特許第6935704号(P6935704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6935704
(24)【登録日】2021年8月30日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】照明制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20210906BHJP
【FI】
   B60Q1/04 E
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-168615(P2017-168615)
(22)【出願日】2017年9月1日
(65)【公開番号】特開2019-43355(P2019-43355A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 聡
(72)【発明者】
【氏名】平原 英人
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−112827(JP,A)
【文献】 特開2015−151046(JP,A)
【文献】 特開2009−255639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイビームと、前記ハイビームよりも低い位置を照射範囲とするロービームとに変更可能な照明装置を備える車両に用いられる照明制御装置であって、
前記車両の周辺の道路情報を取得する道路情報取得部と、
前記照明装置が前記ハイビームに設定されている場合、前記道路情報に基づいて、前記車両の前方における所定位置から、前記ハイビームの照射範囲までの所定距離を算出する算出部と、
前記所定距離に応じて、前記ハイビームから前記ロービームに変更するように前記照明装置を制御する照明制御部と、
を備える照明制御装置。
【請求項2】
前記所定位置は、上り勾配の頂上位置である、
請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記ハイビームの照射範囲のうち、前記所定距離の算出の基準となる位置は、当該照射範囲における下端部分の位置である、
請求項1に記載の照明制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方の照射範囲を変更可能な照明装置を備える車両に用いられる照明制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前方の照射範囲を変更可能な照明装置を備える車両に用いられる照明制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ハイビームで前方を照射している状況下で、前方を走行する他車両がハイビームの照射範囲に入るか否かによって、ハイビームをロービームに変更する制御を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−166716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両が、例えば上り勾配を走行している場合、照明装置がハイビームに設定されていると、車両の前方に位置する上り勾配の頂上付近が照射範囲から外れてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、車両の前方に位置する道路が照明装置の照射範囲から外れてしまうことを抑制することが可能な照明制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る照明制御装置は、
ハイビームと、前記ハイビームよりも低い位置を照射範囲とするロービームとに変更可能な照明装置を備える車両に用いられる照明制御装置であって、
前記車両の周辺の道路情報を取得する道路情報取得部と、
前記照明装置が前記ハイビームに設定されている場合、前記道路情報に基づいて、前記車両の前方における所定位置から、前記ハイビームの照射範囲までの所定距離を算出する算出部と、
前記所定距離に応じて、前記ハイビームから前記ロービームに変更するように前記照明装置を制御する照明制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の前方に位置する道路が照明装置の照射範囲から外れてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る照明制御装置が適用された車両を示すブロック図である。
図2】本実施の形態に係る照明制御装置を示すブロック図である。
図3】本実施の形態に係る照明制御装置の作用を説明するための図である。
図4】本実施の形態に係る照明制御装置の照明制御の動作例の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る照明制御装置100が適用された車両1を示すブロック図である。図2は、本実施の形態に係る照明制御装置100を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、車両1は、照明装置10と、前方検出部20と、道路情報記憶部30と、照明制御装置100とを備える。
【0011】
照明装置10は、車両1の前方をハイビームと、ハイビームよりも低い位置を照射範囲とするロービームとで照射可能に構成されている。
【0012】
前方検出部20は、例えばカメラ等であり、前方を走行する他車両等の前方情報を検出し、当該前方情報を照明制御装置100に出力する。
【0013】
道路情報記憶部30は、車両1の現在位置における道路の情報や、車両1がこれから走行する道路の情報等を示す道路情報を記憶しており、当該道路情報を照明制御装置100に出力する。
【0014】
