(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部は、モードが変更されたとき、更に、変更後のモードに対応づけられる位置および大きさの双方または一方にしたがって、前記変更後のモードに対応づけられる機械操作パネルまたはキーボードを表示させる、請求項1から3のいずれかに記載の表示制御装置。
前記表示部は、前記工作機械の複数の情報領域からユーザにより指示された情報領域を前記操作画面に表示させ、更に、モードが変更されたときには、変更後のモードに対応づけられる情報領域を前記操作画面に表示させる、請求項1から4のいずれかに記載の表示制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、工作機械200のハードウェア構成図である。
工作機械200は、操作盤206、表示制御装置100、数値制御装置202および加工装置204を含む。数値制御装置202は、加工プログラムにしたがって加工装置204に制御信号を送信する。加工装置204は、数値制御装置202からの指示にしたがってワークを加工する。本実施形態における加工装置204は2台の刃物台を備え、2つのワークを同時かつ個別に加工できる。また、数値制御装置202は、加工装置204から切削工具の位置情報を受信する。
【0011】
操作盤206は、ユーザに各種情報を表示するとともにタッチ操作を受け付けるモニタ212と、物理的な操作デバイス(以下、「ハードデバイス214」とよぶ)を含む。モニタ212のタッチパネルによる操作デバイスを「ソフトデバイス」とよぶ。ハードデバイス214には、加工装置204を緊急停止させるための停止ボタン210、加工装置204における主軸を手動操作するハンドル208などが含まれる。
【0012】
表示制御装置100は、操作盤206におけるユーザインタフェース機能を実現するシステムである。表示制御装置100は、モニタ212に対する各種操作入力を検出し、モニタ212に表示すべき画面情報を生成する。表示制御装置100は、操作盤206の機能の一部として形成されてもよいし、操作盤206の外部装置(たとえば、タブレットコンピュータ)の機能として形成されてもよい。
【0013】
操作盤206に限らず、タブレットPCあるいはスマートフォンなどの携帯型端末により、
図5以降に説明する画面が提供されてもよい。また、操作盤206は工作機械200の一部として形成されてもよいし、工作機械200から着脱可能かつ運搬可能に構成されてもよい。
【0014】
図2は、表示制御装置100の機能ブロック図である。
表示制御装置100の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コンピュータプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0015】
表示制御装置100は、ユーザインタフェース処理部110、設定部132およびデータ格納部116を含む。
ユーザインタフェース処理部110は、ソフトデバイスあるいはハードデバイス214を介してユーザからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。設定部132は、ユーザインタフェース処理部110により取得されたデータおよびデータ格納部116に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。設定部132は、ユーザインタフェース処理部110およびデータ格納部116のインタフェースとしても機能する。データ格納部116は、各種プログラムと設定データを格納する。
【0016】
ユーザインタフェース処理部110は、入力部118および出力部120を含む。
入力部118はユーザからの入力を受け付ける。入力部118は、ソフトデバイスを介してユーザからの入力を受け付けるソフト入力部122と、ハードデバイスを介してユーザからの入力を受け付けるハード入力部124を含む。出力部120は、画面に画像等を表示する表示部126とブザー等の音声を出力する音声出力部128を含む。表示部126は、後述するパネル(キーボードおよび機械操作パネル)を画面表示させる。
【0017】
設定部132は、表示制御装置100を操作するための各種設定を行う。設定部132は、モード選択部134および画面選択部136を含む。モード選択部134は、ユーザからの指示にしたがってモードを選択する。画面選択部136は、ユーザからの指示にしたがってアクティブ画面を選択する。モードおよびアクティブ画面については後述する。
