(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アルカリ土類金属成分が、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項1又は2に記載のディーゼル酸化触媒。
前記第一層が、白金(Pt)成分とパラジウム(Pd)成分の組み合わせからなる白金族金属(PGM)成分を含み、且つ前記第二層が、パラジウム(Pd)成分と白金(Pt)成分の組み合わせからなる白金族金属(PGM)成分を含み、前記第一層内の前記白金(Pt)成分と前記パラジウム(Pd)成分の質量比が、前記第二層内の前記白金(Pt)成分と前記パラジウム(Pd)成分の質量比とは異なる、請求項1から6のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒。
前記第一層が、Pd成分、及びパラジウム(Pd)成分と白金(Pt)成分の組み合わせからなる群から選択される白金族金属(PGM)成分を含み、前記第二層が、Pt成分からなる白金族金属(PGM)成分を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒。
前記第一層が、白金(Pt)成分、及びパラジウム(Pd)成分と白金(Pt)成分の組み合わせからなる群から選択される白金族金属(PGM)成分を含み、且つ前記第二層が、パラジウム(Pd)成分からなる白金族(PGM)成分を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒。
前記第一層が、白金(Pt)成分及びパラジウム(Pd)成分からなる群から選択される白金族(PGM)成分を含み、且つ前記第二層が、パラジウム(Pd)成分と白金(Pt)成分の組み合わせからなる白金族金属(PGM)成分を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、アルカリ土類金属成分を含む酸化触媒に関する。驚くべきことに、有利な酸化活性、特に低CO T
50を有する触媒が、アルカリ土類金属成分、及びヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む触媒組成物について得られうることが明らかになった。
【0017】
通常、アルカリ土類金属成分は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む。アルカリ土類金属成分は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)、より好ましくはストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)を含むことが好ましく、最も好ましくは、アルカリ土類金属成分は、バリウム(Ba)を含む。
【0018】
通常、アルカリ土類金属成分は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)からなる群から選択される単一のアルカリ土類金属を含む。好ましくは、アルカリ土類金属成分は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)、より好ましくはストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)からなる群から選択される単一のアルカリ土類金属を含み、最も好ましくは、アルカリ土類金属成分は、バリウム(Ba)である単一のアルカリ土類金属を含む。
【0019】
通常、アルカリ土類金属成分の量は、0.07−3.75mol/ft
3、特に0.1−3.0mol/ft
3、とりわけ0.2−2.5mol/ft
3(例えば、0.25−1.0mol/ft
3)、0.3−2.25mol/ft
3等、特に0.35−1.85mol/ft
3、好ましくは0.4−1.5mol/ft
3、更により好ましくは0.5−1.25mol/ft
3である。理論により制限されることは本意ではないが、存在するアルカリ土類金属原子の数は、触媒の有利な活性に寄与し、アルカリ土類金属原子の数がある一定の量に達すると、この活性は「横ばいになる」と考えられる。あまりにも多くのアルカリ土類金属成分があると、HC及びNOを酸化する触媒の性能に影響を与えることがある。アルカリ土類金属原子が不足している場合は、有利な活性が得られないことがある。
【0020】
通常、アルカリ土類金属成分の総量は、10−500g/ft
3(例えば、60−400g/ft
3又は10−450g/ft
3)、特に20−400g/ft
3、とりわけ35−350g/ft
3、50−300g/ft
3等、特に75−250g/ft
3である。
【0021】
酸化触媒は、通常、0.1−20重量%、好ましくは0.5−17.5重量%、より好ましくは1−15重量%、更により好ましくは1.5−12.5重量%のアルカリ土類金属成分の量を含む。アルカリ土類金属成分の量は、1.0−8.0重量%、1.5−7.5重量%等、特に2.0−7.0重量%でもよい(例えば、2.5−6.5重量%又は2.0−5.0重量%)。アルカリ土類金属成分の量は、5.0−17.5重量%、7.5−15重量%等、特に8.0−14重量%でもよい(例えば、8.5−12.5重量%又は9.0−13.5重量%)。
【0022】
通常、アルカリ土類金属成分の総質量と白金族金属(PGM)成分の総質量の比は、0.25:1−20:1(例えば、0.3:1−20:1)である。アルカリ土類金属成分の総質量と白金族金属(PGM)成分の総質量の比は、0.5:1−17:1、より好ましくは1:1−15:1、特に1.5:1−10:1、更により好ましくは2:1−7.5:1、更により好ましくは2.5:1−5:1であることが好ましい。白金(Pt)成分が存在する場合は、好ましくは、アルカリ土類成分の総質量は、白金(Pt)成分の総質量よりも大きい。
【0023】
担体材料は、通常、ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含み、又は、実質的にヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナからなる。アルミナに取り込まれたヘテロ原子成分は、アルミナ自体と比較して、また、通常、アルミナとヘテロ原子成分の混合物と比較しても、材料の化学的特性、物理的構造及び/又は物理特性を通常変化させる。ヘテロ原子成分の存在が、アルミナとアルカリ土類成分の相互作用を変化させると考えられる。改質アルミナは、通常、ガンマ型(すなわち、γ−アルミナ)で存在するか、又はガンマ型に由来する。
【0024】
通常、ヘテロ原子成分は、ランタニド及び周期表の第1−14族のいずれか1つからなる群から選択される元素を含む(本明細書において、第1族はアルカリ金属を含み、第4族はTi、Zr等を含み、第14族はC、Si等を含むように、周期表の族の番号付けには、IUPAC命名法を用いる)。好ましくは、ヘテロ原子成分は、周期表の第4族(例えば、Ti又はZr)、第14族(例えば、Si)及びランタニド(例えば、La又はCe)から選択される元素等、周期表の第2族(例えば、Mg、Ca、Sr又はBa)、第4族(例えば、Ti又はZr)、第14族(例えば、Si)及びランタニド(例えば、La又はCe)から選択される元素を含む。ヘテロ原子成分は、元素、イオン又は化合物であり得るが、ヘテロ原子成分はアルミナではなく、好ましくは、構成元素、又はアルミナのイオン(例えば、酸素、O
2−、アルミニウム又はAl
3+)ではない。
【0025】
ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナは、通常、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナ、アルミン酸のアルカリ土類金属塩又はその混合物を含み、又は、実質的にヘテロ原子成分でドープされたアルミナ、アルミン酸のアルカリ土類金属塩又はその混合物からなる。ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナは、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナ又はアルミン酸のアルカリ土類金属塩を含み、又は、実質的にヘテロ原子成分でドープされたアルミナ又はアルミン酸のアルカリ土類金属塩からなることが好ましい。
【0026】
ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナが、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナである場合、通常、ヘテロ原子成分は、ケイ素、マグネシウム、バリウム、ランタン、セリウム、チタン又はジルコニウムあるいはその2つ以上の組み合わせを含む。ヘテロ原子成分は、ケイ素の酸化物、マグネシウムの酸化物、バリウムの酸化物、ランタンの酸化物、セリウムの酸化物、チタンの酸化物又はジルコニウムの酸化物を含んでもよく、又は、実質的にケイ素の酸化物、マグネシウムの酸化物、バリウムの酸化物、ランタンの酸化物、セリウムの酸化物、チタンの酸化物又はジルコニウムの酸化物からなってもよい。好ましくは、ヘテロ原子成分は、ケイ素、マグネシウム、バリウム又はセリウムあるいはその酸化物、特にケイ素又はセリウムあるいはその酸化物を含み、又は、実質的にケイ素、マグネシウム、バリウム又はセリウムあるいはその酸化物、特にケイ素又はセリウムあるいはその酸化物からなる。より好ましくは、ヘテロ原子成分は、ケイ素、マグネシウム又はバリウムあるいはその酸化物、特にケイ素又はマグネシウムあるいはその酸化物、特にケイ素又はその酸化物を含み、又は、実質的にケイ素、マグネシウム又はバリウムあるいはその酸化物、特にケイ素又はマグネシウムあるいはその酸化物、特にケイ素又はその酸化物からなる。
【0027】
ヘテロ原子成分でドープされたアルミナの例は、シリカでドープされたアルミナ、酸化マグネシウムでドープされたアルミナ、バリウム又は酸化バリウムでドープされたアルミナ、酸化ランタンでドープされたアルミナ、あるいはセリアでドープされたアルミナ、特にシリカでドープされたアルミナ、酸化ランタンでドープされたアルミナ、あるいはセリアでドープされたアルミナを含む。ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、シリカでドープされたアルミナ、バリウム又は酸化バリウムでドープされたアルミナ、あるいは酸化マグネシウムでドープされたアルミナであることが好ましい。より好ましくは、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、シリカでドープされたアルミナ、又は酸化マグネシウムでドープされたアルミナである。更により好ましくは、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、シリカでドープされたアルミナである。ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、当技術分野において知られるの方法を用いて、すなわち、例えば、米国特許第5045519号に記載の方法により調製され得る。
【0028】
通常、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、0.5−45重量%のヘテロ原子成分、好ましくは1−40重量%のヘテロ原子成分、より好ましくは1.5−30重量%のヘテロ原子成分、特に2.5−25重量%のヘテロ原子成分を含む。
【0029】
ヘテロ原子成分でドープされたアルミナが、シリカでドープされたアルミナを含む場合、又は、実質的にシリカでドープされたアルミナからなる場合、アルミナは、0.5−45重量%、好ましくは1−40重量%、より好ましくは1.5−30重量%(例えば、1.5−10重量%)、特に2.5−25重量%、とりわけ3.5−20重量%(例えば、5−20重量%)、更により好ましくは4.5−15重量%の量のシリカでドープされる。
【0030】
ヘテロ原子成分でドープされたアルミナが、酸化マグネシウムでドープされたアルミナを含む場合、又は、実質的に酸化マグネシウムでドープされたアルミナからなる場合は、アルミナは、上で定めた量のマグネシウム、又は、5−30重量%、好ましくは10−25重量%の量のマグネシウムでドープされる。
【0031】
ヘテロ原子成分がアルカリ土類金属を含む場合、又は、実質的にアルカリ土類金属からなる場合、通常、酸化触媒は、ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナとは分離した、又はヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナの一部ではないアルカリ土類金属成分を含む。従って、酸化触媒は、改質アルミナ中に存在してもよい任意のアルカリ土類金属に加えて、アルカリ土類金属成分を含む。
【0032】
通常、ヘテロ原子成分が、アルカリ土類金属を含む場合、又は、実質的にアルカリ土類金属からなる場合、好ましくは、アルカリ土類金属成分はヘテロ原子成分とは異なる。ヘテロ原子成分及びアルカリ土類金属成分が異なるアルカリ土類金属を含むことは好ましい。
【0033】
