(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下枠とガラスとガラス受け部品とつぶれ防止部品とを備え、下枠は、ガラス溝と、ガラス溝の下方位置に室外側が開放した凹部を有し、ガラス受け部品は、ガラス溝内に設けてあり、つぶれ防止部品は、凹部内に保持してあり、ガラス受け部品の下に位置していることを特徴とする建具。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の建具の第1実施形態を示す縦断面図である。
【
図4】同建具におけるガラス受け部品及びつぶれ防止部品の配置を示す室外側正面図である。
【
図6】本発明の建具の第2実施形態を示す縦断面図である。
【
図7】同建具におけるガラス受け部品及びつぶれ防止部品の配置を示す室外側正面図である。
【
図8】本発明の建具の第3実施形態を示す縦断面図である。
【
図9】同建具におけるガラス受け部品及びつぶれ防止部品の配置を示す室外側正面図である。
【
図10】つぶれ防止部品の他の実施形態を示す縦断面図である。
【
図11】従来の嵌め殺し窓の下枠部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜4は、本発明の建具の第1実施形態であって、防火対応の嵌め殺し窓に適用した例を示している。本建具は、躯体開口部に取付けられる枠6と、枠6内に納めたガラス2を備える。
枠6は、
図1〜3に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる上枠7と下枠1と左右の縦枠8,8とを枠組みして構成してある。枠6は、内周側が開口したガラス溝4を有し、ガラス2は周縁部を枠6のガラス溝4に呑み込ませ、シール材9で固定してある。
【0008】
下枠1は、
図1に示すように、内周側が開口したガラス溝4を有し、ガラス溝4の室外側及び室内側の開口縁部には、シール材9の受け部10aとバックアップ材11の受け部10bが形成してある。ガラス溝4の室外側の壁12の室内側面と、ガラス溝4の室内側の壁13の室外側面には、火災の熱で発泡・膨張する加熱発泡材14,15が下枠1の長手方向に沿って設けてある。上枠7と縦枠8のガラス溝4内にも、加熱発泡材36が長手方向に沿って設けてある。
【0009】
下枠1のガラス溝4内には、
図1,4に示すように、左右2箇所にセッティングブロック16,16が設けてあり、左右のセッティングブロック16,16の内側に隣接して下がり防止部材3,3がそれぞれ設けてある。セッティングブロック16は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)で形成した直方体のブロック状のもので、ガラス2の下端を受けてガラス2の重量を下枠1に伝えている。
下がり防止部材3は、火災時にセッティングブロック16が溶融・軟化したとしても、ガラス2が下がらないように設けられるものであり、アルミニウム合金の押出形材で形成してあり、
図1に示すように、矩形断面の中空状の本体部17と、本体部17の室内側の壁の上部より室内側に向けてのびるL形断面の倒れ防止部5を有している。本体部17は、上面がガラス2の下端に近接しており、倒れ防止部5はバックアップ材11の受け部10bの室内側に沿わせて設けてある。セッティングブロック16と下がり防止部材3は、ガラス溝4の底壁19に両面テープで接着してある。
【0010】
下枠1は、
図1に示すように、ガラス溝4の下方位置に室外側が開放した凹部18を有している。ガラス溝4の底壁19には、左右両端より100mm程度内側に入った位置に水抜き孔20が設けてある。
凹部18内には、つぶれ防止部品21が保持してあり、つぶれ防止部品21は下枠1の長手方向全長に設けられており、セッティングブロック16及び下がり防止部材3の下方に位置している。つぶれ防止部品21は、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、垂直な外壁22及び内壁23と、それらを繋ぐ横壁24とを有している。外壁22は、凹部18の室外側で凹部18の上壁(ガラス溝の底壁)19と下壁25にわたって設けてある。内壁23は、凹部18の起立壁26の室外側に当接している。横壁24には、ガラス溝4の底壁19の水抜き孔20から左右方向にずれた位置、例えば左右両端より50mm程度内側に入った位置に水抜き孔27が設けてあり、外壁22には長手方向の両端部の下部に排水用の切欠き28が設けてある。したがって、ガラス溝4内に浸入した雨水は、
図1中に矢印29で示すように、ガラス溝4の底壁19の水抜き孔20とつぶれ防止部品21の横壁24の水抜き孔27と外壁22の切欠き28を通じて屋外に排水される。つぶれ防止部品21は、外壁22の上端部が凹部18の上壁(ガラス溝の底壁)19の室外側端部に形成された垂下片30に係止し、且つ
図3に示すように左右の縦枠8,8に両側から挟み込まれることで、凹部18内で動かないように保持されている。
【0011】