【0018】
図3は、パネル設定情報140のデータ構造図である。
パネル設定情報140は、データ格納部116に格納される。パネル設定情報140は、モード、グループ、モードの選択時に表示されるパネルの種別とその表示位置(以下、「初期設定パターン」とよぶ)を定義するデータテーブルである。本実施形態における表示制御装置100は、メモリ、DNC(Direct Numerical Control)、ダイレクト、MDI、編集(Edit)、ジョグ(Jog)、早送り(FF)、原点復帰(Home)、ハンドルの9種類のモードを備える。本実施形態におけるモードは、数値制御装置202が備えるNCモードである。各NCモード画面からの入力を受けた数値制御装置202は、加工装置204内の主軸のモータやテーブルを移動させる制御信号を送る。本実施形態においては9つのモードは、5つのグループA〜Eのいずれかに分類される。
【0019】
グループごとのモードの概要は以下の通りである。
<グループA>
(1)メモリ
データ格納部116に格納されている加工プログラムにしたがって、加工装置204を制御し、ワークを加工する。
(2)DNC
パーソナルコンピュータなどの外部端末に格納されている加工プログラムを、通信回線を介して受信しながら、加工装置204を制御し、ワークを加工する。
(3)ダイレクト
対話型プログラミングにより作成される対話データに基づいて加工装置204を制御し、ワークを加工する。対話型プログラミングにおいては、あらかじめ用意されたGUI(Graphical User Interface)における入力操作により、加工装置204の切削工具の移動経路等を定義する。
【0020】
<グループB>
(4)MDI
表示制御装置100において簡単なプログラムを作成し、このプログラムにしたがって加工装置204を制御する。MDIモードで作成されるプログラムは単純なテストプログラムが想定されている。以下、MDIモードにより作成されるプログラムのことを特に「MDIプログラム」とよぶ。
【0021】
<グループC>
(5)編集
加工プログラムを編集する。また、加工プログラムを作成したり修正したりする。
【0022】
<グループD>
(6)ジョグ
操作画面上に表示される機械操作パネルX1(後述)により、加工装置204の主軸等を通常速度にて操作する。
(7)早送り
ジョグと同様であるが、ジョグよりも高速度にて加工装置204の主軸等を手動操作する。
(8)原点復帰
加工装置204の主軸等をホームポジションに戻す。
【0023】
<グループE>
(9)ハンドル
操作画面ではなく、ハンドル208(ハードデバイス)により、加工装置204の主軸等を手動操作する。
【0024】
本実施形態においては、各モードの使用場面(Use Case)の共通性に基づいて、モードを上記の5つのグループに分類している。グループの数およびモードとグループの対応は表示制御装置100の設計者またはユーザが任意に設定可能である。
【0025】
ユーザがモードを変更したとき、表示部126はパネル設定情報140にしたがって表示すべきパネル種別を決定する。なお、モードを変更した際に、パネルの表示位置をあわせて決定してもよい。パネル設定情報140は、モードごとにパネルの種別を対応付けていてもよいし、グループごとにパネルの種別を対応付けていてもよい。本実施形態では、複数のモードを含むことが可能なグループごとにパネルの表示方法を定義している。
【0026】
たとえば、グループAに所属する3つのモード(メモリ、DNC、ダイレクト)のいずれかが選択されたときには、表示部126は機械操作パネルX1を画面右(R)に初期表示させる。機械操作パネルX1は、加工装置204の機構を手動操作するための入力インタフェースまたは加工プログラムの実行に介入するための入力インタフェースを含むパネルである(
図6等に関連して後述)。
【0027】
グループBに所属するMDIモードが選択されたときには、表示部126はNCキーボードX2を画面右(R)に初期表示させる。NCキーボードX2は、文字および数字を入力するためのパネルである(
図5等に関連して後述)。
【0028】
グループEに所属するハンドルモードが選択されたときには、表示部126は機械操作パネルX1およびNCキーボードX2のいずれも表示させない。機械操作パネルX1およびNCキーボードX2の実際の表示方法については
図5以降に関連して詳述する。
【0029】
