(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。
【0032】
なお、本明細書で説明する各図において、陽極、EL層、中間層、陰極などの大きさや厚
さ等の各構成要素の大きさは、個々に説明の明瞭化のために誇張されている場合がある。
よって、必ずしも各構成要素はその大きさに限定されず、また各構成要素間での相対的な
大きさに限定されない。
【0033】
また、本明細書等において、第1、第2、第3などとして付される序数詞は、便宜上用い
るものであって工程の順番や上下の位置関係などを示すものではない。そのため、例えば
、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。
また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられ
る序数詞は一致しない場合がある。
【0034】
また、本明細書等で説明する本発明の構成において、同一部分又は同様の機能を有する部
分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また
、同様の機能を有する部分を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さ
ない場合がある。
【0035】
また、色とは、一般に色相(単色光の波長に相当)、彩度(あざやかさ即ち白みを帯びて
いない度合)および明度(明るさ即ち光の強弱)の三要素によって規定される。また、本
明細書において色とは、上述の三要素のうちのいずれか一つの要素のみ、または任意で選
んだ2つの要素のみを示してもよい。また、本明細書において、2つの光の色が異なると
は、上述の三要素のうちいずれか少なくとも一つが異なることをいい、さらに、2つの光
のスペクトルの形状若しくは各ピークの相対強度比の分布が異なることをも含む。
【0036】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子について
図1を用いて説明する。
【0037】
図1は、陰極101と陽極105との間に、第1のEL層102と、中間層103と、第
2のEL層104と、を有する発光素子を示した図である。本実施の形態においては、E
L層の数を2としているが、3以上の層を積層した構造としてもよい。基板100上に陰
極101を形成し、陰極101上に第1のEL層102を形成し、第1のEL層102上
に中間層103を形成し、中間層の上に第2のEL層104を形成し、第2のEL層10
4の上に陽極105を形成して発光素子を作製する。基板100と陰極101との間には
電界効果トランジスタ(FET)が形成されていてもよく、陰極101には電界効果トラ
ンジスタ(FET)から供給される信号が入力される。
【0038】
基板100の上に、陰極101が形成される。陰極101には、様々な金属、合金、その
他の導電性材料、およびこれらの混合物などを用いることができる。例えば、仕事関数の
大きい材料である、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxi
de)、珪素または酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸
化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有
した酸化インジウム等の導電性を有する金属酸化物膜を用いることができる。これらの金
属酸化物膜は、スパッタリング法により形成することができる。または、ゾル−ゲル法な
どを用いて形成することができる。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium
Zinc Oxide)は、酸化インジウムに対し1wt%以上20wt%以下の酸化亜
鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸
化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムは、酸化インジウムに対し酸化タ
ングステンを0.5wt%以上5wt%以下、酸化亜鉛を0.1wt%以上1wt%以下
含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金
(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モ
リブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、
または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を用いることができる。また、仕事関
数の小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウ
ム(Li)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属、マグネシウム(Mg)、カルシウム(
Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、またはこれらを含む合金(マグ
ネシウムと銀の合金、アルミニウムとリチウムの合金)を用いることができる。また、ユ
ーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属、またはこれらを含む合金
等を用いることができる。また、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、アルミニウムを含
む合金(AlSi)等を用いることができる。アルカリ金属、アルカリ土類金属、または
これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成することができる。また、アルカリ金
属またはアルカリ土類金属を含む合金の膜はスパッタリング法により形成することも可能
である。また、これらの電極は、単層膜に限らず、積層膜で形成することもできる。
【0039】
なお、キャリアの注入障壁を考慮すると、陰極101としては、仕事関数の小さい材料を
用いることが好ましい。
【0040】
EL層の積層構造の上に、陽極105が形成される。陽極105として機能するため、仕
事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれら
の混合物などを用いて形成することが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−
酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素若しくは酸化ケイ素を
含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化タングステン及び
酸化亜鉛を含有した酸化インジウム等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通
常スパッタリング法により成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わな
い。作製方法の例としては、酸化インジウム−酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1乃至
20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成する方法
などがある。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムは、酸化イ
ンジウムに対し酸化タングステンを0.5乃至5wt%、酸化亜鉛を0.1乃至1wt%
含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することもできる。この他、金
(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モ
リブデンMo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、ま
たは金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。グラフェンも用いること
ができる。
【0041】
陽極105を、透光性を有する材料で形成すると、トップエミッション構造の発光素子と
することができる。その一方で、陽極105を、透光性がなく反射性を有する材料で形成
し、陰極101に透光性を与えることにより、ボトムエミッション構造の発光素子とする
ことができる。
【0042】
次に、発光素子及び中間層の構成について説明する。
【0043】
≪EL層の構成≫
EL層は、少なくとも発光物質を有する発光層を有し、逆構造においては陰極側から電子
注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層の順に形成される。各層は必ずし
も単層である必要はなく、2以上の層から構成されてもよい。また、電子注入層及び電子
輸送層の機能を1の層で実現してもよく、正孔輸送層及び正孔注入層の機能を1の層で実
現することもできる。また、発光層以外の層のうち1又は複数の層が省略される場合もあ
る。
【0044】
電子注入層について説明する。まず、EL層の陰極側に電子注入層を形成する。電子注入
層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、フッ化リチウム(LiF
)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF
2)、酸化リチウム(LiO
x)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることが
できる。また、フッ化エルビウム(ErF
3)のような希土類金属化合物を用いることが
できる。また、電子輸送層を構成する物質を用いることもできる。
【0045】
あるいは、電子注入層に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料
を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生す
るため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発
生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば後述の電子輸
送層を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与
体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカ
リ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム
、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物
やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸
化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる
。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
【0046】
電子注入層上に、電子輸送層を形成する。電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層
である。電子輸送層には、Alq
3、Almq
3、BeBq
2、BAlq、ZnPBO、
ZnBTZなどの金属錯体を用いることができる。また、PBD、OXD−7、TAZ、
3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフ
ェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、Bphen、BCP
、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:Bz
Os)などの複素芳香族化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5−ピリジンジ
イル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−
co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオク
チルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル
)](略称:PF−BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた
物質は、主に10
−6cm
2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よ
りも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いてもよい
。
【0047】
また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したも
のとしてもよい。
【0048】
電子輸送層上に発光層を形成する。発光層は、発光性の物質を含む層である。発光層は、
発光物質のみで構成されていても、ホスト材料中に発光物質が分散された状態で構成され
ていても良い。
【0049】
発光物質として用いることが可能な材料には、特に限定は無く、これらの物質が発する光
は、蛍光であっても燐光であっても良い。なお、上記発光物質としては、例えば、以下の
ようなものが挙げられる。
【0050】
燐光を発する物質としては、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェ
ニル]ピリジナト−N,C
2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF
3ppy)
2(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト
−N,C
2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)、
トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)
3)、
ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:I
r(ppy)
2(acac))、トリス(アセチルアセトナート)(モノフェナントロリ
ン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)
3(Phen))、ビス(ベンゾ[
h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)
2
(acac))、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C
2’)イリ
ジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)
2(acac))、ビス
{2−[4’−(パーフルオロフェニル)フェニル]ピリジナト−N,C
2’}イリジウ
ム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)
2(acac))、
ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C
2’)イリジウム(III)アセチルアセ
トナート(略称:Ir(bt)
2(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−
α]チエニル)ピリジナト−N,C
3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(
略称:Ir(btp)
2(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C
2
’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)
2(acac)
)、(アセチルアセトナート)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリ
ナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)
2(acac))、(アセチルア
セトナート)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)
(略称:[Ir(mppr−Me)
2(acac)])、(アセチルアセトナート)ビス
(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略
称:[Ir(mppr−iPr)
2(acac)])、(アセチルアセトナート)ビス(
2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)
2(acac))、ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナ
ト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)
2(dpm)])、(アセチルア
セトナート)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(I
II)(略称:[Ir(tBuppm)
2(acac)])、(アセチルアセトナート)
ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dpp
m)
2(acac)])、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−2
1H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(1,3−ジフ
ェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)
(略称:Eu(DBM)
3(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3
−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:
Eu(TTA)
3(Phen))などが挙げられる。
【0051】
また、上記ホスト材料に用いることが可能な材料としては、特に限定はないが、例えば、
トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メ
チル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq
3)、ビス(10−
ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq
2)、ビス(
2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(
略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2
−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[
2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金
属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,
4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフ
ェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、
3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1
,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼン
トリイル)−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、
バソフェナントロリン(略称:Bphen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、9−
[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−
カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物、NPB、TPD、BSPBなどの
芳香族アミン化合物が挙げられる。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、
ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族
化合物が挙げられ、具体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnt
h)、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]
−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9
−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、YGAPA、PCAPA、N
,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フ
ェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)2PCAPA、6,
12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、DBC1、CzPA、3,6−ジフ
ェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾー
ル(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセ
ン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、
2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuD
NA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3
’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’
−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5−トリ(1−ピレニル)
ベンゼン(略称:TPB3)などを挙げることができる。これら及び公知の物質の中から
、上記発光物質のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する物質を、一
種もしくは複数種選択して用いればよい。また、発光物質が燐光を発する物質である場合
、ホスト材料としては、発光物質の三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態と
のエネルギー差)よりも三重項励起エネルギーの大きい物質を選択すれば良い。
【0052】
なお、発光層は2層以上が積層された構成としてもよい。例えば、第1の発光層と第2の
発光層を電子輸送層側から順に積層して発光層とする場合、第1の発光層のホスト材料と
して電子輸送性を有する物質を用い、第2の発光層のホスト材料として正孔輸送性を有す
る物質を用いる構成などがある。
【0053】
発光層上に、正孔輸送層を形成する。正孔輸送層に用いる正孔輸送性の高い物質として、
例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略
称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,
1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス
(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’
−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,
4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニ
ルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオ
レン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族ア
ミン化合物、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ
]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フ
ェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(
略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾー
ル−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等が挙げ
られる。その他、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,
3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、C
zPA等のカルバゾール化合物、等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に1
0
−6cm
2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送
性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
【0054】
さらに、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェ
ニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニル
アミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](
略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス
(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いること
もできる。
【0055】
正孔輸送層上に、正孔注入層が形成される。正孔注入層は正孔注入性の高い物質を含む層
である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物
、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:H
2Pc)
や銅フタロシアニン(CuP
C)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−
(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB
)、N,N’−ビス{4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N,N’
−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)等
の芳香族アミン化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(ス
チレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層を形成す
ることができる。
【0056】
また、正孔注入層として、正孔輸送性の物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料
を用いることができる。なお、正孔輸送性の物質にアクセプター性物質を含有させたもの
を用いることにより、電極の仕事関数に依らず電極を形成する材料を選ぶことができる。
つまり、正孔注入層として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料も用
いることができるようになる。アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシ
アノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F
4−TCNQ)、クロラ
ニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周
期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には
、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タン
グステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、
酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0057】
複合材料に用いる正孔輸送性の物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体
、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々
の有機化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔
輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10
−6cm
2/Vs以上
の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。以下では、複合材料における正孔輸送
性の物質として用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0058】
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェ
ニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジ
フェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,
N’−ビス{4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N,N’−ジフェ
ニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,
5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(
略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0059】
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(
9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾ
ール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−
イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、
3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−
9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0060】
また、複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、他に、4,4’−ジ
(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カ
ルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9
−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4
−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用い
ることができる。
【0061】
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−
ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−t
ert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5
−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,
10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10
−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセ
ン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnt
h)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、
2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン
、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テ
トラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチ
ル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10
’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル
)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェ
ニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペ
リレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また
、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10
−6c
m
2/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14から42である芳香族炭化水素を用いる
ことがより好ましい。
【0062】
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい
。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジ
フェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジ
フェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0063】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニ
ルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルア
ミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略
称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(
フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)等の高分子化合物を用いることもで
きる。
【0064】
正孔注入層を形成することによって、正孔の注入性が良好となり、駆動電圧の小さい発光
素子を得ることが可能となる。
【0065】
このように、陰極側から、電子注入層と、電子輸送層と、発光層と、正孔輸送層と、正孔
注入層とが形成され、EL層が形成される。なお、EL層は発光層が必須であるが、他の
層のうち1又は複数の層が省略される場合もある。また、タンデム型の発光素子において
形成される複数のEL層の各層の構成は、それぞれ同様の材料・厚さとすることも可能で
あり、それぞれ異なるものとすることも可能であり、一部を同様とし他を異なるものとす
ることも可能である。
【0066】
≪中間層の構成≫
タンデム型発光素子において、複数のEL層の間に中間層を形成する。逆構造のタンデム
型発光素子においては、中間層を構成する層として、陰極側から、電荷発生層、電子リレ
ー層、電子注入バッファー層が形成される。さらに、本発明の一態様に係る逆構造のタン
デム型発光素子においては、電子注入バッファー層と電荷発生層との間に、電子注入バッ
ファー層の材料に含まれる金属の拡散を抑制する層を有する。
【0067】
中間層を構成する各層について説明する。
【0068】
電荷発生層は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む層である。アクセプタ
ー性物質によって正孔輸送性の高い物質から電子が引き抜かれるため、引き抜かれた電子
が、電子注入性を有する電子注入バッファー層を経て中間層に隣接する陽極側のEL層に
注入される。電荷発生層を有するタンデム型発光素子は、電流密度を低く保ったまま、高
輝度領域での長寿命素子を実現することができる。また、電極材料の抵抗による電圧降下
を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。
【0069】
電荷発生層は、有機化合物と金属酸化物の複合材料、金属酸化物の他、これらを適宜組み
合わせて形成することができる。有機化合物と金属酸化物の複合材料としては、例えば、
有機化合物と酸化バナジウムや酸化モリブデンや酸化タングステン等の金属酸化物を含む
。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高
分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いること
ができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10
−
6cm
2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送
性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、電荷発生層に用いるこ
れらの材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、発光素子の低電流駆
動、および低電圧駆動を実現することができる。
【0070】
なお、電荷発生層は、有機化合物と金属酸化物の複合材料と他の材料とを組み合わせて形
成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質
の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成
してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み
合わせて形成してもよい。
【0071】
このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、
材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすること
が容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である
。なお、電荷発生層とは、陰極と陽極との間に電圧を印加したときに、電荷発生層に接し
て形成されるEL層に対して正孔を注入する機能を有し、他方のEL層に電子を注入する
機能を有する。
【0072】
電荷発生層の上に、電子リレー層を形成する。電子リレー層は、電子輸送性材料により形
成する。電子輸送性の高い材料を用いると、電荷発生層から電子注入バッファー層へ電子
を速やかに送ることが可能となる。
【0073】
電子リレー層に含まれる電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属
−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0074】
電子リレー層に含まれる金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属
−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はア
クセプター性(電子を受容しやすい性質)を有するため、電子の移動(授受)がより容易
になる。また、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体は安定である。したがって、金属
−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることにより発光素子を低電圧でより安定に駆
動することが可能になる。
【0075】
金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としてはフタロシアニン系材料が好まし
い。特に、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすく、アクセ
プター性が高い材料を用いることが好ましい。
【0076】
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。
具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好
ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶である。そのため、
発光素子を形成する上で扱いやすいという利点を有する。また、溶媒に可溶であるため、
成膜に用いる装置のメンテナンスが容易になるという利点を有する。
【0077】
電子リレー層上に、電子注入バッファー層を形成する。電子注入バッファー層は、中間層
に隣接する陽極側のEL層へ電子を注入する障壁を緩和し、電子注入効率を高める層であ
る。
【0078】
電子注入バッファー層には、上述のEL層の電子注入層に用いられる電子注入性の材料を
用いることができる。電子注入性の物質としては、例えば、リチウム、セシウム、カルシ
ウム、酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、
フッ化カルシウム、フッ化エルビウム等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土
類金属又はこれらの化合物(酸化物、炭酸塩、ハロゲン化物など)を用いることができる
。なお、電子注入バッファー層は前記電子注入性物質のみからなる層を有することができ
る。即ち、電子注入バッファー層はリチウム、セシウム、カルシウム、酸化リチウム、炭
酸リチウム、炭酸セシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、フッ
化エルビウム等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属又はこれらの化合
物(酸化物、炭酸塩、ハロゲン化物など)の一つから構成されている層を含むことができ
る。
【0079】
イオン化したアルカリ金属乃至アルカリ土類金属は半径が比較的小さなイオンであること
が知られており、各種層中において比較的容易に移動するイオンであることが知られてい
る。電荷発生層と電子注入バッファー層との間に、後述のアルカリ金属乃至アルカリ土類
金属の拡散を抑制する層を設けずに電子注入バッファー層を形成すると、電子注入バッフ
ァー層の材料に含まれるアルカリ金属乃至アルカリ土類金属が電子リレー層を経て移動し
、電荷発生層に達するため問題となる。しかし、本発明の一態様に示されるようにアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の拡散を抑制する機能を有する層を電荷発生層と電子注入
バッファー層との間に設けることにより、電荷発生層に達するアルカリ金属乃至アルカリ
土類金属を低減することができるため、該問題が抑えられる。
【0080】
電荷発生層と電子注入バッファー層の間に、層を形成する。当該層は、電子注入バッファ
ー層の材料に含まれるアルカリ金属またはアルカリ土類金属元素が電子注入バッファー層
の被形成層に拡散し、電荷発生層に到達することを抑制する機能を有する。電荷発生層に
該金属が拡散すると、電荷発生層中のアクセプター性物質に対して電子供与性(ドナー性
)を有する該金属がその機能を阻害するため、発光素子の駆動電圧の上昇や発光効率の低
下を引き起こし、EL発光が阻害される。
【0081】
順構造のタンデム型発光素子においては、中間層は電子注入バッファー層が最初に形成さ
れ、その被形成層は、直下のEL層の電子輸送層または電子注入層となる。電子注入バッ
ファー層の材料に含まれるアルカリ金属乃至アルカリ土類金属が、電子注入バッファー層
の形成の際に、直下のEL層の電子輸送層または電子注入層に拡散すると、該金属が電子
供与体(ドナー)として機能し、電子輸送層または電子注入層の電子輸送性が向上し、発
光素子の特性向上に寄与する。そのため、アルカリ金属乃至アルカリ土類金属の拡散が問
題となることはなかった。
【0082】
一方、逆構造のタンデム型発光素子においては、中間層を形成する際に、電子注入バッフ
ァー層の材料に含まれるアルカリ金属乃至アルカリ土類金属が、電荷発生層に拡散する。
すると、該金属が電子供与体(ドナー)として振る舞い、電荷発生層が有するアクセプタ
ー性材料との間でキャリアの再結合を引き起こし、電荷発生層の機能が低下し、発光素子
の駆動電圧の上昇や発光効率の低下を引き起こし、発光素子の性能の低下を招く、との問
題が生じた。電子注入バッファー層と電荷発生層との間に電子リレー層を配しても、アル
カリ金属乃至アルカリ土類金属の拡散による影響を抑制するには不十分であった。そこで
、本発明の一態様においては、アルカリ金属乃至アルカリ土類金属の拡散により生じる問
題を解決するために、アルカリ金属またはアルカリ土類金属元素の拡散を抑制することが
できる機能を有する層を設けることとした。
【0083】
アルカリ金属乃至アルカリ土類金属の拡散を抑制することができる機能を有する層に用い
られる材料としては、電子輸送性の高い材料であることが好ましい。特に、拡散して混入
したアルカリ金属乃至アルカリ土類金属を、電子供与体(ドナー)として機能させること
ができる有機化合物材料であることが好ましい。そのような有機化合物材料に電子供与体
(ドナー)としてアルカリ金属乃至アルカリ土類金属が混入した複合材料は、電子供与体
によって該有機化合物に電子が発生するため、電子輸送性に優れている。この場合、有機
化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましい。
【0084】
具体的には、Alq
3、Almq
3、BeBq
2、BAlq、ZnPBO、ZnBTZな
どの金属錯体を用いることができる。また、PBD、OXD−7、TAZ、3−(4−t
ert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−
1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、Bphen、BCP、4,4’−
ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などの
複素芳香族化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5−ピリジンジイル)(略称
:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリ
ジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレ
ン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:
PF−BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。なお、アルカリ金属乃至ア
ルカリ土類金属の拡散を抑制することができる機能を有する層はAlq
3、Almq
3、
BeBq
2、BAlq、ZnPBO、ZnBTZなどの金属錯体、PBD、OXD−7、
TAZ、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(
4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、Bphen
、BCP、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略
称:BzOs)などの複素芳香族化合物、ポリ(2,5−ピリジンジイル)(略称:PP
y)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−
3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2
,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−
BPy)のような高分子化合物のうちの一つで構成されることもできる。ここに述べた物
質は、主に10
−6cm
2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。
【0085】
また、当該層の材料は、電子リレー層が有する材料とは異なる材料とすることが望ましい
。電子リレー層とは異なる材料を用いて電子リレー層と組み合わせることで、電子輸送性
と該金属の拡散を抑制する機能を適切に調整することができる。また、当該層は単層だけ
ではなく、二以上の層を積層したものとしてもよい。
【0086】
本発明の一態様により、発光素子の性能の低下を抑えた上で、タンデム型であることの利
点と逆構造であることの利点とを併せて享受することができる。
【0087】
≪発光素子の構成≫
本発明の一態様の発光素子について
図1を用いて説明する。
図1は、基板100に形成さ
れた陰極101上に第1のEL層102が形成され、第1のEL層102上に中間層10
3が形成され、中間層103上に第2のEL層104が形成され、第2のEL層104上
に陽極105が形成された発光素子の構造図である。
図1において、第1のEL層102
は、電子注入層102a、電子輸送層102b、発光層102c、正孔輸送層102dを
有し、中間層103は、電荷発生層103a、電子リレー層103b、アルカリ金属乃至
アルカリ土類金属の拡散を抑制する層103c、電子注入バッファー層103dを有し、
第2のEL層は、電子輸送層104a、発光層104b、正孔輸送層104c、正孔注入
層104dを有している。
【0088】
本実施の形態では、EL層を2層有する発光素子について説明したが、
図2に示すように
、n層(ただし、nは、3以上)のEL層(202(1)から202(n))を積層し、
これらのEL層(202(1)から202(n))の間にそれぞれアルカリ金属乃至アル
カリ土類金属の移動を抑制する機能を有する層を有する中間層(205(1)から205
(n−1))を配置した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施
の形態に係る発光素子のように、陰極と陽極との間に複数のEL層を有する場合、EL層
とEL層との間にアルカリ金属乃至アルカリ土類金属の移動を抑制する機能を有する層を
有する中間層を配置することで、逆構造としながらもタンデム型発光素子の利点を享有す
ることができる。すなわち、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での発光が可能であ
る。電流密度を低く保てるため、長寿命素子を実現できる。また、大きな発光面を有する
発光装置、電子機器、及び照明装置等に応用した場合は、電極材料の抵抗による電圧降下
を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。
【0089】
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望
の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1
のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素
子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合する
と無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得
られた光と混合すると、白色発光を得ることができる。
【0090】
また、3つのEL層を有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1のEL層の発
光色が赤色であり、第2のEL層の発光色が緑色であり、第3のEL層の発光色が青色で
ある場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
【0091】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせることが
できる。
【0092】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1に記載の発光素子を有する発光装置について説明
する。
【0093】
なお、上記発光装置は、パッシブマトリクス型の発光装置でもアクティブマトリクス型の
発光装置でもよい。また、本実施の形態に示す発光装置には、実施の形態1で説明した発
光素子を適用することが可能である。
【0094】
本実施の形態では、アクティブマトリクス型の発光装置について
図3を用いて説明する。
【0095】
なお、
図3(A)は発光装置を示す上面図であり、
図3(B)は
図3(A)を鎖線A−A
’で切断した断面図である。本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、
素子基板501上に設けられた画素部502と、駆動回路部(ソース線駆動回路)503
と、駆動回路部(ゲート線駆動回路)504a、504bと、を有する。画素部502、
駆動回路部503、及び駆動回路部504a、504bは、シール材505によって、素
子基板501と封止基板506との間に封止されている。
【0096】
また、素子基板501上には、駆動回路部503、及び駆動回路部504a、504bに
外部からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号
等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線507が設けられる。
ここでは、外部入力端子としてFPC(フレキシブルプリントサーキット)508を設け
る例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリ
ント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、
発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むも
のとする。
【0097】
次に、断面構造について
図3(B)を用いて説明する。素子基板501上には駆動回路部
及び画素部が形成されているが、ここでは、ソース線駆動回路である駆動回路部503と
、画素部502が示されている。
【0098】
駆動回路部503はnチャネル型FET509とpチャネル型FET510とを組み合わ
せたCMOS回路が形成される例を示している。なお、駆動回路部を形成する回路は、種
々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、スタガ
型、逆スタガ型いずれのFETを用いてもよい。さらに、FETに用いられる半導体膜の
結晶性についても特に限定されず、非晶質でも結晶性を有していてもよい。また、半導体
層に酸化物半導体を用いても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成し
たドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に駆動回路
を形成することもできる。
【0099】
また、画素部502はスイッチングFET511と、電流制御用FET512と電流制御
用FET512の配線(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続された陰極513
とを含む複数の画素により形成される。なお、陰極513の端部を覆って絶縁物514が
形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂を用いることにより形成する。
【0100】
また、上層に積層形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物514の上端部
または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶縁物
514の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物514の上端部に
曲率半径(0.2μm以上3μm以下)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、
絶縁物514として、ネガ型の感光性樹脂、或いはポジ型の感光性樹脂のいずれも使用す
ることができ、有機化合物に限らず無機化合物、例えば、酸化シリコン、酸窒化シリコン
等、の両者を使用することができる。
【0101】
陰極513上には、第1のEL層515、中間層516、第2のEL層517及び陽極5
18が積層形成されている。第1のEL層515及び第2のEL層517は、少なくとも
発光層が設けられている。また、第1のEL層515及び第2のEL層517にはそれぞ
れ、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層等を適
宜設けることができる。なお、陰極513から陽極518までの構造を実施の形態1に記
載の発光素子とすることができる。
【0102】
なお、陰極513、第1のEL層515・中間層516・第2のEL層517(まとめて
図示する)及び第2の電極(陽極)518が形成されている。陰極513、第1のEL層
515、中間層516、第2のEL層517及び陽極518に用いる材料としては、実施
の形態1に示す材料を用いることができる。また、ここでは図示しないが、陽極518は
外部入力端子であるFPC508に電気的に接続されている。
【0103】
また、
図3(B)に示す断面図では発光素子519を1つのみ図示しているが、画素部5
02において、複数の発光素子がマトリクス状に配置されているものとする。画素部50
2には、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フ
ルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。また、カラーフィルターと組み合
わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
【0104】
さらに、シール材505で封止基板506を素子基板501と貼り合わせることにより、
素子基板501、封止基板506、およびシール材505で囲まれた空間520に発光素
子519が備えられた構造になっている。なお、空間520には、不活性気体(窒素やア
ルゴン等)が充填される場合の他、シール材505で充填される構成も含むものとする。
【0105】
なお、シール材505にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料は
できるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板506に
用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiber−Reinforce
d Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリ
ル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0106】
また、本明細書等において、様々な基板を用いて、トランジスタや発光素子を形成するこ
とが出来る。基板の種類は、特定のものに限定されることはない。その基板の一例として
は、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英
基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホ
イルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板
、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどがある。ガラス基
板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダ
ライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例と
しては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポ
リエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表されるプ
ラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の合成樹脂などがある。または、
一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニル
などがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無
機蒸着フィルム、又は紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板、又はSOI基板
などを用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイズ、又は形状などのばら
つきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。
このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、又は回路の高
集積化を図ることができる。
【0107】
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタや発光素子を
形成してもよい。または、基板とトランジスタの間や、基板と発光素子の間に剥離層を設
けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板より
分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、トランジスタや発光素
子は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば
、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造の構成や、基板上にポリイミド
等の有機樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
【0108】
つまり、ある基板を用いてトランジスタや発光素子を形成し、その後、別の基板にトラン
ジスタや発光素子を転置し、別の基板上にトランジスタや発光素子を配置してもよい。ト
ランジスタや発光素子が転置される基板の一例としては、上述したトランジスタや発光素
子を形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロファン基板、アラミドフィルム基板
、ポリイミドフィルム基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合
成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュ
プラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板などがある
。これらの基板を用いることにより、特性のよいトランジスタの形成、消費電力の小さい
トランジスタの形成、壊れにくい装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、又は薄型化を図る
ことができる。
【0109】
以上のようにして、アクティブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
【0110】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用い
ることができる。
【0111】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1に記載の発光素子を適用して作製された発光装置を用い
て完成させた様々な電子機器の一例について、
図4を用いて説明する。
【0112】
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジ
ョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオ
カメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置とも
いう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機
などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を
図4に示す。
【0113】
図4(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐
体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示す
ることが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは
、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。なお、表示部71
03は、実施の形態1に記載の発光素子をマトリクス状に配列して構成された発光装置を
有している。
【0114】
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモ
コン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー
7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示され
る映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機
7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0115】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機に
より一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線によ
る通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送
信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0116】
図4(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キー
ボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。
なお、コンピュータは、発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
なお、表示部7203は、実施の形態1に記載の発光素子をマトリクス状に配列して構成
された発光装置を有している。
【0117】
図4(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成され
ており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7
304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。なお、表示
部7304、7305は、実施の形態1に記載の発光素子をマトリクス状に配列して構成
された発光装置を有している。
【0118】
また、
図4(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部
7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、マ
イクロフォン7312)、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回
転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電
力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定あるいは感知する機能を
含むもの)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、
少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、又は一方に発光装置を用いてい
ればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。
