する砂利又は砂は、最も粗い最底層に配置することが望ましく、2.0 g/ mlから2.1 g/ mlの密度を有する活性炭は中間層に配置し、1.45 g/ mlから1.75 g/ mlの密度を有する無煙炭は最も微細な最上層に配置することが望ましい。材料の追加的な可能性及び特徴を更に後述する。
【0016】
<媒体の基本配置及び動作原理>
典型的には、砂の粒状の組織特性により多様な媒体の独立した各層は、特定の境界線により細かに既定された境界内部に配置されることも、線引きされることもない。タンク100内の多様な粒子寸法を有する媒体の分布は、大まかなものであって、典型的には、各層の上部から下部に向かって徐々に変化する。濾過及び潜在的な他の動作による変化の影響に加えて、潜在的に区別可能な層でない限り、各層内の粒子寸法の、密度及び媒体の粗度の範囲、多様性及び耐性、密度、媒体の粗度による影響により、粒子寸法による媒体層の完全な階層化を達成することは、一般にはいくつかの実施形態においてより困難であると考えられる。従って、しばしば中間テーパー領域の形状に見られる不完全な境界により、媒体の多様な階層を分離させることができる。しかしながら、砂粒子寸法の理想的でない配置、不完全な階層化であっても、濾過動作中又は他のあらゆる時に、砂媒体が意図せずに流失することを防ぐことができる。
【0017】
多様な寸法の砂をタンク100内に導入した後、タンク100内の通常の流体流れを逆流させることで、大まかな階層化を達成することができる。このような動作を行うことで、より小さい砂粒子を浮かせ、引き続きより微粒である媒体110はタンクの上部に浮遊し、より粗粒な媒体114は底部に沈降する。その結果生じ、砂の上部及び混合水に配置され、微細スクリーン116の動作を妨げないより微粒である粒状媒体110について更に詳述する。
【0018】
より微粒である媒体110は、非常に細かい微粒子の堆積物を捕捉するように作用し、連続するより粗い層112, 114は、より微粒である層110が濾過された液体と共にタンク100から流し出されることを防ぐ、あるいは代替的には、非常に細かいスクリーン116を通じて濾過された液体が通過するのを妨げる妨害物の形成を防ぐ。微粒子を機械的に吸収する砂媒体の役割は、当技術分野において既知であり、本明細書中では概略的にのみ説明する。この砂媒体は、濾過液出口120の直ぐ上部の領域が詰まることを防止するスクリーン116と同様の役割を果たし、スクリーン116に流体が流入するのに伴って徐々に連続的に媒体110, 112, 114の多孔性を増加させる。
【0019】
濾過すべき原液は、原液入口118を通じてタンク100に導入される。原液は、あらゆる供給源から導入することができる。その特徴は、濾過タンクが配置される環境及び特定の濾過対象物によって多岐に亘るであろう。従って、原液入口118は、生下水を必ずしも含む必要はないが、例えば工業工程において洗浄目的で使用された工業用水から構成されていてもよい。代替的には、埃及び微量の微生物を含む冷却水を、HVACシステムから導入することができる。
【0020】
堆積した汚染物、特に微粒媒体110の粗度を超える大きさの汚染物は、
図2に示されるように媒体床表面又は表面上の微粒媒体110により捕捉されるため、媒体床を通じて混合物が更に移動することを防止することができる。ケーキ又はクラスト102は、媒体110の表面で形成され得る。微粒媒体110の層の粒子と同様あるいは比較可能に寸法された他の汚染物は、層を貫通し、あるいはクラスト102の固化が進行する前に上層100を有し媒体層を通じて移動する一定の距離内で微粒子104として捉えられ又は捕捉される。第1層内で捕捉されない汚染物は、連続するより粗い媒体を備える後続のあらゆる層においても捕捉されることはない可能性が高い。
【0021】