改質アルミナのヘテロ原子成分が、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナ中のドーパントである場合、又はアルミン酸のアルカリ土類金属塩の一部である場合等、アルカリ土類金属を含む場合は、「アルカリ土類金属成分」の量は、改質アルミナの一部として存在するいかなるアルカリ土類金属の量も含まない。同様に、ヘテロ原子成分の量は、存在するアルカリ土類金属成分の量は含まない。酸化触媒の製造中に各成分の量を制御することが可能である。
【0034】
用語「アルミン酸のアルカリ土類金属塩」は、通常、式MAl
2O
4(式中、「M」は、Mg、Ca、Sr又はBa等のアルカリ土類金属を表す)の化合物を指す。このような化合物は、通常、スピネル構造を含む。これらの化合物は、当技術分野において周知の従来の方法を用いて、すなわち、例えば、欧州特許第0945165号、米国特許第6217837号又は米国特許第6517795号に記載の方法を用いることにより調製され得る。
【0035】
通常、アルミン酸のアルカリ土類金属塩は、アルミン酸マグネシウム(MgAl
2O
4)、アルミン酸カルシウム(CaAl
2O
4)、アルミン酸ストロンチウム(SrAl
2O
4)又はアルミン酸バリウム(BaAl
2O
4)あるいはその2つ以上の混合物である。好ましくは、アルミン酸のアルカリ土類金属塩は、アルミン酸マグネシウム(MgAl
2O
4)である。
【0036】
通常、担体材料がアルミン酸のアルカリ土類金属塩を含む場合、アルミン酸のアルカリ土類金属塩のアルカリ土類金属(「M」)は、アルカリ土類金属成分とは異なる。アルミン酸のアルカリ土類金属塩及びアルカリ土類金属成分は、異なるアルカリ土類金属を含むことが好ましい。
【0037】
本発明の酸化触媒は、通常、0.1−5g/in
3、好ましくは0.2−4g/in
3(例えば、0.5−3.5g/in
3)の担体材料の総量を含む。酸化触媒が、改質アルミナを含む担体材料に加えて、第2の担体材料を含む場合、総量は、第2の担体材料、及び改質アルミナを含む担体材料の両方の量を指す。
【0038】
酸化触媒がディーゼル酸化触媒として用いられる場合、通常、担体材料の総量は1−2.5g/in
3である。酸化触媒がキャタライズド・スート・フィルターとして用いられる場合は、担体材料の総量は、通常、0.2−4g/in
3である。
【0039】
酸化触媒が第2の担体材料を含む場合、通常、改質アルミナを含む担体材料の量は、0.1−3.0g/in
3、好ましくは0.2−2.5g/in
3、更により好ましくは0.3−2.0g/in
3、更により好ましくは0.5−1.75g/in
3である。
【0040】
通常、アルカリ土類金属成分の総質量と、改質アルミナを含む担体材料の総質量の比は、1:200−1:5、好ましくは1:150−1:10、更により好ましくは1:100−1:20である。
【0041】
通常、担体材料、特にヘテロ原子成分でドープされたアルミナは粒子状である。担体材料は、(従来のレーザー回折技術により求められる)20μm以下のd
90粒径を有してもよい。担体材料の粒径分布は、基材への接着を助けるよう選択される。粒子は、通常、粉砕により得られる。
【0042】
通常、担体材料は、50−500m
2/gの比表面積を有する(DIN66131に従って、又は550℃で3時間の活性化後にBETにより測定される)。担体材料は、50−300m
2/g、より好ましくは100−250m
2/gの比表面積を有することが好ましい。
【0043】
酸化触媒は、更に第2の担体材料を含んでいてもよい。通常、アルカリ土類金属成分は、改質アルミナ及び/又は第2の担体材料を含む担体材料上に配され又は担持される。酸化触媒が複数の層を含む場合、第2の担体材料、及び改質アルミナを含む担体材料は、好ましくは異なる層内にある。
【0044】
通常、アルカリ土類金属成分は、ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含むか、又は、実質的にヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナからなる少なくとも1つの担体材料上に配され又は担持される。通常、本発明の触媒は、単一の担体材料を含み、この担体材料は、ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含むか、又は、実質的にヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナからなる。
【0045】
第2の担体材料が存在する場合、特に第2の担体材料が第1の担体材料と同じ層内にある場合、アルカリ土類金属成分は、改質アルミナを含む担体材料上に実質的に配され又は担持されることが好ましい(この文脈において、用語「実質的に」は、通常、層内に存在し、その他の場合は、改質アルミナを含む担体材料上に配されるアルカリ土類成分の質量の少なくとも90%、好ましくは少なくとも99%、より好ましくは少なくとも99%を指す)。アルカリ土類金属成分は、改質アルミナを含む担体材料上に配され又は担持されるのみであることが更に好ましい。同じ層内における担体材料のいくつかの組み合わせについては、アルカリ土類金属成分の溶解度により、その正確な位置の制御が難しいことがあり、アルカリ土類金属成分は、すべての担体材料上に配され又は担持されてもよい。
【0046】
また、酸化触媒は、白金(Pt)成分、パラジウム(Pd)成分、及びその組み合わせからなる群から選択される白金族金属(PGM)成分を含む。本発明の酸化触媒は、単一の白金族金属(PGM)成分を含んでもよく、これは、白金(Pt)成分又はパラジウム(Pd)成分のいずれかである。
【0047】
通常、酸化触媒は、白金(Pt)成分及びパラジウム(Pd)成分を含むことが好ましい(すなわち、白金族金属(PGM)成分は、白金(Pt)成分及びパラジウム(Pd)成分である)。白金(Pt)成分の総質量とパラジウム(Pd)成分の総質量の比は、特に、酸化触媒が複数の層を含む場合(ただし、これに限定されない)、通常、3:1−1:3、好ましくは2:1−1:2、より好ましくは1.5:1−1:1.5である。
【0048】
通常、白金族金属(PGM)成分の総量(例えば、白金(Pt)成分及び/又はパラジウム(Pd)成分の総量)は、5−500g/ft
3である。好ましくは、PGM成分の総量は、10−400g/ft
3、より好ましくは20−300g/ft
3、更により好ましくは25−250g/ft
3、更により好ましくは35−200g/ft
3である。
【0049】
酸化触媒がディーゼル酸化触媒として用いられる場合、通常、白金族金属(PGM)成分の総量は、25−200g/ft
3、より好ましくは40−160g/ft
3である。酸化触媒がキャタライズド・スート・フィルターとして用いられる場合、白金族金属(PGM)成分の総量は、5−100g/ft
3、より好ましくは10−40g/ft
3である。
【0050】
通常、酸化触媒は、質量で2.0−8.0gの白金族金属(PGM)成分の総量を含む。用いられるPGM成分の総量は、とりわけ、基材のサイズ、及び酸化触媒の所期の用途に左右される。
【0051】
白金族金属(PGM)成分に加えて、本発明の酸化触媒は、更に貴金属成分を含んでもよい。貴金属成分は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)及びその2つ以上の組み合わせからなる群から選択される貴金属を含む。貴金属成分は、金、銀及びその組み合わせからなる群から選択される貴金属を含むことが好ましい。より好ましくは、貴金属成分は、金を含むか、又は、金からなる。触媒が金(Au)を含む場合、白金族金属(PGM)成分、好ましくはパラジウム(Pd)成分は、金(Au)との合金(例えば、パラジウム−金合金)として存在する。金(Au)を含む触媒は、本出願人による国際公開第2012/120292号に記載の方法を用いて調製され得る。
【0052】
本発明の酸化触媒は、更に炭化水素吸着剤を含んでもよい。炭化水素吸着剤は、ゼオライト、活性炭、多孔質グラファイト及びその2つ以上の組み合わせから選択されてもよい。炭化水素吸着剤はゼオライトであることが好ましい。より好ましくは、ゼオライトは、中細孔ゼオライト(例えば、8個の四面体原子の最大環サイズを有するゼオライト)、又は大細孔ゼオライト(例えば、10個の四面体原子の最大環サイズを有するゼオライト)である。適切なゼオライト、又はゼオライトのタイプの例は、フォージャサイト、クリノプチロル沸石、モルデン沸石、シリカライト、フェリエライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定性ゼオライトY、AEIゼオライト、ZSM−5ゼオライト、ZSM−12ゼオライト、ZSM−20ゼオライト、ZSM−34ゼオライト、CHAゼオライト、SSZ−3ゼオライト、SAPO−5ゼオライト、オフレタイト、ベータゼオライト又は銅CHAゼオライトを含む。ゼオライトは、好ましくはZSM−5、ベータゼオライト又はYゼオライトである。
【0053】
通常、ゼオライトは、少なくとも25:1、好ましくは少なくとも25:1のシリカとアルミナのモル比を有し、有用な範囲は、25:1−1000:1、50:1−500:1、並びに25:1−100:1、25:1−300:1、100:1−250:1である。シリカとアルミナのモル比が高いゼオライトは、改善された水熱安定性を示す。
【0054】
触媒が、炭化水素吸着剤を含む場合、通常、炭化水素吸着剤の総量は、0.05−3.00g/in
3、特に0.10−2.00g/in
3、とりわけ0.2−0.8g/in
3である。
【0055】
本発明の触媒は、更に酸素貯蔵材料を含んでもよい。このような材料は、当技術分野においてよく知られている。酸素貯蔵材料は、セリア(CeO
2)、及びセリア−ジルコニア固溶体等のセリア−ジルコニア(CeO
2−ZrO
2)から選択されてもよい。
【0056】
通常、少なくとも1つの白金族金属(PGM)成分は、ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料上に担持される。従って、白金(Pt)成分又はパラジウム(Pd)成分、あるいは白金(Pt)成分とパラジウム(Pd)成分の両方は、担体材料上に担持される。
【0057】
通常、アルカリ土類金属成分及び少なくとも1つの白金族金属(PGM)成分は、ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料上に担持される。従って、本発明の酸化触媒は、パラジウム(Pd)成分及び/又は白金(Pt)成分、並びに同じ担体材料、すなわち、ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料上に担持されたアルカリ土類金属成分を含んでもよい。パラジウム(Pd)成分、白金(Pt)成分及びアルカリ土類金属成分は、ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料上に担持されることが好ましい。
【0058】
前述のように、酸化触媒は、第2の担体材料を更に含んでいても、含んでいなくてもよい。第2の担体材料は、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア及びその2つ以上の混合物からなる群から選択されてもよい。第2の担体材料は、好ましくは、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア及びその2つ以上の混合物、特にアルミナ、シリカ、チタニア及びその2つ以上の混合物からなる群から選択される。より好ましくは、第2の担体材料は、アルミナを含むか、又は、アルミナからなる。
【0059】
酸化触媒が第2の担体材料を含む場合、好ましくは少なくとも1つの白金族金属(PGM)成分が第2の担体材料上に担持される。白金(Pt)成分、パラジウム(Pd)成分、又は白金(Pt)成分とパラジウム(Pd)成分の両方は、第2の担体材料上に担持されてもよい。
【0060】
改質アルミナを含む担体材料上に担持されることに加えて、又は代替として、アルカリ土類金属成分は、第2の担体材料上に担持されてもよい。しかし、アルカリ土類金属成分は、改質アルミナを含む担体材料上に担持されるのみである(すなわち、アルカリ土類金属成分は、第2の担体材料上に担持されない)ことが好ましい。
【0061】
酸化触媒が、貴金属成分及び/又は酸素貯蔵材料を含む場合、貴金属成分及び/又は酸素貯蔵材料は、改質アルミナを含む担体材料及び/又は、存在する場合、第2の担体材料上に担持されてもよい。酸化触媒が、酸素貯蔵材料と第2の担体材料を更に含む場合は、酸素貯蔵材料と第2の担体材料は異なる(例えば、酸素貯蔵材料と第2の担体材料は、ともにセリア又はセリア−ジルコニアではない)。
【0062】
通常、白金族金属(PGM)成分(一又は複数)、アルカリ土類金属成分、担体材料といかなる任意の貴金属成分、酸素貯蔵材料、炭化水素吸着剤及び/又は第2の貯蔵材料は、基材上に配され又は担持される。
【0063】
