(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電線を防護したり、電線の存在を注意喚起したりするために、電線に防護管が被せられる(特許文献1参照)。
図8に示すように、防護管100には、全長に亘って切込みSが形成されているため、防護管100は電線から脱落する場合がある。これを防止すべく、例えば特許文献2に示す防護管の防護管保持具が提供されている。
図9に示すように、防護管保持具104は、防護管100を径方向両側から挟持可能な一対の挟持片105,105を備える。一対の挟持片105,105のうちの一方の挟持片105の先端部には、装着用具としての間接活線作業用器具(図示せず)により把持される把持部106が側方に突出して形成されている。
【0003】
また、
図10に示すように、別の防護管保持具107は、防護管100を両側から挟持可能な一対の挟持片108,108を備える。一対の挟持片108,108間には、間接活線作業用器具により把持される把持部109が、防護管100に移動させる方向とは反対側に向かって突設されている。
【0004】
前記いずれの防護管保持具104,107も、作業者は、前記把持部106,109を間接活線作業用器具で把持し、防護管100に対し一対の挟持片105,105、108,108を径方向に移動させる。これにより、防護管100は、一対の挟持片105,105、108,108により径方向両側から挟持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、防護管に保持具を装着しようとする場合、防護管の周りに他の配線や設備が設けられていることがある。しかしながら、上記従来の保持具は、いずれも間接活線作業用器具を一方向でしか把持できないから、防護管への保持具の装着作業がしづらい。
【0007】
そこで、本発明は、周囲の環境に応じた方向から把持することができ、防護管に対する装着を容易に行えて利便性に優れた防護管保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電線にその長手方向に沿う側方から被せられて該電線を覆った防護管を、該電線から外れないよう保持する防護管保持具であって、前記防護管に外嵌するよう装着されることで該防護管を挟持する複数の挟持片を備え、該挟持片はその一端側を互いに離間させることで前記防護管の挿入を許容するよう構成され、前記挟持片の他端側に、装着用具で選択的に把持される第一把持部と第二把持部とを備え、前記第一把持部は、前記装着用具により把持される一対の第一把持面を備え、該第一把持面は、前記挟持片を前記防護管に装着させる移動方向に沿い、前記第二把持部は、前記装着用具により把持される一対の第二把持面を備え、該第二把持面は前記第一把持面に交差する方向に沿い、前記第一把持部および前記第二把持部は、互いに前記移動方向に位置ずれして配置されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成を備えた本願発明の防護管保持具では、第一把持部を装着用具で把持するか、第二把持部を装着用具で把持するかを選択することができる。何れの把持部を装着用具で把持した場合でも、本発明の防護管保持具は、装着用具を防護管へ向けて移動させて挟持片の一端側を防護管に当接し、さらに装着用具を防護管へ向けて移動させることで挟持片の一端側どうしを離間させて、挟持片の間に防護管を挿入させるように用いられる。
【0010】
第一把持部の第一把持面を装着用具で把持した場合では、第一把持面は、挟持片を防護管に装着させる移動方向に沿っているから、装着用具を前記移動方向へ移動させる力が、防護管に当てられた挟持片の一端側どうしを互いに離間させる力として損失が抑えられた状態で働き、したがって、撓み易い電線を覆う防護管に対しても、防護管が挟持片間に挿入され易い。
【0011】
第二把持面は第一把持面に交差する方向に沿っているから、第二把持部の第二把持面を装着用具で把持した場合では、第一把持部の第一把持面を装着用具で把持した場合に比べて、装着用具を、防護管保持具を防護管に装着させる移動方向へ移動させる力が、挟持片の一端側どうしを互いに離間させる力として伝わりにくい。しかしながら、第二把持面は第一把持面に交差する方向に沿っていることから、その分だけ装着用具を周囲の環境に応じた方向として、第二把持面を把持し易い。
【0012】
前記第二把持部は、前記第一把持部に対して前記一端側寄りに配置され、前記第二把持面は、前記第一把持面の延長上に配置されている構成を採用することができる。
【0013】
上記構成の防護管保持具によれば、第一把持面を装着用具で把持した際に、第二把持面に装着用具の一端側を当てることで、装着用具を、第一把持面および第二把持面の双方を用いて、防護管保持具に対して装着用具を安定させられる。
【0014】
前記複数の挟持片には、その対向面に前記防護管の外周面に係脱可能な突条部が形成されている構成を採用することができる。
【0015】