照明制御装置100は、ハイビームと、ロービームとに変更することで、車両1の前方の照射範囲を変更するように照明装置10を制御する。図2に示すように、照明制御装置100は、前方情報取得部110と、照明制御部120と、道路情報取得部130と、算出部140とを有する。
【0015】
前方情報取得部110は、前方検出部20からの前方情報を取得し、当該前方情報を照明制御部120に出力する。
【0016】
照明制御部120は、入力された前方情報に基づいて、ハイビームとロービームとを変更するよう照明装置10を制御する。
【0017】
具体的には、照明制御部120は、車両1の前方に他車両が走行してない場合、照明装置10をハイビームに設定する。照明制御部120は、車両1の前方に他車両が走行している場合、照明装置10をロービームに設定する。
【0018】
図3に示すように、ハイビームL1は、L11とL12との間の範囲が照射範囲であり、ロービームL2は、L21とL22との間の範囲が照射範囲である。
【0019】
図2に示すように、道路情報取得部130は、道路情報記憶部30からの道路情報を取得し、当該道路情報を算出部140に出力する。
【0020】
算出部140は、図3に示すように、照明装置10がハイビームL1に設定されている場合、道路情報に基づいて、車両1の前方における所定位置M1から、所定位置M1におけるハイビームL1の照射範囲までの所定高さHを算出する。所定高さHは、本発明の「所定距離」に対応する。
【0021】
図3における所定位置M1は、上り勾配における頂上位置である。また、ハイビームL1の照射範囲のうち、所定高さHの算出の基準となる位置は、例えば、当該照射範囲における下端部分となるL12の部分の位置である。
【0022】
なお、所定高さHは、例えば、上り勾配の傾斜角αや車両1の現在位置Pから上り勾配の頂上位置M1までの距離等から三角関数等を用いて算出されるようにしても良い。
【0023】
算出部140は、算出した所定高さHを照明制御部120に出力する。照明制御部120は、所定高さHに応じて、ハイビームL1からロービームL2に変更するように照明装置10を制御する。
【0024】
具体的には、照明制御部120は、所定高さHが、閾値以上である場合、ハイビームL1からロービームL2に変更する。閾値は、例えば、他車両の車高以上の高さに設定される。
【0025】
ハイビームL1に設定された状態で車両1が上り勾配を走行する場合、ハイビームL1によって上り勾配の頂上における上方の部分が照射される。そのため、上り勾配の頂上付近においては、ハイビームL1の照射範囲から外れる度合いが大きくなる。
【0026】
しかし、本実施の形態では、所定高さHに応じてハイビームL1からロービームL2に変更される。これにより、照明装置10における照射範囲がロービームL2となるので、上り勾配の頂上付近がロービームL2により照射される。
【0027】
すなわち、本実施の形態では、上り勾配の頂上付近において、照明装置10における照射範囲から外れる部分が大きくなることを抑制することができる。
【0028】
次に、照明制御装置100における照明制御部120の照明制御の動作例について説明する。図4は、照明制御装置100における照明制御部120の照明制御の動作例の一例を示すフローチャートである。
【0029】
図4における処理は、例えば車両1が、照明装置10をハイビームL1に設定した状態で、上り勾配を走行する際に適宜実行される。なお、図4における処理は、上り勾配以外を車両1が走行する場合において実行されるようにしても良い。
【0030】
図4に示すように、照明制御部120は、算出部140により算出された所定高さHを取得する(ステップS101)。次に、照明制御部120は、所定高さHが閾値以上であるか否かについて判定する(ステップS102)。
【0031】
判定の結果、所定高さHが閾値未満である場合(ステップS102、NO)、本制御は終了する。一方、所定高さHが閾値以上である場合(ステップS102、YES)、照明制御部120は、ハイビームL1からロービームL2に変更する制御を行う(ステップS103)。ステップS103の後、本制御は終了する。
【0032】
以上のように構成された本実施の形態によれば、所定高さHに応じてハイビームL1からロービームL2に変更されるので、上り勾配の頂上付近において、照明装置10における照射範囲から外れる度合いが大きくなることを抑制することができる。
【0033】
なお、上記実施の形態では、所定位置として上り勾配の頂上位置を例示したが、本発明はこれに限定されず、上り勾配の頂上位置以外の位置であっても良いし、上り勾配以外の道路の任意の位置であっても良い。
【0034】
また、上記実施の形態では、所定高さHの算出の基準となるハイビームL1の照射範囲が、当該照射範囲における下端部分となるL12の部分としていたが、本発明はこれに限定されず、当該照射範囲内の任意の位置を基準としても良い。
【0035】
また、上記実施の形態では、所定距離として所定高さHを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図3における所定位置M1から、当該所定位置M1の真上の位置から多少ずれた位置までの距離を所定距離としても良い。
【0036】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本開示の照明制御装置は、車両の前方に位置する道路が照明装置の照射範囲から外れてしまうことを抑制することが可能な照明制御装置として有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 車両
10 照明装置
20 前方検出部
30 道路情報記憶部
100 照明制御装置
110 前方情報取得部
120 照明制御部
130 道路情報取得部
140 算出部
図1
図2
図3
図4