(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検知領域において、前記操作体が前記第1の方向に沿って、前記静電センサに近づいた場合に検知がされるものであることを特徴とする請求項2に記載の操作検知装置。
前記検知領域と前記非検知領域との間では、前記第1の導線及び前記第2の導線がねじられることにより、並んで配置される方向が変えられていることを特徴とする請求項2または3に記載の操作検知装置。
前記制御部は、前記第1の導線により検出される静電容量と前記第2の導線により検出される静電容量との差に基づき前記操作体の操作を検知することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の操作検知装置。
前記第1の導線により検出される静電容量から前記第2の導線により検出される静電容量を引いた値に基づき前記操作体の操作を検知することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の操作検知装置。
前記制御部は、前記値が所定値を超える場合、あるいは、前記値が正の方向に変化した場合には、前記操作体により操作がなされたものと判断することを特徴とする請求項6に記載の操作検知装置。
前記制御部は、前記値が所定値以下の場合、あるいは、前記値が負の方向に変化した場合には、前記操作体により操作がなされていないものと判断することを特徴とする請求項7に記載の操作検知装置。
インナーケースとアウターケースとにより形成されるドアハンドルケースの内部に入れられた第1のロック用導線と第2のロック用導線により形成されるロック用静電センサと、
前記ドアハンドルケースの内部に入れられた第1のアンロック用導線と第2のアンロック用導線により形成されるアンロック用静電センサと、
前記第1のロック用導線、前記第2のロック用導線、前記第1のアンロック用導線及び前記第2のアンロック用導線に接続された制御部と、
を有し、
前記制御部により、前記第1のロック用導線、前記第2のロック用導線、前記第1のアンロック用導線及び前記第2のアンロック用導線の各々に電圧を印加し、各々における静電容量を測定するものであって、
前記ロック用静電センサにより操作体が検知される検知領域では、前記操作体が前記ドアハンドルケースに接触する検知面に対し、前記第1のロック用導線と前記第2のロック用導線とが、略垂直方向に配置されており、
前記アンロック用静電センサにより前記操作体が検知されるが、前記ロック用静電センサにより前記操作体が検知されない非検知領域では、前記第1のアンロック用導線及び前記第2のアンロック用導線の配置されている方向と、前記第1のロック用導線及び前記第2のロック用導線の配置されている方向とは、略直交していることを特徴とするドアハンドル。
前記第1のロック用導線により検出される静電容量から前記第2のロック用導線により検出される静電容量を引いた値に基づき前記操作体の操作を検知することを特徴とする請求項11に記載のドアハンドル。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態におけるドアハンドルが取り付けられているドアの説明図
【
図2】第1の実施の形態におけるドアハンドルの斜視図
【
図3】第1の実施の形態におけるドアハンドルの上面図
【
図4】第1の実施の形態におけるドアハンドルの分解斜視図
【
図5】第1の実施の形態におけるアンロック用静電センサの斜視図
【
図6】第1の実施の形態におけるアンロック用静電センサの上面図
【
図7】第1の実施の形態におけるアンロック用静電センサの正面図
【
図8】第1の実施の形態におけるインナーケースの斜視図
【
図9】アンロック用静電センサがインナーケースに入れられた状態の斜視図
【
図10】第1の実施の形態における制御ユニットの外観図
【
図11】第1の実施の形態における制御ユニットの内部の説明図
【
図12】第1の実施の形態におけるドアハンドルの断面図
【
図13】第1の実施の形態におけるドアハンドルによるドアのロックの解除の説明図
【
図14】第1の実施の形態におけるロック用静電センサの斜視図
【
図15】第1の実施の形態におけるロック用静電センサの上面図
【
図16】第1の実施の形態におけるロック用静電センサの正面図
【
図17】第1の実施の形態におけるロック用静電センサの側面図
【
図18】第1の実施の形態におけるロック用静電センサとアンロック用静電センサとの関係を示す斜視図
【
図19】第1の実施の形態におけるドアハンドルによるドアのロックの説明図
【
図20】第2の実施の形態におけるロック用静電センサの斜視図
【
図21】第2の実施の形態におけるロック用静電センサの上面図
【
図22】第2の実施の形態におけるロック用静電センサの正面図
【
図23】第2の実施の形態におけるロック用静電センサの側面図
