(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重剥離面の180°剥離力に前記凹面と前記重剥離面との間の幅方向の接触幅を乗じた値から前記軽剥離面の180°剥離力に前記平坦面と前記軽剥離面との間の幅方向の接触幅を乗じた値を減じた差分値が、0.3mN以上4.5mN以下である、請求項7記載のフィルム巻装体。
長さ方向に沿って幅方向の両端部の厚みが中央部の厚みよりも大きく形成された凹部を有する凹面を有し、前記凹面の幅方向の両端に、長さ方向に沿って連続する凸部が形成され、前記凹面の反対側に平坦面を有し、前記凹面の幅方向の両端の凸部の合計の幅Sa(Sa1+Sa2)は、前記平坦面の幅方向の幅Sbの10〜60%である接着フィルム、及び剥離力が相対的に高い重剥離面と、剥離力が相対的に低い軽剥離面とを有する剥離フィルムを、前記接着フィルムの凹面と前記剥離フィルムの重剥離面とが接するとともに、前記接着フィルムの平坦面と前記剥離フィルムの軽剥離面とが接するように巻芯に巻装するフィルム巻装体の製造方法。
長さ方向に沿って幅方向の両端部の厚みが中央部の厚みよりも大きく形成された凹部を有する凹面と、前記凹面の反対側に形成された平坦面とを有する接着フィルム、及び剥離力が相対的に高い重剥離面と、剥離力が相対的に低い軽剥離面とを有する剥離フィルムを、前記接着フィルムの凹面と前記剥離フィルムの重剥離面とが接するとともに、前記接着フィルムの平坦面と前記剥離フィルムの軽剥離面とが接するように巻芯に巻装し、
前記重剥離面の180°剥離力に前記凹面と前記重剥離面との間の幅方向の接触幅を乗じた値から前記軽剥離面の180°剥離力に前記平坦面と前記軽剥離面との間の幅方向の接触幅を乗じた値を減じた差分値が、0.3mN以上4.5mN以下である、フィルム巻装体の製造方法。
長さ方向に沿って幅方向の両端部の厚みが中央部の厚みよりも大きく形成された凹部を有する凹面を有し、前記凹面の幅方向の両端に、長さ方向に沿って連続する凸部が形成され、前記凹面の反対側に平坦面を有し、前記凹面の幅方向の両端の凸部の合計の幅Sa(Sa1+Sa2)は、前記平坦面の幅方向の幅Sbの10〜60%である接着フィルム、及び剥離力が相対的に高い重剥離面と、剥離力が相対的に低い軽剥離面とを有する剥離フィルムを、前記接着フィルムの凹面と前記剥離フィルムの重剥離面とが接するとともに、前記接着フィルムの平坦面と前記剥離フィルムの軽剥離面とが接するように巻芯に巻装するフィルム巻装体から、前記接着フィルムの凹面と前記剥離フィルムの重剥離面とが接する積層フィルムを引き出し、
前記接着フィルムの平坦面を第1の回路部材に仮貼りし、剥離フィルムを剥離し、
前記接着フィルム上に第2の回路部材を載せ、本圧着させる接続構造体の製造方法。
長さ方向に沿って幅方向の両端部の厚みが中央部の厚みよりも大きく形成された凹部を有する凹面と、前記凹面の反対側に形成された平坦面とを有する接着フィルム、及び剥離力が相対的に高い重剥離面と、剥離力が相対的に低い軽剥離面とを有する剥離フィルムを、前記接着フィルムの凹面と前記剥離フィルムの重剥離面とが接するとともに、前記接着フィルムの平坦面と前記剥離フィルムの軽剥離面とが接するように巻芯に巻装し、前記重剥離面の180°剥離力に前記凹面と前記重剥離面との間の幅方向の接触幅を乗じた値から前記軽剥離面の180°剥離力に前記平坦面と前記軽剥離面との間の幅方向の接触幅を乗じた値を減じた差分値が、0.3mN以上4.5mN以下であるフィルム巻装体から、前記接着フィルムの凹面と前記剥離フィルムの重剥離面とが接する積層フィルムを引き出し、
前記接着フィルムの平坦面を第1の回路部材に仮貼りし、剥離フィルムを剥離し、
前記接着フィルム上に第2の回路部材を載せ、本圧着させる接続構造体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、下記順序にて詳細に説明する。
1.フィルム巻装体
2.フィルム巻装体の製造方法
3.接続構造体の製造方法
4.実施例
【0013】
<1.フィルム巻装体>
