特許第6936601号(P6936601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6936601
(24)【登録日】2021年8月31日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/48 20060101AFI20210906BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   H02J3/48
   H02J3/00 130
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-64201(P2017-64201)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-170816(P2018-170816A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 健二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
(72)【発明者】
【氏名】金杉 裕之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖
(72)【発明者】
【氏名】澤田 彰
(72)【発明者】
【氏名】國安 孝尚
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正明
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−151243(JP,A)
【文献】 特開昭58−182431(JP,A)
【文献】 特開昭63−001327(JP,A)
【文献】 特開2015−019440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/48
H02J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続され負荷に電圧変換した電力を供給する第1の変圧器と、
前記第1の変圧器と同じ定格値をもち、前記電源接続され、かつ、前記第1の変圧器に並列接続されて前記負荷に電圧変換した電力を供給する第2の変圧器と、
前記第1の変圧器の1次側に接続された第1の1次側接触器と、
前記第1の変圧器の2次側に接続された第1の2次側接触器と、
前記第2の変圧器の1次側に接続された第2の1次側接触器と、
前記第2の変圧器の2次側に接続された第2の2次側接触器と、
所定区分時間毎の実績電力量をもとに制御対象期間の予測電力量の推移を求め、前記予測電力量の推移が前記定格値を超える場合に前記第1の変圧器と前記第2の変圧器を並列運転する並列運転モードに初期設定し、前記定格値を超えない場合に前記第1の変圧器を単独運転する単独運転モードに初期設定し、その後、現時点から前記所定区分時間後の予測電力量を取得し、前記並列運転モードにおいて、前記予測電力量が前記定格値よりも小さい第1所定値を超える場合、前記第1の1次側接触器及び前記第1の2次側接触器を閉にするとともに前記第2の1次側接触器及び前記第2の2次側接触器を閉にして前記第2の変圧器を投入し、前記予測電力量が前記第1所定値を超えない場合、前記第1の1次側接触器及び前記第1の2次側接触器を閉にするとともに前記第2の1次側接触器及び前記第2の2次側接触器を開にして前記第2の変圧器を解列して前記単独運転モードに移行し、前記単独運転モードにおいて、前記予測電力量が前記第1所定値よりも大きく前記定格値よりも小さい第2所定値を超える場合、前記第1の1次側接触器及び前記第1の2次側接触器を閉にするとともに前記第2の1次側接触器及び前記第2の2次側接触器を閉にして前記第2の変圧器を投入して前記並列運転モードに移行し、前記予測電力量が前記第2所定値を超えない場合、前記第1の1次側接触器及び前記第1の2次側接触器を閉にするとともに前記第2の1次側接触器及び前記第2の2次側接触器を開にして前記第2の変圧器を解列する開閉制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】
電源に接続され負荷に電圧変換した電力を供給する第1の変圧器と、
前記第1の変圧器と同じ定格値をもち、前記電源接続され、かつ、前記第1の変圧器に並列接続されて前記負荷に電圧変換した電力を供給する第2の変圧器と、
前記第1の変圧器の1次側に接続された開閉器と、
前記第2の変圧器の1次側に接続された1次側接触器と、
前記第2の変圧器の2次側に接続された2次側接触器と、
