【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2017年(平成29年)7月4日、5日の間に、新百合21ビル地下2階ホール アジア航測株式会社のテクノフォーラム2017で本発明を公開した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一定倍は、前記数値表層モデルのメッシュに割り付けられている標高値の0.2倍であり、前記所定倍は、前記数値標高モデル(DEM)のメッシュに割り付けられている標高値の5倍であることを特徴とする請求項1記載の地物地盤高別色付画像生成装置。
前記一定倍は、前記数値表層モデルのメッシュに割り付けられている標高値の0.2倍であり、前記所定倍は、前記数値標高モデル(DEM)のメッシュに割り付けられている標高値の5倍であることを特徴とする請求項6記載の地物高別色付画像生成プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態は、オブリークカメラで撮影したデータを用いたものを実施の形態1として説明し、レーザデータを用いたものを実施の形態2として説明する。また、第1の実施の形態及び実施の形態2では、同様な機能を有する各部及び情報には、「第1」又は「第2」を付加して説明する。
【0016】
<実施の形態1>
図1は実施の形態1の地物地盤高別色付画像生成装置の概念を説明する構成図である。実施の形態1では地物を、都市の建物、樹木、道路等として説明する。
【0017】
図1に示すように実施の形態1の地物地盤高別色付画像生成装置は、第1のコンピュータ本体部100と、第1の表示部200等より構成されている。
【0018】
第1のコンピュータ本体部100は、オブリークカメラ画像用記憶部102と、3D都市モデル作成部107と、3D都市モデル用記憶部109と、第1の点群LASファイル化部121と、第1のLASデータ用記憶部123と、第1のDSM化部125と(例えば、20cmDEM)、第1のDSM用データ用記憶部124と、第1の差分化部127と、第1の差分化データ用記憶部129と、5mメッシュの地盤DEM(国土地理院)を記憶した地盤DEM用記憶部131とを備えている。
【0019】
また、第1のDEM化部133(例えば、2mメッシュ)と、2m地盤DEMを記憶する2m地盤DEM用記憶部135と、第1のDHM化部137と、第1の斜度画像作成部141と、第1の斜度画像用記憶部143と、第1の赤色立体画像作成部145(例えば、高さ0.2倍強調)と、第1の段彩画像作成部147と、第1の地物高別色付画像作成部151と、第1のビル高比較画像作成部150等を備えている。
【0020】
また、第1の斜度画像用記憶部143と、第1の赤色立体画像用記憶部148(0.2倍強調用)と、第1の段彩画像用記憶部149と、第1の地物高別色表示画像用記憶部152と、第1のビル高比較画像用記憶部153と、第2の赤色立体画像作成部154(高さ5倍強調)と、第1の地物高比較画像作成部158と、第1の地形地物高別色付画像作成部162等を備えている。
【0021】
さらに、第2の赤色立体画像用記憶部161(5倍強調用)と、第1の地物高比較画像用記憶部160と、第1の地形地物高別色付画像作用記憶部164等を備えている。
【0022】
なお、DEM((Digital Elevation Model)は数値標高モデルと称されるものであり、DSM(Digital Surface Model)は、数値表層モデルと称されるものである。また、DHM (Digital Height Model)は、地物自体の高さをモデル化したものである。
【0023】
オブリークカメラ画像用記憶部102は、航空機10等に搭載したオブリークカメラ12で地上の都市エリアを撮影したオブリークカメラ画像Ciを記憶している。
【0024】
例えば、撮影位置及び姿勢(外部標定)を推定して求め、その視差を用いて三角測量の計算式で各画素の3次元座標(相互標定)を求めてさらにノイズ除去を行って、これらの3次元座標に基づく立体モデルのメッシュに対応点の色情報を付与して3Dモデルを生成する。
【0025】
このオブリークカメラ画像Ciは、直下視画像Caと、前方視画像Cbと、後方視画像Ccと、左方視画像Cdと、右方視画像Ceとからなる。
【0026】
また、オブリークカメラ画像Ciには、オブリークカメラ12の番号と、カメラ種類と、画像解像度と、CCD素子サイズと、焦点距離と、撮影時刻と、撮影時での姿勢θpと、高度等が関連付けられている。
【0027】
前述の航空機10は、都市エリアを高度1000mで、数回〜数十回飛行してレーザデータRi及びオブリークカメラ画像Ciを得るのが好ましい。
【0028】
3D都市モデル作成部107は、オブリークカメラ画像Ci(例えば、Ca、Cb、Cc、Cd、Ce)を用いて三次元画像(テクスチャー)を作成する。この三次元画像を3D都市モデル画像Miとして3D都市モデル用記憶部109に記憶する。この3D都市モデル画像Miの各々のピクセルには、三次元座標が割り付けられている。
【0029】
第1の点群LASファイル化部121は、3D都市モデル用記憶部109の3D都市モデル画像MiをLASファイル化して第1のLASデータ用記憶部123に記憶する。
【0030】
第1のDSM化部125は、第1のLASデータ用記憶部123のLASデータに基づいて20cmDSMを第1のDSM用データ用記憶部124に生成する。
【0031】
第1のDEM化部133(例えば、2mメッシュ)は、地盤DEM用記憶部131に記憶されている、都市エリアの5mメッシュの地盤DEM(以下、5m地盤DEMという)を地盤DEM用記憶部131から読み込み、この5m地盤DEMを2mDEMにして、2m地盤DEM用記憶部135に生成する。
【0032】
第1の差分化部127は、第1のDSM用データ用記憶部124の20cmDSMと地盤DEM用記憶部131の2m地盤DEMの差を差分化画像データ(DHM=DSM−DEM)として第1の差分化データ用記憶部129に記憶する。なお、具体的な説明はフローチャートの箇所で説明する。
【0033】