【
図24】第2の実施の形態におけるロック用静電センサとアンロック用静電センサとの関係を示す斜視図
【
図25】第2の実施の形態におけるロック用静電センサとアンロック用静電センサとの関係を示す上面図
【
図26】第2の実施の形態におけるロック用静電センサとアンロック用静電センサとの関係を示す正面図
【
図27】ケースに入れられた第3の実施の形態におけるロック用静電センサの斜視図
【
図28】ケースに入れられた第3の実施の形態におけるロック用静電センサの背面図
【
図29】第3の実施の形態におけるロック用静電センサの斜視図
【
図30】第3の実施の形態におけるロック用静電センサの上面図
【
図31】第3の実施の形態におけるロック用静電センサの正面図
【
図32】第3の実施の形態におけるロック用静電センサの側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。また、本願においては、X1−X2方向、Y1−Y2方向、Z1−Z2方向を相互に直交する方向とする。また、X1−X2方向及びY1−Y2方向を含む面をXY面と記載し、Y1−Y2方向及びZ1−Z2方向を含む面をYZ面と記載し、Z1−Z2方向及びX1−X2方向を含む面をZX面と記載する。
【0011】
一般的に、静電センサを用いたドアハンドルにおいては、ドアハンドルに操作体である手が近づき、静電センサとなる電極と手の距離が短くなり、この間における静電容量が増加し、静電容量が所定の値を超えた場合に手による操作がなされたものとして検知される。このような静電容量の変化は、電極に所定の電圧を印加し、流れる電流量により検出することができる。従って、どのような方向からドアハンドルに手が近づいた場合であっても、ドアハンドルに手が近づけば、手による操作が検知がなされてしまう。
【0012】
このように、手の動きがドアのロックを意図するものではなくとも、ドアハンドルに手が近づくと、ドアがロックされてしまう場合があり、このようにドアがロックされてしまうことは好ましくない。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
(ドアハンドル及び操作検知装置)
図1から
図4に基づき車両のドアハンドル及び操作検知装置について説明する。
図1は第1の実施の形態におけるドアハンドル100が取り付けられている自動車等の車両のドアの説明図であり、
図2はドアハンドル100の斜視図であり、
図3は上面図であり、
図4は分解斜視図である。
【0014】
図1に示されるように、本実施の形態におけるドアハンドル100は、自動車等のドア10に取り付けられており、本実施の形態における操作検知装置は、ドアハンドル100の内部に内蔵されている。
【0015】
ドアハンドル100の筐体部分となるドアハンドルケースは、アウターケース110とインナーケース120により形成されており、アウターケース110とインナーケース120に覆われたケースの内部に、アンロック用静電センサ130、ロック用静電センサ140、制御ユニット150、中蓋160等が設けられている。
【0016】
ドアハンドル100は、ドア10と対向する側である内側のZ2側がインナーケース120側、ドア10と対向する側とは反対側の外側のZ1側がアウターケース110側となるように取り付けられている。ドアハンドル100においてロックを解除する際には、一般的に、ドアハンドル100の内側に手を入れ、ドアハンドル100の内側の面121に手を接触させる操作が行われる。従って、ドアのロックを解除する際には、ドアハンドル100に対し、手をZ2側よりZ1側に向かって動かし、ドアハンドル100の内側の面121となるZ2側の面に手を接触させる。尚、ドアハンドル100の内側の面121は、人の手により握りやすいように、中央部分がZ1側に凹んでいる。本願においては、ドアハンドル100において、ドアハンドル100の内側の面121を検知面と記載する場合がある。
【0017】
(アンロック用静電センサ)
本実施の形態におけるアンロック用静電センサ130は、
図5から
図7に示されるように、平行ケーブルと呼ばれる2本のアンロック用導線、即ち、第1のアンロック用導線131と第2のアンロック用導線132とにより形成されており、第1のアンロック用導線131がZ1側、第2のアンロック用導線132がZ2側となっている。従って、ドアハンドル100の内側の面121に対し、第1のアンロック用導線131と第2のアンロック用導線132は、略垂直に並んでおり、第1のアンロック用導線131よりも、第2のアンロック用導線132が、検知面側となる内側の面121側となるように配置されている。即ち、Y1−Y2方向に略平行な内側の面121に対し、第1のアンロック用導線131と第2のアンロック用導線132は、Z1−Z2方向に並んでおり、第1のアンロック用導線131よりも、第2のアンロック用導線132がZ2側となるように配置されている。尚、