本実施の形態に係るフィルム巻装体は、長さ方向に沿って幅方向の両端部の厚みが中央部の厚みよりも大きく形成された第1の面(凹面)と、第1の面の反対側に形成された平坦である第2の面(平坦面)とを有する接着フィルムと、剥離力が相対的に高い重剥離面と、剥離力が相対的に低い軽剥離面とを有する剥離フィルムと、接着フィルム及び剥離フィルムを巻芯に巻装するリール部材とを備え、接着フィルムの第1の面と剥離フィルムの重剥離面とが接するとともに、接着フィルムの第2の面と剥離フィルムの軽剥離面とが接するように巻装してなる。これにより、接着フィルムの凹面と支持フィルムとが接着した状態で引き出されるとともに、基板等の被着材には、接着フィルムの平坦面が貼り付けられるため、優れた仮貼り性を得ることができる。
【0014】
図1は、本実施の形態に係るフィルム巻装体の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、フィルム巻装体1は、接着フィルム2及び剥離フィルム3がリール4に巻回されることにより形成される。
【0015】
図2は、接着フィルムを模式的に示す断面図であり、
図3は、フィルム巻装体から引き出された際の接着フィルムを模式的に示す断面図である。
【0016】
接着フィルム2は、長さ方向に沿って幅方向の両端部の厚みが中央部の厚みよりも大きく形成された第1の面(凹面)と、第1の面の反対側に形成された平坦である第2の面(平坦面)とを有する。
図2に示すように、接着フィルム2の幅方向の断面は、凹形状であり、凹面の幅方向の両端に、長さ方向に沿って連続する凸部2aが形成され、凹面の幅方向の中央部に、長さ方向に沿って連続する凹部2bが形成されている。凹面の幅方向の両端の凸部2aの合計の接触幅Sa(Sa1+Sa2)は、例えば、平坦面の幅方向の接触幅Sbの10〜60%である。また、平坦面の幅方向の接触幅Sbは、例えば、0.6mm〜5.0mmである。また、凸部2aと凹部2bとの高さhは、例えば、5μm以上であり、その上限値はフィルム厚みの70%以下である。また、接着フィルムの長さは、例えば、50m〜5000mである。
【0017】
接着フィルム2としては、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisortropic Conductive Film)、接着剤フィルム(NCF:Non Conductive Film)、太陽電池の電極とタブ線とを接続する導電性接着フィルムなどが挙げられる。
【0018】
剥離フィルム3は、テープ状に成型され、接着フィルムを支持する支持フィルムである。剥離フィルム3に用いられる基材としては、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methlpentene−1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などが挙げられる。
【0019】
剥離フィルム3は、剥離力が相対的に高い重剥離面と、剥離力が相対的に低い軽剥離面とを有する。ここで、剥離力が相対的に高い重剥離面とは、剥離フィルム3の両面の剥離力を同一条件で測定したときに剥離力が高い方の面をいい、剥離力が相対的に低い軽剥離面とは、剥離フィルム3の両面の剥離力を同じ条件で測定したときに剥離力が低い方の面をいう。重剥離面及び軽剥離面の剥離力は、例えば、シリコーンなどの剥離剤の種類、基材の表面粗さ(Rz)などにより調整可能である。また、剥離力の測定方法としては、180°剥離強度試験(JISK 6854−2)、90°剥離強度試験(JISK 6854−1)などが挙げられる。
【0020】
