特許第6935907号(P6935907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6935907
(24)【登録日】2021年8月30日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】分注装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20210906BHJP
   B65D 39/00 20060101ALI20210906BHJP
   B67B 7/82 20060101ALI20210906BHJP
   B67B 7/80 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   G01N35/02 B
   B65D39/00 200
   B67B7/82
   B67B7/80
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-88004(P2017-88004)
(22)【出願日】2017年4月27日
(65)【公開番号】特開2018-185252(P2018-185252A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】591058127
【氏名又は名称】メディカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】月岡 浩康
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 勘一郎
(72)【発明者】
【氏名】月岡 康信
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−184168(JP,A)
【文献】 実開昭48−024857(JP,U)
【文献】 実公昭36−017885(JP,Y1)
【文献】 実開昭63−114995(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/02
B65D 39/00
B65D 52/11
B67B 7/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
採血管の蓋部の中心部に配置されたゴム材を貫通する針部と、前記針部の周囲から前記針部と同方向に延び、前記ゴム材と採血管上部との間を封止しているフィルム材を押圧して切断するリング状の刃部と、前記切断によって前記蓋部から分離された蓋中央部が前記針部から脱落することを防止する脱落防止部と、前記採血管に着脱自在に係合して前記採血管に栓をする栓部と、を有するキャップを備え、
前記キャップを着脱自在に保持可能であるとともに少なくとも上下方向に移動可能にされたキャップ保持機構と、前記採血管の挟持、挟持解除の切替が可能な採血管挟持機構と、を備え、
未開封の前記採血管の前記蓋部に前記キャップ保持機構が前記キャップを当接させて押圧することで前記フィルム材から前記蓋中央部を分離すること、
前記キャップが装着されている前記採血管を前記採血管挟持機構で挟持するとともに前記キャップを前記キャップ保持機構が保持して引き上げることで、前記キャップの装着を解除して開栓すること、
および、前記解除によって前記キャップ保持機構に保持された前記キャップを、前記キャップ保持機構が前記採血管に再装着して閉栓すること、
が可能にされており、
前記採血管を配列して保持する採血管ラックを更に備え、
前記採血管ラックには、各採血管を上下方向に向けて支えるとともに少なくとも前記採血管挟持機構で挟持される部位が弾性部材からなる採血管支持部が配列されていることを特徴とする分注装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床検査センター、製薬会社、病院等で使用されるキャップ、および、分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康診断などでは、採血管に検体(血液)を収容し、この検体を用いて分析や試験等の検査を行うことが広く行われている(例えば特許文献1参照)。未使用の採血管は予め真空にされていて、採取検体(採取血液)が注射針を経由して採血管内に収容されることが多い。そして、分析や試験を行った後、採血管内の検体は、通常、廃棄される。
【0003】
