特許第6935892号(P6935892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6935892OLED表示基板及びその製造方法、表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6935892
(24)【登録日】2021年8月30日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】OLED表示基板及びその製造方法、表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20210906BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20210906BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20210906BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210906BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20210906BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20210906BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H01L27/32
   H05B33/10
   H05B33/14 A
   H05B33/12 B
   H05B33/22 Z
   G09F9/30 365
   G09F9/30 337
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-544619(P2019-544619)
(86)(22)【出願日】2018年1月10日
(65)【公表番号】特表2020-525970(P2020-525970A)
(43)【公表日】2020年8月27日
(86)【国際出願番号】CN2018072084
(87)【国際公開番号】WO2019000904
(87)【国際公開日】20190103
【審査請求日】2020年8月3日
(31)【優先権主張番号】201710524515.5
(32)【優先日】2017年6月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】皇甫 魯江
(72)【発明者】
【氏名】樊 星
(72)【発明者】
【氏名】王 丹
(72)【発明者】
【氏名】許 暁偉
(72)【発明者】
【氏名】李 良堅
【審査官】 渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−207218(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0169461(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101026180(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
G09F 9/30
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/10
H05B 33/12
H05B 33/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OLED表示基板であって、
ベース基板に位置する薄膜トランジスタアレイ層と、第1電極と、複数のサブ画素領域を画定する画素画定層と、有機発光層と、第2電極とを含み、
サブ画素を取り囲む領域に反射構造が設置されており、
前記反射構造は、前記有機発光層から発せられたエスケープコーンの外の光線を反射可能であり、少なくとも一部の前記光線を前記エスケープコーンに入射させ
サブ画素を取り囲む領域に溝構造が形成されており、
前記反射構造は、前記溝構造の側壁に形成された反射層であり、
前記薄膜トランジスタアレイ層は前記サブ画素を取り囲む領域に開口が設置されており、前記開口に一部の前記画素画定層があることを特徴とするOLED表示基板。
【請求項2】
前記溝構造は前記画素画定層に形成され、
前記溝構造の深さは前記画素画定層の厚さよりも大きくないことを特徴とする請求項に記載のOLED表示基板。
【請求項3】
前記サブ画素を取り囲む領域に、前記薄膜トランジスタアレイ層と、前記薄膜トランジスタアレイ層に位置する画素画定層とが形成されており、
前記溝構造は、サブ画素を取り囲む領域の前記薄膜トランジスタアレイ層と前記画素画定層とからなる積層構造に形成され、
前記溝構造の深さは、前記画素画定層の厚さよりも大きく且つ前記画素画定層と前記薄膜トランジスタアレイ層の厚さの和よりも大きくないことを特徴とする請求項に記載のOLED表示基板。
【請求項4】
前記サブ画素を取り囲む領域に、前記薄膜トランジスタアレイ層と、前記薄膜トランジスタアレイ層に位置する画素画定層とが形成されており、