第1のDHM化部137は、第1の差分化データ用記憶部129の差分化画像データに基づくDHMを生成し、これを第1のDHMデータ用記憶部139に記憶する。
【0034】
第1の斜度画像作成部141は、第1のDSM用データ用記憶部124の20cmDSMのメッシュ毎に斜度を求め、この斜度に基づく第1の斜度画像GSを第1の斜度画像用記憶部143に生成する。
【0035】
第1の赤色立体画像作成部145(例えば、高さ0.2倍強調)は、第1のDSM用データ用記憶部124の20cmDSMのメッシュ毎に高さ(z値:標高値ともいう)を読み込む。そして、この高さを例えば0.2倍強調したデータを第1の赤色立体画像用記憶部148に生成する。そして、0.2倍強調したデータを赤色立体画像化する(以下、第1の赤色立体画像GQ(0.2倍強調)と称する)。
【0036】
つまり、数値表層モデル(DSM)のメッシュ毎に、このメッシュに割り付けられている標高値を一定倍(0.2倍強調)に下げて、各メッシュを着目点とし、この着目点毎に一定範囲を定義して、複数方向の地上開度(平均)、地下開度(平均)、斜度(平均)を求め、地上開度が大きい程に明るい色を、地下開度が大きい度に暗い色を、斜度が大きい程に赤が強調された色を、各々割り付けた赤色立体画像を生成する。
【0037】
第1の段彩画像作成部147は、第1のDHMデータ用記憶部139のDHMを用いて第1の段彩画像GDを第1の段彩画像用記憶部149に生成する。
【0038】
第1のビル高比較画像作成部150は、第1の斜度画像用記憶部143の斜度画像GS(
図6参照)と、第1の段彩画像用記憶部149の段彩画像GD(
図9参照)とを重ねて第1のビル高比較画像GMを第1のビル高比較画像用記憶部153に生成する(
図10参照)。この第1の段彩画像GDを第1のDHM高度段彩画像とも称する。
【0039】
第1の地物高別色付画像作成部151は、第1のビル高比較画像用記憶部153の第1のビル高比較画像GMと、第1の赤色立体画像用記憶部148の第1の赤色立体画像GQ(0.2倍強調)とを重ねて第1の地物高別色付画像GH(例えば、第1のクールマップともいう)を第1の地物高別色表示画像用記憶部152に生成する。
【0040】
第2の赤色立体画像作成部154(高さ5倍強調)は、2m地盤DEM用記憶部135の2mDEMのメッシュ毎に、高さ(標高値)を読み込む。そして、この高さを5倍強調したデータを第2の赤色立体画像用記憶部161に記憶する。これを第2の赤色立体画像GP(5倍強調)と称する。
【0041】
つまり、数値標高モデル(DEM)のメッシュ毎に、このメッシュに割り付けられている標高値を数倍(5倍強調)に上げて、各メッシュを着目点とし、この着目点毎に一定範囲を定義して地上開度、地下開度、斜度を求め、地上開度が大きい程に明るい色を、地下開度が大きい度に暗い色を、斜度が大きい程に赤が強調された色を、各々割り付けた第2の赤色立体画像GP(5倍強調)を生成する。
【0042】
第1の地物高比較画像作成部158は、第1のビル高比較画像用記憶部153の第1のビル高比較画像GM(第1のDHM高度段彩画像:
図10参照)と、第2の赤色立体画像用記憶部161の第2の赤色立体画像GP(5倍強調)とを合成し、地形(道路、斜面)を、その高さ及び傾斜に応じた色で現した第1の地物高比較画像GECを第1の地物高比較画像用記憶部160に生成する。
【0043】
第1の地形地物高別色付画像作成部162は、第2の赤色立体画像用記憶部161の第2の赤色立体画像GP(5倍強調:
図16参照)と、第1の段彩画像用記憶部149の第1の段彩画像GD(
図9参照)と、第1の赤色立体画像用記憶部148の第1の赤色立体画像(0.2倍強調:)と合成し、地形(道路、斜面)を、その高さ及び傾斜に応じた色で現し、かつ地物(ビル、樹木等)の高さ及び傾斜に応じた色で現した第1の地形地物高別色付画像GHC(第1のスーパクールマップともいう)を第1の地形地物高別色付画像用記憶部164に生成する。
【0044】
第1の表示処理部155は、第1のDHMデータ用記憶部139のDHM、第1の斜度画像用記憶部143の第1の斜度画像GS、第1の赤色立体画像用記憶部148の第1の赤色立体画像GQ(0.2倍強調)又は第1の段彩画像用記憶部149の第1の段彩画像GD、第1の地物高比較画像用記憶部160の第1の地物高比較画像GEC若しくは、第2の赤色立体画像用記憶部161の第2の赤色立体画像GP(5倍強調)或いは第1の地形地物高別色付画像用記憶部164の第1の地形地物高別色付画像GHC(第1のハイブリットクールマップ)を第1の表示部100に表示する。
【0045】
上記のように構成された実施の形態1の地物地盤高別色付画像生成装置の処理を
図2のフローチャートを用いて以下に説明する。
図2はオブリークカメラ画像を用いた場合の処理である。
【0046】
図2に示すように、3D都市モデル作成部107は、オブリークカメラ画像用記憶部102のオブリークカメラ画像Ci(例えば、Ca、Cb、Cc、Cd、Ce)を読み込む(S10)。
【0047】
次に、3D都市モデル作成部107は、オブリークカメラ画像Ci(例えば、Ca、Cb、Cc、Cd、Ce)を用いて3D都市モデル画像Miを3D都市モデル用記憶部109に生成する。また、第1の点群LASファイル化部121は、3D都市モデル用記憶部109の3D都市モデル画像MiをLASファイル化して(LASデータともいう)、第1のLASデータ用記憶部123に生成する(S12)。
【0048】
そして、第1のDSM化部125は、第1のLASデータ用記憶部123のLASデータに基づいて20cmDSMを第1のDSM用データ用記憶部124に生成する。
【0049】
一方、第1の赤色立体画像作成部145(例えば、高さ0.2倍強調)は、第1のDSM用データ用記憶部124の20cmDSMのメッシュを順次指定し、このメッシュから距離Lにおけるメッシュに割り付けられている高さ(z値、標高値)を読み込む。そして、この高さを例えば0.2倍強調した後で、第1の赤色立体画像GQ(0.2倍強調)を第1の赤色立体画像用記憶部148に生成する。
【0050】
赤色立体画像化処理は、
図3に示すように、建物が高ければ、高いほど建物(例えば、ビルBL)の周囲が影となって、その結果、黒っぽくなる。
