(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画像における線又は文字の一部を示す第1画素との境界に沿う第2画素であって、線又は文字の一部でないことを示す前記第2画素である注目画素の画素値が中間調の画素値である場合に、前記注目画素の画素値、及び、前記注目画素から3画素以内に位置する前記第1画素である近傍画素の画素値の少なくとも一方を低減する調整を行う調整部
を備え、
前記調整部は、前記注目画素の画素値を調整する場合、前記注目画素の画素値を前記注目画素の画素値に応じた割合で減じた値にし、前記近傍画素の画素値を調整する場合、前記近傍画素の画素値を前記近傍画素の画素値に応じた割合で減じた値にする
画像処理装置。
前記画像の各画素に対して、前記線又は文字の一部であることを示す線文字タグ、及び、前記線又は文字の一部でないことを示す非線文字タグのいずれか一方を割り当てる割当部と、
前記注目画素を含む予め定められた領域毎に、前記割当部により前記線文字タグが割り当てられた画素である前記第1画素と、前記非線文字タグが割り当てられた画素である前記第2画素との前記境界を検出する検出部と、
を更に備えた請求項1に記載の画像処理装置。
前記検出部は、前記領域に対応する境界検出用パターンであって、前記注目画素、前記第1画素、前記第2画素、及び前記近傍画素の位置関係が予め規定された前記境界検出用パターンを用いて、前記境界を検出する請求項2に記載の画像処理装置。
画像における線又は文字の一部を示す第1画素との境界に沿う第2画素であって、線又は文字の一部でないことを示す前記第2画素である注目画素の画素値が中間調の画素値である場合に、前記注目画素の画素値、及び、前記注目画素から3画素以内に位置する前記第1画素である近傍画素の画素値の少なくとも一方を低減する調整を行う調整部と、
前記調整部により画素値が調整された前記画像を記録媒体に形成する形成部と、
を備え、
前記調整部は、前記注目画素の画素値を調整する場合、前記注目画素の画素値を前記注目画素の画素値に応じた割合で減じた値にし、前記近傍画素の画素値を調整する場合、前記近傍画素の画素値を前記近傍画素の画素値に応じた割合で減じた値にする
画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
【0027】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置10Aの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10Aは、画像処理部11と、表示部16と、操作部18と、画像形成部20と、原稿読取部22と、通信部24と、を備える。画像処理部11は、画像処理装置の一例である。画像処理部11は、制御部12と、記憶部14と、を含んで構成されている。
【0028】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)12A、ROM(Read Only Memory)12B、RAM(Random Access Memory)12C、及び入出力インターフェース(I/O)12Dを備えており、これら各部がバスを介して各々接続されている。
【0029】
I/O12Dには、記憶部14と、表示部16と、操作部18と、画像形成部20と、原稿読取部22と、通信部24と、を含む各機能部が接続されている。これらの各機能部は、I/O12Dを介して、CPU12Aと相互に通信可能とされる。
【0030】
制御部12は、画像形成装置10Aの全体の動作を制御するメイン制御部の一部として構成されてもよい。制御部12の各ブロックの一部又は全部には、例えば、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路又はIC(Integrated Circuit)チップセットが用いられる。上記各ブロックに個別の回路を用いてもよいし、一部又は全部を集積した回路を用いてもよい。上記各ブロック同士が一体として設けられてもよいし、一部のブロックが別に設けられてもよい。また、上記各ブロックのそれぞれにおいて、その一部が別に設けられてもよい。制御部12の集積化には、LSIに限らず、専用回路又は汎用プロセッサを用いてもよい。
【0031】
記憶部14としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。記憶部14には、画像処理プログラム14Aが記憶される。なお、この画像処理プログラム14Aは、ROM12Bに記憶されていてもよい。
【0032】