前記溝構造は、前記サブ画素を取り囲む領域の前記ベース基板と前記薄膜トランジスタアレイ層と前記画素画定層とからなる積層構造に形成され、
前記溝構造の深さは、前記薄膜トランジスタアレイ層と前記画素画定層の厚さの和よりも大きく且つ前記画素画定層と前記薄膜トランジスタアレイ層と前記ベース基板の厚さの和よりも小さいことを特徴とする請求項に記載のOLED表示基板。
【請求項5】
前記第1電極は透明電極であり、前記第2電極は反射金属電極であり、前記反射層と前記第2電極とは同じ材料を採用して作られていることを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載のOLED表示基板。
【請求項6】
前記反射層は、前記薄膜トランジスタアレイ層との間で第1角度をなす第1部分と、前記画素画定層との間で第2角度をなす第2部分とを含み、
前記第1角度と前記第2角度とは異なることを特徴とする請求項又はに記載のOLED表示基板。
【請求項7】
前記反射層は、それ自体の延長方向に垂直な断面がV字形又は台形であることを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載のOLED表示基板。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のOLED表示基板を含む表示装置。
【請求項9】
OLED表示基板の製造方法であって、
ベース基板に薄膜トランジスタアレイ層と、第1電極と、複数のサブ画素領域を画定する画素画定層と、有機発光層と、第2電極とを逐次的に形成するステップを含み、
前記製造方法は、
サブ画素を取り囲む領域の反射構造を形成するステップを更に含み、
前記反射構造は、前記有機発光層から発せられたエスケープコーンの外の光線を反射可能であり、少なくとも一部の前記光線を前記エスケープコーンに入射させ
前記薄膜トランジスタアレイ層を形成するステップは、前記サブ画素を取り囲む領域に開口を有する前記薄膜トランジスタアレイ層を形成するステップを更に含み、
前記開口に一部の前記画素画定層があることを特徴とするOLED表示基板の製造方法。
【請求項10】
前記反射構造を形成するステップは、
前記サブ画素を取り囲む領域の溝構造を形成し、前記溝構造の側壁に反射層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項に記載のOLED表示基板の製造方法。
【請求項11】
前記反射層を形成するステップは、
一回工程を通じて前記第2電極及び前記反射層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載のOLED表示基板の製造方法。
【請求項12】
前記反射層を形成するステップは、
前記薄膜トランジスタアレイ層との間で第1角度をなす反射層の第1部分と、前記画素画定層との間で第2角度をなす反射層の第2部分とを形成するステップを含み、
前記第1角度と前記第2角度とは異なることを特徴とする請求項10に記載のOLED表示基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月30日に中国特許庁に提出された中国特許出願第201710524515.5号の優先権を主張し、その全ての内容が援用により本出願に取り込まれる。
【0002】
本開示は、表示技術に関し、特に、OLED表示基板及びその製造方法、表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
OLED(有機電界発光ダイオード)素子を構成する各膜層は、有機発光(organic Electroluminescence、OEL)層、透明電極及び基板等の材料膜層を含み、これらの膜層の屈折率はいずれも空気の屈折率よりも高い。全反射が原因で、有機発光層から発せられた光線の中で、設定出射方向において各界面の入射角が全反射角より小さい部分のみが直接出射されることができる。ある一つの発光ポイント(又はセカンダリの光源ポイント)は、各膜層界面から出射された光線方向の角度を経て一つの錐形を構成できるが、この錐形はエスケープコーン(escape cone)と称される。ボトムエミッション(Bottom Emission、BE)モードのOLED素子において、光線方向がエスケープコーン以内にある光線は直接出射でき、光線方向がエスケープコーン以外にある部分は異なる界面で全反射が起こり、ウェーブガイド(Wave Guide)モードで相応する膜層を伝送される。これらのウェーブガイドモードの光線の比率は通常出射された光線より大きく、OLED素子の出光効率の向上に深刻な影響を与えている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、OLED表示装置の出光効率を向上させることのできるOLED表示基板及びその製造方法、表示装置を提供する。
【0005】