上述した構造と本質的に同様なフィルタは、媒体床上に形成されるクラスト102又は微細媒体110層内の捕捉微粒子104の集合体などの汚染物の堆積により効率的な動作が妨害されない限り、特定のスケジュール又は特定の期間に従って動作することができる。原液118をフィルタ内に流入し続けることで、捕捉汚染物が超過して堆積し、その結果、一般には動作が阻害され、非効率的となる。フィルタのメンテナンス工程として知られる逆洗は、典型的には、上述のように動作が阻害されたときに用いられる。このような状況は、フィルタ内の圧力の低下を用いて検知することができ、これらの圧力は、汚染物の堆積に伴い上昇する。
【0022】
<従来の砂フィルタ内での従来の液体逆洗>
上述したように、タンク100内で通常の流体流れを逆流させることは、多様な砂(又は他の粒状材料)媒体の階層化(又は再階層化)を達成するのに有用である。特定の構成において、これは、逆洗工程により達成することができる。逆洗は、清浄液をスクリーン(入口152)の出口側から媒体を通じて逆洗出口154へ流すことを含む。緩やかな流れ122により媒体上部の堆積物を容易に除去することができるが、微細媒体内の捕捉堆積物の除去機能は緩やかな流れにより制限される。媒体は典型的には、汚染物の除去を補助する添加剤の有無に関わらず機械動作である「洗浄」を要する。このような動作の一種として、媒体を部分的な懸濁液に流入させる液体流れを提供する。これにより、機械的撹拌が不要となる。
【0023】
従来の逆洗動作において、より緩やかでない流れを用いることもできる。
【0024】
典型的な濾過動作中における流体流れを、より強力な手段124により逆流させることで、媒体を、その通常の位置及び配置から一時的に持ち上げることができる。
【0025】
向流洗浄は、運動エネルギーを媒体に加えるのに十分な流量124により行われるべきであり、従って、媒体は、砂と水の混合物内において、並びに最微細媒体110が連続するより粗い媒体112, 114上に浮遊するとき、完全な懸濁を達成することができない。上述した流量は、最微細媒体110を流出させ、あるいは、逆洗出口を通じて流出する砂水の一部として失われることがないように構成するべきである。
【0026】
<従来の砂フィルタ内での従来の空気流逆洗>
当技術分野で既知の関連逆洗工程は、空気及び液体を用いた向流による洗浄を含む(
図4を参照)。加えて、いくつかの砂フィルタの構成において、液体逆洗及び空気逆洗工程を適用する。これら2通りの逆洗構成において、典型的には、2種類の逆洗を同時に適用することはないだろう。
【0027】
通常の濾過動作中、タンク100は、典型的には、濾過すべき液体、並びに上述した構成により大まかなものであって、連続的に階層化された多様な砂媒体により充填されている。空気逆洗は、最初にフィルタの動作を中断した後に行われる。続いて、典型的には、濾過液体出口120を通じて液体を流出させることで、タンク100内の液体レベルを低下させる。レベルセンサを用いて、タンク100内の水量が目的の許容高さ以下に低下したとき、検知する。上述した液体レベルの低下は、入口/出口160を通じて大量の空気の導入することで、タンク100内にキャビティ162に形成し、それに対応する量の液体を押し出すことで、同様に実行することができる。空気は、あらゆる適切な供給源、例えばポンプ又は空気圧縮機などから導入するこができる。ひとたび、空気キャビティ162が形成され、タンク100内の関連する流体レベルが十分なレベルに低下すると、不要な開口入口及び出口(非限定的に濾過液体出口120を含む)は、暫定的に封止され、砂媒体自体の洗浄が開始する。
【0028】
砂媒体を洗浄するために、空気流れ126は、乱流サイクル又は上述した液体逆洗と類似する砂の混合を生じさせるような構成で、タンク内に導入される。同様にこのような乱流は、タンク100内から媒体を流失させるリスクを生じさせることなく、液体逆洗により懸濁状態を再現するものである。このために、この場合典型的には空気である逆洗流体は、逆流流体入口152を通じて導入され、迅速に泡170を拡散させる。適用する空気流には、媒体を撹拌させるための廉価で効率的な機械的手段を用いる。逆洗流体入口152を通じて導入される空気を用いた媒体の混合には、衣類用の洗濯機に用いられる攪拌機と類似する攪拌機を用いる。更に、粒径及び密度の異なる砂媒体をランダム化させるように空気循環を有利に用いることで、例えば機械的アーム又は発動機付パドルを通じて撹拌する場合とは対照的に、費用を抑え、追加的な機械的部位の物理的欠点、アクセス性への追加的な遮断性を低減させながら、タンク100へのアクセスに対する妨害及び遮断の無い状態を最大化させることができる。
