(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6936006
(24)【登録日】2021年8月30日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】延長ノズル付き吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/30 20060101AFI20210906BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20210906BHJP
B65D 25/48 20060101ALI20210906BHJP
B05B 11/00 20060101ALN20210906BHJP
【FI】
B65D83/30 100
B65D23/00 B
B65D23/00 S
B65D25/48 B
!B05B11/00 101B
!B05B11/00 101E
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-255531(P2016-255531)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-104077(P2018-104077A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】砂川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−184088(JP,A)
【文献】
特開2006−282197(JP,A)
【文献】
特開2008−272611(JP,A)
【文献】
実開昭62−127956(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/30
B65D 23/00
B65D 25/48
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(2)から起立されたノズルヘッド(12)より側外方へノズル筒(12d)が突設された主要部材(1)と、
前記ノズル筒(12d)の先端部へ嵌合された管壁(16)を含む延長ノズル(14)と、
前記ノズルヘッド(12)の上側へ嵌着されたヘッドカバー(32)を有するとともに、このヘッドカバー(32)から前記ノズル筒(12d)の上面に添って延びる連結アーム(40)の先部(40a)と前記延長ノズル(14)の基端(E1)側とをヒンジ(43)を介して一体に連結し、このヒンジ(43)を中心として回動可能に設けられたアダプタ(30)と、
を具備する延長ノズル付き吐出容器において、
前記ヘッドカバー(32)は、ほぼ円板状の天板(33)の外周部からノズルヘッド(12)への嵌着用の小径の嵌合筒部(36)と引上げ操作用の大径の操作筒部(34)とを垂下し、
前記嵌合筒部(36)にノズル挿通用の切欠き(36a)を形成するとともに、切欠き(36a)を介して突出するノズルを通過させるための開口を操作筒部(34)に設け、当該開口から連結アーム(40)を延出しており、
前記嵌合筒部(36)を前記ノズルヘッド(12)に嵌着するとともに、前記操作筒部(34)を引き上げることで、前記嵌合筒部(36)をノズルヘッド(12)から離脱させることができるように形成したことを特徴とする、延長ノズル付き吐出容器。
【請求項2】
前記アダプタ(30)のヘッドカバー(32)をノズルヘッド(12)に、またアダプタ(30)の連結アーム(40)にヒンジ(43)を介して連結された延長ノズル(14)を、ノズル筒(12d)にそれぞれ着脱自在に嵌合させ、
前記ヒンジ(43)を中心とする回動により、ノズルヘッド(12)に対するヘッドカバー(32)の着脱ができるように設けたことを特徴とする、請求項1記載の延長ノズル付き吐出容器。
【請求項3】
前記延長ノズル(14)の基部を、管壁(16)の内面が段差(S)を介して拡径する大内径部(20)に形成するとともに、この大内径部(20)の外面に連結アーム(40)の先部(40a)とをヒンジ(43)を介して連結し、ノズル筒(12d)の先部(40a)が前記段差(S)に突き当たった状態で前記ヘッドカバー(32)がノズルヘッド(12)に嵌合されるように形成したことを特徴とする、請求項2記載の延長ノズル付き吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延長ノズル付き吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器体から起立されたノズルヘッドの側面から側外方へノズル筒を突出した吐出容器はよく知られているが、ノズル筒の先端から内容物が垂れて容器体に付着すると都合が悪い。しかしながら、ノズル筒の突出長を長くすると、商品の流通時などに嵩張るなどの問題を生ずる。