たとえば、編集モード(グループC)においては、加工装置204を制御するための機械操作パネルX1を使用する可能性よりも、加工プログラムを修正するためにNCキーボードX2を使用する可能性の方が高い。表示部126は、ユーザが編集モードを選択したときにはNCキーボードX2を表示させる。このため、ユーザは、編集モードの選択後にNCキーボードX2を画面表示させるための追加操作をする必要がない。
【0030】
同様にして、メモリモード(グループA)のときには、加工装置204を加工プログラムによって制御するため、加工装置204の制御に介入するための入力インタフェースを備える機械操作パネルX1の方が、NCキーボードX2よりも使用される可能性が高い。表示部126は、ユーザがメモリモードを選択したときには、機械操作パネルX1を表示させる。このため、ユーザはメモリモードの選択後に機械操作パネルX1を画面表示させるための追加操作をする必要がない。
【0031】
このように、モードごとに、より具体的には、モードが所属するグループごとに使用される可能性の高いパネルをモードの選択後にあらかじめ初期表示させることにより、ユーザの操作回数を減らすことができる。
【0032】
図4は、モードが変更されたときの処理過程を示すフローチャートである。
モード選択部134は、変更前のモードが所属するグループと変更後のモードが所属するグループが別であるかを判定する(S10)。別グループであれば(S10のY)、表示部126はパネル設定情報140にしたがってパネルの種別および表示位置を変更する(S12)。同一であれば(S10のN)、表示部126はパネルの表示を変更しない。
【0033】
なお、別グループであっても、表示設定が同一であれば、表示部126はパネルの種別等を変更する必要はない。パネルには機械操作パネルX1とキーボードの2種類がある。また、キーボードには、NCキーボードX2(数値制御用のキーボード)とCALキーボード(計算用のキーボード)の2種類がある。CALキーボードについては
図12等に関連して後述する。
【0034】
図3に示したパネル設定情報140においては、グループ変更後、パネルはすべて画面右(R)に表示されるとして説明した。これに限らず、パネルの表示位置は上下左右のいずれの位置であっても表示させることができる。たとえば、マシニングセンタを制御対象とする場合、下記のように複数の初期表示パターンを用意してもよい。
P1.表示なし
P2.機械操作パネルを上側に初期表示
P3.機械操作パネルを下側に初期表示
P4.機械操作パネルを左側に初期表示
P5.機械操作パネルを右側に初期表示
P6.NCキーボードを上側に初期表示
P7.NCキーボードを下側に初期表示
P8.NCキーボードを左側に初期表示
P9.NCキーボードを右側に初期表示
P10.CALキーボード(後述)を上側に初期表示
P11.CALキーボードを下側に初期表示
P12.CALキーボードを左側に初期表示
P13.CALキーボードを右側に初期表示
パネル設定情報140においては、グループごとに初期表示パターンP1〜P13のいずれかを対応付けて設定してもよい。
【0035】
1グループに1以上のモードを対応づけ、グループごとに表示設定を対応づけるのではなく、モードごとに初期表示パターンを対応づけてもよい。
【0036】
まとめると、表示部126は、モードが変更されるとき、変更後のモードまたはそのモードに対応づけられるグループの初期設定パターンにしたがって、適宜、パネルの表示方法を変更する。変更前後においてパネルの表示方法に変化がないときには、表示部126はパネルの種別および位置を維持すればよい。
以下、モードのさまざまな切り替えに基づく、操作画面の変化について説明する。
【0037】
[編集モードからメモリモードへの変更]
図5は、編集モードが選択されたときの操作画面150の画面図である。
操作画面150は、中央表示領域160を中心として、第2選択ボタン領域152、状態表示領域154、第1ボタン選択領域156、メッセージ領域170、ソフトキー領域158およびパネル選択領域166の7つの領域に区画される。
【0038】
中央表示領域160は、更に、第1領域162および第2領域164に2分割される。第1領域162は加工装置204の2つの刃物台のうちの一方に対応する情報を表示させ、第2領域164は加工装置204の2つの刃物台のうちの他方に対応する情報を表示させる。ユーザは操作画面150において、加工装置204における2つの刃物台における切削工具等の動作状態を同時に確認できる。
図5においては、第2領域164の上にNCキーボードX2が重畳表示されている。このため、第2領域164の情報の一部はNCキーボードX2によって隠されている。
【0039】