【0029】
図4には示していないが、微細媒体110及び中間媒体112は、空気逆洗動作により大部分が均質化されている。いくつかの場合、粗粒媒体は懸濁化させることができる。後述するように、均質化された媒体は液体逆洗工程を用いて分離又は階層化させることができ、これにより、媒体の階層化を行うことができる。
【0030】
<洗浄を補助する洗剤/化学洗浄剤>
当技術分野で既知であるいくつかの逆洗手段において、液体又は空気を用いた手段を扱うかに関わらず、逆洗工程中に洗剤及び/又は清澄剤を同時に用いて凝集を開始、利用及び促進させることができる。
【0031】
洗濯中に石鹸を用いるのと同様の方法で、操縦者は、多様な逆洗手段の使用に加えて好ましい洗剤を選択することができる。石鹸は油分及び汚れを衣料繊維から取り除き、凝集剤又は界面活性剤は凝集物を取り除き、あるいは、上述した液体又は空気撹拌工程中の乱流により砂粒子から生じる粒子及び汚染物を取り除く。
【0032】
<空気逆洗後の液体逆洗>
空気逆洗が完了すると、タンク100内の均質化された媒体は再び混合状態となり、上述したような粗度に応じた大まかな階層化、フィルタの動作に要する階層化が大きく欠如した状態となる。液体逆洗(又は媒体を階層化する他の手段)を、空気逆洗の後に用いることで、多様な寸法の砂媒体の再階層化を確実なものとすることができる。上述したように、後続の液体逆洗用の向流量は、推進力に基づく再階層化及び砂媒体の含有を確実なものとするように調整することができる。一方で、より小さい砂媒体をタンク100内の高位置に配置しながら、より粗い砂媒体を媒体床の低位置に保持するのに十分な強さを有する流量を適切に選択しなければならない。他方で、タンク100から全ての砂媒体を意図せずに流出させることのない程度の強さの流量としなければならない。
【0033】
<微細媒体>
砂媒体粒子は、様々な要件に基づいた特定の範囲内の寸法で、他の土砂材料と同様の方法により階層化させることができる。上述の要件とは、非限定的に規定されるものであるが、技術分野、政府規制及び/又は実施分野の機能の1つであると考えることができる。微細砂は砂の下位概念であり、媒体粒子の寸法はより下位の概念に該当するであろう。従って、(
図7に示すように)微細砂は媒体床内にてより微細なフィルタ層128を有利に適用するために用いることができ、小さい寸法を有する微粒子を捕捉することを可能とする。生存中の微生物など、以前は濾過が不可能であった汚染物の一群を捕捉することができるようになり、いくつかの場合において、以前は飲料不可であった水を飲料可とすることができる。「微細砂」について単一の正確な技術的な定義は存在しないが、「微細媒体」は上記に定義したように、0.4 mm未満、最小で約0.2 mm、好適には最小で0.1 mmの有効径を有する微細濾過媒体を意味し、その材料は、ケイ砂、ガラス、プラスチック、石英、砂利、金属、セラミック等であってもよい。「微細砂」という用語は、当該技術分野で既知であり、使用されてきた最も微細な粒子媒体よりも優れた寸法及び濾過機能を有する、あらゆる濾過砂又は粒子媒体を指すと理解されるだろう。このような媒体の可能な寸法の範囲及び構成は、本明細書で詳述し、表現したものから選択してもよい。
【0034】
<微細媒体の不利な点>
微細媒体を用いて(例えばフィルタの最上層に)最微細濾過層を適用するには、不利な点も残念ながら存在する。より小さい空孔寸法は、典型的には、既存の濾過システムの動作及びメンテナンスに不利な影響を与えかねない。
【0035】
<課題:微細媒体における早熟なクラスト形成>