図5は、アンロック用静電センサ130の斜視図であり、
図6は上面図であり、
図7は正面図である。
【0018】
アンロック用静電センサ130となる2本のアンロック用導線を形成している平行ケーブルは、比較的自由に折り曲げることができるため、アンロック用静電センサ130の形状を比較的容易に所望の形状にすることができる。本実施の形態においては、第1のアンロック用導線131と第2のアンロック用導線132により形成されるアンロック用静電センサ130は、XY面に平行な面において、らせん状に巻かれている。このように、アンロック用静電センサ130をらせん状に巻くことにより、検出される静電容量の値が大きくなる。特にXY平面に垂直なZ方向からの手の接触や近接に対して検出される静電容量の値が大きくなる。
【0019】
本実施の形態におけるインナーケース120の内側には、
図8に示されるように、アンロック用静電センサ130を収納するための溝122が設けられており、
図9に示されるように、この溝122にアンロック用静電センサ130を入れることにより、第1のアンロック用導線131がZ1側に第2のアンロック用導線132がZ2側となるように配置されている状態が維持される。
【0020】
本実施の形態においては、アンロック用静電センサ130の外側の端となる第1のアンロック用導線131の一方の端部及び第2のアンロック用導線132の一方の端部は、
図10及び
図11に示される制御ユニット150に各々接続されている。制御ユニット150の内部には、制御部となる制御回路151が搭載された回路基板152が設けられており、制御回路151が搭載された回路基板152は、外から水が浸入しないように、制御ユニット筐体に覆われている。制御ユニット筐体は、ケース153、蓋部154により形成されており、ケース153と蓋部154との間にOリング155が入れられた状態で固定されており、制御ユニット150の制御ユニット筐体の外側からは、内側に水が浸入しないような構造となっている。尚、
図10は、制御ユニット150の上面側の拡大図であり、
図11は、蓋部154を取り除いた制御ユニット150の内部の拡大図である。
【0021】
図12に示されるように、アンロック用静電センサ130は、ドアハンドル100のアウターケース110の外側の面111よりも、ドアハンドル100をアンロックする際の操作面となるインナーケース120の内側の面121に近くなるように配置されている。尚、本実施の形態における操作検知装置は、アンロック用静電センサ130と制御ユニット150とにより形成される。また、
図12は、本実施の形態におけるドアハンドルをZX面に平行な面で切断した断面図であり、便宜上、制御ユニット150は省略されている。
【0022】
(アンロック用静電センサ130による検知)
次に、アンロック用静電センサ130による検知について説明する。アンロック用静電センサ130においては、制御ユニット150における制御部となる制御回路151より、アンロック用静電センサ130における第1のアンロック用導線131及び第2のアンロック用導線132の各々に電圧を印加し、第1のアンロック用導線131及び第2のアンロック用導線132における静電容量を測定する。
【0023】
アンロック用静電センサ130に操作体である手が近づいた場合、手の近づく方向により、第1のアンロック用導線131により検出される静電容量の値と、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量の値とは異なる。
【0024】
具体的に、
図5から
図7に基づき説明する。アンロック用静電センサ130に、手がZ2側からZ1側に向かって近づく場合、手と第1のアンロック用導線131の距離よりも、手と第2のアンロック用導線132の距離は短くなる。従って、この場合には、第1のアンロック用導線131により検出される静電容量の値よりも、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量の値は大きく、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量の値から第1のアンロック用導線131により検出される静電容量の値を引いた値は正となる。
【0025】
尚、値の正負で判断するのではなく、各々の値が所定値を超えているか否か、あるいは、正の方向の変化であるか、負の方向の変化であるかを基準として判断してもよい。各々の静電センサごとの出力の基準値のバラツキや変動を考慮して、所定値との比較、あるいは、変化の方向を基準として判断してもよい。後述するロック用静電センサの場合も同様である。
【0026】
