特許第6936170号(P6936170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6936170
(24)【登録日】2021年8月30日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】下栓
(51)【国際特許分類】
   A01K 77/00 20060101AFI20210906BHJP
   A01K 87/00 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   A01K77/00 A
   A01K87/00 640C
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-35090(P2018-35090)
(22)【出願日】2018年2月28日
(65)【公開番号】特開2019-146547(P2019-146547A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2020年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】中川 慎太郎
【審査官】 磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−235139(JP,A)
【文献】 特開2006−180800(JP,A)
【文献】 実開昭57−007970(JP,U)
【文献】 実開平04−016560(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 77/00
A01K 87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
元管に小径管を収納する振出式の管状体の後端部に装着可能な下栓であり、
前記元管に圧入固定されるとともに、前記小径管の後端縁を受ける弾性変形可能な材料で形成された竿受け部材と、竿受け部材を内篏、接着固定し、元管の内面に形成された雌螺子部と螺合する雄螺子部が形成されたバットキャップ本体と、バットキャップ本体の後端に取り付けられ、外部に露出するとともに中央に開口が形成された後端部材と、
を備え、
前記竿受け部材は、その中央に前記後端部材の開口と同一軸状となる貫通孔が形成されるとともに、元管の内面側から貫通孔に向けて下降するように傾斜して水分を案内する傾斜面が形成されており、
前記傾斜面は、周方向に一定間隔をおいて形成される放射状の溝であることを特徴とする下栓
【請求項2】
前記傾斜面は、すり鉢状の面で形成されることを特徴とする請求項1に記載の下栓。
【請求項3】
前記竿受け部材の元管に対して圧入固定される環状部分の先端側には、面取りが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の下栓。
【請求項4】
前記竿受け部材の後端部材側には、前記貫通孔を有する筒状突出部が形成され、
筒状突出部の径方向外方には、肉抜きが形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の下栓。
【請求項5】
前記竿受け部材の傾斜面側にグリスを塗布したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の下栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、玉網(玉の柄)、釣竿などの振出式の管状体の後端部に装着され、海水などの排出機能を備えた下栓に関する。
【背景技術】
【0002】
釣竿の後端部分には、管状体に海水などの水分、ごみ、砂などの異物が付着した際、それを排出できるように、例えば、特許文献1に開示されているような排出機能を備えた排出機能付きの下栓が配設されている。
この下栓は、振出式の釣竿の元管の後端に篏入される構造となっており、元管に順次収納される小径の竿管(中竿管、穂先竿管)を受けるように上方に竿受け部、中段に逆行防止部、下方に底部を備えている。前記竿受け部は、中心に向かって放射状に凸型に傾斜するように形成されており、各竿管から流れる水分は、径方向外方に形成された落下口を通じて逆行防止部に流れ、そこからさらに底部の中央に形成された水抜き穴を介して外部に排出できる構造となっている。なお、逆行防止部は、異物が竿受け部に戻りにくくする機能を備えている。
【0003】
また、海のルアー釣り等で使用する小継ぎ振出仕様の玉の柄においても、同様な機能を有する下栓が配設されている。