画像処理プログラム14Aは、例えば、画像形成装置10Aに予めインストールされていてもよい。画像処理プログラム14Aは、不揮発性の記憶媒体に記憶して、又はネットワークを介して配布して、画像形成装置10Aに適宜インストールすることで実現してもよい。なお、不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM、光磁気ディスク、HDD、DVD-ROM、フラッシュメモリ、メモリカード等が想定される。
【0033】
表示部16には、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が用いられる。表示部16は、タッチパネルを一体的に有している。操作部18には、テンキーやスタートキー等の各種の操作キーが設けられている。表示部16及び操作部18は、画像形成装置10Aのユーザから各種の指示を受け付ける。この各種の指示には、例えば、原稿の読み取りを開始させる指示や、原稿のコピーを開始させる指示等が含まれる。表示部16は、ユーザから受け付けた指示に応じて実行された処理の結果や、処理に対する通知等の各種の情報を表示する。
【0034】
原稿読取部22は、画像形成装置10Aの上部に設けられた図示しない自動原稿送り装置の給紙台に置かれた原稿を1枚ずつ取り込み、取り込んだ原稿を光学的に読み取って画像情報を得る。あるいは、原稿読取部22は、プラテンガラス等の原稿台に置かれた原稿を光学的に読み取って画像情報を得る。
【0035】
画像形成部20は、原稿読取部22による読み取りによって得られた画像情報、又は、ネットワークを介して接続された外部のPC等から得られた画像情報に基づく画像を、紙等の記録媒体に形成する。なお、本実施形態においては、画像を形成する方式として、電子写真方式を例示して説明するが、インクジェット方式等の他の方式を採用してもよい。なお、画像形成部20は、形成部の一例である。
【0036】
画像を形成する方式が電子写真方式の場合、画像形成部20は、感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、転写部、及び定着部を含む。帯電部は、感光体ドラムに電圧を印加して感光体ドラムの表面を帯電させる。露光部は、帯電部で帯電された感光体ドラムを画像情報に応じた光で露光することにより感光体ドラムに静電潜像を形成する。現像部は、感光体ドラムに形成された静電潜像をトナーにより現像することで感光体ドラムにトナー像を形成する。転写部は、感光体ドラムに形成されたトナー像を記録媒体に転写する。定着部は、記録媒体に転写されたトナー像を加熱及び加圧により定着させる。
【0037】
通信部24は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等のネットワークに接続されており、図示しない外部のPC等との間でネットワークを介して通信が可能とされる。なお、通信部24とネットワークとは有線で接続されていてもよく、無線で接続されていてもよい。
【0038】
本実施形態に係る画像形成装置10AのCPU12Aは、記憶部14に記憶されている画像処理プログラム14AをRAM12Cに書き込んで実行することにより、
図2に示す各部として機能する。
【0039】
図2は、第1の実施形態に係る画像形成装置10Aの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10AのCPU12Aは、ラスタライズ部30、検出部32、及び調整部34として機能する。なお、ラスタライズ部30は、割当部の一例である。
【0040】
本実施形態において、ラスタライズ部30は、入力されたベクタ画像をラスタライズしてラスタ画像を生成する。ベクタ画像とは、画像を円や直線等の幾何的な図形の集まりとして表現するベクタ形式の画像である。一方、ラスタ画像(所謂ビットマップ画像ともいう。)とは、画像を各点の濃淡の集まりとして表現するラスタ形式の画像である。ラスタ画像の各画素は、例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、及びK(ブラック)の各色の画素値(階調値)を有している。
【0041】
また、ラスタライズ部30は、ラスタ画像に含まれる各画素に、線又は文字の一部であることを示す線文字タグ、及び、線又は文字の一部ではないことを示す非線文字タグのいずれか一方を割り当てる。
【0042】
検出部32は、ラスタ画像における注目画素を含む予め定められた領域毎に、ラスタライズ部30により線文字タグが割り当てられた画素と、非線文字タグが割り当てられた画素との境界を検出する。なお、本実施形態では、線文字タグが割り当てられた画素を線文字画素といい、非線文字タグが割り当てられた画素を非線文字画素という。線文字画素は、第1画素の一例であり、非線文字画素は、第2画素の一例である。