【0119】
図4(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読
み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する
機能を有する。なお、
図4(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、
様々な機能を有することができる。
【0120】
図4(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に
組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピ
ーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装
置を表示部7402に用いることにより作製される。なお、表示部7402は、実施の形
態1に記載の発光素子をマトリクス状に配列して構成された発光装置を有している。
【0121】
図4(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報
を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、
表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0122】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表
示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示
モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0123】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を
主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合
、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ま
しい。
【0124】
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロセンサや加速度センサ等の検出器を設けるこ
とで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を
自動的に切り替えるようにすることができる。
【0125】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作
ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類に
よって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画の
データであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0126】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号に基づき、表示
部7402のタッチ操作による入力が一定期間ないと判断される場合には、画面のモード
を入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0127】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部74
02に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。ま
た、表示部に近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮
像することもできる。
【0128】
図5(A)及び
図5(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。
図5(A)は、開
いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部963
1b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モード切り
替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。なお、当該
タブレット型端末は、発光装置を表示部9631a、表示部9631bの一方又は両方に
用いることにより作製される。なお、表示部9631a、表示部9631bの一方又は両
方は、実施の形態1に記載の発光素子をマトリクス状に配列して構成された発光装置を有
している。
【0129】
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示され
た操作キー9637に触れることでデータ入力をすることができる。なお、表示部963
1aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域
がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部963
1aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部96
31aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示
画面として用いることができる。
【0130】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部
をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード
表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどで触れることで
表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
【0131】
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタ
ッチ入力することもできる。
【0132】
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向きを
切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えス
イッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで測定される使用時の外光
の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光セン
サだけでなく、ジャイロセンサや加速度センサ等の検出器を内蔵させてもよい。
【0133】
また、
図5(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示して
いるが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の
品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルと
してもよい。
【0134】
図5(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池963
3、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有す
る。
【0135】
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態に
することができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐
久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
【0136】
また、この他にも
図5(A)及び
図5(B)に示したタブレット型端末は、カレンダー、
日付又は時刻などの様々な情報を静止画、動画、あるいはテキスト画像として表示部に表
示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々
なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
【0137】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、
表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、
表示部9631aと表示部9631bの一方または両方に電力を供給するバッテリー96
35の充電を行う構成とすることができるため好適である。なおバッテリー9635とし
ては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0138】
また、
図5(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について
図5(C)に
ブロック図を示し説明する。
図5(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635、
DCDCコンバータ9636、コンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3、表示部
9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コン
バータ9638、スイッチSW1乃至SW3が、
図5(B)に示す充放電制御回路963
4のそれらに対応する。
【0139】
外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽
電池9633で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようD
CDCコンバータ9636で昇圧または降圧される。そして、表示部9631の動作に太
陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9
638で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧することとなる。また、表示部9
631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー9
635の充電を行う構成とすればよい。
【0140】
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧
電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッ
テリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受
信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成
としてもよい。
【0141】
上述したように、上記電子機器の発光装置に含まれる発光素子は実施の形態1に記載の発
光素子であるため、発光効率が高く、駆動電圧が低く、かつ寿命が長い。そのため、消費
電力が低減され、駆動電圧が低く、かつ、信頼性の高い電子機器を製造することができる
。なお、上記実施の形態で説明した表示部を具備していれば、
図5に示した電子機器に特
に限定されないことは言うまでもない。
【0142】
以上のようにして、本発明の一態様である発光装置を適用して電子機器を得ることができ
る。発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能で
ある。
【0143】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用い
ることができる。
【0144】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1に記載の発光素子を適用して作製された発光装置を用い
て完成させた照明装置の一例について、
図6を用いて説明する。
【0145】
図6は、発光装置を室内の照明装置8001として用いた例である。なお、発光装置は大
面積化も可能であるため、大面積の照明装置を形成することもできる。その他、曲面を有
する筐体を用いることで、発光領域が曲面を有する照明装置8002を形成することもで
きる。本実施の形態で示す発光装置に含まれる発光素子は薄膜状であり、筐体のデザイン
の自由度が高い。したがって、様々な意匠を凝らした照明装置を形成することができる。
さらに、室内の壁面に大型の照明装置8003を備えても良い。
【0146】
また、発光装置をテーブルの表面に用いることによりテーブルとしての機能を備えた照明
装置8004とすることができる。なお、その他の家具の一部に発光装置を用いることに
より、家具としての機能を備えた照明装置とすることができる。
【0147】
以上のように、発光装置を適用した様々な照明装置が得られる。なお、本実施の形態に示
した照明装置は、実施の形態1に記載の発光素子をマトリクス状に配列して構成された発
光装置を有している。発光装置に含まれる発光素子は、発光効率の良好な発光素子とする
ことが可能である。また、駆動電圧の低い発光素子とすることが可能である。また、寿命
の長い発光素子とすることが可能である。そのため、当該発光素子で構成される発光装置
を適用した照明装置は、消費電力の低減された照明装置とすることができる。また、駆動
電圧の低い照明装置とすることが可能である。また、信頼性の高い照明装置とすることが
できる。なお、これらの照明装置は本発明の一態様に含まれるものとする。
【0148】
また、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用い
ることができる。
【0149】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子を用いて作製される発光装置について
、
図13を用いて説明する。
【0150】
図13(A)に、本実施の形態で示す発光装置の平面図、および平面図における一点鎖線
C−D間の断面図を示す。
【0151】
図13(A)に示す発光装置は、第1の基板2001上に逆構造のタンデム型発光素子を
含む発光部2002を有する。また、発光装置は、発光部2002の外周を囲むように第
1の封止材2005aが設けられ、第1の封止材2005aの外周を囲むように第2の封
止材2005bが設けられた構造(いわゆる、二重封止構造)である。
【0152】
したがって、発光部2002は、第1の基板2001、第2の基板2006および第1の
封止材2005aにより囲まれた空間に配置されている。発光部2002は実施の形態1
に記載の発光素子を有する。
【0153】
なお、本明細書中で、第1の封止材2005a、および第2の封止材2005bはそれぞ
れ、第1の基板2001および第2の基板2006に接する構成に限られない。例えば、
第1の基板2001上に形成された絶縁膜や導電膜が、第1の封止材2005aと接する
構成であっても良い。
【0154】
上記構成において、第1の封止材2005aが乾燥剤を含む樹脂層とし、第2の封止材2
005bがガラス層とすることにより、外部からの水分や酸素などの不純物の入り込みを
抑制する効果(以下、封止性と呼ぶ)を高めることができる。
【0155】
このように第1の封止材2005aを樹脂層とすることで、第2の封止材2005bのガ
ラス層に割れやひび(以下、クラックと呼ぶ)が発生することを抑制することができる。
また、第2の封止材2005bによる、封止性が十分に得られなくなった場合において、
第1の空間2013に水分や酸素などの不純物が侵入したときでも、第1の封止材200
5aの高い封止性により、第2の空間2011内に不純物が入り込むのを抑制することが
できる。よって、発光素子に含まれる有機化合物や金属材料等の不純物による劣化を抑制
することができる。
【0156】
また、別の構成として、
図13(B)に示すように第1の封止材2005cがガラス層と
し、第2の封止材2005dが乾燥剤を含む樹脂層とすることもできる。
【0157】
なお、本実施の形態で示した発光装置は、外周部になればなるほど、外力等による歪みが
大きくなる。よって、外力等による歪みが比較的小さい第1の封止材2005cをガラス
層とし、第2の封止材2005dを、耐衝撃性や耐熱性に優れ、外力等による変形で壊れ
にくい樹脂層とすることにより、第1の空間2013に水分や酸素が侵入することを抑制
することができる。
【0158】
また、上記構成に加えて、第1の空間2013や第2の空間2011に乾燥剤となる材料
を有していてもよい。
【0159】
図13(B)の第1の封止材2005cや
図13(A)の第2の封止材2005bをガラ
ス層とする場合には、例えば、ガラスフリットやガラスリボン等を用いて形成することが
できる。なお、ガラスフリットやガラスリボンには、少なくともガラス材料が含まれるこ
ととする。
【0160】
また、上述したガラスフリットとしては、ガラス材料をフリット材として含み、例えば、
酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化セシウム
、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化テルル
、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化鉛、酸化スズ、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、
