(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6936314
(24)【登録日】2021年8月30日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】タングステンのためのケミカルメカニカルポリッシング法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20210906BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20210906BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20210906BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20210906BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20210906BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
B24B37/10
B24B37/24 E
B24B37/24 C
C09G1/02
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-516198(P2019-516198)
(86)(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公表番号】特表2019-537244(P2019-537244A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】CN2016100709
(87)【国際公開番号】WO2018058396
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2019年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ホ,リン−チェン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ウェイ−ウェン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チェン−ピン
【審査官】
三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−019746(JP,A)
【文献】
特開2003−041239(JP,A)
【文献】
特開2016−155922(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/031389(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0111024(US,A1)
【文献】
特開2016−048777(JP,A)
【文献】
特開2005−251851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
B24B 37/10
B24B 37/24
C09G 1/02
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステンをケミカルメカニカルポリッシングする方法であって:
タングステンおよび絶縁体を含む基板を提供すること;
初期成分として:
水;
酸化剤;
アルギン酸塩;
コロイダルシリカ砥粒;
ジカルボン酸、
鉄(III)イオン源;および
任意選択的に、pH調整剤;のみからなるケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;
研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面に動的接触を生み出すこと;ならびに
ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面にまたはその近くにケミカルメカニカルポリッシング組成物を分注して、タングステンの少なくとも一部を除去することを含む、方法。
【請求項2】
提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機上、毎分80回転のプラテン速度、毎分81回転のキャリヤ速度、125mL/minのケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、21.4kPaの公称ダウンフォースで≧1,000Å/minのタングステン除去速度を有し;そして、ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層およびポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、初期成分として:
水;
0.01〜10wt%の酸化剤;
50〜1000ppmのアルギン酸塩;
0.01〜10wt%のコロイダルシリカ砥粒;
1〜2,600ppmのジカルボン酸;
100〜1,000ppmの鉄(III)イオン源;および
任意選択的に、pH調整剤;のみからなり、
ここで、酸化剤は、過酸化水素であり、
ここで、鉄(III)イオン源は、硝酸鉄九水和物であり、
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が1〜7のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機上、毎分80回転のプラテン速度、毎分81回転のキャリヤ速度、125mL/minのケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、21.4kPaの公称ダウンフォースで≧1,000Å/minのタングステン除去速度を有し;そして、ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層およびポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、初期成分として:
水;
0.1〜5wt%の酸化剤;
600〜1000ppmのアルギン酸塩;
0.05〜7.5wt%のコロイダルシリカ砥粒;
