(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人が先の出願(特許文献1)において提案した運搬用容器を実施すれば、運搬用容器の下面から突出した係止片をパレットに係止するだけで運搬用容器がパレットに固定されるため、バンドやボルト・ナットを用いる手法よりも手間が掛からない。
しかし、運搬用容器の形状に制約があって運搬用容器の下面に係止片を設けることができない場合がある。このような場合は、従来のようにバンドやボルト・ナットを用いて運搬用容器をパレットに固定しなければならないため、運搬用容器が飛び跳ねないようにするための作業効率が悪くなる。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するために創出されたものであって、運搬用容器が飛び跳ねないようにするための作業効率を良くすることができる運搬用容器
ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため、本発明の運搬用容器
ユニットは、パレット
と、パレットに載置される合成樹脂製の運搬用容器
と、を備えており、パレットには運搬用容器が載置される面側に突出した突出部を有する柱状部材が立設されており、運搬用容器は、物品を収容する収容部と、収容部から柱状部材の近傍に張り出した張り出し部と、張り出し部に設けられており、パレットに載置され
た運搬用容器が飛び跳ねたときに突出部に下方から衝突することにより、その衝突時以上
に運搬用容器が飛び跳ねることを阻止する阻止部と、を備えており、収容部、張り出し部および阻止部が合成樹脂により一体的に形成されてなる。以上を第1の特徴とする。
【0007】
運搬用容器をパレットに載置して運搬するときに運搬用容器が飛び跳ねた場合であっても、運搬用容器本体から柱状部材の近傍に張り出した張り出し部に設けられた阻止部が柱状部材の突出部に下方から衝突することにより、その衝突時以上に運搬用容器が飛び跳ねることを阻止することができる。
つまり、運搬用容器が飛び跳ねたときに、張り出し部に設けられた阻止部が柱状部材の突出部に下方から衝突するように運搬用容器をパレットに載置するだけで良く、従来のように、運搬用容器の飛び跳ねを阻止するためにバンドで運搬用容器をパレットに縛り付けたり、ボルト・ナットで運搬用容器をパレットに固定したりする作業を行う必要がない。
したがって、運搬用容器が飛び跳ねないようにするための作業効率を良くすることができる。
しかも、上記のバンドやボルト・ナットが不要であるため、運搬用容器が飛び跳ねないようにするための費用を低減することもできる。
【0008】
また、本発明の運搬用容器
ユニットは、前述した第1の特徴において、柱状部材は、突出部によるロック状態が解除されることにより、上下に伸縮、または
、運搬用容器の上に倒すことが可能に構成されており、張り出し部は、水平部と、水平部の端縁から垂下する垂下部と、を備えており、阻止部は、垂下部の下端縁から略水平に突出形成されていることを第2の特徴とする。
また、本発明の運搬用容器
ユニットは、上述した第2の特徴において、張り出し部は、可撓性を有する庇状に形成されており、かつ、その先端に形成された水平部には、柱状部材の周面の所定範囲を囲む形状に切り欠き形成された切り欠き部が設けられており、切り欠き部の端縁からは垂下部が垂下しており、阻止部は、垂下部の下端縁から略水平に突出形成されていることを第3の特徴とする。
また、本発明の運搬用容器
ユニットは、上述した第1ないし第3の特徴のいずれか1つにおいて、張り出し部には、パレットに載置されてい
る運搬用容器が水平方向へ動いたときに柱状部材の周面に当接することにより
、運搬用容器の水平方向への動きを規制する規制部が設けられていることを第4の特徴とする。
また、本発明の運搬用容器
ユニットは、上述した第4の特徴において、張り出し部は、可撓性を有する庇状に形成されており、かつ、その先端には、柱状部材の周面の所定範囲を囲む形状に切り欠き形成された切り欠き部が設けられており、その切り欠き部には規制部が設けられていることを第5の特徴とする。
また、本発明の運搬用容器
ユニットは、上述した第1ないし第5の特徴のいずれか1つにおいて、柱状部材は、頭部を先端に備えており、回動して張り出し部の上に倒れることが可能であり、張り出し部のうち、柱状部材が倒れる方向に位置する張り出し部には、倒れた柱状部材の頭部のうち、倒れる方向に位置する張り出し部に向けて突出している部分が収まる凹部が形成されていることを第6の特徴とする。