そこでノズル筒付きの吐出容器と別体として、延長ノズルを用意し、容器の使用時にノズル筒の先端部に嵌合するようにしたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−105720
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の延長ノズル付き吐出容器は、使用時に不意に他物が延長ノズルに触れたときに、当該延長ノズルがノズルヘッドのノズル筒から脱落してしまう可能性がある。
これを回避するために、ノズル筒の先端部に対して延長ノズルが固嵌めされるように延長ノズルの基端部の内径を、ノズル筒の先端部の外径に対してきつめに設計することもできるが、この場合には、延長ノズルをノズルヘッドから取り外して、これらを洗浄しようとするときに、容易に取り外しできなくなり、不便である。
【0005】
本発明の一つの目的は、延長ノズル付きの吐出容器において、ノズルヘッドのノズル筒から延長ノズルが不意に脱落することを防止することであり、他の目的は、ノズルの洗浄などのために延長ノズルをノズルヘッドから取り外そうとするときには取り外し作業を容易に行うことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、 容器体2から起立されたノズルヘッド12より側外方へノズル筒12dが突設された主要部材1と、
前記ノズル筒12dの先端部へ嵌合された管壁16を含む延長ノズル14と、
前記ノズルヘッド12の上側へ嵌着されたヘッドカバー32を有するとともに、このヘッドカバー32から前記ノズル筒12dの上面に添って延びる連結アーム40の先部40aと前記延長ノズル14の基端E1側とをヒンジ43を介して一体に連結し、このヒンジ43を中心として回動可能に設けられたアダプタ30と、
を具備する延長ノズル付き吐出容器において、
前記ヘッドカバー32は、
ほぼ円板状の天板33の外周部から
ノズルヘッド12への嵌着用の小径の嵌合筒部36と
引上げ操作用の大径の操作筒部34
とを垂下し、
前記嵌合筒部36にノズル挿通用の切欠き36aを形成するとともに、切欠き36aを介して突出するノズルを通過させるための開口を操作筒部34に設け、当該開口から連結アーム40を延出しており、
前記嵌合筒部36を前記ノズルヘッド12に嵌着するとともに、前記操作筒部34を引き上げることで、前記嵌合筒部36をノズルヘッド12から離脱させることができるように形成した。
【0007】
本手段では、
図2に示すように容器体2から起立されたノズルヘッド12より側外方へノズル筒12dが突設されたパーツを主要部材1とし、かつノズル筒12dの先端部に延長ノズル14を嵌合させた構造において、延長ノズルの脱落防止用のアダプタ30を設けることを提案している。このアダプタ30は、ノズルヘッド12に嵌着されたヘッドカバー32を含む。そしてこのヘッドカバー32から延びる連結アーム40の先部40aを、前記延長ノズル14の基端E1側にヒンジ43を介してアダプタ30の回動可能に連結している。
また本手段では、
図2に示すように、ヘッドカバー32は、
ほぼ円板状の天板33の外周部から
ノズルヘッド12への嵌着用の小径の嵌合筒部36と
引上げ操作用の大径の操作筒部34を垂下することを提案している。前記嵌合筒部36は前記ノズルヘッド12に嵌着させるものとする。そして前記操作筒部34を引き上げることにより、前記嵌合筒部36をノズルヘッド12から容易に離脱させることができる。また手先の不自由な利用者にとっては押下げ操作をする箇所が狭いと操作がしにくい場合があるが、本手段の構成では、ノズルヘッド12に対してヘッドカバー32が大径になるので、押下げ操作が容易である。
【0008】
「延長ノズル」とは、ノズルヘッドに付設されたノズル筒の吐出流路を長くするためにノズル筒の先部に取り付けられるノズルを言うものとする。上方から見て容器体の輪郭よりも外方へ長く突出したタイプ(ロングノズル)が典型であるが、必ずしもこれに限られるものではない。
「主要部材」とは、本発明の容器の構成のうちで延長ノズル及びアダプタを除く部分という程度の意味であり、少なくとも容器体とノズルヘッドとを含む部材であれば足りる。図示例では、ポンプ機構を内蔵したポンプ容器を挙げているが、例えばエアゾール式吐出容器であっても良い。
「ノズルヘッド」とは、ノズル筒を有するヘッドという意味である。図示のポンプ式容器においては、押下げて操作する押下げヘッドを例示している。しかしながら、エアゾール容器の場合には、周知のように押し下げて操作するヘッドの他に、側方(通常はノズルを開口する方向)にヘッドを傾けるいわゆるチルトタイプのヘッドが用いられており、いずれもノズルヘッドに含まれる。