図3においては影SDを深い緑で現している。このため、
図4に示すように高さを0.2倍強調する。
【0051】
これによって、
図4(a)に示す、高いビルBLの高さ(z値)が、
図4(b)に示すように、低くなった高さ(z´=0.2×Z)の低いビルBLとなり、影SDが小さくなる。また、赤色立体画像化処理を施すので、ビルBLのエッジが少し強調されている。
【0052】
この第1の赤色立体画像GQ(0.2倍強調:DSM)の作成にあたっては、距離L(考慮距離ともいう)を例えば、10ピクセル分(1m程度)にしている。また、赤色立体地図の作成については後述する。この距離Lは、建物の高さで変更している。
【0053】
この第1の赤色立体画像GQ(0.2倍強調)を
図5に示す。
図5に示すように、全体が赤みを帯びており、ビルのエッジが強調されており、高さが高くなるほどに白っぽくあらわされている。赤色立体画像は、メッシュに座標が割り付けられているので、赤色立体
地図とも称する。
【0054】
そして、第1の斜度画像作成部141は、第1のDSM用データ用記憶部124の20cmDSMのメッシュ毎に斜度を求め、この斜度に基づく斜度画像GSを第1の斜度画像用記憶部143に生成する(S18)。
【0055】
この斜度画像GSを
図6に示す。
図6に示す斜度画像GSはモノクロであり、水平(斜度0度)は白、斜度0度付近(0度含まず)〜99度までは、黒で現している。
図6に示すように、ビルBLの形と道路の形状とが分かる。
【0056】
一方、第1のDEM化部133(例えば、2mDEM)は、地盤DEM用記憶部131に記憶されている、都市エリアの5m地盤DEMを地盤DEM用記憶部131から読み込む(S20)。
【0057】
そして、この5m地盤DEMを2mのメッシュにした2mDEMを第1のDEM用記憶部135(例えば、2mメッシュ)に生成する(S22)。
【0058】
そして、第1の差分化部127は、第1のDSM用データ用記憶部124の20cmDSMと地盤DEM用記憶部131の2m地盤DEMの差を差分化画像データ(DHM=DSM−DEM)として求める(S24)。この結果を第1の差分化データ用記憶部129に記憶する。
【0059】
具体的には、5m地盤DEMの各々のメッシュにおける20cmDSMの座標(x,y,z)を求め、この座標(x,y,z)と20cmDSMとの差を差分化画像データ(DHM=DSM−DEM)として求める。
【0060】
図7(a)にDSMを示す。
図7(a)は、樹木としている。
図7(b)には、
図7(a)のDHMを断面で示している。
図7(c)に示すようにオーバーハングが黒となる。
【0061】
そして、第1のDHM化部137は、第1の差分化データ用記憶部129の差分化画像データに基づくDHMを第1のDHMデータ用記憶部139に生成する(S24)。つまり、
図7(b)に示すように、樹木の高さが得られることになる。
【0062】
そして、第1の段彩画像作成部147は、CRT定義(高さに応じた色値)を入力して、第1のDHMデータ用記憶部139のDHMの第1の段彩画像GD(比高段彩画像ともいう)を第1の段彩画像用記憶部149に生成する(S28)。CRTは、
図8に示す。
【0063】
すなわち、
図9に示すように、第1の段彩画像GD(比高段彩画像ともいう)は、高いビルBLが紫で表示されたり、このビルより次に低いビルBLが赤っぽい紫、これより低いビルBLが朱色で表示されたり、さらに低いビルBLが黄色で表示されることになる。従って、ビルBLの高さ比べ図として使用できる。
【0064】
そして、第1のビル高比較画像作成部150は、第1の斜度画像用記憶部143の斜度画像GS(
図6参照)と、第1の段彩画像用記憶部149の段彩画像GD(
図9参照)とを重ねて第1のビル高比較画像GMを第1のビル高比較画像用記憶部153に生成する(S30)。この第1の段彩画像GDを第1のDHM高度段彩画像とも称する。
【0065】
図10にビル高比較画像GMを示す。
図10に示すように、道路の低いところ(下り坂道)がグレーで表現されたり、高いビルBLが紫、次に低いビルBLが朱色、さらに低いビルBLが黄色に現される。従って、ビルBLの形と、ビルBLの高さと、道路の傾斜(高さ)とが色で分かることになる。
【0066】
次に、第1の地物高別色付画像作成部151が第1のビル高比較画像用記憶部153の第1のビル高比較画像GM(
図10参照)と、第1の赤色立体画像用記憶部148の第1の赤色立体画像GQ(0.2倍強調:
図5参照)とを重ねて第1の地物高別色付画像GHを第1の地物高別色表示画像用記憶部152に生成する。
【0067】
第1の地物高別色付画像GHを
図11及び
図12に示す。
図11に示すように、第1の地物高別色付画像GH(クールマップともいう)には、高いビルBLが紫、次に低いビルBLが朱色、さらに低いビルBLが黄緑、道路の下り坂がグレーとなっている。また、全体が少し赤みを帯びている。つまり、ビルBL、道路、地形の変化が色で判別できている。また、
図12に示すように、車も色で現せている。また、人も色で現せる。
【0068】
すなわち、都市図を微分化し、これに色のバリェーションを施し、軽く赤色を帯びさせて影を小さくしている。
【0069】
また、自動的に地物の高さが色別で現されるので、オペレータが標高を与える作業をする必要がない。
【0070】
そして、第1のDEM化部133(例えば、2mメッシュ)、第2の赤色立体画像作成部154(高さ5倍強調)、第1の地物高比較画像作成部158及び第1の地形地物高別色付画像作成部162は
図13に示す処理を行う。
【0071】
図13に示すように、第1のDEM化部133(例えば、2mメッシュ)は、地盤DEM用記憶部131に記憶されている、都市エリアの5mメッシュの地盤DEM(以下、5m地盤DEMという)を地盤DEM用記憶部131から読み込む(S35a)。
【0072】
そして、この5m地盤DEMを2mDEMにして、2m地盤DEM用記憶部135に生成する(S35b)。
【0073】