【0009】
第4の特徴によれば、運搬用容器をパレットに載置して運搬するときに運搬用容器が水平方向に動いた場合であっても、運搬用容器本体から柱状部材の近傍に張り出した張り出し部に設けられた規制部が柱状部材の周面に当接することにより、運搬用容器の水平方向への動きを規制することができる。
つまり、運搬用容器をパレットに載置するだけで、運搬用容器の水平方向への動きを規制する状態にすることができるため、運搬用容器の水平方向への動きを規制するためにバンドで運搬用容器をパレットに縛り付けたり、ボルト・ナットで運搬用容器をパレットに固定したりする作業を行う必要がない。
したがって、運搬用容器が水平方向へ動かないようにするための作業効率を良くすることができる。
しかも、上記のバンドやボルト・ナットが不要であるため、運搬用容器が水平方向へ動かないようにするための費用を低減することもできる。
【0010】
ところで、柱状部材の突出部の突出長さのバラツキ、あるいは、運搬用容器の外形のバラツキなどにより、運搬用容器をパレットに載置する際、あるいは、運搬用容器をパレットから取り出す際に、張り出し部に設けられた阻止部の先端や規制部の先端が突出部に引っ掛かり、載置作業をやり直したり、あるいは、取出作業をやり直したりするなど、作業性が悪くなることが考えられ得る。
しかし、本発明の運搬用容器
ユニットの第3の特徴の1つは、張り出し部が可撓性を有する庇状に形成されている点にあるため、運搬用容器をパレットに載置する際、あるいは、パレットから取り出す際に、張り出し部に設けられた阻止部の先端が突出部に引っ掛かった場合であっても、張り出し部が撓んで変形し、阻止部の先端が突出部を乗り越えるので、作業性が悪くなるおそれがない。
【0011】
また、柱状部材の突出部の突出長さのバラツキ、あるいは、運搬用容器の外形のバラツキなどにより、運搬用容器をパレットに載置する際、あるいは、運搬用容器をパレットから取り出す際に、張り出し部に設けられた規制部の先端が柱状部材に引っ掛かり、載置作業をやり直したり、あるいは、取出作業をやり直したりするなど、作業性が悪くなることが考えられ得る。
しかし、本発明の運搬用容器
ユニットの第4の特徴が包含する前述した第3の特徴の1つは、張り出し部が可撓性を有する庇状に形成されている点にあるため、運搬用容器をパレットに載置する際、あるいは、パレットから取り出す際に、張り出し部に設けられた規制部の先端が柱状部材につかえた場合であっても、張り出し部が撓んで変形し、規制部の先端が、つかえている部分を通過するので、作業性が悪くなるおそれがない。
【0012】
さらに、本発明の運搬用容器
ユニットは、第3の特徴の1つとして、張り出し部の先端には、柱状部材の周面の所定範囲を囲む形状に切り欠き形成された切り欠き部が設けられており、その切り欠き部に阻止部が設けられているという特徴をも有する。
つまり、柱状部材の周面の所定範囲を囲む形状に切り欠き形成された切り欠き部を張り出し部の先端に設け、その切り欠き部に阻止部を設けるという、運搬用容器の形状の工夫により実現できる比較的簡易な構成により、運搬用容器の飛び跳ねを阻止することができる。
したがって、阻止部を別体で製造して運搬用容器に取付ける必要がないため、運搬用容器が飛び跳ねないようにするための費用を低減することもできる。
【0013】
さらに、本発明の運搬用容器
ユニットは、第5の特徴の1つとして、張り出し部の先端には、柱状部材の周面の所定範囲を囲む形状に切り欠き形成された切り欠き部が設けられており、その切り欠き部に規制部が設けられているという特徴をも有する。
つまり、柱状部材の周面の所定範囲を囲む形状に切り欠き形成された切り欠き部を張り出し部の先端に設け、その切り欠き部に規制部を設けるという、運搬用容器の形状の工夫により実現できる比較的簡易な構成により、運搬用容器の水平方向への動きを規制することができる。
したがって、規制部を別体で製造して運搬用容器に取付ける必要がないため、運搬用容器が水平方向へ動かないようにするための費用を低減することもできる。
さらに、第6の特徴によれば、柱状部材を回動して倒したときに、その倒れた柱状部材の頭部のうち、倒れる方向に位置する張り出し部に向けて突出している部分を、倒れる方向に位置する張り出し部の凹部に収めることができる。
したがって、倒れた柱状部材の上面と運搬用容器の上面とを平行にすることができ、かつ、運搬用容器およびパレットの全体の高さを低くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の運搬用容器