酸化鉄、酸化銅、二酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タン
グステン、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化リチウム、酸化アンチモン、ホウ酸鉛
ガラス、リン酸スズガラス、バナジン酸塩ガラス又はホウケイ酸ガラス等を含む。赤外光
を吸収させるため、少なくとも一種類以上の遷移金属を含むことが好ましい。
【0161】
また、上述したガラスフリットを用いてガラス層を形成する場合には、例えば、基板上に
フリットペーストを塗布し、これに加熱処理、またはレーザ照射などを行う。フリットペ
ーストには、上記フリット材と、有機溶媒で希釈した樹脂(バインダとも呼ぶ)とが含ま
れる。フリットペーストには、公知の材料、構成を用いることができる。また、フリット
材にレーザ光の波長の光を吸収する吸収剤を添加したものを用いても良い。また、レーザ
として、例えばNd:YAGレーザや半導体レーザなどを用いることが好ましい。また、
レーザ照射の際のレーザの照射形状は、円形でも四角形でもよい。
【0162】
なお、形成されるガラス層の熱膨張率は、基板のそれと近いことが好ましい。熱膨張率が
近いほど、熱応力によりガラス層や基板にクラックが入ることを抑制できる。
【0163】
また、
図13(A)の第1の封止材2005aや
図13(B)の第2の封止材2005d
を樹脂層とする場合には、紫外線硬化樹脂等の光硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂等の公知の
材料を用いて形成することができるが、特に水分や酸素を透過しない材料を用いることが
好ましい。特に、光硬化性樹脂を用いることが好ましい。発光素子は、耐熱性の低い材料
を含む場合がある。光硬化性樹脂は光が照射されることで硬化するため、発光素子が加熱
されることで生じる、膜質の変化や有機化合物自体の劣化を抑制することができ、好まし
い。さらに、本発明の一態様である発光素子に用いることができる有機化合物を用いても
よい。
【0164】
また、上記樹脂層、第1の空間2013、または第2の空間2011が含む乾燥剤として
は、公知の材料を用いることができる。乾燥剤としては、化学吸着によって水分を吸着す
る物質、物理吸着によって水分を吸着する物質のいずれを用いてもよい。例えば、アルカ
リ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)、硫酸
塩、金属ハロゲン化物、過塩素酸塩、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられる。
【0165】
また、上記第1の空間2013、および第2の空間2011の一方または両方は、例えば
、希ガスや窒素ガス等の不活性ガス、または有機樹脂等を有していてもよい。なお、これ
らの空間内は、大気圧状態または減圧状態である。
【0166】
以上のように、本実施の形態で示す発光装置は、第1の封止材および第2の封止材の一方
が、生産性や封止性に優れたガラス層を含み、他方が、耐衝撃性や耐熱性に優れ、外力等
による変形で壊れにくい樹脂層を含む二重封止構造であり、乾燥剤を内部に有することも
できる構成であることから、外部からの水分や酸素などの不純物の入り込みを抑制する封
止性を高めることができる。
【0167】
したがって、本実施の形態に示す構成を実施することにより、水分や酸素などの不純物に
よる発光素子の劣化が抑制された発光装置を提供することができる。
【0168】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、または実施例に示す構成と適宜組み
合わせることができる。
【0169】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子を適用して作製された発光装置につい
て
図14を用いて説明する。
【0170】
図14に示す発光装置3100は、発光素子3120a、3120b、3120cを有し
ている。また発光素子3120a、3120b、3120cは、下部電極3103a、3
103b、3103cと、上部電極3119の間に複数の発光層を有する、タンデム型の
発光素子である。
【0171】
発光装置3100は、基板3101上に、それぞれ島状に分離された下部電極3103a
、3103b、3103cを有する。下部電極3103a、3103b、3103cは、
発光素子の陰極として機能させることができる。なお下部電極3103a、3103b、
3103cの下に、反射電極を設けてもよい。また下部電極3103a、3103b上に
、透明導電層3105a、3105bを設けてもよい。透明導電層3105a、3105
bは、異なる色を発する素子毎に厚さが異なることが好ましい。図示しないが、下部電極
3103c上にも透明導電層を設けてもよい。
【0172】
また、発光装置3100は、隔壁3107a、3107b、3107c、3107dを有
する。より具体的には、隔壁3107aは、下部電極3103a及び透明導電層3105
aの一方の端部を覆う。また、隔壁3107bは、下部電極3103a及び透明導電層3
105aの他方の端部、並びに下部電極3103b及び透明導電層3105bの一方の端
部を覆う。また、隔壁3107cは、下部電極3103b及び透明導電層3105bの他
方の端部、並びに下部電極3103c及び透明導電層3105cの一方の端部を覆う。ま
た、隔壁3107dは、下部電極3103c及び透明導電層3105cの他方の端部を覆
う。
【0173】
また、発光装置3100は、下部電極3103a、3103b、3103c並びに隔壁3
107a、3107b、3107c、3107d上に、第1のEL層3110を有する。
第1のEL層は、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層を有する。
【0174】
また、発光装置3100は、第1のEL層3110上に、中間層の電荷発生層3112を
有する。また電荷発生層3112上に、中間層の電子リレー層3113を有する。
【0175】
また、発光装置3100は、電子リレー層3113上に、層3114及び電子注入バッフ
ァー層3116を有する。層3114は、電子注入バッファー層3116等に含まれるア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属の拡散を抑制する機能を有する。
【0176】
また、発光装置3100は、中間層の電子注入バッファー層3116上に第2のEL層3
118を有する。第2のEL層は、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層を有す
る。さらに第2のEL層3118上に上部電極3119を有する。上部電極3119は、
発光素子の陽極として機能させることができる。
【0177】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、または実施例に示す構成と適宜組み
合わせることができる。
【0178】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子を適用して作製された照明装置につい
て
図15を用いて説明する。
【0179】
図15(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、照明装置の平面図および断面図の例
である。
図15(A)、(B)、(C)は基板側に光を取り出すボトムエミッション型の
照明装置である。
図15(A)の一点鎖線G−Hにおける断面を
図15(B)に示す。
【0180】
図15(A)、(B)に示す照明装置4000は、基板4005上に逆構造のタンデム型
発光素子4007を有する。また、基板4005の外側に凹凸を有する基板4003を有
する。逆構造のタンデム型発光素子4007は、下部電極4013と、EL層4014と
、上部電極4015を有する。なお、EL層4014は少なくとも2つのEL層と、EL
層間に中間層を有している。
【0181】
下部電極4013は、電極4009と電気的に接続され、上部電極4015は電極401
1と電気的に接続される。また、下部電極4013と電気的に接続される補助配線401
7を設けてもよい。
【0182】
基板4005と封止基板4019は、シール材4021で接着されている。また封止基板
4019と発光素子4007の間に乾燥剤4023が設けられていることが好ましい。
【0183】
基板4003は、
図15(A)のような凹凸を有するため、発光素子4007で生じた光
の取り出し効率を向上させることができる。また、基板4003に代えて、
図15(C)
の照明装置4001のように、基板4025の外側に拡散板4027を設けてもよい。
【0184】
図15(D)および(E)は、基板と反対側に光を取り出すトップエミッション型の照明
装置である。
【0185】
図15(D)の照明装置4100は、基板4125上に逆構造のタンデム型発光素子41
07を有する。発光素子4107は、下部電極4113と、EL層4114と、上部電極
4115を有する。なお、EL層4114は少なくとも2つのEL層と、EL層間に中間
層を有している。
【0186】
下部電極4113は、電極4109と電気的に接続され、上部電極4115は電極411
1と電気的に接続される。また上部電極4115と電気的に接続される補助配線4117
を設けてもよい。また補助配線4117の下部に、絶縁層4129を設けてもよい。
【0187】
基板4125と凹凸のある封止基板4103は、シール材4121で接着されている。ま
た、封止基板4103と発光素子4107の間に平坦化膜4105およびバリア膜413
1を設けてもよい。
【0188】
封止基板4103は、
図15(D)のような凹凸を有するため、発光素子4107で生じ
た光の取り出し効率を向上させることができる。また、封止基板4103に代えて、
図1
5(E)の照明装置4101のように、発光素子4107の上に拡散板4127を設けて
もよい。
【0189】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、または実施例に示す構成と適宜組み
合わせることができる。
【0190】
(実施の形態8)
本実施の形態においては、本発明の一態様の発光装置と組み合わせることができるタッチ
センサ、及びモジュールについて、
図16乃至
図19を用いて説明する。
【0191】
図16(A)はタッチセンサ4500の構成例を示す分解斜視図であり、
図16(B)は
、タッチセンサ4500の構成例を示す平面図である。
【0192】
図16(A)、(B)に示すタッチセンサ4500は、基板4910上に、X軸方向に配
列された複数の導電層4510と、X軸方向と交差するY軸方向に配列された複数の導電
層4520とが形成されている。
図16(A)、(B)に示すタッチセンサ4500は、
複数の導電層4510が形成された平面図と、複数の導電層4520が形成された平面図
と、を分離して表示されている。
【0193】
また、
図17は、導電層4510と導電層4520との交差部分の等価回路図である。図
17に示すように、導電層4510と導電層4520の交差する部分には、容量4540
が形成される。
【0194】
また、導電層4510、4520は、複数の四辺形状の導電膜が接続された構造を有して
いる。複数の導電層4510及び複数の導電層4520は、導電膜の四辺形状の部分の位
置が重ならないように、配置されている。導電層4510と導電層4520の交差する部
分には、導電層4510と導電層4520が接触しないように間に絶縁膜が設けられてい
る。
【0195】
また、
図18は、
図16に示すタッチセンサ4500の導電層4510a、4510b、
4510cと導電層4520との接続構造の一例を説明する断面図であり、導電層451
0(導電層4510a、4510b、4510c)と導電層4520が交差する部分の断
面図を一例として示す。
【0196】
図18に示すように、導電層4510は、1層目の導電層4510aおよび導電層451
0b、ならびに、絶縁層4810上の2層目の導電層4510cにより構成される。導電
層4510aと導電層4510bは、導電層4510cにより接続されている。導電層4
520は、1層目の導電層により形成される。導電層4510、4520及び4710の
一部を覆って絶縁層4820が形成されている。絶縁層4810、4820として、例え
ば、酸化窒化シリコン膜を形成すればよい。なお、基板4910と導電層4710、45
10a、4510b、4520の間に絶縁膜でなる下地膜を形成してもよい。下地膜とし
ては、例えば、酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
【0197】
導電層4510a、4510b、4510cと導電層4520は、可視光に対して透光性
を有する導電材料で形成される。例えば、透光性を有する導電材料として、酸化珪素を含
む酸化インジウムスズ、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、ガリウム
を添加した酸化亜鉛等がある。
【0198】
導電層4510aは、導電層4710に接続されている。導電層4710は、FPCとの
接続用端子を構成する。導電層4520も、導電層4510aと同様、他の導電層471
0に接続される。導電層4710は、例えば、タングステン膜から形成することができる
。
【0199】
導電層4510、4520及び4710を覆って絶縁層4820が形成されている。導電
層4710とFPCとを電気的に接続するために、導電層4710上の絶縁層4810及
び絶縁層4820には開口が形成されている。絶縁層4820上には、基板4920が接
着剤又は接着フィルム等により貼り付けられている。接着剤又は接着フィルムにより基板
4910側を表示パネルのカラーフィルター基板に取り付けることで、タッチパネルが構
成される。
【0200】
次に、本発明の一態様の発光装置を用いることのできるモジュールについて、
図19を用
いて説明を行う。
【0201】
図19に示すモジュール5000は、上部カバー5001と下部カバー5002との間に
、FPC5003に接続されたタッチパネル5004、FPC5005に接続された表示
パネル5006、バックライトユニット5007、フレーム5009、プリント基板50
10、バッテリー5011を有する。バックライトユニット5007には、例えば実施の
形態7で示した発光装置などを用いることができる。
【0202】
上部カバー5001及び下部カバー5002は、タッチパネル5004及び表示パネル5
006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0203】
タッチパネル5004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル5
006に重畳して用いることができる。また、表示パネル5006の対向基板(封止基板
)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示パネル50
06の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。
【0204】
バックライトユニット5007は、光源5008を有する。なお、
図19において、バッ
クライトユニット5007上に光源5008を配置する構成について例示したが、これに
限定さない。例えば、バックライトユニット5007の端部に光源5008を配置し、さ
らに光源5008は、バックライトユニット5007の端部に設け、光拡散板を用いる構
成としてもよい。
【0205】
フレーム5009は、表示パネル5006の保護機能の他、プリント基板5010の動作
により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレー
ム5009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0206】
プリント基板5010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号
処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても
良いし、別途設けたバッテリー5011による電源であってもよい。バッテリー5011
は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
【0207】
また、モジュール5000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して
設けてもよい。
【0208】
なお、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態、または実施例に示す構成と適宜
組み合わせて用いることができる。
【0209】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子の構造について、
図20を用いて説明
する。
【0210】
図20(A)に示す発光素子6002は、基板6001上に形成されている。なお、発光
素子6002は、第1の電極6003、EL層6004、第2の電極6005を有してい
る。なお、EL層は少なくとも2つのEL層と、EL層間の中間層とを有している。また
、
図20(A)に示す発光装置では、第2の電極6005上にバッファー層6006が形
成されており、バッファー層6006上には、第3の電極6007が形成されている。バ
ッファー層6006を設けることにより、第2の電極6005表面で発生する表面プラズ
モンによる光の取出し効率の低下を防ぐことができる。
【0211】
なお、第2の電極6005と第3の電極6007は、コンタクト部6008において、電
気的に接続されている。コンタクト部6008は、図の位置に限定されることはなく、発
光領域に形成されていてもよい。