また、アンロック用静電センサ130に、手がZ1側からZ2側に向かって近づく場合、手と第2のアンロック用導線132の距離よりも、手と第1のアンロック用導線131の距離は短くなる。従って、この場合には、第1のアンロック用導線131により検出される静電容量の値よりも、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量の値は小さく、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量の値から第1のアンロック用導線131により検出される静電容量の値を引いた値は負となる。
【0027】
また、アンロック用静電センサ130に、手がY1側から近づく場合やY2側から近づく場合には、手と第1のアンロック用導線131の距離と、手と第2のアンロック用導線132の距離とは略等しい。従って、この場合には、第1のアンロック用導線131により検出される静電容量の値と、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量の値は略等しく、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量の値から第1のアンロック用導線131により検出される静電容量の値を引いた値は略0となる。
【0028】
上述したように、ドア10のロックを解除する際には、手はZ2側からZ1側に向かってドアハンドル100に近づき、ドアハンドル100のZ2側の面に接触する。従って、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量の値から第1のアンロック用導線131により検出される静電容量の値を引いた値が正である場合には、手はドアハンドル100のZ2側に存在しているものと判断することができ、この場合にのみドアのロックを解除する。
【0029】
また、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量の値から第1のアンロック用導線131により検出される静電容量の値を引いた値が0である場合には、手はドアハンドル100のY1側、または、Y2側に存在しているものと判断することができ、この場合にはドアのロックを解除しない。
【0030】
また、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量の値から第1のアンロック用導線131により検出される静電容量の値を引いた値が負である場合には、手はドアハンドル100のZ1側に存在しているものと判断することができ、この場合にもドアのロックを解除しない。
【0031】
このような制御を行うことにより、手がドアハンドル100のZ2側の面に接触するドアロックの解除を意図する操作の場合のみドアのロックが解除されるため、ドアのロックの解除を意図しない手の動きによりドアロックが解除されることを防ぐことができ、ドアロックの解除の誤検出を防ぐことができる。
【0032】
図13は、ドアハンドル100に、手がZ2側で接触した場合、Z1側で接触した場合において、第1のアンロック用導線131により検出される静電容量、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量から第1のアンロック用導線131により検出される静電容量を引いた値を示すものである。
【0033】
図13に示されるように、手がドアハンドル100のZ2側で接触した場合には、第1のアンロック用導線131により検出される静電容量、及び、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量はともに増加するが、第1のアンロック用導線131により検出される静電容量よりも、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量が多く、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量から第1のアンロック用導線131により検出される静電容量を引いた値は正になる。
【0034】
また、手がドアハンドル100のZ1側で接触した場合にも、第1のアンロック用導線131により検出される静電容量、及び、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量はともに増加するが、第1のアンロック用導線131により検出される静電容量よりも、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量が小さく、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量から第1のアンロック用導線131により検出される静電容量を引いた値は負になる。
【0035】
尚、