100〜1,400ppmのジカルボン酸;
150〜750ppmの鉄(III)イオン源;および
任意選択的に、pH調整剤;のみからなり、
ここで、酸化剤は、過酸化水素であり、
ここで、鉄(III)イオン源は、硝酸鉄であり、
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が1.5〜4.5のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機上、毎分80回転のプラテン速度、毎分81回転のキャリヤ速度、125mL/minのケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、21.4kPaの公称ダウンフォースで≧1,000Å/minのタングステン除去速度を有し;そして、ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層およびポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、初期成分として:
水;
0.1〜3wt%の酸化剤;
600〜900ppmのアルギン酸塩;
0.1〜5wt%のコロイダルシリカ砥粒;
120〜1,350ppmのジカルボン酸;
200〜500ppmの鉄(III)イオン源;および
任意選択的に、pH調整剤;のみからなり、
ここで、酸化剤は、過酸化水素であり、
ここで、ジカルボン酸は、マロン酸であり、
ここで、鉄(III)イオン源は、硝酸鉄であり、
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が1.5〜3.5のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機上、毎分80回転のプラテン速度、毎分81回転のキャリヤ速度、125mL/minのケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、21.4kPaの公称ダウンフォースで≧1,000Å/minのタングステン除去速度を有し;そして、ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層およびポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、下層の絶縁体のエロージョンを抑制すると共にタングステンのディッシングを抑制し、かつ、静的コロージョン速度を低減するための、タングステンのケミカルメカニカルポリッシングの分野を対象とする。より具体的には、本発明は、下層の絶縁体のエロージョンを抑制すると共にタングステンのディッシングを抑制し、かつ、静的コロージョン速度を低減するための、タングステンのケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって:タングステンを含有する基板を提供すること;初期成分として:水;酸化剤;アルギン酸塩;ジカルボン酸、鉄イオン源;コロイダルシリカ砥粒;および、場合により、pH調整剤を含有する、研磨組成物を提供すること;研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ポリッシングパッドと基板との間の界面に動的接触を生み出すこと;ならびに、研磨表面上、ポリッシングパッドと基板との間の界面にまたはその近くに研磨組成物を分注することによって、タングステンの一部が基板から研磨除去される、方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
集積回路および他の電子デバイスの組立において、導電材料、半導体材料および絶縁材料の複数層が、半導体ウェーハの表面に堆積されるかまたは表面から除去される。導電材料、半導体材料、および絶縁材料の薄層を、いくつかの堆積技術によって堆積することができる。現代の加工における一般的な堆積技術は、スパッタリングとしても知られている物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、プラズマ増強化学蒸着法(PECVD)、および電気化学めっき法(ECP)を含む。
【0003】
材料の層が連続的に堆積および除去されるにつれて、ウェーハの最上表面は非平面になる。後続の半導体加工(例えば、メタライゼーション)はウェーハが平坦面を有することを要求するため、ウェーハを平坦化する必要がある。平坦化は、粗面、凝集した材料、結晶格子の損傷、スクラッチおよび汚染された層または材料のような、望ましくない表面トポグラフィーおよび表面欠陥を除去するのに有用である。
【0004】
ケミカルメカニカルプラナリゼーション、またはケミカルメカニカルポリッシング(CMP)は、半導体ウェーハのような基板を平坦化するために使用される一般的な技術である。従来のCMPでは、ウェーハはキャリアアセンブリ上に取り付けられ、CMP装置内でポリッシングパッドと接触して配置される。このキャリアアセンブリは、ウェーハに制御可能な圧力を提供して、ウェーハをポリッシングパッドに押し付ける。このパッドは、外部駆動力によってウェーハに対して移動(例えば、回転)する。それと同時に、研磨組成物(「スラリー」)または他の研磨溶液が、ウェーハとポリッシングパッドとの間に提供される。したがって、ウェーハ表面は、パッド表面およびスラリーの化学的および機械的作用によって研磨および平坦化される。
【0005】
エレクトロニクス産業における基板は、半導体基材が相互接続構造の複数層を含む高い集積度を持つ。その層および構造は、単結晶シリコン、多結晶質シリコン、オルトケイ酸テトラエチル、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、タングステン、チタン、窒化チタンならびに種々の他の導電材料、半導体材料および絶縁材料のような、多種多様な材料を含む。これらの基板は、最終的な多層化相互接続構造を形成するCMPを含めた種々の加工工程を要求するため、しばしば、意図する用途に応じて特定の材料に選択的である研磨組成物および加工を利用することが非常に望ましい。残念ながら、そのような研磨組成物は、絶縁材料のエロージョンを導き得る、導電材料の過度なディッシングを引き起こし得る。そのようなディッシングおよびエロージョンから生じ得る地形学的欠陥は、導電材料または絶縁材料の真下に堆積されるバリア層材料のような追加材料の基板表面からの不均一な除去をさらに導き、かつ、集積回路の性能に負の影響を与え得る望ましい品質に満たない基板表面を生産し得る。
