特許第6936310号(P6936310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6936310
(24)【登録日】2021年8月30日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20210906BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20210906BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20210906BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20210906BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   H01L23/48 S
   H01L23/48 K
   H01L23/48 H
   H01L21/60 321E
   H01L25/04 C
   H01L23/50 S
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-506746(P2019-506746)
(86)(22)【出願日】2018年2月27日
(86)【国際出願番号】JP2018007089
(87)【国際公開番号】WO2019167102
(87)【国際公開日】20190906
【審査請求日】2019年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】中川 政雄
(72)【発明者】
【氏名】桑野 亮司
(72)【発明者】
【氏名】篠竹 洋平
【審査官】 平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−335538(JP,A)
【文献】 特開2008−182074(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/073306(WO,A1)
【文献】 特開2010−147363(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/067414(WO,A1)
【文献】 特開2013−197162(JP,A)
【文献】 特開平02−126659(JP,A)
【文献】 特開2013−131735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/447−21/449
H01L 21/60−21/607
H01L 23/28−23/31
H01L 23/48
H01L 23/50
H01L 25/00−25/07
H01L 25/10−25/11
H01L 25/16−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の半導体チップ配置面上に、前記半導体チップ配置面と対向する面とは反対側の面に形成された電極を有する半導体チップを配置する半導体チップ配置工程と、
前記半導体チップ側の面から前記半導体チップ側とは反対側の面まで貫通された貫通孔と、前記貫通孔の周囲の部分を前記半導体チップ側に曲線状に折り曲げた形状の凸部と、前記凸部に対応して前記半導体チップ側とは反対側の面に形成された凹部とを有する電極接合部を有し、前記電極接合部の前記半導体チップとは反対側の面にはんだ材が配置されたリード端子を、前記半導体チップの前記電極と前記電極接合部とが所定の間隔を置いて対向した状態、かつ、前記凸部が前記電極側に向かって突出した状態となるように配置して組立体を形成する組立体形成工程と、
前記はんだ材を溶融して前記貫通孔を通して前記電極と前記電極接合部との間に前記はんだ材を流し込んだ後で前記はんだ材を固化することにより、前記電極と前記電極接合部とを前記はんだ材を介して接合し、前記はんだ材を前記凸部に接合するとともに前記凸部の周囲の前記電極接合部及び前記凸部から離れた前記電極接合部に接合する接合工程とを含み、
前記組立体形成工程においては、前記電極と前記電極接合部の間のうちの一部にもはんだ材が配置されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップとリードとがはんだを介して接合された半導体装置を製造する半導体装置の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の従来の半導体装置900は、図12に示すように、半導体チップ配置面912を有する基板910と、半導体チップ配置面912上に配置され、基板910側の面(半導体チップ配置面12と対向する面)に形成されたコレクタ電極922、並びに、基板910側の面とは反対側の面(半導体チップ配置面12と対向する面とは反対側の面)に形成されたエミッタ電極924(電極)及びエミッタ電極924とは離間した位置に形成されたゲート電極926を有する半導体チップ920と、電極接続片932を有し、電極接続片932がエミッタ電極924とはんだ940を介して接合されたリード930とを備える
【0004】
従来の半導体装置900によれば、電極接続片932がエミッタ電極924とはんだ940を介して接合されている、すなわち、半導体チップ920とリード930とがはんだ940のみを介して(ワイヤ等の介在部材を介さずに)直接接続されているため、半導体装置900は、電流容量が大きく、大電流を使用する電子機器(例えば、電源)に適した半導体装置となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−123686号公報
【特許文献2】特開2017−199809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に、半導体チップとリードとの間のはんだに作用する応力(例えば熱応力)を緩和するためには、はんだの厚みをある一定以上の厚さに保つことが有効であることが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