図13に図示はしないが、ドアハンドル100に、手がY1側やY2側で接触した場合には、第1のアンロック用導線131により検出される静電容量、及び、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量はともに増加するが、第1のアンロック用導線131により検出される静電容量と、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量は略等しく、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量から第1のアンロック用導線131により検出される静電容量を引いた値は略0になる。
【0036】
従って、制御ユニット150の制御回路151において、第2のアンロック用導線132により検出される静電容量から第1のアンロック用導線131により検出される静電容量を引いた値が正となった場合にのみ、ドアのロックを解除する制御を行うことにより、誤ってドアのロックが解除されることを防ぐことができる。
【0037】
よって、本実施の形態におけるドアハンドル100は、手がドアハンドル100のZ2側で接触した場合には、ドアのロックは解除されるが、手がドアハンドル100のZ1側で接触した場合やY1側やY2側で接触した場合には、ドアのロックを解除することを意図した操作ではないものと判断され、ドアのロックは解除されない。
【0038】
即ち、本実施の形態におけるドアハンドル100は、手がドアハンドル100のZ1側や、Y2側、Y1側で接触した場合には、ドアのロックを解除する操作であるとは検知されず、手がドアハンドル100のZ2側で接触した場合のみ、ドアのロックを解除する操作がなされたものと検知される。
【0039】
(ロック用静電センサ140)
次に、ロック用静電センサ140について説明する。尚、本実施の形態における操作検知装置は、ロック用静電センサ140と制御ユニット150とにより形成されている。本実施の形態におけるロック用静電センサ140は、
図14から
図17に示されるように、平行ケーブルと呼ばれる2本のロック用導線、即ち、第1のロック用導線141と第2のロック用導線142により形成されている。尚、
図14は、ロック用静電センサ140の斜視図であり、
図15は上面図であり、
図16は正面図であり、
図17は側面図である。
【0040】
本実施の形態におけるロック用静電センサ140は、検知領域143と非検知領域144とを有しており、検知領域143に手が接近した場合にのみ手が接近したことを検知し、非検知領域144に手が接近した場合には手の接近は検知されない。このロック用静電センサ140では、ロック操作を検知するための検知領域143はX2側に設けられており、ロック用静電センサ140はX1側の制御ユニット150に接続されているが、検知領域143と制御ユニット150との間の部分は、アンロックによる操作の際の誤検出を避けるため非検知領域144となっている。
【0041】
本実施の形態におけるロック用静電センサ140においては、非検知領域144では、2本の導線、即ち、第1のロック用導線141と第2のロック用導線142とが設けられているが、検知領域143では、第1のロック用導線141のみが設けられており、第2のロック用導線142は設けられてはいない。
【0042】
第1のロック用導線141は導線であり、比較的自由に折り曲げることができるため、所望の形状を比較的容易に作製することができる。本実施の形態におけるロック用静電センサ140の検知領域143では、第1のロック用導線141は、ZX面に平行な面において、らせん状に巻かれている。このように、第1のロック用導線141をらせん状に巻くことにより、検出される静電容量を大きくすることが可能となる。特にZX平面に垂直なY方向からの手の接触や近接に対して検出される静電容量の値が大きくなる。
【0043】
本実施の形態においては、ロック用静電センサ140における第1のロック用導線141の一方の端部及び第2のロック用導線142の一方の端部は、制御ユニット150に各々接続されている。
【0044】
図18は、アンロック用静電センサ130とロック用静電センサ140との位置関係を示すものである。ドアのロックを解除する場合には、アンロック用静電センサ130のZ2側の近傍に手が近づくが、この近傍にロック用静電センサ140の配線が設けられていると、ドアを解除を意図する手の操作がドアをロックする操作として誤検出されてしまう場合がある。本実施の形態におけるロック用静電センサ140は、アンロック用静電センサ130の近傍の領域を非検知領域144とし、この領域の近傍に手が近づいた場合には、ドアをロックするための操作とは検知されず、検知領域143に手が近づいた場合にのみ、ドアをロックする操作であると検知される。尚、第1のアンロック用導線131及び第2のアンロック用導線132、第1のロック用導線141及び第2のロック用導線142は、外周が絶縁材料により覆われている。
【0045】
(ロック用静電センサ140による検知)