一方面において、本開示は、少なくとも一つの実施例においてOLED表示基板を提供する。前記OLED表示基板は、ベース基板に位置する薄膜トランジスタアレイ層と、第1電極と、複数のサブ画素領域を画定する画素画定層と、有機発光層と、第2電極とを含み、サブ画素を取り囲む領域に反射構造が設置されており、前記反射構造は、前記有機発光層から発せられたエスケープコーンの外の光線を反射可能であり、少なくとも一部の前記光線を前記エスケープコーンに入射させる。
【0006】
幾つかの選択可能な実施例において、サブ画素を取り囲む領域に溝構造が形成されており、前記反射構造は、前記溝構造の側壁に形成された反射層である。
【0007】
幾つかの選択可能な実施例において、前記溝構造は前記画素画定層に形成され、前記溝構造の深さは前記画素画定層の厚さよりも大きくない。
【0008】
幾つかの選択可能な実施例において、前記サブ画素を取り囲む領域に前記薄膜トランジスタアレイ層と、前記薄膜トランジスタアレイ層に位置する画素画定層とが形成されており、前記溝構造は、サブ画素を取り囲む領域の前記薄膜トランジスタアレイ層と前記画素画定層とからなる積層構造に形成され、前記溝構造の深さは、前記画素画定層の厚さよりも大きく且つ前記画素画定層と前記薄膜トランジスタアレイ層の厚さの和よりも大きくない。
【0009】
幾つかの選択可能な実施例において、前記サブ画素を取り囲む領域に前記薄膜トランジスタアレイ層と、前記薄膜トランジスタアレイ層に位置する画素画定層とが形成されており、前記溝構造は、前記サブ画素を取り囲む領域の前記ベース基板と前記薄膜トランジスタアレイ層と前記画素画定層とからなる積層構造に形成され、前記溝構造の深さは、前記薄膜トランジスタアレイ層と前記画素画定層の厚さの和よりも大きく且つ前記画素画定層と前記薄膜トランジスタアレイ層と前記ベース基板の厚さの和よりも小さい。
【0010】
幾つかの選択可能な実施例において、前記第1電極は透明電極であり、前記第2電極は反射金属電極であり、前記反射層と前記第2電極とは同じ材料を採用して作られている。
【0011】
幾つかの選択可能な実施例において、前記薄膜トランジスタアレイ層は前記サブ画素を取り囲む領域に開口が設置されており、前記開口に一部の前記画素画定層がある。
【0012】
幾つかの選択可能な実施例において、前記反射層は、前記薄膜トランジスタアレイ層との間で第1角度をなす第1部分と、前記画素画定層との間で第2角度をなす第2部分とを含み、前記第1角度と前記第2角度とは異なる。
【0013】
幾つかの選択可能な実施例において、前記反射層は、それ自体の延長方向に垂直な断面がV字形又は台形である。
【0014】
本開示の実施例は、上記のような表示基板を含む表示装置を更に提供する。
【0015】
本開示の実施例は、OLED表示基板の製造方法を更に提供する。前記OLED表示基板の製造方法は、ベース基板に薄膜トランジスタアレイ層と、第1電極と、複数のサブ画素領域を画定する画素画定層と、有機発光層と、第2電極とを逐次的に形成するステップを含み、前記方法は、サブ画素を取り囲む領域の反射構造を形成するステップを更に含み、前記反射構造は、前記有機発光層から発せられたエスケープコーンの外の光線を反射可能であり、少なくとも一部の前記光線を前記エスケープコーンに入射させる。
【0016】
幾つかの選択可能な実施例において、前記薄膜トランジスタアレイ層を形成するステップは、前記サブ画素を取り囲む領域に開口を有する前記薄膜トランジスタアレイ層を形成するステップを更に含む。
【0017】
幾つかの選択可能な実施例において、前記反射構造を形成するステップは、前記サブ画素を取り囲む領域の溝構造を形成し、前記溝構造の側壁に反射層を形成するステップを含む。
【0018】
幾つかの選択可能な実施例において、前記反射層を形成するステップは、一回工程を通じて前記第2電極及び前記反射層を形成するステップを含む。
【0019】
幾つかの選択可能な実施例において、前記反射層を形成するステップは、前記薄膜トランジスタアレイ層との間で第1角度をなす反射層の第1部分と、前記画素画定層との間で第2角度をなす反射層の第2部分とを形成するステップを含み、前記第1角度と前記第2角度とは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ボトムエミッション型OLED表示素子から発せられた光の損耗の模式図である。
図2】ボトムエミッション型OLED表示素子から発せられた光が内部を伝播されるのを示す模式図である。
図3】ボトムエミッション型OLED表示素子から発せられた光の伝播及び消散の模式図である。
図4】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の構造の模式図及び光線伝播の模式図である。
図5】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の構造の模式図及び光線伝播の模式図である。
図6】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の製造フローの模式図である。
図7】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の製造フローの模式図である。