本発明の酸化触媒は基材を含む。酸化触媒は、複数の基材(例えば、2つ、3つ又は4つの基材)、より好ましくは2つの基材(すなわち、2つの基材のみ)を含んでもよい。2つの基材がある場合は、第1の基材は、第2の基材と接触していても、分離していてもよい。第1の基材が第2の基材から分離している場合、好ましくは、第1の基材の出口端部(例えば、出口端部での面)と第2の基材の入口端部(例えば、入口端部での面)との間の距離(例えば、面間の垂直距離)は、0.5mm−50mm、好ましくは1mm−40mm、より好ましくは1.5mm−30mm(例えば、1.75mm−25mm)、2mm−20mm(例えば、3mm−15mm)等、更により好ましくは5mm−10mmである。
【0064】
通常、酸化触媒が単一の基材(すなわち、ただ1つの基材)を含むことは好ましい。
【0065】
圧縮着火機関の排気ガスを処理するための酸化触媒を担持するための基材は、当技術分野においてよく知られている。通常、基材は、セラミック材料又は金属材料である。
【0066】
基材は、コーディエライト(SiO
2−Al
2O
3−MgO)、炭化ケイ素(SiC)、Fe−Cr−Al合金、Ni−Cr−Al合金又はステンレス鋼合金から作られるか、又は構成されることが好ましい。
【0067】
通常、基材はモノリスである。モノリスは、フロースルーモノリス又は濾過モノリスであることが好ましい。
【0068】
通常、本発明の酸化触媒は、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)として使用するためのものであるか、又はディーゼル酸化触媒(DOC)である。実際には、DOC及びCSFにおいて用いられる触媒組成物は類似している。しかし、通常、DOCとCSFの主要な違いは、触媒組成物が上に被膜される基材、及び被膜中のPGM成分の量である。
【0069】
フロースルーモノリスは、通常、それを通じて延びる複数のチャンネルを有するハニカムモノリス(例えば、金属又はセラミックハニカムモノリス)を含み、これらのチャンネルは、両端部が開いている。基材がフロースルーモノリスである場合は、本発明の酸化触媒は、通常、ディーゼル酸化触媒(DOC)であるか、又は、ディーゼル酸化触媒(DOC)として使用するためのものである。
【0070】
濾過モノリスは、通常、複数の入口チャンネル及び複数の出口チャンネルを含み、ここで、入口チャンネルは、上流端部(すなわち、排気ガス入口側)が開いており、且つ下流端部(すなわち、排気ガス出口側)が塞がれ、又は密封されており、出口チャンネルは、上流端部が塞がれ、又は密封されており、且つ下流端部が開いており、ここで、各入口チャンネルは、多孔質構造により出口チャンネルから分離されている。基材が濾過モノリスである場合、本発明の酸化触媒は、通常、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)であるか、又は、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)として使用するためのものである。
【0071】
モノリスが濾過モノリスである場合、濾過モノリスはウォールフローフィルターであることが好ましい。ウォールフローフィルター内において、各入口チャンネルは、多孔質構造の壁により出口チャンネルから交互に分離され、逆も同様である。入口チャンネル及び出口チャンネルは、ハニカム状の配置を有することが好ましい。ハニカム状の配置になっている場合、入口チャンネルに垂直及び横に隣接するチャンネルは上流端部が塞がれ、逆も同様である(すなわち、出口チャンネルに垂直及び横に隣接するチャンネルは下流端部が塞がれている)ことが好ましい。いずれかの端部から見た場合、チャンネルの交互に塞がれた端部及び開いた端部は、チェス盤のような外観になる。
【0072】
原則的に、基材は、どのような形状又はサイズでもよい。しかし、基材の形状及びサイズは、通常、触媒中の触媒活性のある材料が、排気ガスに最適に暴露されるよう選択される。基材は、例えば、管状、繊維状又は粒子状でもよい。適切な担持基材の例は、モノリシックハニカムコーディエライトタイプの基材、モノリシックハニカムSiCタイプの基材、層状繊維又は編地タイプの基材、発泡タイプの基材、クロスフロータイプの基材、金網タイプの基材、金属多孔質体タイプの基材、及びセラミック粒子タイプの基材を含む。
【0073】
通常、本発明の酸化触媒は、基材上に配される単一層又は複数の層(例えば、2層、3層又は4層)を含む。通常、各層は、ウォッシュコート被膜を基材に塗布することにより形成される。
【0074】
本発明の酸化触媒は、基材、及び基材上に配される単一層を含んでもよく、又は、基材、及び基材上に配される単一層からなってもよく、単一層は、白金(Pt)成分、パラジウム(Pd)成分、及びその組み合わせからなる群から選択される白金族金属(PGM)成分、アルカリ土類金属成分、並びにヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料を含む。単一層は、更に、貴金属成分、及び/又は酸素貯蔵材料、及び/又は炭化水素吸着剤、及び/又は第2の貯蔵材料を含んでもよい。単一層は、更に炭化水素吸着剤、及び任意選択的に酸素貯蔵材料を含むことが好ましい。
【0075】
酸化触媒が、基材、及び基材上に配される単一層を含むか、又は、基材、及び基材上に配される単一層からなる場合、好ましくは、単一層は、白金(Pt)成分及びパラジウム(Pd)成分を含む(すなわち、白金族金属(PGM)成分は、白金(Pt)成分及びパラジウム(Pd)成分である)。単一層が、白金(Pt)成分及びパラジウム(Pd)成分を含む場合は、白金(Pt)成分のパラジウム(Pd)成分に対する相対量は変え得る。
【0076】
通常、白金(Pt)成分とパラジウム(Pd)成分の質量比は、≧35:65(例えば、≧7:13)である。白金(Pt)成分とパラジウム(Pd)成分の質量比は、≧40:60(例えば、≧2:3)、より好ましくは≧42.5:57.5(例えば、≧17:23)、特に≧45:55(例えば、≧9:11)、≧47.5:52.5(例えば、≧19:21)等、更により好ましくは≧50:50(例えば、≧1:1)であることが好ましい。質量による白金(Pt)成分とパラジウム(Pd)成分の比(すなわち、質量比)は、通常、80:20−35:65(例えば、4:1−7:13)である。白金(Pt)成分とパラジウム(Pd)成分の質量比は、75:25−40:60(例えば、3:1−2:3)、より好ましくは70:30−42.5:57.5(例えば、7:3−17:23)、更により好ましくは67.5:32.5−45:55(例えば、27:13−9:11)、65:35−47.5:52.5(例えば、13:7−19:21)等、更により好ましくは60:40−50:50(例えば、3:2−1:1)であることが好ましい。
【0077】
パラジウム(Pd)成分の質量が白金(Pt)成分の質量よりも小さい場合、酸化触媒は有利な活性を有すると考えられる。従って、本発明の触媒は、好ましくは、65:35−52.5:47.5(例えば、13:7−21:19)、より好ましくは60:40−55:45(例えば、3:2−11:9)の質量比の白金(Pt)成分及びパラジウム(Pd)成分を含む。
【0078】
通常、質量によるアルカリ土類金属成分と白金族金属(PGM)成分の比(すなわち、質量比)は0.25:1−20:1である。アルカリ土類金属成分と白金族金属(PGM)成分の質量比は、0.5:1−17:1、より好ましくは1:1−15:1、特に1.5:1−10:1、更により好ましくは2:1−7.5:1、更により好ましくは2.5:1−5:1であることが好ましい。
【0079】
酸化触媒は、好ましくは、2層、3層又は4層等、複数の層を含む。
【0080】
複数の層がある場合、酸化触媒は、複数の基材、好ましくは2つの基材を含んでもよい。複数の基材(例えば、2つの基材)がある場合、好ましくは、第一層は第1の基材上に配され、第二層は第2の基材上に配される。従って、基材上に配される第一層への以下のどのような言及も、第1の基材上に配される第一層を指してもよい。同様に、第2の基材上に配される第二層への以下のどのような言及も、第2の基材上に配される第二層を指してもよい。
【0081】
複数の基材がある場合、第1の基材は、第2の基材の上流にあってもよい。あるいは、第2の基材は、第1の基材の上流にあってもよい。
【0082】
通常、酸化触媒は、特に酸化触媒が複数の層を含む場合、単一の基材を含むことが好ましい。
【0083】
複数の層がある場合、通常、第一層は、基材上に配される(例えば、第一層は、好ましくは、第一層が基材の表面と接触するように、基材上に直接配される)。第一層は、第三層又は第四層の上に配されてもよい。第一層が基材上に直接配されるのが好ましい。
【0084】
第二層は、(例えば、以下で説明する、第一層から分離しているか、又は第一層と部分的に重なっているゾーンを形成するために)基材上に配されてもよく、又は、第二層は、第一層の上に配されてもよい。
【0085】
第二層が第一層の上に配される場合、第二層は、第一層と完全に、又は部分的に重なっても(すなわち、第一層を覆っても)よい。触媒が第三層を含む場合、第三層は、第二層及び/又は第一層の上に配されてもよく、好ましくは、第三層は、第一層の上に配される。触媒が第四層を含む場合、第四層は、第三層及び/又は第二層の上に配されてもよい。
【0086】
第二層が、(例えば、ゾーンを形成するために)基材上に配される場合は、第二層は、基材の上に直接配されてもよく(すなわち、第二層は、基材の表面と接触している)、又は第二層は、第三層又は第四層の上に配されてもよい。
【0087】
第一層はゾーン(例えば、第一ゾーン)であってもよく、且つ/又は第二層はゾーン(例えば、第2のゾーン)でもよい。誤解を避けるために、「第一層」及び「第二層」、特に「第一層」及び「第二層」の組成に関する本明細書に記述される特徴は、それぞれ「第一ゾーン」及び「第二ゾーン」にも関する。
【0088】
第一ゾーンと第二ゾーンが、同じ基材上に横に並んでいるか、又は第一ゾーンが第1の基材上に配され、且つ第二ゾーンが第2の基材上に配され(すなわち、第1の基材と第2の基材が異なる)、並びに第1の基材と第2の基材が横に並んでいる場合等、第一層は第一ゾーンであってもよく、第二層は第二ゾーンであってもよい。好ましくは、第一ゾーンと第二ゾーンは、同じ基材上に配される。
【0089】
第一ゾーンは、第二ゾーンの上流にあってもよい。第一ゾーンが第二ゾーンの上流にある場合、入口排気ガスは、第二ゾーンの前に第一ゾーンに接触する。
【0090】
あるいは、第二ゾーンは、第一ゾーンの上流にあってもよい。同様に、第二ゾーンが第一ゾーンの上流にある場合、入口排気ガスは、第一ゾーンの前に第二ゾーンに接触する。
【0091】
第一ゾーンと第二ゾーンが同じ基材上に配される場合、第一ゾーンは、第二ゾーンに隣接してもよく、又は第一ゾーンは、第二ゾーンから分離していてもよい。
第一ゾーンが第二ゾーンに隣接する場合、好ましくは、第一ゾーンは第二ゾーンに接触する。第一ゾーンが第二ゾーンから分離している場合、通常、第一ゾーンと第二ゾーンの間に隙間又は空間がある。
【0092】
通常、第一ゾーンは、基材の長さの10−80%(例えば、10−45%)、好ましくは基材の長さの15−75%(例えば、15−40%)、より好ましくは基材の長さの20−60%(例えば、25−45%)、更により好ましくは25−50%の長さを有する。
【0093】
第二ゾーンは、通常、基材の長さの10−80%(例えば、10−45%)、好ましくは基材の長さの15−75%(例えば、15−40%)、より好ましくは基材の長さの20−60%(例えば、25−45%)、更により好ましくは25−50%の長さを有する。
【0094】
好ましい酸化触媒は、2層(例えば、2層のみ)を含み、第一層は基材上に配され、第二層は、第一層の上に配される。
【0095】
通常、第二層は、第一層と完全に、又は部分的に重なる。
【0096】
第一層と第二層は、異なる長さを有してもよく、又は第一層と第二層は、ほぼ同じ長さを有してもよい。通常、第一層の長さと第二層の長さは、それぞれ実質的に均一である。
【0097】
第一層は、通常、特に基材がモノリスの場合、実質的に基材内のチャンネルの全長にわたって延びる。
【0098】
複数の層を含む酸化触媒中において、第二層は、基材の下流端部の実質的に均一な長さのゾーン内に配置されてもよい。下流端部のゾーンは、入口端部よりも基材の出口端部に近いことが好ましい。長さに差がある層状被膜の製造方法は、当技術分野においてよく知られている(例えば、本出願人による国際公開第99/47260号を参照)。
【0099】
酸化触媒が複数の層を含む場合、白金族金属(PGM)成分、アルカリ土類金属成分、及び改質アルミナを含む担体材料は、様々な方法で層間に分布され得る。
【0100】
通常、第一層(又は第一ゾーン)は、白金(Pt)成分、パラジウム(Pd)成分、及びその組み合わせからなる群から選択される白金族金属(PGM)成分を含み、第二層(又は第二ゾーン)は、白金(Pt)成分、パラジウム(Pd)成分、及びその組み合わせからなる群から選択される白金族金属(PGM)成分を含む。第一の層/ゾーンは、(例えば、組成において)第二の層/ゾーンとは異なることが好ましい。例えば、第一及び第二の層/ゾーンは、異なる白金族金属(PGM)成分を含んでもよく、且つ/又は第一及び第二の層/ゾーンは、異なる総量の白金族金属(PGM)成分を含んでもよい。
【0101】