一方、第2の赤色立体画像作成部154(高さ5倍強調)は、2m地盤DEM用記憶部135の2mDEMのメッシュを順次指定し、この指定毎に、このメッシュを中心にして距離L(例えば、200pix分)の各々のメッシュに割り付けられて高さ(標高値)を読み込む。そして、距離L(例えば、200pix分)におけるメッシュ(ピクセル)に割り付けられている高さ(z値:標高値)を5倍強調(
図14参照、
図15参照)した後で、第2の赤色立体画像GP(5倍強調)を生成する(S35c:
図16参照)。
【0074】
なお、
図14においては、地盤を5倍強調し、ビルBLを0.2倍強調した例を示している。また、
図15においては、地盤を断面で示して、この地盤を5倍強調した例を示している。
【0075】
そして、この第2の赤色立体画像GP(5倍強調)を第2の赤色立体画像用記憶部161に記憶する(S35d)。
【0076】
つまり、数値標高モデル(DEM)のメッシュ毎に、このメッシュに割り付けられている標高値を数倍(5倍強調)に上げ、各メッシュを着目点とし、この着目点毎に一定範囲(例えば、距離Lの範囲)を定義して、複数方向の地上開度(平均)、地下開度(平均)、斜度(平均)を求め、地上開度が大きい程に明るい色を、地下開度が大きい度に暗い色を、斜度が大きい程に赤が強調された色を、各々割り付けた第2の赤色立体画像GP(5倍強調)を生成する。すなわち、
図16に示すように、平坦な地盤の傾斜が強調されて、それが傾斜に応じた赤ぽい色で現されることになる。
【0077】
一方、第1の地物高比較画像作成部158は、第1のビル高比較画像用記憶部153の第1のビル高比較画像GM(第1のDHM高度段彩画像:
図10参照)を読み込む(S34e)。
【0078】
そして、第2の赤色立体画像用記憶部161の第2の赤色立体画像GP(5倍強調)と、この第1のビル高比較画像GM(第1のDHM高度段彩画像:
図10参照)とを合成し、地形(道路、斜面)を、その高さ及び傾斜に応じた色で現した第1の地物高比較画像GEC(
図17参照)を第1の地物高比較画像用記憶部160に生成する(S35f)。
【0079】
一方、第1の段彩画像作成部147は、CRT定義(高さに応じた色値:
図8参照)を読み込む(S35g)。
【0080】
そして、第1のDHMデータ用記憶部139のDHM(2mメッシュ)を、このCRTに基づいて色づけした第1の段彩画像GDを第1の段彩画像用記憶部149に生成する(S35h)。
【0081】
一方、第1の地形地物高別色付画像作成部162は、第1の地物高別色表示画像用記憶部152の第1の地物高別色付画像GH(
図11参照:第1のクールマップ)を読み込む(S35i)。
そして、第1の地形地物高別色付画像作成部162は、第2の赤色立体画像用記憶部161の第2の赤色立体画像GP(5倍強調:
図16参照)と、第1の段彩画像用記憶部149の第1の段彩画像GD(
図9参照)と、第2の赤色立体画像用記憶部161の第2の赤色立体画像GP(5倍強調:
図16参照)とを合成して第1の地形地物高別色付画像GHC(第1のスーパクールマップ:
図18参照)を第1の地形地物高別色付画像用記憶部164に生成する(S35j)。
【0082】
すなわち、
図18に示すように、地形(道路、斜面)が、その高さ及び傾斜に応じた色で現され、かつ地物(ビル、樹木等)がその高さ及び傾斜に応じた色で現されている。
【0083】
<実施の形態2>
図19は実施の形態2の地物地盤高別色付画像生成装置の概略構成図である。実施の形態2の地物地盤高別色付画像生成装置は、レーザデータRi(例えば、解像度が1m)を用いる。なお、解像度は2cm、5cm、・・3m、5m)であってもよい。
【0084】
図19に示すように実施の形態2の地物地盤高別色付画像生成装置は、第2のコンピュータ本体部400に以下の構成要件を備えている。
【0085】
図19に示すように、レーザデータ用記憶部203と、第2のDSM化部225と(例えば、1mDEM)、第2のDSM用データ用記憶部224と、第2の差分化部227と、第2の差分化データ用記憶部229と、第2のDEM化部233と、1mDEMを記憶する1mDEM用記憶部235と、第2のDHM化部237と、第2の斜度画像作成部241と、第2の斜度画像用記憶部243と、第2の赤色立体画像作成部245(例えば、高さ0.2倍強調)と、第2の段彩画像作成部247と、第2の地物高別色付画像作成部251と、第2のビル高比較画像作成部250等を備えている。
【0086】
また、第2の斜度画像用記憶部243と、第2の赤色立体画像用記憶部248(0.2倍強調用)と、第2の段彩画像用記憶部249と、第2の地物高別色表示画像用記憶部252と、第2のビル高比較画像用記憶部253と、第2の赤色立体画像作成部254(高さ5倍強調)と、第2の地物高比較画像作成部258と、第2の地形地物高別色付画像作成部262等を備えている。
【0087】
さらに、第2の赤色立体画像用記憶部261(5倍強調用)と、第2の地物高比較画像用記憶部260と、第2の地形地物高別色付画像作用記憶部264等を備えている。
【0088】
レーザデータ用記憶部203は、航空機10等に搭載したレーザスキャナ15で地上の都市をスキャニングしたレーザデータRiを記憶している。このレーザデータRiには、レーザスキャナ14の番号と、レーザスキャナ種類と、解像度と、撮影時刻と、撮影時での姿勢θpと、高度等が関連付けられている。
【0089】
前述の航空機10は、都市エリアを数回〜数十回飛行してレーザデータRiを得るのが好ましい。
【0090】
第2のDSM化部225は、レーザデータRiを解析して、例えば1mDSMを第2のDSM用データ用記憶部224に生成する。
【0091】
第2のDEM化部(例えば、1m)は、レーザデータRiを解析して、解像度が1mの場合は、1mDEMにして、1mDEM用記憶部235に記憶する。
【0092】
また、レーザデータ用記憶部203は、航空機10等に搭載したレーザスキャナ14で地上の都市をスキャニングしたレーザデータRiを記憶している。このレーザデータRiには、レーザスキャナ15の番号と、レーザスキャナ種類と、解像度と、撮影時刻と、撮影時での姿勢θpと、高度等が関連付けられている。
【0093】
前述の航空機10は、都市エリアを数回〜数十回飛行してレーザデータRiを得るのが好ましい。
