特許第6935861号(P6935861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6935861
(24)【登録日】2021年8月30日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】貼着部材
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/29 20180101AFI20210906BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   C09J7/29
   B32B27/00 M
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-508393(P2019-508393)
(86)(22)【出願日】2017年3月28日
(86)【国際出願番号】JP2017012685
(87)【国際公開番号】WO2018179098
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2020年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】392004945
【氏名又は名称】株式会社ナム
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸佳
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−252095(JP,A)
【文献】 特開平04−045184(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00279579(EP,A1)
【文献】 特開2010−13648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼着部材を剥離するときに変形する伸縮性及び弾力性を有する0.5〜20mmの厚みの発泡樹脂からなる基材層と、該基材層の裏面側に順に設けられた貼着部材を剥離するときに変形する柔軟性及び伸縮性を有する0.01〜0.1mmの厚みの非発泡樹脂からなる合成樹脂層及び自着性樹脂層と、前記基材層の表面側に順に積層した、貼着部材を剥離するときに貼着部材が変形することを防止するように機能する非伸縮性の表面側基材層及び自着性樹脂層とを含むことを特徴とする貼着部材。
【請求項2】
貼着部材を剥離するときに変形する伸縮性及び弾力性を有する0.5〜20mmの厚みの発泡樹脂からなる基材層と、該基材層の裏面側に順に設けられた貼着部材を剥離するときに変形する柔軟性及び伸縮性を有する0.5〜4mmの厚みの発泡倍率が5〜25倍の発泡樹脂からなる合成樹脂層及び自着性樹脂層と、前記基材層の表面側に順に積層した、貼着部材を剥離するときに貼着部材が変形することを防止するように機能する非伸縮性の表面側基材層及び自着性樹脂層とを含むことを特徴とする貼着部材。
【請求項3】
前記基材層の表面側の自着性樹脂層の表面側に透明材料からなる保護層を設けてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の貼着部材。
【請求項4】
前記表面側基材層の表面層側に設ける自着性樹脂層の表面が、凹凸面からなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の貼着部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼着部材に関し、例えば、室内の壁紙の表面に貼着して用いられるシート形状、パネル形状等の任意形状をした貼着部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、貼着部材には、その用途に応じて、基材層に、紙、セロファン、合成樹脂フィルム、発泡樹脂等の各種シート素材を用い、基材層の裏面側に自着性樹脂層を設けたものが汎用されている。
【0003】
ところで、従来の貼着部材は、大きく以下のものに分類される。
(1)伸縮性がほとんどないシート素材からなる基材層の裏面側に自着性樹脂層を設けたもの
(2)独立気泡発泡樹脂のシート素材からなる基材層の裏面側に自着性樹脂層を設けたもの