【0006】
ケミカルメカニカルポリッシングは、集積回路設計におけるタングステン配線およびコンタクトプラグの形成中にタングステンを研磨するための好ましい方法となっている。タングステンは、コンタクト/ビアプラグのために集積回路設計において頻繁に使用される。典型的には、コンタクトまたはビアホールは、下層の部品、例えば第一レベルメタライゼーションまたは配線の領域を露出させるために、基板上の絶縁層中に形成される。残念ながら、タングステンを研磨するために使用される多くのCMPスラリーは、ディッシングの問題を引き起こす。ディッシングの深刻度は様々であり得るが、典型的には、TEOSのような下層の絶縁材料のエロージョンを引き起こすのに十分深刻である。
【0007】
タングステンのような金属の研磨に伴う別の問題がコロージョンである。金属のコロージョンは、CMPの一般的な副作用である。CMP加工中、基板の表面に残る金属研磨スラリーは、CMPの効果を超えて基板を侵食し続ける。コロージョンが望まれるときもあるが、大部分の半導体加工において、コロージョンは低減または抑制されるべきである。コロージョンはまた、孔食およびキーホーリングのような表面欠陥にも寄与し得る。これらの表面欠陥は、半導体デバイスの最終的性質に大きく影響を及ぼし、その有用性を損なう。それゆえ、タングステンのディッシングおよび下層の絶縁材料(例えば、TEOS)のエロージョンを抑制し、かつ、静的コロージョン速度をも低減する、タングステンのためのCMPポリッシング法および組成物が求められている。
【0008】
発明の概要
本発明は、タングステンをケミカルメカニカルポリッシングする方法であって:タングステンおよび絶縁体を含む基板を提供すること;初期成分として:水;酸化剤;アルギン酸塩;コロイダルシリカ砥粒;ジカルボン酸またはその塩;鉄(III)イオン源;および、場合により、pH調整剤を含む、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面に動的接触を生み出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面にまたはその近くにケミカルメカニカルポリッシング組成物を分注することを含み;タングステンの一部が基板から研磨除去される、方法を提供する。
【0009】
本発明は、タングステンを研磨するケミカルメカニカル法であって:タングステンおよび絶縁体を含む基板を提供すること;初期成分として:水;酸化剤;アルギン酸塩;負のゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒;ジカルボン酸またはその塩;鉄(III)イオン源;および、場合により、pH調整剤を含む、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面に動的接触を生み出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面にまたはその近くにケミカルメカニカルポリッシング組成物を分注することを含み;タングステンの一部が基板から研磨除去され;提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機上、毎分80回転のプラテン速度、毎分81回転のキャリヤ速度、125mL/minのケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、21.4kPaの公称ダウンフォースで≧1,000Å/minのタングステン除去速度を有し;そして、ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層およびポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む、方法を提供する。
【0010】
本発明は、タングステンを研磨するケミカルメカニカル法であって:タングステンおよび絶縁体を含む基板を提供すること;初期成分として:水;酸化剤;少なくとも50ppmの量のアルギン酸塩;負のゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒;マロン酸またはその塩;鉄(III)イオン源;および、場合により、pH調整剤を含む、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面に動的接触を生み出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面にまたはその近くにケミカルメカニカルポリッシング組成物を分注することを含み;タングステンの一部が基板から研磨除去され;提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、200mm研磨機上、毎分80回転のプラテン速度、毎分81回転のキャリヤ速度、125mL/minのケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、21.4kPaの公称ダウンフォースで≧1,000Å/minのタングステン除去速度を有し;ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層およびポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む、方法を提供する。
【0011】
本発明は、タングステンをケミカルメカニカルポリッシングする方法であって:タングステンおよび絶縁体を含む基板を提供すること;初期成分として:水;0.01〜10wt%の酸化剤(ここで、酸化剤は、過酸化水素である);50ppm〜1000ppmのアルギン酸塩;0.01〜10wt%の負のゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒;100〜1,400ppmのマロン酸またはその塩;100〜1,000ppmの鉄(III)イオン源(ここで、鉄(III)イオン源は、硝酸鉄九水和物である);および、場合により、pH調整剤を含む、ケミカルメカニカルポリッシング組成物(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1〜7のpHを有する)を提供すること;研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面に動的接触を生み出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面にまたはその近くにケミカルメカニカルポリッシング組成物を分注することを含み;タングステンの一部が基板から研磨除去される、方法を提供する。