【0094】
第2のDSM化部225は、レーザデータRiの解像度を解析して、1mDSMを第2のDSM用データ用記憶部224に生成する。
【0095】
第2のDEM化部(例えば、1m)は、レーザデータRiの解像度を解析して、1mDEMにして、1mDEM用記憶部235に記憶する。
【0096】
第2の差分化部227は、第2のDSM用データ用記憶部224の1mDSMと、1mDEM用記憶部235の1mDEMとの差を差分化画像データ(DHM=DSM−DEM)として第2の差分化データ用記憶部229に記憶する。
【0097】
第2のDHM化部237は、第2の差分化データ用記憶部229の差分化画像データに基づくDHMを生成し、これを第2のDHMデータ用記憶部239に記憶する。
【0098】
第2の赤色立体画像作成部245(例えば、高さ0.2倍強調)は、第2のDSM用データ用記憶部224の1mDSMのメッシュ毎に高さを読み込む。そして、この高さを例えば0.2倍強調したデータを第2の赤色立体画像用記憶部248に生成する。このとき、赤色処理化している(以下、第2の赤色立体画像GQ´(0.2倍強調)と称する)。
【0099】
第2の斜度画像作成部241は、第2のDSM用データ用記憶部224の1mDSMのメッシュ毎に斜度を求め、この斜度に基づく第2の斜度画像GS´を第2の斜度画像用記憶部243に生成する。
【0100】
第2の段彩画像作成部247は、第2のDHMデータ用記憶部239のDHMを用いて第2の段彩画像GD´を第2の段彩画像用記憶部249に生成する。
【0101】
第2の地物高別色付画像作成部251は、第2のビル高比較画像用記憶部253の第2のビル高比較画像GM´と、第2の赤色立体画像用記憶部248の第2の赤色立体画像GQ´(0.2倍強調)とを重ねて第2の地物高別色付画像GH´を第2の地物高別色表示画像用記憶部252に生成する。
【0102】
第2の赤色立体画像作成部254(高さ5倍強調)は、1m地盤DEM用記憶部235の1mDEMのメッシュ毎に、高さ(標高値)を読み込む。そして、この高さを5倍強調したデータを第2の赤色立体画像用記憶部261に記憶する。これを第2の赤色立体画像GP´(5倍強調)と称する。
【0103】
つまり、数値標高モデル(DEM)のメッシュ毎に、このメッシュに割り付けられている標高値を数倍(5倍強調)に上げて、各メッシュを着目点とし、この着目点毎に一定範囲を定義して地上開度、地下開度、斜度を求め、地上開度が大きい程に明るい色を、地下開度が大きい度に暗い色を、斜度が大きい程に赤が強調された色を、各々割り付けた第2の赤色立体画像GP´(5倍強調)を生成する。
【0104】
第2の地物高比較画像作成部258は、第2のビル高比較画像用記憶部153の第2のビル高比較画像GM´(第1のDHM高度段彩画像:
図10参照)と、第2の赤色立体画像用記憶部261の第2の赤色立体画像GP´(5倍強調)とを合成し、地形(道路、斜面)を、その高さ及び傾斜に応じた色で現した第2の地物高比較画像GEC´を第2の地物高比較画像用記憶部260に生成する。
【0105】
第2の地形地物高別色付画像作成部262は、第2の赤色立体画像用記憶部261の第2の赤色立体画像GP´(5倍強調:
図16参照)と、第2の段彩画像用記憶部249の第2の段彩画像GD´(
図9参照)と、第2の赤色立体画像用記憶部261の第2の赤色立体画像GP´(5倍強調:
図16参照)と合成し、地形(道路、斜面)を、その高さ及び傾斜に応じた色で現し、かつ地物(ビル、樹木等)の高さ及び傾斜に応じた色で現した第2の地形地物高別色付画像GHC´(第2のスーパクールマップともいう)を第2の地形地物高別色付画像用記憶部264に生成する。
【0106】
第2の表示処理部255は、第2のDHMデータ用記憶部239のDHM、第2の斜度画像用記憶部243の第2の斜度画像GS´、第2の赤色立体画像用記憶部248の第2の赤色立体画像GQ´(0.2倍強調)又は第2の段彩画像用記憶部249の第2の段彩画像GD´、第2の地物高比較画像用記憶部260の第2の地物高比較画像GEC´若しくは、第2の赤色立体画像用記憶部261の第2の赤色立体画像GP´(5倍強調)或いは第2の地形地物高別色付画像用記憶部264の第2の地形地物高別色付画像GHC´(第2のハイブリットクールマップ)を第2の表示部500に表示する。
【0107】
上記のように構成された実施の形態2の地物地盤高別色付画像生成装置の処理を
図20のフローチャートを用いて以下に説明する。
【0108】
図20に示すように、レーザデータ用記憶部203のレーザデータRi(例えば、解像度が1m)を読み込む(S40)。
【0109】
次に、第2のDSM化部225及び第2のDEM化部(例えば、1m)は、このレーザデータRiの解像度を解析する(S42)。
【0110】
第2のDEM化部(例えば、1m)は、レーザデータRiの塊を1mDEMにして、1mDEM用記憶部235に記憶する(S44a)。
【0111】
また、第2のDSM化部225は、レーザデータRiの塊を1mDSMにして第2のDSM用データ用記憶部224に生成する(S44b)。
【0112】
一方、第2の赤色立体画像作成部245(例えば、高さ0.2倍強調)は、第2のDSM用データ用記憶部224の1mDSMのメッシュ毎に高さを読み込む。そして、この高さを例えば0.2倍強調した第2の赤色立体画像GQ´(0.2倍強調)を第2の赤色立体画像用記憶部248に生成する(S48)。
【0113】
これによって、高いビルBLの高さが低くなって、影SDが小さくなる(
図4参照)。
また、赤色立体図化処理を施すので、ビルのエッジが少し強調されている。
【0114】
この第2の赤色立体画像GQ´(0.2倍強調)の作成にあたっては、局所領域の距離Lを例えば、10ピクセル分(1m程度)にしている。この距離Lは、建物の高さで変更している。第2の赤色立体地
図GQ´(DSM赤色立体地図とも称する)を
図5に示している。
図5に示すように、全体が赤みを帯びており、ビルのエッジが強調されており、高さが高くなるほどに白っぽくあらわされている。
【0115】