媒体床の最上層の空孔寸法が縮小すると、例えば、微細媒体を含む濾過タンクを通過する原液に加えるための強い圧力が必要となるであろう。追加的に、最微細層が比較的粗い媒体を備える従来技術のシステムよりも、微細媒体128を備える最上層又はその一部においてより多くの汚染物を捕捉することとなるであろう。従って、より多くの汚染物が、頻繁に一定時間内に捕捉され、あるいは、急速に濾過システムを通じた原液の流れを妨げる。最上層の一部におけるクラストの形成及び汚染物の堆積を防ぐことは、操作上重要である。クラスト202(
図5参照)及び微粒子204の形成が進むと、当初は微細媒体を使用することで提供されていた多孔性が急速に低下し、(動作を妨げかねないような)上昇圧力が継続的な動作のために必要となる。従って、最微細媒体がより粗い従来の濾過システムよりも大きく損なった濾過性能を有することとなりかねない。従って、微細媒体フィルタは、通常の砂床フィルタを用いる場合よりも、より短い周期で逆洗洗浄を行う必要がある。
【0036】
<課題:微細媒体の逆洗> 微細媒体がより微細であることにより、上述した従来の液体逆洗のための対応するより大きな粒子よりも、遥かに簡易に懸濁可能な対応する範囲の砂粒子を導入することができる。結果として、入口118, 152の流体流れの許容範囲をより慎重に調整する必要がある。追加的に、操作人及び操縦者(又は自動操作システム)は、逆洗流体出口154から砂(砂及び従来の砂粒子105に類似する混合水から構成されるスラリー)を流出させることなく、逆洗流体入口152にて砂媒体の懸濁を達成するのに十分な強さの流量を確実に提供しなければならない。この場合、一般にはより限定的(かつ量及び各性能において劣っている)である逆洗入口152の流体量範囲を、微細媒体層を備えない濾過システムに適用する。より低い流量で使用可能な流体入口流量は、メンテナンスを行う操縦者による砂媒体の適切な洗浄を妨げる。従って、従来の砂に用いる許容流量により、そのクラスの濾過システムが達成すべき許容レベルの洗浄が可能となるが、微細媒体が濾過媒体として存在するときに用いる許容可能な著しく低い流量は、殆どの場合、そのような制約を課すことでこれらの媒体を殆ど役に立たないものとしてしまう。入口152にて著しく低い流量の逆流流量が用いられるときであっても、より小さい微細媒体はタンク100から容易に流失しかねないため、より低い範囲の流量が許容流量となる。例えば、タンク100内に存在する全種類の砂を混合することが原因となり、逆洗工程における砂媒体の洗浄力が低下すると、混合を妨害する影響が生じかねない。
【0037】
再階層化の後であっても、(範囲内の微細砂の砂粒子を流失させない程度に十分に低い逆洗流量を備える)逆洗後に沈降した砂媒体には、前の過程で処理された原液に存在した一定量の汚染物が残っている。多孔性による洗浄機能を有する微細媒体を媒体床に取り込むことで、皮肉なことに、濾過システム全体としての機能を低下させる結果を生じさせかねない。
【0038】
追加的に、特に微細媒体における、液体のみによる逆洗によっては、媒体床を効果的に洗浄することができない。出願人は、第1試験で、最も細かい濾過層を有する微細媒体を備えるタンクを用いた。10分間の逆洗サイクル(システムに残余物が残っていないことを確実にするために洗浄を行う濾過サイクルを含む)を2回行うとともに、出願人は、洗浄工程の結果、媒体の浄化を示す最高濁度5ネフェロ分析濁度ユニット(NTU)を有する洗浄水となることを観察した。表面媒体の分析により、媒体にカオリンが捕捉されており、洗浄が効果的でないことが示された。更なる観察結果を後述する。
【0039】
液体による微細媒体の逆洗工程の場合と同様に、微細媒体が濾過媒体である濾過システムに従来の空気による逆洗工程を適用することには、問題があり、物理的な懸念事項により妨げられる。
【0040】
従来の空気逆洗は、湿った砂粒子105のスラリー及び汚染された洗浄水140を収集するという課題を有する。気泡の生成が止むと、砂(又は媒体)は沈静化していく。この後に、逆洗流体入口152を通じて清浄水を導入することで、汚染水を流し出すことができる。