しかしながら、従来の半導体装置の製造過程において、ペースト状のはんだ材941をある一定以上の厚さとすると、はんだ材941の上にリード930を配置したときにはんだ材941が潰れて余剰なはんだ材が所望しない場所にはみ出してしまうおそれがあり、半導体装置の信頼性が低下するおそれがある、という問題がある(図13参照。)。
【0008】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、信頼性が低下し難い半導体装置を提供することを目的とする。また、そのような半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明の半導体装置は、半導体チップ配置面を有する基板と、前記半導体チップ配置面上に配置され、前記半導体チップ配置面と対向する面とは反対側の面に形成された電極を有する半導体チップと、前記電極とはんだを介して接合された電極接続片を有するリードとを備え、前記電極接続片は、前記はんだと接合する領域において、前記半導体チップ側に突出した凸部と、前記凸部の頂上部に形成され、前記半導体チップ側の面から前記半導体チップ側とは反対側の面まで貫通された貫通孔とを有することを特徴とする。
【0010】
[2]本発明の半導体装置において、前記リードは、断面で見たときに、前記凸部の部分で半導体チップ側に折り曲げられた形状を有することが好ましい。
【0011】
[3]本発明の半導体装置においては、前記凸部の側面形状は、前記半導体チップ側が狭いテーパ形状であることが好ましい。
【0012】
[4]本発明の半導体装置においては、前記凸部の側面形状は、丸みを帯びた形状になっていることが好ましい。
【0013】
[5]本発明の半導体装置においては、前記はんだの厚さは、300μm以上であることが好ましい。
【0014】
[6]本発明の第1の半導体装置の製造方法は、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法であって、基板上に半導体チップを配置する半導体チップ配置工程と、一方の面側に突出した凸部と、前記凸部の頂上部に形成され、前記一方の面から前記一方の面とは反対側の他方の面まで貫通された貫通孔とを有する電極接続片を有するリードを、前記半導体チップの電極と前記電極接続片とがはんだ材を挟んで対向した状態、かつ、前記凸部が前記電極側に向かって突出した状態となるように配置して組立体を形成する組立体形成工程と、前記はんだ材を溶融した後で固化することにより、前記電極と前記電極接続片とをはんだを介して接合する接合工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
[7]本発明の第2の半導体装置の製造方法は、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法であって、基板上に半導体チップを配置する半導体チップ配置工程と、一方の面側に突出した凸部と、前記凸部の頂上部に形成され、前記一方の面から前記一方の面とは反対側の他方の面まで貫通された貫通孔とを有する電極接続片を有し、前記他方の面における、前記貫通孔を含む所定の領域にはんだ材が配置されたリードを、前記半導体チップの電極と前記電極接続片とが所定の間隔で対向した状態、かつ、前記凸部が前記電極側に向かって突出した状態となるように配置して組立体を形成する組立体形成工程と、前記はんだ材を溶融して前記貫通孔を通して前記電極と前記電極接続片との間に前記はんだ材を流し込んだ後で前記はんだ材を固化することにより、前記電極と前記電極接続片とをはんだを介して接合する接合工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
[8]本発明の半導体装置の製造方法において、前記組立体形成工程においては、前記電極と前記電極接続片の間のうちの一部にもはんだ材が配置されていることが好ましい。
【0017】
[9]本発明の半導体装置の製造方法において、前記組立体形成工程においては、断面で見たときに、前記凸部の部分で半導体チップ側に折り曲げられた形状を有する前記リードを配置することが好ましい。
【0018】
[10]本発明の半導体装置の製造方法において、前記組立体形成工程においては、前記凸部の側面形状が、前記半導体チップ側が狭いテーパ形状である前記リードを配置することが好ましい。
【0019】
[11]本発明の半導体装置の製造方法において、前記組立体形成工程においては、前記凸部の側面形状が、丸みを帯びた形状になっている前記リードを配置することが好ましい。
【0020】
[12]本発明の半導体装置の製造方法において、前記はんだ材は、溶剤を含有するペースト状のはんだ材からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の半導体装置によれば、電極接続片は、はんだと接合する領域において、半導体チップ側に突出した凸部と、凸部の頂上部に形成され、半導体チップ側の面から半導体チップ側とは反対側の面まで貫通された貫通孔とを有するため、製造過程において、はんだ材上にリードを配置したときに、余剰なはんだ材を貫通孔を通してリードにおける半導体チップとは反対側の面に流れさせることができる。従って、はんだの厚みをある一定以上の厚さに保つ場合において、(接合工程前の)はんだ材上にリードを配置したときでも、余剰なはんだ材が所望しない場所にはみ出すことを防ぐことができ、半導体装置の信頼性が低下し難くなる。
【0022】
また、本発明の半導体装置によれば、電極接続片は、はんだと接合する領域において、半導体チップ側に突出した凸部を有するため、従来の半導体装置と比較して、リードとはんだとの接触面積が大きくなる。