ユニットを実施すれば、運搬用容器が飛び跳ねないようにするための作業効率を良くすることができる運搬用容器
ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る運搬用容器
ユニットについて図を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る運搬用容器
ユニットに備えられた運搬用容器の上面の斜視図であり、
図2は
図1において一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
図3は
図1に示す運搬用容器の下面の斜視図である。なお、以下の説明では、
図1に示すように、運搬用容器1の長手方向に沿う方向をX方向とし、そのX方向と水平に直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向と直交する方向をZ方向とする。また、X方向およびY方向を水平方向とし、Z方向を上下方向とする。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る運搬用容器1は、平面視略矩形に形成された容器基体10を備える。容器基体10には、物品(ワーク)を収容する複数の収容部20〜23が形成されている。収容部20は、物品の下面を支持する矩形の底壁20aと、相対向する1対の内壁20b(他方の内壁20bは
図3に表れている)と、相対向する1対の内壁20c(他方の内壁20cは
図3に表れている)とから形成されている。同様に、収容部21は底壁21aと、相対向する1対の内壁21b(他方の内壁21bは
図3に表れている)と、相対向する1対の内壁21c(他方の内壁21cは
図3に表れている)とから形成されている。同様に、収容部22は、底壁22aと、相対向する1対の内壁22b(他方の内壁22bは
図3に表れている)と、相対向する1対の内壁22c(他方の内壁22cは
図3に表れている)とから形成されており、収容部23は、底壁23aと、相対向する1対の内壁23b(他方の内壁23bは
図3に表れている)と、相対向する1対の内壁23c(他方の内壁23cは
図3に表れている)とから形成されている。各収容部20〜23は、容器基体10の略平面状の上面11から下方に凹んだ形状にそれぞれ形成されている。
図3に示すように、運搬用容器1を下面から見ると、各収容部20〜23は、容器基体10の略平面状の下面19から下方に突出した形状にそれぞれ形成されている。本実施形態では、各収容部20〜23は、それぞれ略四角台錐形状に形成されている。
【0018】
容器基体10の周縁には、長手方向に沿った第1長側縁14aと、この第1長側縁14aと対向する第2長側縁15aと、短手方向に沿った第1短側縁12aと、この第1短側縁12aと対向する第2短側縁13aとがそれぞれ形成されている。また、各収容部20〜23の各開口面を形成する開口縁のうち、外側の開口縁と、各短側縁12a,13aおよび各長側縁14a,15aとの間には庇状の第1フランジ部12ないし第4フランジ部15が形成されている。つまり、各収容部20〜23を運搬用容器本体とすると、運搬用容器本体から第1フランジ部12ないし第4フランジ部15が張り出し形成されている。また、容器基体10の周縁の四隅には、切り欠き部30がそれぞれ切り欠き形成されている。
【0019】
ここで、第1フランジ部12ないし第4フランジ部15について詳細に説明する。
収容部20の開口面を形成する開口縁には、第1短側縁12aと対向する開口縁20eが形成されており、収容部22の開口面を形成する開口縁には、第1短側縁12aと対向する開口縁22eが形成されている。そして、開口縁20eおよび開口縁22eから第1短側縁12aに向けて庇状の第1フランジ部12が張り出し形成されている。
図1において、開口縁20eと、開口縁22eと、開口縁20eおよび開口縁22eを接続する破線L1と、第1短側縁12aと、開口縁20eの外側の一端と収容部20に近い切り欠き部30(
図1において右方の切り欠き部30)の角部とを接続する破線L5と、開口縁22eの外側の一端と収容部22に近い切り欠き部30(
図1において上方の切り欠き部30)の角部とを接続する破線L8とによって囲まれた領域が第1フランジ部12である。
【0020】
また、収容部21の開口面を形成する開口縁には、第2短側縁13aと対向する開口縁21eが形成されており、収容部23の開口面を形成する開口縁には、第2短側縁13aと対向する開口縁23eが形成されている。そして、開口縁21eおよび開口縁23eから第2短側縁13aに向けて庇状の第2フランジ部13が張り出し形成されている。