【0043】
調整部34は、検出部32により検出された境界に沿う非線文字画素である注目画素の画素値が中間調の画素値である場合に、注目画素の画素値、及び、近傍画素の画素値の少なくとも一方を低減する調整を行う。以下、本実施形態では、CMYK空間で0以上255以下の256階調の画素値をとるものとし、注目画素のみの画素値を低減する形態について説明する。
【0044】
本実施形態では、最大画素値をラスタ画像の取り得る最大の画素値としたため、画素値が8bit構成で256階調であれば、最大画素値は255となる。これに対して、最大画素値をラスタ画像に含まれる線文字画素の実際の画素値の最大値としてもよい。この場合、例えば、線文字画素の実際の画素値の最大値が200であれば、最大画素値は200となる。
【0045】
本実施形態によれば、線又は文字の背景領域が中間調であり、かつ、画素値のある範囲が上述した範囲である場合に、線又は文字の太さが太くなることが抑制される。なお、ここでいう「背景領域」とは、非線文字画素により構成される領域を表すものとする。
【0046】
調整部34は、注目画素の画素値を低減する調整を行った後の画像を画像形成部20に出力する。
【0047】
本実施形態に係る画像形成部20は、調整部34により出力された画像を、紙等の記録媒体に形成する。
【0048】
次に、
図3〜
図8を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10Aが備えるラスタライズ部30、検出部32、及び調整部34の各部について具体的に説明する。
【0049】
なお、本実施形態では、線文字画素と非線文字画素との境界を検出するために線文字タグ及び非線文字タグを用いているが、当該境界を検出するために画素値演算による手法を用いてもよい。
【0050】
まず、本実施形態に係る画像形成装置10Aによるラスタライズ処理について説明する。
【0051】
図3は、第1の実施形態に係る画像形成装置10Aによるラスタライズ処理の一例を説明するための模式図である。
【0052】
本実施形態に係るラスタライズ部30は、
図3に示すように、ベクタ画像と共に、ベクタ画像のオブジェクト情報の入力を受け付ける。ベクタ画像のオブジェクト情報とは、例えば、グラフィックでは点の座標や、線の角度等の図形要素に関する情報とされ、テキストでは文字コードや、フォントの種類、大きさ等の文字要素に関する情報とされる。ラスタライズ部30は、オブジェクト情報を用いて、ベクタ画像をラスタライズしてラスタ画像を生成する。
【0053】
また、ラスタライズ部30は、上記のオブジェクト情報に基づいて、ラスタ画像の各画素に対して、線文字タグ及び非線文字タグのいずれか一方を割り当てる。本実施形態に係るラスタライズ部30は、割り当てた結果として、ラスタ画像の各画素に対応付けて、線文字タグ又は非線文字タグを区別するための1ビットの情報を記憶部14に記憶する。例えば、当該情報が「0」であれば、線文字タグが割り当てられていることを示し、当該情報が「1」であれば、非線文字タグが割り当てられていることを示す。本実施形態では、
図3に示すように、線文字タグが割り当てられた画素を線文字画素Tg1とし、非線文字タグが割り当てられた画素を非線文字画素Tg2として区別するものとする。
【0054】
次に、本実施形態に係る画像形成装置10Aによる境界検出処理について説明する。
【0055】
図4は、本実施形態に係るラスタ画像の境界検出処理における処理順の一例を示す模式図である。
図4の矢印で示すように、本実施形態に係る境界検出処理では、ラスタ画像の左上角点を始点、右下角点を終点とし、注目画素をラスタ画像の左端から右端に向け、かつ、上端から下端に向けて、1画素分ずつ移動させながら、境界の検出が行われる。
【0056】
図5は、第1の実施形態に係る画像形成装置10Aによる境界検出処理の一例を説明するための模式図である。
【0057】
本実施形態に係る検出部32は、一例として、
図5に示すように、注目画素Ap1を含む領域40毎に、線文字画素Tg1と非線文字画素Tg2との境界を検出する。領域40としては、一例として、3×3の領域を示しているが、5×5、7×7等の領域でもよい。なお、領域40における画素の配置としては、縦方向の画素数と横方向の画素数とが同一となる配置に限らず、縦方向の画素数と横方向の画素数とが異なる配置でもよい。
【0058】
ここで、検出部32は、領域40に対応する境界検出用パターンを用いて、ラスタ画像に対してパターンマッチングを行うことにより、線文字画素Tg1と非線文字画素Tg2との境界を検出する。
【0059】