また、本発明の半導体装置によれば、電極接続片は、凸部の頂上部に形成され、半導体チップ側の面から半導体チップ側とは反対側の面まで貫通された貫通孔とを有するため、はんだ材上にリードを配置したときに、余剰なはんだ材を貫通孔を通してリードにおける半導体チップとは反対側の面に流れさせることができる。従って、貫通孔内及びリードにおける半導体チップ側とは反対側の面にもはんだが存在することになるため、リードとはんだとの接触面積がより大きくなる。
従って、リードとはんだとの接合強度が高くなり、半導体装置の信頼性が高くなる。
【0023】
本発明の第1の半導体装置の製造方法によれば、組立体形成工程において、一方の面側に突出した凸部と、凸部の頂上部に形成され、一方の面から一方の面とは反対側の他方の面まで貫通された貫通孔とを有する電極接続片を有するリードを、電極と電極接続片とがはんだ材を挟んで対向した状態、かつ、凸部が電極側に向かって突出した状態となるように配置して組立体を形成し、接合工程において、はんだ材を溶融した後で固化することにより、電極と電極接続片とをはんだを介して接合するため、はんだ材上にリードを配置したときに、余剰なはんだ材を貫通孔を通してリードにおける半導体チップとは反対側の面に向かって流れさせることができる。従って、はんだの厚みをある一定以上の厚さに保つ場合において、はんだ材上にリードを配置したときでも、余剰なはんだ材が所望しない場所にはみ出すことを防ぐことができ、信頼性が低下し難い半導体装置を製造することができる。
【0024】
本発明の第2の半導体装置の製造方法によれば、組立体形成工程において、一方の面側に突出した凸部と、凸部の頂上部に形成され、一方の面から一方の面とは反対側の他方の面まで貫通された貫通孔とを有する電極接続片を有し、他方の面における、貫通孔を含む所定の領域にはんだ材が配置されたリードを、電極と電極接続片とが所定の間隔で対向した状態、かつ、凸部が電極側に向かって突出した状態となるように配置して組立体を形成し、接合工程において、はんだ材を溶融して貫通孔を通して電極と電極接続片との間にはんだ材を流し込んだ後ではんだ材を固化することにより、電極と電極接続片とをはんだを介して接合するため、接合工程前のはんだ材を厚くしすぎることがなく、ある一定以上の厚さのはんだ材上にリードを配置する、ということもない。従って、余剰なはんだ材が所望しない場所にはみ出すことを防ぐことができる。その結果、信頼性が低下し難い半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態1に係る半導体装置1を示す図である。図1(a)は半導体装置1の平面図であり、図1(b)は半導体装置1の断面図である。
図2】実施形態1に係る半導体装置1の要部拡大図である。図2(a)は半導体装置1の要部拡大断面図であり、図2(b)は半導体装置1の要部拡大平面図である。
図3】実施形態1に係る半導体装置の製造方法のフローチャートである。
図4】実施形態1に係る半導体装置の製造方法の工程図である。図4(a)は基板準備工程を示す図であり、図4(b)は半導体チップ配置工程を示す図であり、図4(c)ははんだ材配置工程を示す図である。
図5】実施形態1に係る半導体装置の製造方法の工程図である。図5(a)はリードフレーム配置工程を示す図であり、図5(b)は接合工程(リフロー工程)を示す図であり、図5(c)はワイヤボンディング工程を示す図である。
図6】実施形態1に係る半導体装置の製造方法の効果を説明するために示す図である。図6(a)ははんだ材上にリード(リードフレーム)を配置する前の組立体50の断面図であり、図6(b)ははんだ材上にリードを配置する前の組立体50の平面図であり、図6(c)ははんだ材上にリードを配置した後の組立体50の断面図であり、図6(d)ははんだ材上にリードを配置した後の組立体50の平面図であり、図6(e)は接合工程後の組立体50の断面図であり、図6(f)は接合工程後の組立体50の平面図である。
図7】実施形態2に係る半導体装置の製造方法の効果を説明するために示す図である。図7(a)は接合工程(リフロー工程)実施前の組立体51の断面図であり、図7(b)は接合工程(リフロー工程)実施前の組立体51の平面図であり、図7(c)は接合工程(リフロー工程)実施中の組立体51の断面図であり、図7(d)は接合工程(リフロー工程)実施中の組立体51の平面図である。
図8】実施形態3に係る半導体装置の製造方法の効果を説明するために示す図である。図8(a)は接合工程(リフロー工程)実施前の組立体52の断面図であり、図8(b)は接合工程(リフロー工程)実施前の組立体52の平面図であり、図8(c)は接合工程(リフロー工程)実施中の組立体52の断面図であり、図8(d)は接合工程(リフロー工程)実施中の組立体52の平面図である。
図9】変形例1〜4に係る半導体装置におけるリードの凸部及び貫通孔を示す要部拡大断面図である。図9(a)〜図9(d)は変形例1〜4に係る半導体装置におけるリードの凸部及び貫通孔を示す要部拡大断面図である。
図10】変形例5に係る半導体装置における要部拡大図である。図10(a)は変形例5に係る半導体装置における要部拡大断面図であり、図10(b)は変形例5に係る半導体装置における要部拡大平面図である。
図11】変形例6に係る半導体装置2を示す図である。図11(a)は半導体装置2の斜視図であり、図11(b)は半導体装置2の断面図である。
図12】従来の半導体装置900を示す断面図である。なお、図12中、符号946ははんだを示し、符号960、符号962は端子を示し、符号970はワイヤを示し、符号980は樹脂を示す。
図13】従来の半導体装置の製造方法の問題点を示す図である。図13(a)はリード配置前の組立体の様子を示す図であり、図13(b)はリード配置後の組立体の様子を示す図である。なお、符号941,945はペースト状のはんだ材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の半導体装置の製造方法について、図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の寸法を厳密に反映したものではない。
【0027】