所定区分時間毎の実績電力量をもとに制御対象期間の予測電力量の推移を求め、前記定格値の推移が前記定格値を超える場合に前記第1の変圧器と前記第2の変圧器を並列運転する並列運転モードに初期設定し、前記定格値を超えない場合に前記第1の変圧器を単独運転する単独運転モードに初期設定し、その後、現時点から前記所定区分時間後の予測電力量を取得し、前記並列運転モードにおいて、前記予測電力量が前記定格値よりも小さい第1所定値を超える場合、前記開閉器を閉じた状態で前記1次側接触器及び前記2次側接触器を閉にして前記第2の変圧器を投入し、前記予測電力量が前記第1所定値を超えない場合、前記開閉器を閉じた状態で前記1次側接触器及び前記2次側接触器を開にして前記第2の変圧器を解列して前記単独運転モードに移行し、前記単独運転モードにおいて、前記予測電力量が前記第1所定値よりも大きく前記定格値よりも小さい第2所定値を超える場合、前記開閉器を閉じた状態で前記1次側接触器及び前記2次側接触器を閉して前記第2の変圧器を投入して前記並列運転モードに移行し、前記予測電力量が前記第2所定値を超えない場合、前記開閉器を閉じた状態で前記1次側接触器及び前記2次側接触器を開にして前記第2の変圧器を解列する開閉制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする電力供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、所定期間内で前記第2の変圧器を投入する投入回数が所定回数以上の場合、その後、前記所定期間終了まで前記第2の変圧器を投入状態にすることを特徴とする請求項1または2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の変圧器または前記第2の変圧器の投入時に積算運転時間が短い前記第1の変圧器または前記第2の変圧器を選択して投入し、前記第1の変圧器または前記第2の変圧器の解列時に積算運転時間が長い前記第1の変圧器または前記第2の変圧器を選択して解列することを特徴とする請求項1または3に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2の変圧器が複数である場合、前記第2の変圧器の投入時に積算運転時間が短い前記第2の変圧器を選択して投入し、前記第2の変圧器の解列時に積算運転時間が長い前記第2の変圧器を選択して解列することを特徴とする請求項2または3に記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記予測電力量は、気象データを含む過去の実績に基づいた所定区分時間毎の予測平均値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の変圧器を並列接続して負荷に接続する場合、変圧器の無負荷損を小さくすることができる電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルや工場などに設置される変圧器は通年を通して最大需要電力が供給可能な容量をもつように選定されている。そして、変圧器は、電力会社や建築物の制約条件によって複数台設置されることが一般的である。
【0003】
なお、特許文献1には、少なくとも並列配置された複数台の変圧器に流れる各負荷電流の移動平均値を用いたファジィ推論を導入して変圧器運転台数を制御するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−300659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ZEB(Zero Energy Building)実現には、変圧器の損失を小さくすることも重要となるが、特許文献1に記載された変圧器運転台数制御では、各変圧器の1次側の遮断器は閉状態のままであり、各変圧器には、無負荷損が常に生じている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の変圧器を並列接続して負荷に接続する場合、変圧器の無負荷損を小さくすることができる電力供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる電力供給装置は、電源に接続され負荷に電圧変換した電力を供給する第1の変圧器と、前記電源接続され、かつ、前記第1の変圧器に並列接続されて前記負荷に電圧変換した電力を供給する第2の変圧器と、前記第1の変圧器の1次側に接続された第1の1次側接触器と、前記第1の変圧器の2次側に接続された第1の2次側接触器と、前記第2の変圧器の1次側に接続された第2の1次側接触器と、前記第2の変圧器の2次側に接続された第2の2次側接触器と、予測電力量が所定値以下の場合、前記第1の1次側接触器及び前記第1の2次側接触器を閉にするとともに前記第2の1次側接触器及び前記第2の2次側接触器を開にして前記第2の変圧器を解列し、予測電力量が所定値を超える場合、前記第1の1次側接触器及び前記第1の2次側接触器を閉にするとともに前記第2の1次側接触器及び前記第2の2次側接触器を閉にして前記第2の変圧器を投入する開閉制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる電力供給装置は、電源に接続され負荷に電圧変換した電力を供給する第1の変圧器と、前記電源接続され、かつ、前記第1の変圧器に並列接続されて前記負荷に電圧変換した電力を供給する第2の変圧器と、前記第1の変圧器の1次側に接続された開閉器と、前記第2の変圧器の1次側に接続された1次側接触器と、前記第2の変圧器の2次側に接続された2次側接触器と、前記開閉器を閉じた状態で、予測電力量が所定値以下の場合、前記2次側接触器を開にして前記第2の変圧器を解列し、予測電力量が所定値を超える場合、前記2次側接触器を閉にして前記第2の変圧器を投入する開閉制