(3)連続気泡発泡樹脂のシート素材からなる基材層の裏面側に自着性樹脂層を設けたもの
【0004】
そして、上記従来の貼着部材は、以下の特性を有している。
(1)の貼着部材は、一般的な接着テープ等が該当するが、貼着する面に凹凸がある場合はフィットしにくく、また、基材層の伸縮性がほとんどないため、例えば、壁紙のように貼着する面が弱い部材からなる場合には、剥離する際に基材層の剥離力が自着性樹脂層を介して貼着する面に作用しやすく、貼着する面に破壊や汚染が生じやすい。
(2)の貼着部材は、多少のクッション性(柔軟性)があり、貼着する面に凹凸がある場合でもフィットしやすい利点がある反面、貼着する面に凹凸がない場合は接着力が強くなりすぎて、剥離する際に基材層が破壊して貼着する面に汚染が生じやすい(これに対処するために、自着性樹脂層の接着力を弱く設定すると、貼着する面に凹凸がある場合に剥がれやすくなる。)。
(3)の貼着部材は、貼着する面に大きな凹凸がある場合でもフィットしやすい利点がある反面、貼着する際に圧力が加わると、自着性樹脂層の樹脂が連続気泡発泡樹脂からなる基材層の内部に入り込んでいくことがあり、これによって基材表面が変形し、同時に接着面も変形するため接着力が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の貼着部材の有する問題点に鑑み、以下の特性をすべて備えた貼着部材を提供することを目的とする。
・貼着する面に凹凸がある場合でもフィットしやすい。
・壁紙のように貼着する面が弱い部材からなる場合や貼着する面に凹凸がなく接着力が強くなる場合も、スムーズに問題なく剥離することができ、貼着する面に破壊や汚染が生じない。
・貼着、剥離を繰り返して行うことができ、その場合でも、貼着部材の形状が変形しにくい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本第1発明の貼着部材は、伸縮性及び樹脂含浸性を有する連続気泡性発泡樹脂及び不織布のいずれかからなる基材層と、該基材層の裏面側に設けられた自着性樹脂層と、基材層の自着性樹脂層との界面から所定厚さに亘って含浸、硬化させた状態で伸縮性を維持する樹脂と、前記基材層の表面側に順に設けられた非伸縮性の表面側基材層及び自着性樹脂層とを含むことを特徴とする。
【0007】
また、同じ目的を達成するため、本第2発明の貼着部材は、伸縮性及び弾力性を有する発泡樹脂からなる基材層と、該基材層の裏面側に順に設けられた柔軟性及び伸縮性を有する合成樹脂層及び自着性樹脂層と、前記基材層の表面側に順に積層した、非伸縮性の表面側基材層及び自着性樹脂層とを含むことを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記基材層の表面側の自着性樹脂層の表面側に透明材料からなる保護層を設けてなるようにすることができる。
【0009】
また、前記表面側基材層の表面層側に設ける自着性樹脂層の表面が、凹凸面からなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本第1及び第2発明の貼着部材によれば、以下の特性をすべて備えた貼着部材を提供することができる。
・伸縮性(平面内及び厚さ方向)及び樹脂含浸性を有する連続気泡性発泡樹脂及び不織布のいずれかからなる基材層や、伸縮性(平面内及び厚さ方向)及び弾力性を有する発泡樹脂からなる基材層を用いることから、貼着する面に凹凸がある場合でもフィットしやすい。
・伸縮性(平面内及び厚さ方向)を有する基材層が、剥離するときに変形しながら、自着性樹脂層による接着面が徐々に剥がれるように作用するため、壁紙のように貼着する面が弱い部材からなる場合や貼着する面に凹凸がなく接着力が強くなる場合も、スムーズに問題なく剥離することができ、貼着する面に破壊や汚染が生じない。
・基材層の自着性樹脂層との界面から所定厚さに亘って設けた伸縮性を維持する樹脂や基材層の裏面側に設けた柔軟性及び伸縮性を有する合成樹脂層が、貼着する際に圧力が加わることによって自着性樹脂層の樹脂が基材層の内部に入り込んで接着力が低下することを防止し、非伸縮性の表面側基材層によって、剥離する際に貼着部材が変形することを防止できることと相俟って、貼着・剥離を繰り返して行うことができる。