「アダプタ」は、前記ノズルヘッドに装着する部材である。ノズルヘッドに対して着脱自在に装着するものが代表例であるが、本手段においては、ノズルヘッドに対して取り外し不能に装着されるものも除外されない。
「ノズルカバー」は、ノズルヘッドの全部または一部を覆うように形成されている。
「ヒンジ」は、ノズルヘッドへの装着用のアダプタと延長ノズルとを一体に連結することにより、延長アダプタの脱落を防止している。
【0009】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
前記アダプタ30のヘッドカバー32をノズルヘッド12に、またアダプタ30の連結アーム40にヒンジ43を介して連結された延長ノズル14を、ノズル筒12dにそれぞれ着脱自在に嵌合させ、
前記ヒンジ43を中心とする回動により、ノズルヘッド12に対するヘッドカバー32の着脱ができるように設けた。
【0010】
本手段では、前記ヒンジ43を中心とする回動により、ノズルヘッド12に対するヘッドカバー32の着脱ができるように設けている。
この構成によれば、主要部材1にアダプタ30及び延長ノズル14を組み付ける際には、まず延長ノズル14の基端E1内へノズル筒12dを差し込ませ(
図4参照)、次に同図の状態からノズルカバー32をノズルヘッド12の上に倒す如く回動させて、ノズルヘッド12に嵌着させればよい。このように組み付け作業を一連の動作としてスムーズに行うことができるから使い勝手が大変よい。
また使用後に内容物を洗浄するときには、前記一連の動作を逆の手順で行うことにより、主要部材1からアダプタ30及び延長14を手際良く取り外すことができる。
【0011】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ
前記延長ノズル14の基部を、管壁16の内面が段差Sを介して拡径する大内径部20に形成するとともに、この大内径部20の外面に連結アーム40の先部40aとをヒンジ43を介して連結し、ノズル筒12dの先部40aが前記段差Sに突き当たった状態で前記ヘッドカバー32がノズルヘッド12に嵌合されるように形成した。
【0012】
本手段では、
図2に示す如く、延長ノズル14の基部を、管壁16の内面が段差Sを介して拡径する大内径部20に形成し、ノズル筒12dの先部40aが前記段差Sに突き当たることにより、延長ノズル14の位置決めができるように設けている。こうした段差がなく利用者の目分量で延長ノズル14内へノズル筒12dを挿入する場合には、ヘッドカバー32をノズルヘッド12に嵌合させたときに、その挿入深さが大きすぎてヒンジ43がたるんだりする可能性がある。これに対して、本手段の構成では、ノズルヘッド12に対する延長ノズル14の基端E1を適正な位置にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
第1の手段に係る発明によれば、ノズルヘッド12のノズル筒12dに延長ノズル14を連結した構成において、ノズルヘッド12の上面に嵌着されたヘッドカバー32から延びる連結アーム40の先部40aを、前記延長ノズル14の基端E1にヒンジ43を介して回動可能に連結したから、延長ノズル14の脱落を防止できる。
また第1の手段に係る発明によれば、
ほぼ円板状の天板33の外周部からノズルヘッド12への嵌着用の小径の嵌合筒部36及び
引上げ操作用の大径の操作筒部34を垂下したから、操作筒部34を引き上げることで、前記嵌合筒部36をノズルヘッド12から容易に離脱させることができ、操作し易いとともに、押下げ操作をする範囲が広がるので、操作性がよい。
第2の手段に係る発明によれば、前記ヒンジ43を中心とする回動により、ヘッドカバ
ー32をノズルヘッド12に対して着脱することができるから、アダプタ30及び延長ノズル14の主要部材1への組み付け及び取り外しが容易であり、延長ノズル14の洗浄も簡単に行うことができる。
第3の手段に係る発明によれば、ノズル筒12dの先部40aが前記段差Sに突き当たった状態で前記ヘッドカバー32がノズルヘッド12に嵌合されるように形成したから、利用者がどの程度まで延長ノズル14をノズル筒12dにどの程度嵌め込めれば良いかが明確となり、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る延長ノズル付き吐出容器の平面図である。
【
図2】
図1の吐出容器の一部を断面で示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
主要部材1は、従来公知の構成であり、本実施形態ではポンプ機構を内蔵した吐出容器として構成されているが、前述の通り、この構造は適宜変更することができる。図示例の主要部材1は、容器体2と、図示しないポンプシリンダと、装着キャップ4と、補助キャップ6と作動部材8とで構成されている。