本実施の形態では、重剥離面の剥離力に凹面と重剥離面との間の幅方向の接触幅を乗じた値が、軽剥離面の剥離力に平坦面と軽剥離面との間の幅方向の接触幅を乗じた値よりも大きい。具体的には、重剥離面の180°剥離力Taに凹面と重剥離面との間の幅方向の接触幅Saを乗じた値から軽剥離面の180°剥離力Tbに平坦面と軽剥離面との間の幅方向の接触幅Sbを乗じた値を減じた差分値[(Ta×Sa)−(Tb×Sb)]が、好ましくは0.3mN以上4.5mN以下であり、より好ましくは0.5mN以上3.0mN以下であり、さらに好ましくは1.0mN以上2.5mN以下である。これにより、接着フィルムの凹面と支持フィルムとが接着した状態で引き出されるとともに、基板等の被着材には、接着フィルムの平坦面が貼り付けられるため、優れた仮貼り性を得ることができる。
【0021】
リール4は、接着フィルム2及び剥離フィルム3を巻き取る筒状の巻芯5と、巻芯5の両端にそれぞれ設けられた板状のフランジ6とを備える。巻芯5は、リール4を回転させるための回転軸が挿入される軸穴を有する。巻芯5には、接着フィルム2又は剥離フィルム3の長手方向の一方の端部が接続され、接着フィルム2及び剥離フィルム3が巻回される。
【0022】
巻芯5及びフランジ6は、例えば、種々のプラスチック材料を用いて形成することができる。フランジ6は、接着フィルム2と接する面に、静電処理を施すようにしてもよい。静電処理を施す方法としては、例えば、ポリチオフェンなどの化合物をフランジ6に塗布する方法などが挙げられる。なお、
図1に示すフィルム巻装体は、両端にフランジ6を有する巻芯5に接着フィルムを巻装する構成としたが、フランジがない巻芯に接着フィルムを巻装する構成であってもよい。
【0023】
[第1の構成例]
図4は、第1の構成例のフィルム巻装体の最外周側を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、剥離フィルム3は、幅方向において接着フィルム2の凹面と重剥離面とが所定の接触幅Saで接するとともに、接着フィルム2の平坦面と軽剥離面とが所定の接触幅Sbで接している。
【0024】
この第1の構成例のフィルム巻装体は、接着フィルム2の平坦面と剥離フィルム3の軽剥離面とが接する積層フィルムを、接着フィルム2側が内周側となるように巻装することにより構成される。
【0025】
図5は、第1の構成例のフィルム巻装体の引き出し時の最外周側を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、最外周の剥離フィルム3は1周分引き剥がされ、引き出し時は、接着フィルム2が内周側の剥離フィルム3と接した状態で引き出される。
【0026】
[第2の構成例]
図6は、第2の構成例のフィルム巻装体の引き出し時の最外周側を模式的に示す断面図である。この第2の構成例のフィルム巻装体は、接着フィルム2の平坦面と剥離フィルム3の軽剥離面とが接する積層フィルムを、接着フィルム2側が外周側となるように巻装することにより構成される。
図6に示すように、最外周の接着フィルム2は1周分引き剥がされ、引き出し時は、接着フィルム2が外周側の剥離フィルム3と接した状態で引き出される。
【0027】
[耐ブロッキング性について]
図7は、接着フィルムがはみ出してフランジに付着した状態を模式的に示す断面図である。フィルム巻装体は、温度による伸縮、引き出し操作などにより、接着フィルム2の巻き絞りが発生することがある。その結果、接着フィルム2の樹脂(接着剤成分)が、樹脂の長さ方向に沿った幅方向の一端よりも外側に流動して、剥離フィルム3の側面からはみ出すことがある。
図7に示すように、接着フィルム2の樹脂が、剥離フィルム3の側面からはみ出すと、接着フィルムの樹脂がリールのフランジ6の側面に付着してしまい、接着フィルムを正常に引き出せなくなるブロッキングが発生してしまうことがある。
【0028】
本実施形態に係るフィルム巻装体は、長さ方向に沿って幅方向の両端部の厚みが中央部の厚みよりも大きく形成された第1の面(凹面)と、第1の面の反対側に形成された平坦である第2の面(平坦面)とを有する接着フィルムを巻装する。このため、
図2、3に示すように、接着フィルム2の凹面と剥離フィルム3との間には、凹部2bが長さ方向に沿って連続して形成される。このように、接着フィルム2の凹面と剥離フィルム3との間には凹部2bによる空隙が形成されていることにより、巻き絞まりが発生した際、巻き絞まる力を緩和するとともに、接着フィルム2の樹脂を凹部2bによる空隙に流動させることができる。このため、樹脂のはみ出しを抑制し、優れた耐ブロッキング性を得ることができる。