そして、第2の斜度画像作成部241は、第2のDSM用データ用記憶部224の1mDSMのメッシュ毎に斜度を求め、この斜度に基づく第2の斜度画像GSを第2の斜度画像用記憶部243に生成する(S50:
図6参照)。
【0116】
一方、第2の差分化部227は、第2のDSM用データ用記憶部224の1mDSMと第2のDSM用データ用記憶部224の1mDSMとの差を差分化画像データ(DHM=DSM−DEM)として求める(S52)。この結果を第2の差分化データ用記憶部229に記憶する。
【0117】
そして、第2のDHM化部237は、第2の差分化データ用記憶部229の第2の差分化画像データに基づく1mメッシュのDHMを第2のDHMデータ用記憶部239に生成する(S54)。
【0118】
そして、第2の段彩画像作成部247は、CRT定義(高さに応じた色値:
図8参照)を入力して(S56)、第2のDHMデータ用記憶部239のDHM(1mメッシュ)の第2の段彩画像GD´(比高段彩画像ともいう)を第2の段彩画像用記憶部249に生成する(S58)。
【0119】
すなわち、
図9に示すように、第2の段彩画像GD´は、高いビルが紫で表示されたり、このビルより次に低いビルが赤っぽい紫、これより低いビルが朱色で表示されたり、さらに低いビルが黄色で表示されることになる。従って、ビルの高さ比べ図として使用できる。
【0120】
そして、第2のビル高比較画像作成部250は、第2の斜度画像用記憶部243の第2の斜度画像GS´(
図6参照)と、第2の段彩画像用記憶部249の第2の段彩画像GD´(
図9参照)とを重ねて
図10に示す第2のビル高比較画像GM´を第2のビル高比較画像用記憶部253に生成する(S60)。
【0121】
また、第2の地物高別色付画像作成部251は、第2のビル高比較画像用記憶部253のビル高比較画像GM´(
図10参照)と、第2の赤色立体画像用記憶部248の第2の赤色立体画像GQ´(0.2倍強調)(
図5参照)とを重ねて第2の地物高別色付画像GH´を第2の地物高別色表示画像用記憶部252に生成する(S62)。
【0122】
第2の地物高別色付画像GH´を
図21に示す。
図21に示すように、第2の地物高別色付画像GH´(第2のスーパクールマップともいう)は、レーザデータRiを使用することによって、ビル、樹木等の地物がくっきりとあらわされている。これは、レーザはブリーカメラと違って、ほぼ垂直に地上に発射されるので、地物のエッジがはっきりするためである。
【0123】
(赤色立体地図作成処理)
以下に赤色立体地図作成処理を説明する。初めに、DEMについて
図22を用いて説明する。
【0124】
地盤DEM用記憶部131の5mメッシュの地盤DEM(国土地理院)は、DEMは数値標高モデル(Digital Elevation Model)データと称されるものである。
【0125】
この地盤DEM(国土地理院)は、計測地域全体に所望の格子間隔d(たとえば0.2mや0.5m或いは1m、5mなど)の格子構造である。本実施の形態では5mメッシュの地盤DEM(国土地理院)である。
【0126】
そして、第1のDEM化部133(例えば、2mメッシュ)又は第2のDEM化部233(例えば、1mメッシュ)は、航空レーザ測量データのうち、レーザ反射パルスのうち主に最後に返ってきたパルス(ラストパルス)によって計測された標高データから、地表面以外の建物や樹木などを取り除くフィルタリングを行い、標高値内挿補間法によって得た地盤の格子状の標高データ(以下、DEMデータと称する)として、第1のDEM用記憶部135(例えば、2mメッシュ)又は第2のDEM用記憶部235(例えば、1mメッシュ)に記憶する。この第1のDEM用記憶部135(例えば、2mメッシュ)又は第2のDEM用記憶部235を総称してDEMデータ記憶部23と称する。
【0127】
具体的には
図23に示すように、格子番号i(i=1,2,・・・,n)を付与した各格子の中心点のX座標(経度Xi)、Y座標(緯度Yi)、Z座標(地盤標高値Zgi)を対応させて構成している。
【0128】
前述の標高値内挿補間法の例としては、航空レーザ測量データの同じ標高値を結んだ等高線図を作成し、この等高線図に対して不整三角形網(TIN)を作成して地盤を復元し、TINと各格子の交点の高さを求める方法がある。
【0129】
第1の赤色立体画像作成部145と第2の赤色立体画像作成部245とを総称して赤色立体画像作成部と称する。
【0130】
赤色立体画像作成部は、
図23に示す構成となっている。
【0131】
図23に示すように地上開度データ作成部106と、地下開度データ作成部110と、傾斜算出部108と、凸部強調画像作成部111と、凹部強調画像作成部112と、傾斜度強調部113と、第1の赤色用合成部114と、第2の赤色用合成部115とを備えている。
【0132】
本実施形態では、開度という概念を用いている。この開度について初めに説明する。開度は当該地点が周囲に比べて地上に突き出ている程度及び地下に食い込んでいる程度を数量化したものである。つまり、地上開度は、
図24に示すように、着目する標本地点から距離Lの範囲内で見える空の広さを表しており、また地下開度は逆立ちをして地中を見渡す時、距離Lの範囲における地下の広さを表している。
【0133】
開度は距離Lと周辺地形に依存している。
図25は9種の基本地形についての地上開度及び地下開度を、方位毎の地上角及び地下角の8角形グラフで示したものである。一般に地上開度は周囲から高く突き出ている地点ほど大きくなり、山頂や尾根では大きな値をとり窪地や谷底では小さい。
【0134】
逆に地下開度は地下に低く食い込んでいる地点ほど大きくなり、窪地や谷底では大きな値をとり山頂や尾根では小さい。実際には、距離Lの範囲内でも種々の基本地形が混在しているために、地上角及び地下角の8角形グラフは変形され開度も種々の値をとることが多い。
【0135】
前述のように DφL 及び DψL がLに対して非増加特性をもっていることから、ΦL及びΨLもまたLに対して非増加特性を持っている。
【0136】
また、開度図は計算距離の指定によって、地形規模に適合した情報抽出が可能であり、方向性及び局所ノイズに依存しない表示が可能である。
【0137】
つまり、尾根線及び谷線の抽出に優れており、豊富な地形・地質情報が判読できるものであり、