図1において、開口縁21eと、開口縁23eと、開口縁21eおよび開口縁23eを接続する破線L2と、第2短側縁13aと、開口縁21eの外側の一端と収容部21に近い切り欠き部30(
図1において下方の切り欠き部30)の角部とを接続する破線L6と、開口縁23eの外側の一端と収容部23に近い切り欠き部30(
図1において左方の切り欠き部30)の角部とを接続する破線L7とによって囲まれた領域が第2フランジ部13である。
【0021】
また、収容部20の開口面を形成する開口縁には、第1長側縁14aと対向する開口縁20dが形成されており、収容部21の開口面を形成する開口縁には、第1長側縁14aと対向する開口縁21dが形成されている。そして、開口縁20dおよび開口縁21dから第1長側縁14aに向けて庇状の第3フランジ部14が張り出し形成されている。
図1において、開口縁20dと、開口縁21dと、開口縁20dおよび開口縁21dを接続する破線L3と、第1長側縁14aと、破線L5と、破線L6とによって囲まれた領域が第3フランジ部14である。
また、収容部22の開口面を形成する開口縁には、第2長側縁15aと対向する開口縁22dが形成されており、収容部23の開口面を形成する開口縁には、第2長側縁15aと対向する開口縁23dが形成されている。そして、開口縁22dおよび開口縁23dから第2長側縁15aに向けて庇状の第4フランジ部15が張り出し形成されている。
図1において、開口縁22dと、開口縁23dと、開口縁22dおよび開口縁23dを接続する破線L4と、第2長側縁15aと、破線L7と、破線L8とによって囲まれた領域が第4フランジ部15である。
【0022】
また、各フランジ部12〜15の上面には、複数の凹部16,17,18が形成されている。第1フランジ部12の上面の両端近傍には、凹部16が2個ずつ形成されている。各凹部16は第1短側縁12aに沿って形成されており、かつ、各凹部16の内壁のうち、第1短側縁12aに沿った内壁は、第1フランジ部12の先端を切り欠いた開口面になっている。同様に、第2フランジ部13の上面の両端近傍にも凹部16が2個ずつ形成されている。各凹部16は第2短側縁13aに沿って形成されており、かつ、各凹部16の内壁のうち、第2短側縁13aに沿った内壁は、第2フランジ部13の先端を切り欠いた開口面になっている。また、第3フランジ部14の上面の中央には、凹部18が形成されており、その凹部18の両側には凹部17が2個ずつ形成されている。各凹部17,18は第1長側縁14aに沿って形成されており、かつ、各凹部17,18の内壁のうち、第1長側縁14aに沿った内壁は、第3フランジ部14の先端を切り欠いた開口面になっている。同様に、第4フランジ部15の上面の中央にも凹部18が形成されており、その凹部18の両側には凹部17が2個ずつ形成されている。各凹部17,18は第2長側縁15aに沿って形成されており、かつ、各凹部17,18の内壁のうち、第2長側縁15aに沿った内壁は、第4フランジ部15の先端を切り欠いた開口面になっている。
この実施形態では、運搬用容器1は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂などの合成樹脂製原料を用いた真空成形により成形されている。また、各フランジ部12〜15は肉薄に形成されているため、可撓性を有し、変形可能である。
【0023】
図4は
図1に示す運搬用容器1がパレット40に載置された状態
の運搬用容器ユニットを示す斜視図である。
図5は
図1に示す運搬用容器がパレット40に載置されており、パレット40の各柱52が倒れた状態
の運搬用容器ユニットを示す斜視図である。
図6は
図4のA−A矢視断面図であり、
図7は支柱50の周辺の横断面図である。
図8は
図4のB−B矢視断面図である。
図4に示すように、運搬用容器1が載置されるパレット40は、平面視矩形で肉厚の板状に形成されている。パレット40の長手方向に沿った側面41から内方に向けて空洞部42,42が形成されており、側面41と対向する側面(図に表れていない)から内方に向けて空洞部42,42(図に表れていない)が形成されている。各空洞部42はフォークリフトなど、フォークを使った運搬手段によってパレット40を昇降させるといった作業を行う場合に、フォークを挿入するために使用される。
【0024】
