(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非凝集炭素被覆シリコン粒子であって、1〜15μmの平均粒径d50を有し、いずれの場合にも炭素被覆シリコン粒子の総重量に対して、≦10重量%の炭素および≧90重量%のシリコンを含有し、前記非凝集炭素被覆シリコン粒子が、≦40%の凝集度(篩分け分析によって決定)を有し、前記非凝集炭素被覆シリコン粒子に含有するシリコン粒子は、該シリコン粒子の総重量に対して≧96重量%のシリコンからなる、非凝集炭素被覆シリコン粒子。
前記非凝集炭素被覆シリコン粒子の炭素被膜が、1〜100nmの範囲の平均層厚さ(決定方法:走査型電子顕微鏡(SEM))を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の非凝集炭素被覆シリコン粒子。
前記非凝集炭素被覆シリコン粒子の製造用の反応物として使用される前記シリコン粒子が、1μm以上かつ15μm未満の直径パーセンタイル値d50を有する体積基準粒度分布を有することを特徴とする、請求項4に記載の炭素被覆シリコン粒子の製造方法。
前記非凝集炭素被覆シリコン粒子の体積基準粒度分布d50と、前記非凝集炭素被覆シリコン粒子の製造用の反応物として使用される前記シリコン粒子の体積基準粒度分布d50との差が、≦5μmであることを特徴とする、請求項4または5に記載の炭素被覆シリコン粒子の製造方法。
ポリアクリロニトリル、単糖類、二糖類および多糖類、ポリアニリン、ポリスチレン、ピッチならびにタールを含む群から選択される1つ以上の溶融可能炭素前駆体を使用することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の炭素被覆シリコン粒子の製造方法。
1つ以上のバインダーを含んでなるリチウムイオン電池用アノード材料であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素被覆シリコン粒子が1つ以上存在することを特徴とする、アノード材料。
前記フル充電された電池の前記部分的にリチウム化されたアノード材料中のシリコン原子に対するリチウム原子の比が、≦2.2であることを特徴とする、請求項12に記載のリチウムイオン電池。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の非凝集炭素被覆シリコン粒子を、以後略して炭素被覆シリコン粒子とも呼ぶ。
【0015】
本発明の炭素被覆シリコン粒子を得ることを可能にするために、乾燥法またはCVD法に関する本発明の規定に従うことが、本発明にとって絶対必要であることを見出した。さもなければ、例えば、炭素被覆シリコン粒子の凝集体が形成される。
【0016】
驚くべきことに、凝集しない炭素被覆シリコン粒子を、本発明によって得ることができる。驚くべきことに、異なる粒子の粘着または焼結、それ故、凝集が、たとえあったとしても、少なくとも取るに足らない程度起こるだけであった。溶融可能炭素前駆体の炭化の間、接着剤の役割を果たすことができ、冷却後に粒子の固化をもたらし得る、液体またはペースト状炭素含有化学種がいつもの通り存在するので、このことはますます驚くべきことであった。驚くべきことに、それにもかかわらず、本発明によって非凝集(nonaggregated)炭素被覆シリコン粒子を得た。
【0017】
好ましくは、炭素被覆シリコン粒子は孤立粒子または緩い集塊物の形態であり、炭素被覆シリコン粒子の凝集体の状態でない。集塊物は、複数の炭素被覆シリコン粒子のクラスターである。凝集体は、炭素被覆シリコン粒子のクラスターである。例えば、混練法または分散法により、集塊物を個々の炭素被覆シリコン粒子に分離することができる。炭素被覆シリコン粒子を破壊しないこの方法で、凝集体を個々の粒子に分離することはできない。しかしながら、それぞれの場合に、本発明の方法で、凝集した炭素被覆シリコン粒子を小さい程度に生成しないとは限らない。
【0018】
例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過電子顕微鏡(TEM)によって、凝集体の形態の炭素被覆シリコン粒子の存在を可視化することができる。この目的に特に適しているのは、被覆していないシリコン粒子のSEM画像またはTEM画像を、炭素被覆シリコン粒子の対応する画像と比較することである。粒度分布または粒径を決定するための静的光散乱法は、それ自体では、凝集体の存在を確認するのに適していない。しかしながら、その製造のために使用されるシリコン粒子より、炭素被覆シリコン粒子が測定精度の範囲内で著しく大きい粒径を有する場合、静的光散乱法は、凝集した炭素被覆シリコン粒子の存在を示すものとなる。前述の決定方法を組み合わせて使用することが特に好ましい。
【0019】
炭素被覆シリコン粒子は、好ましくは≦40%、より好ましくは≦30%、最も好ましくは≦20%の凝集度(degree of aggregation)を有する。凝集度を、ふるい分析により決定する。凝集度は、エタノール中で同時に超音波処理と共に分散後、検査されるそれぞれの粒子組成物の体積基準粒度分布の値d
90の2倍のメッシュサイズを有する篩いを通過しない粒子のパーセンテージに対応する。
【0020】
炭素被覆シリコン粒子の体積基準粒度分布d
50と、反応物として使用されるシリコン粒子の体積基準粒度分布d
50との差は、炭素被覆シリコン粒子が非凝集ことの指標ともなる。炭素被覆シリコン粒子の体積基準粒度分布d
50と、炭素被覆シリコン粒子製造用の反応物として使用されるシリコン粒子の体積基準粒度分布d
50との差は、好ましくは≦5μm、より好ましくは≦3μm、最も好ましくは≦2μmである。
【0021】
炭素被覆シリコン粒子は、好ましくは≧2μm、より好ましくは≧3μm、最も好ましくは≧4μmの直径パーセンタイル値d
50を有する体積基準粒度分布を有する。炭素被覆シリコン粒子は、好ましくは≦10μm、より好ましくは≦8μm、最も好ましくは≦6μmのd
50値を有する。
【0022】
炭素被覆シリコン粒子は、好ましくは≦40μmのd
90値、より好ましくはd
90値≦30μm、さらにより好ましくはd
90値≦10μmを有する体積基準粒度分布を有する。
【0023】
炭素被覆シリコン粒子は、好ましくは≧0.5μmのd
10値、より好ましくはd
10値≧1μm、最も好ましくはd
10値≧1.5μmを有する体積基準粒度分布を有する。
【0024】
炭素被覆シリコン粒子の粒度分布は二峰性であっても多峰性であってもよく、好ましくは単峰性であり、より好ましくは狭いのがよい。炭素被覆シリコン粒子の体積基準粒度分布は、好ましくは3、より好ましくは2.5、特に好ましくは2、最も好ましくは1.5の幅(d
90−d
10)/d
50を有する。
【0025】
炭素被覆シリコン粒子の体積基準粒度分布を、堀場製作所製LA950測定装置のMieモデルを使用し、炭素被覆シリコン粒子用分散媒体としてエタノールを用いた静的レーザー散乱により決定した。
【0026】
炭素被覆シリコン粒子の炭素被膜は、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜50nmの範囲の平均層厚さを有する(測定方法:走査型電子顕微鏡(SEM)および/または透過電子顕微鏡(TEM))。
【0027】
炭素被覆シリコン粒子は、通常、好ましくは0.1〜10m