前記構成により、防護管の軸線方向に環状凹部と環状凸部とが連続してあるうちの、環状凹部に挟持片の突条部が係止することにより、防護管に対し脱落防止具を位置決めできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る防護管保持具は、周囲の環境に応じた方向から把持することができ、防護管に対する着脱が容易に行える利便性に優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る防護管保持具について説明する。はじめに本実施形態に係る防護管保持具が取付けられる防護管について説明する。
【0019】
図8に示すように、防護管100は、電線C(
図4〜
図7参照)の外径よりも大きい内径を有する管本体101と、該管本体101にその長手方向に沿って形成された切込みSと、該切込みSの両縁部に沿って径外方向に突設された一対の摘持部102,102とを備えている。管本体101には、その外周面101aに長手方向に離間して、環状凹部103bと環状凸部103aとが交互に連続して形成されている。切込みSは、電線Cに防護管100を装着させる場合、治具を使って切込みSの幅を電線Cを挿入できる程度に開く。
【0020】
つぎに、防護管100に防護管保持具1を装着する際に使用される装着用具について説明する。該装着用具50は、操作棒と、該操作棒の基端部に配置された操作部と、操作棒の先端部に配置され、操作部により操作される一対の把持部51,51とを備えている。一対の把持部は、操作棒の軸線に対し所定角度傾斜するとともに、操作棒の軸線の延長線に沿って配置されている。
【0021】
つぎに本実施形態に係る防護管保持具について説明する。
図1〜
図3に示すように、防護管保持具1は、防護管100を径方向外方から中心に向かって挟持する挟持部2と、装着用具(間接活線作業用器具)50で把持される把持部3とを一体的に備える。挟持部2は、一対の挟持片20,20と、挟持片20,20と把持部3とを連結する連結部21とを備える。
【0022】
挟持片20,20は、全体として湾曲した板状に形成されており、防護管100に弾性的に外嵌して挟持可能となるよう湾曲した湾曲部200,200と、湾曲部200,200の一端部(先端部)20aに一体的に形成された導入部201,201とを備える。湾曲部200,200および導入部201,201は、防護管100の径方向に対応する方向に離間して対向して配置されている。導入部201,201は、湾曲部200,200に対し大きな曲率に形成され、且つ湾曲部200,200とは反対方向に湾曲するよう設けられている。
【0023】
連結部21および把持部3について特定した方向に基づいて説明する。特定した方向は、一対の挟持片20,20同士の離間方向(x方向)、防護管保持具1を防護管100に装着させる移動方向(z方向)、挟持片20同士の離間方向および前記移動方向に対し直交する直線方向(y方向)である。また、x方向には、防護管100の径方向も含む。
【0024】
連結部21は、各挟持片20,20の他端部20bに、一体的に形成され互いに平行に配置された縦板210a,210b、および縦板210a,210bどうしをその他端部側で連結する横板211を一体的に備えている。
【0025】
縦板210a,210bは、挟持片20,20の離間方向に対応する方向に離間し対向して配置されている。縦板210a,210bどうしの間の空間は、前述した防護管100の摘持部102,102が挿入される挿入空間Aとされている。
【0026】
横板211は、挟持片20同士の離間方向に長く前記直線方向に短い直方体形状の板材に形成されている。横板211は、挟持片20同士の離間方向に位置する両端部のうち一方の端部(一方の縦板210aに連結されている部位)を一端部211aとし、他方の端部(他方の縦板210bに連結されている部位)を他端部211bとし、直線方向に位置する両端部のうち一方の端部を一側部211cとし、他方の端部を他側部211dとし、一側部211cと他側部211dとの間の長さを幅寸法L1とする。
【0027】
湾曲部200,200の対向面200a,200aには、防護管100に形成された環状凹部103bに径方向外方から挿入される突条部202,202が形成されている。突条部202,202は、環状凹部103bに対応する断面形状とされ、環状凹部103bに対し係脱可能に構成されている。突条部202,202は、湾曲部200,200に比べて小幅に形成され、その一端側の突出面202a,202aは、湾曲部200,200の対向面200a,200aに向けて傾斜する傾斜面(あるいは曲面)とされている。また、湾曲部200,200の他端側の突出面202b、202bは、湾曲部200,200の対向面200a,200aと縦板210a,210bの対向面210c,210cとの連続部Bにあって、縦板210a,210bの対向面210c,210cと面一とされるよう連続部Bに沿って湾曲している。
【0028】