図6は、本実施形態に係る境界検出用パターンの一例を示す模式図である。
図6に示すように、本実施形態に係る境界検出用パターンの各々は、上記の領域40に対応するパターンマッチング用の画像であり、本実施形態では、領域40と同一の3×3の画像が適用される。
【0060】
本実施形態に係る境界検出用パターンでは、注目画素Ap1、線文字画素Tg1、非線文字画素Tg2、及び近傍画素Np1の位置関係が予め規定されている。画素Dc1は、画素値が任意(Don't Care)であることを示す画素である。なお、本実施形態では、境界検出用パターンの中央に位置する画素を注目画素Ap1とする。注目画素Ap1は、非線文字画素Tg2である。近傍画素Np1は、注目画素Ap1の近傍に位置する線文字画素Tg1である。近傍画素Np1は、注目画素Ap1を基準として予め定められた距離内に位置する画素である。近傍画素Np1には、例えば、注目画素Ap1から3画素以内(本実施形態では1画素以内)に位置する画素が適用される。近傍画素Np1の画素値は、後述するように、画素値を低減する調整を行う場合に使用される。
【0061】
本実施形態において、記憶部14には、複数種類の境界検出用パターンが予め格納されている。本実施形態に係る注目画素Ap1の近傍画素Np1は、注目画素Ap1の右隣、左隣、上隣、及び下隣のいずれかに位置する画素である。すなわち、境界検出用パターンは、
図6に示すように、近傍画素Np1が注目画素Ap1の右隣、左隣、上隣、及び下隣のいずれかに位置する場合について、複数種類ずつ設けられている。なお、本実施形態は、境界検出用パターンを、近傍画素Np1が注目画素Ap1の右隣、左隣、上隣、及び下隣の各々に位置する場合について1種類ずつ設ける場合についても同様に適用される。
【0062】
本実施形態に係る検出部32は、上記の各隣接方向毎に複数種類ずつの境界検出用パターンを選択的に用いて、ラスタ画像に対してパターンマッチングを行う。例えば、近傍画素Np1の位置が注目画素Ap1の右隣、左隣、上隣、及び下隣に位置する全てのパターンを用いてもよいし、近傍画素Np1が注目画素Ap1の右隣及び下隣に位置するパターンのみを用いてもよい。このような境界検出用パターンの使い分けにより、後述の画素値調整処理において画素値を低く調整する注目画素Ap1の個数が変化する場合がある。例えば、右隣、左隣、上隣、及び下隣の全てのパターンを用いた場合のほうが、右隣及び下隣のパターンのみを用いた場合よりも、多くの境界が検出されるため、画素値を低く調整する注目画素Ap1の個数が増加する場合がある。
【0063】
本実施形態に係る検出部32は、
図5に示す領域40内の画素の配置パターンが、
図6に示す境界検出用パターンのいずれかに合致した場合、線文字画素Tg1と非線文字画素Tg2との境界が存在すると判定する。ここで、領域40内の画素の配置パターンと境界検出用パターンとが合致する場合とは、線文字画素Tg1と非線文字画素Tg2との境界が検出され、かつ、注目画素Ap1が非線文字画素Tg2である場合である。一方、領域40内の画素の配置パターンが、
図6に示す境界検出用パターンのいずれにも合致しない場合、線文字画素Tg1と非線文字画素Tg2との境界は存在しないと判定する。
【0064】
次に、本実施形態に係る画像形成装置10Aにより注目画素Ap1の画素値を低減する場合の画素値調整処理について説明する。
【0065】
本実施形態に係る調整部34は、検出部32によるパターンマッチングにより、
図6に示す境界検出用パターンのいずれかが合致した場合、注目画素Ap1が中間調画素(中間調の画素値を持つ画素)か否かを判定し、かつ、近傍画素Np1が黒画素か否かを判定する。具体的には、注目画素Ap1の画素値が第1閾値以上でかつ第2閾値未満であるか否かを判定する。第1閾値は、一例として、最大画素値の20%の値であり、第2閾値は、一例として、最大画素値の80%の値である。最大画素値を例えば255とした場合、第1閾値は51となり、第2閾値は204となる。本実施形態では、51以上204未満の画素値を持つ画素を中間調画素とする。一方、近傍画素値Np1の画素値が第3閾値以上であるか否かを判定する。第3閾値は、第2閾値以上であればよく、第2閾値と同一でもよいし、異なっていてもよい。第3閾値は、一例として、最大画素値の80%の値である。最大画素値を例えば255とした場合、第3閾値は204となる。本実施形態では、204以上の画素値を持つ画素を黒画素とする。
【0066】