第1の実施態様において、第一層(又は第一ゾーン)は、Pd成分及びPd成分とPt成分の組み合わせ(すなわち両方)からなる群から選択されるPGM成分を含み、第二層(又は第二ゾーン)は、Pt成分からなるPGM成分を含む。これは、第一層/ゾーンが、Pd成分、及び唯一のPGM成分として任意選択的にPt成分を含み、第二の層/ゾーンが、唯一のPGM成分としてPt成分を含むことを意味する。好ましくは、第一の層/ゾーンは、Pd成分とPt成分の組み合わせ(すなわち両方)からなるPGM成分を含む。従って、第一の層/ゾーンは、Pt成分と、唯一のPGM成分としてPd成分の両方を含み、第二の層/ゾーンは、唯一のPGM成分としてPt成分を含むことが好ましい。
【0102】
通常、第1の実施態様において、第一層(又は第一ゾーン)は、更に、アルカリ土類金属成分、及びヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料を含み、且つ/又は第二層(又は第二ゾーン)は、更に、アルカリ土類金属成分、及びヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料を含む。第一の層/ゾーンは、更に、アルカリ土類金属成分、及びヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料を含むことが好ましい。
【0103】
第一の層/ゾーンが、唯一のPGM成分としてPd成分を含む場合、第一の層/ゾーンは、第2の担体材料を含んでもよい。好ましくは、第2の担体材料は、セリア、セリア−ジルコニア、アルミナ又はシリカ−アルミナである。第2の担体材料はセリアでもよい。第2の担体材料はセリア−ジルコニアでもよい。第2の担体材料はアルミナでもよい。第2の担体材料はシリカ−アルミナでもよい。より好ましくは、第一の層/ゾーンは、Pd成分及び第2の担体材料からなる群から選択されるPGM成分を含み、第2の担体材料はセリアである。
【0104】
第2の実施態様において、第一層(又は第一ゾーン)は、Pt成分及びPd成分とPt成分の組み合わせ(すなわち両方)からなる群から選択されるPGM成分を含み、第二層(又は第二ゾーン)は、Pd成分からなるPGM成分を含む。これは、第一の層/ゾーンが、Pt成分、及び唯一のPGM成分として任意選択的にPd成分を含み、第二の層/ゾーンが、唯一のPGM成分としてPd成分を含むことを意味する。好ましくは、第一の層/ゾーンは、Pd成分とPt成分の組み合わせ(すなわち両方)からなるPGM成分を含む。従って、第一の層/ゾーンは、Pt成分と、唯一のPGM成分としてPd成分の両方を含み、第二の層/ゾーンは、唯一のPGM成分としてPd成分を含むことが好ましい。通常、第一の層/ゾーン内のPt成分の量は、第一の層/ゾーン内のPd成分の量よりも多い(量は、g/ft
3で、又はモル量として測定される)。
【0105】
第2の実施態様において、第一層(又は第一ゾーン)は、更に、アルカリ土類金属成分、及びヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料を含んでもよく、且つ/又は第二層(又は第二ゾーン)は、更に、アルカリ土類金属成分、及びヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料を含んでもよい。第一の層/ゾーンは、更に、アルカリ土類金属成分、及びヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料を含むことが好ましい。
【0106】
第2の実施態様において、第二の層/ゾーンは、通常、第2の担体材料を含む。好ましくは、第2の担体材料は、セリア、セリア−ジルコニア、アルミナ又はシリカ−アルミナである。第2の担体材料はセリアでもよい。第2の担体材料はセリア−ジルコニアでもよい。第2の担体材料はアルミナでもよい。第2の担体材料はシリカ−アルミナでもよい。
【0107】
第3の実施態様において、第一層(又は第一ゾーン)は、Pt成分及びPd成分からなる群から選択されるPGM成分を含み、第二層(又は第二ゾーン)は、Pd成分とPt成分の組み合わせ(すなわち両方)からなるPGM成分を含む。これは、第一の層/ゾーンが、Pt成分、又は唯一のPGM成分としてPd成分を含み、第二の層/ゾーンが、Pt成分、及び唯一のPGM成分としてPd成分を含むことを意味する。好ましくは、第一の層/ゾーンは、Pt成分からなるPGM成分を含む。従って、第一の層/ゾーンは、唯一のPGM成分としてPt成分を含み、第二の層/ゾーンは、Pt成分、及び唯一のPGM成分としてPd成分を含むことが好ましい。
【0108】
第3の実施態様において、第一の層/ゾーンが唯一のPGM成分としてPt成分を含む場合は、通常、第二の層/ゾーン内のPt成分と第二の層/ゾーン内のPd成分の質量比は、≦2:1、好ましくは≦2:1である。第1の層/ゾーンが、唯一のPGM成分としてPd成分を含む場合は、通常、第二の層/ゾーン内のPd成分の量は、第二の層/ゾーン内のPt成分の量よりも少ない(量は、g/ft
3で測定されるか、又はモル量である)。
【0109】
通常、第3の実施態様において、第一層(又は第一ゾーン)は、更に、アルカリ土類金属成分、及びヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料を含み、且つ/又は第二層(又は第二ゾーン)は、更に、アルカリ土類金属成分、及びヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料を含む。第一の層/ゾーンが唯一のPGM成分としてPt成分を含む場合は、第一の層/ゾーンは、更に、アルカリ土類金属成分、及びヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料を含むことが好ましい。第一の層/ゾーンが、唯一のPGM成分としてPd成分を含む場合は、第二の層/ゾーンは、更に、アルカリ土類金属成分、及びヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料を含むことが好ましい。
【0110】
第3の実施態様において、第一の層/ゾーンが、唯一のPGM成分としてPd成分を含む場合、第一の層/ゾーンは、第2の担体材料を含んでもよい。好ましくは、第2の担体材料は、セリア、セリア−ジルコニア、アルミナ又はシリカ−アルミナである。第2の担体材料はセリアでもよい。第2の担体材料はセリア−ジルコニアでもよい。第2の担体材料はアルミナでもよい。第2の担体材料はシリカ−アルミナでもよい。
【0111】
第4の実施態様において、第一層(又は第一ゾーン)は、Pt成分とPd成分の組み合わせ(すなわち両方)からなるPGM成分を含み、第二層(又は第二ゾーン)は、Pd成分とPt成分の組み合わせ(すなわち両方)からなるPGM成分を含む。これは、第一の層/ゾーンが、Pt成分、及び唯一のPGM成分としてPd成分を含み、第二の層/ゾーンが、Pt成分、又は唯一のPGM成分としてPd成分を含むことを意味する。第4の実施態様において、第一の層/ゾーン及び第二の層/ゾーンは、通常、Pt成分とPd成分の異なる質量比を含む。従って、第一の層/ゾーン内のPt成分とPd成分の質量比は、第二のゾーン/層内のPt成分とPd成分の質量比とは異なる。
【0112】
第4の実施態様において、第一の層/ゾーン内のPd成分の量が、第一の層/ゾーン内のPt成分の量よりも少ない場合(量は、g/ft
3で測定されるか、又はモル量である)、好ましくは、第二の層/ゾーン内のPd成分の量は、第二の層/ゾーン内のPt成分の量よりも多い。あるいは、第一の層/ゾーン内のPd成分の量が、第一の層/ゾーン内のPt成分の量よりも多い場合(量は、g/ft
3で測定されるか、又はモル量である)、好ましくは、第二の層/ゾーン内のPd成分の量は、第二の層/ゾーン内のPt成分の量よりも少ない。
【0113】
通常、白金(Pt)成分とパラジウム(Pd)成分の質量比は、特に第1又は第2の実施態様の第一の層/ゾーン、第3の実施態様の第二の層/ゾーン、あるいは第4の実施態様の第一の層/ゾーン及び/又は第二の層/ゾーン、好ましくは第4の実施態様の第二の層/ゾーンにおいて、≧35:65(例えば、≧7:13)である。白金(Pt)成分とパラジウム(Pd)成分の質量比は、≧40:60(例えば、≧2:3)、より好ましくは≧42.5:57.5(例えば、≧17:23)、特に≧45:55(例えば、≧9:11)、≧47.5:52.5(例えば、≧19:21)等、更により好ましくは≧50:50(例えば、≧1:1)であることが好ましい。
【0114】
特に第1又は第2の実施態様の第一の層/ゾーン、第3の実施態様の第二の層/ゾーン、あるいは第4の実施態様の第一の層/ゾーン及び/又は第二の層/ゾーン、好ましくは第4の実施態様の第二の層/ゾーンにおける白金(Pt)成分とパラジウム(Pd)成分の質量比は、80:20−35:65(例えば、4:1−7:13)、特に75:25−40:60(例えば、3:1−2:3)、より好ましくは70:30−42.5:57.5(例えば、7:3−17:23)、更により好ましくは67.5:32.5−45:55(例えば、27:13−9:11)、65:35−47.5:52.5(例えば、13:7−19:21)等、更により好ましくは60:40−50:50(例えば、3:2−1:1)であることが好ましい。第3の実施態様の第二層については、白金(Pt)成分とパラジウム(Pd)成分の質量比は、2:1−7:13、特に13:7−2:3、より好ましくは60:40−50:50(例えば、3:2−1:1)であることが特に好ましい。
【0115】
パラジウム(Pd)成分の質量が白金(Pt)成分の質量よりも小さい場合、特に白金(Pt)成分とパラジウム(Pd)成分の両方、及びアルカリ土類金属成分が同じ層/ゾーン内に存在する場合、酸化触媒は有利な活性を有すると考えられる。従って、第1の実施態様の第一の層/ゾーン、第2の実施態様の第一の層/ゾーン、第3の実施態様の第二の層/ゾーン、あるいは第4の実施態様の第一の層/ゾーン及び/又は第二の層/ゾーン、好ましくは第4の実施態様の第二の層/ゾーンにおいて、本発明の酸化触媒は、好ましくは、65:35−52.5:47.5(例えば、13:7−21:19)、より好ましくは60:40−55:45(例えば、3:2−11:9)の質量比の白金(Pt)成分及びパラジウム(Pd)成分を含む。
【0116】
第5の実施態様において、第一層(又は第一ゾーン)は、Pt成分及びPd成分からなる群から選択されるPGM成分を含み、第二層(又は第二ゾーン)は、Pd成分及びPt成分からなる群から選択されるPGM成分を含み、第一及び第二の層/ゾーンは、それぞれ、同じPGM成分を含む。これは、第一の層/ゾーン及び第二の層/ゾーンはそれぞれ、唯一のPGM成分としてPt成分又はPd成分を含むことを意味する。通常、第一の層/ゾーン内のPGM成分の総量は、第二の層/ゾーン内のPGM成分の総量とは異なる。
【0117】
第一の層/ゾーンと第二の層/ゾーンの両方がそれぞれ唯一のPGM成分としてPd成分を含む場合、好ましくは第一の層/ゾーンは、第2の担体材料を含み、且つ/又は第二の層/ゾーンは、第2の担体材料を含む。第2の担体材料は、セリア、セリア−ジルコニア、アルミナ又はシリカ−アルミナであることが好ましい。第2の担体材料はセリアでもよい。第2の担体材料はセリア−ジルコニアでもよい。第2の担体材料はアルミナでもよい。第2の担体材料はシリカ−アルミナでもよい。
【0118】
第1から第5の実施態様において、第一の層/ゾーンは、アルカリ土類金属成分を含んでもよく、且つ/又は第二の層/ゾーンは、アルカリ土類金属成分を含んでもよい。第一の層/ゾーンがアルカリ土類金属成分を含む場合、第二の層/ゾーンは、アルカリ土類金属成分を含んでいなくてもよい。あるいは、第二の層/ゾーンがアルカリ土類金属成分を含む場合、第一の層/ゾーンは、アルカリ土類金属成分を含んでいなくてもよい。
【0119】
第1から第5の実施態様において、第一の層/ゾーンは、改質アルミナを含む担体材料を含んでもよく、且つ/又は第二の層/ゾーンは、改質アルミナを含む担体材料を含んでもよい。通常、白金(Pt)成分を含む層又はゾーンは、改質アルミナを含む担体材料も含むことが好ましい。
【0120】
第1から第5の実施態様において、第一の層/ゾーンは、第2の担体材料を含んでもよく、且つ/又は第二の層/ゾーンは、第2の担体材料を含んでもよい。第一の層/ゾーン及び第二の層/ゾーンは、異なる担体材料を含んでもよい。第2の担体材料、及び改質アルミナを含む担体材料は、異なる層/ゾーン内にあることが好ましい。
【0121】
通常、アルカリ土類金属成分、及び改質アルミナを含む担体材料は、同じ層/ゾーンのうちの少なくとも1つにおいて存在する。
【0122】
第一の層/ゾーンがアルカリ土類金属成分を含む場合、通常、第一層内のアルカリ土類金属成分の質量と白金族金属(PGM)成分の質量の比は、0.25:1−20:1、好ましくは0.5:1−17:1、より好ましくは1:1−15:1、特に1.5:1−10:1、更により好ましくは2:1−7.5:1、更により好ましくは2.5:1−5:1である。
【0123】
第二の層/ゾーンがアルカリ土類金属成分を含む場合、通常、第二層内のアルカリ土類金属成分の質量と白金族金属(PGM)成分の質量の比は、0.25:1−20:1、好ましくは0.5:1−17:1、より好ましくは1:1−15:1、特に1.5:1−10:1、更により好ましくは2:1−7.5:1、更により好ましくは2.5:1−5:1である。