2/g、より好ましくは0.3〜8m
2/g、最も好ましくは0.5〜5m
2/gのBET表面積を有する(窒素を用いてDIN ISO9277:2003−05に従って決定)。
【0028】
炭素被膜は多孔性であってよく、好ましくは非多孔性である。炭素被膜は、好ましくは≦2%、より好ましくは≦1%の多孔性を有する(全孔隙率の決定方法:1−[かさ密度(DIN51901に従ってキシレン比重瓶法によって決定)および骨格密度(DIN66137−2に従ってHe比重瓶法によって決定)の商])。
【0029】
炭素被覆シリコン粒子の炭素被膜は、好ましくは、水性または有機溶媒または溶液、特に水性または有機電解液、酸またはアルカリなどの液体媒体に非透過性である。
【0030】
概して、シリコン粒子は孔内に存在しない。炭素被膜は、概して、直接シリコン粒子表面上に存在する。
【0031】
炭素被膜は、概して、薄膜の形態であり、概して、微粒子でも繊維でもない。概して、炭素被膜は、炭素繊維または黒鉛粒子などの粒子も繊維も含有しない。
【0032】
炭素被覆シリコン粒子では、シリコン粒子は部分的または好ましくは完全に炭素中に埋め込まれている。炭素被覆シリコン粒子の表面は、部分的または好ましくは全体的に炭素から成る。
【0033】
炭素は、アモルファスの形態で存在してもよく、好ましくは部分的または完全に結晶の形態で炭素被膜中に存在してもよい。
【0034】
概して、各炭素被覆シリコン粒子は、シリコン粒子を含有する(測定方法:走査型電子顕微鏡(SEM)および/または透過電子顕微鏡(TEM))。
【0035】
炭素被覆シリコン粒子は、いずれもの所望の形状を想定してもよく、好ましくは多片状である。
【0036】
炭素被覆シリコン粒子は、好ましくは、0.1重量%〜8重量%、より好ましくは1重量%〜7重量%、さらにより好ましくは1重量%〜5重量%、特に好ましくは1重量%〜4重量%の炭素を含有する。炭素被覆シリコン粒子は、好ましくは、92重量%〜99.9重量%、より好ましくは93重量%〜99重量%、さらにより好ましくは95重量%〜99重量%、特に好ましくは96重量%〜99重量%のシリコン粒子を含有する。重量%の上記数字は、いずれの場合も炭素被覆シリコン粒子の総重量に対するものである。
【0037】
炭素被膜は、例えば、≦20重量%、好ましくは≦10重量%、より好ましくは≦5重量%の酸素含有率を有してよい。炭素被膜中、例えば、0重量%〜10重量%、好ましくは2重量%〜5重量%の程度の窒素が存在してよい。窒素は、好ましくは、複素環の形態で、例えば、ピリジンまたはピロール単位(N)として化学結合して炭素被膜中に存在している。言及された主要成分と同様に、さらなる化学元素が、例えば、制御添加の形態または偶然の不純物の形態で存在することも可能である:例えば、Li、Fe、Al、Cu、Ca、K、Na、S、Cl、Zr、Ti、Pt、Ni、Cr、Sn、Mg、Ag、Co、Zn、B、P、Sb、Pb、Ge、Bi、希土類など;その含有率は好ましくは≦1重量%、より好ましくは≦100ppmである。重量%の上記数字は、いずれの場合も炭素被膜の総重量に対するものである。
【0038】
加えて、炭素被覆シリコン粒子は、1つ以上の導電性添加物、例えば、黒鉛、導電性ブラック、グラフェン、酸化グラフェン、グラフェンナノプレートレット、カーボンナノチューブまたは銅などの金属粒子を含有してもよい。好ましくは、導電性添加物は存在しない。
【0039】
シリコン粒子は、好ましくは1μm以上15μm未満、より好ましくは2μm以上10μm未満、最も好ましくは3μm以上8μm未満(測定:炭素被覆シリコン粒子のため上記の通り堀場製作所製LA950測定装置を用いて)の直径パーセンタイル値d
50を有する体積基準粒度分布を有する。
【0040】
シリコン粒子は、好ましくは非凝集物、より好ましくは非集塊物である。「凝集した(aggregated)」とは、例えば、シリコン粒子製造の過程における気相方法において先ず生成された球状または非常に実質的に球状の一次粒子が、気相方法における反応中に後になって結合して凝集体を生成することを意味する。凝集体または一次粒子は、集塊物を生成することもできる。集塊物は、凝集体または一次粒子の緩いクラスターである。集塊物は、通常使用される混練法および分散法により容易に凝集体に再び分割され得る。たとえあったとしても、これらの方法により、凝集体は、部分的に一次粒子に分割され得るのみである。その形成のせいで、凝集体および集塊物は、好ましいシリコン粒子と全く異なる粒形を不可避的に有する。凝集の識別のため、炭素被覆シリコン粒子に関連するこの点についてなされる記載は同様にシリコン粒子に対しても適用することができる。
【0041】
シリコン粒子は、好ましくは多片状粒形を有する。
【0042】
シリコン粒子は、元素シリコン、酸化ケイ素または二元、三元または多元シリコン/金属合金(例えば、Li、Na、K、Sn、Ca、Co、Ni、Cu、Cr、Ti、Al、Feとの合金)からなり得る。特に、有利なことに元素シリコンはリチウムイオンに対して高貯蔵容量を有するので、元素シリコンを使用することが好ましい。
【0043】
概して、元素シリコンは、少ない割合の外来原子(例えば、B、P、As)を含む高純度多結晶シリコン、制御された外来原子ドーピング(例えば、B、P、As)を含むシリコンだけでなく、元素不純物(例えば、Fe、Al、Ca、Cu、Zr、C)を含有し得る冶金処理からのシリコンを意味すると理解される。
【0044】
シリコン粒子が酸化ケイ素を含有する場合、酸化物SiO
xの化学量論比は、好ましくは、0<x<1.3の範囲である。シリコン粒子がより高い化学量論比を有する酸化ケイ素を含有する場合、表面上のその層厚さは好ましくは10nm未満である。
【0045】
シリコン粒子をアルカリ金属Mと合金にする場合、合金M
ySiの化学量論比は好ましくは0<y<5の範囲である。シリコン粒子は必要に応じてプレリチウム化されていてもよい。シリコン粒子をリチウムと合金にする場合、合金Li
zSiの化学量論比は好ましくは0<z<2.2の範囲である。
【0046】
≧80モル%(mol%)のシリコンおよび/または≦20モル%の外来原子、さらにより好ましくは≦10モル%の外来原子を含有するシリコン粒子が特に好ましい。
【0047】
好ましい実施形態では、シリコン粒子は、ある程度、該シリコン粒子の総重量に対して、好ましくは≧96重量%、より好ましくは≧98重量%のシリコンから成る。シリコン粒子は、好ましくは、本質的に炭素を含有しない。
【0048】
シリコン粒子の表面は、必要に応じて、酸化物層または他の無機および有機基により被覆されていてよい。特に好ましいシリコン粒子は、表面上に、Si−OH基もしくはSi−H基または共有結合した有機基、例えば、アルコールもしくはアルケンを有する。
【0049】
例えば、粉砕方法、例えば、湿式または好ましくは乾式粉砕方法により、シリコン粒子を製造してよい。この場合、ジェットミル法、例えば、カウンタージェットミル、もしくは衝撃式製粉機、遊星ボールミルまたは撹拌ボールミルを使用することが好ましい。湿式粉砕は、概して、有機または無機分散媒帯を含む懸濁液において影響を受ける。これとの関連で、例えば、独国特許出願公開第102015215415.7号に記載されているように確立された方法を使用してもよい。
【0050】
炭素被覆シリコン粒子製造のための本発明の乾式方法では、シリコン粒子および1つ以上の溶融可能炭素前駆体を含んでなる混合物を製造する。