【0011】
また、前記基材層の表面側の自着性樹脂層の表面側に透明材料からなる保護層を設けてなるようにすることにより、基材層の表面側の自着性樹脂層と透明材料からなる保護層との間に写真等の掲示物を配置して、掲示用パネル等として用いることができる。
【0012】
また、前記表面側基材層の表面層側に設ける自着性樹脂層の表面が、凹凸面からなるようにすることにより、自着性樹脂層の界面で空気の流動性を確保し、空気だまりができて外観を悪くすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の貼着部材の第1実施例を示す断面構造図である。
図2】本発明の貼着部材の第2実施例を示す断面構造図である。
図3】本発明の貼着部材の第3実施例を示す断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の貼着部材の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に、本発明の貼着部材の第1実施例を示す。
この貼着部材は、伸縮性及び樹脂含浸性を有する基材層1Aと、この基材層1Aの裏面側に設けられた自着性樹脂層2とを含み、基材層1Aの自着性樹脂層2との界面から所定厚さに亘って含浸、硬化させた状態で伸縮性を維持する樹脂3Aを設け、さらに、基材層1Aの表面側に順に設けられた非伸縮性の表面側基材層5及び自着性樹脂層8とを含むものである。
なお、自着性樹脂層2の裏面側(及び自着性樹脂層8の表面側)には、必要に応じて、離型紙や離型フィルム等からなる離型層4(自着性樹脂層8の表面側の離型層は図示省略。)を設けることができる。
【0016】
この場合において、基材層1Aには、伸縮性(平面内及び厚さ方向)を有する、特に、厚さ方向に十分な伸縮性を有する、連続気泡性発泡樹脂層及び不織布のいずれかを好適に用いることができる。
このうち、連続気泡性発泡樹脂層は、0.5〜20mm、好ましくは、2〜5mmの厚みのポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、アクリル等の合成樹脂からなる連続気泡性発泡樹脂で構成することができる。
また、不織布としては、フェルト状の不織布を好適に用いることができる。
【0017】
また、自着性樹脂層2、8には、従来この種の貼着部材において汎用されている、エラストマ類、粘着剤類のいずれかを好適に用いることができる。
このうち、エラストマ類としては、ゴム系、ウレタン系、オレフィン系、スチレン系、塩化ビニル系、アミド系等のゴム系や合成樹脂系のエラストマ類を好適に用いることができる。
また、粘着剤類としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系、合成ゴム系等の合成樹脂系やゴム系の粘着剤類を好適に用いることができる。
【0018】
そして、自着性樹脂層8(必要に応じて、自着性樹脂層2)は、表面が凹凸面(エンボス形状や線状)からなるようにすることが好ましい。
具体的には、表面側基材層5の表面側に設けた表層7の表面側の面を凹凸面(エンボス形状や線状)に形成し、自着性樹脂層8の表面が凹凸面となるようにしたり、後述の他の実施例(図2)に示すように、平面に自着性樹脂層8をエンボス形状や線状に空白部分が生じるように形成することで、自着性樹脂層8の表面のみが凹凸面となるようにすることができる。
これにより、自着性樹脂層8(必要に応じて、自着性樹脂層2)の界面で空気の流動性を確保し、空気だまりができて外観を悪くすることを防止することができる。
【0019】
ここで、表層7には、独立気泡発泡樹脂シート等の合成樹脂シート等を用いることができる。
また、基材層1Aと表面側基材層5及び表面側基材層5と表層7を積層する場合、必要に応じて、適宜の接着剤層6を介して積層するようにすることができる。
【0020】
基材層1Aの自着性樹脂層2との界面から所定厚さに亘って含浸させる樹脂3Aには、硬化させた状態で伸縮性を維持する合成樹脂を用いる。
ここで、樹脂3Aは、自着性樹脂層2と同種の合成樹脂を用いることができるが、自着性樹脂層2と異なり、貼着部材を貼着する際に圧力が加わっても、基材層1Aの内部に入り込んでいかないだけの硬度を有するものを用い、併せて、自着性樹脂層2が基材層1Aの内部に入り込んでいかないようにすることができる厚さ、具体的には、0.05〜2mm、好ましくは、0.1〜1mmの厚さに亘って基材層1Aに含浸させるようにする。