パレット40の四隅には、それぞれ支柱50が立設されている。各支柱50は、保持部材51と、この保持部材51によって保持されている柱52と、この柱52の先端に形成された頭部53とをそれぞれ備える。
図7に示すように、各保持部材51は、横断面が略コ字状で中空の角柱状にそれぞれ形成されており、4つの側面の1つがそれぞれ開口面になっている。そして、各保持部材51の内部空間に角柱状の柱52がそれぞれ保持されている。また、
図4に示すように、第3フランジ部14の両端角部に立設された各保持部材51は、各開口面同士が相対向するように配置されている。また、第4フランジ部15の両端角部に立設された各保持部材51も、各開口面同士が相対向するように配置されている。
【0025】
図5に示すように、第4フランジ部15の両端角部に設けられた各柱52の各側面のうち、第3フランジ部14の両端角部に設けられた各柱52と対向する側面には、その長手方向に沿ってスリット54がそれぞれ形成されている。また、
図5には表れていないが、第3フランジ部14の両端角部に設けられた各柱52の各側面のうち、第4フランジ部15の両端角部に設けられた各柱52と対向する側面にも、その長手方向に沿ってスリット54がそれぞれ形成されている。
図6に示すように、各保持部材51には、その側面51aを通してロックピン60がスリット54にそれぞれ挿通されている。各ロックピン60の頭部61は、保持部材51の側面51aからそれぞれ突出している。各柱52は、それぞれ上下に伸縮可能に構成されており、ロックピン60の頭部61を操作してロック状態を解除すると上下に伸縮可能になる。また、各柱52は、最上部まで伸長した状態でロックピン60の頭部61を操作してロック状態を解除すると、
図5に示すように、運搬用容器1の上に倒すことができるようにそれぞれ構成されている。この場合、各柱52は、下端を中心にして回動し、保持部材51の開口面を介して運搬用容器1の上に倒れる。
【0026】
このように、各柱52は、上下に伸縮可能かつ可倒に構成されている。第3フランジ部14の上面に倒れた各柱52は、それぞれ頭部53のうち、第3フランジ部14に向けて突出している部分が第3フランジ部14の凹部17,17にそれぞれ収まる。また、第4フランジ部15の上面に倒れた各柱52も、それぞれ頭部53のうち、第4フランジ部15に向けて突出している部分が第4フランジ部15の凹部17,17にそれぞれ収まる。このように、倒れた各柱52の各頭部53のうち、第3フランジ部14および第4フランジ部15に向けて突出している部分を対応する凹部17にそれぞれ収めることができるため、倒れた各柱52の各上面と運搬用容器1の上面11とを平行にすることができ、かつ、運搬用容器1およびパレット40の全体の高さを低くすることができる。
【0027】
図4に示したように、運搬用容器1は、各切り欠き部30に各支柱50が収まるようにパレット40の上面43に載置される。
ここで、各切り欠き部30の構造について説明する。各切り欠き部30は同じ構造であるため、ここでは、第3フランジ部14の両端角部に形成された切り欠き部30のうち、第2フランジ部13に隣接する切り欠き部30を代表にして説明する。
図2は、その切り欠き部30が形成されている領域であって、
図1において一点鎖線で囲んだ領域Eの拡大図である。
切り欠き部30は、支柱50の外側を構成する保持部材51の周面の所定範囲を囲む形状に切り欠き形成されている。この実施形態では、保持部材51は、断面コ字状で中空の四角柱に形成されているため、切り欠き部30は、保持部材51の4つの角部のうち、運搬用容器1に近い1つの角部を形成する2面を囲む形状、つまり矩形に切り欠き形成されている。切り欠き部30は、阻止部31および規制部33を備える。阻止部31は、運搬用容器1の上方(Z方向)への飛び跳ね(ジャンピング)を阻止するとともに、運搬用容器1の水平方向(Y方向)への動きを規制するための部分である。つまり、阻止部31は、運搬用容器1の飛び跳ねの阻止と、水平方向(Y方向)への動きの規制とを兼用している。規制部33は、運搬用容器1の水平方向(X方向)への動きを規制する部分である。
【0028】
第2フランジ部13に形成された凹部16と隣接する部分には、第2フランジ部13の一部を形成する水平部13bが形成されており、その水平部13bの端縁13cから垂下方向には垂下部32が連続形成されている。垂下部32は、水平部13bを第2短側縁13aと直交する方向に切断した形状であって、横長の矩形に形成されている。垂下部32の下端縁からは、その下端縁に沿って阻止部31が略水平に突出形成されている。阻止部31は、縦断面が矩形に形成されている。