【0051】
混合物は、ある程度、該混合物の総重量に対して、好ましくは20重量%〜99重量%、より好ましくは30重量%〜98重量%、さらにより好ましくは50重量%〜97重量%、特に好ましくは70重量%〜96重量%、最も好ましくは80重量%〜95重量%のシリコン粒子を含有する。
【0052】
好ましい溶融可能炭素前駆体はポリマーである。好ましいポリマーは、ポリアクリロニトリル;単糖類、二糖類および多糖類などの炭水化物;ポリアニリン、ポリスチレンなどのポリビニル芳香族またはポリ芳香族;ピッチまたはタール、特にメソゲンピッチ、メソフェーズピッチ、石油ピッチ、硬質炭ピッチなどのポリ芳香族炭化水素である。特に好ましいポリマーは、ポリ芳香族炭化水素、ピッチおよびポリアクリロニトリルである。
【0053】
混合物は、ある程度、該混合物の総重量に対して、好ましくは1重量%〜80重量%、より好ましくは2重量%〜70重量%、さらにより好ましくは3重量%〜50重量%、特に好ましくは4重量%〜30重量%、最も好ましくは5重量%〜20重量%の溶融可能炭素前駆体を含有する。
【0054】
加えて、乾式方法のための混合物は、1つ以上の導電性添加物、例えば、黒鉛、導電性ブラック、グラフェン、酸化グラフェン、グラフェンナノプレートレット、カーボンナノチューブまたは銅などの金属粒子を含有してもよい。好ましくは、導電性添加物は存在しない。
【0055】
乾式方法では、概して、溶媒を使用しない。概して、乾式方法は、溶媒の非存在下で行う。しかしながら、このことは、例えば、その製造の結果として、使用される反応物がいずれもの溶媒残留含有物を含有することができないことを意味しない。好ましくは、乾式方法のための混合物、特にシリコン粒子および/または溶融可能炭素前駆体は、≦2重量%、より好ましくは≦1重量%、最も好ましくは≦0.5重量%の溶媒を含有する。
【0056】
溶媒の例は、水などの無機溶媒、または有機溶媒、特に炭化水素類、エーテル類、エステル類、窒素官能性溶媒、硫黄官能性溶媒、エタノールおよびプロパノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンならびにジメチルスルホキシドである。
【0057】
シリコン粒子および溶融可能炭素前駆体を、例えば、0〜50℃、好ましくは15〜35℃の温度で、従来の方法で混合することができる。標準的な混合機、例えば、空気圧ミキサー、コンテナミキサーなどのフリーフォールミキサー、コーンミキサー、ドラムローラーミキサー、ジャイロミキサー、タンブルミキサーまたはドラムミキサーおよびスクリューミキサーなどのディスプレイスメントミキサーおよびインペラーミキサーを使用することが可能である。遊星ボールミル、撹拌ボールミルまたはドラムミルなどの目的のために一般によく使用される製粉機を用いて混合を行うこともできる。
【0058】
シリコン粒子および1つ以上の溶融可能炭素前駆体を含んでなる混合物を、該溶融可能炭素前駆体が完全に溶融する(溶融段階)まで、<400℃の温度まで加熱する。それぞれの溶融可能炭素前駆体に関する溶融段階の温度は、その融点または溶融温度範囲により導かれる。概して、溶融段階の間、溶融可能炭素前駆体の炭化は、たとえあったとしても、取るに足らない程度に起こるだけである。溶融段階中に炭化する溶融可能炭素前駆体の割合は、全体的に使用される溶融可能炭素前駆体の総重量に対して、好ましくは≦20重量%、より好ましくは≦10重量%、最も好ましくは≦5重量%である。
【0059】
溶融可能炭素前駆体を、従来の炉、例えば、管状炉、か焼炉、回転窯または流動床反応器内で溶融することができる。
【0060】
溶融段階の期間は、例えば、融点、溶融物のための個々の場合に選択される温度、および炉により導かれる。溶融段階の期間は、例えば、5分〜2時間、好ましくは10分〜70分である。
【0061】
溶融段階中の加熱速度は、好ましくは1〜20℃/分、より好ましくは1〜15℃/分、特に好ましくは1〜10℃/分である。
【0062】
溶融可能炭素前駆体は、周知の事実である通り、該溶融可能炭素前駆体が固相から完全にその液相に転移した場合に完全に溶融した。
【0063】
溶融可能炭素前駆体を完全な溶融後に炭化する。炭化すると、溶融可能炭素前駆体は概して無機炭素に転換する。
【0064】
好ましくは、炭化を溶融段階のために使用する同じ装置で行う。静的な方法または反応媒体の一定混合で炭化を行うことができる。
【0065】
好ましくは400℃超〜1400℃、より好ましくは700℃〜1200℃、最も好ましくは900℃〜1100℃の温度で炭化を行う。
【0066】
炭化中の加熱速度は、好ましくは1〜20℃/分、より好ましくは1〜15℃/分、特に好ましくは1〜10℃/分、最も好ましくは3〜5℃/分である。加えて、異なる中間温度および加熱速度で段階的方法も可能である。目的温度達成後、反応混合物を、通常、特定の時間、温度で保持するかまたはその後早急に冷却する。有利な保持時間は、例えば、30分〜24時間、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜4時間である。冷却を、能動的または受動的に、一様にまたは段階的に行うことができる。
【0067】
混合および炭化を有気条件または好ましくは無気条件下で行うことができる。窒素または好ましくはアルゴン雰囲気など不活性ガス雰囲気が特に好ましい。不活性ガス雰囲気は、必要に応じて、付加的に水素などの少しの還元性ガスを含有してもよい。不活性ガス雰囲気は、反応媒体上で滞留してもよく、ガス流の形態で反応混合物上を流動してもよい。
【0068】
炭素被覆シリコン粒子製造のための本発明のCVD法では、シリコン粒子を、1つ以上の炭素前駆体を用いて炭素で被覆する。
【0069】
CVD法に適した炭素前駆体は、例えば、1〜10個の炭素原子、特に1〜4個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素などの炭化水素である。これらの例としては、メタン、エタン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテン、ペンタン、イソブタン、ヘキサン;エチレン、アセチレンまたはプロピレンなどの1〜4個の炭素原子を有する不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、スチレン、エチルベンゼン、ジフェニルメタンまたはナフタレンなどの芳香族炭化水素;フェノール、クレゾール、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ピリジン、アントラセン、フェナントレンなどのさらなる芳香族炭化水素である。
【0070】
CVD法に好ましい炭素前駆体は、メタン、エタン、特に、エチレン、アセチレン、ベンゼンまたはトルエンである。
【0071】
CVD法では、好ましくは、シリコン粒子を雰囲気下、特に1つ以上の一般的ガス状炭素前駆体の気流中で加熱する。CVD法に典型的なプロセス条件下、炭素前駆体は従来通り気体状態である。従来通り、炭素前駆体は、炭素のシリコン粒子の熱い表面において炭素を成膜しながら分解する。
【0072】
雰囲気の総体積に対して、好ましくは0.1体積%〜80体積%、より好ましくは0.5体積%〜50体積%、さらにより好ましくは1体積%〜30体積%、最も好ましくは2体積%〜25体積%、非常に最も好ましくは5体積%〜20体積%の程度まで炭素前駆体を含有する雰囲気中、CVD法を行う。