上部の状態表示領域154は、選択中のモード、切削工具の送り速度、回転速度等の加工装置204の各種状態を表示する。下部のメッセージ領域170は各種メッセージを表示する。ソフトキー領域158は、「一覧表示(LIST)」、「サーチ」など、中央表示領域160の表示位置等を設定するための各種ソフトキーを含む。第2選択ボタン領域152は、アクティブ画面(後述)を選択するための複数の表示選択ボタン172を表示する。第1ボタン選択領域156は、モードを選択するための複数のモード選択ボタン174を表示する。パネル選択領域166は、パネルの種別および位置を選択するための入力領域である。
【0040】
本実施形態においては、第2選択ボタン領域152に表示される画面は「位置(POS)」「プログラム(PROG)」「オフセット(OFFSET)」「対話(CONV)」の4種類であるとして説明する。
(1)位置(POS)
主軸の位置座標を示す。
図5に示す第2領域164においては位置画面がアクティブ画面となっている。
(2)プログラム(PROG)
加工プログラムの作成・編集・確認のための画面である。
図5に示す第1領域162においてはプログラム画面がアクティブ画面となっている。
(3)オフセット
加工装置204に取り付けられている切削工具のサイズを確認および登録するための画面である。オフセット画面では、切削工具の摩耗度も確認できる。なお、計測工具やカメラ付工具などは、工具登録情報画面で工具情報として登録しておくことができる。
(4)対話
対話型のユーザインタフェースにより、ワークの加工プログラムを簡易に作成するための画面である。
【0041】
ユーザは、第1領域162および第2領域164のいずれかをタッチすることで選択し、表示選択ボタン172により各領域のアクティブ画面を切り替える。2つの刃物台のモードは共通である。ユーザは、モード選択ボタン174によりモードを切り替える。
図5においては、編集モードが選択されている。
【0042】
図5においては、第2領域164にNCキーボードX2が重畳表示されている。ユーザは、パネル選択領域166のパネル位置ボタン176を選択することにより、NCキーボードX2の表示位置を上下左右に変更できる。
図5においては右(R)が選択されている。このため、NCキーボードX2は中央表示領域160の右側(所定位置)に表示される。
【0043】
パネル選択領域166のパネル種別ボタン178により、パネルの種別を変更できる。CP(Control Panel)ボタンが選択されたときには、表示部126はNCキーボードX2を消去し、機械操作パネルX1を表示させる。そのあと、KEYボタンが選択されたときには、表示部126は機械操作パネルX1を消去して再びNCキーボードX2を表示させる。
図5においてはKEYボタンおよびNCボタンが選択されているため、NCキーボードX2が表示されている。なお、CPボタンおよびKEYボタンの双方をオフにしたときには、表示部126は中央表示領域160にいずれのパネルも表示させない。
【0044】
KEYボタンが選択され、NCキーボードX2が表示されているときには、ユーザは、更に、サイズ変更ボタン180(NCボタンとTKボタン)を選択できる。NCボタンが選択されたときには
図5に示すように数字および文字を含む比較的大型のNCキーボードX2が表示される。TKボタンが選択されたときには縮小型のCALキーボードが表示される。CALキーボードについては、
図12、
図13に関連して後に詳述する。
【0045】
表示部126は、中央表示領域160からはみ出さないように、中央表示領域160の領域内にパネルを表示させる。いいかえれば、パネルは状態表示領域154、第2選択ボタン領域152、第1ボタン選択領域156、パネル選択領域166、ソフトキー領域158およびメッセージ領域170に重ならないように表示される。ユーザがパネル選択領域166において右ボタン(R)を選択したときには、パネルは中央表示領域160の右側の所定位置に表示され、上ボタン(Up)を選択したときには、パネルは中央表示領域160の上側の所定位置に表示される。左ボタン(L)および下ボタン(Dn)についても同様である。
【0046】
図6は、メモリモードが選択されたときの操作画面150の画面図である。
上述したように、編集モードはグループC、メモリモードはグループAである(
図3参照)。メモリモード(グループA)においては、「機械操作パネルX1」「右(R)」が初期設定される。ユーザが編集モードからメモリモードに変更したときには、表示部126はNCキーボードX2の代わりに機械操作パネルX1を右位置、すなわち、第2領域164に重ねて初期表示させる。機械操作パネルX1はNCキーボードX2よりも大きいので、機械操作パネルX1を右位置表示するときには第2領域164は機械操作パネルX1により完全に遮蔽される。機械操作パネルX1を右位置に表示するときにも、機械操作パネルX1は中央表示領域160内に収まり、機械操作パネルX1が第1ボタン選択領域156を遮蔽することはない。