そして、樹脂3Aは、具体的には、アクリル系、ウレタン系の2液硬化型樹脂、シリコーン系、ウレタン系の湿気硬化型樹脂、接着剤系の溶剤蒸発硬化型樹脂、ポリエステルアクリレート系、エポキシ系、ウレタンアクリレート系等の紫外線硬化型樹脂、オレフィン、ウレタン、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマを好適に用いることができる。
ここで、例えば、樹脂3A及び自着性樹脂層2に2液硬化型樹脂を用いる場合は、樹脂3Aに用いる樹脂の架橋程度を、自着性樹脂層2よりも大きく設定することによって必要な特性(伸縮性を維持するようにしながら、樹脂3Aの硬度を自着性樹脂層2の硬度の数倍程度高くする。)を持たせることができる。
【0021】
樹脂3Aを基材層1Aに含浸させる方法としては、樹脂3Aの性状に合わせて、例えば、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマ等の場合は、押出機によるダイレクトコーティング方式を用いることで、液状の樹脂の場合は、ロールコーティング方式、グラビアコーティング方式、バーコーティング方式、ナイフコーティング方式等と、転写方式を併用することで、紫外線硬化型樹脂の場合は、同様の方法を用い、転写後、紫外線を照射することで、樹脂3Aを基材層1Aに含浸、硬化させることができる。
【0022】
また、樹脂3Aを含浸、硬化させた基材層1Aに自着性樹脂層2を形成する方法としては、自着性樹脂層2の性状に合わせて、樹脂3Aと同様の方式を用いることができる。
【0023】
基材層1Aの表面側に設けられる非伸縮性の表面側基材層5は、基材層1Aの表面側に、必要に応じて、接着剤層6を介して、非伸縮性・可屈曲性又は非伸縮性・非屈曲性の層を積層するようにしたものである。
これにより、基材層1Aのタテ・ヨコ方向の伸縮性は制限されるが、厚み方向の伸縮性は影響は受けない。その結果、貼着部材を剥離するときに、これらの層を積層した側の伸縮性を有する基材層1Aの過度の変形を抑制しながら、自着性樹脂層2による接着面が徐々に剥がれるように剥離することができ、壁紙のように貼着する面が弱い部材からなる場合や貼着する面に凹凸がなく接着力が強くなる場合も、よりスムーズに問題なく剥離することができ、貼着する面に破壊や汚染が生じないようにすることができる。
この場合、表面側基材層5を構成する非伸縮性・可屈曲性の材料には、合成樹脂シート(独立気泡発泡樹脂のシート素材を含む。)、厚紙、厚みのある布地、ゴム板、薄い金属板、薄い木板、薄いコルクボード等を用いることができ、また、非伸縮性・非屈曲性の材料には、厚みのある合成樹脂板、厚みのある金属板、厚みのある木板、厚みのあるコルクボード、石板(装飾用の大理石の石板)、ガラス板(複合材を含む。)等を用いることができ、さらに、これらの材料を積層して用いることもできる。
【0024】
この貼着部材は、上記の基本形態を有することから、以下の特性をすべて備えた貼着部材を提供することができる。
・基材層1Aに、伸縮性(平面内及び厚さ方向)及び樹脂含浸性を有する、具体的には、連続気泡性発泡樹脂や不織布を用いることから、貼着する面に凹凸がある場合でもフィットしやすい。
・伸縮性(平面内及び厚さ方向)を有する基材層1Aが、剥離するときに変形しながら、自着性樹脂層2による接着面が徐々に剥がれるように作用するため、壁紙のように貼着する面が弱い部材からなる場合や貼着する面に凹凸がなく接着力が強くなる場合も、スムーズに問題なく剥離することができ、貼着する面に破壊や汚染が生じない。
・基材層1Aの自着性樹脂層2との界面から所定厚さに亘って設けた伸縮性を維持する樹脂3Aが、貼着する際に圧力が加わることによって自着性樹脂層2の樹脂が連続気泡発泡樹脂や不織布からなる基材層1Aの内部に入り込んで接着力が低下することを防止し、非伸縮性の表面側基材層5によって、剥離する際に貼着部材が変形することを防止できることと相俟って、貼着・剥離を繰り返して行うことができる。
【0025】
ところで、この貼着部材は、以下の形態とすることにより、種々の用途に用いることができる。
【0026】
図2に、本発明の貼着部材の第2実施例を示す。