【0073】
雰囲気のさらなる成分、特に残留成分は、好ましくは窒素または好ましくはアルゴンなどの不活性ガス、必要に応じて水素などの還元性ガスである。
【0074】
雰囲気は、好ましくは、雰囲気の総体積に対して、10体積%〜99体積%、より好ましくは20体積%〜90体積%、特に好ましくは25体積%〜80体積%、最も好ましくは50体積%〜75体積%の不活性ガスを含有する。
【0075】
雰囲気は、好ましくは、雰囲気の総体積に対して、0.01体積%〜80体積%、より好ましくは3体積%〜60体積%、特に好ましくは5体積%〜40体積%の水素を含有する。
【0076】
CVDを行っている間、粒子、特にシリコン粒子および生成された炭素被覆シリコン粒子を撹拌、好ましくは流動化する。
【0077】
粒子の撹拌または流動化を、例えば、機械的、音響および/または空気圧エネルギー入力、例えば、撹拌、振動または超音波への暴露により行うことができる。粒子の流動化を、気流、特に炭素前駆体および必要に応じてCVD法の雰囲気のさらなる成分を含んでなる気流により補助することができる。流動化の場合に選択される気流速度は、好ましくは、シリコン粒子が流動状態に転移することができるのに少なくとも充分に大きい。流動状態では、粒子は液体の様な特性を有することが知られている。
【0078】
周知のように、その流動特性に応じてゲルダート分類A〜Dに分類することができる。本発明のCVD法における粒子は、好ましくは、ゲルダート分類Cに属する。ゲルダート分類Cに割り当てられた粒子は、概して、極めて小さく、したがって、30μm未満、特に20μm未満の粒径を有する凝集性粒子である。非凝集炭素被覆シリコン粒子を得るために、強力な凝集力のせいで、本発明のCVD法は、撹拌状態、好ましくは流動状態で行わなければならない。さらに指定された従来の方法で、これらの撹拌および流動化を行うことができる。
【0079】
CVD法における温度は、好ましくは600℃〜1400℃、より好ましくは700℃〜1200℃、最も好ましくは800℃〜1100℃である。
【0080】
好ましくは、0.5〜2バール(bar)の圧でCVD法を行う。
【0081】
CVD法においてシリコン粒子の処理時間は、好ましくは1〜240分、より好ましくは5〜120分、最も好ましくは10〜60分である。
【0082】
被覆処理中の気体の総量、特に炭素前駆体の総量を、概して、所望の炭素成膜が達成するように選択する。
【0083】
さもなければ、従来方法でCVD法を実行することができる。
【0084】
好ましくは、乾式法またはCVD法により単一被覆処理操作によって炭素単独でシリコン粒子を被覆する。好ましくは、炭素被覆シリコン粒子を、乾式法もしくはCVD法またはいずれかの他の方法によりさらなる炭素被覆処理に付さない。
【0085】
乾式法またはCVD法により得られた炭素被覆シリコン粒子を、そのさらなる利用、例えば、電極材製造用に直接送ってもよく、あるいは、分級技術(篩分け(sieving)、篩分け(sifting))により大きいサイズまたは小さいサイズのものを取り除いてもよい。好ましくは、機械的後処理も分級も、特に粉砕も行わない。
【0086】
例えば、リチウムイオン電池用アノード活性材料のためのシリコンベース活性材料として、炭素被覆シリコン粒子は適している。
【0087】
本発明は、1つ以上のバインダー、必要に応じて黒鉛、必要に応じて1つ以上のさらなる導電性成分および必要に応じて1つ以上の添加剤を含んでなるリチウムイオン電池用アノード材料であって、本発明の1つ以上の炭素被覆シリコン粒子が存在することを特徴とする、アノード材料をさらに提供する。
【0088】
リチウムイオン電池のアノード材料のための好ましい配合は、好ましくは5重量%〜95重量%、特に60重量%〜85重量%の本発明の炭素被覆シリコン粒子;0重量%〜40重量%、特に0重量%〜20重量%のさらなる導電性成分;0重量%〜80重量%、特に5重量%〜30重量%の黒鉛;0重量%〜25重量%、特に5重量%〜15重量%のバインダー;および必要に応じて0重量%〜80重量%、特に0.1重量%〜5重量%の添加剤を含有し、重量%の数字は該アノード材料の総重量に対してであり、該アノード材料の全成分の割合を合計すると100重量%となる。
【0089】
アノード材料の好ましい配合では、黒鉛粒子およびさらなる導電性成分の割合は合計で、該アノード材料の総重量に対して少なくとも10重量%となる。
【0090】
本発明は、カソード、アノード、セパレータおよび電解液を含んでなるリチウムイオン電池であって、該アノードは前述した本発明のアノード材料をベースとすることを特徴とする、リチウムイオン電池をさらに提供する。
【0091】
本発明の炭素被覆シリコン粒子だけでなく、本発明のアノード材料およびリチウムイオン電池を、この目的のために一般的に使用される出発材料を用いて製造することができ、この目的のために一般的に使用される方法は、例えば、独国特許出願公開第102015215415.7号に記載されているようにアノード材料およびリチウムイオン電池の製造のための使用を見出すことができる。
【0092】
本発明は、カソード、アノード、セパレータおよび電解液を含んでなるリチウムイオン電池であって、
該アノードは前述した本発明のアノード材料をベースとし;
フル充電されたリチウムイオン電池のアノード材料は部分的にのみリチウム化されていることを特徴とする、
リチウムイオン電池をさらに提供する。
【0093】
本発明は、カソード、アノード、セパレータおよび電解液を含んでなるリチウムイオン電池の操作方法であって、
該アノードは前述した本発明のアノード材料をベースとし;
該アノードはリチウムイオン電池のフル充電時に部分的にのみリチウム化されていることを特徴とする、
方法をさらに提供する。
【0094】
本発明は、アノード材料がリチウムイオン電池のフル充電状態において部分的にのみリチウム化されているように構成されているリチウムイオン電池において本発明のアノード材料の使用をさらに提供する。
【0095】
したがって、アノード材料、特に本発明の炭素被覆シリコン粒子がフル充電されたリチウムイオン電池において部分的にのみリチウム化されていることは好ましい。「フル充電された」は、電池のアノード材料がリチウムの最も高い充電を有する電池の状態を表す。アノード材料の部分的リチウム化は、該アノード材料におけるシリコン粒子の最大リチウム吸収能力が使い尽くされていないことを意味する。シリコン粒子の最大リチウム吸収能力は、概して、式Li
4.4Siに対応し、したがって、シリコン原子当たり4.4個のリチウム原子である。これは、シリコンのグラム当たり4200mAhの最大比容量に相当する。
【0096】
リチウムイオン電池のアノードにおけるシリコン原子に対するリチウム原子の比(Li/Si比)を、例えば、電荷の流れにより調節することができる。アノード材料中に存在するアノード材料またはシリコン粒子のリチウム化度は、流れた電荷に比例する。この変化形では、リチウムイオン電池の充電しているうちに、リチウムに対するアノード材料の容量は完全に使い尽くされてはいない。これは、アノードにおいて部分的リチウム化をもたらす。
【0097】