このような検査で検体を使用する際、採血管に貼り付けられているフィルム状の蓋部を剥がす作業を行う必要がある。一方、二次検査や再検査を行う可能性があるときには、採血管内の検体を保存しておく必要がある。それゆえ、この保存を行う必要があるときには、人手で採血管にゴム栓をして保存している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−247201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、蓋部を剥がす作業や栓をする作業にかかる時間は、特に検体数(採血管数)が多いときには大幅に増大してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、開栓後に採血管内の検体を再保存でき、かつ、検査にかかる作業時間を短縮することができるキャップおよび分注装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るキャップは、採血管の蓋部の中心部に配置されたゴム材を貫通する針部と、前記針部の周囲から前記針部と同方向に延び、前記ゴム材と採血管上部との間を封止しているフィルム材を押圧して切断するリング状の刃部と、前記切断によって前記蓋部から分離された蓋中央部が前記針部から脱落することを防止する脱落防止部と、前記採血管に着脱自在に係合して前記採血管に栓をする栓部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る分注装置は、請求項1に記載のキャップを着脱自在に保持可能であるとともに少なくとも上下方向に移動可能にされたキャップ保持機構と、前記採血管の挟持、挟持解除の切替が可能な採血管挟持機構と、を備え、未開封の前記採血管の前記蓋部に前記キャップ保持機構が前記キャップを当接させて押圧することで前記フィルム材から前記蓋中央部を分離すること、前記キャップが装着されている前記採血管を前記採血管挟持機構で挟持するとともに前記キャップを前記キャップ保持機構が保持して引き上げることで、前記キャップの装着を解除して開栓すること、および、前記解除によって前記キャップ保持機構に保持された前記キャップを、前記キャップ保持機構が前記採血管に再装着して閉栓すること、が可能にされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開栓後に採血管内の検体を再保存でき、かつ、検査にかかる作業時間を短縮することができるキャップおよび分注装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る分注装置の全体斜視図である。
図2】(a)および(b)は、それぞれ、採血管の斜視図および側面断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るキャップの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る分注装置の採血管ラックおよび採血管挟持機構を示す斜視図である(採血管は例として1本のみ描画)。
図5】本発明の一実施形態に係る分注装置の採血管ラックおよび採血管挟持機構を示す斜視図である(採血管は例として1本のみ描画)。
図6】本発明の一実施形態に係る分注装置で採血管挟持機構を説明する斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る分注装置の採血管挟持機構を説明する側面図である(採血管は例として1本のみ描画)。
図8】(a)〜(d)は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る分注装置のキャップ保持機構でキャップを採血管に着脱させることを説明する工程毎の模式的な側面断面図である。
図9】(e)〜(g)は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る分注装置のキャップ保持機構でキャップを採血管に着脱させることを説明する工程毎の模式的な側面断面図である(なお、図8図9で一連の動作を示している)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を挙げ、添付図面(図1図9)を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、説明の都合上、分注装置を正面側から見て、左右方向をX方向、前後方向をY方向、上下方向をZ方向、と適宜にいう。
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施形態(以下、本実施形態という)に係る分注装置10は、本実施形態に係るキャップ12(図3)を用いて採血管Vの開栓、閉栓を行う装置である。