調整部34は、注目画素Ap1の画素値が第1閾値以上でかつ第2閾値未満であり、近傍画素Np1の画素値が第3閾値以上である場合に、注目画素Ap1の画素値を低減する調整を行う。この調整として、例えば、注目画素Ap1の画素値に1未満の調整係数を乗じる。調整係数の値は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、一例として、0.9が適用される。この場合、注目画素Ap1の画素値が例えば179(255の70%の値)であれば、調整後の画素値は、179×0.9=161、に低減される。
なお、全ての注目画素に対して、一律に同じ調整係数(例えば、0.9)を乗じるのではなく、注目画素の画素値に応じて、異なる調整係数を乗ずることとしても良い。
また、調整係数を乗じることに代えて、
図7に示すルックアップテーブルを用いてもよい。
【0067】
図7は、第1の実施形態に係るルックアップテーブルの一例を示す模式図である。
図7に示すように、このルックアップテーブルでは、注目画素Ap1の画素値と、注目画素Ap1の画素値よりも小さい調整後の画素値(以下、「調整後画素値」という。)とが予め対応付けられている。
【0068】
図7に示すルックアップテーブルは、一例として、記憶部14に格納されている。
【0069】
この場合、調整部34は、注目画素Ap1の画素値を低減する調整を、
図7に示すルックアップテーブルを用いて行う。つまり、調整部34は、注目画素Ap1の画素値に基づいて、
図7に示すルックアップテーブルを参照し、調整後画素値を取得する。そして、調整部34は、注目画素Ap1の画素値を、取得した調整後画素値に置き換える。
【0070】
なお、上記では、線や文字が太くなりやすい領域をより適切に把握するため、近傍画素Np1が黒画素か否かを判定したが、当該判定を行わなくてもよい。この場合、調整部34は、注目画素Ap1の画素値が第1閾値以上でかつ第2閾値未満である場合には、近傍画素Np1の画素値が第3閾値以上であるか否かに係らず、注目画素Ap1の画素値を低減する調整を行う。この実施態様でも、中間調の背景領域が線又は文字の太さへ与える影響を考慮しない場合と比較して、線又は文字が太く印刷されることが抑制される。
【0071】
ここで、一例として、ある1つの文字のみの画像を想定する。当該画像は、文字の背景領域が全て中間調画素で構成されているものとする。この場合、本実施形態に係る画素値調整処理により、文字を構成する線文字画素と接する中間調画素の画素値は低減されるが、線文字画素と接していない中間調画素の画素値は低減されない。このため、文字の太さが太くなることを十分に抑制できないことも考えられる。そこで、画素値を低減する調整を行った注目画素Ap1に隣接し、かつ、線文字画素との境界に沿っていない中間調画素に対しても、当該中間調画素の画素値を低減する調整を行うようにしてもよい。
【0072】
図8は、第1の実施形態に係る画素値調整処理の実行前後における帯電プロファイルの一例を示す図である。
【0073】
図8に示すように、横軸に、白画素領域、中間調画素領域、及び黒画素領域を配置する。白画素領域とは、複数の白画素からなる領域である。中間調画素領域とは、複数の中間調画素からなる領域である。黒画素領域とは、複数の黒画素からなる領域である。なお、本実施形態では、画素値が0以上51未満の画素を白画素とし、画素値が51以上204未満の画素を中間調画素とし、画素値が204以上255以下の画素を黒画素とする。縦軸は、各画素領域の画素値に応じたトナー帯電量を示す。図中の実線は、理想的な帯電プロファイルを示し、図中の点線は、実際の帯電プロファイルを示す。
【0074】
図8に示す画素値調整前では、中間調画素領域と黒画素領域との境界において、実際の帯電プロファイル(点線)の傾きが緩やかになっており、理想的な帯電プロファイル(実線)との乖離が大きくなっている。このため、当該境界が識別され難く、画像における線又は文字の太さが太く視認され易い。これに対して、当該境界に位置する中間調画素である注目画素の画素値を低減した画素値調整後では、実際の帯電プロファイル(点線)の傾きが急になっており、理想的な帯電プロファイル(点線)との乖離が比較的小さくなっている。このため、当該境界が識別され易くなり、画像における線又は文字の太さが太く視認されることが抑制される。
【0075】
次に、
図9を参照して、第1の実施形態に係る画像形成装置10Aの作用を説明する。なお、
図9は、第1の実施形態に係る画像処理プログラム14Aの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0076】
まず、画像形成装置10Aの画像処理に関するメニュー画面(図示省略)において、ユーザの操作により、例えば、「線文字太さ調整」の項目が選択され、実行が指示されると、画像処理プログラム14Aが起動され、以下の各ステップを実行する。
【0077】