【0041】
濾過媒体内に微細媒体128が存在するとき、スラリーの沈静化は、微細媒体が存在しないときよりも著しく遅い速度で生じるため、微細媒体は比較的長い沈静化のための時間を要する。より重要なことに、空気洗浄により、微細媒体はより粗い支持媒体と均質化され、空気洗浄後の微細媒体はより粗い媒体と混合したままとなる。これにより、より低い支持媒体及び/又は出口に微細媒体が流れ、微細媒体が失われかねない。このため、階層化の破壊が必要とされる。上述したように、微細媒体及びより低い支持媒体の階層化の破壊は、問題である。更に、微細媒体の存在下での沈静化工程においては、沈静化が生じるのに伴い、より多くの汚染物を最上層に凝縮する。従って、微細媒体の存在下では、通常の空気逆洗も運用が困難である。改良された逆洗工程は、以下のようであると考えられる。すなわち、濾過媒体を必要以上に撹拌することなく、気泡の強度及び乱流により十分な効果を提供しながら、濾過媒体から汚染物を効果的に分離するものである。
【0042】
<微細媒体逆洗による解決方法>
出願人により提案された解決方法は、
図6に示すように、濾過媒体床において、少なくとも最も微細な粒子寸法の次に微細な粒子寸法の密度よりも低い密度を有する微細媒体を用いる。通常の濾過媒体床の階層化に用いられる液体流量は、微細媒体には単純に大きすぎる。出願人は、媒体の密度が粒子寸法と共に増加することで、階層化が補助され、混合を生じさせないように空気流量が制御されている限り、空気逆洗中においても媒体層は階層化された状態を保つことが可能であることを発見した。このような空気逆洗中、媒体のより低い層は乱されることなく、微細媒体は低層の上部の懸濁液中に留まることができる。液体の流れにより微細媒体が貯蔵部から流出することがない限り、より低レベルの液体逆洗流と組み合わせることもできる。より高密度の媒体は、階層化工程中において、より大きな粒子寸法を有する媒体から微細媒体を分離することを補助し続けるため、微細媒体が他の媒体により捕捉されることを防ぐことができる。空気逆洗及び液体逆洗が停止すると、微細媒体は残りの階層化媒体の上部に配置される。
【0043】
いくつかの実施形態において、空気流量は、典型的には、40 m
3/m
2/hから55 m
3/m
2/hに亘り、例えば、0.15 mmの微細砂は55 m
3/m
2/ hの流量が適切であり、例えば、より大きな粒子又はより高い粘着性の微粒子を有する特定の構成を備える大きな濾過媒体を混合するときには、60 m
3/m
2/時間までであっても望ましい。空気は、流体入口152又は他の入口を通じて注入することができる。空気流制御手段(図示せず)は、所望の空気流を設定するために設けることができ、例えば、浮子式流量計、質量流量計又はピトー管流速計を用いて空気流を制御することができる。スクリーン116又は他のディフューザ(図示せず)を用いて空気分配を行うことができる。ディフューザを用いた空気流は(媒体床内で移動する気泡を生じさせる)泡を生成し、この泡により、微細媒体は、媒体床の上部の比較的十分な高さであるレベル220に到達した液体(清浄水)層225と混合される。微細媒体は、空気流が高いときに、微粒媒体110及び可能な中間媒体112と均質化される。
【0044】
しかしながら、媒体110及び112は、微細媒体128が水層225で懸濁されてる間も階層化された状態を保持する。上述したように、少量の液体流(例えば、レベル220が出口154に暫定的に近づくように上昇させる)は、微細媒体クラウド240及び微細媒体128を微粒媒体110から分離させ続けるために用いることができる。
【0045】