代替の好ましい変化形では、リチウムイオン電池のLi/Si比を、セルバランスにより調節する。この場合、アノードのリチウム吸収能力が好ましくはカソードのリチウム放出能力より大きくなるようにリチウムイオン電池を設計する。これの効果は、フル充電電池において、アノードのリチウム吸収能力が完全には使い尽くされないことであり、アノード材料は部分的にのみリチウム化されていることを意味する。
【0098】
本発明の部分的リチウム化の場合、リチウムイオン電池のフル充電状態におけるアノード材料中のLi/Si比は、好ましくは≦2.2、より好ましくは≦1.98、最も好ましくは≦1.76である。リチウムイオン電池のフル充電状態におけるアノード材料中のLi/Si比は、好ましくは≧0.22、より好ましくは≧0.44、最も好ましくは≧0.66である。
【0099】
リチウムイオン電池のアノード材料中のシリコンの容量を、シリコンのグラム当たりの用量4200mAhに対して、好ましくは、≦50%の程度、より好ましくは≦45%の程度、最も好ましくは≦40%の程度まで利用する。
【0100】
シリコンのリチウム化度またはリチウムに対するシリコンの容量の利用(Si容量利用α)を、例えば、独国特許出願公開第102015215415.7号、11頁4行目〜12頁25行目に記載されているように、特にSi容量利用αおよび表題「Bestimmung der Delithiierungs−Kapazitaet β」[脱リチウム化容量βの決定]および「Bestimmung des Si−Gewichtsanteils ω
Si」[Siの重量比率ω
Siの決定]下の追加情報に関してそこに示された式を用いて決定することができる(「参照により組み入れられる」)。
【0101】
リチウムイオン電池における本発明の炭素被覆シリコン粒子の使用は、驚くべきことに、そのサイクル特性の改良をもたらす。かかるリチウムイオン電池は、最初の充電サイクルにおいて容量の小さな不可逆的損失およびその後のサイクルにおいてほんの僅かな劣化のみで安定な電気化学特性を有する。したがって、本発明の炭素被覆シリコン粒子は、リチウムイオン電池の容量の小さな初期損失および付加的に容量の小さな連続的損失を達成することができる。全体的に、本発明のリチウムイオン電池は、非常に良好な安定性を有する。このことは、多数回のサイクルの場合でさえ、例えば、本発明のアノード材料またはSEIの機械的破壊の結果としてほとんど疲労減少は起こらないことを意味する。
【0102】
驚くべきことに、本発明の炭素被覆シリコン粒子を使用して、前述の有利なサイクル特性だけでなく、同時に高容積エネルギー密度も有するリチウムイオン電池を得ることができる。
【0103】
高密度化しなくとも、少しの高密度化でさえ、本発明の炭素被覆シリコン粒子を使用して高容積を有するアノードを得ることができる。従来の凝集した炭素被覆シリコン粒子を有するアノードは所望の容積を達成するために高密度化を要するが、これは、電気化学的性能(サイクル安定性)低下と関連する。
【0104】
さらに、本発明の炭素被覆シリコン粒子は、有利に高導電性および腐食媒体、例えば、有機溶媒、酸またはアルカリに対する高安定性を有する。リチウムイオン電池の内部電池抵抗を、本発明の炭素被覆シリコン粒子を用いて低下させることもできる。
【0105】
さらに、本発明の炭素被覆シリコン粒子は、驚くべきことに、水中、特にリチウムイオン電池のアノード用水性インク処方物中で安定であるので、このような条件下従来のシリコン粒子で起こる水素発生を減少させることが可能である。このことは、水性インク処方物の発泡しない配合および特に均質または気泡のないアノードの製造を可能とする。対照的に、本発明の方法における反応物として使用されるシリコン粒子は、水中に大量の水素を発生させる。
【0106】
例えば、溶媒を用いて、または本発明でない乾燥法もしくは本発明でないCVD法を用いて炭素を含むシリコン粒子の被膜中に得られたような凝集した炭素被覆シリコン粒子は、たとえあったとしても、本発明の程度までのそのような有利な効果を達成することはできない。
【実施例】
【0107】
続く実施例は、本発明をさらに明らかにするのに役立つ。
【0108】
特に断りがない限り、続く実施例(比較例)を、空気下、大気圧(1013ミリバール(mbar))、室温(23℃)において実施した。続く方法および材料を使用した。
【0109】
炭化:
N型サンプル熱電対を備えている、カスケード制御を用いたCarbolite GmbHの1200℃三ゾーン管状炉(TFZ12/65/550/E301)を用いて炭化を行った。指定した温度は、熱電対の位置における管状炉の内部温度に基づく。いずれの場合も炭化される出発材料を1つ以上の石英ガラス製燃焼ボード(QCS GmbH)中に量り入れ、石英ガラス製の作業チューブに導入した。炭化に使用される設定および処理パラメーターは、それぞれの実施例中に報告されている。
【0110】
CVD反応器:
Carbolite GmbHの使用された1000℃のCVD反応器(HTR11/150)は、温度制御されるセラミックライニングを備える電気加熱された回転窯内にある石英ガラスドラムから成る。反応ゾーンに沿った加熱速度は、10〜20K/分であり;加熱ドラムは反応ゾーン内で均一な温度分布を有する。指定温度は、熱電対の位置におけるドラムの目標内部温度に基づいている。
閉じた炉の蓋で、ガラスドラムを雰囲気から熱的に遮蔽する。処理中、ガラスドラムを回転(315°、振動周波数6〜8/分)し、粉体の追加混合を確実にする壁の膨らみを有する。ガス導管を石英ガラスドラムと連結する。この場合、バイパスにより、その温度が熱電対により制御されたバブラー槽が前駆体蒸気の生成のためにスイッチを入れて作動させられるのを可能とする。生成された副産物およびパージガスを反対側のオフガス管中に吸い出す。化学気相蒸着のために使用される設定および処理パラメーターは、使用される前駆体に応じて異なる。
【0111】
分級/篩分け:
炭化または化学気相蒸着後に得られたC被覆Si粉末を、ステンレス鋼製篩いで水を用いてAS 200 basic sieving machine(Retsch GmbH)を用いて、湿式篩い分けにより、>20μmの大きいサイズを取り除いた。超音波(Hielscher UIS250V;振幅80%、サイクル:0.75;時間:30分)によってエタノール中に、粉状製品を分散(固形含有率20%)し、篩い(20μm)を用いて篩分け塔に適用した。無限時間プリセレクションおよび50〜70%の振幅で、水流を通過させて篩分けを行った。底部に存在するシリコン含有懸濁液を200nmナイロン膜によりろ過し、ろ過残渣を100℃および50〜80ミリバールにおいて真空乾燥キャビネット内で一定の質量になるまで乾燥した。
【0112】
次の分析方法および装置を使用して得られたC被覆Si粒子を特性決定した。
【0113】
走査型電子顕微鏡(SEM/EDX):
Zeiss Ultra55走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散型INCA X視野X線分光計を用いて顕微鏡分析を行った。分析前に、サンプルを、帯電現象を防止するためにBaltec SCD500スパッタ/炭素コーティング装置を用いて炭素蒸着に付した。
【0114】
透過電子顕微鏡(TEM):
層厚さおよび炭素構造の分析を、Zeiss Libra120透過電子顕微鏡で行った。樹脂マトリックス中に包埋後のミクロトーム切片または粉末から直接的にサンプルを調製した。超音波によって2mLのイソプロパノール中に各サンプルのスパチュラ先端量を分散し、これを銅グリッドに適用することによりこれを行った。これは、100℃において1分間ホットプレート上で両側を乾燥した。