【0012】
本発明は、タングステンをケミカルメカニカルポリッシングする方法であって:タングステンおよび絶縁体を含む基板を提供すること;初期成分として:水;1〜3wt%の酸化剤(ここで、酸化剤は、過酸化水素である);600〜900ppmのアルギン酸塩、0.2〜2wt%の負の表面電荷を有するコロイダルシリカ砥粒;120〜1,350ppmのマロン酸;250〜400ppmの鉄(III)イオン源(ここで、鉄(III)イオン源は、硝酸鉄九水和物である);および、場合により、pH調整剤を含む、ケミカルメカニカルポリッシング組成物(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、2〜2.5のpHを有する)を提供すること;研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面に動的接触を生み出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面にまたはその近くにケミカルメカニカルポリッシング組成物を分注することを含み;タングステンの一部が基板から研磨除去される、方法を提供する。
【0013】
前述の本発明の方法は、タングステンを研磨し、下層の絶縁体のエロージョンを抑制すると共にタングステンのディッシングを抑制するアルギン酸塩を含む、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を使用する。該方法はまた、静的コロージョン速度をも低減する。
【0014】
発明の詳細な説明
本明細書全体を通して使用される場合、以下の略称は、文脈が別途指示しない限り以下の意味を有する:℃=摂氏度;g=グラム;L=リットル;mL=ミリリットル;μ=μm=ミクロン;kPa=キロパスカル;Å=オングストローム;mV=ミリボルト;DI=脱イオン;ppm=100万分の1=mg/L;mm=ミリメートル;cm=センチメートル;min=分;rpm=毎分回転数;lb=ポンド;kg=キログラム;W=タングステン;PO=プロピレンオキシド;EO=エチレンオキシド;ICP−OES=誘導結合プラズマ発光分光分析法;wt%=重量パーセント;およびRR=除去速度。
【0015】
用語「ケミカルメカニカルポリッシング」または「CMP」は、化学的および機械的な力だけによって基板が研磨されるプロセスを指し、基板に電気バイアスが印加されるエレクトロケミカルメカニカルポリッシング(ECMP)とは区別される。用語「アルギン酸塩」は、アルギン酸およびそのアニオン性多糖種(対の正に荷電した種を有する)を含む。用語「デンプン」は、グリコシド結合によって接続された多数のグルコース単位から構成される多糖を意味する。用語「TEOS」は、オルトケイ酸テトラエチル(Si(OC
2H
5)
4)の分解から形成される二酸化ケイ素を意味する。用語「a」および「an」は、単数形と複数形の両方を指す。全ての百分率は、別途指示しない限り重量百分率である。全ての数値範囲は、包括的であり、かつ、そのような数値範囲が論理上合計して100%になるように制約される場合を除き、あらゆる順序で組み合わせ可能である。
【0016】
本発明の基板を研磨する方法は、酸化剤;アルギン酸塩;コロイダルシリカ砥粒;ジカルボン酸またはその塩;鉄(III)イオン源;および、場合により、pH調整剤を含有するケミカルメカニカルポリッシング組成物を使用して、タングステンのディッシング、下層の絶縁材料のエロージョンを抑制し、静的コロージョン速度を低減しながら、基板表面からのタングステンの除去を提供する。
【0017】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法は、基板(ここで、基板は、タングステンおよび絶縁体を含む)を提供すること;初期成分として:水;好ましくは少なくとも0.01wt%〜10wt%の量、より好ましくは0.1wt%〜5wt%、さらにより好ましくは1wt%〜3wt%の量の酸化剤;好ましくは少なくとも50ppm、より好ましくは50ppm〜1000ppm、なおより好ましくは600ppm〜1000ppm、さらにより好ましくは600ppm〜900ppmの量のアルギン酸塩;好ましくは0.01wt%〜10wt%、より好ましくは0.05wt%〜7.5wt%、なおより好ましくは0.1wt%〜5wt%、さらにより好ましくは0.2wt%〜2wt%の量のコロイダルシリカ砥粒;好ましくは100ppm〜1400ppm、より好ましくは120ppm〜1350ppmの量のジカルボン酸、その塩またはその混合物;鉄(III)イオン源、好ましくは、硝酸鉄九水和物である鉄(III)イオン源;および、場合により、pH調整剤を含む、好ましくは、それからなる、ケミカルメカニカルポリッシング組成物(好ましくは、ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1〜7;より好ましくは1.5〜4.5;さらにより好ましくは1.5〜3.5;最も好ましくは2〜2.5のpHを有する)を提供すること;研磨表面を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面に動的接触を生み出すこと;ならびに、ケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面にまたはその近くにケミカルメカニカルポリッシング組成物を分注することを含み;タングステンの少なくとも一部が基板から研磨除去される。
【0018】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、基板は、タングステンおよび絶縁体を含む。より好ましくは、提供される基板は、タングステンおよび絶縁体を含む半導体基板である。最も好ましくは、提供される基板は、TEOSのような絶縁体中に形成されたホールおよびトレンチの少なくとも1つ内に堆積されたタングステンを含む半導体基板である。