図8】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の構造の模式図及び光線伝播の模式図である。
図9】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の製造フローの模式図である。
図10】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の製造フローの模式図である。
図11】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の製造フローの模式図である。
図12】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の製造フローの模式図である。
図13】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の製造フローの模式図である。
図14】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の製造フローの模式図である。
図15】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の製造フローの模式図である。
図16】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の製造フローの模式図である。
図17】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の構造の模式図及び光線伝播の模式図である。
図18】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の製造フローの模式図である。
図19】本開示の幾つかの選択可能な実施例に係るOLED表示基板の構造の模式図及び光線伝播の模式図である。
図20】本開示の別の実施形態に係るOLED表示基板の構造の模式図及び光線伝播の模式図である。
図21】本開示の別の実施形態に係るOLED表示基板の構造の模式図及び光線伝播の模式図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ベース基板
2 透明電極
3 有機発光層
4 反射金属電極
5 薄膜トランジスタアレイ層
6 画素画定層
7 反射層
A、A1、A2、A3 エスケープコーン
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の実施例が解決しようとする技術課題、技術方案及び利点をより明らかにするために、以下では、添付図面及び具体的な実施例と併せて詳細に記述することにする。
【0023】
BEモードのOLED表示素子の関連膜層の構造は相対的に複雑であるが、まず、画素の周辺には、画素発光領域を画定する画素画定層(Pixel Define Layer、PDL)がある。PDLの対応領域は、電流が通過しないため、発光しない。PDL材料の屈折率は、通常OELD発光材料に近いため、有機発光層が発生した光は、有機発光層及び透明電極膜層の端末でPDL層に入射して伝播される。次に、OLED画素構造に薄膜トランジスタアレイ層が更に含まれ、有機発光層が発生した光は、さらに薄膜トランジスタアレイ層に入射して伝播されることがある。これらの光線は、PDL層及び薄膜トランジスタアレイ層の伝送過程で損耗が発生し、有効表示出射光線になることができない。図1及び図2から分かるように、有機発光層3から発せられた光は、さらにベース基板1と空気の間の界面で反射が起こり、さらに透明電極2とベース基板1の間の界面で反射が起こって、さらに有効表示出射光線を低減する。
【0024】
図2及び図3に示すように、BEモードのOLED表示素子の有機発光層3から発せられた光線の中で、設定出光方向において各界面に対する入射角が全反射角(エスケープコーンA内)よりも小さい光線のみが設定出光面から直接出射されることができる。方向がエスケープコーンAの外である光線は全反射が原因で、有機発光層/透明電極モード光、薄膜トランジスタアレイ層モード光、ベース基板モード光等を含むウェーブガイドモード光になって、各々の関連膜層内で伝送されて、結果的に消散される。ウェーブガイドモード光の伝送及び消散は、OLED表示素子の出光効率を低下させる。
【0025】
本開示の実施例は、上記の問題点に対して、OLED表示装置の出光効率を向上させることのできるOLED表示基板及びその製造方法、表示装置を提供する。
【0026】
本開示の実施例は、画素の有機発光層周辺のPDL層、薄膜トランジスタアレイ層等の膜層構造に反射構造を製造し、その中で伝播されるウェーブガイドモード光線を切り取って反射転向させ、反射面の勾配角を選び取ることで、反射転向を経た光線の方向が全体的に設定された出射方向を指すようにし、そのうち、一部の光線の方向はエスケープコーンの角度範囲に入り、ウェーブガイドモードを逸脱して表示有効方向に出射される。本開示の実施例は、BEモードのOLED表示素子の出光効率を著しく向上させることができる。