第3フランジ部14に形成された凹部17と隣接する部分には、第3フランジ部14の一部を形成する水平部14bが形成されており、その水平部14bの端縁14cから垂下方向には垂下部34が連続形成されている。垂下部34は、水平部14bを第1長側縁14aと直交する方向に切断した形状であって、横長の矩形に形成されている。垂下部34の下端縁からは、その下端縁に沿って規制部33が略水平に突出形成されている。規制部33は、縦断面が矩形に形成されている。容器基体10の他の3つの隅に形成された切り欠き部30も上記の切り欠き部30と同様の構造である。
【0029】
図6に示すように、運搬用容器1がパレット40に載置された状態において、阻止部31の先端は、保持部材51の側面51aから突出したロックピン60の頭部61の下方であって、かつ、ロックピン60の頭部61の近傍に配置されている。詳細には、阻止部31の先端は、ロックピン60の頭部61の下面先端から長さt1(たとえば、15mm)の垂線を下ろした場合に、その垂線の下端から垂下部32へ距離t2(たとえば、0.5mm)水平移動した位置(
図7参照)に配置されている。つまり、阻止部31の先端は、ロックピン60の頭部61の下面先端の直下よりも僅かに垂下部32に変位した位置に配置されている。
【0030】
さらに、阻止部31の先端は、ロックピン60の頭部61が突出した側面51aの近傍に配置されており、阻止部31の先端と、側面51aとの間には長さs1の隙間が形成されている(
図7参照)。
また、
図7および
図8に示すように、運搬用容器1がパレット40に載置された状態において、規制部33の先端は、保持部材51の側面のうち、柱52を出し入れする開口面を構成する開口端面51bの近傍に配置されている。規制部33の先端と、開口端面51bとの間には長さs2の隙間が形成されている(
図7参照)。容器基体10の他の3つの隅に形成された切り欠き部30に設けられた阻止部31および規制部33も上記の阻止部31および規制部33と同様の構造である。
【0031】
パレット40に載置された運搬用容器1が、運搬するときの振動などによって上方(Z方向)へ跳ね上がると、阻止部31の先端がロックピン60の頭部61に下方から衝突するため、それ以上の跳ね上げを阻止することができる。つまり、阻止部31がロックピン60の頭部61に衝突したとき以上に運搬用容器1が跳ね上がらないようにすることができる。
また、パレット40に載置された運搬用容器1が、運搬するときの振動や遠心力などによってY方向(
図1参照)に動くと、阻止部31の先端が保持部材51の側面51aに当接するため、それ以上のY方向への動きを阻止することができる。つまり、阻止部31が側面51aに当接したとき以上に運搬用容器1がY方向へ動かないようにすることができる。さらに、パレット40に載置された運搬用容器1が、運搬するときの振動や遠心力などによってX方向(
図1参照)に動くと、規制部33の先端が保持部材51の開口端面51bに当接するため、それ以上のX方向への動きを阻止することができる。つまり、規制部33の先端が開口端面51bに当接したとき以上に運搬用容器1がX方向へ動かないようにすることができる。
【0032】
阻止部31の先端とロックピン60の頭部61との位置関係は、パレット40に載置された運搬用容器1が飛び跳ねたときに、阻止部31の先端がロックピン60の頭部61に下方から衝突するように決定する。また、各フランジ部12〜15は、可撓性を有し、変形可能である。このため、運搬用容器1をパレット40に載置する作業(以下、載置作業という)を行う際、あるいは、パレット40に載置された運搬用容器1を取り出す作業(以下、取出作業という)を行う際に、阻止部31の先端がロックピン60の頭部61に引っ掛かった場合であっても、各フランジ部12〜15は、各フランジ部12〜15の基部を中心にして撓んで変形することにより、阻止部31の先端がロックピン60の頭部61を乗り越えるため、載置作業および取出作業に支障が生じることはない。
ただし、阻止部31の先端の突出長さのバラツキ、あるいは、運搬用容器1の外形のバラツキなどの要因により、ロックピン60の頭部61と阻止部31の先端との重なり量(オーバーラップ量)が大きくなると、運搬用容器1の載置作業および取出作業を行う際、阻止部31の先端がロックピン60の頭部61を乗り越え難くなり、載置作業および取出作業に支障が生じるおそれがある。
【0033】