【0019】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、初期成分として、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物中に含有される水は、付随的不純物を制限するために、脱イオン水および蒸留水の少なくとも1つである。
【0020】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、酸化剤を含有し、酸化剤は、過酸化水素(H
2O
2)、一過硫酸塩、ヨウ素酸塩、過フタル酸マグネシウム、過酢酸および他の過酸、過硫酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩、過硫酸塩、過酢酸、過ヨウ素酸塩、硝酸塩、鉄塩、セリウム塩、Mn(III)、Mn(IV)およびMn(VI)塩、銀塩、銅塩、クロム塩、コバルト塩、ハロゲン、次亜塩素酸塩ならびにそれらの混合物からなる群より選択される。より好ましくは、酸化剤は、過酸化水素、過塩素酸塩、過臭素酸塩;過ヨウ素酸塩、過硫酸塩および過酢酸から選択される。最も好ましくは、酸化剤は、過酸化水素である。
【0021】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.01〜10wt%、より好ましくは0.1〜5wt%;最も好ましくは1〜3wt%の酸化剤を含有する。
【0022】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、鉄(III)イオン源を含有する。より好ましくは、本発明の方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、鉄(III)イオン源を含有し、鉄(III)イオン源は、鉄(III)塩からなる群より選択される。最も好ましくは、本発明の方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、鉄(III)イオン源を含有し、鉄(III)イオン源は、硝酸鉄九水和物(Fe(NO
3)
3・9H
2O)である。
【0023】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、ケミカルメカニカルポリッシング組成物へ1〜200ppm、好ましくは5〜150ppm、より好ましくは7.5〜125ppm、最も好ましくは10〜100ppmの鉄(III)イオンを導入するのに十分な鉄(III)イオン源を含有する。
【0024】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、鉄(III)イオン源を含有する。より好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、100〜1,000ppm、好ましくは150〜750ppm、より好ましくは200〜500ppm、最も好ましくは250〜400ppmの鉄(III)イオン源を含有する。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、100〜1,000ppm、好ましくは150〜750ppm、より好ましくは200〜500ppm、最も好ましくは250〜400ppmの鉄(III)イオン源を含有し、鉄(III)イオン源は、硝酸鉄九水和物(Fe(NO
3)
3・9H
2O)である。
【0025】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、アルギン酸塩を含有し、アルギン酸塩は、アルギン酸およびそのアニオン性種の1以上を含み、アルギン酸塩のアニオン性種は、アルカリ金属カチオン、セシウムカチオン、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、バリウムカチオン、アルミニウムカチオン、遷移金属カチオン、および有機の正に荷電した種からなる群より選択される1以上の正に荷電した対イオン種をさらに含む。好ましくは、アニオン性種は、アルカリ金属カチオン、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、バリウムカチオンおよびアルミニウムカチオンからなる群より選択される1以上の対カチオンをさらに含む。より好ましくは、1以上のカチオン種は、アルカリ金属カチオン、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオンおよびバリウムカチオンからなる群より選択される。さらにより好ましくは、1以上のカチオン種は、アルカリ金属カチオンからなる群より選択され、アルカリ金属カチオン種がナトリウムまたはカリウムであることが好ましく、より好ましくは、アルカリ金属カチオン種はナトリウムであり、アルギン酸塩種が褐藻類由来のアルギン酸ナトリウム塩であることが最も好ましい。好ましくは、正に荷電した有機種は、プロピレングリコールである。好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、少なくとも50ppm、より好ましくは50ppm〜1000ppm、なおより好ましくは600ppm〜1000ppm、さらにより好ましくは600ppm〜900ppmのアルギン酸塩を含有する。
【0026】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、負のゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒を含有する。より好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、永久的な負のゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒を含有し、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1〜7、好ましくは1.5〜4.5;より好ましくは1.5〜3.5;さらにより好ましくは2〜2.5のpHを有する。さらにより好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、永久的な負のゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒を含有し、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、−0.1mV〜−20mVのゼータ電位によって示された場合に、1〜7、好ましくは1.5〜4.5;より好ましくは1.5〜3.5;さらにより好ましくは2〜2.5のpHを有する。