【0027】
本開示の実施例は、OLED表示基板を提供する。前記OLED表示基板は、ベース基板に位置する薄膜トランジスタアレイ層と、第1電極と、複数のサブ画素領域を画定する画素画定層と、有機発光層と、第2電極とを含み、サブ画素を取り囲む領域に反射構造が設置されており、前記反射構造は、前記有機発光層から発せられたエスケープコーンの外の光線を反射可能であり、少なくとも一部の前記光線をエスケープコーンに入射させる。
【0028】
本実施例において、サブ画素を取り囲む領域に反射構造が設置されており、反射構造は、有機発光層から発せられたエスケープコーンの外の光線を反射可能であり、そのうち少なくとも一部の光線がエスケープコーンの角度範囲に入射し、ウェーブガイドモードを逸脱して表示有効方向に出射できるようにする。これにより、BEモードのOLED表示装置の出光効率を著しく向上させることができる。
【0029】
具体的に、サブ画素を取り囲む領域に溝構造が形成されており、前記反射構造は、前記溝構造の側壁に形成された反射層である。
【0030】
具体的な一実施例において、前記溝構造は前記画素画定層に形成され、前記溝構造の深さは前記画素画定層の厚さよりも大きくない。
【0031】
別の具体的な実施例において、サブ画素を取り囲む領域に、前記薄膜トランジスタアレイ層と、前記薄膜トランジスタアレイ層に位置する画素画定層とが形成されており、前記溝構造は、サブ画素を取り囲む領域の前記薄膜トランジスタアレイ層と前記画素画定層とからなる積層構造に形成され、前記溝構造の深さは、前記画素画定層の厚さよりも大きく且つ前記画素画定層と前記薄膜トランジスタアレイ層の厚さの和よりも大きくない。
【0032】
別の具体的な実施例において、サブ画素を取り囲む領域に、前記薄膜トランジスタアレイ層と、前記薄膜トランジスタアレイ層に位置する画素画定層とが形成されており、前記溝構造は、サブ画素を取り囲む領域の前記ベース基板と前記薄膜トランジスタアレイ層と前記画素画定層とからなる積層構造に形成され、前記溝構造の深さは、前記薄膜トランジスタアレイ層と前記画素画定層の厚さの和よりも大きく且つ前記画素画定層と前記薄膜トランジスタアレイ層と前記ベース基板の厚さの和よりも小さい。
【0033】
幾つかの選択可能な実施例において、前記第1電極は透明電極であり、前記第2電極は反射金属電極であり、前記反射層と前記第2電極とは同じ材料を採用して作られている。このように、反射層は第2電極と一回フォトリソグラフィ工程を通じて同時に形成されることができ、表示基板を製造するフォトリソグラフィ工程の回数を減少できる。
【0034】
幾つかの選択可能な実施例において、前記薄膜トランジスタアレイ層はサブ画素を取り囲む領域に開口が設置されており、前記開口に一部の前記画素画定層がある。
【0035】
幾つかの選択可能な実施例において、前記反射層は、前記薄膜トランジスタアレイ層との間で第1角度をなす第1部分と、前記画素画定層との間で第2角度をなす第2部分とを含み、前記第1角度と前記第2角度とは異なる。
【0036】
具体的に、前記反射層は、それ自体の延長方向に垂直な断面がV字形又は台形である。
【0037】
本開示の実施例は、上記のような表示基板を含む表示装置を更に提供する。前記表示装置は、テレビ、ディスプレイ、デジタルフォトフレーム、携帯電話、タブレットPC等のいかなる表示機能を有する製品又は部品であって良く、前記表示装置は、フレキシブル回路基板と、プリント回路基板と、バックボードとを更に含む。
【0038】
本開示の実施例は、OLED表示基板の製造方法を更に提供する。前記OLED表示基板の製造方法は、ベース基板に薄膜トランジスタアレイ層と、第1電極と、複数のサブ画素領域を画定する画素画定層と、有機発光層と、第2電極とを逐次的に形成するステップを含み、サブ画素を取り囲む領域の反射構造を形成するステップを更に含み、前記反射構造は、前記有機発光層から発せられたエスケープコーンの外の光線を反射可能であり、少なくとも一部の前記光線をエスケープコーンに入射させる。
【0039】
本実施例において、サブ画素を取り囲む領域の反射構造を形成し、反射構造は、有機発光層から発せられたエスケープコーンの外の光線を反射可能であり、そのうち少なくとも一部の光線がエスケープコーンの角度範囲に入射し、ウェーブガイドモードを逸脱して表示有効方向に出射できるようにする。これにより、BEモードのOLED表示装置の出光効率を著しく向上させることができる。
【0040】
幾つかの選択可能な実施例において、前記薄膜トランジスタアレイ層を形成するステップは、サブ画素を取り囲む領域に開口を有する前記薄膜トランジスタアレイ層を形成するステップを更に含む。
【0041】
幾つかの選択可能な実施例において、前記反射構造を形成するステップは、サブ画素を取り囲む領域の溝構造を形成し、前記溝構造の側壁に反射層を形成するステップを含む。
【0042】
幾つかの選択可能な実施例において、前記反射層を形成するステップは、一回工程を通じて前記第2電極及び前記反射層を形成するステップを含む。このように、表示基板を製造するフォトリソグラフィ工程の回数を減少できる。