容器体2は、胴部から図示しない口頸部を起立している。
装着キャップ4は、前記口頸部の外面に嵌合された装着筒4aの上端から内向きフランジ4bを内方突出している。
ポンプシリンダは、シリンダ周壁の上端に付設した鍔状のフランジ部を有し、このフランジ部を口頸部と内向きフランジ4bとの間に挟持させることで、容器体2内に支持されている。ポンプシリンダの下部からは液体吸い上げパイプが垂下されており、かつポンプシリンダの下部に第1逆止弁が設けられている。
補助キャップ6は、作動部材8の抜け止め手段であり、キャップ周壁の下半部をポンプシリンダの上部内に嵌合するとともに、上半部外面にネジ部を形成し、かつキャップ周壁の上半部から外向きフランジ6aを外方突出している。
作動部材8は、前記ポンプシリンダの内面を摺動する筒状ピストンを下部に有するとともに、前記補助キャップ6から起立するステム10の上端のノズルヘッド12を付設している。ノズルヘッド12はヘッド頂壁12aの裏面中央部から、前記ステムに好ましくは着脱自在に取り付ける取付筒部(図示せず)を垂下するとともに、ヘッド頂壁12aの外周部から大径のヘッド周壁12b及び小径の補助周壁12cを垂下している。この補助周壁12cは、図示例では前記補助キャップ6のキャップ周壁の上半部に螺合可能に形成している。ヘッド周壁12bの前面からは、前記ステム10に連通するノズル筒12dを前方突出している。
なお、本明細書において、便宜的に、
図2の左方(ノズル筒を突出する方向)を“前”、同図の右方を“後”というものとする。
作動部材8の内部には、第2逆止弁(図示せず)が形成されており、容器体2に対する作動部材8の昇降により、容器体2内の液体を、第1逆止弁を介してポンプシリンダ内へ吸い込むとともに、ポンプシリンダ内の液体を、第2逆止弁を介してノズル筒12dから外部へ吐出するように形成している。なお、容器の内容物は液体に限定されない。
【0018】
延長ノズル14は、
図2に示すように、その延長ノズル14の基端E1側を前記ノズル筒12dの先端部側に嵌合してなり、内容物の吐出流路を延長する役割を有する。本実施形態の延長ノズル14は、少なくとも管壁16とこの管壁16の基端寄りに付設された鍔部22とを有する。
図示例において、管壁16は長手方向中間部に屈曲部18を有し、この屈曲部18より基端E1側では前下方へ傾斜し、屈曲部18より先端E2側では垂直に垂下している。もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
また本実施形態では、管壁16の基部(基端E1近傍の管壁部分をいう)を、
図2に示すように、基部以外の管壁部分から段差Sを介して拡径する大内径部20に形成している。延長ノズル14を、ノズル筒12dの先端部に嵌合させるときには、この先端部が前記段差Sに突き当たるまで延長ノズル14を嵌合させればよい。これにより、ノズル筒12d及びヘッドカバー32に対する延長ノズル14の位置決めをすることができ、ノズル筒12dへの延長ノズル14の嵌合長さが長すぎてノズルヘッド12にヘッドカバー32をセットしたときにヒンジがたるんだり、逆に嵌合長さが短すぎて、ノズルヘッド12にヘッドカバー32をスムーズに嵌合させることができないという不具合がなくなる。
前記鍔部22は、管壁16とノズル筒12dとのヒンジ連結する箇所の近傍に補強のために設けられている。図示例では、
図1に示す如く、鍔部22の上側を切割りし、この切割り箇所に後述のヒンジ43を連結している。
【0019】
アダプタ30は、延長ノズルの取り付けを補助する治具であり、ヘッドカバー32と、連結アーム40とを有する。これら両者は一体に成形することが好適である。
【0020】
前記ヘッドカバー32は、ノズルヘッド12より大径
でほぼ円板状の天板33を有し、この天板33の外周部から足の短い大径の
引上げ操作用の操作筒部34及び足の長い小径の嵌合筒部36を2重筒状に垂下しており、また天板33の中央部から押下げ用筒部38を垂下している。
前記嵌合筒部36は、ノズルヘッド12のヘッド周壁12bの外面に嵌合されている。前記嵌合筒部36の筒壁の前部には切欠き36aが形成されており、前記ヘッド周壁12bへの嵌合状態で切欠き36a内をノズル筒12dが挿通するように形成されている。また嵌合筒部36の下端部内面には、ヘッド周壁12bの下端面に係合可能な係合リブ36bが付設されている。
前記操作筒部34は、その下面に指を掛けてヘッドカバー32を引き上げるための手段である。図示例では、操作筒部34の前壁部を開口して、この開口箇所から連結アーム40が前方へ延出している。