[実施形態1]
1.実施形態1における半導体装置1の構成
実施形態1に係る半導体装置1は、図1及び図2に示すように、基板10と、半導体チップ20と、リード30,62,64と、はんだ40,46と、ワイヤ70とを備え、リード30,62,64の外部接続端子及び放熱性の金属板18の一部を除いて樹脂80で樹脂封止されている。
【0028】
基板10は、半導体チップ配置面12を有する基板である。基板10としては適宜の基板(例えば、プリント基板)を用いることができるが、実施形態1においては、絶縁性基板14と、絶縁性基板14の一方の面に形成され、半導体チップ配置面12を有する回路16と、絶縁性基板14の他方の面に形成された放熱用の金属板18とを有するDCB(Direct Cоpper Bonding)基板を用いる。なお、放熱用の金属板18は樹脂80から露出している。
【0029】
半導体チップ20は、半導体チップ配置面12上に配置されており、一方の面(半導体チップ配置面12と対向する面。あるいは、基板10側の面)に形成されたコレクタ電極22、並びに、他方の面(半導体チップ配置面12と対向する面とは反対側の面。あるいは、基板10側の面とは反対側の面)に形成されたエミッタ電極24(電極)及びエミッタ電極24とは離間した位置に形成されたゲート電極26を有するIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
【0030】
コレクタ電極22は、基板10の半導体チップ配置面12とはんだ46を介して接合されており、はんだ46、基板10(回路16)及びリード64を介して外部と接続される。
エミッタ電極24は、リード30の電極接続片32とはんだ40を介して接合されており、はんだ40及びリード30(外部接続端子34)を介して外部と接続される。
【0031】
リード30,62,64は、平板状の金属部材であり、リードフレームを切り離して形成されたものである。リード30,62,64はワイヤよりも断面積が大きく、大電流を流すことができる。
【0032】
リード30は、一方の端部にエミッタ電極24と接続するための電極接続片32を有し、他方の端部に外部と接続するための外部接続端子34を有する。
【0033】
電極接続片32は、はんだ40と接合する領域において、半導体チップ20側に突出した凸部36と、凸部36の頂上部37に形成され、半導体チップ20側の面から半導体チップ20側とは反対側の面まで貫通された貫通孔38とを有する。
【0034】
リード30は、断面で見たときに、凸部36の部分で半導体チップ20側に折り曲げられた形状を有する。凸部36は、半導体チップ20側に向かって打ち出し加工されたような形状を有する。凸部36の側面形状は、半導体チップ20側が狭いテーパ形状であり、凸部の側面形状(側面の断面形状)は、丸みを帯びた形状をしている。言い換えると、凸部36の側面形状は、半導体チップ20側が頂上部となり、かつ、裾野が広い富士山型の形状、あるいは、半導体チップ20とは反対側が広いラッパ型の形状をしている。
【0035】
電極接続片32を半導体チップ20側とは反対側の面からみると、凸部36の形状に対応した形状の凹部があるように見える。言い換えると、半導体チップ20側とは反対側の面から半導体チップ20側に向かうに従って狭くなっている凹部があるように見える。凹部の最底部には貫通孔38がある。凹部内にはエミッタ電極24と電極接続片32との間のはんだ40から流れ出たはんだが入り込んでおり、当該はんだは、貫通孔38近傍のリード30における半導体チップ20側とは反対側からリード30に接している。
【0036】
貫通孔38は、凸部36の頂上部37に形成され、半導体チップ20側の面から半導体チップ20側とは反対側の面まで貫通されている。貫通孔38は、接合工程前にリード30をはんだ材の上に配置したときに、はんだ材が貫通孔38を介して行き来できる程度の大きさである(すなわち、はんだ材が貫通孔38を介して十分行き来できず、意図しない領域にはんだ材が飛び出してしまうことを防ぐことができる程度の大きさである)。
【0037】
リード62は、一方の端部がワイヤ70を介してゲート電極26と接続されており、他方の端部が外部接続用の端子となっている。リード64は、一方の端部がコレクタ電極22と接続された回路16と接続されており、他方の端部が外部接続用の端子となっている。
【0038】
はんだ40,46は、導電性及び接着性を有する合金又は金属である。はんだ40、46ははんだ材を加熱することにより溶融して固化したものである。
はんだ40は、エミッタ電極24と電極接続片32とを接合している。はんだ40の厚さ(はんだ厚)は、はんだ46(基板10と半導体チップ20との間のはんだ)の厚さよりも厚く、例えば300μm以上である。
はんだ46は、コレクタ電極22と半導体チップ配置面12を接合している。はんだ46は、溶剤(具体的にはフラックス)を含有するペースト状のはんだ材(いわゆるクリームはんだ)から形成されたものであり、印刷により基板10の半導体チップ配置面12上に配置され、リフローして加熱することにより基板10と半導体チップ20とを接合する。なお、はんだ46は、はんだ40の場合と異なり、はんだに作用する応力(例えば熱応力)を緩和するという事情がなく、厚くなると導通損失が大きくなるため、比較的薄い方が好ましい。
【0039】
樹脂80は、適宜の樹脂を用いることができる。
【0040】
2.実施形態1に係る半導体装置の製造方法
実施形態1に係る半導体装置の製造方法は、図3に示すように、基板準備工程S100と、半導体チップ配置工程S200と、組立体形成工程S300と、接合工程S400と、ワイヤボンディング工程S500と、樹脂封止工程S600と、リード加工工程S700とを含む。
【0041】
(1)基板準備工程S100
基板準備工程S100においては、基板10を準備する(図4(a)参照。)。具体的には、所定の治具上に基板10を位置決めして配置する。
【0042】
(2)半導体チップ配置工程S200