【0027】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、コロイダルシリカ砥粒を含有し、コロイダルシリカ砥粒は、動的光散乱技術によって測定した場合に、≦100nm、好ましくは5〜100nm;より好ましくは10〜60nm;最も好ましくは20〜60nmの平均粒径を有する。
【0028】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、0.01〜10wt%、好ましくは0.05〜7.5wt%、より好ましくは0.1〜5wt%、最も好ましくは0.2〜2wt%のコロイダルシリカ砥粒を含有する。好ましくは、コロイダルシリカ砥粒は、負のゼータ電位を有する。
【0029】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、ジカルボン酸を含有し、ジカルボン酸は、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタル酸、酒石酸、その塩またはその混合物を含むが、これら限定されない。より好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、ジカルボン酸を含有し、ジカルボン酸は、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、その塩およびその混合物からなる群より選択される。さらにより好ましくは、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、ジカルボン酸を含有し、ジカルボン酸は、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、その塩およびその混合物からなる群より選択される。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、ジカルボン酸であるマロン酸またはその塩を含有する。
【0030】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、1〜2,600ppm、好ましくは100〜1,400ppm、より好ましくは120〜1,350ppm、さらにより好ましくは130〜1,100ppmのジカルボン酸を含有し、ジカルボン酸は、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタル酸、酒石酸、その塩またはその混合物を含むが、これら限定されない。より好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、1〜2,600ppmのマロン酸またはその塩を含有する。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、100〜1,400ppm、より好ましくは120〜1,350ppm、さらにより好ましくは130〜1,350ppmのジカルボン酸であるマロン酸またはその塩を含有する。
【0031】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1〜7のpHを有する。より好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1.5〜4.5のpHを有する。さらにより好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1.5〜3.5のpHを有する。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、2〜2.5のpHを有する。
【0032】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、pH調整剤を場合により含有する。好ましくは、pH調整剤は、無機および有機のpH調整剤からなる群より選択される。好ましくは、pH調整剤は、無機酸および無機塩基からなる群より選択される。より好ましくは、pH調整剤は、硝酸および水酸化カリウムからなる群より選択される。最も好ましくは、pH調整剤は、水酸化カリウムである。
【0033】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドは、当技術分野において公知の任意の好適なポリッシングパッドであることができる。当業者であれば、本発明の方法において使用するための適切なケミカルメカニカルポリッシングパッドを選択することを知っている。より好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドは、織布および不織布ポリッシングパッドから選択される。さらにより好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリウレタン研磨層を含む。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層およびポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む。好ましくは、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドは、研磨表面上に少なくとも1つの溝を有する。
【0034】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨表面上、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面にまたはその近くに分注される。
【0035】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との間の界面に、研磨される基板の表面に対して垂直に0.69〜34.5kPaのダウンフォースで動的接触が生み出される。