次に、ロック用静電センサ140による検知について説明する。ロック用静電センサ140においては、制御ユニット150における制御部となる制御回路151より、ロック用静電センサ140の第1のロック用導線141及び第2のロック用導線142の各々に電圧を印加し、第1のロック用導線141及び第2のロック用導線142における静電容量を測定する。
【0046】
本実施の形態におけるロック用静電センサ140では、第1のロック用導線141により検出される静電容量の値から第2のロック用導線142により検出される静電容量の値を引いた値に基づき手の操作の検知を行う。
【0047】
本実施の形態におけるロック用静電センサ140では、第1のロック用導線141は、第2のロック用導線142よりも長く形成されているため、その分の静電容量が多い。よって、本実施の形態においては、ロック用静電センサ140に手が近づいていない状態における第1のロック用導線141により検出される静電容量の値から第2のロック用導線142により検出される静電容量の値を引いた値を初期値とし、この初期値に基づき手の操作の検知を行うものである。
【0048】
本実施の形態におけるロック用静電センサ140においては、検知領域143には、第1のロック用導線141は形成されているが、第2のロック用導線142は形成されてはいない。よって、ロック用静電センサ140の検知領域143に手が近づいた場合には、第1のロック用導線141において検出される静電容量の値は増加するが、第2のロック用導線142において検出される静電容量の値は殆ど変化しない。従って、第1のロック用導線141により検出される静電容量の値から第2のロック用導線142により検出される静電容量の値を引いた値は、初期値よりも大きくなる。
【0049】
これに対し、非検知領域144には、第1のロック用導線141と第2のロック用導線142の双方が形成されている。よって、ロック用静電センサ140の非検知領域144に手が近づいた場合には、第1のロック用導線141において検出される静電容量も、第2のロック用導線142において検出される静電容量も増加するが、静電容量の増加量は略同じである。従って、第1のロック用導線141により検出される静電容量の値から第2のロック用導線142により検出される静電容量の値を引いた値は、初期値とほぼ同じである。
【0050】
従って、初期値、または、初期値よりも若干高い値を基準値とし、第1のロック用導線141により検出される静電容量の値から第2のロック用導線142により検出される静電容量の値を引いた値が、基準値を超える場合には、手によるロック操作がなされたものと判断する。一方、第1のロック用導線141により検出される静電容量の値、及び、第2のロック用導線142により検出される静電容量の値が増加しても、第1のロック用導線141により検出される静電容量の値から第2のロック用導線142により検出される静電容量の値を引いた値が、基準値以下の場合には、手によるロック操作はなされなかったものと判断する。
【0051】
これにより、ロック用静電センサ140の検知領域143に手が近づいた場合にのみ、手による操作を検知することができ、非検知領域144に手が近づいた場合には、手による操作を検知しないようにすることができる。このようにして、手の操作によるドアロックの誤検出を防ぐことができる。
【0052】
図19は、ドアハンドル100に、手がロック用静電センサ140の非検知領域144のZ2側に接触した場合、非検知領域144のZ1側に接触した場合、ロック用静電センサ140の検知領域143のY1側に接触した場合において、第1のロック用導線141により検出される静電容量、第2のロック用導線142により検出される静電容量、第1のロック用導線141により検出される静電容量から第2のロック用導線142により検出される静電容量を引いた値を示す。
【0053】
図19に示されるように、ドアハンドル100に、手がロック用静電センサ140の非検知領域144のZ1側に接触した場合には、第1のロック用導線141により検出される静電容量、及び、第2のロック用導線142により検出される静電容量はともに増加するが、第1のロック用導線141により検出される静電容量と、第2のロック用導線142により検出される静電容量は略等しく、第1のロック用導線141により検出される静電容量から第2のロック用導線142により検出される静電容量を引いた値は略0になる。
【0054】
また、ドアハンドル100に、手がロック用静電センサ140の非検知領域144のZ2側に接触した場合には、第1のロック用導線141により検出される静電容量、及び、第2のロック用導線142により検出される静電容量はともに増加するが、第1のロック用導線141により検出される静電容量と、第2のロック用導線142により検出される静電容量は略等しく、第1のロック用導線141により検出される静電容量から第2のロック用導線142により検出される静電容量を引いた値は略0になる。