図9のステップ100では、ラスタライズ部30が、上述の
図3を参照して説明したように、ベクタ画像及びオブジェクト情報の入力を受け付ける。
【0078】
ステップ102では、ラスタライズ部30が、上述の
図3を参照して説明したように、オブジェクト情報を用いて、ベクタ画像をラスタライズしてラスタ画像を生成する。
【0079】
ステップ104では、ラスタライズ部30が、上述の
図3を参照して説明したように、オブジェクト情報に基づいて、ラスタ画像の各画素に対して、線文字タグ及び非線文字タグのいずれか一方を割り当てる。
【0080】
ステップ106では、検出部32が、ラスタ画像のM画素目(M=1以上m以下:mはラスタ画像の全画素数)を注目画素Ap1として含む領域40(
図5も参照)に対して、
図6に示す境界検出用パターンを用いてパターンマッチングを行う。なお、Mの初期値は「1」に設定されているものとする。
【0081】
ステップ108では、検出部32が、ステップ106でのパターンマッチングの結果、注目画素Ap1を含む領域40の画素の配置パターンが、複数種類の境界検出用パターンのいずれかと合致したか否かを判定する。合致したと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ110に移行し、合致しないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ118に移行する。
【0082】
ステップ110では、調整部34が、ステップ108の処理により合致した境界検出用パターンに基づいて、ラスタ画像において、注目画素Ap1に対応する近傍画素Np1の位置を特定する。つまり、近傍画素Np1が、注目画素Ap1の左隣、右隣、上隣、及び下隣のいずれに位置しているかを特定する。
【0083】
ステップ112では、調整部34が、注目画素Ap1の画素値が第1閾値以上でかつ第2閾値未満であるか否かを判定する。注目画素Ap1の画素値が第1閾値以上でかつ第2閾値未満であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ114に移行する。一方、注目画素Ap1の画素値が第1閾値以上でかつ第2閾値未満ではないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ118に移行する。
【0084】
ステップ114では、調整部34が、近傍画素Np1の画素値が第3閾値以上であるか否かを判定する。近傍画素Np1の画素値が第3閾値以上であると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ116に移行する。一方、近傍画素Np1の画素値が第3閾値未満であると判定した場合(否定判定の場合)、ステップ118に移行する。
【0085】
ステップ116では、調整部34が、注目画素Ap1の画素値を低減する調整を行う。この調整としては、上述したように、注目画素Ap1の画素値に1未満の調整係数を乗じてもよいし、
図7に示すルックアップテーブルを用いてもよい。
【0086】
ステップ118では、調整部34が、ラスタ画像に含まれる全ての画素について処理が終了したか否かを判定する。全ての画素について処理が終了したと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ120に移行する。一方、全ての画素について処理が終了していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ106に戻り、ラスタ画像のM画素目(Mを1つだけインクリメント)を注目画素Ap1として処理を繰り返す。
【0087】
ステップ120では、調整部34が、画素値を低減する調整を行った画像を画像形成部20に出力し、上記画像処理プログラム14Aによる一連の処理を終了する。
【0088】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、注目画素Ap1の画素値を低減する調整を行った。これに対して、本実施形態では、近傍画素Np1の画素値を低減する調整を行う。以下、本実施形態に係る画像形成装置10Bにより近傍画素Np1の画素値を低減する場合の画素値調整処理について、
図10を参照して説明する。
【0089】
図10は、第2の実施形態に係る画像形成装置10Bの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図10に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10Bは、ラスタライズ部30、検出部32、及び調整部36を備える。なお、同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0090】