一対の挟持片20,20は、横板211の中央部を支点にして、拡径可能に構成されている。一対の挟持片20,20は、防護管100への装着により拡径されると、一方の縦板21aおよび一方の挟持片20と、他方の縦板21b、および他方の挟持片20とは、縮径する方向に弾性付勢されるよう構成されている。
【0029】
把持部3は第一把持部30、および第二把持部31を一体的に有する。第一把持部30および第二把持部31は、ともに矩形の板状に形成されている。第一把持部30および第二把持部31は、装着用具(間接活線作業用器具)50で選択的に把持される。第一把持部30および第二把持部31は、防護管保持具1を防護管100に装着させる移動方向に位置ずれして配置されている。第二把持部31は、連結部21側に配置され、第一把持部30は、第二把持部31に対し連結部21とは反対側に配置されている。
【0030】
第一把持部30は、扁平な直方体形状の板材であり、防護管100に装着させる方向に位置する両端部のうち一方の端部(第二把持部31に連結されている部位)を一端部300とし、他方の端部を他端部301とし、挟持片20同士の離間方向に位置する両端部のうち一方の端部を一側部302aとし、他方の端部を他側部302bとし、一側部302aと他側部302bとの間の長さを幅寸法L2とする。
【0031】
第一把持部30は、装着用具50により把持される一対の第一把持面30a,30aを備える。第一把持面30a,30aは、厚み方向に対向する面である。第一把持面30aは、防護管保持具1を防護管100に装着させる移動方向に沿う長さおよび挟持片20同士の離間方向に沿う長さの等しい略正方形状の面であり、前記直線方向に対し直交する面である。
【0032】
幅方向に沿った第一把持部30の中心線は、一対の縦板210a,210b間の中心(横板211の中心)を通る直線と一致している。第一把持部30の幅寸法L2は、一対の縦板210a,210b間の長さよりも大きい。第一把持部30の一側部302aは、一方の縦板210aよりも幅方向外側に位置し、第一把持部30の他側部302bは、他方の縦板210bよりも幅方向外側に位置している。第一把持部30の一端部300は、第二把持部31に連結されている。第一把持部30の他端部301は、装着用具50で把持できる程度に、防護管保持具1を防護管100に装着させる移動方向とは反対側に向かって延長されている。
【0033】
第二把持部31は、扁平な直方体形状に形成された板材であり、挟持片20同士の離間方向に位置する両端部のうち一方の端部(横板に連結されている側の端部)を一端部310とし、他方の端部を他端部311とし、前記直線方向に位置する両端部のうち一方の端部を一側部312aとし、他方の端部を他側部312bとし、一側部312aと他側部312bとの間の長さを幅寸法L3とする。
【0034】
第二把持部31は、装着用具50により把持される一対の第二把持面31a,31aを備える。第二把持面31a,31aは、厚み方向に対向する面である。第二把持面31aは、挟持片20同士の離間方向に長く、前記直線方向に短い矩形状の面であり、防護管保持具1を防護管100に装着させる移動方向に対し直交する面である。第二把持面31a,31aは、第一把持面30a,30aの延長上に配置されている。
【0035】
挟持片20同士の離間方向に沿った第二把持部31の中心線は、横板211の長手方向の中心線と一致している。第二把持部31の幅寸法L3は、横板211の両側部211c,211d間の長さよりも大きい。第二把持部31の一側部312aは、横板211の一側部211cよりも外側に位置し、第二把持部31の他側部312bは、横板211の他側部211dよりも外側に位置している。第二把持部31の一端部310は、横板211の一端部211aと一致している。第二把持部31の他端部311側は、装着用具50で把持できる程度に他方の縦板210bよりも外側に突出している。
【0036】
第一把持部30および第二把持部31は、挟持片20同士の離間方向に位置ずれして配置されている。第一把持部30の一端部300の中央部と、第二把持部31の幅方向中央部の一端側とが連結されている。第一把持部30の一側部302aは、第二把持部31の一端部310よりも外側に位置している。第一把持部30の他側部302bは、第二把持部31の幅方向中央部の途中位置に位置している。
【0037】
つぎに本実施形態に係る防護管保持具の使用方法について説明する。
【0038】
本実施形態の防護管保持具1において、第一把持部30は、挟持片20同士の離間方向に位置する両側部302a,302bおよび防護管保持具1を防護管100に装着させる移動方向とは反対側に位置する他端部301から把持できるよう構成され、第二把持部31は、前記直線方向に位置する両側部312a,312b、および挟持片20同士の離間方向に位置する他端部311から把持できるよう構成されている。したがって、第一把持部30および第二把持部31の少なくともいずれか一方の近傍に障害物V1,V2があったとしても、第一把持部30または第二把持部31を前記いずれかの方向から把持できるよう構成されている。