図18に示すように、一定範囲のDEMデータ上(地表面:立体:
図26の(a))において、設定した標本地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる標本地点Bを結ぶ直線L1と、水平線とがなす角度ベクトルを求める。
【0138】
この角度ベクトルの求め方を8方向に渡って実施し、これらを平均化したものを地上開度θi(浮上度)と称し、一定範囲のDEMデータ上(地表面:立体)に空気層を押し当てた立体(
図26の(b))を裏返した反転DEMデータ(
図26の(c))の標本地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる標本地点C(一番深い所に相当する)を結ぶ直線L2と、水平線とがなす角度θpを求める。この角度を8方向に渡って求めて平均化したのを地下開度(沈下度)と称している。
【0139】
すなわち、地上開度データ作成部119は、着目点から一定距離までの範囲に含まれるDEMデータ上において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線(
図26の(a)のL1)の傾斜の最大値(鉛直方向から見たとき)を求める。
【0140】
このような処理を8方向に対して行う。傾斜の角度は天頂からの角度(平坦なら90度、尾根や山頂では90度以上、谷底や窪地では90度以下)である。
【0141】
また、地下開度データ作成部110は、反転DEMデータの着目点から一定距離までの範囲において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線の傾斜の最大値(
図26の(a)の地表面の立体図において鉛直方向からL2を見たときには最小値)を求める。このような処理を8方向に対して行う。
【0142】
図26の(a)の地表面の立体図において鉛直方向からL2を見たときの角度は、平坦なら90度、尾根や山頂では90度以下、谷底や窪地では90度以上である。
【0143】
つまり、地上開度と地下開度は、
図27に示すように、2つの標本地点A(iA,jA,HA)とB(iB,jB,HB)を考える。標本間隔が1mであることからAとBの距離は、
P= {(iA−iB)2 +(jA−jB)2}1/2 …(1)
となる。
【0144】
図27の(a)は標高0mを基準として、標本地点のAとBの関係を示したものである。標本地点Aの標本地点Bに対する仰角θは、
θ=tan-1{(HB −HA )/P
で与えられる。θの符号は(1)HA<HB の場合には正となり、(2)HA>HB の場合には負となる。
【0145】
着目する標本地点から方位D距離Lの範囲内にある標本地点の集合をDSLと記述して、これを「着目する標本地点のD−L集合」を呼ぶことにする。ここで、
DβL:着目する標本地点のDSLの各要素に対する仰角のうちの最大値
DδL:着目する標本地点のDSLの各要素に対する仰角のうちの最小値
として(
図27の(b)参照)、次の定義をおこなう。
【0146】
定義I:着目する標本地点のD−L集合の地上角及び地下角とは、各々
DφL=90−DβL
及び
DψL=90+ DδL
を意味するものとする。
【0147】
DφL は着目する標本地点から距離L以内で方位Dの空を見ることができる天頂角の最大値を意味している。一般に言われる地平線角とはLを無限大にした場合の地上角に相当している。また、DψLは着目する標本地点から距離L以内で方位Dの地中を見ることができる天底角の最大値を意味している。
【0148】
Lを増大させると、DSLに属する標本地点の数は増加することから、 DβL に対して非減少特性を持ち、逆に DδL は非増加特性を持つ。
【0149】
したがってDφL及びDψ1は共にLに対して非増加特性を持つことになる。
【0150】
測量学における高角度とは、着目する標本地点を通過する水平面を基準にして定義される概念であり、θとは厳密には一致しない。また地上角及び地下角を厳密に議論しようとすれば、地球の曲率も考慮しなければならず、定義Iは必ずしも正確な記述ではない。定義IはあくまでもDEMを用いて地形解析をおこなうことを前提として定義された概念である。
【0151】
地上角及び地下角は指定された方位Dについての概念であったが、これを拡張したものとして、次の定義を導入する。
【0152】
定義II:着目する標本地点の距離Lの地上開度及び地下開度とは、各々
ΦL=(0φL+45φL+90φL+135φL+180φL+225φL+270φL+315φL)/8
及び
ΨL=(0ψL+45ψL+90ψL+135ψL+180ψL+225ψL+270ψL+315ψL)/8
を意味するものとする。
【0153】
地上開度は着目する標本地点から距離Lの範囲内で見える空の広さを表しており、また地下開度は逆立ちをして地中を見渡す時、距離Lの範囲における地下の広さを表している(
図24参照)。
【0154】
(各部の説明)
傾斜算出部108は、メモリ24のDEMデータを正方形にメッシュ化し、このメッシュ上の着目点と隣接する正方形の面の平均傾斜を求める。隣接する正方形は4通り存在しており、いずれか一つを着目正方形とする。そして、この着目正方形の4隅の高度と平均傾斜とを求める。平均傾斜は最小二乗法を用いて4点から近似した面の傾きである。
【0155】
凸部強調画像作成部111は、尾根、谷底を明るさで表現するための第1のグレイスケールを備え、地上開度データ作成部119が地上開度(着目点からLの範囲を8方向見たときの、平均角度:高いところにいるかを判定するための指標)を求める毎に、この地上開度θiの値に対応する明るさ(明度)を算出する。
【0156】
例えば、地上開度の値が40度から120度程度の範囲に収まる場合は、50度から110度を第1のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。つまり、尾根の部分(凸部)の部分ほど地上開度の値が大きいので、色が白くなる。
【0157】