【0047】
なお、編集モードにおいてNCキーボードX2を表示している状態で、メモリモードに変更したときには、NCキーボードX2は消去され、機械操作パネルX1が右側の所定位置に初期表示される。また、編集モードにおいて機械操作パネルX1を上側に表示している状態で、メモリモードに変更したときには、機械操作パネルX1は上側の所定位置から右側の所定位置に表示位置が変更される。すなわち、メモリモードに変更されたときには、以前の表示状態に関わらず、表示部126は機械操作パネルX1を右側に初期表示させる。
【0048】
機械操作パネルX1は、加工装置204の機構を手動制御するためのユーザインタフェースおよび加工プログラムの実行に介入するためのユーザインタフェースを含む。具体的には、加工プログラムを1行ずつ実行させる、クーラントのオン/オフ、加工時に発生する切り屑の排出、主軸停止、ワークなしでの加工プログラムの実行、加工プログラムの実行停止、などを指示するためのボタン群を備える。
【0049】
メモリモードにおいては、加工プログラムにしたがって加工装置204が自動制御される。メモリモードでは加工装置204の制御に介入するための機械操作パネルX1を使用することが多い。表示部126は、メモリモードが選択されたときにはNCキーボードX2ではなく機械操作パネルX1を表示させる。これにより、ユーザがパネルを選択する手間を減らすことができる。
【0050】
[メモリモードから編集モードへの変更]
メモリモードが選択されているときには、
図6に示す操作画面150が表示される。このときには、上述したように機械操作パネルX1が右に初期表示される。ユーザがメモリモードから編集モードに変更したときには、モード選択部134は
図5に示すように機械操作パネルX1ではなくNCキーボードX2を右に初期表示させる。
【0051】
編集モードにおいては、加工プログラムの修正が可能である。編集モードでは機械操作パネルX1よりもNCキーボードX2を使用することが多い。表示部126は、編集モードが選択されたときにはNCキーボードX2を初期表示させる。このような制御方法により、ユーザがパネルを選択する手数を減らすことができる。
【0052】
[ジョグモードからMDIモードへの変更]
図7は、ジョグモードが選択されたときの操作画面150の画面図である。
ジョグモード(グループD)が選択されたときには、表示部126は機械操作パネルX1を右に初期表示させる(
図3参照)。ジョグモードでは、機械操作パネルX1により、加工装置204の主軸を手動で動かす。したがって、ジョグモードにおいては、NCキーボードX2を表示するよりも機械操作パネルX1を表示する方が適切であると考えられる。
【0053】
なお、ジョグモードのときに表示される機械操作パネルX1に含まれるボタン群とメモリモードのときに表示される機械操作パネルX1のボタン群は同一でなくてもよい。
図7に示すように、ジョグモードの機械操作パネルX1には、主軸をX方向およびZ方向に操作するための主軸移動ボタン182が含まれている。このように、モードごとに、機械操作パネルX1に含まれるボタン群をあらかじめ定義してもよい。
【0054】
図8は、MDIモードが選択されたときの操作画面150の画面図である。
MDIモード(グループB)が選択されたときには、モード選択部134はNCキーボードX2を右に初期表示させる(
図3参照)。MDIモードでは、MDIプログラム(テスト用の簡単な加工プログラム)を作成するため、機械操作パネルX1よりもNCキーボードX2を使用することが多い。このため、表示部126は、MDIモードが選択されたときには機械操作パネルX1を表示させる。
【0055】
図9は、ジョグモードにおいて位置画面をアクティブにしたときの操作画面150の画面図である。
ジョグモードにおいては、
図7に関連して説明したように機械操作パネルX1が右に初期表示される。
図7の操作画面150において、第2選択ボタン領域152からPOSボタン(位置)を選択したときには、画面選択部136は位置画面をアクティブにする。
図9においては、第1の刃物台に対応する第1領域162において位置画面がアクティブとなっているため、第1領域162には第1の刃物台における主軸の位置座標が表示されている。このように、モードとは独立して、ユーザは表示選択ボタン172によりアクティブ画面を切り替えることができる。