【0013】
(キャップ)
図3図8図9に示すように、キャップ12は、キャップ中心からキャップ内側へ延び出す針部14と、針部14の周囲から針部14と同方向に延び出すリング状の刃部16とを備える。針部14は、採血管V(図2参照)の蓋部Vjの中心部Vcに配置されたゴム材Vgを貫通するためのものであり、刃部16は、ゴム材Vgと採血管上部との間を封止しているフィルム材Vfを押圧して切断するためのものである。
【0014】
また、キャップ12は、この切断によって蓋部Vjから分離された蓋中央部Vp(図9参照)が針部14から脱落することを防止する脱落防止部18と、採血管Vの上部の外周部Veに着脱自在に係合(装着)して採血管Vに栓をする栓部20とを備える。
【0015】
更にキャップ12は、被保持部22を外周側に備える。被保持部22は、隣接する上側や下側に比べて径が小さい凹部22dを備えており、後述するキャップ保持機構40の爪部58によって保持される構造にされている。
【0016】
図3図8図9に示すように、本実施形態では刃部16が鋸刃状であり、刃部16がフィルム材Vfに上方から当接して押圧することで、フィルム材Vfを容易に切断できる構造にされている。
【0017】
また、本実施形態では、脱落防止部18として、針部14の途中に配置され、ゴム材Vgが針先端側へ移動することを防止するストッパ24が設けられている。本実施形態では、針部14は、基端側から延び出す針ベース部14bと、針ベース部14bの先端側に連続している針先端部14tとを有している。そしてこの両者の連続位置では、針先端部14tの径が針ベース部14bの径よりも大きくされて段差25が形成されており、上記のストッパ24はこの段差25を有することでゴム材Vgが針ベース部14bから針先端部14tへ移動することを規制している。
【0018】
また、栓部20は、針部14と同方向に延び出す短筒部20pを有しており、短筒部20pは、蓋裏に付着した検体の飛散を防止する保護壁としての役割を果たすとともに、人手によりキャップ12の短筒部20pの外周部をつかむ時、刃部16及び針部14からの怪我防止用ガードとしての役割も果たす。また、短筒部20pの下端部には、内側へ薄肉状に張り出す薄肉規制部20r(図3図8図9参照)が形成されている。採血管Vに栓をしているときでは採血管Vの上部の外周部下端Vebよりも下方に薄肉規制部20rが位置しており(図9(e)参照)、採血管Vからキャップ12を引き上げて栓を外すときには薄肉規制部20rが外周部下端Vebよりも広がって外周部下端Vebよりも上方に引き上げられる構造になっている。
【0019】
(分注装置)
分注装置10は、正面側に操作パネル28とテーブル30を備えている。このテーブル30には、キャップ12が配列されるキャップラック32と、採血管Vが配列される採血管ラック34と、チューブTUが配列されるチューブラック36と、各チューブTUへの分注を行う際に用いるチップTPが配列されたチップラック38とを並べて配置できる。本実施形態では、採血管ラック34には、弾性部材(ゴム材など)からなり各採血管Vを上下方向に向けて支える採血管支持部35が配列されている。
【0020】
そして分注装置10は、キャップ12を下端側で着脱自在に保持可能なキャップ保持機構40(キャップヘッド)と、採血管Vの挟持、挟持解除の切替が可能な採血管挟持機構42と、開栓された採血管V内の検体を吸引して分注する分注ヘッド44(サンプリングヘッド)とを備える。
【0021】
(キャップ保持機構)
図1に示すように、分注装置10は、Y方向に延び出していてX方向に移動可能なX方向移動部50と、X方向移動部50に保持されY方向に移動可能なY方向移動部52と、Y方向移動部52に保持されZ方向(上下方向)に移動可能なZ方向移動部54とを備えている。キャップ保持機構40はZ方向移動部54に取付けられている。
【0022】
キャップ保持機構40は、2つの爪部58(図8図9参照)を先端側に有しており、キャップ12の保持、保持解除の切替が可能になっている。具体的には、保持するときには、2つの爪部58の間隔(爪部間隔)を広げてキャップ保持機構40が下降し、爪部58を凹部22dと同じ高さ位置に到達させ、この高さ位置で爪部間隔を狭めることで各爪部58をキャップ12の凹部22dに当接させて保持(あるいは挟持)する。保持解除するときは、保持状態で爪部間隔を広げる。
【0023】
(採血管挟持機構)
また、本実施形態では、採血管ラック34の配置位置の下方側に採血管挟持機構42(図1図4図7参照)が配置されている。
【0024】