タンク100内で泡170が水層225に押し上げられるのに伴い、従来の空気逆洗に見られる強力な通過流を生じさせることなく、水流の向流は下方に流れる。このような作用は全体の流れの交流を作動させ、汚染物は、媒体床から徐々に上方226に流れ、流体レベル220と媒体床上部との間の水層225にて収集される。泡170の作用により、水層225内に押し上げられる微細媒体間に混合物は接着又は捕捉される。この交流の結果として、汚染物は水層225にて収集されるが、空気の供給が停止したとき、媒体床の微細媒体層にて再び捕捉られることはない。代わりに、媒体床の含有物が清浄であると判断されると、水層225内にて混合された汚染含有物は緩やかに流し出される。この流量は、実際には微量であるが、媒体床の最上(微細媒体)層128を乱さない程度に緩やかに流出が行われることを確実にすることで、フィルタに所望される全体の階層化を乱さないような構成とすることができるため重要である。代替的に、再階層化後、水層225における汚染物の収集は、媒体の上部から行うことが可能であり、すなわち、入口を通じて、例えば原液入口ノズル250(
図7参照)を用いて浄水を注入し、出口154を通じて汚染水を流出させることで可能となる。
【0046】
媒体床の最上層においてより低密度の微細媒体を用い、連続するより大きな粒子をより高密度とすることで、空気逆洗の終了が近づくにつれ、階層化が破壊されることを防ぐことができる。気泡170及び気泡が生成する流れは、媒体床の層を乱し、あるいは階層化の破壊を生じさせない。
【0047】
従って、空気逆洗洗浄により、最も粗い底部支持媒体はわずかに動くのみであるが、微細媒体128及び微細媒体を支持するより粗い媒体(微粒媒体110)を乱して、均質化を生じさせる。媒体の著しい乱れを回避するため、空気逆洗の後に、より粗い媒体の上部から微細媒体を分離させ、その上部に微細媒体を配置する。これは、粗い支持媒体には、微細媒体よりも高い密度を適用するよう選択することで主に達成することができる。空気洗浄終了時に低いレベルの液体逆流を加えることで、沈静化工程中に、より粗い支持媒体から微細媒体を分離させることを補助することができる。この逆流により、フィルタの上部を通じて微細媒体が流失するというリスクを回避することができる。更に逆洗における空気流は低減させることができ、これにより微粒媒体110上方の微細媒体128の懸濁状態を保ちながら、微粒媒体110を沈静化させることができる。空気流が阻止されると、微細媒体128と微粒媒体128との混合が生じることはない。従って、微細媒体を流失することなく、再階層化を回避することができる。
【0048】
各の表は、いくつかの実施形態における多様な媒体層が有し得る値を示す。
【表1】
【0049】
上述した第1試験の直後に第2試験を行い、出願人は空気流による逆洗を行った。この試験は、68 m
3/h(毎分300ガロン)の性能を有するフィルタを用いて米国のサウスダコタ州の工業用地にて行った。工場には、逆浸透膜(RO)システムに供給する良質な水が必要であった。工場では、ROシステムの前方で限外濾過(UF)膜を用いた。UF膜は、非常に急速に汚染され、源流を再生させるように浄化することはできなかった。このため、微細砂フィルタは、水の前処理をUF膜に到達する前に行うことで、水の濾過性を高め、UF膜に到達するいくつかの混濁物質を取り除くために用いられる。
【0050】
2つの水源が用いられ、湖から供給される約15〜30 NTUの濁度を有する第1水源、並びに池から供給される約100 NTU(から300 NTUまで)の濁度を有する第2水源を測定した。この池は、植物からの排水を有するため、再利用し、植物の水分平衡を改善させることができる。
【0051】
流入する濃縮物は、固形であるため、フィルタの除去機能を最適化するため約200 gpm (45 m
3/h)にてフィルタを用いた。
【0052】
フィルタを作動させ、懸濁濃縮物により、水のみによる逆洗の多くは約2時間に1度、引き起こされる。2週間の動作後、4 psiの媒体の差圧を保持することはできなかった。実際には、フィルタ媒体は、汚染され、連続的な数多くの水逆洗を行った後も浄化することができなかった。この試験において、230 NTUの最高濁度が観察された。これは、砂中に数多くの汚染物は存在するが、第1逆洗の後も収集されなかったことを示している。
【0053】