そこで、阻止部31の先端とロックピン60の頭部61との位置関係は、次のように決定することが望ましい。つまり、パレット40に載置された運搬用容器1が飛び跳ねたときに、阻止部31の先端がロックピン60の頭部61に下方から衝突し、運搬用容器1の飛び跳ねを阻止することができる条件(以下、飛び跳ね阻止条件という)と、運搬用容器1の載置作業および取出作業を行う際、阻止部31の先端がロックピン60の頭部61に引っ掛かった場合であっても、阻止部31の先端がロックピン60の頭部61を容易に乗り越え、載置作業および取出作業に支障が出ない条件(以下、作業条件という)とを満足するように、阻止部31の先端とロックピン60の頭部61との位置関係を決定する。
たとえば、上記の飛び跳ね阻止条件および作業条件を満足すれば、ロックピン60の頭部61の直下に阻止部31の先端が配置されており、かつ、ロックピン60の頭部61と阻止部31の先端との間に所定距離が置かれた位置関係でも良い。また、阻止部31の先端とロックピン60の頭部61の下面とが当接した位置関係でも良い。
【0034】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態の運搬用容器
ユニットを実施すれば、運搬用容器1をパレット40に載置して運搬するときに運搬用容器1が飛び跳ねた場合であっても、各切り欠き部30にそれぞれ設けられた阻止部31が保持部材51から突出したロックピン60の頭部61に下方から衝突することにより、その衝突時以上に運搬用容器1が飛び跳ねることを阻止することができる。
つまり、運搬用容器1が飛び跳ねたときに、阻止部31がロックピン60の頭部61に下方から衝突するように運搬用容器1をパレット40に載置するだけで良く、従来のように、運搬用容器1の飛び跳ねを阻止するためにバンドで運搬用容器1をパレット40に縛り付けたり、ボルト・ナットで運搬用容器1をパレット40に固定したりする作業を行う必要がない。
したがって、運搬用容器1が飛び跳ねないようにするための作業効率を良くすることができる。
しかも、上記のバンドやボルト・ナットが不要であるため、運搬用容器1が飛び跳ねないようにするための費用を低減することもできる。
【0035】
(2)しかも、上述した実施形態の運搬用容器
ユニットを実施すれば、運搬用容器1をパレット40に載置して運搬するときに運搬用容器1が水平方向に動いた場合であっても、各切り欠き部30にそれぞれ設けられた阻止部31または規制部33が保持部材51の側面に当接することにより、運搬用容器1の水平方向への動きを規制することができる。
つまり、運搬用容器1をパレット40に載置するだけで、運搬用容器1の水平方向への動きを規制する状態にすることができるため、運搬用容器1の水平方向への動きを規制するためにバンドで運搬用容器1をパレット40に縛り付けたり、ボルト・ナットで運搬用容器1をパレット40に固定したりする作業を行う必要がない。
したがって、運搬用容器1が水平方向へ動かないようにするための作業効率を良くすることができる。
しかも、上記のバンドやボルト・ナットが不要であるため、運搬用容器1が水平方向へ動かないようにするための費用を低減することもできる。
【0036】
(3)さらに、上述した実施形態の運搬用容器
ユニットを実施すれば、フランジ部12〜15が可撓性を有し、変形可能であるため、運搬用容器1の載置作業または取出作業を行う際に阻止部31の先端がロックピン60の頭部61に引っ掛かるような場合であっても、阻止部31が先端に形成されたフランジ部が撓んで変形することにより、阻止部31がロックピン60の頭部61を乗り越えるので、運搬用容器1の載置作業または取出作業に支障が生じることがない。
しかも、阻止部31の先端がロックピン60の頭部61に引っ掛からないように、わざわざ運搬用容器1をパレット40に対して斜めに挿入して載置する必要がなく、フォークリフトなどを使ってパレット40の真上から載置することができるため、載置作業効率を良くすることができる。
【0037】
(4)さらに、運搬用容器1の載置作業または取出作業を行う際に、規制部33の先端が支柱50につかえた場合であっても、規制部33が形成されたフランジ部が撓んで変形し、規制部33の先端が、つかえている部分を通過するので、作業性が悪くなるおそれがない。
【0038】
(5)さらに、上述した実施形態の運搬用容器
ユニットを実施すれば、保持部材51の角部のうち運搬用容器1に近い角部を囲む形状に切り欠き形成された切り欠き部30を各フランジ部12〜15の先端にそれぞれ設け、各切り欠き部30に阻止部31および規制部33をそれぞれ設けるという、運搬用容器1の形状の工夫により実現できる比較的簡易な構成により、運搬用容器1の飛び跳ねの阻止と、水平方向への動きの規制とを行うことができる。