【0115】
無機分析/元素分析:
C含有率をLeco CS230分析計で確定し;OおよびN含有率を決定するために、Leco TCH−600分析計を使用した。得られた炭素被覆シリコン粒子中の他の元素の定性測定および定量測定を、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光計(Optima7300DV、Perkin Elmer社)によって行った。この目的のため、サンプルを、マイクロ波(Microwave3000、Anton Paar社)下で酸消化(HF/HNO
3)に付した。ICP−OESによる決定は、ISO11885「水質−誘導結合プラズマ−光学発光による選択元素の決定(ICP−OES)(ISO 11885:2007);EN ISO 11885:2009のドイツ版」を手引きとし、これは、酸性水溶液(例えば、酸性化飲用水、廃水、および他の水サンプル、土壌および沈降物の王水抽出物)の分析に使用される。
【0116】
粒度決定:
ISO13320に従って、堀場製作所製LA950を用いて静的レーザー散乱によって、粒度分布を決定した。サンプルの調製では、個々の粒子よりむしろ集塊物の大きさを測定しないように、測定溶液中の粒子の分散に特に注意を払わなければならない。ここで分析されたC被覆Si粒子に関して、粒子をエタノール中で分散した。この目的のため、測定前に、必要に応じて、分散液を、LS24d5ソノトロードを備えたHielscherモデルUIS250v超音波実験室用装置内で250Wの超音波で4分間処理した。
【0117】
BET表面積測定:
材料の比表面積を、DIN ISO9277:2003−05に従ってBET法によりSorptomatic199090装置(Porotec社)またはSA−9603MP装置(堀場製作所)を用いて窒素でのガス吸着により測定した。
【0118】
液体媒体に対するSi接近容易性:
液体媒体に対するC被覆Si粒子におけるシリコンの接近容易性の決定を、既知のシリコン含有率(元素分析から)を有する材料に対して次の試験方法により行った。
最初に、0.5〜0.6gのC被覆シリコンをNaOH(4M;H
2O)およびエタノールの混合物(1:1、体積基準)20mLを用いて超音波によって分散してから、40℃で120分間撹拌した。粒子を、200nmナイロン膜によりろ過し、中性pHまで水で洗浄してから、100℃/50〜80ミリバールにおいて乾燥キャビネット内で乾燥した。NaOH処理後のシリコン含有率を決定し、試験前のSi含有率と比較した。液密は、アルカリ処理後のサンプルのSi含有率パーセントおよび未処理C被覆粒子のSi含有率パーセントの商に対応する。
【0119】
粉末導電性の決定
C被覆サンプルの比抵抗を、制御された圧(60MPa以下)下、圧力チャンパー(ダイラジアス6mm)および油圧ユニット(Caver社、米国、モデル3851CE−9;S/N:130306)から成るKeithley社の測定システム、2602システムソースメーターID266404において決定した。
【0120】
ガス発生の決定:
a)GC測定(ヘッドスペース)による:
シリコン粉末の水素発生を決定するため、50mgのサンプルをGCヘッドスペースバイアル(体積22mL)に量り入れ、5mLの酢酸リチウム緩衝液(pH7;0.1M)を添加し、このバイアルを密閉し、30分間撹拌しながらアルミニウムブロック内で80℃まで加熱した。気相中の水素含有率の決定を、GC測定によって行った。熱導電性検出により検出した。水素含有率を、気相中の体積パーセントで報告した。検出された気体は酸素、窒素およびアルゴンであった。
【0121】
b)閉じた系における圧増大の測定による:
閉じた系における圧増大を決定するため、200mgのシリコン粉末を約10バールの圧用に設計された密封可能なガラス管中に導入し、20mLの酢酸リチウム緩衝液(pH7;0.1M)を添加してから、この系を60分間アルミニウムブロック内で80℃まで加熱し、圧増大を読み取った。デジタル圧力計によって測定した。シリコン粉末を含まない緩衝液の圧増大(ブランク値)により測定値を補正した。
【0122】
実施例1(実1):被覆していないマイクロSi:
流動床ジェットミルにおけるソーラーシリコン製造からの粗Siスパル(spall)の粉砕による先行技術に従って、シリコン粉末を製造した(粉砕ガスとして7バールにおいて90m
3/時の窒素を用いたNetzsch−Condux CGS16)。
エタノール中高度希釈した懸濁液で粒度を決定した。
図1中の乾燥SiダストのSEM画像(拡大倍率7500倍)は、サンプルが個々の非凝集多片状粒子から成ることを示している。
元素組成:Si ≧98重量%;C 0.10重量%;H <0.01重量%;O 0.21重量%。
粒度分布:単峰性;D
10:2.77μm、D
50:5.27μm、D
90:8.76μm;(D
90−D
10)/D
50=1.14;(D
90−D
10)=6.0μm。
比表面積(BET):2.231m
2/g。
Si不浸透性:0%
粉末導電率:95.89μS/cm。
ガス発生:4.43体積%の水素(方法a);3.71バール(方法b)。
【0123】
実施例2(実2):
C被覆マイクロSi(乾式方法):
238.00gの実施例1からのシリコン粉末(d
50=5.27μm)および13.00gのピッチ(Petromasse ZL 250M)を80rpmで3時間ボールミルローラーベッド(Siemens/Groschopp)によって機械的に混合した。
248.00gのSi/ピッチ混合物を石英ガラスボート(QCS GmbH)中に導入し、不活性ガスとして窒素/H
2を用いてN型サンプル熱電対を備えているカスケード制御を用いて三ゾーン管状炉(TFZ12/65/550/E301;Carbolite GmbH)内で炭化した:
第一加熱速度10℃/分、温度350℃、保持時間30分(ピッチは完全に溶解した)、N
2/H
2流速200mL/分;それから、加熱速度3℃/分、温度550℃で直接的にさらに;加熱速度10℃/分、温度1000℃で直接的にさらに;それから保持時間2時間、N
2/H
2流速200mL/分で炭化した。
冷却後、242.00gの黒色粉末を得て(炭化収率98%)、これを湿式篩分けによって大きなサイズを取り除いた。D
99<20μmの粒度を有するC被覆Si粒子239.00gを得た。
図2は、得られたC被覆Si粒子のSEM画像(拡大倍率7500倍)を示し、
図3は、TEM画像(拡大倍率40,000倍)を示す。
元素組成:Si ≧94重量%;C 2.88重量%;H 0.01重量%;O 0.44重量%;N 0重量%。
粒度分布:単峰性;D
10:3.46μm、D
50:5.52μm、D
90:8.59μm;(D
90−D
10)/D
50=0.93。
比表面積(BET):1.20m
2/g。
Si不浸透性:約100%
粉末導電率:20003.08μS/cm。
ガス発生:H
2発生はなかった(方法a);圧増大はなかった(方法b)。
【0124】
実施例3(実3):被覆していないマイクロSi:
流動床ジェットミルにおけるソーラーシリコン製造からの粗Si破砕片の粉砕による先行技術に従って、シリコン粉末を製造した(粉砕ガスとして7バールにおいて90m
3/時の窒素を用いたNetzsch−Condux CGS16)。
