【文献】
Maji et al.,Monitoring time course of human whole blood coagulation using a microfluidic dielectric sensor with a 3D capacitive structure,2015 37TH ANNUAL INTERNATIONAL CONFERENCE OF THE IEEE ENGINEERING IN MEDCINE AND BIOLOGY SOCIETY(EMBC),IEEE,2015年08月 日,pp.5904-5907
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記誘電マイクロセンサは、前記流体監視装置のハウジングから取り外し可能且つ交換可能であるモジュール構造を画定し、前記監視装置は、前記誘電マイクロセンサのRF入力及びRF出力に対応するそれぞれの電極に連結するように構成された電気接点を含む、請求項1に記載の装置。
前記演算装置は、前記誘電体誘電率値を前記時間間隔の少なくとも一部にわたって分析して、前記時間間隔の対応する部分にわたって前記誘電体誘電率値を表す曲線の一部の傾斜に対応する誘電率値の変化率を決定する、請求項1に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、サンプルの特性を決定するための誘電感知に関する。例えば、誘電マイクロセンサ、関連するインターフェース電子機器及び演算装置は、携帯型装置(例えば、携帯用ユニット又は卓上用ユニット)に一体化することができる。マイクロセンサは、マイクロ流体チャネル内に置いて、チャネル内にある被試験サンプル(SUT)(例えば、液体(例えば、溶液)又は気体)のインピーダンス特性を測定することができる。測定されたインピーダンスを使用して、測定間隔中に時間につれてSUTに対する対応する誘電体誘電率値を計算することができる。時間ベースの誘電体の誘電率値は、分析されて、SUTの1つ以上の特性に相互に関係する誘電率パラメータを決定する。所定のSUTに対する誘電率パラメータの例は、ピーク誘電体誘電率までの時間、ピーク誘電率値と水平域誘電率値との差、時間間隔の部分に関連する誘電率値の変化率(例えば、傾斜)、並びに誘電体誘電率値の他の機能的特性評価を含む。いくつかの例では、使い捨ての誘電マイクロセンサは取外可能に接続することができ、結果として同じ監視装置が、多数の異なるSUTの測定に再利用することができる。
【0010】
血液がSUTとして使用される例として、誘電体誘電率値は、分析されて、血液SUTの抗凝固特性の指標を供給することができる。これに加えて又はこれに代えて、誘電体誘電率値は、分析されて、血液SUTに対する血小板機能の指標を供給することができる。これらの特性及び他の特性がこのように評価されて、1つ以上の医薬品のような治療薬の効き目を決めることができる。一例として、治療薬が抗凝固剤(例えば、Xa因子阻害剤又は直接トロンビン阻害剤のような標的特異性の経口抗凝固剤)であれば、本明細書に開示されたセンサ、監視装置、システム及び方法は、現行の投薬量の効き目を決定しかつ滴定を容易にして、所望の治療結果を達成するために使うことができる。その結果、本明細書に開示された取り組みにより、迅速で、スループットが高く、低価格のDS測定が可能になり、これにより、血小板障害及び凝固障害を迅速にかつ包括的に診断することが可能になり、これは介護の点で利用することができる。
【0011】
図1は、サンプルの誘電体誘電率の測定値に基づいて被試験サンプル(SUT)の特性を決定するためのシステム10の例を示す。システム10は、感知装置12及びセンサインターフェースシステム14を含むことができる。センサインターフェースシステム14は、RF入力信号(RF
IN)で誘電センサ16を駆動することができる。例えば、誘電センサ16は、流体チャネル18内に存在してマイクロセンサのインピーダンスを測定する回路(例えば、電極の配列)を含む、誘電分光(DS)マイクロセンサである。誘電センサ16は、その測定されたインピーダンスに対応しかつ流体チャネル18内に置かれたSUTに依存する誘電体誘電率を有するように構成されている。例えば、流体チャネル18に1つ以上の流体ポート20を介して流体SUTが(例えば、マイクロピペットのような流体源から)設けられている。いくつかの例では、流体SUTは、実質的に依然としてチャネル18内にあることができ、又は他の例では、それは、測定中にチャネルを流通することができる。流体チャネル18は、例えば、容積が約10μL未満であるマイクロ流体チャネルとすることができる。
【0012】
一例として、誘電センサ16は、対向して離間した関係でチャネル18に分布した電極を含み、離間した電極の対向する表面の間に容量感知領域を設けることができる。例えば、フロート電極は、流体チャネルの所定の表面に固定し、チャネルの他の表面に対して固定された一対の検出電極から離間して対向する関係とすることができる。一対の感知電極は、このように流体チャネル18の所定の表面に沿って実質的に同一平面にし、所定の表面はフロート電極の表面に対向して平行であることができる。一方の感知電極は、センサインターフェースシステム14からRF入力信号(RF
IN)を励起信号として受け取り、他方の感知電極は、対応するRF出力信号(RF
OUT)をセンサインターフェースシステムに供給するように構成することができる。
【0013】
センサインターフェースシステム14は、送信機22及び受信機24を含む(例えば、送受信機に一体化することができる)。送信機22は、RF入力信号を所望の励起周波数で供給するように構成できる。励起周波数は、例えば、マイクロ波範囲内にあることができる。例えば、送信機22は、約1KHzから約100GHz(例えば、約1KHzから約100MHz)のような周波数範囲を掃引することができるRF入力信号を供給し、周波数範囲は、連続的な範囲とし、この範囲で励起を掃引することができる。他の例では、送信機22は、RF
INを複数の異なる離散励起周波数で供給することができ、複数の異なる離散励起周波数は、SUT及び適用要件に従って設定することができる。一例として、血液SUTを監視するために、送信機22は、少なくとも約1MHz及び約100MHzにおける周波数を含むRF
INを供給することができる。励起周波数は、プログラム入力信号に応答して設定されて(例えば、装置のユーザインターフェース54を介して又は遠隔システム56から送信され)、例えば適用要件に従って周波数を調整し、それによりセンサの感度を最大化することができる。励起信号のための周波数範囲は、範囲にわたって連続的とし、又は2つ以上の離散周波数帯域で供給することができ、何れにするかはユーザがプログラム可能である(例えば、ユーザ入力に応答して)。