半導体チップ配置工程S200においては、基板10の半導体チップ配置面12上にはんだ材45を介して半導体チップ20を配置する(図4(b)参照。)。具体的には、まず、基板10の半導体チップ配置面12上にペースト状のはんだ材45(例えば、いわゆるクリームはんだ)を印刷する。次に、半導体チップ配置面12と半導体チップ20のコレクタ電極22とがはんだ材45を挟んで対向した状態となるように半導体チップ配置面12上に半導体チップ20を配置する。
なお、実施形態1においては、はんだ材45を印刷することによりはんだ材を供給しているが、ディスペンサによってはんだ材を供給する、はんだフィーダ等で送り出した糸はんだによってはんだ材を供給する、溶融したはんだ材を流し込むことによってはんだ材を供給する等、適宜の方法ではんだ材を供給してもよい。
【0043】
なお、クリームはんだは、はんだ粉末にフラックスを添加して、適当な粘度のペースト状にしたものである。フラックスは、高温(例えば、はんだの溶融温度)で揮発する成分である。フラックスとしては、ロジン、変性ロジン、合成樹脂などを主成分として用いた樹脂系フラックスが用いられ、さらに、チクソトロピック剤や、活性剤および活性剤用の溶剤、分散安定剤などが添加される場合もある。
【0044】
(3)組立体形成工程S300
組立体形成工程S300は、はんだ材配置工程S310とリードフレーム配置工程S320を含む。
【0045】
(3−1)はんだ材配置工程S310
はんだ材配置工程S310においては、半導体チップ20のエミッタ電極24上にはんだ材41を配置する(図4(c)参照。)。はんだ材41としては、溶剤を含有するペースト状のはんだ材を用いる。実施形態1においては、溶剤として、高温(例えば、はんだの溶融温度)で揮発する成分を含有する溶剤(例えば、フラックス)を含有するペースト状のはんだ材(具体的には、いわゆるクリームはんだ)を用いる。なお、溶剤として、高温で揮発する成分を含有する溶剤以外の溶剤を含有するペースト状のはんだ材を用いてもよいし、後のリードフレーム配置工程において、貫通孔38を通してはんだ材41が移動できる程度の粘度があるはんだ材であれば、他の適宜のはんだ材を用いてもよい。
【0046】
(3−2)リードフレーム配置工程S320
リードフレーム配置工程においては、一方の面側に突出した凸部36と、凸部36の頂上部37に形成され、一方の面から一方の面とは反対側の他方の面まで貫通された貫通孔38とを有する電極接続片32を有するリード30(リード30が連結されているリードフレーム)を、エミッタ電極24と電極接続片32とがはんだ材41を挟んで対向した状態、かつ、凸部36がエミッタ電極24側に向かって突出した状態となるように配置する(図5(a)参照。)。このとき、リードフレーム200内のリード62,64も所定の位置に配置される。
【0047】
具体的には、はんだ材41上に、凸部36がエミッタ電極24側に向くように配置する(図6(a)及び(b)参照。)。このとき、余剰なはんだ材41が貫通孔を通って、リード30の半導体チップ20側とは反対側に向かって移動する(図6(c)及び(d)参照。)。従って、はんだ材41が意図しない領域(例えば、平面的に見てエミッタ電極が形成されていない領域)にはんだ材41が流れ出てしまうことがない。なお、リード30の半導体チップ20側とは反対側の面にはんだ材が流れ出ても周囲に異なる電位の電極がなく、不具合が起こり難い。
【0048】
これにより、一方の面側に突出した凸部36と、凸部36の頂上部37に形成され、一方の面から一方の面とは反対側の他方の面まで貫通された貫通孔38とを有する電極接続片32を有するリード30を、エミッタ電極24と電極接続片32とがはんだ材41を挟んで対向した状態、かつ、凸部36がエミッタ電極24側に向かって突出した状態となるように配置して組立体50を形成することができる(図5(a)参照。)。
【0049】
(4)接合工程(リフロー工程)S400
接合工程(リフロー工程)S400においては、組立体50をリフロー炉(図示せず。)に入れて加熱し、はんだ材41、45を溶融した後で、はんだ材41、45を固化してはんだ40、46とする(図5(b)参照。)。このとき、余剰なはんだ材が貫通孔38を介してリード30の半導体チップ20側とは反対側の面に移動する(図6(e)及び(f)参照。)。また、このとき、フラックス等のガスが貫通孔38を通って外部に放出される。これにより、基板10の半導体チップ配置面12と半導体チップ20のエミッタ電極24とをはんだ46を介して接合するとともに、半導体チップ20のコレクタ電極22とリード30の電極接続片32とをはんだ40を介して接合する。
【0050】
(5)ワイヤボンディング工程S500
次に、ゲート電極26とリード62(図1参照。)とをワイヤ70を用いて接続する(図5(c)参照。)。ワイヤ70は適宜のものを用いることができる。
【0051】
(6)樹脂封止工程S600及びリード加工工程S700
次に、リード30,62,64の外部端子及び放熱用の金属板18を除いて樹脂80で樹脂封止する(樹脂封止工程S600、図示せず。)、次に、リード30,62,64をリードフレームから切り離すとともに、所定の箇所の折り曲げ等の加工を行う(リード加工工程S700、図示せず。)。
このようにして実施形態1における半導体装置1を製造することができる。
【0052】
3.実施形態1に係る半導体装置の製造方法の効果
実施形態1に係る半導体装置1によれば、電極接続片32は、はんだ40と接合する領域において、半導体チップ20側に突出した凸部36と、凸部36の頂上部37に形成され、半導体チップ20側の面から半導体チップ20側とは反対側の面まで貫通された貫通孔38とを有するため、製造過程において、はんだ材41上にリード30を配置したときに、余剰なはんだ材を貫通孔38を通してリード30における半導体チップ20とは反対側の面に流れさせることができる。従って、はんだ40の厚みをある一定以上の厚さに保つ場合において、(接合工程前の)はんだ材41上にリードを30配置したときでも、余剰なはんだ材41が所望しない場所にはみ出すことを防ぐことができ、半導体装置の信頼性が低下し難くなる。