エタノール中、高希釈した懸濁液で粒度を決定した。
元素組成:Si ≧99重量%;C <0.1重量%;O 0.34重量%;N <0.1重量%。
粒度分布:単峰性;D
10:2.23μm、D
50:4.45μm、D
90:7.78μm;(D
90−D
10)/D
50=1.25;(D
90−D
10)=5.5μm。
比表面積(BET):2.4m
2/g。
Si不浸透性:0%
粉末導電率:94.39μS/cm。
【0125】
実施例4(実4):
C被覆マイクロSi(乾式方法):
270.00gの実施例3からのシリコン粉末(D
50=4.45μm)および30.00gのポリアクリロニトリル(PAN)を80rpmで3時間ボールミルローラーベッド(Siemens/Groschopp)によって機械的に混合した。
298.00gのSi/PAN混合物を石英ガラスボート(QCS GmbH)中に導入し、不活性ガスとして窒素/H
2を用いてN型サンプル熱電対を備えているカスケード制御を用いて三ゾーン管状炉(TFZ12/65/550/E301;Carbolite GmbH)内で炭化した:
第一加熱速度10℃/分、温度300℃、保持時間90分(ピッチは完全に溶解した)、N
2/H
2流速200mL/分;それから、加熱速度10℃/分、温度1000℃、保持時間3時間、N
2/H
2流速200mL/分で直接的にさらに炭化した。
冷却後、280.00gの黒色粉末を得て(炭化収率94%)、これを湿式篩分けによって大きなサイズを取り除いた。D
99<20μmの粒度を有するC被覆Si粒子267.00gを得た。
図4は、得られたC被覆Si粒子のSEM画像(拡大倍率7500倍)を示し、
図5は、TEM画像(拡大倍率40,000倍)を示す。
元素組成:Si ≧94重量%;C 5.01重量%;O 0.61重量%;N 0.3重量%。
粒度分布:単峰性;D
10:2.35μm、D
50:4.51μm、D
90:8.01μm;(D
90−D
10)/D
50=1.26。
比表面積(BET):1.3m
2/g。
Si不浸透性:約100%
粉末導電率:50678.78μS/cm。
ガス発生:H
2発生はなかった(方法a);圧増大はなかった(方法b)。
【0126】
実施例5(実5):
実施例4からのC被覆マイクロSiを含む本発明のアノード:
29.71gのポリアクリル酸(一定重量になるまで85℃で乾燥;Sigma−Aldrich、M
w 約450,000g/モル)および756.60gの脱イオン水をポリアクリル酸が完全に溶解するまで2.5時間振盪機(290/分)によって撹拌した。水酸化リチウム一水和物(Sigma−Aldrich)を、pHが7.0(WTW pH 340i pHメーターおよびSenTix RJDプローブにより測定)になるまで小分けして溶液に添加した。その後、溶液をさらに4時間振盪機によって混合した。
7.00gの実施例2からの非凝集炭素被覆シリコン粒子を、12.50gの中和したポリアクリル酸溶液および5.10gの脱イオン水中に、20℃で冷却しながら、4.5m/s(メートル/秒)の周速度で5分間、12m/sの周速度で30分間ディソルバーによって分散した。2.50gの黒鉛(Imerys、KS6L C)の添加後、混合物を、12m/sの周速度でさらに30分間撹拌した。脱気後、ギャップ高さ0.20mmを有するフィルムアプリケーター(Erichsen、モデル360)によって分散液を0.03mmの厚さを有する銅箔(Schlenk Metallfolien、SE−Cu58)に塗布した。それから、このように得られたアノード被膜を、50℃、空気圧1バールにおいて60分間乾燥した。
乾燥アノード被膜の平均基本重量は2.90mg/cm
2であり、被膜密度は0.8g/cm
3であった。
【0127】
実施例6(実6):
実施例5からのアノードを備える本発明のリチウムイオン電池:
電気化学試験を、二電極配置におけるボタン電池(CR2032型、Hohsen Corp.)で行った。実施例5からの電極被膜を対電極または負電極(D
m=15mm)として使用し、94.0%の含有率および14.8mg/cm
2の平均基本重量を有するリチウム−ニッケル−マンガン−コバルト酸化物6:2:2をベースとする被膜(Custom Cells社から供給)を作用電極または正電極(D
m=15mm)として使用した。120μLの電解液で浸漬されたガラス繊維ろ紙(Whatman、GDタイプD)はセパレータ(D
m=16mm)としての機能を果たした。使用された電解液は、炭酸フルオロエチレンおよび炭酸エチルメチルの3:7(v/v)混合物中の1.0モル濃度溶液の六フッ化リン酸リチウムから成り、これに、ビニレンカーボネートの2.0重量%を添加した。グローブボックス(<1ppm H
2O、O
2)内に電池を作成し;使用された全成分の乾燥物質の含水量は20ppm未満であった。
電気化学試験を20℃で行った。電流が1.2mA/g(C/100に対応)未満または15mA/g(C/8に対応)になるまで、第一サイクルにおいて5mA/g(C/25に対応)およびその後のサイクルにおける60mA/g(C/2に対応)の定電流ならびに定電圧において4.2Vの電圧制限に達成時にcc/cv法(定電流/定電圧)により電池を充電した。3.0Vの電圧制限に達するまで、第一サイクルにおいて5mA/g(C/25に対応)およびその後のサイクルにおける60mA/g(C/2に対応)の定電流でcc法(定電流)により電池を放電した。選択された比電流は、正電極の被膜の重量に基づいていた。
実施例5および6の処方物を基礎として、リチウムイオン電池をアノードの部分的リチウム化されたセルバランスにより作動させた。
【0128】
第二サイクルにおけるフル充電された電池は、2.03mAh/cm
2の可逆的初期容量を有し、220回の充電/放電サイクル後にそれでもこの最初の容量の80%を有した。
【0129】
比較例7(比7):
実施例3からの被覆されていないマイクロSiを含む本発明でないアノード:
実施例3からのシリコン粒子を実施例5に記載されているように使用してアノードを製造した。
このように製造されたアノード被膜の平均基本重量は2.94mg/cm
2であり、被膜密度は0.9g/cm
3であった。
【0130】
比較例8(比8):
比較例7からのアノードを備える本発明でないリチウムイオン電池:
被覆されていないシリコン粒子を含んでなる比較例7からのアノードを、実施例6に記載されているように試験した。
比較例7および8の処方物を基礎として、リチウムイオン電池をアノードの部分的リチウム化されたセルバランスにより作動させた。
【0131】
第二サイクルにおけるフル充電された電池は、2.03mAh/cm
2の可逆的初期容量を有し、203回の充電/放電サイクル後にそれでもこの最初の容量の80%を有した。
【0132】
実施例9(実9):C被覆マイクロSi(CVD法):
20.00gの実施例1からのシリコン粉末(D
50=5.27μm)を室温においてCarbolite GmbHのCVD反応器(HTR11/150)のガラス管に移動した。サンプルの導入後、プロセスガスでパージ処理を行った(10分 アルゴン 3slm(標準リットル毎分);3分 エテンおよびH
2 各1slm、5分 アルゴン 3slm)。20K/分の加熱速度で、反応ゾーンを900℃まで加熱した。パージおよび加熱の間でも、管を回転(8/分の振動周波数で315°)して粉末を混合した。目標温度に達成時、10分間保持した。次のガス組成を用いて3.6slmの総ガス流速で30分の反応時間CVD被覆を行った:
2モルのエテン、0.3slm、8.33体積%;アルゴン 2.4slm、66.67体積%;H
2 0.9slm、26体積%。
冷却後、15.00gの黒色粉末を得て(収率75%)、これを湿式篩分けによって大きなサイズを取り除いた。D
99<20μmの粒度を有するC被覆Si粒子14.50gを得た。
図6は、得られたC被覆Si粒子のSEM画像(拡大倍率7500倍)を示し、
図7は、TEM画像(拡大倍率20,000倍)を示す。
元素組成:Si ≧94重量%;C 2.54重量%;H <0.01重量%;O 0.10重量%;N <0.01重量%。
粒度分布:単峰性;D
10:2.79μm、D
50:5.26μm、D
90:8.77μm;(D
90−D
10)/D
50=1.44。
比表面積(BET):2.10m
2/g。
Si不浸透性:約100%
粉末導電率:818267.37μS/cm。
ガス発生:H
2発生はなかった(方法a);圧増大はなかった(方法b)。
【0133】
比較例10(比10):
凝集したC被覆マイクロSi(トルエンからピッチベース):
3.00gのピッチ(Petromasse ZL250M)を室温において100mLのトルエンに溶解し、24時間撹拌した。70.00gの実施例1からのシリコン粉末(D
50=5.27μm)を超音波(Hielscher UIS250V;振幅80%、サイクル0.9;時間:60分)によってこのピッチ溶液中に分散した。溶媒を減圧下で除去した後に、70.00gの黒色粉末を得た。
69.00gのSi/ピッチ粉末を石英ガラスボート(QCS GmbH)中に導入し、不活性ガスとして窒素/H
2を用いてN型サンプル熱電対を備えているカスケード制御を用いて三ゾーン管状炉(TFZ12/65/550/E301;Carbolite GmbH)内で炭化した:
第一加熱速度10℃/分、温度350℃、保持時間30分、N
2/H
2流速200mL/分;それから、加熱速度3℃/分、温度550℃で直接的にさらに;加熱速度10℃/分、温度1000℃で直接的にさらに;それから保持時間2時間、N
2/H
2流速200mL/分で炭化した。
冷却後、68.00gの黒色粉末を得て(炭化収率98%)、これを湿式篩分けによって大きなサイズを取り除いた。D
99<20μmの粒度を有するC被覆Si粒子5.00gを得た。
図8は、得られたC被覆Si粒子のSEM画像(拡大倍率7500倍)を示す。
元素組成:Si ≧93重量%;C 2.05重量%;H 0.02重量%;O 0.46重量%;N <0.01重量%。
粒度分布:単峰性;D
10:3.61μm、D
50:5.88μm、D
90:9.29μm;(D
90−D
10)/D
50=0.97。
比表面積(BET):1.33m
2/g。
Si不浸透性:<1%。
粉末導電率:3413.97μS/cm。
【0134】
比較例11(比11):
凝集したC被覆マイクロSi(DMFからPANベース):
5.00gのポリアクリロニトリル(PAN)を、室温において333mLのジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解した。8.00gの実施例3からのシリコン粉末(D
50=4.45μm)を超音波(Hielscher UIS250V;振幅80%、サイクル0.9;時間:30分)によってこのPAN溶液中に分散した。B−295イナートループおよびB−296除湿装置(BUECHI GmbH)を備えたタイプB−290研究室用噴霧乾燥器(BUECHI GmbH)を用いて、得られた分散液を散布し乾燥した(ノズルチップ0.7mm;ノズルキャップ1.4mm;ノズル温度130℃;N
2ガスフ流速30;アスピレーター100%;ポンプ20%)。7.57gの褐色粉末を得た(収率58%)。
6.86gのSi/PAN粉末を石英ガラスボート(QCS GmbH)中に導入し、不活性ガスとして窒素/H
2を用いてN型サンプル熱電対を備えているカスケード調整を用いて三ゾーン管状炉(TFZ12/65/550/E301;Carbolite GmbH)内で炭化した:
第一加熱速度10℃/分、温度300℃、保持時間90分、N
2/H
2流速200mL/分;それから、加熱速度10℃/分、温度1000℃、保持時間3時間、N
2/H
2流速200mL/分で直接的にさらに炭化した。
冷却後、4.86gの黒色粉末を得て(炭化収率71%)、これを湿式篩分けによって大きなサイズを取り除いた。D
99<20μmの粒度を有するC被覆Si粒子4.10gを得た。
図9は、得られたC被覆Si粒子のSEM画像(拡大倍率7500倍)を示す。
元素組成:Si ≧75重量%;C 19.9重量%;O 3.08重量%;N 0.97重量%。
粒度分布:単峰性;D
10:5.69μm、D
50:8.98μm、D
90:14.2μm;(D
90−D
10)/D
50=0.95。
比表面積(BET):10.3m
2/g。
Si不浸透性:約100%
粉末導電率:66714.85μS/cm。
【0135】
比較例12(比12):
比較例11からの凝集したC被覆マイクロSiを含む本発明でないアノード
比較例11からの凝集した炭素被覆シリコンマイクロ粒子を実施例5に記載されているように使用してアノードを製造した。
このように製造されたアノード被膜の平均基本重量は3.0mg/cm
2であり、被膜密度は0.6g/cm
3であった。
【0136】
比較例13(比13):
比較例12からのアノードを備える本発明でないリチウムイオン電池:
比較例12からの凝集した炭素被覆シリコンマイクロ粒子を含むアノードを、実施例6に記載されているように試験した。
比較例12および13の処方物を基礎として、リチウムイオン電池をアノードの部分的リチウム化されたセルバランスにより作動させた。
【0137】
第二サイクルにおけるフル充電された電池は、1.85mAh/cm
2だけの可逆的初期容量を有し、221回の充電/放電サイクル後にそれでもこの最初の容量の80%を有した。
【0138】
比較例14(比14):
凝集したC被覆マイクロSiを含んでなる比較例12からのアノードの高密度化:
比較例12からの凝集した炭素被覆シリコンマイクロ粒子含むアノードを、一軸実験用成形機(L.O.T.)によって圧縮ダイで高密度化した。
このように製造されたアノード被膜の平均基本重量は3.0mg/cm
2であり、被膜密度は0.9g/cm
3であった。
【0139】
比較例15(比15):
比較例14からのアノードを備える本発明でないリチウムイオン電池:
凝集した炭素被覆シリコンマイクロ粒子を含んでなる比較例14からの高密度化アノードを、実施例6に記載されているように試験した。
比較例14および15の処方物を基礎として、リチウムイオン電池をアノードの部分的リチウム化されたセルバランスにより作動させた。
【0140】
第二サイクルにおけるフル充電された電池は、2.00mAh/cm
2の可逆的初期容量を有し、60回の充電/放電サイクル後にそれでもこの最初の容量の80%を有した。
【0141】
表1は、実施例6および比較例8、13および15の試験結果を纏めている。
【0142】
実施例6のリチウムイオン電池は、驚くべきことに、比較例8、13および15のリチウムイオン電池と比較することにより、高い初期容量およびより安定な電気化学特性の両方を示した。
【0143】
【表1】