【0043】
幾つかの選択可能な実施例において、前記反射層を形成するステップは、前記薄膜トランジスタアレイ層との間で第1角度をなす反射層の第1部分と、前記画素画定層との間で第2角度をなす反射層の第2部分とを形成するステップを含み、前記第1角度と前記第2角度とは異なる。
【0044】
以下、添付図面と併せて本開示の技術方案を具体的に紹介する。
【0045】
幾つかの選択可能な実施例において、図4に示すように、表示基板のサブ画素を取り囲む領域の画素画定層6に溝構造が形成され、溝構造の深さは画素画定層6の厚さに等しくて良い。溝構造の側壁に反射層7が形成され、溝構造の側壁勾配角θは、画素画定層内のウェーブガイドモード光が反射転向を経た後、できるだけ多くの部分がエスケープコーンA2に入射して出射モード光になる原理に従って選び取られる。ここで、溝構造の深さは、画素画定層6の厚さよりも大きいか又はそれよりも小さくても良く、詳細は後述する実施例の討論を参照することにする。
【0046】
反射構造を製造しないと、有機発光層3から発せられた光線のうちエスケープコーンA1内の光線のみが出射モード光になることができる。反射構造を製造した後、一部の有機発光層/透明電極(即ち、陽極)モード光は、まず有機発光層3及び透明電極2の端末で画素画定層6に入射してから、画素画定層6内を伝送して反射層7に入射して反射転向を経て、転向された後、一部の光線はエスケープコーンA2に入射して出射モード光になり、OLED表示素子の出光効率を向上させることができる。
【0047】
表示基板を製造する時、ベース基板1に画素画定層6を製造し、フォトリソグラフィ工程を通じて画素画定層6により画定される画素開口領域を形成する時、同期的に画素開口領域の周辺領域の画素画定層6の膜層に溝構造を形成し、その後は常規の工程に従って有機発光層膜層を製造し、反射電極(即ち、陰極)を製造するとともに、溝構造の側壁に反射層7を形成する。
【0048】
幾つかの選択可能な実施例において、図5に示すように、隣接したサブ画素領域の間にベース基板1の直上に位置する画素画定層6が形成され、サブ画素の周辺領域には薄膜トランジスタアレイ層5が設置されず、サブ画素を取り囲む領域の画素画定層6に溝構造が形成され、溝構造の深さは画素画定層6の厚さに等しい。溝構造の側壁に反射層7が形成され、溝構造の側壁勾配角θは、画素画定層内のウェーブガイドモード光が反射転向を経た後、できるだけ多くの部分がエスケープコーンA2に入射して出射モード光になる原理に従って選び取られる。
【0049】
本実施例の表示基板は、薄膜トランジスタアレイ層モード光がなく、ウェーブガイドモード光は、有機発光層/透明電極モード光及びベース基板モード光のみである。反射構造を製造しないと、有機発光層3から発せられた光線のうちエスケープコーンA1内の光線のみが出射モード光になることができる。反射構造を製造した後、有機発光層/透明電極モード光は、まず有機発光層3及び透明電極1(即ち、陽極)の端末で画素画定層6に入射してから、画素画定層6内を伝送して反射層7に入射して反射転向を経て、転向された後、一部の光線はエスケープコーンA2に入射して出射モード光になり、OLED表示素子の出光効率を向上させることができる。
【0050】
図6及び図7に示すように、本実施例は、ベース基板1に薄膜トランジスタアレイ層5を形成した後、フォトリソグラフィ工程を一回追加して、サブ画素の周辺領域の薄膜トランジスタアレイ層5を除去する。表示基板の最後の一回又は数回のフォトリソグラフィ工程(通常、ビアホール製造のフォトリソグラフィ工程)を利用して同期的にサブ画素の周辺領域の薄膜トランジスタアレイ層5を除去してから、常規の工程フローに従って画素画定層6及びその上の他の膜層を形成しても良い。
【0051】
幾つかの選択可能な実施例において、図8に示すように、サブ画素を取り囲む領域にベース基板1に位置する画素画定層6が形成され、サブ画素の周辺領域に薄膜トランジスタアレイ層5が更に設置され、サブ画素を取り囲む領域の画素画定層6と薄膜トランジスタアレイ層5とからなる積層構造に溝構造が形成され、溝構造の深さは画素画定層6と薄膜トランジスタアレイ層5の厚さの和に等しい。溝構造の側壁に反射層7が形成され、溝構造の画素画定層6に対応する部分の側壁勾配角θ1及び溝構造の薄膜トランジスタアレイ層5に対応する部分の側壁勾配角θ2は、画素画定層及び薄膜トランジスタアレイ層内のウェーブガイドモード光が反射転向を経た後、できるだけ多くの部分がエスケープコーンA2及びA3に入射して出射モード光になる原理に従って選び取られる。具体的に、膜層内のウェーブガイドモード光の分布及び材料の光学特性(主に、屈折率)に基づいてそれぞれ値を取って良い。ここで、注意すべきことは、ウェーブガイド光線の平面ウェーブガイドにおける伝播は、上下二つの界面で波形に類似した形態で反射伝播されるものであるため、反射面に投射された時の角度は水平でなく、一定の仰俯角度を持つ。ここで、θ1、θ2の具体的な数値は、当業者により仰俯角度、異なる光の波長、ウェーブガイドの厚さ、ウェーブガイド媒体及び隣接する媒体の反射面の波損失等のパラメーターに基づいて、幾何公式を利用して算出できるが、一般的には、45度以下である。例えば、PDL層において、θ1は30〜35度であって良い。