【0124】
第1から第5の実施態様において、第一の層/ゾーンは、更に貴金属成分、及び/又は酸素貯蔵材料、及び/又は炭化水素吸着剤を含んでもよい。好ましくは、第一の層/ゾーンは、更に炭化水素吸着剤を含む。
【0125】
第1から第5の実施態様において、第二の層/ゾーンは、更に貴金属成分、及び/又は酸素貯蔵材料、及び/又は炭化水素吸着剤を含んでもよい。好ましくは、第二の層/ゾーンは、更に炭化水素吸着剤を含む。
【0126】
第1の実施態様の1つの態様において、第一の層/ゾーンは、通常、Pd成分、Pt成分、アルカリ土類金属成分、及び改質アルミナを含む担体材料を含み、第二の層/ゾーンは、Pt成分、及び第2の担体材料、又は改質アルミナを含む担体材料のいずれか、及び任意選択的にアルカリ土類金属成分を含む。第二の層/ゾーンが第2の担体材料を含む場合、好ましくは第2の担体材料はアルミナである。
【0127】
第4の実施態様の1つの態様において、第一の層/ゾーンは、Pt成分、Pd成分、アルカリ土類金属成分、及び改質アルミナを含む担体材料を含み、第二の層/ゾーンは、Pt成分、Pd成分、及び第2の担体材料、又は改質アルミナを含む担体材料のいずれか、及び任意選択的にアルカリ土類金属成分を含む。第二の層/ゾーン内のPt成分と第二層内のPd成分の質量比は、≦10:1(例えば、10:1−1:2)、より好ましくは≦15:2(例えば、7.5:1−1:1.5)、更により好ましくは≦5:1(例えば、5:1−1.5:1)であることが好ましい。第二の層/ゾーンが第2の担体材料を含む場合は、好ましくは第2の担体材料はアルミナである。
【0128】
第一層が第一ゾーン、第二層が第二ゾーンである場合、(a)第1及び第3の実施態様において、第一の層/ゾーンは、第二の層/ゾーンの上流にあることが好ましく、(b)第2の実施態様において、第二の層/ゾーンは、第一の層/ゾーンの上流にあることが好ましく、(c)第5の実施態様において、第2の担体材料を含む層/ゾーンは、改質アルミナを含む担体材料を含む層/ゾーンの上流にあることが好ましい。
【0129】
実施態様において、第2の担体材料がある場合、特に第2の担体材料がセリア又はセリア−ジルコニアのいずれかである場合、第2の担体材料を含む層又はゾーンを、他の層又はゾーンの後に排気ガスと接触するよう配することが有利なことがある。従って、第2の担体材料がある場合、特に第2の担体材料がセリア又はセリア−ジルコニアである場合、(a)第1及び第3の実施態様において、第一の層/ゾーンは、第二の層/ゾーンの下流にあることが好ましく、(b)第2の実施態様において、第二の層/ゾーンは、第一の層/ゾーンの下流にあることが好ましく、(c)第5の実施態様において、第2の担体材料を含む層/ゾーンは、改質アルミナを含む担体材料を含む層/ゾーンの下流にあることが好ましい。
【0130】
通常、本発明の酸化触媒は、ロジウムを含んでも、含んでいなくてもよい。酸化触媒は、ルテニウム、ロジウム及びイリジウムを含まないことが好ましい。
【0131】
本発明の酸化触媒の別の一般的な特徴は、セリウム又はセリアが存在する場合、通常、担体材料のヘテロ原子成分のみがセリウム又はセリアを含むということである。本発明の酸化触媒は、特に担体材料として、又は酸素貯蔵材料としてセリアを含まないことが更に好ましい。
【0132】
本発明の酸化触媒の更に一般的な特徴は、アルカリ金属、特にナトリウム又はカリウム、特にカリウムが存在する場合、好ましくは炭化水素吸着剤のみが、特に炭化水素吸着剤がゼオライトである場合、アルカリ金属を含むということである。本発明の酸化触媒は、アルカリ金属、特にナトリウム又はカリウムを含まないことが更に好ましい。
【0133】
本発明の別の一般的な特徴は、本発明の酸化触媒は、NO
x吸着組成物を含まないということである。従って、本発明の酸化触媒は、NO
x吸着触媒(NO
xトラップとしても知られる)でないか、又はNO
x吸着触媒として使用するためのものでないことが好ましい。
【0134】
通常、酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒(DOC)又はキャタライズド・スート・フィルター(CSF)として使用するためのものである。
【0135】
本発明の第1の態様は、ディーゼルエンジン等の圧縮着火機関のための排気システムに関し、このシステムは、上で定義した酸化触媒を含む。本発明の第3の態様は、酸化触媒の使用に関する。本発明の酸化触媒の有利な活性、特に、その低CO「ライトオフ」温度により、特定の他の排出制御装置と組み合わせた使用に特に適切なものになる。
【0136】
通常、排気システムは、更に、少なくとも1つの排出制御装置を含んでもよく、又は、酸化触媒は、少なくとも1つの排出制御装置と組み合わせた使用のためのものである。排出制御装置は、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)、NO
x吸着触媒(NAC)、リーンNO
x触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRF)触媒及びその2つ以上の組み合わせから選択されてもよい。ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)、NO
x吸着触媒(NAC)、リーンNO
x触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)及び選択的触媒還元フィルター(SCRF)触媒の用語で表される排出制御装置は、すべて当技術分野においてよく知られている。
【0137】
本発明の酸化触媒と共に使用するための排出制御装置、又は本発明の排気システム内に含むための排出制御装置の例は、以下に記載している。
【0138】
ディーゼルパティキュレートフィルターは、好ましくは基材を含み、基材は上で定義した濾過モノリスである。基材は、触媒組成物で被膜されてもよい。
【0139】
ディーゼルパティキュレートフィルターの触媒組成物は、(i)粒子状物質(PM)及び/又は(ii)一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)の酸化に適している可能性がある。触媒組成物がPMの酸化に適している場合、得られる排出制御装置は、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)として知られる。通常、触媒組成物は、上で定義した貴金属、及び/又は白金、及び/又はパラジウムを含む。
【0140】
ディーゼルパティキュレートフィルターの触媒組成物は、NO
x吸着組成物であってもよい。触媒組成物がNO
x吸着組成物である場合、排出制御装置はNO
x吸着触媒(NAC)の一例である。触媒組成物がNO
x吸着組成物である排出制御装置が記述されてきた(例えば、欧州特許第0766993号を参照)。NO
x吸着組成物は当技術分野においてよく知られている(例えば、欧州特許第0766993号及び米国特許第5473887号を参照)。NO
x吸着組成物は、希薄な排気ガス(ラムダ>1)からNO
xを吸着し、排気ガス中の酸素濃度が低下した場合にNO
xを脱着するよう設計されている。次いで、脱着されたNO
xは、ロジウム等のNO
x吸着組成物自体の触媒成分、又はNO
x吸着組成物の下流に位置する触媒成分により促進されて、適切な還元剤(例えば、エンジン燃料)でN
2に還元されてもよい。
【0141】
ハニカムフロースルーモノリス基材上に被膜された最近のNO
x吸収剤触媒は、通常、層状配置で配置されている。しかし、フィルター基材上に施された複数の層は、背圧の問題を生み出すおそれがある。従って、本発明における使用のためのNO
x吸収剤触媒が「単一層」NO
x吸収剤触媒であると非常に好ましい。特に好ましい「単一層」NO
x吸収剤触媒は、セリア−ジルコニア混合酸化物上、又は任意選択的に安定化した(例えば、シリカ又はランタナ又は別の希土類元素を用いて安定化した)アルミナ上に担持されたロジウムの第1の成分を、白金及び/又はパラジウムを担持する第2の成分と組み合わせて含む。第2の成分は、アルミナベースの高表面積担体上に担持された白金及び/又はパラジウム、並びに粒子状「バルク」セリア(CeO
2)成分、すなわち、粒子状担体上に担持された可溶なセリアではなく、従って、Pt及び/又はPdを担持可能な「バルク」セリアを含む。粒子状セリアは、NO
x吸収剤成分を含み、且つ、白金及び/又はパラジウムに加えて、アルカリ土類金属及び/又はアルカリ金属、好ましくはバリウムを担持する。アルミナベースの高表面積担体は、例えば、アルミン酸マグネシウム、例えば、MgAl
2O
4であり得る。
【0142】
好ましい「単一層」NAC組成物は、ロジウム、並びに白金及び/又はパラジウム担体成分の混合物を含む。これらの成分は、混合物に合わせる前に、別々に調製され得、すなわち、事前に生成され得、又はロジウム、白金塩とパラジウム塩及び担体及び他の成分を合わせて、ロジウム、白金及びパラジウム成分を優先的に加水分解し、所望の担体上に担持され得る。
【0143】
通常、NO
x吸着組成物は、アルカリ金属成分、アルカリ土類金属成分又は希土類金属成分、あるいはその2つ以上の成分の組み合わせを含み、希土類金属成分は、ランタン又はイットリウムを含む。アルカリ金属成分は、カリウム又はナトリウム、より好ましくはカリウムを含むことが好ましい。アルカリ土類金属成分は、バリウム又はストロンチウム、より好ましくはバリウムを含むことが好ましい。
【0144】
NO
x吸着組成物は、更に、担体材料及び/又は触媒金属成分を含んでもよい。担体材料は、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア及びその混合物から選択されてもよい。触媒金属成分は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)及びその2つ以上の組み合わせから選択される金属を含んでもよい。
【0145】
リーンNO
x触媒(LNC)は、当技術分野においてよく知られている。好ましいリーンNO
x触媒(LNC)は、(a)アルミナ上に担持された白金(Pt)、又は(b)銅交換ゼオライト、特に銅交換ZSM−5のいずれかを含む。
【0146】
また、SCR触媒も当技術分野においてよく知られている。本発明の排気システムがSCR触媒を含む場合、排気システムは、更に、アンモニア等の含窒素還元剤、あるいは尿素又はギ酸アンモニウム等のアンモニア前駆体、好ましくは尿素を、一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)を酸化するための触媒の下流、且つSCR触媒の上流で排気ガス中に注入するためのインジェクターを含んでもよい。このようなインジェクターは、このような含窒素還元剤前駆体の供給源、例えば、そのタンクと流体的に接続しており、排気流中への弁で制御された前駆体の投入は、適切にプログラムされたエンジン管理手段、及び関連する排気ガス組成物のセンサー監視によりもたらされる閉ループ又は開ループフィードバックにより調節される。また、アンモニアはカルバミン酸アンモニウム(固体)を加熱することにより生成され得、生成したアンモニアは排気ガス中に注入され得る。
【0147】
インジェクターの代わりに、又はインジェクターに加えて、アンモニアは、例えば、フィルターの上流に配されるNACのリッチ再生中に、又は、フィルターの上流に配されるDOCをエンジン由来のリッチな排気ガスと接触させることにより、その場で生成され得る。従って、排気システムは、更に、排気ガスの炭化水素を高めるためのエンジン管理手段を含んでもよい。
【0148】
本発明における使用のためのSCR触媒は、2NH
3+2NO
2→N
2O+3H
2O+N
2等の望ましくない非選択的な副反応に優先して、4NH
3+4NO+O
2→4N
2+6H
2O(すなわち、NH
3:NOは1:1)、4NH
3+2NO+2NO
2→4N
2+6H
2O(すなわち、NH
3:NO
xは1:1)、及び8NH
3+6NO
2→7N
2+12H
2O(すなわち、NH
3:NO
xは4:3)の反応を選択的に促進する。
【0149】
SCR触媒は、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド、及びFe等の第VIII族遷移金属のうち少なくとも1つからなる群から選択される金属を含んでもよく、この金属は、耐熱酸化物又はモレキュラーシーブ上に担持される。特に好ましい金属は、Ce、Fe及びCu並びにその任意の2つ以上の組み合わせである。
【0150】
耐熱酸化物は、Al
2O
3、TiO
2、CeO
2、SiO
2、ZrO
2及びその2つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択されてもよい。非ゼオライト触媒は、酸化タングステン、例えば、V
2O
5/WO
3/TiO
2、WO
x/CeZrO
2、WO
x/ZrO
2又はFe/WO
x/ZrO
2も含み得る。
【0151】