本実施形態に係る調整部36は、注目画素Ap1の画素値が第1閾値以上でかつ第2閾値未満であり、近傍画素Np1の画素値が第3閾値以上である場合に、近傍画素Np1の画素値を低減する調整を行う。この調整として、例えば、近傍画素Np1の画素値に1未満の調整係数を乗じる。調整係数の値は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、一例として、0.9が適用される。この場合、近傍画素Np1の画素値が例えば255(最大画素値)であれば、調整後画素値は、255×0.9=230、に低減される。 なお、全ての近傍画素に対して、一律に同じ調整係数(例えば、0.9)を乗じるのではなく、近傍画素の画素値に応じて、異なる調整係数を乗ずることとしても良い。
また、調整係数を乗じることに代えて、
図11に示すルックアップテーブルを用いてもよい。
【0091】
図11は、第2の実施形態に係るルックアップテーブルの一例を示す模式図である。
図11に示すように、このルックアップテーブルでは、近傍画素Np1の画素値と、近傍画素Np1の画素値よりも小さい調整後画素値とが予め対応付けられている。
【0092】
図11に示すルックアップテーブルは、一例として、記憶部14に格納されている。
【0093】
この場合、調整部36は、近傍画素Np1の画素値を低減する調整を、
図11に示すルックアップテーブルを用いて行う。つまり、調整部36は、近傍画素Np1の画素値に基づいて、
図11に示すルックアップテーブルを参照し、調整後画素値を取得する。そして、調整部36は、近傍画素Np1の画素値を、取得した調整後画素値に置き換える。
【0094】
本実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様に、画像における線又は文字の太さが太く視認されることが抑制される。
【0095】
次に、
図12を参照して、第2の実施形態に係る画像形成装置10Bの作用を説明する。なお、
図12は、第2の実施形態に係る画像処理プログラム14Aの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0096】
なお、
図12において、
図9に示す各ステップと同一のステップには同一の符号を付し、これら各ステップについての繰り返しの説明は省略する。以下、異なるステップ117についてのみ説明する。
【0097】
図12のステップ117では、調整部34が、近傍画素Np1の画素値を低減する調整を行う。この調整としては、上述したように、近傍画素Np1の画素値に1未満の調整係数を乗じてもよいし、
図11に示すルックアップテーブルを用いてもよい。
【0098】
なお、上記第1の実施形態では、注目画素Ap1の画素値を低減する調整を行う場合について説明し、上記第2の実施形態では、近傍画素Np1の画素値を低減する調整を行う場合について説明したが、実施形態はこれらに限定されない。実施形態としては、注目画素Ap1の画素値を低減する調整、及び、近傍画素Np1の画素値を低減する調整の双方を行うようにしてもよい。
【0099】
[第3の実施形態]
上記第1の実施形態では、線文字タグ及び非線文字タグの2種類のタグを用いて、線と文字とを区別せずに画素値調整処理を行った。これに対して、本実施形態では、線タグ、文字タグ、非線タグ、及び非文字タグの4種類のタグを用いて、線と文字とを区別して画素値調整処理を行う。
【0100】
図13は、第3の実施形態に係る画像形成装置10Cの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図13に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10Cは、ラスタライズ部50、検出部52、及び調整部54を備える。
【0101】
図14は、第3の実施形態に係る画像形成装置10Cによるラスタライズ処理の一例を説明するための模式図である。
【0102】
本実施形態に係るラスタライズ部50は、
図14に示すように、線及び文字を含むベクタ画像と共に、ベクタ画像のオブジェクト情報の入力を受け付ける。ラスタライズ部50は、第1の実施形態と同様に、オブジェクト情報に基づいて、ベクタ画像をラスタライズしてラスタ画像を生成する。
【0103】