【0055】
これに対し、ドアハンドル100に、手がロック用静電センサ140の検知領域143のY1側に接触した場合には、第1のロック用導線141により検出される静電容量、及び、第2のロック用導線142により検出される静電容量はともに増加するが、第1のロック用導線141により検出される静電容量は、第2のロック用導線142により検出される静電容量よりも多く、第1のロック用導線141により検出される静電容量から第2のロック用導線142により検出される静電容量を引いた値は正になる。
【0056】
従って、制御ユニット150の制御回路151において、第1のロック用導線141により検出される静電容量から第2のロック用導線142により検出される静電容量を引いた値が正となった場合にのみ、ドアをロックする制御を行うことにより、誤ってドアがロックされてしまうことを防ぐことができる。
【0057】
よって、本実施の形態におけるドアハンドル100は、手がロック用静電センサ140の検知領域143の近傍に接触した場合には、ドアがロックされ、手がロック用静電センサ140の非検知領域144の近傍に接触した場合には、ドアのロックを意図する操作ではないものと判断され、ドアはロックされない。
【0058】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態におけるドアハンドルについて説明する。本実施の形態におけるドアハンドルにおけるロック用静電センサ240は、
図20から
図23に示されるように、第1のロック用導線241と第2のロック用導線242により形成されており、第1のロック用導線241と第2のロック用導線242の長さが同じものである。尚、
図20は、本実施の形態におけるロック用静電センサ240の斜視図であり、
図21は上面図であり、
図22は正面図であり、
図23は側面図である。
【0059】
このロック用静電センサ240は、検知領域243には、第1のロック用導線241と第2のロック用導線242とが設けられているが、第1のロック用導線241がY1側、第2のロック用導線242がY2側となるように設置されており、検知領域243において、ドアハンドル100のY1側に接触した場合には、第1のロック用導線241において検出される静電容量の値は、第2のロック用導線242において検出される静電容量の値よりも大きくなる。
【0060】
従って、制御ユニット150の制御回路151において、第1のロック用導線241により検出される静電容量から第2のロック用導線242により検出される静電容量を引いた値が正となった場合にのみ、ドアをロックする制御を行うことにより、誤ってドアがロックされることを防ぐことができる。
【0061】
本実施の形態におけるロック用静電センサ240では、ロックの解除の操作による誤検出を防止するため、ロック用静電センサ240の非検知領域244においては、第1のロック用導線241と第2のロック用導線242とはY1−Y2方向に並んで形成されている。即ち、
図24から
図26に示されるように、アンロック用静電センサ130となる第1のアンロック用導線131と第2のアンロック用導線132は、ドアのロックを解除する操作をZ2方向における手の存在により検知するため、Z1−Z2方向に並んで配置されている。尚、
図24は、アンロック用静電センサ130とロック用静電センサ240との位置関係が示されている斜視図であり、
図25は上面図であり、
図26は正面図である。
【0062】
このようなドアのロックを解除する操作がロック用静電センサ240により検知されないようにするため、アンロック用静電センサ130の近傍の非検知領域244では、ロック用静電センサ240における第1のロック用導線241と第2のロック用導線242は、Z1−Z2方向に垂直なY1−Y2方向に並んで配置されている。これにより、非検知領域244のZ2側に手が近づいたとしても、第1のロック用導線241により検出される静電容量と第2のロック用導線242により検出される静電容量とは略等しく、第1のロック用導線241により検出される静電容量と第2のロック用導線242との差は略0であり、手の操作がドアをロックする操作として誤検出されることを防ぐことができる。
【0063】
従って、本実施の形態におけるロック用静電センサ240は、非検知領域244において、ロック用静電センサ240の第1のロック用導線241と第2のロック用導線242とが並ぶY1−Y2方向と、アンロック用静電センサ130における第1のアンロック用導線131と第2のアンロック用導線132とが並ぶZ1−Z2方向は略直交している。
【0064】
本実施の形態における操作検知装置は、車両のドアハンドル以外にも適用可能である。例えば、車両に用いられるいわゆるキックセンサにも適用可能である。
【0065】