【0029】
また、第1の構成例のフィルム巻装体によれば、フィルムを引き出す方向側に接着フィルムが存在するため、剥離フィルム3が接着フィルム2を持ち上げるようにして引き出すことができる。このため、フランジ6に樹脂が付着してもブロッキングを解消できるだけの強い力で剥がすことができ、優れた耐ブロッキング性を得ることができる。
【0030】
<2.フィルム巻装体の製造方法>
次に、フィルム巻装体の製造方法について説明する。本実施の形態に係るフィルム巻装体の製造方法は、長さ方向に沿って幅方向の両端部の厚みが中央部の厚みよりも大きく形成された第1の面(凹面)と、第1の面の反対側に形成された平坦である第2の面(平坦面)とを有する接着フィルム、及び剥離力が相対的に高い重剥離面と、剥離力が相対的に低い軽剥離面とを有する剥離フィルムを、接着フィルムの第1の面と剥離フィルムの重剥離面とが接するとともに、接着フィルムの第2の面と剥離フィルムの軽剥離面とが接するようにリール部材の巻芯に巻装するものである。
【0031】
先ず、剥離力が相対的に高い重剥離面と、剥離力が相対的に低い軽剥離面とを有する剥離フィルムを準備し、軽剥離面上に所定の厚みとなるように接着フィルムの組成物を塗布する。これにより、巻装後引き出した際に、接着フィルムを重剥離面に転着させることが可能となる。接着フィルムの組成物としては、ACF(Anisortropic Conductive Film)、NCF(Non Conductive Film)などの公知のものを用いることができる。
【0032】
図8は、幅広の接着フィルム(原反)を模式的に示す一部断面図である。
図8に示すように、幅広の接着フィルム(原反)を形成した後、裁断時の異物混入のため、接着フィルム上にカバーフィルム7を貼り付けることが好ましい。
【0033】
図9は、スリット工程の接着フィルムを模式的に示す断面図である。スリット工程では、幅広の接着フィルムを所定の幅に裁断する。この裁断時に、剥離フィルム3とカバーフィルム7の強度差、咬み込み刃などの影響により、接着フィルムに凹面が形成される。これにより、凹面をフィルム上方から観察した場合、長手方向に略平行にある凹部の段差を示す線が観察されることがある。なお、凹部の段差を示す線は、直線である場合もあるが、一部曲がっていたり、一部途切れていたりし、非直線な部分が存在している場合もある。裁断後、カバーフィルム7を剥がし、接着フィルム2及び剥離フィルム3をリール4に巻装することにより、フィルム巻装体1を得ることができる。
【0034】
ここで、
図4に示す第1の構成例のフィルム巻装体は、接着フィルム2の平坦面と剥離フィルム3の軽剥離面とが接する積層フィルムを、接着フィルム2側が内周側となるようにリールに巻装することにより得ることができる。
【0035】
また、
図6に示す第2の構成例のフィルム巻装体は、接着フィルム2の平坦面と剥離フィルム3の軽剥離面とが接する積層フィルムを、接着フィルム2側が外周側となるようにリールに巻装することにより得ることができる。
【0036】
また、第1の構成例又は第2の構成例のフィルム巻装体から引き出した接着フィルム2の凹面と剥離フィルム3の重剥離面とが接する積層フィルムを、接着フィルム2側が外周側又内周側となるように他のリールに巻装することにより得るようにしてもよい。
【0037】
<3.接続構造体の製造方法>
本実施形態に係る接続構造体の製造方法は、長さ方向に沿って幅方向の両端部の厚みが中央部の厚みよりも大きく形成された第1の面(凹面)と、第1の面の反対側に形成された平坦である第2の面(平坦面)とを有する接着フィルムと、剥離力が相対的に高い重剥離面と、剥離力が相対的に低い軽剥離面とを有する剥離フィルムと、接着フィルム及び剥離フィルムを巻芯に巻装するリール部材とを備え、接着フィルムの第1の面と剥離フィルムの重剥離面とが接するとともに、接着フィルムの第2の面と剥離フィルムの軽剥離面とが接するように巻装してなるフィルム巻装体から、接着フィルムの第1の面と剥離フィルムの重剥離面とが接する積層フィルムを引き出し、接着フィルムの第2の面を第1の被着体に仮貼りし、剥離フィルムを剥離し、接着フィルム上に第2の回路部材を載せ、本圧着させるものである。