【0014】
受信機24は出力信号(OUT)を供給し、出力信号(OUT)は、感知装置12に実装された誘電センサ16からのRF出力信号に基づいて測定されたセンサ送信特性を表すように構成されている。出力信号は、アナログ信号とし、又はデジタル信号に変換する(例えば、アナログ/デジタル変換器を介して)ことができる。受信機24は、RF出力信号を処理するように構成された回路を含み、たとえばRF出力信号を増幅し(例えば、可変利得)及びフィルタにかけることによってRF
0UTの複合信号成分を確認し、このフィルタリングは、励起信号RF
INの周波数又は周波数範囲に従って構成することができる。RF出力信号は、誘電センサ16を通った電圧伝送測定値に対応する複合信号とすることができ、RF出力信号は、その出力ノードで見られる複合インピーダンス又はアドミッタンスの関数として変化する(例えば、本明細書の様々な図中にRF
OUTで例示される)。すなわち、RF
OUTは、チャネル18内にあるSUTによって引き起こされる誘電体誘電率の変化に対して所定の関係を有することができる。
【0015】
送信機22及び受信機24は、集積回路チップ(例えば、システムオンチップ)に実装し、又はそれらは、本明細書に開示された機能を実行するように構成された別個の構成部品として実装することができる。送信機22及び受信機24は、
図1ではインターフェースシステム14に共存して(例えば、単一のICチップ)示しているが、他の例では、送信機及び受信機は、独立した別個の回路として実装することができる。
【0016】
図1の例では、センサシステム10はまた、演算装置26を含む。演算装置26は、プロセッサ(例えば、1つ以上のプロセッサコアを有する)32及びメモリ34を含むことができる。保存されたデータに基づいて命令を実行して、本明細書に開示された機能及び方法を実行するために、メモリ34は命令及びデータを保存し、プロセッサ32はメモリにアクセスすることができる。
【0017】
例えば、メモリ34は制御機能36を保存し、制御機能36は、プロセッサ28によって実行されるとき、センサインターフェースシステム14の動作を制御する。例えば、DS制御部32は、送信器22によって各DSセンサ16に加えられるRF出力信号の周波数範囲(例えば、周波数帯)を選択的に制御することができる。制御装置36はまた、プロセッサ32によって実行可能な命令を含み、受信機からの出力に基づいて測定機能38を実行する。
【0018】
一例として、測定機能36は、出力信号RF
OUTに供給される振幅及び位相に基づいて複合インピーダンスを測定するように構成されている。例えば、測定機能38は、センサインターフェースシステム14と協働して、インピーダンス分析器として動作する。
このようにして、測定機能38は、誘電センサ16の静電容量に対応する複合インピーダンスを、流体チャネル18内に配置されたSUTに基づき入力励起信号RF
INに応答して測定する。説明したように、送信機22は、1つ以上の離散周波数において励起信号としてRF
INを供給し、又は1つ以上の予め定めた周波数帯域にわたって掃引することができる。測定機能38は、このように、インピーダンス(例えば、静電容量)測定値及び関連するタイムスタンプ(例えば、時間指標)を、メモリ34内に、センサ16からのRF出力信号に基づいて時間ベースインピーダンスデータとして保存する。インピーダンスデータ内に、追加情報(例えば、メタデータ)も保存して、例えば入力信号周波数、温度及び/又はSUTに関連する他のパラメータを特定することもできる。
【0019】
さらなる例として、試験段階の第1の部分の間に、制御装置36は、送信器22を制御して、第1の周波数範囲(例えば、低周波数範囲)内でRF出力信号を供給することができる。感知プロセスのうちの1つ以上の後続する又は他の異なる段階の間に、制御装置36は、送信器22を制御して、流体チャネル18に配置されたセンサ及び関連するSUTを励起するために、1つ以上の異なる周波数範囲に関するRF入力信号を供給することができる。例えば、異なる周波数を使用して、SUTの異なる特性を抽出することができる。受信機24は、こうして、感知プロセスの各段階に関連する対応する出力信号を受け取及び供給することができる。制御装置36はまた、受信機24を制御して、IモードのDC出力電圧及びQモードの別のDC出力電圧としてRF出力データを供給することができる。制御機能36及び測定機能38は、演算装置26の一部として説明されているが、他の例では、測定機能及び制御機能は、センサインターフェースシステム14と演算装置との間に分配することができ、又は演算装置から切り離して実装することができる(例えば、センサーインターフェースの一部として、又は別個の制御システムとして)。
【0020】
演算装置26は、所定の測定間隔について測定機能38によって供給される出力データに基づいて誘電率を計算するために、データ処理方法及び/又はデータ処理機能36、44及び46をさらに含むことができる。こうして、演算装置26は、所定のセンサ(又は複数のセンサ)から受け取った入力信号をさらに処理し及び出力データを供給することができ、出力データは、インピーダンス測定値並びに誘電率データ及び測定値から引き出され複合誘電率を表す他の情報、測定値RF出力信号に対応する未加工データ並びに未加工データから得られる他の情報を含む。
【0021】
さらなる例として、演算装置26は、所定のセンサ16に関する較正誘電率を決定するようにプログラムされた較正機能40を含む。例えば、制御機能36は、送信機を制御してRF
INを供給し、RF
INは、所定の励起周波数(又は周波数帯域)にあり又はこれを含み、所定の励起周波数では2つ以上の実質的に異なるSUTは誘電率の差がほとんどない又は全くないことが知られている。こうして、異なるタイプのサンプルは、サンプルに応じて較正のため並びに試験のために、異なる励起周波数を利用することができる。血液SUTの例につき、較正入力周波数は約100MHzとすることができる。このようにして、測定されたインピーダンス(例えば、静電容量)は水の静電容量に対応し、較正周波数におけるRF
INに応答してRF
OUTから引き出された(例えば、誘電率計算器44によって)結果として生じる誘電率は、センサ16のために水誘電率の評価基準を提供する。すなわち、較正静電容量及び誘電率は、公知の誘電率値(例えば、水は、100MHzにおいて誘電率が既知の約80である)を有するチャンネル18内にSUTがあるとき、センサ16の静電容量及び誘電率を表す。このインピーダンスの較正測定(例えば、測定機能38による)及び較正誘電率の決定(例えば、誘電率計算器44による)は、例えば上述したように、励磁が適切な較正周波数で供給される限り、SUTが流体チャネル18内にある間に、通常の感知プロセスの一部として実施することができる。