【0036】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、≧1,000Å/min;好ましくは≧1,500Å/min;より好ましくは≧2,000Å/minのタングステン除去速度を有する。より好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、≧1,000Å/min;好ましくは≧1,500Å/min;より好ましくは≧2,000Å/minのタングステン除去速度;および≧5のW/TEOS選択比を有する。さらにより好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、タングステンは、≧1,000Å/min;好ましくは≧1,500Å/min;より好ましくは≧2,000Å/minの除去速度;および5〜15のW/TEOS選択比で基板から除去される。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、タングステンは、200mm研磨機上、毎分80回転のプラテン速度、毎分81回転のキャリヤ速度、125mL/minのケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、21.4kPaの公称ダウンフォースで≧1,000Å/min;好ましくは≧1,500Å/min;より好ましくは≧2,000Å/minの除去速度;およびW/TEOS選択比で基板から除去され;そして、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層およびポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む。
【0037】
以下の実施例に示すように、本発明のアルギン酸塩CMP法は、下層のTEOSのエロージョンを抑制すると共にタングステンのディッシングを抑制し、かつ、静的コロージョン速度をさらに抑制する。
【実施例】
【0038】
実施例1
スラリー配合物
表1に列挙した量の成分(残部がDI水である)を合わせ、45wt%水酸化カリウムで組成物のpHを表1に列挙した最終pHに調整することによって、この実施例のケミカルメカニカルポリッシング組成物を調製した。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例2
多糖CMPスラリーの静的コロージョン速度性能
Wブランケットウェーハ(1cm×4cm)をスラリー試料15g中に浸漬することによって静的コロージョン試験を実施した。10分後、Wウェーハを試験スラリーから取り出した。その後、溶液を9,000rpmで20分間遠心分離して、スラリー粒子を除去した。上清をICP−OESによって分析して、タングステンの重量を決定した。4cm
2のエッチングウェーハ表面積を仮定して、Wの質量から静的コロージョン速度(Å/min)を換算した。静的コロージョン試験の結果は、表2である。
【0041】
【表2】
【0042】
静的コロージョン速度試験の結果は、アルギン酸塩を含有するケミカルメカニカルポリッシングスラリーが、対照スラリー(CS−1)および多糖デンプンを含むスラリー(PS−1)よりも良好に、W含有ウェーハにおける静的コロージョンを効果的に低減したことを示した。
【0043】
実施例3
ケミカルメカニカルポリッシング−アルギン酸塩CMPスラリーのディッシングおよびエロージョン性能
Applied Materialsの200mm MIRRA(登録商標)研磨機に設置した200mmのブランケットウェーハ上で研磨実験を実施した。研磨除去速度実験は、200mmのブランケット15kÅ厚のTEOSシートウェーハ+Silicon Valley Microelectronicsから市販されているW、Ti、およびTiNブランケットウェーハ上で実施した。別途指定しない限り、全ての研磨実験は、SP2310サブパッドと合わせたIC1010(商標)ポリウレタンポリッシングパッド(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.から市販)を使用して、21.4kPa(3.1psi)の典型的なダウン圧、125mL/minのケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、80rpmのテーブル回転速度および81rpmのキャリヤ回転速度で実施した。Kinik PDA33A-3ダイアモンドパッドコンディショナー(Kinik Companyから市販)を使用して、ポリッシングパッドをドレッシングした。ポリッシングパッドを、コンディショナーにより、80rpm(プラテン)/36rpm(コンディショナー)で、9.0lb(4.1kg)のダウンフォースを使用して15分間、7.0lb(3.2kg)のダウンフォースを使用して15分間ブレイクインした。研磨の前に、7lb(3.2kg)のダウンフォースを使用して24秒間、ポリッシングパッドをエクスサイチューでさらにコンディショニングした。研磨の前後でKLA-Tencor FX200計測ツールを使用して膜厚さを測定することによって、TEOSエロージョン深さを決定した。KLA-Tencor RS100C計測ツールを使用してW除去およびディッシング速度を決定した。ウェーハは、表3Aおよび3Bに示すような様々な標準ライン幅形状を有していた。この実施例の表中、分子はWを指し、分母はTEOSを指す。
【0044】
【表3A】
【0045】
【表3B】
【0046】
全体的に見て、アルギン酸塩を含んだスラリーは、デンプンを含んだスラリーを超える改善された性能を示した。アルギン酸塩スラリーは、Wの全体的に低減されたディッシングおよびTEOSの低減されたエロージョンを示した。
【0047】
実施例4
W、TEOS除去速度およびW、TEOS最大研磨温度
WおよびTEOS除去速度についての研磨実験は、実質的に実施例3に記載の通り、同じ装置およびパラメーターを使用して実施した。ウェーハは、Silicon Valley Microelectronicsのものであった。結果は、表4である。
【0048】
【表4】
【0049】
アルギン酸塩スラリーのW/TEOS選択比は、デンプンスラリーほど高くはなかったが、本発明のアルギン酸塩ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、依然として、1000Å/minを超える良好なW RRおよび良好なW/TEOS選択比を示した。