【0039】
まず、
図4〜
図7に示すように、第二把持部31の近傍に障害物V2がある場合、装着用具50の一対の把持部51,51により、第一把持部30の一対の第一把持面30a,30aを把持した際の使用方法について説明する。この場合、作業者は、装着用具50の操作棒の軸線の延長線に沿う一対の把持部51,51の向きと、防護管保持具1を防護管100に向かって移動させる方向とを一致させるように、装着用具50の一対の把持部51,51により第一把持部30の一対の第一把持面30a,30aを把持する。この際、装着用具50は、障害物V2を回避して第一把持部30の一対の第一把持面30a,30aを把持している。これにより、装着用具50の一対の把持部51,51からの力が一対の挟持片20,20に直接作用する。
【0040】
作業者は、装着用具50の一対の把持部51,51により、第一把持部13の一対の第一把持面30a,30aを把持した状態で、装着用具50を操作して電線Cに被せた防護管100の近傍に、防護管保持具1を移動させる。
【0041】
つぎに、作業者は、防護管保持具1を、防護管100に対し径方向内方(
図4の矢印の方向)へ移動させ、隣合う環状凸部103a,103a間の環状凹部103bに、一対の挟持片20,20の突条部202が位置するように、防護管100の隣合う環状凸部103a,103aに、一対の挟持片20,20の一端部20aの導入部201の円弧面を摺接して、隣合う環状凸部103a,103a間の環状凹部103bに、一対の挟持片20,20の突条部202を当接させる。
【0042】
つぎに、作業者は、防護管保持具1を、さらに防護管100の径方向内方に移動させ、一対の挟持片20,20を防護管100の最大径部に向かって移動させる。この際、
図5に示すように、一対の挟持片20,20は、防護管100の最大径部に向かうにしたがって拡径される。この拡径により、一対の挟持片20,20は、自己の弾性により縮径する方向に付勢される。
【0043】
つぎに、作業者は、防護管保持具1を、防護管100の中心に向かって移動させ、挟持片20の一端部20aを防護管100の最大径部を超えさせる。挟持片20の一端部20aが防護管100の最大径部を超えると、突条部202の突出面202aが、防護管100の環状凹部103bに摺接する。挟持片20の一端部20aが、防護管100の最大径部を超えるにしたがって、
図6及び
図7に示すように、突条部202が環状凹部103bに沿って移動する。これより、防護管100に対し防護管保持具1が位置決めされる。
【0044】
挟持片20の一端部20aが防護管100の最大径部を超えて、挟持片20は縮径する。
【0045】
また、防護管100の一対の摘持部102,102は、一対の挟持片20,20の移動に伴って、連結部21の挿入空間Aに挿入される。
【0046】
このように、前記挟持片20の縮径により、防護管100は、防護管保持具1により確実に抱持され、前記挿入空間Aへの挿入により、防護管100の一対の摘持部102,102は、連結部21の一対の縦板210a,210bおよび横板211によって閉じられた状態が保持される。すなわち、防護管保持具1によって、電線Cに対し防護管100の装着された状態が保持され、電線Cから外れることがない。
【0047】
第一把持面30aは、防護管保持具1を防護管100に装着させる移動方向に沿っているから、第一把持面30aを把持した場合、装着用具50を前記移動方向へ移動させる力が、防護管100に当てられた挟持片20の一端側どうしを互いに離間させる力として損失が抑えられた状態で働き、したがって、撓み易い電線Cを覆う防護管100に対しても、防護管100が挟持片20,20の間に挿入され易い。
【0048】
なお、装着用具50の一対の把持部51,51で第一把持部30の第一把持面30a,30aを把持しつつ、装着用具50の一対の把持部51,51の先端部を、第二把持部31の第二把持面31aに当接させ、防護管保持具1を防護管100側に移動させると、装着用具50の一対の把持部51,51が前記当接により安定するため、防護管100への装着が容易になる。
【0049】
つぎに、作業者は、防護管100から防護管保持具1を取外す場合、装着用具50の一対の把持部51,51で第一把持部30の第一把持面30a,30aを把持し、防護管保持具1を防護管100側に移動させる移動方向とは反対側に、防護管保持具1を引張って、防護管100から防護管保持具1を取外す。
【0050】
つぎに、第一把持部30の近傍に障害物V1がある場合、装着用具50の一対の把持部51,51により、第二把持部31の一対の第二把持面31a,31aを把持した際の使用方法について説明する。この場合、作業者は、装着用具50の一対の把持部51,51の向きを、防護管保持具1を防護管100に向かって移動させる方向に対し直交するように、第二把持部31の一対の第二把持面31a,31aを把持する。この際、装着用具50は、障害物V1を回避して第二把持部31の一対の第二把持面31a,31aを把持している。