【0022】
さらなる例として、センサ装置12が血液の誘電率を測定するために100MHzで使用されている場合、血液の誘電率は水の誘電率に近い
(例えば、
【数1】
)。
この関係及び較正周波数は、こうして血液以外の水性物質に使用することができる。特に、この関係は、血液のために簡略化された較正手順を実施するために使用し、較正手順は、血液SUTが感知装置内に残っている間に実行することができる。他の関係及び異なる較正周波数が決定され、他のタイプのSUTのために同様の手順で使用することができる。
【0023】
1MHzにおける血液の誘電率を決定する例では、以下の手順が使用できる。感知装置をシステム10に取り付けた後、血液がセンサに挿入される(例えば、マイクロピペットを用いて)。血液に関するアドミタンス(即ち、Y
s、blood)は、本明細書に開示されたように、複数の周波数にわたって測定される(例えば、1kHzから100MHzまで、又は1MHzから100MHzまで掃引する)。
【0024】
SUTがないセンサに関する公称静電容量(即ち、空隙静電容量又はCo)は、以下のように計算され
【数2】
式中、
【数3】
は、
【数4】
とみなされる。
【0025】
誘電率計算機44は、次いで関心がある周波数(即ち
【数5】
)における血液の誘電率を、以下のように計算し、
【数6】
式中、C
0は、較正周波数(例えば、100MHz)における血液の測定されたアドミタンスに基づいて上述したように計算された。
【0026】
代わりに、較正測定は、例えば何れかのSUTが流体チャネル18内に置かれる前に、各SUTに関する別個のプロセスとして実行することができる。較正機能42は、較正誘電率値(例えば、空隙誘電率又は静電容量に対応する)をメモリ34に保存する。例えばT
PEAKなどに関するいくつかのタイプの感知では、較正機能40は省略することができ、その理由は、所定のタイプの材料に関するピークまでの時間は、較正によって影響されず又はセンサの誘電率を較正しないからである。
【0027】
誘電率計算機44は、プロセッサ32によっても実行され、SUTの誘電体誘電率を決定する。これは、較正誘電率を上述のように並びにより一般的には感知中に決定するために含むことができる。誘電率計算器44は、こうして誘電センサ16及びSUTに関する誘電体誘電率を、対応する測定時間間隔にわたって決定する。この間隔は、制御装置40がセンサーインターフェース14を作動させてRF入力信号を供給する時間から、感知が完了したとき制御装置42がセンサーインターフェース14を不作動にするその後の時間に及ぶことができる。指標測定間隔は一定の時間とすることができ、又は測定間隔は、測定された静電容量又は決定された誘電率を監視することに基づいて制御され及び終了することができる。
【0028】
一例として、誘電率計算機44は、1つ以上の測定周波数(例えば、1つ以上の周波数帯域)において測定されたインピーダンスに基づき、及び較正誘電率(例えば、較正機能42によって決定された)に基づいて、SUTの比誘電率を決定することができる。例えば、誘電率計算器44は、測定されたインピーダンス値(例えば、静電容量)を較正静電容量値(例えば、空隙静電容量)で除算することによって、所定の時間指標及び入力周波数における誘電率を計算して、所定の時間指標におけるSUTに関する比誘電率値を供給する。さらに、いくつかの例では、測定間隔にわたる誘電率値は、第1の測定点における誘電率、ピーク誘電率又は別の値に標準化することができる。標準化された比誘電率値は、複数の測定データ点の各々について、測定時間間隔を定める時間指標の範囲にわたって計算することができる。各誘電率値は、メモリ34に誘電率データとして保存して、さらに処理し及び分析することができる。上述したように、いくつかの測定値(例えば、ピークに達する時間)において、較正は省略することができ、誘電率計算器44は、較正誘電率がないとき、場合によっては標準化なしに、SUTの誘電率を決定することができる。
【0029】
プロセッサ32はまた誘電率分析器46を実行することができ、誘電率分析器46は、誘電率計算器44によって計算された誘電体誘電率値に基づいて1つ以上の誘電率パラメータを決定するようにプログラムされている。誘電率分析器46は、最大で間隔全体までを含む測定時間間隔の1つ以上の異なる部分について、パラメータを決定することができる。一例として、誘電率分析器46は、測定された時間間隔の部分にわたって保存された誘電体誘電率値を分析して、ピーク誘電体誘電率値(T
PEAK)に達するのに要する時間を決める。例えば、誘電率分析器46は、ピーク誘電率値を確認するためのピーク検出機能、及びピーク誘電体誘電率に達するための時間間隔(例えば、経過時間)を使い、こうしてメモリにSUTに関するT
PEAKとして保存することができる。この時間値T
PEAKは、関連するインピーダンス測定がなされたとき関連する時間指標とすることができ、又は時間値T
PEAKは、開始時間とT
PEAKを供給するための測定が生じた時間との間の差として決定することができる。SUTが血液SUTである場合において、T
PEAK値は、こうして血液サンプルの抗凝固特性の指標を供給することができる。T
PEAK値はメモリ34に保存することができる。
【0030】
別の例として、誘電率分析器46は、保存された誘電体誘電率値を分析してピーク値誘電体誘電率値(T
PEAK)と平坦域誘電率値との間の差を決定するようにプログラムすることができる。平坦域誘電率値は、例えば測定時間間隔の末尾部分など、時間につれて実質的に一定のままである誘電率値を表すことができる。本明細書で用いるように、実質的に一定であるという用語は、所定の値からの変化率が時間につれて十分に小さい(例えば、約±5%以下)ことを指す。誘電率分析器46は、例えば、誘電率値の時間導関数が、ある期間にわたって所定の値未満のままであること、又はゼロであると決定することによって、水平域誘電率値を決定することができる。ピーク誘電率値と水平域誘電率値との間の差は、SUTに関する追加の特性の指標を供給するために使用することができる。血液SUTの例では、ピーク誘電率値と水平域誘電率値との間の差が血小板の機能の指標を与えることができる。
【0031】
さらに別の例では、誘電率分析器46は、時間間隔の部分にわたってSUTに関する誘電体誘電率値を評価して、誘電率値の変化率、例えば誘電体誘電率を表す曲線の一部の傾斜に対応することを決定できる。例えば、誘電率分析器46は、測定間隔の始めとピーク誘電率値との間の立ち上がりエッジ斜面を決定することができる。誘電率分析器46はまた、T