本実施形態において、線文字タグは、線タグ及び文字タグを含み、非線文字タグは、非線タグ及び非文字タグを含む。ラスタライズ部50は、上記のオブジェクト情報に基づいて、ラスタ画像の各画素に対して、線タグ、文字タグ、非線タグ、及び非文字タグのいずれか1つを割り当てる。線タグは、画素が線の一部であることを示すタグである。文字タグは、画素が文字の一部であることを示すタグである。非線タグは、画素が非線であることを示すタグである。非文字タグは、画素が非文字であることを示すタグである。
【0104】
本実施形態では、
図14に示すように、線タグが割り当てられた画素を線画素Tg3とし、非線タグが割り当てられた画素を非線画素Tg5として区別する。同様に、文字タグが割り当てられた画素を文字画素Tg4とし、非文字タグが割り当てられた画素を非文字画素Tg6として区別する。但し、非線画素Tg5と非文字画素Tg6とは同一の画素である。本実施形態に係るラスタライズ部50は、割り当てた結果として、ラスタ画像の各画素に対応付けて、線タグ、文字タグ、非線タグ、及び非文字タグを区別するための2ビットの情報を記憶部14に記憶する。例えば、当該情報が「00」であれば、線タグが割り当てられていることを示し、当該情報が「01」であれば、文字タグが割り当てられていることを示す。同様に、当該情報が「10」であれば、非線タグが割り当てられていることを示し、当該情報が「11」であれば、非文字タグが割り当てられていることを示す。
【0105】
本実施形態に係る検出部52は、上述の
図5を参照して説明したように、注目画素Ap1を含む領域40毎に、線画素Tg3と非線画素Tg5との境界を検出する。但し、
図5に示す線文字画素Tg1を線画素Tg3と読み替え、非線文字画素Tg2を非線画素Tg5と読み替える。同様に、検出部52は、注目画素Ap1を含む領域40毎に、文字画素Tg4と非文字画素Tg6との境界を検出する。但し、
図5に示す線文字画素Tg1を文字画素Tg4と読み替え、非線文字画素Tg2を非文字画素Tg6と読み替える。
【0106】
本実施形態に係る境界検出処理には、線検出の場合及び文字検出の場合の各々に対して、第1の実施形態と同様に、
図6に示す境界検出用パターンを用いたバターンマッチングが適用される。
【0107】
本実施形態に係る調整部54は、線検出の場合のパターンマッチングにより、
図6に示す境界検出用パターンのいずれかが合致した場合、注目画素Ap1が中間調画素か否かを判定し、かつ、近傍画素Np1が黒画素か否かを判定する。具体的には、注目画素Ap1の画素値が第1閾値以上でかつ第2閾値未満であるか否かを判定し、近傍画素値Np1の画素値が第3閾値以上であるか否かを判定する。そして、調整部54は、注目画素Ap1の画素値が第1閾値以上でかつ第2閾値未満であり、近傍画素Np1の画素値が第3閾値以上である場合に、注目画素Ap1の画素値を低減する調整を行う。この場合、注目画素Ap1は、非線画素Tg5であり、近傍画素Np1は、線画素Tg3である。
【0108】
同様に、調整部54は、文字検出の場合のパターンマッチングにより、
図6に示す境界検出用パターンのいずれかが合致した場合、注目画素Ap1が中間調画素か否かを判定し、かつ、近傍画素Np1が黒画素か否かを判定する。具体的には、注目画素Ap1の画素値が第1閾値以上でかつ第2閾値未満であるか否かを判定し、近傍画素値Np1の画素値が第3閾値以上であるか否かを判定する。そして、調整部54は、注目画素Ap1の画素値が第1閾値以上でかつ第2閾値未満であり、近傍画素Np1の画素値が第3閾値以上である場合に、注目画素Ap1の画素値を低減する調整を行う。この場合、注目画素Ap1は、非文字画素Tg6であり、近傍画素Np1は、文字画素Tg4である。
【0109】
以上、実施形態として画像処理装置及び画像形成装置を例示して説明した。実施形態は、画像処理装置又は画像形成装置が備える各部の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムの形態としてもよい。実施形態は、このプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体の形態としてもよい。
【0110】
その他、上記実施形態で説明した画像処理装置又は画像形成装置の構成は、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよい。
【0111】
また、上記実施形態で説明したプログラムの処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、プログラムを実行することにより、実施形態に係る処理がコンピュータを利用してソフトウェア構成により実現される場合について説明したが、これに限らない。実施形態は、例えば、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現してもよい。