【0212】
なお、第1の電極6003は陰極としての機能を有し、第2の電極6005は陽極として
の機能を有しており、少なくとも一方の電極が透光性を有していれば光を取り出すことが
できるが、両方が透光性の材料で形成されていてもよい。第1の電極6003が、EL層
6004からの光を透過させる機能を有する場合には、ITO等の透明導電膜を用いるこ
とができる。また、第1の電極6003が、EL層6004からの光を透過させない電極
として機能する場合には、ITOと銀などを複数積層させた導電膜を用いてもよい。
【0213】
また、EL層6004から第1の電極6003側に光を出す構成の場合において、第2の
電極6005の膜厚は、第3の電極6007の膜厚より薄い方が好ましく、また逆側に光
を出す構成の場合には、第2の電極6005の膜厚は、第3の電極6007の膜厚より厚
い方が好ましい。但し、この限りではない。
【0214】
また、バッファー層6006には、有機膜(例えば、Alq)や、無機絶縁材料(例えば
、窒化ケイ素膜)などを用いることができる。
【0215】
また、本発明の一態様である発光素子を含む構成として、
図20(B)に示すような構成
を用いることにより、光の取出し効率を向上させてもよい。
【0216】
図20(B)は、基板6001と接して、光散乱体6101と空気層6102で構成され
た光散乱層6100が形成され、光散乱層6100と接して、有機樹脂からなる高屈折率
層6103が形成され、高屈折率層6103と接して、発光素子などを含む素子層610
4が形成される構成である。
【0217】
なお、光散乱体6101としては、セラミックなどの粒子を用いることができる。また、
高屈折率層6103には、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の高屈折率(例えば、
屈折率が1.7以上1.8以下)材料を用いることができる。
【0218】
また、素子層6104には、実施の形態1で示した逆構造の発光素子を含む。
【実施例1】
【0219】
本発明の一態様に係る逆構造タンデム型発光素子について説明する。
【0220】
なお、本実施例で用いる材料の構造式と略称を以下に示す。素子構造は
図1と同様の構造
とした。
【0221】
【化1】
【0222】
【化2】
【0223】
≪発光素子1の作製≫
まず、ガラス基板を用意した。
【0224】
ガラス基板上に、スパッタリング法でランタンを含むアルミニウム−ニッケル合金(Al
−Ni−La)膜を200nmの膜厚となるように形成し、さらに、スパッタリング法で
チタン膜を膜厚6nmとなるように形成した。そして、窒素雰囲気下で250℃、1時間
の加熱処理を行った後、スパッタリング法で酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITS
O)膜を膜厚10nmとなるように形成することで、陰極101を形成した。ITSO表
面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2
mm×2mmとした。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を
水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0225】
次に、ITSO膜が形成された面が下方となるように、基板を真空蒸着装置内に設けられ
たホルダーに固定した。その後、10
−4Pa程度まで真空蒸着装置内部を減圧し、真空
蒸着装置内の加熱室において170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程
度放冷した。
【0226】
基板を冷却した後、上記構造式(i)で表される、3−[4−(9−フェナントリル)−
フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCPPn)と酸化モリブデン
を、PCPPn:酸化モリブデン=1:0.5(重量比)となるように共蒸着した。膜厚
は5nmとした。次に、銅フタロシアニン(略称:CuPc)を2nmの膜厚で蒸着した
後、上記構造式(ii)で表されるバソフェナントロリン(略称:Bphen)を5nm
蒸着して形成し、さらに酸化リチウム(Li
2O)を0.15nmの膜厚で蒸着して形成
し、その後バソフェナントロリン(略称:Bphen)を10nm蒸着することにより、
電子注入層102aを形成した。
【0227】
次に、上記構造式(iii)で表される9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−1
0−フェニルアントラセン(略称:CzPA)を5nmの膜厚となるように形成して、電
子輸送層102bを形成した。
【0228】
さらに、上記構造式(iv)で表されるN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N
’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1
,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)とCzPA(略称)とを、重量
比1:0.05(=CzPA:1,6mMemFLPAPrn)となるように20nm共
蒸着して蛍光発光層(第1の発光層102c)を形成した。
【0229】
次に、発光層102cの上に3−[4−(9−フェナントリル)−フェニル]−9−フェ
ニル−9H−カルバゾール(略称:PCPPn)を膜厚15nmとなるように成膜し正孔
輸送層102dを形成した。電子注入層102aから正孔輸送層102dまでが第1のE
L層102として機能する構成である。
【0230】
次に第1のEL層102の上に、中間層103を形成した。まず、PCPPnと酸化モリ
ブデンとを、PCPPn:酸化モリブデン=1:0.5(重量比)となるように共蒸着す
ることにより、電荷発生層103aを形成した。膜厚は10nmとした。次に、銅フタロ
シアニン(略称:CuPc)を2nmの膜厚で蒸着し、電子リレー層103bを形成した
。次に電子リレー層103bの上に、バソフェナントロリン(略称:Bphen)を5n
m蒸着して、層103cを形成した。さらに層103cの上に、酸化リチウム(Li
2O
)を1.5nmの膜厚で蒸着して形成したあと、バソフェナントロリン(略称:Bphe
n)を10nm蒸着して、電子注入バッファー層103dを形成した。電荷発生層103
aから電子注入バッファー層103dまでが中間層103として機能する構成である。
【0231】
ここで、電子注入バッファー層103dの形成時に蒸着により酸化リチウムが被形成表面
に到達すると、その下層にLiが拡散していくが、層103cがあるために、電子リレー
層103bや電荷発生層103aへのLiの到達が抑制される。単にタンデム型発光素子
を逆構造で作製すると、Liの拡散が駆動電圧の上昇や発光効率の低下を引き起こす。層
103cにより発光素子の性能低下を防いだ逆構造のタンデム型発光素子が実現された。
【0232】
中間層103の上に、第2のEL層104を形成した。まず、電子注入バッファー層10
3dの上に、上記構造式(v)で表される2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル
)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDB
q−II)を10nmの膜厚となるように形成し、電子輸送層104aとした。
【0233】
電子輸送層104a上に、2mDBTBPDBq−IIと、上記構造式(vi)で表され
るビス{4,6−ジメチル−2−[5−(2,6−ジメチルフェニル)−3−(3,5−
ジメチルフェニル)−2−ピラジニル−κN]フェニル−κC}(2,4−ペンタンジオ
ナト−κ
2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr−dmp)
2
(acac)])とを、重量比0.8:0.06(=2mDBTBPDBq−II:[I
r(dmdppr−dmp)
2(acac)])となるように20nm共蒸着して第1の
りん光発光層(第2の発光層104b−1)を形成し、続けて2mDBTBPDBq−I
Iと上記構造式(vii)で表される4、4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フ
ェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)と
上記構造式(viii)で表されるビス[2−(6−tert−ブチル−4−ピリミジニ
ル−κN3)フェニル−κC](2,4−ペンタンジオナト−κ
2O,O’)イリジウム
(III)(略称:[Ir(tBuppm)
2(acac)])とを、重量比0.7:0
.3:0.06(=2mDBTBPDBq−II:PCBNBB:[Ir(tBuppm
)
2(acac)])となるように20nm共蒸着し、第2のりん光発光層(第2の発光
層104b−2)を形成してりん光発光層(第2の発光層104b)を形成した。
【0234】
第2の発光層104bの上に、上記構造式(ix)で表される4−フェニル−4’−(9
−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20n
mの膜厚で形成し、正孔輸送層104cとした。
【0235】
正孔輸送層104cの上に、PCPPnと酸化モリブデンとを、PCPPn:酸化モリブ
デン=1:0.5(重量比)となるように膜厚30nmとなるよう共蒸着することにより
、正孔注入層104dを形成した。
【0236】
電子輸送層104aから正孔注入層104dまでが第2のEL層104として機能する構
成である。
【0237】
次に、第2のEL層104の上に、まずアルミニウムを0.5nmの膜厚となるように蒸
着し、その後MgAg(Mg―Ag合金)を重量比0.5:0.05(=Ag:Mg)と
なるように14nm共蒸着し、さらに、スパッタリング法によりITO(Indium
Tin Oxide)を70nmの膜厚となるよう形成して、陽極105を形成した。
【0238】
陰極101、第1のEL層102、中間層103、第2のEL層104および陽極105
により、発光素子1を完成させた。なお、本明細書の実施例全てにおいて、蒸着は抵抗加
熱法によって行った。
【0239】
≪発光素子2の作製≫
発光素子2は、中間層以外は発光素子1と同様に形成した。中間層の形成は、まず、第1
のEL層上に、PCPPnと酸化モリブデンとを、PCPPn:酸化モリブデン=1:0
.5(重量比)となるように共蒸着して電荷発生層103aを形成した。次に、バソフェ
ナントロリン(略称:Bphen)を5mmの膜厚で蒸着してアルカリ金属またはアルカ
リ土類金属の移動を抑制する層103cを形成した。次に、酸化リチウム(Li
2O)を
1.5nmの膜厚で蒸着して形成したあと、バソフェナントロリン(略称:Bphen)
を10nm蒸着して、電子注入バッファー層103dを形成した。
【0240】
中間層の構成以外は発光素子1の構成と同様であるため、繰り返しとなる記載を省略する
。発光素子1の作製方法を参照されたい。
【0241】
以上のように、発光素子2を完成させた。なお、発光素子1と発光素子2の差異は、電子
リレー層103bの有無である。
【0242】
≪比較発光素子1の作製≫
比較発光素子1は、中間層以外は発光素子1と同様に形成した。中間層の形成は、まず、
第1のEL層上に、PCPPnと酸化モリブデンとを、PCPPn:酸化モリブデン=1
:0.5(重量比)となるように共蒸着して電荷発生層103aを形成した。次に、銅フ
タロシアニン(略称:CuPc)を2nmの膜厚で蒸着し、電子リレー層103cを形成
した。次に、電子注入バッファー層として酸化リチウム(Li
2O)を1.5nmの膜厚
で蒸着して形成したあと、バソフェナントロリン(略称:Bphen)を10nm蒸着し
て、電子注入バッファー層103dを形成した。
【0243】
中間層の構成以外は発光素子1の構成と同様であるため、繰り返しとなる記載を省略する
。発光素子1の作製方法を参照されたい。
【0244】
以上のように、比較発光素子1を完成させた。なお、比較発光素子1と発光素子1の差異
は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の移動を抑制する層103cの有無である。比
較発光素子1と発光素子1と発光素子2の積層構造を、下記表1にまとめる。
【0245】
【表1】
【0246】
≪発光素子1及び発光素子2の動作特性≫
以上により得られた発光素子1及び発光素子2を、窒素雰囲気のグローブボックス内にお
いて、発光素子が大気に曝されないように封止する作業(具体的に、素子の周囲へのシー
ル材塗布、UV処理、及び80℃にて1時間の熱処理)を行った後、発光素子1及び発光
素子2の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)
で行った。
【0247】
発光素子1及び発光素子2の輝度−電流効率特性を
図7に、電圧−電流特性を
図8に示す
。
図7では縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m
2)を示す。
図8では縦
軸が電流(mA)、横軸が電圧(V)を示す。また、主な特性値を表2に示す。なお、発
光素子1及び発光素子2は青色の発光を示したが、これは、陰極101の有するITSO
(Siを有するITO)層の膜厚が、発光素子1及び発光素子2におけるマイクロキャビ
ティ―効果に影響したためである。ITSO層の膜厚は、ディスプレイパネルにおける青
色画素に逆構造のタンデム型発光素子が用いることを想定して設定した膜厚である。
【0248】
【表2】
【0249】
≪比較発光素子1の動作特性≫
比較発光素子1を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝され
ないように封止する作業(具体的に、素子の周囲へのシール材塗布、UV処理、及び80
℃にて1時間の熱処理)を行った後、比較発光素子1の動作特性について測定を試みた。
なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で試みた。
【0250】
しかし、比較発光素子1においては、動作特性の測定において素子が発光すらすることが
なく、特性を得ることができなかった。これは、比較発光素子1は層103cを有してお
らず、電子注入バッファー層103dの材料が有しているリチウムの一部が陰極の方向に
移動し、電荷発生層103aに到達してキャリアの再結合を引き起こしたため、比較発光
素子1は発光することができなかったと考えられる。層103cを有する逆構造のタンデ
ム型発光素子は、層103cによりタンデム型構造の利点と逆構造の利点とを得つつ、発
光することができる。
【0251】
発光素子1及び発光素子2は、層103cを有しているためにいずれも発光を得ることが
できた。発光素子1は銅フタロシアニン(略称:CuPc)を蒸着した電子リレー層10
3bを有しているため、発光素子2と比較すると輝度、電流効率、パワー効率をさらに高
めることができた。
【実施例2】
【0252】
本発明の一態様に係る逆構造タンデム型発光素子について説明する。
【0253】
なお、本実施例で用いる材料は、実施例1にて用いられた材料であるため、材料の化学構
造式は省略する。素子構造は
図1と同様の構造とした。
【0254】
≪発光素子3の作製≫
まず、ガラス基板を用意した。
【0255】
ガラス基板上に、スパッタリング法でランタンを含むアルミニウム−ニッケル合金(Al
−Ni−La)膜を200nmの膜厚となるように形成し、さらに、スパッタリング法で
チタン膜を膜厚6nmとなるように形成した。そして、窒素雰囲気下で250℃、1時間
の加熱処理を行った後、スパッタリング法で酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITS
O)膜を膜厚40nmとなるように形成することで、陰極101を形成した。ITSO表
面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2
mm×2mmとした。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を
水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0256】
次に、ITSO膜が形成された面が下方となるように、基板を真空蒸着装置内に設けられ
たホルダーに固定した。その後、10
−4Pa程度まで真空蒸着装置内部を減圧し、真空
蒸着装置内の加熱室において170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程
度放冷した。
【0257】
基板を冷却した後、3−[4−(9−フェナントリル)−フェニル]−9−フェニル−9
H−カルバゾール(略称:PCPPn)と酸化モリブデンとを、PCPPn:酸化モリブ
デン=1:0.5(重量比)となるように共蒸着した。膜厚は15nmとした。次に、銅
フタロシアニン(略称:CuPc)を2nmの膜厚で蒸着した後、バソフェナントロリン
(略称:Bphen)を5nm蒸着して形成し、さらに酸化リチウム(Li
2O)を0.
15nmの膜厚で蒸着して形成し、その後バソフェナントロリン(略称:Bphen)を
10nm蒸着することにより、電子注入層102aを形成した。
【0258】
次に、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称
:CzPA)を5nmの膜厚となるよう蒸着して、電子輸送層102bを形成した。
【0259】
次に、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−