図5は、火災時における下枠1部の状態を示している。火災が発生すると、同図に示すように、ガラス溝4の室外側の壁12の室内側に取付けた加熱発泡材14が火災の熱で発泡して室内側に向けて膨張し、下がり防止部材3を押す。下がり防止部材3は、膨張した加熱発泡材14に押されることで倒れようとするが、倒れ防止部5が下枠1の上壁31の内側に係止することで、下がり防止部材3の倒れを規制できる。よって、火災時にも下がり防止部材3によりガラス2の下がりを防いだ状態が維持され、ガラス2が下がってガラス2の上端と上枠7との間に貫通口が開くことを防止できる。なお、
図5では、下がり防止部材3の状態を見やすくするために、ガラス溝4内の室内側の加熱発泡材15を省略している。
また本建具は、下枠1のガラス溝4の下方位置に室外側が開放した凹部18を有し、凹部18の起立壁26がガラス2の真下より室内側に位置しているため、火災時に下枠1が熱せられることで強度が低下すると、そのままではガラス2の重量によって凹部18がつぶれて下枠1が室外側におじぎするような形で変形し、それに伴ってガラス2が下がり、上枠7側に貫通口が開くおそれがあるが、凹部18内につぶれ防止部品21が設けてあり、つぶれ防止部品21がガラス2の重量を負担することで、そのような下枠1の変形を防止でき、ガラス2が下がって貫通口ができることを防止できる。
【0012】
以上に述べたように本建具は、下枠1のガラス溝4内に下がり防止部材3が設けてあり、下がり防止部材3は上面がガラス2の下端に当接又は近接しており、下枠1又は下がり防止部材3の一方又は両方に下がり防止部材3の倒れを規制する倒れ防止部5を有することで、火災時に下枠1が変形したり、発泡した加熱発泡材14に押されたりしても、下がり防止部材3の倒れを規制でき、貫通口が開くことを防止できる。
下枠1または下がり防止部材3は相手方に当接または係合している(実施形態のものは、下がり防止部材3の倒れ防止部5が下枠1に係合している)ことで、下がり防止部材3の倒れを確実に防止できる。
【0013】
本建具は、下枠1にガラス溝4と、ガラス溝4の下方位置に室外側が開放した凹部18を有し、ガラス溝4内にガラス受け部品(セッティングブロック16及び下がり防止部材3)が設けてあり、凹部18内につぶれ防止部品21が保持してあり、つぶれ防止部品21がガラス受け部品16,3の下に位置していることで、つぶれ防止部品21がガラス2の重量を受けるため、火災時に凹部18がつぶれて下枠1が室外側におじぎするような形で変形するのを防ぐことができるので、ガラス2の下がりを防止して防火性能を確保できる。
また本建具は、ガラス溝4の底壁19に凹部18に通ずる水抜き孔20が設けてあるので、ガラス溝4内に浸入した雨水を屋外に排水できる。
つぶれ防止部品21は、凹部18の室外側で凹部18の上壁(ガラス溝の底壁)19と下壁25にわたって設けた外壁22を有しているので、凹部18がつぶれるように変形するのを確実に防止できる。
さらに本建具は、ガラス受け部品(下がり防止部材3)が金属製であるため、火災時にガラス溝4内でガラス2が下がることを防止できる。
【0014】
図6,7は、本発明の建具の第2実施形態を示している。本実施形態の建具は、下枠のガラス溝4内に下がり防止部材3が左側と中央と右側の3箇所に設けてあり、左右の下がり防止部材3は、本体部の上面にEPDMのシート32を貼ることで、セッティングブロックとして用いている。
本実施形態の建具は、第1実施形態と同様に、下がり防止部材3の倒れを防止でき、ガラス2が下がって貫通口ができるのを防止できる。セッティングブロックを別に設ける必要がないため、構造が簡略化される。
【0015】
図8,9は、本発明の建具の第3実施形態を示している。下がり防止部材3は、倒れ防止部5を有しない角パイプ状のものとしてある。つぶれ防止部品21は、ピース状で下がり防止部材3の真下にのみ設けてあり、ネジ33で下枠1に固定してある。
本実施形態の建具も、火災時に下枠1の変形を防止し、ガラス2が下がって貫通口が開くのを防止できる。つぶれ防止部品21に水抜き孔や切欠きを形成する必要がない。
【0016】
図10は、つぶれ防止部品21の他の実施形態を示している。
図10(a)のつぶれ防止部品21は、外壁22と内壁23と上壁34と下壁35とを有する中空状としてある。
図10(b)のつぶれ防止部品21は、外壁22と内壁23と上壁34とを有する下側が開放したコ字形断面となっている。
図10(c)のつぶれ防止部品21は、外壁22と内壁23と下壁35とを有する上側が開放したコ字形断面となっている。
これらのつぶれ防止部品21は、
図1等に示すH形断面のものと同様に、下枠1の変形を防止する効果がある。H形断面のつぶれ防止部品21は、下枠1との接触面積が小さいため、凹部18に小口からスライドして挿入する際に挿入しやすい。
【0017】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。ガラス受け部品の形状、材質、取付位置、個数は、任意である。ガラスは、複層ガラスであってもよい。下枠はガラス溝と凹部とを有していればよく、具体的な断面形状、材質は、適宜変更することができる。つぶれ防止部品は、下枠の凹部がつぶれるのを防止できるものであればよく、材質、形状は、適宜変更することができる。