【0053】
また、実施形態1に係る半導体装置1によれば、電極接続片32は、はんだ40と接合する領域において、半導体チップ20側に突出した凸部36を有するため、従来の半導体装置と比較して、リード30とはんだ40との接触面積が大きくなる。
また、実施形態1に係る半導体装置1によれば、電極接続片32は、凸部36の頂上部37に形成され、半導体チップ20側の面から半導体チップ20側とは反対側の面まで貫通された貫通孔38とを有するため、はんだ材41上にリード30を配置したときに、余剰なはんだ材41を貫通孔38を通してリード30における半導体チップ20とは反対側の面に流れさせることができる。従って、貫通孔38内及びリード30における半導体チップ20側とは反対側の面にもはんだ40が存在することになるため、リード30とはんだ40との接触面積がより大きくなる。
従って、リード30とはんだ40との接合強度が高くなり、半導体装置の信頼性が高くなる。
【0054】
実施形態1に係る半導体装置1及び半導体装置の製造方法によれば、リード30は、断面で見たときに、凸部36の部分で半導体チップ20側に折り曲げられた形状を有するため、接合工程において、貫通孔38を通った余剰なはんだ材41をリード30の半導体チップ側の面の裏側に回りこませることができる。従って、リード30における貫通孔38の開口近傍の部分は、半導体チップ20側及び半導体チップ20とは反対側の両側ではんだ40と接触することになる。従って、リード30とはんだ40との接合強度がより一層高くなり、半導体装置の信頼性がより低下し難くなる。
【0055】
また、実施形態1に係る半導体装置1及び半導体装置の製造方法によれば、凸部36の側面形状は、半導体チップ20側が狭いテーパ形状であるため、凸部36の側面が半導体チップに対して垂直である場合と比較して、リード30とはんだ40との接触面積が大きくなる。従って、リード30とはんだ40との接合強度がより一層高くなり、半導体装置の信頼性が高くなる。
【0056】
なお、凸部36が、断面で見たときに、リード30が半導体チップ20側に折り曲げられた形状を有し、かつ、凸部36の側面形状が、半導体チップ20側が狭いテーパ形状である場合には、リード30を半導体チップ20側とは反対側から見たときに側面がテーパ形状の凹部が形成されていることとなるため、接合工程において、貫通孔38を通って半導体チップ20とは反対側に流れたはんだ材41が貫通孔38近傍に滞りやすく、そのようなはんだ材41が固化するとねじの頭のような形状(半導体チップ側が頂点の円錐形のような形状)のはんだとなる。従って、リード30とはんだ40とがより一層剥がれ難くなり、リード30とはんだ40との接合強度をより一層高くすることができる、という効果もある。
【0057】
また、実施形態1に係る半導体装置1及び半導体装置の製造方法によれば、凸部36の側面形状は、丸みを帯びた形状になっているため、はんだ材41上にリード30(リードフレーム)を配置したときに、余剰なはんだ材が移動し易く、かつ、はんだ材内に空気溜まりができ難い。従って、より信頼性が低下し難い半導体装置を製造することができる。
【0058】
また、実施形態1に係る半導体装置1によれば、実施形態1に係る半導体装置の製造方法によれば、はんだ40の厚さは、300μm以上であるため、半導体チップ20とリード30との間のはんだ40に作用する応力(例えば熱応力)を緩和することができ、はんだ40にクラックが入る等の不具合が生じ難くなる。その結果、信頼性が低下し難い半導体装置を製造することができる。この観点で言えば、上記した不具合をより生じ難くするためには、はんだ40の厚さが400μm以上であることが好ましく、はんだ40の厚さが500μm以上であることがより一層好ましい。
【0059】
実施形態1に係る半導体装置の製造方法によれば、組立体形成工程において、一方の面側に突出した凸部36と、凸部36の頂上部37に形成され、一方の面から一方の面とは反対側の他方の面まで貫通された貫通孔38とを有する電極接続片32を有するリード30を、エミッタ電極24と電極接続片32とがはんだ材41を挟んで対向した状態、かつ、凸部36がエミッタ電極24側に向かって突出した状態となるように配置して組立体50を形成し、接合工程において、はんだ材41を溶融した後で固化することにより、エミッタ電極24と電極接続片32とをはんだ40を介して接合するため、はんだ材41上にリード30を配置したときに、余剰なはんだ材41を貫通孔38を通してリード30における半導体チップ20とは反対側の面に向かって流れさせることができる。従って、はんだ40の厚みをある一定以上の厚さに保つ場合において、接合工程前にはんだ材41上にリード30を配置したときでも、余剰なはんだ材41が所望しない場所にはみ出すことを防ぐことができ、信頼性が低下し難い半導体装置を製造することができる。
【0060】
実施形態1に係る半導体装置の製造方法によれば、はんだ材41は、溶剤を含有するペースト状のはんだ材からなり、このようなはんだ材は流動性があるため、はんだ材41上にリード30を配置したときに、余剰なはんだ材41を貫通孔38を通してリード30における半導体チップ20とは反対側の面に向かって流れさせることができる。
【0061】
[実施形態2]
実施形態2に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の工程を有するが、はんだ材を配置する位置が実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合とは異なる。実施形態2に係る半導体装置の製造方法においては、組立体形成工程(リードフレーム配置工程)において、エミッタ電極24と電極接続片32との間にはんだ材41を配置せず、電極接続片32のエミッタ電極24側の面とは反対側の面(凸部が形成されている面とは反対側の面)における、貫通孔38を含む所定の領域にはんだ材42を配置する(図7(a)参照。)。すなわち、電極接続片32のエミッタ電極24側の面とは反対側の面における、貫通孔38を含む所定の領域にはんだ材42を配置されたリード30を、エミッタ電極24と電極接続片32とが所定の間隔で対向した状態、かつ、凸部36がエミッタ電極24側に向かって突出した状態となるように配置して組立体51を形成する。