採血管挟持機構42は、採血管ラック34に支持されてX方向に一列に並んだ採血管Vを挟持する2枚の挟持板60を備えている。各挟持板60の下部は、それぞれ、引張コイルバネ62で互に近づく方向に付勢されている。そして2枚の挟持板60の両サイド側に回動軸保持部材64が立設しており、各挟持板60は、やや上部位置で回動軸保持部材64によって回動軸66まわりに回動可能なように保持されている。
【0025】
そして、採血管挟持機構42は、2枚の挟持板60の間隔を調整することで、採血管Vの挟持、挟持解除を切り替える挟持板間隔調整機構70と、挟持板間隔調整機構70を昇降動(上下動)させる挟持板昇降動機構72と、挟持板昇降動機構72を前後動(Y方向移動)させる挟持板前後動機構74とを備える。挟持板間隔調整機構70は挟持用開閉駆動モータ71を駆動源として備え、挟持板昇降動機構72は昇降駆動モータ73を駆動源として備え、挟持板前後動機構74は前後駆動モータ75を駆動源として備える(図4図7参照)。
【0026】
図7に示すように、挟持板間隔調整機構70は、上述した挟持用開閉駆動モータ71と、挟持用開閉駆動モータ71に巻き掛けられた挟持用駆動ベルト80と、挟持用駆動ベルト80が巻き掛けられているカム82とを備える。そしてカム82のY方向両サイド側に挟持板60がそれぞれ当接している。
【0027】
カム82は、円盤部82dと、円盤部82dの外周部であって円盤部回動中心82cを挟む位置に配置された2つのローラ82rとを備えている。そして、2つのローラ82rの高さ位置が同じとき(Z方向位置が同じとき、すなわち、Y方向に並んだとき)にはカム82はY方向両側の各挟持板60に当接してカム82のY方向長さが最大となり(図7参照)、カム82のY方向長さが円盤部82dの径と同じになるようにローラ82rが位置しているときにはカム82のY方向長さが最小となる。すなわち、カム82のY方向長さが長いときには各挟持板60の上端を構成する各挟持爪60nの間隔が狭くなって挟持可能状態となり、カム82のY方向長さが小さいときには各挟持爪60nの間隔が広くなって挟持解除状態となる。
【0028】
(分注ヘッド)
また、分注装置10は、Y方向に延び出していてX方向に移動可能なX方向移動部90と、X方向移動部90に保持されY方向に移動可能なY方向移動部92と、Y方向移動部92に保持されZ方向(上下方向)に移動可能なZ方向移動部94とを備える。分注ヘッド44はZ方向移動部94に取付けられており、チップTPを装着して検体吸引および分注を行う。
【0029】
(作用、効果)
本実施形態では、分注装置10のテーブル30に、未使用のキャップ12が配列されたキャップラック32と、検体収容済の採血管Vが配列された採血管ラック34と、未使用のチューブTUが配列されたチューブラック36と、未使用のチップTPが配列されたチップラック38とを並べて配置する。そして、分注装置10の制御部(図示せず)によって以下のステップ1〜8の動作が繰り返し行われる。
【0030】
まず、分注ヘッド44(サンプリングヘッド)がチップラック38上に移動してチップTPを装着する(ステップ1)。
【0031】
次に、キャップ保持機構40(キャップヘッド)がキャップラック32上に移動してキャップ12を保持する(ステップ2。図8(a)および(b)参照)
【0032】
また、両挟持板60が上昇し、両挟持爪60nで採血管支持部35を介して採血管Vを挟持する(ステップ3)。
【0033】
そして、キャップ保持機構40が採血管Vにまで移動(図8(c)参照)して採血管Vを開栓する(ステップ4。図8(d)、図9(e)〜(g)参照)。
【0034】
更に、この開栓した採血管Vにまで分注ヘッド44が移動し、下降することでチップTPを採血管Vに挿入し、検体を吸引する(ステップ5)。
【0035】
続いて、分注ヘッド44が分注先(チューブラック36に保持された各チューブ)にまで移動して分注する(ステップ6)。
【0036】
そして、キャップ保持機構40が、ステップ5で開栓した採血管Vの直上へ移動して下降し、保持しているキャップ12を採血管Vに再装着することで閉栓する(ステップ7)。
【0037】
更に、分注ヘッド44がチップ廃棄ボックス98(図1参照)にまで移動し、保持している使用済のチップTPを廃棄する(ステップ8)。なお、キャップ12を再装着した採血管は、冷蔵庫等で保管する。
【0038】
ここで、ステップ4の開栓をやや詳細に説明する。ステップ4では、キャップ保持機構40を下降させることでキャップ12の針部14の先端を採血管Vの蓋部Vjのゴム材Vgの中心に当接させる。そしてキャップ保持機構40が下降を続けることで、針部14がゴム材Vgを貫通し、更に、刃部16が蓋部Vjのフィルム材Vfを貫通することで蓋中央部Vpを蓋部Vjから切断して分離する(ステップS5。図9(e)参照)。その際、キャップ12を装着位置にまで下降させてもよいが、蓋中央部Vpが蓋部Vjから分離して段差25よりも上方へ位置する限り、装着位置にまで下降させなくてもよい。