【0052】
反射構造を製造しないと、有機発光層3から発せられた光線のうちエスケープコーンA1内の光線のみが出射モード光になることができる。反射構造を製造した後、有機発光層/透明電極モード光は、まず有機発光層3及び透明電極1(即ち、陽極)の端末で画素画定層6に入射してから、画素画定層6内を伝送して反射層7に入射して反射転向を経て、転向された後、一部の光線はエスケープコーンA2に入射して出射モード光になる。同様に、薄膜トランジスタアレイ層5におけるウェーブガイドモード光は反射層7に伝送されて反射転向を経、転向された後、一部の光線はエスケープコーンA3に入射して出射モード光になり、これにより、OLED表示素子の出光効率を向上させることができる。
【0053】
図9に示すように、表示基板を製造する時、まず、ベース基板1に薄膜トランジスタアレイ層5を形成する。図10に示すように、薄膜トランジスタアレイ層5の工程が完了した後、フォトリソグラフィ工程を一回追加して、画素発光領域の周辺の薄膜トランジスタアレイ層5を除去する。表示基板の最後の一回又は数回のフォトリソグラフィ工程(通常、ビアホール製造)を利用して同期的に相応する領域の薄膜トランジスタアレイ層5を除去しても良い。図11に示すように、以後、透明電極2を形成する。図12に示すように、フォトリソグラフィ工程を通じて画素画定層6のパターンを形成する。
【0054】
図13及び図14に示すように、画素画定層6の溝構造が形成された後、画素画定層6及び透明電極2をマスクとして、エッチング工程を追加して画素発光領域の外周辺の薄膜トランジスタアレイ層5を除去しても良い。このような方法を採用して、画素画定層6の溝構造と薄膜トランジスタアレイ層5の溝構造とが自己整列され、反射界面の形状の全体的な制御及び反射特性の改善に有利である。
【0055】
図15に示すように、以後、画素発光領域に機発光層3を形成するが、印刷又は蒸着の方式により機発光層3を形成して良い。図16に示すように、蒸着反射金属の層全体に同時に反射電極4及び反射層7を形成し、溝構造の側壁に落ちる反射金属は自然的に反射層7を形成する。
【0056】
幾つかの選択可能な実施例において、図17に示すように、サブ画素を取り囲む領域は、ベース基板に位置する薄膜トランジスタアレイ層5と、薄膜トランジスタアレイ層5に位置する画素画定層6とが形成され、溝構造がサブ画素を取り囲む領域のベース基板1と薄膜トランジスタアレイ層5と画素画定層6とからなる積層構造に形成され、溝構造の深さは、画素画定層6と薄膜トランジスタアレイ層5と一部のベース基板1の厚さの和に等しく、即ち、溝構造はベース基板1内に一定深さまで延長する。溝構造の側壁に反射層7が形成され、溝構造の画素画定層6に対応する部分の側壁勾配角、溝構造の薄膜トランジスタアレイ層5に対応する部分の側壁勾配角及び溝構造のベース基板1に対応する部分の側壁勾配角は、画素画定層、ベース基板及び薄膜トランジスタアレイ層内のウェーブガイドモード光が反射転向を経た後、できるだけ多くの部分がエスケープコーンA2及びA3に入射して出射モード光になる原理に従って選び取られる。具体的に、膜層内のウェーブガイドモード光の分布及び材料の光学特性(主に、屈折率)に基づいてそれぞれ値を取って良い。
【0057】
エッチング工程の特徴を考慮して、薄膜トランジスタアレイ層5において、側壁の底端はベース基板1の表面の勾配に対して溝構造の側壁の主体部分と揃い難く、一つの過渡弧面を形成しやすい。このため、溝構造をベース基板内まで延長させるのは、溝構造全体の側壁における反射層7の整列性を維持するのに有利であり、反射効果を確保する。また、ベース基板1まで延長し入った部分の反射層7は、さらに一部のベース基板モードのウェーブガイドモード光に対して反射転向の役割を果たすことができ、出射光を増やす役割がある。
【0058】
図18に示すように、一部の薄膜トランジスタアレイ層5を除去するエッチング工程の後、薄膜トランジスタアレイ層5をマスクとし、ベース基板エッチング工程を追加して、溝構造がベース基板1に延長し入るようにする。
【0059】
幾つかの選択可能な実施例において、図19に示すように、サブ画素を取り囲む領域にベース基板1に位置する画素画定層6が形成され、サブ画素を取り囲む領域に薄膜トランジスタアレイ層5が設置されず、サブ画素を取り囲む領域の画素画定層6に溝構造が形成され、溝構造の深さは画素画定層6と薄膜トランジスタアレイ層5の厚さの和に等しい。溝構造の側壁に反射層7が形成され、溝構造の側壁勾配角は、画素画定層及び薄膜トランジスタアレイ層内のウェーブガイドモード光が反射転向を経た後、できるだけ多くの部分がエスケープコーンA2及びA3に入射して出射モード光になる原理に従って選び取られる。具体的に、膜層内のウェーブガイドモード光の分布及び材料の光学特性(主に、屈折率)に基づいてそれぞれ値を取って良い。