【0062】
組立体形成工程(リードフレーム配置工程)においては、リード30(リードフレーム)のうちの所定の部分(複数の部分が好ましい)を上下から所定の治具で挟持して固定することにより、エミッタ電極24と電極接続片32とが所定の間隔で離間した状態とする。
【0063】
接合工程においては、電極接続片32のエミッタ電極24側の面とは反対側の面における、貫通孔38を含む所定の領域に配置したはんだ材42を溶融して貫通孔38を通してエミッタ電極24と電極接続片32との間に流し込む(図7(b)参照。)。そして、エミッタ電極24と電極接続片32との間にはんだ材41が満たされた段階ではんだ材42を固化する。これにより、エミッタ電極24と電極接続片32とをはんだ40を介して接合することができる。
【0064】
このように、実施形態2に係る半導体装置の製造方法は、はんだ材を配置する位置が実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合とは異なるが、組立体形成工程において、一方の面側に突出した凸部36と、凸部36の頂上部37に形成され、一方の面から一方の面とは反対側の他方の面まで貫通された貫通孔38とを有する電極接続片32を有し、他方の面における、貫通孔38を含む所定の領域にはんだ材42が配置されたリード30を、エミッタ電極24と電極接続片32とが所定の間隔で対向した状態、かつ、凸部36がエミッタ電極24側に向かって突出した状態となるように配置して組立体51を形成し、接合工程において、はんだ材42を溶融して貫通孔38を通してエミッタ電極24と電極接続片32との間にはんだ材42を流し込んだ後ではんだ材42を固化することにより、エミッタ電極24と電極接続片32とをはんだ40を介して接合するため、ある一定以上の厚さの(接合工程前の)はんだ材上にリード30を配置する、ということがなく、余剰なはんだ材が所望しない場所にはみ出すことを防ぐことができる。その結果、信頼性が低下し難い半導体装置を製造することができる。
【0065】
また、実施形態2に係る半導体装置の製造方法によれば、はんだ材42は、ペースト状のはんだ材からなるため、接合工程において、はんだ材が溶融し易く、はんだ材41を溶融したときに、はんだ材42を貫通孔38を通してエミッタ電極24と電極接続片32との間にはんだ材41を流し込ませ易くなる。
【0066】
また、実施形態2に係る半導体装置の製造方法によれば、組立体形成工程においては、凸部36の側面形状が、半導体チップ20側が狭いテーパ形状であるリード30を配置するため、エミッタ電極24と電極接続片32との間に供給したはんだ材41が貫通孔38から逆流し難く、エミッタ電極24と電極接続片32との間にはんだ材41を効率よく供給することができる。
【0067】
また、実施形態2に係る半導体装置の製造方法によれば、凸部36の側面形状は、丸みを帯びた形状になっているため、はんだ材42が移動し易く、エミッタ電極24と電極接続片32との間にはんだ材41を効率よく供給することができる。
【0068】
なお、実施形態2に係る半導体装置の製造方法は、はんだ材を配置する位置以外の点においては実施形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の構成を有するため、実施形態1に係る半導体装置の製造方法が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0069】
[実施形態3]
実施形態3に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施形態2に係る半導体装置の製造方法と同様の工程を有するが、エミッタ電極24と電極接続片32との間にもはんだ材が配置されている点が実施形態2に係る半導体装置の製造方法の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係る半導体装置の製造方法においては、組立体形成工程において、電極接続片32のエミッタ電極24側の面とは反対側の面における、貫通孔38を含む所定の領域だけでなく、エミッタ電極24と電極接続片32の間のうちの一部にもはんだ材43が配置されている(図8(a)及び(b)参照。)。接合工程においては、貫通孔38を通ってエミッタ電極24と電極接続片32の間に供給されたはんだ材と、エミッタ電極24と電極接続片32との間にあらかじめ配置されているはんだ材とが混ざり合ってエミッタ電極24と電極接続片32の間をはんだ材で満たし固化する(図8(c)及び(d)参照。)。
【0070】
このように、実施形態3に係る半導体装置の製造方法は、エミッタ電極24と電極接続片32との間にもはんだ材が配置されている点が実施形態2に係る半導体装置の製造方法の場合とは異なるが、実施形態2に係る半導体装置の製造方法の場合と同様に、組立体形成工程において、一方の面側に突出した凸部36と、凸部36の頂上部37に形成され、一方の面から一方の面とは反対側の他方の面まで貫通された貫通孔38とを有する電極接続片32を有し、他方の面における、貫通孔38を含む所定の領域にはんだ材42が配置されたリード30を、エミッタ電極24と電極接続片32とが所定の間隔で対向した状態、かつ、凸部36がエミッタ電極24側に向かって突出した状態となるように配置して組立体51を形成し、接合工程において、はんだ材42を溶融して貫通孔38を通してエミッタ電極24と電極接続片32との間にはんだ材42を流し込んだ後ではんだ材42を固化することにより、エミッタ電極24と電極接続片32とをはんだ40を介して接合するため、ある一定以上の厚さの(接合工程前の)はんだ材上にリード30を配置する、ということがなく、余剰なはんだ材が所望しない場所にはみ出すことを防ぐことができる。その結果、信頼性が低下し難い半導体装置を製造することができる。