【0039】
その後、キャップ保持機構40が上昇することで、キャップ12が採血管Vから外れて開栓状態となる(図9(f)および(g)参照)。
【0040】
以上説明したように、本実施形態では、キャップ12が、針部14と刃部16と栓部20を有し、また、刃部16によって分離された蓋中央部Vpが、針部14から脱落することが脱落防止部18で防止されている。従って、開栓後に採血管内の検体を再保存でき、かつ、検査にかかる作業時間を短縮することができるキャップ12が実現される。しかも、キャップ12の着脱は1回だけでなく多数回にわたって着脱させることができる。
【0041】
そして、脱落防止部18として、ゴム材Vgが針先端側へ移動することを防止するストッパ24が設けられ、このストッパ24が、針先端部14tの径が針ベース部14bの径よりも大きくされた段差25を有することでこの移動が防止されている。従って、簡易な構成の脱落防止部18(ストッパ24)にすることができる。
である。
【0042】
また、キャップ12を使用することにより、採血管Vの開栓時には従来のように人手で蓋を剥がさなくても済むので、開栓時における検体飛散や周囲への汚染防止、コンタミネーションの防止、としても有用な効果が得られる。
【0043】
また、刃部16が鋸刃状であり、刃部16がフィルム材Vfに上方から当接して押圧されることで、フィルム材Vfを容易に切断できる構造にされている。
【0044】
また、分注装置10は、キャップ保持機構40と採血管挟持機構42とを備えている。そして分注装置10は、未開封の採血管Vの蓋部Vjにキャップ保持機構40がキャップ12を当接させて押圧することで、採血管Vのフィルム材Vfから蓋中央部Vpを分離することができる。そして、キャップ12が装着されている採血管Vを採血管挟持機構42で挟持するとともにキャップ12をキャップ保持機構40が引き上げることで、キャップ12の装着を解除して開栓することができる。更に、分注作業などの終了後に、この解除によってキャップ保持機構40に保持されたキャップ12を、キャップ保持機構40が採血管Vに再装着することで閉栓することができる。従って、採血管Vのキャップ12をキャップ保持機構40が容易に短時間で外すこと(容易に装着解除させること)ができ、その上、採血管Vの検体を簡単に再保存しつつ、分注作業を効率良く短時間で実施していくことができる。
【0045】
また、分注装置10は採血管ラック34を備え、採血管ラック34には、弾性部材からなる採血管支持部35が配列されている。従って、採血管挟持機構42で挟持した際に採血管Vに過大な挟持力が加えられることが効果的に回避されている。
【0046】
なお、本実施形態では、キャップ保持機構40および分注ヘッド44がX方向、Y方向およびZ方向に移動する例で説明したが、キャップ保持機構40および分注ヘッド44がZ方向に移動し、テーブル30がX方向、Y方向に移動する構成にすることも可能である。
【0047】
また、特に刃部16、針部14、薄肉規制部20r、栓部20の距離(上下方向長さ)を長く取ることで、人手で採血管にキャップをセットすることにより装置側のキャップラックが不要となり省スペースの装置にすることができる。
【0048】
また、キャップ各部(針部14、刃部16、栓部20など)の寸法や、段差25の位置などは、採血管各部の寸法などに応じて適宜に変更することができる。
【0049】
また、キャップ12の材質を滅菌対応にすることにより、使用後に高温の蒸気滅菌を行うことでキャップ12の再利用が可能になる。
【0050】
以上、実施形態を説明したが、これらの実施形態は本発明の技術的思想を具体化するための例示であって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を上記実施形態に特定するものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【符号の説明】
【0051】
10 分注装置
12 キャップ
14 針部
16 刃部
18 脱落防止部
20 栓部
34 採血管ラック
35 採血管支持部
40 キャップ保持機構
42 採血管挟持機構
V 採血管
Vj 蓋部
Vc 中心部
Vg ゴム材
Vf フィルム材
Vp 蓋中央部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9