【0060】
反射構造を製造しないと、有機発光層3から発せられた光線のうちエスケープコーンA1内の光線のみが出射モード光になることができる。反射構造を製造した後、有機発光層/透明電極モード光は、まず有機発光層3及び透明電極1(即ち、陽極)の端末で画素画定層6に入射してから、画素画定層6内を伝送して反射層7に入射して反射転向を経て、転向された後、一部の光線はエスケープコーンA2に入射して出射モード光になる。同様に、薄膜トランジスタアレイ層5におけるウェーブガイドモード光は反射層7に伝送されて反射転向を経て、転向された後、一部の光線はエスケープコーンA3に入射して出射モード光になり、これにより、OLED表示素子の出光効率を向上させることができる。
【0061】
本実施例は、ベース基板1に薄膜トランジスタアレイ層5を形成した後、フォトリソグラフィ工程を一回追加して、サブ画素を取り囲む領域の薄膜トランジスタアレイ層5を除去する。表示基板の最後の一回又は数回のフォトリソグラフィ工程(通常、ビアホール製造のフォトリソグラフィ工程)を利用して同期的にサブ画素を取り囲む領域の薄膜トランジスタアレイ層5を除去してから、常規の工程フローに従って画素画定層6及びその上の他の膜層を形成しても良い。
【0062】
本開示の上記の実施例に係る表示基板の有機発光層は、いずれも(サブ)画素によって分立された局所膜層であって、FMM(ファイン金属マスク板)蒸着又は印刷方式により実現されることができる。従来技術の条件下では、主流FMM蒸着工程のコスト及び収率の問題が原因で、できるだけFMM工程技術を必要とするパターン化位置合わせ蒸着を回避する傾向がある。
【0063】
もう一つの方式として、一部の有機発光層のみ(サブ)画素によって整列される局所パターンを採用して膜層を製造する。図20及び図21に示すように、残りは表示領域全体が一体に蒸着されて膜層全体を製造する。電子及び正孔の注入層及び輸送層は一体に蒸着されるが、異なる色のサブ画素の有機発光材料層は、FMM技術を利用してサブ画素によって整列させて局所パターンの膜層をそれぞれ製造する。図21に示すように、画素画定層6により画定された画素開口領域のみに電流(有機発光層3における黒い線)が通過して発光する。
【0064】
上記の二つの場合における有機膜層全体は、工程フロー上、反射層7より先に画素画定層6又は画素画定層6+薄膜トランジスタアレイ層5における溝構造の側壁に沈積される。このように、厳密に言うと、側壁における反射界面は、反射層7と画素画定層6又は薄膜トランジスタアレイ層5との界面ではなくて、側壁の位置の有機発光層3と反射層7との界面である。有機発光層3は、透明で且つ屈折率が画素画定層6に近いため、本開示の技術を適用する面において、列挙された実施例と光学的に相違ないので、特に説明しないことにする。
【0065】
逆向き(inverted)BEモードのOLED素子にとって言えば、即ち、ベース基板から上向きの順序に従って言うと、順に透明陰極、有機発光層(複数層であって良い)、反射陽極である。現在、逆向き素子工程上、まだ成熟しておらず、主な問題点として、陰極(ITOを多く採用)がスパッタリング工程を採用して膜を形成する過程は有機発光層に損傷を与えるため、まだ量産に応用されていない。逆向き素子技術が成熟すると、BEモードの逆向きボトムエミッション型のOLEDディスプレイにとって言えば、本開示に記載の発光層は、反射陽極と同一回のフォトリソグラフィ工程を採用して同期的に形成されても良い。
【0066】
別途に画定されない限り、本開示で使用される技術用語又は科学用語は、本開示の所属する分野における通常の知識を有する者により理解される通常の意味であるべきである。本開示で使用される「第1」、「第2」及び類似した語句はいかなる順序、数量又は重要性も表さず、単に異なる構成部分を区別するために用いられる。「含む」又は「包含」等の類似した語句は、当該単語の前に現れた素子又は物件が当該単語の後に現れた列挙された素子又は物件及びその均等物をカバーすることを意味するものであり、他の素子又は物件を排除するものではない。「接続」又は「互いに接続」等の類似した語句は必ずしも物理的又は機械的接続に限定されものではなく、直接又は間接的な電気的接続を含み得る。「上」、「下」、「左」、「右」等は相対位置関係を表すためのみに用いられ、説明される対象の絶対位置が変更された後、当該相対位置関係もそれに従って変更されることが可能である。
【0067】
理解できることは、層、膜、領域又は基板のような素子が別の素子の「上」又は「下」に位置すると言及された時、当該素子は別の素子の「直上」又は「直下」に位置することが可能であり、或いは、中間素子が存在することも可能である。
【0068】
上記のものは本開示の好ましい実施形態である。注意すべきことは、本技術分野における通常の知識を有する者にとって、本開示に記載の原理を逸脱しない前提で、さらに、若干の改良及び潤飾を更に行うことができ、これらの改良及び潤飾も本開示の保護範囲内であるとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図21