尚、上記外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0066】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態における静電センサについて説明する。
図27から
図32に示されるように、本実施の形態における静電センサ340は、ケース310の内部に設置されている。第1の静電検知導線341と第2の静電検知導線342により形成されており、第1の静電検知導線341と第2の静電検知導線342の長さは同じである。尚、
図27は、本実施の形態における静電センサ340がケース310に入れられているものの斜視図であり、
図28は背面図である。
図29は、本実施の形態における静電センサ340の斜視図であり、
図30は上面図であり、
図31は正面図であり、
図32は側面図である。
【0067】
本実施の形態における静電センサ340は、X1−X2方向に延びる第1の静電検知導線341と第2の静電検知導線342とにより形成されており、X2側が検知領域343、X1側が非検知領域344となっており、非検知領域344のX1側の端には、制御ユニット350が接続されている。よって、検知領域343と制御ユニット350の間に、非検知領域344が設けられている。制御ユニット350は、第1の実施の形態における制御ユニット150と同様に、制御回路が搭載された回路基板がケースと蓋部に覆われている構造のものである。
【0068】
本実施の形態における静電センサ340は、検知領域343においては、第1の静電検知導線341がZ1側、第2の静電検知導線342がZ2側となるように、Z1−Z2方向に並んで配置されている。非検知領域344においては、第1の静電検知導線341がY2側、第2の静電検知導線342がY1側となるように、Y1−Y2方向に並んで配置されている。従って、第1の静電検知導線341及び第2の静電検知導線342は、検知領域343と非検知領域344との間において約90°ねじられており、検知領域343において第1の静電検知導線341と第2の静電検知導線342が並ぶZ1−Z2方向と、非検知領域344において第1の静電検知導線341と第2の静電検知導線342が並ぶY1−Y2方向とは直交している。
【0069】
本実施の形態における静電センサ340では、静電センサ340の検知領域343に、手等がZ1方向から近づいた場合には、第1の静電検知導線341において検出される静電容量の値は、第2の静電検知導線342において検出される静電容量の値よりも大きくなる。一方、非検知領域344では、手等がZ1方向から近づいた場合には、第1の静電検知導線341において検出される静電容量の値、及び、第2の静電検知導線342において検出される静電容量の値はともに増加するが、第1の静電検知導線341において検出される静電容量の値の増加量と、第2の静電検知導線342において検出される静電容量の値の増加量とは略同じである。
【0070】
従って、制御ユニット350において算出される第1の静電検知導線341において検出される静電容量の値と、第2の静電検知導線342において検出される静電容量の値との差は、非検知領域344における第1の静電検知導線341において検出される静電容量の値と、第2の静電検知導線342において検出される静電容量の値の差は略0であるため、検知領域343における第1の静電検知導線341において検出される静電容量の値と、第2の静電検知導線342において検出される静電容量の値の差となる。
【0071】
よって、検知領域343における第1の静電検知導線341において検出される静電容量の値と、第2の静電検知導線342において検出される静電容量の値との差を検出することができる。
【0072】
本実施の形態における静電センサ340では、誤検出を防止するため、静電センサ340の非検知領域344においては、第1の静電検知導線341と第2の静電検知導線342はY1−Y2方向に並んで形成されている。従って、Z1方向より手等が近づいた場合であっても、第1の静電検知導線341において検出される静電容量の値と、第2の静電検知導線342において検出される静電容量の値の差は略0であるため、手等が近づいた旨の検知はなされない。
【0073】
従って、制御ユニット350内の制御回路において、第1の静電検知導線341により検出される静電容量から第2の静電検知導線342により検出される静電容量を引いた値が正となった場合にのみ、手等が近づき手等による操作がなされたものとする制御を行うことにより、誤検出を防ぐことができる。
【0074】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0075】
尚、本国際出願は、2018年3月7日に出願した日本国特許出願第2018−040684号に基づく優先権を主張するものであり、その出願の全内容は本国際出願に援用する。