例えば、本件特許出願人が製造販売する玉の柄である「月下美人(登録商標)ランディングポール」に用いられている下栓は、元管の内面に圧入固定され、小径管を受ける先部弾性体(竿受け部)と、先部弾性体を内篏、接着固定し、元管の内面に形成された雌螺子部と螺合する雄螺子部が形成されたバットキャップ本体と、バットキャップ本体の後端に取り付けられ、外部に露出する元部弾性体とを備えた構成となっている。前記先部弾性体は、竿受け部分が平坦面に構成されるとともに、その中央には、貫通孔が形成されており、この貫通孔は、元部弾性体の中央に形成された開口と同一軸状となって、内部の異物を貫通孔及び開口を通じて外部に排出できる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−070386号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に開示された下栓は、構造が複雑であり、竿受け部が元管の内面に圧入する構造でないことから、元管内面と竿受け部の外周との間に海水などが付着しやすく、十分な排出構造となっていない。
【0006】
また、上記した玉の柄に用いられている公知の下栓は、先部弾性体を元管内面に対して圧入させる構造であり、かつ、竿受け面は平坦面となっていることから、上記した公知文献1に開示された下栓構造と比べると、海水等が排出(主に排水機能を意味する)しにくい構造となっている。このため、海水が元管(FRPで構成されている)との間で滞留すると、塩ガミや電食が発生する可能性もあり、下栓の劣化、元管内面との固着、先部弾性体と下栓(バットキャップ本体)との接着の劣化などの問題が生じる可能性がある。さらに、先部弾性体はゴムで構成されており、成形上の寸法公差が大きいことから、場合によっては圧入できない等の問題が生じる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、元管に小径管を収納する振出式の管状体の後端部に装着可能な下栓において、簡単な構造で、水分を滞留させることなく十分な排出機能を備え、元管に対する設置が容易である下栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明は、元管に小径管を収納する振出式の管状体の後端部に装着可能な下栓であり、前記元管に圧入固定されるとともに、前記小径管の後端縁を受ける弾性変形可能な材料で形成された竿受け部材と、竿受け部材を内篏、接着固定し、元管の内面に形成された雌螺子部と螺合する雄螺子部が形成されたバットキャップ本体と、バットキャップ本体の後端に取り付けられ、外部に露出するとともに中央に開口が形成された後端部材と、を備え、前記竿受け部材は、その中央に前記後端部材の開口と同一軸状となる貫通孔が形成されるとともに、元管の内面側から貫通孔に向けて下降するように傾斜して水分を案内する傾斜面が形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記した構成の下栓は、竿受け部材、バットキャップ本体、後端部材で構成されることから構造が簡略化される。また、元管に収納された小径管から流れる海水などの水分は、竿受け部材の傾斜面を伝って中央に形成された貫通孔に案内され、後端部材の中央に形成された開口を通じて外部に排出される。前記竿受け部材は、弾性変形可能な材料で形成されており、元管内面に対して圧入されることから水分が元管内面との間に滞留することが抑制され、更に、中央に向けて下降するように傾斜した傾斜面が形成されることで、弾性体が変形し易く軽量化され、多少の寸法公差があっても確実に元管に圧入することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、元管に小径管を収納する振出式の管状体の後端部に装着可能な下栓において、簡単な構造で、水分を滞留させることなく十分な排出機能を備え、元管に対する設置が容易な下栓が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る下栓が装着される管状体(玉の柄)を示す図。
図2図1に示す下栓を示す図であり、(a)は側面図、(b)は内部構成を示す一部断面図。
図3】下栓に装着される竿受け部材の斜視図。
図4図3に示す竿受け部材の構成を示す図であり、(a)は内部構成を示す一部断面図(図(b)のA−A線に沿った断面図)、(b)は正面図(先端側から見た図)、(c)は裏面図(後端部材側から見た図)。
図5】下栓の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る下栓の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明に係る下栓を備えた玉網の一例を示す図である。本実施形態の玉網1は、元管10A、中管10B、先管10Cを備え、先端に網部12が着脱可能となる振出式の管状体10を備えており、元管10Aの下端開口に、後述する下栓20が装着されている。なお、前記中管については2本以上、継合する構造であっても良い。