【0056】
図10は、ジョグモードにおいて機械操作パネルX1を下方移動させたときの操作画面150の画面図である。
図9において、ユーザがパネル位置ボタン176の下ボタン(Dn)を選択したとする。このとき、表示部126は機械操作パネルX1を中央表示領域160の下部に表示させる。機械操作パネルX1は、あらかじめ左側または右側に表示されるときの縦長レイアウトと、上側または下側に表示されるときの横長レイアウトの2種類のレイアウトを定義されている。下ボタン(Dn)が選択されたときには、表示部126は横長レイアウトの機械操作パネルX1を中央表示領域160の下部に表示させる。機械操作パネルX1を下部表示させることで、ユーザは第1領域162および第2領域164の双方の情報を確認しやすくなる。
図10に示す操作画面150においては2つの刃物台それぞれにおける主軸の位置座標を確認しつつ、機械操作パネルX1を操作できる。
【0057】
なお、機械操作パネルX1が下部表示されているときには、機械操作パネルX1はメッセージ領域170、ソフトキー領域158を遮蔽することはない。上部表示されているときには、機械操作パネルX1は状態表示領域154を遮蔽することはない。機械操作パネルX1が左方表示されているときには、機械操作パネルX1は第2選択ボタン領域152を遮蔽することはない。NCキーボードX2についても同様である。
【0058】
機械操作パネルX1だけでなく、NCキーボードX2についても上側または下側に表示するための横長レイアウトと左側または右側に表示するための縦長レイアウトがあらかじめ定義される。ユーザは、NCキーボードX2の表示時においても、パネル位置ボタン176によりNCキーボードX2の表示位置を変更できる。
【0059】
図11は、ハンドルモードが選択されたときの操作画面150の画面図である。
ハンドルモード(グループE)が選択されたとき、表示部126は機械操作パネルX1およびNCキーボードX2のいずれも初期表示させない(
図3参照)。ハンドルモードにおいては、ユーザは主軸の位置座標を確認しながらハンドル208を操作することが想定される。ユーザは、ハンドル208操作をしつつ、ソフトデバイスの一種であるパネルを操作する可能性は低い。むしろ、パネルを非表示とすることで、主軸の位置座標の視認性を高める方がユーザにとっての利便性が高いと考えられる。このような想定のもと、ハンドルモードが選択されたときにはパネルを初期表示させないことにより、作業性を高めている。
【0060】
図12は、NCキーボードX2およびマシニングセンタにおける第1計算用キーボードX2Aの画面図である。
通常サイズのNCキーボードX2の表示中に、ユーザがTKボタンを選択したとき、表示部126はNCキーボードX2の代わりにCALキーボードを表示させる。CALキーボードは、更に、第1計算用キーボードX2A(
図12参照)と第2計算用キーボードX2B(
図13参照)の2種類がある。
【0061】
上述したように、パネルは、機械操作パネルX1およびキーボードの2種類がある。キーボードは、NCキーボードX2およびCALキーボードの2種類がある。更に、CALキーボードは、第1計算用キーボードX2Aおよび第2計算用キーボードX2Bの2種類がある。
【0062】
操作対象となる加工装置204がマシニングセンタであるときに、CALキーボードが表示対象として選択されたときには、表示部126は
図12に示す第1計算用キーボードX2Aを表示させる。第1計算用キーボードX2AはNCキーボードX2よりも小さいため、通常サイズのNCキーボードX2を表示しているときよりも中央表示領域160が提供する情報を確認しやすくなる。
【0063】
第1計算用キーボードX2Aにおいてはキーのボタンサイズを縮小することなく、一部の文字キー(例:「D」キー)が削除されている。第1計算用キーボードX2Aにおける削除対象のキーとしては、マシニングセンタを使用するときの経験則に基づいて、使用頻度が低いキーを選ぶことが望ましい。使用頻度の低いキーを削除することにより、第1計算用キーボードX2Aの操作性の低下を抑制しつつ、中央表示領域160の情報視認性をNCキーボードX2の表示時に比べて向上させることができる。キーのボタンサイズは縮小されないため、操作画面150が小さいときでも、第1計算用キーボードX2Aの入力容易性を維持しやすい。
【0064】
一方、第1計算用キーボードX2Aから削除されているキー(例:「D」キー)を使いたいときには、ユーザはNCボタンにより第1計算用キーボードX2AをNCキーボードX2に表示変更すればよい。