続いて、予備逆洗空気洗浄を作動させ、たった2回の逆洗後、フィルタは、200 gpmにて4 psiの媒体の差圧を有する、完全に洗浄された状態に回復可能である。フィルタは、約12週間、常時高負荷の有機懸濁物を有する状態で継続的に作動し、4 psiの清浄濾過差圧にて全面稼働状態に常に回復可能である。
【0054】
更なる試験において、11.19 NTU(薄黄色)の濁度を有する原水は、スペクトレックス社のレーザー・パーティクル・カウンターを用いて分析し、2.98マイクロメーターの平均粒径(標準偏差2.51マイクロメーター)を有し、総粒子量93,947/mlであることが分かった。微細粒子フィルタ出口は、1.98 NTU(大部分が清浄な状態)を有し、平均粒径(標準偏差2.03マイクロメーター)が2.35マイクロメーターであり、実質的な総粒子量が27,155/mlであることが分かった。
【0055】
この試験におけるフィルタの導入において、逆洗の開始前のフィルタの圧力は、17 psiまで低下した。逆洗前、NTUの差は約12 NTUであり、上述した空気逆洗洗浄の後、圧力は6 psiに低下し、NTUの差は、約13 NTUまで上昇した。この試験は、差圧が20 psi、NTUの差が21.4 NTU - 2.4 NTU = 19 NTUに到達し、空気逆洗洗浄後においては差圧が5 psiでNTUの差が21.3 NTU - 0.7 NTU = 20.6 NTUに到達したときに繰り返された。この試験は、差圧が20 psiでNTUの差が17.8 NTU - 2.4 NTU = 15.4 NTUに到達し、空気逆洗洗浄後においては差圧が4 psiでNTUの差が17.8 NTU - 1.1 NTU = 16.7 NTUに到達したときに繰り返された。
【0056】
階層化を妨害することなく行う微細粒子の空気逆洗により、微細媒体から汚染物を迅速に取り除くことが可能となり、従って、作動中のフィルタの休止時間が減少する。微細媒体は、0.5 マイクロンから 20 マイクロンの寸法を有する汚染物を捕捉するのにより効果的であるため、濾過の効率性を保持するためには、より頻度の高いフィルタの洗浄を要し、このような頻度の高い洗浄は、フィルタ媒体床の階層化を破壊させることなく空気逆洗を可能とする密度の組成物を有する媒体を空気逆洗することで促進することができる。
【0057】
<逆洗後の汚染水の流出>
汚染水は通常、フィルタ床を通じてタンク100に清浄水を導入することで、流し出すことができる。微細媒体を懸濁ないし流失させることがないように、微細媒体を有する場合の流量は、非常に低く設定しなければならない。従って、フィルタ媒体上において追加的な入口を用いることができる。流れにより微細媒体が乱されることがなければ、原液入口118を用いることができる。同様に、(微細媒体240又はあらゆる媒体床の内容物の)クラウドの形成を回避するために非常に緩やかな適切な流量を有する清浄水を、逆洗入口152を通じてタンクに導入することで、流出を開始させることができる。同様に適切な流量は、わずかに変化し、その一部は、媒体床内に存在する最微細層の直径により決定される。例えば、0.15 mmの直径を有する微細媒体の場合には、15 m
3/m
2/hの流量を適用することができる。流量はわずかに少なくすることもでき、例えば、0.2 mmの直径を有するガラスビーズの場合には、13 m
3/m
2/hの流量を適用することができる。わずかに大きな直径、例えば、0.3 mmの直径を有するガラスビーズ及び0.6 mmの直径を有するプラスチック粒子の場合には、25 m
3/m
2/hの流量に耐えうることができる。入口118, 152のいずれかから媒体床の表面に清浄水に方向づけることは重要な第1ステップであり、その後に水を流出させる。
【0058】
他の実施形態(
図7)において、表面に方向付けされたノズル250は、バッフル251を通じて水を排出させるよう方向付け、媒体床の上部表面を覆う汚染物、特に大きな粒子と共に汚染水を流し出すために設けることができる。逆洗のために、このような方法で1つ又はそれ以上のノズル250をバッフルと共に用いることは、タンク100から大量の砂を意図せずに流出させることなく、媒体床の最上層を洗浄するのに特に効果的である。バッフルの設計により、媒体床の表面にてスキミングを行う水流を流すことが可能となる。