【0013】
前記元竿10A、中管10B、及び先管10Cは、繊維強化樹脂製の管状体で構成されており、強化繊維(主に炭素繊維やガラス繊維等)に、エポキシ樹脂等の熱硬化性の合成樹脂を含浸した繊維強化樹脂プリプレグを芯金に巻回し、加熱工程を経た後、脱芯する等、定法に従って所定寸法の管状に形成されている。なお、下栓20が圧入される元管10Aの下端の内面領域には、後述するバットキャップ本体に形成された雄螺子部が螺合可能な雌螺子部が形成されている。
【0014】
図2から図4は、前記元管10Aに装着される下栓を示す図であり、図2(a)は側面図、図2(b)は内部構成を示す一部断面図、図3は、下栓に装着される竿受け部材の斜視図、図4は、竿受け部材の構成を示す図であり、(a)は内部構成を示す一部断面図、(b)は正面図(先端側から見た図)、(c)は裏面図(後端部材側から見た図)である。
本実施形態の下栓20は、元管10Aに圧入固定されるとともに、元管に順次収納される小径管(中管10B及び先管10C)の後端縁を受ける弾性変形可能な材料で形成された竿受け部材30と、竿受け部材30を内篏して接着固定し、元管の内面に形成された雌螺子部と螺合する雄螺子部41aが形成されたバットキャップ本体40と、バットキャップ本体40の後端に取り付けられ、外部に露出するとともに中央に開口52が形成された後端部材50と、を備えている。
【0015】
竿受け部材30は、ゴム等の弾性材料で一体形成されており、平坦状に形成された竿受け面31aを備え元管10Aに対して圧入される環状部31と、環状部31の外径よりも僅かに小径で後方側に向けて突出し、バットキャップ本体40が外嵌できるように断面円形の固定部32とを有している。
前記竿受け部材30は、その中央に後端部材50の中央部に形成された開口52と同一軸状になるように貫通孔33が形成されている。すなわち、貫通孔33は、竿受け面31aに開口しており、後端部材側に向けて直線状に延在している。
【0016】
また、竿受け部材30(竿受け面31a)には、元管10Aの内面側から貫通孔33に向けて下降するように傾斜して水分を案内する傾斜面34が形成されている。この傾斜面34は、竿受け面31aの径方向外側から水分が貫通孔33に向けて流れ易くするように形成されたものであれば良く、本実施形態の傾斜面は、周方向に一定間隔をおいて形成される放射状の溝(スリット)34aによって構成されている。
【0017】
本実施形態の溝34aは、図4(b)に示すように、貫通孔33を中心に90°間隔(十字形状)に形成されているが、その形成個数、形状、幅、深さ、断面形状については特に限定されることはない。この場合、溝の幅を広くしたり、深さを深くすることが好ましく、これにより、竿受け部材30、特に環状部31の部分が径方向に変形し易くなり、下栓20を元管10Aに対して装着する際に弾性変形させ易く、圧入作業が容易に行えるようになる。
【0018】
また、前記固定部32は、円柱状に形成されていても良いが、本実施形態では、円筒状に構成されており、その中心部分に、前記貫通孔33を有する筒状突出部32aが形成されると共に、その径方向外方には、肉抜き35が形成されている。肉抜き35は、外周部32Aに向けて放射状に形成された放射状壁部36間に形成されており、これにより、環状部31の部分を径方向により変形させ易くすることができるとともに、軽量化することが可能となる。
【0019】
前記環状部31の先端側には、面取り(先端に向けて縮径するテーパ状に形成される)31bを形成しておくことが好ましい。この面取り31bは、周方向の全周に亘って形成されるが、周方向に一定間隔をおいて形成されていても良く、このような面取り31bを形成することで、元管に対する圧入作業が容易に行えるようになる。
【0020】
前記バットキャップ本体40は、例えば、アルミ、真鍮などの金属、硬質樹脂等によって一体形成されており、前記竿受け部材30の固定部32に外嵌される筒部41と、筒部41の後方側で径方向に膨出する操作部42と、操作部42の後方側に一体形成され、後端部材50が抜け止めされて固定される装着部43と、を備えている。
【0021】
前記筒部41の外周面には、元管10Aに形成された雌螺子部に螺合される雄螺子部41aが形成されており、雄螺子部41aと操作部42との間には、Oリング44が配設され、元管との間でシール性を確保している。また、前記操作部42には、指で摘まんだ際に滑らないようにローレット42aが形成されている。さらに、操作部42の後方側に形成される装着部43には、中央に開口52が形成された後端部材50を圧入して固定できるように、環状凹所43aが形成されている。この開口52は、後端部材50をバットキャップ本体40に固定した際、前記竿受け部材30に形成された貫通孔33と同一直線状に位置するように形成されている。