【0038】
第1の回路部材及び第2の回路部材は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。第1の回路部材としては、例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)用途、LCD(Liquid Crystal Display)パネル用途などのガラス基板、プリント配線板(PWB)などが挙げられる。また、第2の回路部材としては、例えば、COF(Chip On Film)などのフレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)、テープキャリアパッケージ(TCP)基板、IC(Integrated Circuit)などが挙げられる。
【0039】
本実施形態に係る接続構造体の製造方法によれば、第1の回路部材に接着フィルムの平坦面が貼り付けられるため、優れた仮貼り性を得ることができる。また、本圧着時に第2の回路部材の圧着により接着フィルムの凹面が消失するため、優れた接着強度を得ることができる。
<4.実施例>
【実施例】
【0040】
<4.1 第1の実施例>
以下、本発明の第1の実施例について説明する。第1の実施例では、剥離力の異なる剥離フィルムを用いて、ラジカル系ACFをいわゆる内巻きの構成で巻き回し、フィルム巻装体を作製した。そして、ACFを引き出した際のACFの転着性、及び仮貼り性を評価した。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
[剥離フィルムの剥離力の測定]
実施例と同じラジカル系ACF組成物を用いて剥離フィルムの剥離力を測定した。ラジカル系ACF組成物は、フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、新日鐵化学(株)製)50質量部、2官能アクリルモノマー(商品名:A−200、新中村化学(株)製)20質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学(株)製)20質量部、ジラウロイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBW、日本油脂(株)製)5質量部、及び導電性粒子(品名:AUL704、積水化学工業社製)5質量部を、常法により均一に混合することにより得た。このラジカル系ACF組成物を約38μm厚みの剥離処理していないPETフィルム上に乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、乾燥させ、5cm幅のPET付ラジカル系ACFを作製した。
【0042】
PET付ラジカル系ACFを5cm幅の剥離フィルムの測定面に2kgローラーを用いて貼付し、30分後の剥離力を180°剥離強度試験(JIS K 6854−2)に準じて測定した(テープピール、剥離角度180°、剥離速度300mm/min)。
【0043】
[転着性の評価]
リールからACFを長さ200mに亘って引き出し、ACFの凹面に剥離フィルムが接着した転着状態の長さを測定し、転着割合を算出した。そして、下記指標により転着性の評価を行った。
A:転着割合が90%以上100%以下
B:転着割合が50%以上90%未満
C:転着割合が50%未満
【0044】
[仮貼り性の評価]
厚み0.7mmの素ガラスに、リールから引き出したACFを10枚下記条件にて仮貼りし、剥離フィルムを剥離した。剥離フィルムの剥離後、素ガラスにACFが仮貼りされた状態の成功枚数をカウントした。そして、下記指標により仮貼り性の評価を行った。