図1に示す第1実施例の貼着部材においては、基材層1Aの自着性樹脂層2との界面から所定厚さに亘って含浸、硬化させた状態で伸縮性を維持する樹脂3Aを設けるようにしたが、この樹脂3Aに代えて、柔軟性及び伸縮性を有する合成樹脂層3Bを設けることができる。
この場合、合成樹脂層3Bには、0.01〜0.1mm、好ましくは、0.02〜0.05mmの厚みの低密度ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂やエラストマからなるフィルム層のほか、コーティング層(皮膜層)や発泡倍率が5〜25倍程度の密度が高く皮膜を有するポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル等の、0.5〜4mm、好ましくは、0.5〜2mmの厚みの合成樹脂発泡シートで構成することができる。
また、基材層1Bを構成する発泡樹脂層には、伸縮性(平面内及び厚さ方向)及び弾力性を有する発泡樹脂、より具体的には、0.5〜20mm、好ましくは、2〜5mmの厚みのポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、アクリル等の合成樹脂からなる連続気泡性発泡樹脂又は独立気泡性発泡樹脂で構成することができる。
【0027】
この貼着部材は、上記の基本形態を有することから、以下の特性をすべて備えた貼着部材を提供することができる。
・基材層1Bに、伸縮性(平面内及び厚さ方向)及び弾力性を有する発泡樹脂を用いることから、貼着する面に凹凸がある場合でもフィットしやすい。
・伸縮性(平面内及び厚さ方向)を有する基材層1Bが、剥離するときに変形しながら、自着性樹脂層2による接着面が徐々に剥がれるように作用するため、壁紙のように貼着する面が弱い部材からなる場合や貼着する面に凹凸がなく接着力が強くなる場合も、スムーズに問題なく剥離することができ、貼着する面に破壊や汚染が生じない。
・基材層1Bの裏面側に設けた柔軟性及び伸縮性を有する合成樹脂層3Bが、貼着する際に圧力が加わることによって自着性樹脂層2の樹脂が基材層1Bの内部に入り込んで接着力が低下することを防止し、非伸縮性の表面側基材層5によって、剥離する際に貼着部材が変形することを防止できることと相俟って、貼着・剥離を繰り返して行うことができる。
なお、本実施例の貼着部材のその他の構成及び作用は、上記第1実施例の貼着部材と同様である。
【0028】
図3に、本発明の貼着部材の第3実施例を示す。
図1に示す第1実施例及び図2に示す第2実施例の貼着部材においては、基材層1A、1Bの表面側の自着性樹脂層8に写真等の掲示物を配置して、掲示用パネル等として用いることができるようにしたが、図3に示すように、基材層1A、1Bの表面側の自着性樹脂層8の表面側に透明材料からなる保護層9を設けることもできる。
これにより、基材層1A、1Bの表面側の自着性樹脂層8と透明材料からなる保護層9との間に写真等の掲示物を配置して、掲示用パネル等として用いることができる。
この場合、透明材料からなる保護層9には、貼着部材の用途に応じて、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレン、塩化ビニル等の合成樹脂製のシートや板材のほか、ガラス板(複合材を含む。)を用いることができる。
なお、本実施例の貼着部材のその他の構成及び作用は、上記第1実施例及び第2実施例の貼着部材と同様である。
【0029】
次に、本発明の貼着部材のより具体的な実施例を示す。
【0030】
[例1(図1参照)]
基材層1A:連続気泡性発泡ポリウレタン(厚さ5mm)
自着性樹脂層2:ライオン・スベシャリティ・ケミカルズ社製、AS−665(再剥離粘着剤)(商品名)、コロネートL(架橋剤)(商品名)
伸縮性を維持する樹脂3A:三井化学社製、タケラックA−950及びタケネートA−4(ウレタン樹脂)(商品名)
離型層4:剥離紙、離型フィルム等
表面側基材層5:MDF製板材(中密度繊維板)(厚さ2.5mm)
接着剤層6:接着剤
表層7:発泡ポリエチレン(厚さ2mm、表面エンボス加工)
自着性樹脂層8:自着性樹脂層2と同じ
【0031】
[例2(図2(a)参照)]
基材層1B:独立気泡性発泡ポリエチレン(厚さ3mm)(積水化学工業社製、ソフトロン3003(商品名))