SCR触媒又はそのウォッシュコートが、アルミノケイ酸ゼオライト又はSAPO等の少なくとも1つのモレキュラーシーブを含むことは、特に好ましい。少なくとも1つのモレキュラーシーブは、例えば、小細孔、中細孔又は大細孔モレキュラーシーブであり得る。本発明者らは、本明細書において、「小細孔モレキュラーシーブ」により、CHA等、8個の最大環サイズを含むモレキュラーシーブを意味し、本明細書において、「中細孔モレキュラーシーブ」により、ZSM−5等、10個の最大環サイズを含むモレキュラーシーブを意味し、本明細書において、「大細孔モレキュラーシーブ」により、beta等、12個の最大環サイズを有するモレキュラーシーブを意味する。小細孔モレキュラーシーブは、SCR触媒における使用に潜在的に有利である(例えば、国際公開第2008/132452号を参照)。
【0152】
本発明におけるSCR触媒としての用途を持つ好ましいモレキュラーシーブは、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ZSM−34を含むERI、モルデン沸石、フェリエライト、Betaを含むBEA、Y、CHA、Nu−3を含むLEV、MCM−22及びEU−1からなる群から選択される合成アルミノケイ酸ゼオライトのモレキュラーシーブであり、好ましくはAEI又はCHAであり、約15−約40等、約10−約50のシリカ対アルミナ比を有する。
【0153】
その最も基本的なもので、アンモニアスリップ触媒(ASC)は、上流SCR又は未反応のSCRF触媒を通過するアンモニアを酸化するための酸化触媒であり得る。望ましい(簡略化された)反応は、4NO+4NH
3+O
2→4N
2+6H
2Oと表され得る。アンモニアは臭いの強い化合物で、動物の粘膜表面、例えば、眼及び呼吸器経路を刺激する可能性があるため、その大気への排出は、可能な限り制限されるべきである。可能性のあるアンモニアスリップ触媒は、好ましくはPtを、例えば1−15g/ft
3含む比較的低添加量の白金族金属を、適切な比較的高表面積の酸化物担体、例えば、適切な基材モノリス上に被膜されたアルミナ上に含む。
【0154】
しかし、特に好ましい配置において、白金族金属及び担体材料(例えば、ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む)は、第一層を覆っている上部の第二層の下の第一層内の基材(すなわち、基材モノリス)上に配される。第二層は、本明細書で先に述べたSCR触媒のいずれか、特に、Cu又はFe等の遷移金属を含むモレキュラーシーブから選択されるSCR触媒である。層状配置の特に好ましいASCは、第二層、すなわち上部の層内にCuCHAを含む。
【0155】
第1の排気システムの実施態様において、排気システムは、本発明の酸化触媒を好ましくはDOCとして含み、且つキャタライズド・スート・フィルター(CSF)を含む。このような配置は、DOC/CSFと呼ばれ得る。この実施態様は、キャタライズド・スート・フィルターと組み合わせた圧縮着火機関からの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用にも関し、好ましくは、酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒であるか、又は、ディーゼル酸化触媒として使用するためのものである。酸化触媒の後に、通常、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)が続く(例えば、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)の上流にある)。従って、例えば、酸化触媒の出口は、キャタライズド・スート・フィルターの入口に接続される。
【0156】
第1の排気システムの実施態様は、更に、NO
x吸着触媒(NAC)を含んでもよい。従って、該実施態様は、更に、NO
x吸着触媒(NAC)及びキャタライズド・スート・フィルター(CSF)と組み合わせた圧縮着火機関からの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用に関し、好ましくは、酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒であるか、又は、ディーゼル酸化触媒として使用するためのものである。通常、酸化触媒の後に、NO
x吸着触媒(NAC)が続き(例えば、NO
x吸着触媒(NAC)の上流にある)、NO
x吸着触媒(NAC)の後に、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)が続く(例えば、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)の上流にある)。通常、酸化触媒、NO
x吸着触媒(NAC)及びキャタライズド・スート・フィルター(CSF)は、直列に接続される。従って、例えば、酸化触媒の出口は、NO
x吸着触媒(NAC)の入口に接続され、NO
x吸着触媒(NAC)の出口は、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)の入口に接続される。このような配置は、DOC/NAC/CSFと呼ばれ得る。
【0157】
第2の排気システムの実施態様において、排気システムは、ディーゼル酸化触媒及び本発明の酸化触媒を含み、好ましくはキャタライズド・スート・フィルター(CSF)として含む。この配置は、DOC/CSF配置とも呼ばれ得る。該実施態様は、更に、ディーゼル酸化触媒(DOC)と組み合わせた圧縮着火機関からの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用に関し、好ましくは、酸化触媒は、キャタライズド・スート・フィルターであり、又はキャタライズド・スート・フィルターとして使用するためのものである。通常、ディーゼル酸化触媒(DOC)の後に、本発明の酸化触媒が続く(例えば、本発明の酸化触媒の上流にある)。従って、ディーゼル酸化触媒の出口は、本発明の酸化触媒の入口に接続される。
【0158】
第3の排気システムの実施態様は、本発明の酸化触媒を好ましくはDOCとして含み、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)及び選択的触媒還元(SCR)触媒を含む排気システムに関する。このような配置は、DOC/CSF/SCRと呼ばれ得て、軽負荷ディーゼル車両用に好ましい排気システムである。この実施態様は、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)及び選択的触媒還元(SCR)触媒と組み合わせた圧縮着火機関からの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用にも関し、好ましくは、酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒であるか、又は、ディーゼル酸化触媒として使用するためのものである。酸化触媒の後に、通常、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)が続く(例えば、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)の上流にある)。キャタライズド・スート・フィルターの後に、通常、選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、選択的触媒還元(SCR)触媒の上流にある)。含窒素還元剤インジェクターは、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置されてもよい。従って、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)の後に、含窒素還元剤インジェクターが続いてもよく(例えば、含窒素還元剤インジェクターの上流にある)、含窒素還元剤インジェクターの後に、選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、選択的触媒還元(SCR)触媒の上流にある)。
【0159】
第4の排気システムの実施態様は、ディーゼル酸化触媒(DOC)を含み、本発明の酸化触媒を好ましくはキャタライズド・スート・フィルター(CSF)として含み、選択的触媒還元(SCR)触媒を含む排気システムに関する。これもDOC/CSF/SCR配置である。この実施態様の別の態様は、ディーゼル酸化触媒(DOC)及び選択的触媒還元(SCR)触媒と組み合わせた圧縮着火機関からの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用に関し、好ましくは、酸化触媒は、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)であるか、又は、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)として使用するためのものである。ディーゼル酸化触媒(DOC)の後に、通常、本発明の酸化触媒が続く(例えば、本発明の酸化触媒の上流にある)。本発明の酸化触媒の後に、通常、選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、選択的触媒還元(SCR)触媒の上流にある)。含窒素還元剤インジェクターは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置されてもよい。従って、酸化触媒は、含窒素還元剤インジェクターが続いてもよく(例えば、含窒素還元剤インジェクターの上流にある)、含窒素還元剤インジェクターは、選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、選択的触媒還元(SCR)触媒の上流にある)。
【0160】
第5の排気システムの実施態様において、排気システムは、本発明の酸化触媒を好ましくはDOCとして含み、選択的触媒還元(SCR)触媒、及びキャタライズド・スート・フィルター(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)のいずれかを含む。配置は、DOC/SCR/CSF又はDOC/SCR/DPFのいずれかである。この実施態様は、選択的触媒還元(SCR)触媒、及びキャタライズド・スート・フィルター(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)のいずれかと組み合わせた圧縮着火機関からの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用にも関し、好ましくは、酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒であるか、又はディーゼル酸化触媒として使用するためのものである。
【0161】
第5の排気システムの実施態様において、本発明の酸化触媒の後に、通常、選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、選択的触媒還元(SCR)触媒の上流にある)。含窒素還元剤インジェクターは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置されてもよい。従って、酸化触媒の後に、含窒素還元剤インジェクターが続いてもよく(例えば、含窒素還元剤インジェクターの上流にある)、含窒素還元剤インジェクターは、選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、選択的触媒還元(SCR)触媒の上流にある)。選択的触媒還元(SCR)触媒の後に、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)が続く(例えば、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)の上流にある)。
【0162】
第6の排気システムの実施態様は、本発明の酸化触媒を好ましくはDOCとして含み、選択的触媒還元フィルター(SCRF)触媒を含む。このような配置は、DOC/SCRFと呼ばれ得る。この実施態様は、選択的触媒還元フィルター(SCRF)触媒と組み合わせた圧縮着火機関からの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用にも関し、好ましくは、酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒であるか、又は、ディーゼル酸化触媒として使用するためのものである。本発明の酸化触媒の後に、通常、選択的触媒還元フィルター(SCRF)触媒が続く(例えば、選択的触媒還元フィルター(SCRF)触媒の上流にある)。含窒素還元剤インジェクターは、酸化触媒と選択的触媒還元フィルター(SCRF)触媒の間に配置されてもよい。従って、酸化触媒の後に、含窒素還元剤インジェクターが続いてもよく(例えば、含窒素還元剤インジェクターの上流にある)、含窒素還元剤インジェクターの後に、選択的触媒還元フィルター(SCRF)触媒が続いてもよい(例えば、選択的触媒還元フィルター(SCRF)触媒の上流にある)。
【0163】
第7の排気システムの実施態様において、排気システムは、NO
x吸着触媒(NAC)を含み、本発明の酸化触媒を好ましくはキャタライズド・スート・フィルター(CSF)として含む。この配置は、NAC/CSF配置とも呼ばれ得る。該実施態様は、更に、NO