【0065】
図13は、NCキーボードX2およびターニングセンタにおける第2計算用キーボードX2Bの画面図である。
工作機械104がターニングセンタの場合には、CALキーボードを表示させるときには、第1計算用キーボードX2A(
図12)ではなく第2計算用キーボードX2B(
図13)が表示される。第1計算用キーボードX2A(マシニングセンタ用)と第2計算用キーボードX2B(ターニングセンタ用)は、キーの一部は共通し、一部は相違する。ターニングセンタおよびマシニングセンタのいずれにおいても使用頻度が高いキー(例:「G」キー、数字キーなど)は第1計算用キーボードX2Aおよび第2計算用キーボードX2Bのいずれにも登録されている。ターニングセンタおよびマシニングセンタのいずれにおいても使用頻度が低いキー(例:「D」キー)は第1計算用キーボードX2Aおよび第2計算用キーボードX2Bのいずれからも削除されている。
【0066】
第2計算用キーボードX2B(ターニングセンタ用)では「U」キーが登録されているが、第1計算用キーボードX2A(マシニングセンタ用)では「U」キーは削除されている。これはターニングセンタでは「U」キーは使用頻度が高く、マシニングセンタでは使用頻度が低いためである。このように、工作機械104の種別に合わせて第1計算用キーボードX2A、第2計算用キーボードX2Bそれぞれにおいて登録すべきキーおよび削除すべきキーを異ならせている。
【0067】
更に、第1計算用キーボードX2Aでは「X」「Y」「Z」の順にキーが配列されているが、第2計算用キーボードX2Bでは「X」「Z」「Y」の順にキーが配列されている。これは、マシニングセンタ(第1計算用キーボードX2A)では、X座標、Y座標、Z座標の順に入力する機会が多く、ターニングセンタ(第2計算用キーボードX2B)では、X座標、Z座標、Y座標の順に入力する機会が多いためである。このように、工作機械104の種別に応じて、キーのレイアウトも変更されている。
【0068】
以上、実施形態に基づいて工作機械200、特に、表示制御装置100について説明した。
本実施形態によれば、表示制御装置100が複数のモードを備える場合において、ユーザがモードを選択するごとに使用頻度の高いパネルをあらかじめ初期表示させることができる。このため、モードの変更後において、パネル選択という追加操作の発生頻度を抑制できる。特に、同一ワークの大量生産を想定した場合、ユーザが操作盤206を操作する時間をいかに減らすか、操作画面150における操作回数をいかに減らすかが生産性および売り上げに大きく影響する。パネルに関する操作頻度の減少は生産性・作業性の向上に直結しやすい。
【0069】
また、表示対象となるパネルの種別だけでなく、パネルの位置を変更可能とすることにより、操作画面150の視認性とパネルの操作性を両立させることができる。更に、操作画面150のうち、パネルの表示領域を中央表示領域160内に限定することにより、第2選択ボタン領域152、第1ボタン選択領域156等の操作性と、状態表示領域154等の視認性がパネルによって阻害されないように配慮されている。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0071】
[変形例]
初期表示パターンにおいては、パネルの種別、位置だけでなく、大きさ(面積)、形状(縦横比)、ボタンの種別および色彩などさまざまな表示方法を定義してもよい。
【0072】
パネル設定情報140において、モードあるいはグループごとに初期表示すべきアクティブ画面を定義してもよい。たとえば、MDIモード(グループB)に対しては「プログラム画面」をアクティブ画面として対応づけてもよい。表示部126は、MDIモードが選択されたときには、パネル設定情報140にしたがって「プログラム画面」をアクティブ画面として初期設定する。MDIモードにおいては、簡単な加工プログラムを即席で作成するため、「プログラム画面」がアクティブ画面として選択されることが多い。そこで、MDIモードが選択されたときには「プログラム画面」をアクティブ画面にすることで、表示選択ボタン172の操作回数を抑制できる。
表示制御装置は、複数のモードからユーザにより選択されたモードを設定する設定部と、工作機械の操作画面に、機械操作パネルとキーボードを表示させる表示部を備える。複数のモードには、少なくとも、工作機械を動かしてワークを加工するための加工モードおよびMDIモードが含まれる。表示部は、モードが変更されたとき、変更後のモードに対応づけられる機械操作パネルまたはキーボードを画面表示させる。