そして、凸部強調画像作成部111が地上開度画像Dpを読み、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第1のグレイスケールに基づく色データを割り付け、これをメモリに保存(地上開度画像Dp)する。
【0158】
次に、凸部強調画像作成部111の諧調補部(図示せず)がこの地上開度画像Dpの色諧調を反転させた地上開度画像Dpを保存する。つまり、尾根が白くなるように調整した地上開度画像Dpを得ている。
【0159】
凹部強調画像作成部112は、谷底、尾根を明るさで表現するための第2のグレイスケールを備え、地下開度データ作成部110が地下開度(着目点から8方向の平均)を求める毎に、この地下開度の値に対応する明るさを算出する。
【0160】
例えば、地下開度の値が40度から120度程度の範囲に収まる場合は、50度から110度を第2のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。
【0161】
つまり、谷底の部分(凹部)の部分ほど地下開度の値が大きいので、色が黒くなることになる。
【0162】
そして、凹部強調画像作成部112は、地下開度画像Dqを読み、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第2のグレイスケールに基づく色データを割り付け、これを保存する。次に地下開度画像Dqの色諧調を補正する。
【0163】
色が黒くなり過ぎた場合は、トーンカーブを補正した度合いの色にする。これを地下開度画像Dqと称して保存(メモリ)する。
【0164】
傾斜度強調部113は、傾斜の度合いを明るさで表現するに応じたで表現するための第3のグレイスケールを備え、傾斜算出部8が傾斜度(着目点から4方向の平均)を求める毎に、この傾斜度の値に対応する第3のグレイスケールの明るさ(明度)を算出する。
【0165】
例えば、傾斜αiの値が0度から70度程度の範囲に収まる場合は、0度から50度を第3のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。つまり、0度が白、50度以上が黒。傾斜αiの大きい地点ほど色が黒くなる。
【0166】
そして、傾斜度強調部113は、地下開度画像Dqと地上開度画像Dpとの差画像を斜度画像Draとして保存する。
【0167】
このとき、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第3のグレイスケールに基づく色データを割り付ける。次に、赤色処理がRGBカラーモード機能でRを強調する。つまり、傾斜が大きいほど赤が強調された傾斜強調画像Drを得る。
【0168】
第1の赤色用合成部114は、地上開度画像Dpと地下開度画像Dqとを乗算して合成した合成画像Dh(Dh=Dp+D1 )を得る。このとき、谷の部分が潰れないように両方のバランスを調整する。
【0169】
前述の「乗算」というのは、フォトショップ(登録商標)(photoshop)上のレイヤーモードの用語で、数値処理上はOR演算となる。
【0171】
このバランス調整は、地上開度と地下開度の値の配分は、ある地点を中心として一定の半径(距離L/2)の地表面を切り取る。
【0172】
空全体が一様な明るさの場合に地表面から見上げる空の広さが地面の明るさを与える。
【0173】
つまり、地上開度が明るさとなる。しかし、光が回り込むことまで考えると、地下開度の値も考慮するべきである。
【0174】
この両者の比をどのようにするべきかで、地形の尾根の部分を強調したり、任意に変化させることができる。谷の中の地形を強調したいときはbの値を大きくする。
【0175】
明るさの指標=a×地上開度−b×地下開度
但し、a+b=1
すなわち、
図28に示すように、地上開度画像Dp(尾根を白強調)と地下開度画像Dq(底を黒く強調)と乗算合成した灰色の諧調表現の合成画像を得る(Dh=Dp+D1)。
【0176】
一方、第2の赤色用合成部115は、ファイルの傾斜強調画像Drと第1の赤色用合成部114で合成して得た合成画像Dhと合成した尾根が赤色で強調された赤色立体画像KGiを得てメモリ26に保存する。
【0177】
すなわち、
図28に示すように、地上開度画像Dp(尾根を白強調)と地下開度画像Dq(底を黒く強調)と乗算合成した灰色の諧調表現の合成画像Dhを得ると共に、斜度画像Draに対して傾斜が大きいほど赤が強調された傾斜強調画像Drを得る。
【0178】
そして、この傾斜強調画像Drと合成画像Dhとを合成することで、尾根が赤色で強調された赤色立体画像KGiを得ている。
【0179】
つまり、赤色立体画像KGiは、
図29に示すように、メッシュの格子番号と、X、Y、Z座標と、地上開度と、その色値、浮沈度と、その色値と、傾斜度と、その色値と、地下開度と、その色値等から構成されている。
【0180】
なお、上記実施の形態では赤色立体画像を用いて説明したが、Labカラーを施した赤色立体画像であってもよい(特開2011−048495号公報)。
【0181】
Labカラーを施した赤色立体画像は、Labカラーモデルを用いて生成する。例えば、地上開度画像Dpにa*チャンネルを割りあて、地下開度画像Dqにb*チャンネルを割りあて、傾斜強調画像DrにL*チャンネルを割りあてることで地上開度画像Dpと地下開度画像Dqと傾斜強調画像DrのLab画像を得る。
【0182】
そして、地上開度画像Dpと地下開度画像Dqと傾斜強調画像Drとを重ね合わせた合成画像(Ki)とLab画像と合成して得ている。この画像は、より違和感無く立体感を出せると共に水系を容易にたどれることが可能である。
【0183】
また、海底図の場合には、赤色以外の例えば青色、紫色、緑色を施した立体地図であってもよい。
【0184】
以上に示した実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置の構成や処理手順を例示するものであって、構成部品の配置や組み合わせ、および処理の順番等を限定するものではない。
【0185】
本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。図面は模式的なものであり、装置の構成等は現実のものとは異なることに留意すべきである。