したがって、阻止部31および規制部33を別体で製造して運搬用容器1に取付ける必要がないため、運搬用容器1が飛び跳ねず、かつ、水平方向に動かないようにするための費用を低減することができる。
【0039】
(6)各フランジ部12〜15は可撓性を有するため、運搬用容器1の載置作業または取出作業を行う場合に、各フランジ部12〜15が、ロックピン60の頭部61に引っ掛かったり保持部材51に当接した場合であっても、各フランジ部12〜15が撓んで変形するため、各切り欠き部30と保持部材51との間に形成される隙間を小さくしても載置作業または取出作業に支障が出るおそれがない。
したがって、運搬用容器1のデッドスペースを減少させることができるため、その分、各収容部20〜23を大きくすることができる。
(7)阻止部31が、運搬用容器1の飛び跳ねの阻止と、運搬用容器1の水平方向(Y方向)への動きの規制とを兼用することができる。つまり、運搬用容器1は、運搬用容器1の飛び跳ねを阻止する阻止部と、運搬用容器1の水平方向への動きを規制する規制部とを兼用した構造を有するため、阻止部および規制部を個別に設ける構成よりも構成を簡易化することができるので、製造コストを低減することができる。
【0040】
〈他の実施形態〉
(1)
図9は本発明の他の実施形態に係る運搬用容器
ユニットの断面図であって
図6に相当する断面図である。本実施形態の運搬用容器
ユニットに備えられた運搬用容器1は、第2フランジ部13の水平部13bの先端に阻止部31が設けられており、第3フランジ部14の先端に規制部33が設けられていることを特徴とする。この運搬用容器
ユニットを実施した場合も前述した実施形態の運搬用容器
ユニットと同様の効果を奏することができる。このように、運搬用容器1の跳ね上げの阻止と、水平方向への動きの規制とを行うことができれば、阻止部31および規制部33の形状および形成位置は限定されない。また、運搬用容器1の一部を利用して阻止部31を設けるのではなく、阻止部31を別部材として用意し、それを運搬用容器1の各フランジ部12〜15のうち、運搬用容器1が跳ね上がったときにロックピン60の頭部61などの突出部に下方から衝突可能な箇所に取付ける構成でも良い。さらに、運搬用容器1の一部を利用して規制部33を設けるのではなく、規制部33を別部材として用意し、それを運搬用容器1の各フランジ部12〜15のうち、運搬用容器1が水平方向に動いたときに保持部材51の周面に当接可能な箇所に取付ける構成でも良い。
【0041】
(2)
図10は本発明の他の実施形態に係る運搬用容器
ユニットの支柱55の周辺の横断面図であって
図7に相当する断面図である。パレット40には、横断面が円環状で中空円柱状の支柱55が立設されており、その周面55aからボルトの頭部62が突出している。ボルトの頭部62は、運搬用容器1の跳ね上げを阻止するための突出部として設けられたものである。また、第3フランジ部14の水平部14bおよび第2フランジ部13の水平部13bに隣接する角部に形成された切り欠き部30は、支柱55の周面55aの形状に対応した円弧状に形成されている。切り欠き部30のうち、ボルトの頭部62に近い部分が阻止部31として機能し、他の部分が規制部33として機能する。このように、運搬用容器1の跳ね上げの阻止と、水平方向への動きの規制とを行うことができれば、切り欠き部30の形状は限定されない。また、運搬用容器1の跳ね上げを阻止することができれば、ボルトの頭部62以外の部材を支柱55(50)に取付けても良い。
(3)前述した実施形態では、ロックピン60を操作することにより、柱52のロック状態が解除され、柱52が回動可能になる構造を説明したが、柱52を持ち上げることにより、ロックピン60(頭部61)によるロック状態が解除され、柱52が回動可能になる構造でも良い。また、ロックピン60を抜き差しすることにより、ロックピン60(頭部61)によるロック状態が解除され、柱52が回動可能になる構造でも良い。さらに、ロックピン60の頭部61と同等の作用効果を奏する突出部を支柱52に設ければ、ロック構造を備えないで柱52が上下に伸縮するのみの構造、あるいは、回動(下倒)するのみの構造など、パレットに立設する柱の伸縮・回動構造は特に限定されない。
【0042】
[特許請求の範囲と実施形態との対応関係]
ロックピン60の頭部61が請求項1に記載の突出部に、支柱50が柱状部材に、収容部20〜23が収容部に、フランジ部12〜15が張り出し部にそれぞれ対応する。