x吸着触媒(NAC)と組み合わせた圧縮着火機関からの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用にも関し、好ましくは、酸化触媒は、キャタライズド・スート・フィルターであるか、又は、キャタライズド・スート・フィルターとして使用するためのものである。通常、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)は、NO
x吸着触媒(NAC)の下流にある。従って、NO
x吸着触媒(NAC)の出口は、本発明の酸化触媒の入口に接続される。
【0164】
第7の排気システムの実施態様は、更に、選択的触媒還元(SCR)触媒を含んでもよい。従って、該実施態様は、更に、NO
x吸着触媒(NAC)及び選択的触媒還元(SCR)触媒と組み合わせた圧縮着火機関からの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用に関し、好ましくは、酸化触媒は、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)であるか、又は、キャタライズド・スート・フィルター(CSF)として使用するためのものである。通常、NO
x吸着触媒(NAC)の後に、本発明の酸化触媒が続き(例えば、本発明の酸化触媒の上流にある)、本発明の酸化触媒の後に、選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、選択的触媒還元(SCR)触媒の上流にある)。このような配置は、NAC/CSF/SCRと呼ばれ得る。含窒素還元剤インジェクターは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置されてもよい。従って、酸化触媒の後に、含窒素還元剤インジェクターが続いてもよく(例えば、含窒素還元剤インジェクターの上流にある)、含窒素還元剤インジェクターの後に、選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、選択的触媒還元(SCR)触媒の上流にある)。含窒素還元剤インジェクターの代わりに、又は含窒素還元剤インジェクターに加えて、アンモニアは、例えば、フィルターの上流に配されるNACのリッチ再生中その場で生成され得る。
【0165】
SCR触媒を用いる第7の排気システムの実施態様において、NO
x吸着触媒(NAC)、酸化触媒及び選択的触媒還元(SCR)触媒は、通常、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒の間で接続される任意選択の含窒素還元剤インジェクターと直列に接続される。従って、例えば、NO
x吸着触媒(NAC)の出口は、酸化触媒の入口に接続され、酸化触媒の出口は、選択的触媒還元(SCR)触媒の入口に接続される。
【0166】
SCR触媒を含む先に記述した第1から第7のいずれか1つの排気システムの実施態様(SCRF触媒を含む)において、ASC触媒は、SCR触媒又はSCRF触媒から下流に(すなわち、分離した基材モノリスとして)配され得、あるいは、より好ましくは、下流のゾーン、又はSCR触媒を含む基材モノリスの後端部は、ASCのための担体として使用され得る。
【0167】
本発明の第2の態様は、圧縮着火機関、及び圧縮着火機関のための排気システムを含む車両に関する。
【0168】
本発明は、本発明の排気システムを含む圧縮着火機関も提供する。
【0169】
圧縮着火機関は、均一予混合圧縮着火(HCCI)エンジン又は予混合圧縮着火機関(PCCI)(DieselNet Technology Guide “Engine Design for Low Emissions”, Revision 2010.12aを参照)、あるいは更に通常のポート燃料噴射タイプの圧縮着火機関であり得る。
【0170】
通常、圧縮着火機関はディーゼルエンジンである。
【0171】
車両は、米国又は欧州の規制で定義されるような軽負荷ディーゼル車両(LDV)であってもよい。軽負荷ディーゼル車両は、通常、2840kg未満の重量、より好ましくは2610kg未満の重量を有する。
【0172】
米国において、軽負荷ディーゼル車両(LDV)は、8500ポンド(USポンド)以下の総重量を有するディーゼル車両を指す。欧州において、軽負荷ディーゼル車両(LDV)という用語は、(i)運転席の他に8席を超えない座席を含み、5トンを超えない最大質量を有する乗用車両、及び(ii)12トンを超えない最大質量を有する物品を輸送するための車両を指す。
【0173】
あるいは、車両は、8500ポンド(USポンド)を超える総重量を有するディーゼル車両等、米国の規制において定義されている高負荷ディーゼル車両(HDV)であってもよい。
【0174】
本発明の第4の態様は、圧縮着火機関からの排気ガスを処理する方法に関し、この方法は、排気ガスを酸化触媒と接触させる工程を含み、該酸化触媒は、白金(Pt)成分、パラジウム(Pd)成分、及びその組み合わせからなる群から選択される白金族金属(PGM)成分、アルカリ土類金属成分、ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む担体材料、並びに、白金族金属(PGM)成分、アルカリ土類金属成分及び担体材料が上に配される基材を含む。
【0175】
通常、この方法は、圧縮着火機関から直接の排気ガスを酸化触媒と接触させる工程を含む。従って、排気ガスを酸化触媒と接触させる前に、別の炭化水素(HC)を、通常、排気ガスに注入しないことが好ましい。排気ガス中の炭化水素の量は、通常、排気ガスを酸化触媒と接触させる前に、メタンに換算して、好ましくは体積で1000ppm未満、より好ましくは体積で950ppm未満、更により好ましくは750ppm未満である。
【0176】
本発明の第5の態様は、酸化触媒を調製するプロセスに関する。本発明は、プロセスにより得られた又は得ることができる酸化触媒にも関する。このプロセスは、白金族金属(PGM)成分、アルカリ土類金属成分、及び担体材料を基材上に配する工程を含み、白金族金属(PGM)成分は、白金(Pt)成分、パラジウム(Pd)成分、及びその組み合わせからなる群から選択され、担体材料は、ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナを含む。
【0177】
触媒の各層/ゾーンは、ウォッシュコート被膜を基材に塗布することにより基材上に形成されてもよい。通常、各ウォッシュコート被膜は、触媒の関連する層を構成するそれぞれの成分を含む水性分散剤である。ウォッシュコート被膜を構成する成分は、事前に生成され得る。
【0178】
通常、白金族金属(PGM)成分、アルカリ土類金属成分、及び担体材料を基材上に配する工程は、ウォッシュコート被膜を基材に塗布し被膜した基材を生成する工程を含む。酸化触媒が複数の層を含む場合、該プロセスは、複数のウォッシュコート被膜を基材上に塗布して複数の層を形成する工程を含む。各ウォッシュコート被膜を塗布した後、又は複数のウォッシュコート被膜を塗布した後、400−800℃、好ましくは450−600℃の温度で、被膜した基材をか焼する工程が通常実施される。
【0179】
2層を含む酸化触媒について、白金族金属(PGM)成分、アルカリ土類金属成分、及び担体材料を基材上に配する工程は、第一層を形成するために第1のウォッシュコート被膜を基材に塗布する工程、次いで第二層を形成するために第2のウォッシュコート被膜を基材に塗布する工程を含む。少なくとも第1のウォッシュコート被膜を塗布した後、好ましくは第1のウォッシュコート被膜及び第2のウォッシュコート被膜を塗布した後、被膜した基材が得られる。次いで、400−800℃、好ましくは450−600℃の温度で、被膜した基材をか焼する工程を含むプロセスが通常実施される。第1及び第2の被膜はそれぞれ、触媒の第一及び第二層を形成する。
【0180】
通常、各ウォッシュコート被膜は、白金族金属(PGM)塩、担体材料、及び任意選択的にアルカリ土類金属塩の水性分散剤を独立して含んでもよい。か焼中、白金族金属(PGM)塩は白金族金属(PGM)成分を生成し、アルカリ土類金属塩はアルカリ土類金属成分を生成する。
【0181】
適切な白金族金属(PGM)塩は当技術分野においてよく知られており、例えば、硝酸白金及び硝酸パラジウムを含む。適切なアルカリ土類金属塩の例は、硝酸のアルカリ土類金属塩及び酢酸のアルカリ土類金属塩を含む。使用される各塩の量及び同一性は、形成される層の所望の組成により決定される。
【0182】
担体材料は、上で定義した第2の担体材料、改質アルミナを含む担体材料及びその組み合わせからなる群から選択される。担体材料が改質アルミナを含む担体材料であることは好ましい。
【0183】
各ウォッシュコート被膜は、更に、貴金属塩、及び/又は酸素貯蔵材料、及び/又は炭化水素吸着剤を含んでもよい。少なくとも1つのウォッシュコート被膜、又は各ウォッシュコート被膜が炭化水素吸着剤を含むことは好ましい。
【0184】
酸化触媒を調製するプロセスの第1の実施態様は、ウォッシュコート被膜を基材に塗布し被膜した基材を生成する工程を含み、ウォッシュコート被膜は、白金族金属(PGM)塩、アルカリ土類金属塩、改質アルミナを含む担体材料、及び任意選択的に炭化水素吸着剤、及び/又は酸素貯蔵材料、及び/又は貴金属塩を含み、400−800℃、好ましくは450−600℃の温度で、被膜した基材をか焼する工程を含む。
【0185】
酸化触媒を調製するプロセスの第2の実施態様は、第1のウォッシュコート被膜を基材上に塗布して第1の被膜を生成する工程、第2のウォッシュコート被膜を基材上に塗布する工程、並びに第1の被膜及び/又は第2の被膜を塗布した後、基材を400−800℃、好ましくは450−600℃の温度でか焼する工程を含む。
【0186】
通常、第1のウォッシュコート被膜は、白金族金属(PGM)塩、アルカリ土類金属塩、担体材料、及び任意選択的に炭化水素吸着剤、及び/又は酸素貯蔵材料、及び/又は貴金属塩、及び/又は第2の貯蔵材料を含む。第1のウォッシュコート被膜の組成は、上で定義した第一層を形成するように選択される。第2のウォッシュコート被膜は、白金族金属(PGM)塩、アルカリ土類金属塩、担体材料、及び任意選択的に炭化水素吸着剤、及び/又は酸素貯蔵材料、及び/又は貴金属塩、及び/又は第2の貯蔵材料を含む。第2のウォッシュコート被膜の組成は、上で定義した第二層を形成するように選択される。
【0187】
ウォッシュコート被膜を調製する方法はいくつかあり、しばしば利用される方法は、形成しようとする触媒層により決定される。
【0188】
ウォッシュコート被膜、好ましくは第1のウォッシュコート被膜及び/又は第2のウォッシュコート被膜を調製する1つの方法は、白金族金属(PGM)塩、アルカリ土類金属塩、担体材料、及び任意選択的に炭化水素吸着剤、及び/又は酸素貯蔵材料、及び/又は貴金属塩、及び/又は第2の貯蔵材料を水溶液中に分散させる工程による。
【0189】
ウォッシュコート被膜、好ましくは第1のウォッシュコート被膜及び/又は第2のウォッシュコート被膜を調製する別の方法は、担体材料にアルカリ土類金属塩又はアルカリ土類金属成分のいずれかを含浸させて含浸担体材料を生成する工程、次いで、含浸担体材料、白金族金属(PGM)塩、及び任意選択的に炭化水素吸着剤、及び/又は酸素貯蔵材料、及び/又は貴金属塩、及び/又は第2の貯蔵材料を水溶液中に分散させる工程による。担体材料を含浸させる工程は、(a)アルカリ土類金属塩又はアルカリ土類金属成分を担体材料上に噴霧乾燥する工程、又は(b)水溶液中にアルカリ土類金属塩を溶解させ、次いで担体材料を加えて担体材料及びアルカリ土類金属塩を含む溶液を生成する工程のいずれかを含んでもよい。工程(b)で担体材料を加えた後、担体材料及びアルカリ土類金属塩を含む溶液を撹拌し、好ましくは、溶液のpHを調整してアルカリ土類金属塩又は成分を沈殿させる。
【0190】
ウォッシュコート被膜、好ましくは第1のウォッシュコート被膜及び/又は第2のウォッシュコート被膜を調製する別の方法は、担体材料に白金族金属(PGM)塩を含浸させてPGM含浸担体材料を生成する工程、次いで、PGM含浸担体材料、アルカリ土類金属塩、及び任意選択的に炭化水素吸着剤、及び/又は酸素貯蔵材料、及び/又は貴金属塩、及び/又は第2の貯蔵材料を水溶液中に分散させる工程による。アルミナ担体材料にPGMを含浸させるための方法は当技術分野においてよく知られている。
定義
【0191】
誤解を避けるために、用語「ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナ」は、「純粋な」アルミナ(すなわち、純度≧99.9%のアルミナ)、シリカとアルミナの混合物又はゼオライト等のアルミナとヘテロ原子成分の混合物を包含しない。「ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナ」の文脈において、重量%での任意の量は、元素、イオン又は化合物に関わらず、アルミナのホスト格子内に存在するヘテロ原子成分の量を指し、残りの部分は実質的にアルミナからなる。
【0192】