PEAK値と水平域誘電体誘電率値との間の立下りエッジ斜面を計算することができる。ピーク誘電率値と水平域誘電率値との間の末尾部分に関してさらに分析を行い、SUTに関連する他の特性の指標を与えることができる。
【0032】
いくつかの例では、出力発生器48は、計算された誘電率パラメータT
PEAK値を利用して、装置10の対応するディスプレイ50上に関連情報を表示することができる。出力発生器は、ディスプレイ50上の表示、例えば1つ以上の誘電率パラメータの図形表示及び/又はテキスト表示などを含んで出力を供給することができる。1つ以上の誘電体誘電率パラメータに基づいて音声出力も供給することができる。例えば、出力発生器48は、測定間隔又はその部分にわたる誘電率値を表す、ピークまでの時間T
PEAK及び/又は曲線の図形出力を表示することができる。別の例として、出力発生器48は、ピーク誘電率値と水平域誘電率値との間の差の表示、例えば計算された誘電率差又はその変倍されたバージョンをディスプレイ50上に表示することができる。出力発生器48は、誘電率分析器46によって決定されたSUTの他の対応する特性に関連する、誘電率曲線の傾斜の表示をディスプレイ50に供給するようにさらにプログラムすることができる。
【0033】
場合によっては、ディスプレイ50は比較結果を提示することもでき、比較結果は、同じ患者又は患者集団に関する既知の基準又は1つ以上の以前の結果に対して現行の結果を比較することに基づいて、誘電率分析器46によって決定される。患者装置又は介護用装置として使用するために、例えば、一組の命令を生成して、出力としてディスプレイ50に供給することもできる。T
PEAK値が予想されるパラメータの範囲外である場合、例えば出力発生器48は、ディスプレイ50に警告を送って、ユーザに、医療支援を求め及び/又は処方薬を調整するように通知することもできる。これに加えて又はこれに代えて、T
PEAK誘電率と水平域誘電率との間の値の差が予想されるパラメータの範囲外である場合、出力発生器48は、ディスプレイに警告を供給することができる。未加工データ及び/又は他の演算された誘電率情報及び分析結果を含む対応する結果が、ディスプレイ50にさらに供給され得る。
【0034】
上述したように、装置は、システム10と相互作用するためのユーザインターフェース54を含む。ユーザインターフェース54は、タッチスクリーンインタフェース、キーパッド、キーボード、マウス、音声インターフェース及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。一例として、ユーザは、ユーザインターフェース54を使用して、所定のSUTに関する測定間隔の前、途中及び後などに、ディスプレイ上に表示される情報を確認することができる。これに加えて又はこれに代えて、ユーザは、ユーザインターフェース54を使って、ユーザに関する情報(例えば、健康情報及び/又は人口統計情報)並びに/或いは環境条件を入力することができる。ユーザインターフェース54は、例えば本明細書に開示されたような感知プロセスの1つ以上の部分について装置10をプログラム/構成するために利用することができる。例えば、ユーザインターフェース54は、SUTの試験中に励起信号のために利用する、1つ以上の周波数帯域を含む1つ以上の周波数の範囲を設定するために利用できる。例えば、ユーザインターフェース54を介して入力された命令に応答して、演算装置26は、送信器22に指示してそれに応じて動作するために制御装置40を使うことができる。命令は、送信器22のメモリ34又は他のメモリ(例えば、プログラムレジスタ)内に保存され、試験プロセスの間に加わる励起信号の周波数及びその持続時間を制御することができる。これに加えて又はこれに代えて、ユーザインターフェース54は、ディスプレイ38に表示される情報を制御するとともに、他の後処理機能(例えば、報告機能、質問に対するユーザの応答の記録など)及びデータ分析を実行するためにも使うことができる。
【0035】
いくつかの例では、演算装置26は、通信インターフェース52を使って、遠隔システム56と通信リンク58を介して通信することができる。通信リンク58は、1つ以上の物理的接続(例えば、導電性接続又は光ファイバ)、1つ以上の無線リンク(例えば、802.11x標準又は他の短距離無線通信に従って実装された)或いは1つ以上の物理的通信リンク及び/又は無線通信リンクを含むネットワークインフラを含んで実装することができる。
【0036】
遠隔システム56は、サーバ、汎用演算装置(例えば、ノートパソコン、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、スマートフォンなど)を含み、及び/又は、それは、リンク58を介して1つ以上の装置10と情報を交換するように構成された特定目的システムであり得る。例えば、演算装置26は、通信インターフェース52を使って、所定のSUTに関する測定結果に基づいて誘電率関連情報を遠隔システム56に送信する。別の例として、遠隔システム56は、装置にプログラム命令を送って、その動作プログラム命令を構成及び/又は更新することができる。遠隔システムが医療提供者のバックオフィスシステムを備える例では、演算装置26は、未加工の測定データのコピー及び/又はリンク58上で安全な通信を用いて誘電率分析器46が決定した結果(例えば、HIPPA準拠の通信)を送ることができる。このような例では、遠隔システム56は、複数の装置と通信することができる。
【0037】
上述したように、そのような通信は、1つ以上のSUT特性が期待されるパラメータの範囲外であると判定する、分析器46に応答して出される警告を含む。他の例では、遠隔システムは、そのような分析を実行し、リンクを介して装置に警告を返すことができる。それに応答して、警告は、ディスプレイ上でユーザ(例えば、患者又は介添え人)に表示することができる。警告が生じる場所(例えば、装置又は遠隔システム56によって生成される)に関係なく、そのような警告は、対応する通知をトリガーして、1人以上の個人(例えば、健康管理専門家)に送って警告することができる。対応する通知は、電子メール、SMSテキストメッセージ、ポケットベル、通話のような通信プロトコルを介して、そのような各受取人に伝えることができる。
【0038】
図2、
図3及び
図4は、三次元誘電マイクロセンサ60の例(例えば、感知装置12に対応する)を例示する。マイクロセンサ60は、例えば電気接点を介してセンサインターフェースシステム(例えば、インターフェース14)に電気的に連結することができる。他のタイプの接続(例えば、導電性又は無線)を利用して、DS感知装置60に関する双方向通信を提供することもできる。
【0039】
図2、
図3及び