前記押下げ用筒部38は、嵌合筒部36をヘッド周壁12bに嵌合させた状態で、押下げ用筒部の筒壁下端がノズルヘッド12のヘッド頂壁12aの上面に当接するように形成している。
【0021】
前記連結アーム40は、前記操作筒部34の前部からノズル筒12dに添って前方へ突設されている。“添って”という用語は、
図2に示すようにノズル筒12dの外面に連結アーム40がぴったりと接している構成に限定する意味ではなく、図示はしないが連結アーム40とノズル筒12dとの間には隙間が存在してもよい。
また好適な図示例では、連結アーム40は、突設方向から見て断面逆U字形の曲り板部に形成されている。これにより連結アーム40の剛性が高まる。連結アーム40を含むアダプタ30を、可撓性のある材料で形成することができる。この明細書でU字状というときには、円弧状を含み、例えば下側が浅くくぼんだ形状を含むものとする。
【0022】
前記連結アーム40の先部40aは、ヒンジ43を介して前記延長ノズル14の鍔部22の近傍(図示例では鍔部の切割り箇所)に連結されており、これにより、ヒンジ43を中心としてアダプタ30が前後方向に回転可能に形成している。図示例のヒンジ43は、一本の帯状の肉薄ヒンジであり、アダプタ30と延長ノズル14とがヒンジ43を介して一体成形されている。これにより延長ノズル14及びアダプタ30を一パーツで成形することができ、製造コストを廉価にすることができる。もっともこの構造は適宜変更することができ、例えば、延長ノズル14とアダプタ32との間のヒンジ43構造を、スナップ性のあるヒンジ等を採用することもできる。
【0023】
上記構成において、前述の主要部材1に延長ノズル14及びアダプタ30を組み付けるときには、予めヒンジ43を中心としてアダプタ30を延長ノズル14の基端E1の上側へ回動させておき、この延長ノズル14の基端E1をノズル筒12dの先端部の前方へ位置させて後方へ押し込むことで、
図4に示すように、延長ノズル14の基端E1内へノズル筒12dを嵌挿させ、次に
図4の状態から、
図2に想像線で示すように、ノズルカバー32をヒンジ43を中心に後方へ回動させてノズルヘッド12の上側へ嵌着させればよい。延長ノズル14を後方へ押し込み、次にヘッドカバー32を後方へ回動すればよいので、一連の動作を円滑に行うことができる。
これらの作業において、延長ノズル14の基端E1側をノズルヘッド12のノズル筒12dへ押し込む際には、ノズル筒12dの先端部が延長ノズル14内の段差Sに突き当たるときの触感によって利用者は十分にノズル筒12dが嵌入されたことを理解できる。
アダプタ30を可撓性材料で形成したときには、
図2に想像線で示す状態から、ノズルカバー32をノズルヘッド12へ嵌着させる際に、連結アーム40が撓むと同時に切欠き36aを設けた嵌合筒部36が容易に拡開するので、嵌着作業がよりスムーズとなる。
【0024】
図2の状態でアダプタ30の連結アーム40と延長ノズル14の鍔部22とがヒンジ43を介して連結しているので、延長ノズル14が不意に脱落することを防止できる。この状態でヘッドカバー32の天板33を押下げると、押下げ用筒部38を介してノズルヘッド12が押し下げられ、ポンプシリンダ内の液体がノズル筒12dを経て延長ノズル14から吐出される。ヘッドカバー32は、ノズルヘッド12より大径であるので、前述の通り手先が不自由な利用者にとっても、押下げ作業を確実に行える。
【0025】
使用後に延長ノズル14を洗浄するときには、
図2の状態から操作筒部34の後壁部に指を掛けて引き上げるとよい。この後壁部は、嵌合筒部36よりも後方に、すなわち、係止部42から見て遠くにあるから、操作筒部34の後壁部を力点、ヒンジ43を支点、ノズルヘッド12への嵌合筒部36の嵌合箇所を作用点とするテコの原理により、嵌合筒部36の係合リブ36bが前記ヘッド周壁12bの下端から容易に外れる。
ヘッドカバー32をノズルヘッド12から離脱させた後に、延長ノズル14をノズル筒12dから引き抜くことにより、延長ノズル14及びアダプタ30を主要部材1から外すことができる。そして取り外すことができる。これにより、延長ノズル14を洗浄することができる。またノズルヘッド12もステム10から取り外して洗浄することができる。
【符号の説明】
【0026】
1…主要部材
2…容器体 4…装着キャップ 4a…装着筒 4b…内向きフランジ
6…補助キャップ 6a…外向きフランジ 8…作動部材 10…ステム
12…ノズルヘッド 12a…ヘッド頂壁 12b…ヘッド周壁 12c…補助周壁
12d…ノズル筒
14…延長ノズル 16…管壁 18…屈曲部 20…大内径部
22…鍔部
30…アダプタ 32…ヘッドカバー 33…天板 34…操作筒部
36…嵌合筒部 36a…切欠き 36b…係合リブ
38…押下げ用筒部 40…連結アーム 40a…先部
43…ヒンジ
E1…基端 E2…先端 S…段差