接合条件:温度60℃−圧力1MPa−時間1sec
緩衝材:シリコンラバー(厚み200μm)
A:成功枚数が8〜10枚
B:成功枚数が3〜7枚
C:成功枚数が0〜2枚
【0045】
[実施例1]
剥離力Taが0.05N/cmであるA面と、剥離力Tbが0.01N/cmであるB面とを有する剥離フィルムを準備した。
【0046】
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、新日鐵化学(株)製)50質量部、2官能アクリルモノマー(商品名:A−200、新中村化学(株)製)20質量部、ウレタンアクリレート(商品名:U−2PPA、新中村化学(株)製)20質量部、ジラウロイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBW、日本油脂(株)製)5質量部、及び導電性粒子(品名:AUL704、積水化学工業社製)5質量部を、常法により均一に混合することによりラジカル系ACFの組成物を調整した。
【0047】
前述の組成物を25μm厚みになるように剥離フィルムのB面に塗布した後、カバーフィルムを貼り付け、幅0.15cmに裁断して長さ200mのACFを得た。この裁断工程後のACFは、
図2に模式的に示す断面において、凹面の凸部2aの接触幅Saが約0.06cmであり、平坦面の接触幅Sbが0.15cmであった。
【0048】
次に、カバーフィルムを剥がし、内周側にACFが配されるようにACFと剥離フィルムとをリールに巻き取り、いわゆる内巻きのフィルム巻装体を得た。表1に、実施例1のフィルム巻装体の評価結果を示す。
【0049】
[実施例2]
剥離力Taが0.03N/cmであるA面と、剥離力Tbが0.01N/cmであるB面とを有する剥離フィルムを準備した以外は、実施例1と同様にしてフィルム巻装体を得た。表1に、実施例2のフィルム巻装体の評価結果を示す。
【0050】
[実施例3]
剥離力Taが0.08N/cmであるA面と、剥離力Tbが0.01N/cmであるB面とを有する剥離フィルムを準備した以外は、実施例1と同様にしてフィルム巻装体を得た。表1に、実施例3のフィルム巻装体の評価結果を示す。
【0051】
[実施例4]
剥離力Taが0.1N/cmであるA面と、剥離力Tbが0.01N/cmであるB面とを有する剥離フィルムを準備した以外は、実施例1と同様にしてフィルム巻装体を得た。表1に、実施例4のフィルム巻装体の評価結果を示す。
【0052】
[実施例5]
剥離力Taが0.05N/cmであるA面と、剥離力Tbが0.01N/cmであるB面とを有する剥離フィルムを準備し、幅0.20cmに裁断した以外は、実施例1と同様にしてフィルム巻装体を得た。この裁断工程後のACFは、
図2に模式的に示す断面において、凹面の凸部2aの接触幅Saが約0.08cmであり、平坦面の接触幅Sbが0.20cmであった。表1に、実施例5のフィルム巻装体の評価結果を示す。
【0053】
[実施例6]
剥離力Taが0.05N/cmであるA面と、剥離力Tbが0.01N/cmであるB面とを有する剥離フィルムを準備し、幅0.10cmに裁断した以外は、実施例1と同様にしてフィルム巻装体を得た。この裁断工程後のACFは、
図2に模式的に示す断面において、凹面の凸部2aの接触幅Saが約0.03cmであり、平坦面の接触幅Sbが0.10cmであった。表1に、実施例6のフィルム巻装体の評価結果を示す。
【0054】
[比較例1]
剥離力Taが0.01N/cmであるA面と、剥離力Tbが0.05N/cmであるB面とを有する剥離フィルムを準備した以外は、実施例1と同様にしてフィルム巻装体を得た。表1に、比較例1のフィルム巻装体の評価結果を示す。
【0055】
[比較例2]
剥離力Taが0.02N/cmであるA面と、剥離力Tbが0.02N/cmであるB面とを有する剥離フィルムを準備した以外は、実施例1と同様にしてフィルム巻装体を得た。表1に、比較例2のフィルム巻装体の評価結果を示す。
【0056】
【表1】
【0057】