図4では、インターフェースシステム(例えば、送信機22)は、マイクロセンサ60の入力78にRF入力信号を供給する。マイクロセンサ60は、本明細書に開示されたように、流体チャネル70内にあるSUTに関する誘電率の関数として変化する、複合アドミッタンス(例えば、静電容量)を有する回路を含む。マイクロセンサ60は出力部80を含み、出力部80は、出力接続部(例えば、ピン又は他のタイプの電気接続部)を介してインターフェースシステム(例えば、インターフェース14)にRF出力信号を供給し、このRF出力信号は、入力周波数及びSUTの誘電体誘電率に基づいて時間の関数として変化する。
【0040】
図2、
図3及び
図4の例では、マイクロセンサ60は流体チャネル70を含み、流体チャネル70内へ所定容積のSUT(例えば、液体又は気体)がポート72(例えば、入口穴及び出口穴)を介して導入されている。明確化の目的で、以下の検討では、SUTは血液のような流体であると仮定する。もちろん、他の例では他のタイプのSUTを使用することができる。
【0041】
マイクロセンサ60は、流体チャネル70内に配置された容量センサ74を含む。例えば、容量センサ74は、容積感知領域(例えば、フロート電極と関連するセンサ電極との間の重なり領域)を提供するために、流体チャネル70内でセンサ電極78及び80から離間しかつこれらに対向して配置されたフロート電極76を含む。センサ74の静電容量は、電極76、78及び80間の材料(又は欠如)の誘電率に基づいている。容量センサ74内のセンサ電極78及び80は、互いに電気的に絶縁することができる。RF入力信号は、容量センサ74の励起のために入力センサ電極76に連結され、他のセンサ電極80は、RF
OUTを供給するために連結されている。
【0042】
図3の断面図に例示するように、センサ74は平坦センサ電極を有し、平坦センサ電極は、マイクロ流体チャネル70を通してフロート電極から分離して、公称空隙静電容量Coを有する静電容量検出領域を形成し、静電容量検出領域は、重なり合う電極領域とマイクロ流体チャネルの高さとによって定まる。例えば、励磁周波数ωにおいて、複合誘電体誘電率
【数7】
を有するSUTがチャネルに装填されているとき、容量感知領域アドミッタンスは、
【数8】
である。
図2〜
図4の例では、センサが入力信号RF/マイクロ波信号(V
RF)によって駆動され、かつΔε
rを有するSUTが流体チャネル70に装填されているとき、感知構造は、出力ノードに電気的に接続されて、
【数9】
のような出力信号RF
OUTを供給する。
【0043】
図3(及び
図4の組立図)の断面図にも例示されているように、マイクロセンサ60は、一緒に取り付けて結果として生じるセンサ構造体を提供する、複数の部品で製作することができる。
図4に示すように、例えば、マイクロセンサ60は、頂部84と、頂部から中間チャネル層88によって離間した底部86とを含む。底部86は、基板層の表面上に製作されたフロート電極76を含む。電極78及び80は、その基板層の対応する表面上に配置されている。この例では、感知電極78及び80は、各々、基板の反対の側縁からマイクロセンサ60の中心縦軸線を越えて延びて、基板の中央部分に近いそれぞれの端部で終端している。中間部88は、その中に形成されたチャネル70の容積を決める厚さを有する。頂部84は、流路70によって定まる容積にアクセスするために、流体を連通させる流入/流出ポート72を含むことができる。例えば、中間部88内のチャネル70及び関連するポート72は、マイクロマシニング(例えば、レーザマイクロマシニング)或いは他のタイプの機械加工技術又はエッチング技術によって製作することができる。いくつかの例では、チャネル70の表面は、ポリマー又は他の材料(例えば、ポリ(エチレングリコール)のような電気絶縁フィルム)でさらに被覆して、タンパク質溶液と接触する表面にタンパク質が吸着するのを防止することができる。ポリマーは、例えば、物理吸着又は化学吸着などを介して加えることができる。
【0044】
さらなる例として、
図4は、
図2の感知装置60及び
図5のセンサ100を生産するために使用できる、センサの製作及び組立の例を示す。明確化の目的のために、
図4の検討では、
図2及び
図3の参照番号と同じ参照番号を使用する。
【0045】
例として、頂部84及び底部86のための基板層は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を使用して製作することができる。中間チャネル基板層88は、厚さが電極含有基板層84及び86の厚さよりもはるかに薄い、両面接着(DSA)材料製の薄膜層で形成することができる。一例として、層84及び86の各々は、厚さが約1.5mmであるが、層88の厚さは約250μmである。適用要件に従って他の相対的な厚さを利用することができる。
【0046】
フロート電極76並びにセンサ電極78及び80の各々は、基板層86及び88のそれぞれの対向する表面上の所望の位置(例えば、感知電極と位置合わせしてチャネル70内にある)に堆積された、導電性材料の堆積によって形成されている。例えば、フロート電極106は導電性材料(例えば、金、銅又はアルミニウム)とし、導電性材料は、シャドウマスク及びリフトオフプロセスを用いたスパッタ堆積によってキャップの内側上面に堆積させることができる。一例として、基板のチャネル表面上に100−Å/1,000−ÅCr/Au層が蒸着されて、それぞれのセンサ電極78及び80を形成する。同様に、フロート電極76は、1,000ÅのAu層を蒸着させて、リフトオフでパターニングすることによって層86の表面上に堆積させることができる。
【0047】
図4に示すように、感知装置100の構成を容易にするために、層84、86及び88の各々は、複数の位置合わせ穴90を含むことができる。各層は、対応する整列ピン92を穴90に挿入することにより、一緒に接続して所定位置に保持することができる。いくつかの例では、層84、86及び88の表面上にバリア材製の薄膜コーティングが堆積されて、金属表面及びプラスチック表面をSUTとの直接接触から保護することができる。血液SUTのような他の例では、感度を高めるのを助けるためにコーティングを使用することは不要である。
【0048】
いくつかの例では、層84内のマイクロ流体入口穴/出口穴70は、標準マイクロピペットチップに適合する直径で構成することができる。一例として、マイクロ流体チャネル70は、総サンプル容積が約10μL未満(例えば、約5μL〜約9μL)であり、フロート電極76の上の感知領域の容積が約1μL未満(例えば、約0.8μL未満)である。チャネル及び感知領域は、適用要件に従って他の容積で実装されている。マイクロセンサ60は、基板層84及び86を、それらの間に挟まれたDSAフィルム層88を用いて一緒に貼り付けることによって製作できる。上述したように、位置合わせ穴90及びピン92は、マイクロ流体チャネル内でフロート電極を感知電極上に位置合わせするために使用できる。