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる電力供給装置は、上記の発明において、前記制御部は、所定期間内で前記第2の変圧器を投入する投入回数が所定回数以上の場合、その後、前記所定期間終了まで前記第2の変圧器を投入状態にすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる電力供給装置は、上記の発明において、前記制御部は、前記第1の変圧器または前記第2の変圧器の投入時に積算運転時間が短い前記第1の変圧器または前記第2の変圧器を選択して投入し、前記第1の変圧器または前記第2の変圧器の解列時に積算運転時間が長い前記第1の変圧器または前記第2の変圧器を選択して解列することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる電力供給装置は、上記の発明において、前記制御部は、前記第2の変圧器が複数である場合、前記第2の変圧器の投入時に積算運転時間が短い前記第2の変圧器を選択して投入し、前記第2の変圧器の解列時に積算運転時間が長い前記第2の変圧器を選択して解列することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる電力供給装置は、上記の発明において、前記予測電力量は、気象データを含む過去の実績に基づいた所定区分時間毎の予測平均値であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の変圧器を並列接続して負荷に接続して、変圧器の台数制御を行う場合、解列される変圧器の1次側接触器を開にしているので、複数の変圧器の無負荷損を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態1である電力供給装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示した制御部による変圧器台数制御処理手順を示すフローチャートである。
図3図3は、図1に示した制御部による変圧器台数制御の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態2の電力供給装置の制御部による変圧器台数制御処理手順を示すフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施の形態3の電力供給装置の制御部による変圧器台数制御処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施の形態4である電力供給装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1である電力供給装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、電力供給装置1は、電源2から電力線3を介して供給される電力を並列接続された2つの変圧器4,5を介して負荷6に供給する。変圧器4の1次側及び2次側にはそれぞれ電磁接触器である接触器C11,C12が接続される。変圧器5の1次側及び2次側にはそれぞれ電磁接触器である接触器C21,C22が接続される。変圧器4,5は、例えば、負荷6の最大需要電力の1/2の電力供給が可能な等容量を有している。変圧器4,5は、例えば、3相変圧器であり、500kVAの容量を有し、1次側電圧は6600V、2次側電圧は210Vである。また、例えば、1次側の接触器C11,C21は、高圧であるため、真空電磁接触器としている。
【0017】
電力供給装置1は、制御部10を有する。制御部10は、電力線3を介して電源2から負荷6に供給される電力を計測する電力計11からの計測値をデータベース12に保持する。制御部10は、インターフェース13を介して接触器C11,C12,C21,C22に接続される。制御部10は、データベース12に保持された計測値(実測値)をもとに年間、月間、日間などの予測電力量を求める。特に、制御部10は、インターネットなどのネットワークNから取得した気象データDa及びデータベース12に保持された計測値をもとに、当日の予測電力量推移を算出し、この算出した予測電力量推移をもとに、接触器C11,C12,C21,C22の開閉を制御する。すなわち、制御部10は、予測電力量をもとに、変圧器4,5の投入及び解列による変圧器4,5の台数制御を行う。なお、制御部10やデータベース12は、エネルギー監視・制御システム(BEMS:Building Energy Management System)として機能するものである。
【0018】
ここで、図2に示したフローチャートを参照して制御部10による変圧器台数制御処理手順について説明する。図2に示すように、まず、制御部10は、1日の予測電力量推移を算出する(ステップS101)。例えば、図3に示した予測電力量推移線Lを算出する。
【0019】
その後、制御部10は、予測電力量推移で予測電力量Tが変圧器4,5の定格値T1を超える時間帯があるか否かを判断する(ステップS102)。予測電力量Tが変圧器4,5の定格値T1を超える時間帯がある場合(ステップS102,Yes)には、2つの変圧器4,5を用いる並列運転モードに設定する(ステップS103)。一方、予測電力量Tが変圧器4,5の定格値T1を超える時間帯がない場合(ステップS102,No)には、1つの変圧器4または変圧器5のみを用いる単独運転モードに設定する(ステップS104)。