9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6m
MemFLPAPrn)とCzPA(略称)とを、重量比1:0.05(=CzPA:1
,6mMemFLPAPrn)となるように25nm共蒸着して蛍光発光層(第1の発光
層102c)を形成した。
【0260】
次に、発光層102cの上に3−[4−(9−フェナントリル)−フェニル]−9−フェ
ニル−9H−カルバゾール(略称:PCPPn)を膜厚15nmとなるように成膜し、正
孔輸送層102dを形成した。電子注入層102aから正孔輸送層102dまでが第1の
EL層102として機能する構成である。
【0261】
次に第1のEL層102の上に、中間層103を形成した。まず、PCPPnと酸化モリ
ブデンとを、PCPPn:酸化モリブデン=1:0.5(重量比)となるように共蒸着す
ることにより、電荷発生層103aを形成した。膜厚は10nmとした。次に、銅フタロ
シアニン(略称:CuPc)を2nmの膜厚で蒸着し、電子リレー層103bを形成した
。次に電子リレー層103bの上に、バソフェナントロリン(略称:Bphen)を5n
m蒸着して、層103cを形成した。さらに、層103cの上には、電子注入バッファー
層103dとしてアルカリ土類金属であるカルシウム(Ca)を1nmの膜厚で蒸着して
、そのあとバソフェナントロリン(略称:Bphen)を10nm蒸着した。電荷発生層
103aから電子注入バッファー層103dまでが中間層として機能する構成である。
【0262】
ここで、電子注入バッファー層103dの形成時に蒸着によりカルシウム(Ca)が被形
成表面に到達すると、その下層にCaが拡散していくが、層103cがあるために、電子
リレー層103bや電荷発生層103aへのCaの到達が抑制される。単にタンデム型発
光素子を逆構造で作製すると、Caの拡散が電流効率の低下や外部量子効率の低下を引き
起こす。層103cにより発光素子の性能低下を防いだ逆構造のタンデム型発光素子が実
現される。
【0263】
中間層103の上に、第2のEL層104を形成した。まず、電子注入バッファー層10
3dの上に、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジ
ベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)を10nmの膜厚
となるように形成し、電子輸送層104aとした。
【0264】
次に、電子輸送層104a上に、2mDBTBPDBq−IIと、ビス{4,6−ジメチ
ル−2−[5−(2,6−ジメチルフェニル)−3−(3,5−ジメチルフェニル)−2
−ピラジニル−κN]フェニル−κC}(2,4−ペンタンジオナト−κ
2O,O’)イ
リジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr−dmp)
2(acac)])とを、
重量比0.8:0.06(=2mDBTBPDBq−II:[Ir(dmdppr−dm
p)
2(acac)])となるように20nm共蒸着して第1のりん光発光層(第2の発
光層104b−1)を形成し、続けて2mDBTBPDBq−IIと4、4’−ジ(1−
ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルア
ミン(略称:PCBNBB)とビス[2−(6−tert−ブチル−4−ピリミジニル−
κN3)フェニル−κC](2,4−ペンタンジオナト−κ
2O,O’)イリジウム(I
II)(略称:[Ir(tBuppm)
2(acac)])とを、重量比0.7:0.3
:0.06(=2mDBTBPDBq−II:PCBNBB:[Ir(tBuppm)
2
(acac)])となるように20nm共蒸着し、第2のりん光発光層(第2の発光層1
04b−2)を形成してりん光発光層(第2の発光層104b)を形成した。
【0265】
第2の発光層104bの上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イ
ル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚で形成し、正孔輸送層
104cとした。
【0266】
正孔輸送層104cの上に、PCPPnと酸化モリブデンとを、PCPPn:酸化モリブ
デン=1:0.5(重量比)となるように膜厚25nmとなるよう共蒸着することにより
、正孔注入層104dを形成した。
【0267】
電子輸送層104aから正孔注入層104dまでが第2のEL層104として機能する構
成である。
【0268】
次に、第2のEL層104の上に、まずアルミニウムを0.5nmの膜厚となるように蒸
着し、その後MgAg(Mg―Ag合金)を重量比0.5:0.05(=Ag:Mg)と
なるように15nm共蒸着し、さらに、スパッタリング法によりITO(Indium
Tin Oxide)を70nmの膜厚となるよう形成して、陽極105を形成した。
【0269】
陰極101、第1のEL層102、中間層103、第2のEL層104および陽極105
により、発光素子3を完成させた。
【0270】
≪比較発光素子2の作製≫
比較発光素子2は、中間層以外は発光素子3と同様に形成した。中間層は、PCPPnと
酸化モリブデンとを、PCPPn:酸化モリブデン=1:0.5(重量比)となるように
共蒸着して電荷発生層103aを10nmの膜厚となるよう形成した。次に、銅フタロシ
アニン(略称:CuPc)を2nmの膜厚で蒸着し、電子リレー層103bを形成した。
次に、カルシウム(Ca)を1nmの膜厚で蒸着して形成し、そのあとバソフェナントロ
リン(略称:Bphen)を10nm蒸着して、電子注入バッファー層103dを形成し
た。
【0271】
中間層の構成以外は発光素子3の構成と同様であるため、繰り返しとなる記載を省略する
。発光素子3の作製方法を参照されたい。
【0272】
以上のように、比較発光素子2を完成させた。なお、比較発光素子2と発光素子3の差異
は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の移動を抑制する層103cの有無である。比
較発光素子2と発光素子3の積層構造を、下記表3にまとめる。
【0273】
【表3】
【0274】
≪発光素子3および比較発光素子2の動作特性≫
以上により得られた発光素子3及び比較発光素子2を、窒素雰囲気のグローブボックス内
において、発光素子が大気に曝されないようにそれぞれ封止する作業(具体的に、素子の
周囲へのシール材塗布、UV処理、及び80℃にて1時間の熱処理)を行った後、これら
の発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲
気)で行った。
【0275】
これらの発光素子の輝度−電流効率特性を
図9に、電圧−電流特性を
図10に示す。
図9
では縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m
2)を示す。
図10では縦軸が
電流(mA)、横軸が電圧(V)を示す。また、発光素子3と比較発光素子2の主な特性
値を下記に示す。なお、発光素子3及び比較発光素子2は緑色の発光を示したが、これは
、陰極101の有するITSO層の膜厚が、発光素子3及び比較発光素子2におけるマイ
クロキャビティ―効果に影響したためである。ITSO層の膜厚は、ディスプレイパネル
における緑色画素に逆構造のタンデム型発光素子が用いられることを想定して設定した膜
厚である。
【0276】
【表4】
【0277】
なお、比較発光素子2は、比較発光素子1とは異なり、発光を確認することができた。こ
の差異は、リチウムとカルシウムの移動のしやすさの差によるものであると考えられる。
しかし、電子注入バッファー層にカルシウムを有する逆構造タンデム型発光素子において
も、層103cを有することにより特性が改善されていることが表2より理解される。以
上の結果により、アルカリ土類金属であるカルシウムを有する電子注入バッファー層と層
103cとを有する中間層を含む逆構造のタンデム型発光素子が、発光素子として良好に
機能することが確認できた。
【実施例3】
【0278】
本発明の一態様に係る逆構造タンデム型発光素子について説明する。
【0279】
なお、本実施例で用いる材料の構造式と略称を以下に示す。ただし、実施例1にて示した
材料については省略する。素子構造は
図1と同様の構造とした。
【0280】
【化3】
【0281】
≪発光素子4の作製≫
まず、ガラス基板を用意した。
【0282】
ガラス基板上に、スパッタリング法でランタンを含むアルミニウム−ニッケル合金(Al
−Ni−La)膜を200nmの膜厚となるように形成し、さらに、スパッタリング法で
チタン膜を膜厚6nmとなるように形成した。そして、窒素雰囲気下で250℃、1時間
の加熱処理を行った後、スパッタリング法で酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITS
O)膜を膜厚40nmとなるように形成することで、陰極101を形成した。ITSO表
面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2
mm×2mmとした。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を
水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0283】
次に、ITSO膜が形成された面が下方となるように、基板を真空蒸着装置内に設けられ
たホルダーに固定した。その後、10
−4Pa程度まで真空蒸着装置内部を減圧し、真空
蒸着装置内の加熱室において170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程
度放冷した。
【0284】
基板を冷却した後、3−[4−(9−フェナントリル)−フェニル]−9−フェニル−9
H−カルバゾール(略称:PCPPn)と酸化モリブデンとを、PCPPn:酸化モリブ
デン=1:0.5(重量比)となるように共蒸着した。膜厚は15nmとした。次に、銅
フタロシアニン(略称:CuPc)を2nmの膜厚で蒸着した後、バソフェナントロリン
(略称:Bphen)を5nm蒸着して形成し、さらに酸化リチウム(Li
2O)を0.
15nmの膜厚で蒸着して形成し、その後バソフェナントロリン(略称:Bphen)を
10nm蒸着して、電子注入層102aを形成した。
【0285】
電子注入層102aの上に、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニ
ルアントラセン(略称:CzPA)を5nmの膜厚で形成し、電子輸送層102bを形成
した。
【0286】
電子輸送層102bの上に、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔
3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジア
ミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)とCzPA(略称)とを、重量比1:0.
05(=CzPA:1,6mMemFLPAPrn)となるように25nm共蒸着して蛍
光発光層(第1の発光層102c)を形成した。
【0287】
次に、発光層102cの上に3−[4−(9−フェナントリル)−フェニル]−9−フェ
ニル−9H−カルバゾール(略称:PCPPn)を膜厚15nmとなるように成膜し、正
孔輸送層102dを形成した。電子注入層102aから正孔輸送層102dまでが第1の
EL層102として機能する構成である。
【0288】
次に第1のEL層102の上に、中間層103を形成した。まず、PCPPnと酸化モリ
ブデンとを、PCPPn:酸化モリブデン=1:0.5(重量比)となるように共蒸着す
ることにより、電荷発生層103aを形成した。膜厚は10nmとした。次に、銅フタロ
シアニン(略称:CuPc)を2nmの膜厚で蒸着し、電子リレー層103bを形成した
。次に電子リレー層103bの上に、上記構造式(x)に示すトリス( 8 − キノリ
ノラト) アルミニウム(略称:Alq
3)を5nm蒸着して、層103cを形成した。
さらに、層103cの上に、アルカリ土類金属である酸化リチウム(Li
2O)を0.1
5nmの膜厚で蒸着したあと、バソフェナントロリン(略称:Bphen)を10nm蒸
着して、電子注入バッファー層103dを形成した。電荷発生層103aから電子注入バ
ッファー層103dまでが中間層103として機能する構成である。
【0289】
ここで、電子注入バッファー層103dの形成時に蒸着によりリチウム(Li)が被形成
表面に到達すると、その下層にLiが拡散していくが、層103cがあるために、電子リ
レー層103bや電荷発生層103aへのLiの到達が抑制される。単にタンデム型発光
素子を逆構造で作製すると、Liの拡散が駆動電圧の上昇や発光効率の低下を引き起こす
。層103cにより発光素子の性能低下を防いだ逆構造のタンデム型発光素子が実現され
る。
【0290】
中間層103の上に、第2のEL層104を形成した。まず、電子注入バッファー層10
3dの上に、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジ
ベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)を10nmの膜厚
となるように形成し、電子輸送層104aとした。
【0291】
電子輸送層104a上に、2mDBTBPDBq−II(略称)と、ビス{4,6−ジメ
チル−2−[5−(2,6−ジメチルフェニル)−3−(3,5−ジメチルフェニル)−
2−ピラジニル−κN]フェニル−κC}(2,4−ペンタンジオナト−κ
2O,O’)
イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr−dmp)
2(acac)])とを
、重量比0.8:0.06(=2mDBTBPDBq−II:[Ir(dmdppr−d
mp)
2(acac)])となるように20nm共蒸着して第1のりん光発光層(第2の
発光層104b−1)を形成し、続けて2mDBTBPDBq−II(略称)と4、4’
−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリ
フェニルアミン(略称:PCBNBB)とビス[2−(6−tert−ブチル−4−ピリ
ミジニル−κN3)フェニル−κC](2,4−ペンタンジオナト−κ
2O,O’)イリ
ジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)
2(acac)])とを、重量比0.
7:0.3:0.06(=2mDBTBPDBq−II:PCBNBB:[Ir(tBu
ppm)
2(acac)])となるように20nm共蒸着し、第2のりん光発光層(第2
の発光層104b−2)を形成してりん光発光層(第2の発光層104b)を形成した。
【0292】
第2の発光層104bの上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イ
ル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚で形成し、正孔輸送層
104cとした。
【0293】
正孔輸送層104cの上に、PCPPnと酸化モリブデンとを、PCPPn:酸化モリブ
デン=1:0.5(重量比)となるように膜厚25nmとなるよう共蒸着することにより
、正孔注入層104dを形成した。
【0294】
電子輸送層104aから正孔注入層104dまでが第2のEL層104として機能する構
成である。
【0295】
次に、第2のEL層104の上に、まずアルミニウムを0.5nmの膜厚となるように蒸
着し、その後MgAg(Mg―Ag合金)を重量比0.5:0.05(=Ag:Mg)と
なるように15nm共蒸着し、さらに、スパッタリング法によりITO(Indium
Tin Oxide)を70nmの膜厚となるよう形成して、陽極105を形成した。
【0296】
陰極101、第1のEL層102、中間層103、第2のEL層104および陽極105
より、発光素子4を完成させた。発光素子4の積層構造を下記にまとめる。
【0297】
【表5】
【0298】
≪発光素子4の動作特性≫
以上により得られた発光素子4を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子
が大気に曝されないように封止する作業(具体的に、素子の周囲へのシール材塗布、UV
処理、及び80℃にて1時間の熱処理)を行った後、発光素子4の動作特性について測定
を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0299】
発光素子4の輝度−電流効率特性を
図11に、電圧−電流特性を
図12に示す。
図11で
は縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m
2)を示す。
図12では縦軸が電
流(mA)、横軸が電圧(V)を示す。
【0300】
また、発光素子4の主な特性値を下記に示す。なお、発光素子4は緑色の発光を示したが
、これは、陰極101の有するITSO層の膜厚が、発光素子4におけるマイクロキャビ
ティ―効果に影響したためである。ITSO層の膜厚は、ディスプレイパネルにおける緑
色画素に逆構造のタンデム型発光素子が用いられることを想定して設定した膜厚である。
【0301】
【表6】
【0302】
Liを有する電子注入バッファー層を有する中間層を用いた逆構造のタンデム型発光素子
において、中間層に層103cを有していない場合、発光素子が機能することができない
ことについては、実施例1の比較発光素子1に対する試験の結果によりすでに示した通り
である。本実施例より、発光素子3は、Alq
3(略称)を有する層を中間層に用いると
、発光素子1と同様に発光素子として機能することが確認された。