【0049】
図4に示すように、感知電極78及び80への電気的接続は、基材層86の反対の側縁部にある接触開口部94を通してなされ、基材層86は、センサインターフェースシステムに(例えば、インターフェース14の送信器22及び受信器24に)電気的に接続することができる。こうして、コネクタインタフェース(例えば、センサ装置12の)の関連回路からのコネクタ(例えば、ピン)は、例えば、マイクロセンサ60が監視装置に接続されたとき、開口部94内に延びてそれぞれの電極78及び80に接触することができる。
【0050】
図2〜
図4の例では、センサ60はその端子とともに例示され、端子は、プリント回路基板(PCB)上のインターフェース電子機器に電気的に接続可能である。いくつかの例では、マイクロセンサ60とインターフェースシステム14との間の接続は、センサ接触パッドとPCB入力パッド/出力パッドとの間のプラグアンドプレイ型モジュール接続として構成することができる(例えば、電気的接続を設けるためにばね付勢された接触ピンを使用している)。接続方法によりDS測定が潜在的に有害な又は汚染する溶液で促進され、その理由は、所定のSUTについて測定が行われた後に、低価格のセンサは、装置全体を汚染することなく交換可能なためである。すなわち、いくつかの例では、マイクロセンサ60は、使い捨てを意図しており、使用するたびに廃棄及び交換することができ、その一方、インターフェースシステム14及び関連する電子機器は、何度も繰り返して再使用することができる。他の例では、所定のセンサは、複数の測定のために、同じ又は異なるSUTで繰り返し再使用することができる。
【0051】
図5は、システム10において利用できる、誘電マイクロセンサ100の別の例(例えば、装置12に対応する)を示す。装置100は、三次元平行板型容量感知構造102を含む。静電容量感知構造102は、2つの平坦な感知電極103及び104を含み、それらは、マイクロ流体チャネル108の高さに従って電極106から離間し及び分離して、マイクロ流体チャネル内に配置された3D静電容量感知領域を形成する。容量感知構造102は、基板材料110内に配置されている。感知装置100はポート112(例えば、入口穴及び出口穴)を含み、ポート112を通して所定体積の流体(例えば、液体又は気体)が導入できる。
【0052】
感知装置100の断面図は、
図3の例で示した断面図と同じであり、種々の部分がどのように構成され、一緒に取り付けられて感知装置となるかを理解するために、参照及びその検討は、
図3に戻って行うことができる。
図5の例では、感知電極には、対応する基板層の共通側縁から(
図2の例のように反対の側縁からではなく)延びる、平行電極が形成されている。米国特許公開第2015/0346131号に開示された実施例のような他の構成を使用することができ、この公開公報は、感知装置12に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
システム10との関連で感知装置100を適用することにより、入力RF信号(例えば、1つ以上の周波数帯域を掃引する)が、感知回路を励起するために入力電極103に適用することができる(例えば、送信器22によって)。他の感知電極104において結果として生じるRF出力信号が測定できる(例えば、受信機24によって)。測定された信号は、フィルタにかけられ及び増幅され(例えば、受信機24のアナログ回路及び/又はデジタル回路によって)、しかも処理され(例えば、演算装置26によって実行される方法/機能によって)、チャネル108内に存在するSUTの誘電率を計算する。本明細書に開示されたように、1つ以上の所定の周波数又は周波数帯域にわたってデータ処理を実施して、複合比誘電率の実数部及び/又は虚数部を正確に測定することができる。
【0054】
図6は、時間の関数として標準化された誘電率のグラフ例150を示し、誘電率パラメータの例を例示し、誘電率パラメータは、測定時間間隔にわたる誘電率値に基づいて所定のSUTについて決定する(例えば、誘電率分析器46によって)ことができる。例示した例では、測定データ及び誘電率値は、154で例示される所定時間T
PEAKで発生するピーク誘電率値152に標準化される。グラフ例150では、以下の誘電率パラメータが示され、それらは、154におけるピーク誘電率の時間(T
PEAK)、160における初期傾斜(S1)、162におけるT
PEAK後の誘電率低下の傾き(S2)、及び158におけるT
PEAK後の誘電率変化の大きさ(Δε
r、max)である。他の例では、測定間隔の最後部分の誘電率値の末尾部分に関連するような、誘電率値の分析(例えば、誘電率分析器46によって実行される)から他の誘電率パラメータが決定できる。誘電率値150からこうして決定された誘電率パラメータの各々は、DS測定値に基づいて所定のSUTの特性を定量化する指標となることができる。血液SUTの例では、いくつかの特性は、血液SUTの細胞特性(例えば、Δε
r、max158に基づく血小板機能)及び/又は分子特性(例えば、T
PEAKに基づく凝固因子)を含むことができる。
【0055】
図7は、166に例示された複数の異なる血液SUTに関する、時間の関数として誘電体誘電率のプロット165を示す。
図7の例では、それぞれの測定間隔のプロットされた誘電率値は、本明細書に開示された取り組みが、168で例示するピークまでの時間(T
PEAK)パラメータに対して再現可能な結果を生じることを示す。この例では、誘電率が1MHzで取り出されたとき、プロットは第1の測定点に正規化される。
【0056】
図8は、凝固特性が異なる複数の異なる血液SUTに関する誘電体誘電率のプロット例170を示す。プロット例170では、誘電率値は凝固障害がある患者からの血液SUTを表し、サンプルが異なれば、ピークに達する時間(T
PEAK)が異なることが分かる。このプロット例170では、誘電率は、1MHzで取り出されたとき、第1の測定点に標準化される。
【0057】
図7及び
図8は、本明細書に開示されたシステム及び方法に従うセンサ装置及びその使用が、血小板の活性化及び接着、凝固因子アセンブリ並びにトロンビン生成及びフィブリン形成を含む、止血プロセスに関連する様々な特性を取り込み可能であることを示す。比較として、
図7及び
図8のプロットにおけるピークに達する時間(T
PEAK)は、
図7の正常血液SUTと
図8の凝固障害SUTとの間で著しい違いを示す。本明細書にさらに開示された取り組みは、例えば活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)及びプロトロンビン時間(PT)を含む、従来のスクリーニング凝固アセンブリと比べて、改善された感度を示すと考えられる。