比較例1のように、接着フィルム及び剥離フィルムを、凹面と軽剥離面とが接するとともに平坦面と重剥離面とが接するように巻装した場合、接着フィルムの凹面に剥離フィルムが接着した転着状態で引き出すことが困難であり、仮貼りが困難であった。また、比較例2のように、剥離フィルムが重剥離面と軽剥離面とを有さない場合も、転着状態で引き出すことが困難であり、仮貼りが困難であった。
【0058】
一方、実施例1〜6のように、接着フィルム及び剥離フィルムを、凹面と重剥離面とが接するとともに平坦面と軽剥離面とが接するように巻装した場合、接着フィルムの凹面に剥離フィルムが接着した転着状態で引き出すことができ、仮貼りすることができた。
【0059】
また、重剥離面の180°剥離力Taに凹面と重剥離面との間の幅方向の接触幅Saを乗じた値から軽剥離面の180°剥離力Tbに平坦面と軽剥離面との間の幅方向の接触幅Sbを乗じた値を減じた差分値[(Ta×Sa)−(Tb×Sb)]が、0.3mN以上4.5mN以下であることにより、優れた転着性及び仮貼り性を得ることができた。
【0060】
<4.2 第2の実施例>
以下、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例では、いわゆる内巻きのフィルム巻装体、及び外巻きのフィルム巻装体、並びに片面に凹面を有するフィルム巻装体、及び平坦面のみを有するフィルム巻装体について、転着性、仮貼り性、及び耐ブロッキング性を評価した。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
剥離フィルムの剥離力の測定、転着性の評価、及び仮貼り性の評価は、第1の実施例と同様に行った。
【0062】
[耐ブロッキング性の評価]
直径が85mmの巻芯軸部と、平均厚み1.5mmのポリスチレンからなるフランジとを有する両面フランジタイプのリール部材を使用し、リール部材の巻芯軸部にACFと剥離フィルムとを巻取張力20gの条件で巻き取った。そして、リール部材に巻き取られたACFを引出張力70g、引張速度500mm/secで数cmずつ5時間引き出し、接着フィルムをリールから正常に引き出せない状態のブロッキングの発生回数をカウントした。
A:発生回数が0〜3
B:発生回数が4〜10
C:発生回数が11以上
【0063】
[実施例1]
実施例1のフィルム巻装体の耐ブロッキング性について評価した。表2に、実施例1のフィルム巻装体の評価結果を示す。
【0064】
[実施例7]
外周側にACFが配されるようにACFと剥離フィルムとをリールに巻き取り、いわゆる外巻きのフィルム巻装体を得た以外は、実施例1と同様にしてフィルム巻装体を得た。表2に、実施例7のフィルム巻装体の評価結果を示す。
【0065】
[参考例]
剥離力Taが0.02N/cmであるA面と、剥離力Tbが0.02N/cmであるB面とを有する剥離フィルムを準備し、両面が平坦となるように裁断した以外は、実施例1と同様にしてフィルム巻装体を得た。表1に、比較例3のフィルム巻装体の評価結果を示す。
【0066】
【表2】
【0067】
参考例のように、両面が平坦の接着フィルムと、両面の剥離力が同じ剥離フィルムとを、いわゆる内巻き構成で巻き回した場合、接着フィルムの接着剤成分が多量にはみ出し、リールのフランジに付着するため、ブロッキングの発生回数が多かった。
【0068】
一方、実施例7のように、凹面を有する接着フィルムと、剥離力の異なる剥離フィルムとを、いわゆる外巻き構成で巻き回した場合、ブロッキングの発生回数が少なかった。これは、凹面の幅方向の中央部に形成された空隙により、接着フィルムの接着剤成分のはみ出し量を減少させることができたからだと考えられる。
【0069】
さらに、実施例1のように、いわゆる内巻き構成で巻き回した場合、ブロッキングの発生回数がさらに少なかった。これは、転着により引き出す方向側に接着フィルムが存在するため、剥離フィルムを持ち上げるようにして接着フィルムを引き出すことができるため、フランジに樹脂が付着していても強い力で剥がすことができたからだと考えられる。