【0071】
また、実施形態3に係る半導体装置の製造方法によれば、組立体形成工程においては、エミッタ電極24と電極接続片32の間のうちの一部にもはんだ材43が配置されているため、エミッタ電極24と電極接続片32の間の空間を短時間ではんだ材で満たすことができ、効率よく半導体装置を製造することができる。
【0072】
なお、実施形態3に係る半導体装置の製造方法は、エミッタ電極24と電極接続片32との間にもはんだ材が配置されている点以外の点においては実施形態2に係る半導体装置の製造方法と同様の構成を有するため、実施形態2に係る半導体装置の製造方法が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0073】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0074】
(1)上記実施形態において記載した材質、形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0075】
(2)上記各実施形態においては、凸部36を、側面が曲線的なテーパ形状を有することとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、凸部を、側面が直線的なテーパ形状を有することとしてもよいし(図9(a)参照。)、凸部を、頂上部に平面部分があり、その一部に貫通孔が形成することとしてもよい(図9(b)参照。)。また、凸部を、リード30をより緩やかに半導体チップ側に曲げた形状としてもよい(図9(c)参照。)。
【0076】
(3)上記各実施形態においては、凸部を、断面で見たときに、リード30が半導体チップ20側に折り曲げられた形状を有する凸部としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、貫通孔近傍のリードの厚さを厚くして凸部を形成してもよい(図9(d)参照。)。
【0077】
(4)上記各実施形態においては、半導体チップとして、エミッタ電極が複数の電極に分割されている半導体チップを用いてもよい。この場合には、分割された各電極に対応した位置(はんだ材が配置される位置に対応した位置)に凸部及び貫通孔を形成したリードを用いてもよい(変形例5。図10参照。)。
【0078】
(5)上記各実施形態においては、半導体装置として、半導体チップを1つ備える半導体装置としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、半導体装置として、半導体チップを2つ備える半導体装置(図11参照。)としてもよいし、半導体チップを3以上備える半導体装置としてもよい。
【0079】
半導体チップを2つ備える半導体装置としては、例えば、以下のような、2つの半導体チップをカスコード接続した半導体装置(変形例6における半導体装置2、図11参照。)が考えられる。変形例6における半導体装置2においては、半導体チップ20fのエミッタ電極24fはリード30fと電気的に接続され、半導体チップ20fのコレクタ電極22fは、基板10fの回路16fを介してリード30gと接続されるとともに、半導体チップ20gのエミッタ電極24gとリード30gを介して電気的に接続され、図示されていないが半導体チップ20gのコレクタ電極22gは回路16gを介してリード66と接続されている。このような構成の半導体装置においても、リード30f,30gに凸部及び貫通孔を形成してもよい。
【0080】
(6)上記各実施形態においては、凸部及び貫通孔が1つのリードを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。凸部及び貫通孔が2つ以上のリードを用いてもよい。
【0081】
(7)上記各実施形態においては、半導体チップ20を3端子のIGBTとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。半導体チップ20を他の3端子の半導体素子(例えば、MOSFET)としてよいし、半導体チップ20を2端子の半導体素子(例えば、ダイオード)としてよいし、半導体チップ20を4端子以上の半導体素子(4端子としては、例えばサイリスタ)としてもよい。
【0082】
(8)上記各実施形態において、半導体装置を、半導体チップの一方の面にコレクタ電極を有し、他方の面にエミッタ電極及びゲート電極を有する、いわゆる縦型の半導体装置としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、半導体装置を、基板側とは反対側の面に全ての電極を有する、いわゆる横型半導体装置としてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…半導体装置、10,10a,10b…基板、12,12a,12b…チップ配置面、14,14a,14b…絶縁性基板、16,16a,16b…回路、18、18a,18b…放熱用の金属板、20,20a,20b…チップ、22,22a,22b…コレクタ電極、24,24a,24b…エミッタ電極(電極)、26…ゲート電極、30,30a,30b,30c,30d,30e,30f,30g,62,64,66…リード、32,32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,…電極接続片、34…外部接続端子、36,36a,36b,36c,36d,36f,36g…凸部、37,37a,37b,37c,37d,36f,36g…凸部の頂上部、38,38a,38b,38c,38d,38f,38g…貫通孔、40,46…はんだ、41,42,43,45…はんだ材、50,51,52…組立体、70…ワイヤ、80…樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13