用語「ヘテロ原子成分でドープされたアルミナ」は、通常、ヘテロ原子成分でドープされた置換であるか、又は格子間でドープされた置換であるアルミナのホスト格子を含む材料を指す。いくつかの例において、アルミナの表面に少量のヘテロ原子成分が(すなわち、ドーパントとして)存在してもよい。しかし、大部分のドーパントは、通常、アルミナのホスト格子体内に存在することになる。ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、通常、市販されており、あるいは当技術分野においてよく知られている通常の方法、又は米国特許第5045519号に記載されている方法を用いることにより調製され得る。
【0193】
本明細書において用いられる用語「アルカリ土類金属成分」は、通常、別段の指定がない限り、周期表の第2族元素又はイオン、周期表の第2族元素又はイオンを含む化合物、あるいは周期表の第2族元素を含む金属合金を指す。用語「アルカリ土類金属成分」は、通常、「ヘテロ原子成分を取り込んでいる改質アルミナ」を含まない。「アルカリ土類金属成分」は、本明細書に記述される「ヘテロ原子成分でドープされたアルミナ」又は「アルミン酸のアルカリ土類金属塩」ではない。
【0194】
通常、「アルカリ土類金属成分」は、(i)アルカリ土類金属を含む化合物、及び/又は(ii)アルカリ土類金属を含む金属合金である。アルカリ土類金属を含む化合物において、アルカリ土類金属は、通常、カチオンとして存在する。化合物は、例えば、アルカリ土類金属の酸化物、硝酸のアルカリ土類金属塩、炭酸のアルカリ土類金属塩又はアルカリ土類金属の水酸化物であってもよい。金属合金において、アルカリ土類金属は、通常、元素の形態で(すなわち、金属として)存在する。アルカリ土類金属成分は、好ましくはアルカリ土類金属を含む化合物、より好ましくは単一のアルカリ土類金属を含む化合物である。
【0195】
本明細書において用いられる用語「白金族金属(PGM)」は、通常、別段の指定がない限り、白金又はパラジウムを指す。誤解を避けるために、この用語は、通常、ロジウムを含まない。
【0196】
本明細書において用いられる用語「白金族金属(PGM)成分」は、元素のPGM(例えば、PGM金属)、PGMイオン(例えば、Pt
2+等のカチオン)、PGMを含む化合物(例えば、PGM塩、又はPGMの酸化物)、又はPGMを含む合金(例えば、白金−パラジウム合金)等、白金族金属(PGM)を含む任意の部分を指す。本明細書において用いられる用語「白金(Pt)成分」は、元素の白金(例えば、白金金属)、白金イオン(例えば、Pt
2+等のカチオン)、白金の化合物(例えば、白金塩、又は白金の酸化物)、又は白金を含む合金(例えば、白金−パラジウム合金)等、白金を含む任意の部分を指す。本明細書において用いられる用語「パラジウム(Pd)成分」は、元素のパラジウム(例えば、パラジウム金属)、パラジウムイオン(例えば、Pd
2+等のカチオン)、パラジウムの化合物(例えば、パラジウム塩、又はパラジウムの酸化物)、又はパラジウムを含む合金(例えば、白金−パラジウム合金)等、パラジウムを含む任意の部分を指す。
【0197】
「白金(Pt)成分」は、通常、白金金属、又は白金を含む合金、特に白金−パラジウム合金である。好ましくは、「白金(Pt)成分」は白金金属である。
【0198】
「パラジウム(Pd)成分」は、通常、パラジウム金属、酸化パラジウム、又はパラジウムを含む合金、特に白金−パラジウム合金である。好ましくは、「パラジウム(Pd)成分」はパラジウム金属である。
【0199】
本明細書において用いられる用語「貴金属成分」は、貴金属の元素の形態、貴金属のイオン、貴金属の化合物、又は貴金属を含む合金(例えば、貴金属−白金合金又は貴金属−パラジウム合金)等、貴金属を含む任意の部分を指す。「貴金属成分」は、貴金属自体(すなわち、元素の形態)、又は貴金属を含む合金であることが好ましい。より好ましくは、「貴金属成分」は、貴金属自体(すなわち、元素の形態)である。
【0200】
本明細書において用いられる「白金族金属(PGM)成分」、「白金(Pt)成分」、「パラジウム(Pd)成分」、「アルカリ土類金属成分」又は「貴金属成分」の量についてのいかなる言及も、通常、それぞれ、存在するPGM、白金、パラジウム、アルカリ土類金属又は貴金属の量を指す。従って、例えば、「白金族金属(PGM)成分」、「白金(Pt)成分」、「パラジウム(Pd)成分」、「アルカリ土類金属成分」又は「貴金属成分」が、それぞれ、PGM、白金、パラジウム、アルカリ土類金属又は貴金属を含む化合物である場合、記載した量は、存在する上記金属の総量を指すのみであり、化合物の他の成分を含まない。
【0201】
g/ft
3又はg/in
3の単位で記載された量は、通常、用いられる基材の体積に関する。
【0202】
アルカリ土類金属成分の量に関するもの等、重量%での材料の量へのどのような言及も、通常、材料を含む層/ゾーン(例えば、ウォッシュコート被膜)の全体の重量のパーセントを指す。
【0203】
本明細書において用いられる用語「実質的に覆う」は、第二層による第一層の表面積の少なくとも90%の被覆、好ましくは少なくとも95%の被覆、より好ましくは少なくとも99%の被覆を指す。
【0204】
本明細書において用いられる用語「実質的に均一な長さ」は、層の長さの平均値から10%を超えて外れず、好ましくは5%を超えて外れず、より好ましくは1%を超えて外れない層の長さを指す。
【0205】
本明細書において用いられる表現「実質的に〜なる(consisting essentially)」は、特定の材料又は工程を含むために特徴の範囲を制限し、例えば少量の不純物等、その特徴の基本特性に実質的に影響を与えない任意の他の材料又は工程を制限する。表現「実質的に〜からなる(consisting essentially of)」は、表現「からなる(consisting of)」を包含する。
【0206】
本明細書において用いられる用語「ゾーン」は、基材の全長よりも短い長さを有するウォッシュコート領域又は層を指す。通常、「ゾーン」は実質的に均一な長さを有する。この用語は、通常、2つ以上のウォッシュコート領域又は層が、同じ基材上に横に並んだ配置を指す。
【実施例】
【0207】
これから本発明を以下の非限定的な例により説明する。
【0208】
実施例1
調製方法
アルカリ土類金属成分、及び担体材料としてヘテロ原子成分でドープされたアルミナを含む試料を以下の通り調製した。
【0209】
シリカでドープされたアルミナ粉末は、水中でスラリーにされ、d
90が20ミクロン未満になるまで粉砕した。酢酸バリウムはスラリーに加えられ、次いで、適量の可溶な白金塩及びパラジウム塩が加えられた。次に、スラリーを撹拌して均質化した。生じたウォッシュコートは、確立された被膜技術を用いて、1平方インチ当たり400セルを有するコーディエライトフロースルーモノリスに塗布された。部品は乾燥され、500℃でか焼された。
【0210】
比較の目的で、担体材料としてヘテロ原子成分でドープされるが、アルカリ土類金属成分のないアルミナを含有する試料も調製された。上述の方法は、酢酸バリウムを添加する工程が省略されたことを除いて、試料を調製するために使用された。
【0211】
更なる比較例として、アルカリ土類金属成分の有無両方の担体材料として通常のアルミナを含有する試料が、以下の通り調製された。
【0212】
アルミナ粉末は水中でスラリーにされ、d
90が20ミクロン未満になるまで粉砕された。酢酸バリウムはスラリーに加えられ、次いで、適量の可溶な白金塩及びパラジウム塩が加えられた。次に、スラリーを撹拌して均質化した。生じたウォッシュコートは、確立された被膜技術を用いて、1平方インチ当たり400セルを有するコーディエライトフロースルーモノリスに塗布された。部品は乾燥され、500℃でか焼された。
【0213】
アルカリ土類金属成分のない類似のアルミナ試料を、酢酸バリウムの添加工程を省略することにより調製された。
【0214】
組成物は、総担持量50g/ft
3の白金族金属を含有した。バリウムを含有する試料は、150g/ft
3の担持量を供して調製された。5%シリカでドープされたアルミナは、改質アルミナとして使用された。
【0215】
CO T
50の測定
触媒活性は、合成ガスベンチ活性試験(SCAT)を用いて求めた。試験される部品は、まずコアドリルを用いて中心を取り除かれ、水熱条件(水10%)を適用してオーブン内で750℃で5時間熟成された。熟成された中心部は、模擬触媒活性試験(SCAT)ガス装置内で表1の入口ガス混合物を用いて試験された。それぞれの場合において、残余分は窒素である。
【0216】
結果
測定の結果を
図1に示す。
図1は本発明の触媒の改善された活性を示しており、これらは、担持量150g/ft
3で改質アルミナとバリウムの両方を含む。本発明の触媒は、バリウムを含まない比較例の触媒よりも低いCO T
50ライトオフ温度を有する。これは、Pt:Pdの質量比が1:2−2:1の範囲の場合に特に顕著である。担体材料としての通常のアルミナ及びバリウムを含む触媒は、通常のアルミナを含みバリウムのない触媒と比べて、改善されたCO T
50ライトオフ温度を示さない。
【0217】
実施例2
5%シリカでドープされたアルミナ、50g/ft
3の総PGM担持量1:1の質量比のPt:Pd、及び様々な量のバリウムを含有する試料は、上述の方法を用いて調製された。CO T
50ライトオフ温度も上述の同じ手順を用いて測定された。
【0218】
結果
CO「ライトオフ」測定の結果を下の表2に示す。
【0219】
実施例3
調製方法
シリカでをドープしされたアルミナ粉末は、水中でスラリーにされ、d
90が20ミクロン未満になるまで粉砕した。酢酸ストロンチウムがスラリーに加えられ、次いで、適量の可溶な白金塩及びパラジウム塩が加えられた。Pt:Pdの質量比は、50g/ft
3の総PGM添加量で1:1であった。次に、スラリーを撹拌して均質化した。生じたウォッシュコートは、確立された被膜技術を用いて、1平方インチ当たり400セルを有するコーディエライトフロースルーモノリスに塗布された。部品は乾燥され、500℃でか焼された。CO T
50ライトオフ温度も上述の同一の方法を用いて測定された。
【0220】
結果
CO「ライトオフ」測定の結果を下の表3に示す。
【0221】
ストロンチウムを含む触媒は、ストロンチウムのない比較例の触媒よりも低いCO T
50ライトオフ温度を示す(表2の試料2−1参照)。試料3−1及び3−2は、CO T
50ライトオフ温度の低下が2種類の異なるヘテロ原子がドープされたアルミナを用いて達成されることを示す。担体A1は、5%シリカでドープされたアルミナであり、担体A2は、10%シリカでドープされたアルミナである。
【0222】
実施例4
調製方法
マグネシウムでドープされたアルミナ粉末は、水中でスラリーにされ、d
90が20ミクロン未満になるまで粉砕した。酢酸バリウムがスラリーに加えられ、次いで、適量の可溶な白金塩及びパラジウム塩が加えられた。Pt:Pdの質量比は、50g/ft
3の総PGM添加量で2:1であった。次に、スラリーを撹拌して均質化した。生じたウォッシュコートは、確立された被膜技術を用いて、1平方インチ当たり400セルのコーディエライトフロースルーモノリスに塗布された。部品は乾燥され、500℃でか焼された。
【0223】
比較の目的で、担体材料としてマグネシウムがドープされアルカリ土類金属のないアルミナを含有する触媒は、酢酸バリウムの添加工程を省略されたことを除き、同一の方法で調製された。
【0224】
CO T
50ライトオフ温度も上述の方法を用いて測定された。
【0225】
結果
CO「ライトオフ」測定の結果を下の表4に示す。
A3=20重量%のマグネシウムを有するアルミン酸マグネシウム。
【0226】
アルミン酸マグネシウムを含む担体材料を含む試料は、バリウムが組成物に含まれる場合、バリウムなしで調製された試料よりも低いCO T
50ライトオフ温度を示す。ライトオフ温度は19℃低下する。
【0227】
実施例5
調製方法
触媒(5−1)は、酢酸バリウム溶液のインシピエントウェットネス含浸(により調製された。材料は105℃で乾燥された。次に、白金塩及びパラジウム塩の第2の溶液がインシピエントウェットネス含浸により加えられた。生じた材料は105℃で乾燥され、次いで500℃でか焼された。最終的な組成は、Pt0.65重量%、Pd0.35重量%、Ba10重量%であった。
【0228】
比較例の触媒(5−2)は、同一の方法を用いるが、アルミナ担体にドープされたシリカ上に酢酸バリウムの含浸なしに調製された。最終的な組成は、Pt0.65重量%、Pd0.35重量%であった。
【0229】
各触媒の温度に対するNO酸化活性%は、触媒を新たに調製した場合(例えば、「新鮮な」触媒)、及び各触媒を750℃で48時間水熱熟成された後(例えば、「熟成された」触媒)に試験された。試験ガス混合物は表5に記載される。それぞれの場合において、残余分は窒素である。
【0230】
結果
各触媒の「新鮮な」変種と「熟成された」変種との間の活性の違いを下の表6に示す。
【0231】
表6の結果は、触媒5−1が触媒5−2よりも「新鮮な」及び「熟成された」変形の間のNO酸化性能における%の違いが小さいことを示す。この違いは、下流排出制御装置、特にSCR又はSCRF触媒がある排気システムにとって重要であり、その理由は、このような下流排出制御装置の活性は、排気ガスのNO
x分、特にNO:NO
2比により作用され得るためである。
【0232】
どのような誤解も避けるために、本明細書において引用したあらゆるすべての文書の内容の全体が、出典明示により本願に援用される。