【0058】
図9は、時間の関数として誘電体誘電率の別の例を示すグラフ180を示し、血液サンプル間の比較を示す。
図9では、プロットは、誘電率が1MHzで取り出されたとき、第1の測定点に標準化される。
図9のプロット例180は、本明細書に開示された感知装置並びに関連するシステム及び方法が、標的特異的経口抗凝固剤(TSOAC)の有効性に関する定量的指標を提供可能であることを例示する。例えば、
図9のプロットに関する誘電率値は、TSOAC投与患者はリバロキサバンSUTに関して延びたT
PEAKを表すことを示している。
図9に示すエラーバーは、重複測定を示しかつ平均(SEM)の平均±標準誤差として表示される。
【0059】
図10は、時間の関数として誘電体誘電率の例を示す別のプロット190を示し、複数のサンプルに関する異なる血小板機能特性を示す。例えば、サイトカラシンD(CyD)で処理されたSUTは、194、196及び198で例示された、ピーク誘電率値と水平域誘電率値との間の差(即ち、Δε
r、maxパラメータ)における減少を表し、それらは、血小板阻害に対する感度を示す。グラフ190中のエラーバーは、重複測定を示し、平均±SEMとして示される。
図10の例では、CyDで処理された各々のSUTに関して示した誘電率値は、T
PEAKにおける誘電率に標準化され、約1MHzにおける励起周波数に関して192で例示されている。
【0060】
図11A及び11Bは、誘電率パラメータを示すプロット例200及び210を例示しており、誘電率パラメータは、本明細書に開示された感知装置並びに関連するシステム及び方法によって決定され、回転血栓弾性率測定法(ROTEM)パラメータに関連している。
図11Aのプロット200に示された相関情報は、健康なドナーからの血液サンプル全体から取り出され、血液サンプルは、トロンビン及び抗トロンビンの種々の濃度で混合されて、準備されたサンプルのROTEM凝固時間(CT)パラメータを調節する。凝固の最終的な共通経路(即ち、フィブリン生成/架橋)で、抗トロンビンは抑制効果を有し、トロンビンは促進作用を有し、ROTEM測定における凝固時間を、それぞれ延ばし及び早める。
図11Aでは、本明細書に開示された取り組みに従って決定されたT
PEAKパラメータは、ROTEM CTパラメータへの非常に強い相互関係を示した。
【0061】
図11Bのプロット例210に関して、血液サンプル全体が種々の濃度のCyDと混合されて血小板活性を調節し、調節された血小板活性は次に、ROTEM測定における最大血餅固さMCFに影響を及ぼす。
図11Bでは、本明細書に開示された取り組みに従うDS測定から決定されたΔε
r、maxパラメータは、ROTEM MCFパラメータとの強い相互関係を明示する。
図11A及び11Bのエラーバーは、重複測定値を表し、平均±SEMとして示されている。
【0062】
本明細書中に開示された感知装置及び監視システムは、凝固の細胞成分(即ち、血小板)並びに分子成分(即ち、凝固因子)から生じる広範囲の止血異常に敏感であり、ROTEMの臨床的に関連する診断パラメータと比べて、有望な相関感度を有する。
【0063】
さらなる例として、
図12は、一体化手持ち式システム(例えば、システム10)として実施可能なDSマイクロシステム300の別の例を示し、一体化手持ち式システムは、プラグアンドプレイセンサ(例えば、センサ16、60又は100)を利用することができる。センサシステム300の構成部品は、生体マイクロ流体装置で一般に用いられる、例えば金、ガラス及びPMMAを含む生体適合性材料で構成することができる。
【0064】
図12の以下の説明では、明確化のために、システム300の構成部品は、
図1に関して先に導入された構成部品を指す参照と同様の参照番号を用いて参照される。システム300は、感知装置12と、関連するインターフェース電子機器14とを含むことができる。
図14の例では、感知装置12は誘電センサ16を含む(例えば、センサ例60又は100に対応する)。このように、センサ16及びインターフェース電子機器14は、複合出力を生成するように構成され、複合出力は、励磁信号に応答して、センサ16のマイクロ流体センサチャネルに配置されたSUTの複合誘電率に依存する(例えば、数学的関数として変化する)ことができる。
【0065】
一例として、マイクロピペット(又は他のデバイス)302を使って、SUTをセンサ16のマイクロ流体チャネルに注入することができる。センサーインターフェース電子機器14は、所定の容積を有するSUTの所定のセンサの入力に励起信号(例えば、単一の周波数又は1つ以上の帯域の周波数範囲において)を供給するための送信回路22を含む。センサ16の出力は、受信機(例えば、受信機24)のそれぞれのフロントエンドのRFモジュール304(FEで例示する)に連結されている。各フロントエンドRFモジュール304は、励起信号に応答して受け取られ各送信信号を前処理し(例えば、ダウンコンバート、フィルタリング及び増幅を実行する)、対応するIF信号を供給するように構成されている。フロントエンドRFモジュール304のうちの所定の1つからのIF信号は、例えば信号のデジタルバージョンへの変換を含めてさらに処理するために他の受信回路306に選択的に供給され、演算モジュール26に供給される。演算モジュール26は、SUTに関する誘電率をシステム出力信号に基づいて計算して、メモリ34内に誘電率データとして記憶されている対応する出力誘電率値を供給することができる。誘電率データは、センサ16に供給される異なる部分範囲を含む励起周波数の総計範囲にわたって計算された、複合誘電率値(例えば、実数誘電率及び虚数誘電率)を含むことができる。誘電率データは、未加工信号測定値及び入力励起周波数も含むことができる。演算モジュール26はまた、誘電率データを分析して本明細書に開示されたようなSUTの誘電率パラメータを決定し、誘電率パラメータは、SUTの特性を表示するために使用することができる。SUTの1つ以上の誘電率パラメータ及び/又は特性は、ディスプレイ310に表示することができる。システム300はユーザインターフェース(UI)312を含みことができ、ユーザインターフェース(UI)312により、ユーザは、ヒューマンマシンインタフェースが提供され、結果を見直し、システムをリセットし又は他のヒューマンマシン相互作用を行うなど、システム300との相互作用が可能になる。
【0066】