【0022】
前記竿受け部材30の環状部31は、筒部41の外径よりも僅かに大きく形成されていれば良い。また、前記後端部材50は、露出した状態となり、他物と当接する部分であることから、ゴム等の弾性変形可能な材料(緩衝作用を有する材料)で形成されることが好ましく、操作部42に対して固定できるように、その内面側に凹所51を有すると共に、その開口側に径方向内側に向けて、操作部43の環状凹所43aに対して圧入、固定される環状凸部51aが形成されている。
【0023】
なお、前記竿受け部材30及び後端部材50は、バットキャップ本体40に対して、圧入によって固定しても良いし、接着剤によって固定しても良い。
【0024】
上記した構成の下栓20は、バットキャップ本体40の操作部42を摘まんで回転操作しながら元管10Aの下端開口に圧入することで元管に装着される。下栓20の構成部材は、竿受け部材30、バットキャップ本体40及び後端部材50で構成されるため、構造が簡略化される。また、下栓20を装着した状態において、元管10Aに収納された小径管から流れる水分は、竿受け部材30の下降する傾斜面34(溝34a)を伝って中央に形成された貫通孔33に案内され、後端部材50の中央に形成された開口52を通じて外部に排出される(小径管を収納する際に発生する空気の流れ(風圧)によって、水分は傾斜面34aに沿って貫通孔33に案内され易い)。この場合、竿受け部材30は、弾性変形可能な材料で形成されており、元管10Aの内面に対して圧入された状態になっていることから、水分が元管10Aの内面との間に滞留する(塩ガミの発生)が抑制され、したがって、元管との間で固着、電食の発生が抑制され、下栓が劣化したり、接着剤が剥がれて部品が外れることが防止される。
【0025】
また、本実施形態では、水分を案内する部分(傾斜面)が中央の貫通孔に向かって下降するように形成されているため、収納時に細径管が引っ掛かるようなトラブルが生じることはない。すなわち、上記した特許文献1のように、竿受け部が中心に向かって放射状に凸型に傾斜していると、先管のみが元管内に落下した際、傾斜している部分に引っ掛かることもあり、収納トラブルが発生する可能性があるが、本発明のように、水分を案内する部分(傾斜面)が中央の貫通孔に向かって下降していると、そのようなトラブルが生じることもない。
【0026】
また、弾性変形可能な材料で構成される竿受け部材30に、貫通孔33に向けて下降する傾斜面34を形成したことで、それ自身の剛性が低下し、元管10Aの内面に圧入し易くなる(圧入不具合を防止できる)。具体的には、通常、弾性体として使用するゴムの加工交差は、±0.3mm程度であり、剛性が強すぎると圧入時に変形し難くなって、寸法を厳密に管理する必要があるが、上記した構成では、剛性が低くなることから、環状部31の径設定(寸法管理)が簡素化される。特に、本実施形態では、後端側に肉抜き33bを形成したことで、より剛性が低下され、更には、環状部31の先端側に面取り31bが形成されているので、元管に対する圧入作業が容易に行えるようになる。
【0027】
上記した構成において、竿受け部材30の傾斜面側にはグリスを塗布しておくことが好ましい。
このようなグリスを塗布することで、排水性の向上が図れるとともに、元管に対する圧入作業が容易に行えるようになる。
【0028】
図5は、竿受け部材30の変形例を示す図である。
この変形例では、水分を貫通孔33に向けて案内する傾斜面34Aをすり鉢状の面で構成している。
このような構成では、元管に収納される細径管の後端縁が全周に亘って傾斜面34Aに接触するため、排水効率がより向上するようになる。また、このような傾斜面34Aに加え、更に、その表面に貫通孔に向けて傾斜するスリットを形成しても良い。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。例えば、バンドキャップ本体40と後端部材50は、同一素材で一体化された構成であっても良い。また、後端部材50の形状についても適宜変形することが可能である。さらに、下栓が装着される管状体は、釣竿であっても良く、振出式以外の管状体に対して装着しても良い。
【符号の説明】
【0030】
1 玉網
10 管状体
10A 元管
10B 中管10B
10C 先管
20 下栓
30 竿受け部材
33 貫通孔
34 傾斜面
34a 溝
40 バンドキャップ本体
50 後端部材
52 開口
図1
図2
図3
図4
図5