【0059】
操作時には、上述したノズル250及びバッフル251を用いる液体スキマーは、典型的には、他のあらゆる洗浄作業を行う前に作動させることができる。このように作動させることで、クラスト102, 202又は微粒子104, 204を媒体床の上部で収集することが可能になるという利点がある。他の作業工程の前に媒体のメンテナンス工程において上部レベルの汚染物を収集することで、後続のあらゆる逆洗工程において、微細媒体の最上部における汚染物の存在(又は捕捉される)可能性を顕著かつ有利に排除することができる。更に、このような方法により、媒体床上部を備える微細媒体に同時に過度の撹拌又は乱流を生じさせることなく、汚染物を効果的に媒体床の上部から分散させることができる。通常作動中のフィルタの通常の流量が、136 m
3/h (600 gpm)に到達すると、バッフルからの流量は、フィルタの流量の約半分となり、最高で約68 m
3/h (300 gpm)となり得る。
【0060】
追加的に、バッフルを用いることは、機械的攪拌機を用いるよりも優れた改善案として当技術分野において知られている。攪拌機は、特別な複雑性を有する追加的な機械部品を要し、追加的な懸念事項を有するのに対して、バッフルの作動には、濾過工程で既に用いられた物理的インフラを用いるので有利である。既存のハードウェアと互換性を有する追加的な可動部を有さないことは、品質において更に有利であるとともに、従来の液体逆洗の短所を効率的に改善する。
【0061】
本明細書に記載する解決方法の特に有利な点として、洗浄剤の頻繁な使用を回避する可能性及び優位性を有する点である。典型的には、逆洗は、分、時、日に基づいて測定されるタイムスケールを要し、数ヵ月に亘って単一の使用に低減されることがなければ、界面活性剤又は凝集剤を追加する必要性を排除することができる。特定の濾過システムの構成は幅広く異なるが、洗剤の使用は、典型的には、本明細書に記載した逆洗方法が効果的でないと操縦者が考える理由がある場合、及び/又は洗浄剤を用いて砂を洗浄すべき現実的な必要がある場合など、稀な場合に限られる。より稀な例として、媒体床の内容物を全て再構成する必要がある場合である。
【0062】
図1〜
図7の記載は、あらゆる所望のタンク100の形状に関する。
図8は、水平円柱状の実施形態の断面図を示している。このような構成は、大きな媒体表面をコンパクトな構成にて示したものである。液体入口118は、T型継手を介してタンクの上面の側部ポート通って入り、原液をバッフル251に移送する4つのノズルを備えるプレナムに供給する。タンクに原液を供給するあらゆる適切な構成を用いることができる。当該実施形態において、微細媒体をバッフル251付近に設けることで、原液流により、微細媒体の濾過機能を向上させることができる。例えば、媒体は3種類の媒体を備えることができ、最も微細な媒体を上部に、中間粒径を有する媒体を中間に、最も粗い媒体を底部に設けることができる。スクリーン116は、排出口120と連通するメッシュ材料の円柱状のチューブである。スクリーン116は、上部にて閉じ、底部にて開くことができるため、媒体の底部から濾過液を収集することができる。スクリーン116の側部には、粗粒媒体内のスクリーンレベルにて気泡を発生させる空気導管152’が設けられている。空気導管152’は、スクリーン116を包囲し、媒体を3段階とする場合に、粗粒媒体と中間媒体との間の境界付近に設けることができる。このようにすることで、濾過液の排出を空気の移送と切り離すことができるが、いくつかの場合において、空気は、スクリーン116内の逆洗のために注入することもできる。より低い媒体は、空気導管152’から媒体及び微細媒体に向かって生じる気泡の分配を補助することができる。上述したように、空気逆洗は、媒体の再階層化を要するように、微細媒体と粗粒媒体との混合を生じさせることはない。