演算モジュール26は、誘電率データ及びその分析を通信モジュール28にさらに供給することができる。通信モジュール28は、出力データ及び未加工測定データを遠隔システムに送信することができる。例えば、通信モジュール28は、出力データをバックオフィスシステム(例えば、サーバ)に送信し、バックオフィスシステムは、データを分析し、その結果及び未加工データをデータベースに保存するようにプログラムされている。遠隔システムはまたシステム300にコマンド情報を連絡し、これによりシステムパラメータ(例えば、信号利得及び/又は周波数範囲)のうちの1つ以上をプログラムして、その動作を制御し及び/又はユーザに命令を供給することができ、これは本明細書に開示されている。
図12のシステム300は、センサーインターフェース電子機器14、演算モジュール26、及び通信モジュール28を収容するハウジングを含み、結果として携帯型手持ち式装置を提供することができる。システム300は、外部電源に接続するための内部バッテリ及び/又は電力インターフェースなどの電源314も含むことができる。
【0067】
図12の実施形態例は手持ち式装置と関連しているが、他の例では、システム300は、卓上システムとして実施することができる。この例では、システム300は、各々の誘電センサ16がそれぞれのSUTを有する、複数の誘電センサ16の誘電体誘電率を測定するように構成できる。各センサは、対応するインターフェースを含み又は共有して、演算モジュール26にそれぞれの測定データを供給し、これによりそれぞれのSUTの各々に関する誘電率値を計算することができる。このようにして、研究室又は他のプロバイダは、複数のサンプルを同時に監視することができる。
【0068】
図13は、誘導体誘電率を測定し、SUTの特性を決定する方法400の例を示すフローチャートである。方法は、誘電マイクロセンサ(例えば、センサ16)をインターフェースシステム(例えば、インターフェース14)に取り付けることによって402で始まる。例えば、誘電マイクロセンサは、SUTのサンプル容積を受け取るための流体入力を含むマイクロ流体チャネル内(例えば、チャネル18)に一体化された静電容量感知構造を含む。402における取り付けにより、このように、インターフェースシステムの送信機及び受信機が、誘電マイクロセンサのそれぞれの入力及び出力に接続できる。
【0069】
404において、SUTは、誘電マイクロセンサのマイクロ流体チャネル内に置かれている。SUTが誘電マイクロセンサ内に存在すると、方法は406に進み、誘電マイクロセンサに入力無線周波数(RF)信号が供給される。例えば、インターフェースシステムの送信機(例えば、送信機22)が、RF入力信号をマイクロセンサに入力する。RF入力信号は、較正周波数を含む1つ以上の周波数を含むことができ、較正周波数は、誘電マイクロセンサに関する較正誘電率を、例えば空隙の誘電体誘電率に対応して決定するために使用し(例えば、誘電率計算機44によって)、これは本明細書に開示されている。
【0070】
408において、入力RF信号に応答して誘電マイクロセンサから出力RF信号を受け取る。RF出力信号は、誘電マイクロセンサ内に配置されたSUTのインピーダンス(例えば、静電容量)の尺度を表す。入力信号及び出力信号は、測定時間間隔、例えば一定の時間又は測定値に依存する時間にわたって、誘電マイクロセンサとインターフェースシステムとの間で通信することができる。
【0071】
410において、SUTの誘電体誘電率値は、測定時間間隔にわたって出力RF信号に基づいて計算されている。本明細書に開示されたように、誘電率は、比誘電率として計算され、選択された誘電率値(例えば、ピーク誘電率)に標準化される。例えば、較正誘電率は、SUTに関する比誘電体誘電率値を供給するための誘電体誘電率値にも適用することができる(例えば、測定誘電率値を較正誘電率値で除算する)。誘電率値は、メモリ(例えば、メモリ34)に保存することができる。
【0072】
412において、SUTの誘電体誘電率値は、測定時間間隔の少なくとも一部にわたって分析されて、SUTに関する1つ以上の誘電率パラメータを決定する。例えば、412における分析は、ピーク誘電体誘電率値に達する時間を決定する工程を含む。例えば、SUTが血液サンプルを含む場合、分析は、ピーク誘電体誘電率値に達する時間に基づいて、血液サンプルの抗凝固特性の指標を決定する工程を含むことができる。抗凝固特性の指標は、標的特異的経口抗凝固剤などの抗凝固療法の治療効果をさらに表すことができる。
【0073】
これに加えて又はこれに代えて、本明細書に開示されたように、412における分析は、ピーク誘電体誘電率値と水平域誘電率値との差を決定する工程を含むことができる。差は、例えば、血液サンプルに関する血小板機能の指標を決定するために利用することができる。本明細書に開示されたように、誘電体誘電率値は、SUTの細胞特性及び/又は分子特性を示し得る他のパラメータを決定するために分析することができる。測定時間間隔が完了した後、本方法は414に進み、誘電マイクロセンサは、インターフェースシステムから取り外すことができる。別の誘電マイクロセンサを取り付けることができ、方法400は、別のSUTの特性を分析するために繰り返される。いくつかの例では、方法400で使用される誘電マイクロセンサは使い捨ての単一使用装置であり、単一使用装置は、SUTの特性を感知するために取り付けられ、試験が完了した後、適切な廃棄手順に従って除去及び廃棄される。
【0074】
以上のことを考慮すると、本明細書に開示されたDSマイクロシステムは、こうして重要な情報を迅速に引き出すための低電力、低価格及び携帯可能な器具を提供することができる。重要な情報は、μLサンプル容積を用いて広い周波数範囲で生物学的溶液又は他のサンプル溶液の分子特性及び/又は細胞特性を特徴付ける。センサレベルにおける提案された測定技術は、誘電率測定において高分解能を達成するために利用することができる。
【0075】
上述したのは例である。当然のことながら、構造、構成部品、又は方法の全ての考えら得る組み合わせを記載することは不可能であるが、当業者であれば、多くのさらなる組み合わせ及び置換が可能であることを認識する。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲内に属する、そのような全ての変更、修正、及び変形を包含することが意図されている。
【0076】
開示又は特許請求の範囲に、「一つ(a, an)の」、「第1の」、又は「別の」要素、或いはそれらの均等物が記述されている場合、1つ以上のそのような要素を含むと解釈すべきであり、2つ以上のそのような要素を必要とせずしかも排除しない。本明細書で用いるように、「含む(includes)」という用語は、含むことを意味するが、これに限定せず、「含んでいる(including)」という用語は、含んでいることを意味するが、これに限定しない。「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づいていることを意味する。