【0051】
つぎに、作業者は、前記と同様に、電線Cに被せた防護管100の近傍に、防護管保持具1を移動させて、防護管100の隣合う環状凸部103a,103aに、一対の挟持片20,20の一端部20a,20aを当接させる。
【0052】
つぎに、作業者は、防護管保持具1を防護管100に装着させる移動方向に移動させ、一対の挟持片20,20を、環状凸部103aに沿って移動させ、防護管100の外周面に防護管保持具1を装着させる。すなわち、防護管100は、防護管保持具1により装着状態が保持されるため、電線Cから外れることがない。
【0053】
第二把持部31の第二把持面31aを装着用具50で把持した場合では、第二把持面31aは第一把持面30aに直交(交差)する方向に沿っているから、第一把持部30の第一把持面30aを装着用具50で把持した場合に比べて、装着用具50を、防護管保持具1を防護管100に装着させる移動方向へ移動させる力が、挟持片20の一端側どうしを互いに離間させる力として伝わりにくい。しかしながら、第二把持面31aは第一把持面30aに直交(交差)する方向に沿っていることから、その分だけ装着用具50を周囲の環境に応じた方向として、第二把持面31aを把持し易い。すなわち、第一把持部30の近傍に障害物Vがある場合は、第二把持部31を把持できる。
【0054】
つぎに、作業者は、防護管100から防護管保持具1を取外す場合、装着用具50の一対の把持部51,51で第一把持部30の第一把持面30a,30aを把持し、防護管保持具1を防護管100側に移動させる移動方向とは反対側に、防護管保持具1を引張って、防護管100から防護管保持具1を取外す。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る防護管保持具は、装着用具50の一対の把持部51,51により把持される第一把持部30および第二把持部31を備えることで、周囲の環境に応じた方向からの把持が可能となる。
【0056】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、種々変更することができる。
【0057】
例えば、前記実施形態では、防護管保持具1は、防護管保持具1を防護管100に装着させる移動方向および前記挟持片20同士の離間方向に長さを有する第一把持部30の第一把持面30aを備えるようにしたが、前記移動方向および前記直線方向に長さを有する第一把持面としてもよく、第二把持面31aの、挟持片20同士の離間方向の中心線に対して所定角度傾斜する第一把持面30aを備えるようにしてもよい。
【0058】
また、前記実施形態では、防護管保持具1は、前記挟持片20同士の離間方向に長く、前記直線方向に短い第二把持部31の第二把持面31aを備えるようにしたが、前記挟持片20同士の離間方向に短く、前記直線方向に長い第二把持面を備えるようにしてもよい。また、前記第二把持面31aは、前記挟持片20同士の離間方向に沿うように配置されたが、前記挟持片20同士の離間方向に対し所定角度傾斜するように配置してもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、防護管保持具1は、第一把持部30の一端側寄りに第二把持部31を配置するようにしたが、他端側寄りに配置するようにしてもよい。要は、第一把持部30および第二把持部31は、周囲の環境に応じて把持できる構成であればよい。
【0060】
また、前記実施形態では、防護管保持具1は、一対の挟持片20,20としたが、3つの挟持片であってもよい。例えば、防護管保持具1は、二股状の挟持片と、二股の間に配置された一つの挟持片とを開閉可能に構成するようにしてもよい。また、4つの挟持片であってもよい。例えば、防護管保持具1は、一対の二股状の挟持片を対向配置して開閉可能に構成するようにしてもよい。要は、防護管保持具1は、複数の挟持片20により、防護管100を径方向両側から挟持できればよい。
【0061】
また、前記実施形態では、防護管保持具1は、防護管100の環状凹部103bに係止する円弧状の突条部202としたが、挟持片20の対向面200aに沿って所定の間隔をおいて配置された複数の凸部であってもよい。
【0062】
また、前記実施形態では、防護管保持具1は、
図1に示すように、開放された一対の挟持片20,20としたが、導入部201が防護管100に当接することによって開放可能となる構成であれば、閉じられた一対の挟持片であってもよい。
【0063】
また、前記実施形態では、防護管保持具1は、第一把持部30および第二把持部31を平板状としたが、非円柱状であってもよい。要は、装着用具の把持部で把持できる形状であればよい。
【0064】
また、前記実施形態では、防護管保持具1は、長手方向に亘って切込みSを形成した防護管100を採用したが、軸方向に二分された分割体からなる防護管であってもよい。要は、電線Cを周方向に覆うことが可能な防護管であれば、本発明の防護管保持具1は適用できる。