自着性樹脂層2:ライオン・スベシャリティ・ケミカルズ社製、AS−665(再剥離粘着剤)(商品名)、コロネートL(架橋剤)(商品名)
柔軟性及び伸縮性を有する合成樹脂層3B:低密度ポリエチレンフィルム(厚さ0.03mm)(プライムポリマー社製、エボリューSP2520(商品名))
離型層4:剥離紙、離型フィルム等
表面側基材層5:発泡ポリエチレン(厚さ2mm)の両面に、ポリエステルフィルム(厚さ0.03mm)(非伸縮性)を積層
接着剤層6:接着剤
自着性樹脂層8:自着性樹脂層2と同じ(線状に形成)
【0032】
[例3(図2(b)参照)]
基材層1B:独立気泡性発泡ポリエチレン(厚さ3mm)(積水化学工業社製、ソフトロン3003(商品名))
自着性樹脂層2:ライオン・スベシャリティ・ケミカルズ社製、AS−665(再剥離粘着剤)(商品名)、コロネートL(架橋剤)(商品名)
柔軟性及び伸縮性を有する合成樹脂層3B:低密度ポリエチレンフィルム(厚さ0.03mm)(プライムポリマー社製、エボリューSP2520(商品名))
離型層4:剥離紙、離型フィルム等
表面側基材層5:ポリエステルフィルム(厚さ0.1mm)(非伸縮性)
接着剤層6:接着剤
自着性樹脂層8:自着性樹脂層2と同じ(線状に形成)
【0033】
[例4(図3(a)参照)]
基材層1A:連続気泡性発泡ポリウレタン(厚さ5mm)
自着性樹脂層2:ライオン・スベシャリティ・ケミカルズ社製、AS−665(再剥離粘着剤)(商品名)、コロネートL(架橋剤)(商品名)
伸縮性を維持する樹脂3A:三井化学社製、タケラックA−950及びタケネートA−4(ウレタン樹脂)(商品名)
離型層4:剥離紙、離型フィルム等
表面側基材層5:MDF製板材(中密度繊維板)(厚さ2.5mm)
接着剤層6:接着剤
表層7:発泡ポリエチレン(厚さ2mm、表面エンボス加工)
自着性樹脂層8:自着性樹脂層2と同じ
保護層9:ポリエステルフィルム(厚さ0.1mm)
【0034】
[例5(図3(b)参照)]
基材層1B:独立気泡性発泡ポリエチレン(厚さ3mm)(積水化学工業社製、ソフトロン3003(商品名))
自着性樹脂層2:ライオン・スベシャリティ・ケミカルズ社製、AS−665(再剥離粘着剤)(商品名)、コロネートL(架橋剤)(商品名)
柔軟性及び伸縮性を有する合成樹脂層3B:低密度ポリエチレンフィルム(厚さ0.03mm)(プライムポリマー社製、エボリューSP2520(商品名))
離型層4:剥離紙、離型フィルム等
表面側基材層5:発泡ポリエチレン(厚さ2mm)の両面に、ポリエステルフィルム(厚さ0.03mm)(非伸縮性)を積層
接着剤層6:接着剤
自着性樹脂層8:自着性樹脂層2と同じ(線状に形成)
保護層9:ポリエステルフィルム(厚さ0.1mm)
【0035】
[例6(図3(c)参照)]
基材層1B:独立気泡性発泡ポリエチレン(厚さ3mm)(積水化学工業社製、ソフトロン3003(商品名))
自着性樹脂層2:ライオン・スベシャリティ・ケミカルズ社製、AS−665(再剥離粘着剤)(商品名)、コロネートL(架橋剤)(商品名)
柔軟性及び伸縮性を有する合成樹脂層3B:低密度ポリエチレンフィルム(厚さ0.03mm)(プライムポリマー社製、エボリューSP2520(商品名))
離型層4:剥離紙、離型フィルム等
表面側基材層5:ポリエステルフィルム(厚さ0.1mm)(非伸縮性)
接着剤層6:接着剤
自着性樹脂層8:自着性樹脂層2と同じ(線状に形成)
保護層9:ポリエステルフィルム(厚さ0.1mm)
【0036】
以上、本発明の貼着部材について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の貼着部材は、貼着する面に破壊や汚染が生じず、スムーズに問題なく剥離することができ、また、再貼着可能であることから、例えば、室内の壁紙の表面に貼着して用いられるテープ形状、シート形状、パネル形状等の任意形状をした貼着部材の用途に好適に用いることができるほか、各種貼着部材の用途に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1A 基材層
1B 基材層
2 自着性樹脂層
3A 伸縮性を維持する樹脂
3B 柔軟性及び伸縮性を有する合成樹脂層
4 離型層
5 表面側基材層
6 接着剤層
7 表層
8 自着性樹脂層
9 保護層
図1
図2
図3