【0020】
並列運転モードに設定された場合(ステップS103)、例えば、変圧器4を投入する。この変圧器4の投入は、接触器C11,C12を閉にするとともに、接触器C21,C22を開にして変圧器5を解列しておく。
【0021】
その後、所定区分時間Δtの予測電力量Tを取得する(ステップS105)。例えば、所定区分時間Δtが30分であって、現時点から次の区間の予測電力量Tを取得する。その後、予測電力量Tが第1所定値Tnを超えるか否かを判断する(ステップS106)。なお、第1所定値Tnは、変圧器4,5が最大効率となる予測電力量である。
【0022】
予測電力量Tが第1所定値Tnを超えない場合(ステップS106,No)には、1日が終了したか否かを判断する(ステップS107)。1日が終了していない場合(ステップS107,No)には、ステップS105に移行して1台の変圧器の投入状態を維持する。一方、1日が終了している場合(ステップS107,Yes)には、ステップS101に移行して、1日の予測電力量推移の算出処理を行って上述した処理を繰り返す。
【0023】
一方、予測電力量Tが第1所定値Tnを超える場合(ステップS106,Yes)には、2台目の変圧器を投入する(ステップS111)。この場合、接触器C11,C12は閉となっており、開となっている接触器C21,C22を閉にする。
【0024】
単独運転モードに設定された場合(ステップS104)、例えば、変圧器4を投入する。この変圧器4の投入は、接触器C11,C12を閉にするとともに、接触器C21,C22を開にして変圧器5を解列しておく。
【0025】
その後、所定区分時間Δtの予測電力量Tを取得する(ステップS108)。例えば、所定区分時間Δtが30分であって、現時点から次の区間の予測電力量Tを取得する。その後、予測電力量Tが第2所定値Taを超えるか否かを判断する(ステップS109)。なお、第2所定値Taは、第1所定値Tnより大きく、定格値T1から所定マージンΔTを減算した値である。単独運転モードにおいて第2所定値Taを用いるのは、1日の予測電力量推移から1台の変圧器のみの投入で供給電力量を賄うことができる可能性が大きく、可能な限り、2台目の変圧器を投入しないようにするためである。
【0026】
予測電力量Tが第2所定値Taを超えない場合(ステップS109,No)には、1日が終了したか否かを判断する(ステップS110)。1日が終了していない場合(ステップS110,No)には、ステップS108に移行して1台の変圧器の投入状態を維持する。一方、1日が終了している場合(ステップS110,Yes)には、ステップS101に移行して、1日の予測電力量推移の算出処理を行って上述した処理を繰り返す。
【0027】
一方、予測電力量Tが第2所定値Taを超える場合(ステップS109,Yes)には、2台目の変圧器を投入する(ステップS111)。この場合、接触器C11,C12は閉となっており、開となっている接触器C21,C22を閉にする。
【0028】
ステップS111で、2台目の変圧器を投入した後、さらに次の所定区分時間Δtの予測電力量Tを取得する(ステップS112)。その後、予測電力量Tが第1所定値Tnを超えるか否かを判断する(ステップS113)。予測電力量Tが第1所定値Tnを超える場合(ステップS113,Yes)には、1日が終了したか否かを判断する(ステップS115)。1日が終了していない場合(ステップS115,No)には、ステップS112に移行して2台の変圧器の投入状態を維持する。一方、1日が終了している場合(ステップS115,Yes)には、ステップS101に移行して、1日の予測電力量推移の算出処理を行って上述した処理を繰り返す。
【0029】
一方、予測電力量Tが第1所定値Tnを超えない場合(ステップS113,No)には、投入されている1台の変圧器を解列する(ステップS114)。例えば、変圧器5を解列する。変圧器5の解列は、接触器C21,C22を開にすることである。
【0030】
その後、さらに次の所定区分時間Δtの予測電力量Tを取得する(ステップS116)。その後、予測電力量Tが第2所定値Taを超えるか否かを判断する(ステップS117)。予測電力量Tが第2所定値Taを超える場合(ステップS117,Yes)には、ステップS111に移行して1台の変圧器の投入状態を維持する。一方、予測電力量Tが第2所定値Taを超えない場合(ステップS117,No)には、1日が終了したか否かを判断する(ステップS118)。1日が終了していない場合(ステップS118,No)には、ステップS116に移行して1台の変圧器の投入状態を維持する。一方、1日が終了している場合(ステップS118,Yes)には、ステップS101に移行して、1日の予測電力量推移の算出処理を行って上述した処理を繰り返す。
【0031】
図3は、制御部10による変圧器台数制御の一例を示す図である。図3では、1日の予測電力量推移が定格値T1を超える時間帯があるため、並列運転モードに設定される。そして、開始時点t0では、1台の変圧器を投入し、時点t1で第1所定値Tnを超えたため、時点t1以降、2台の変圧器を投入して運転している。現時点taは、第1所定値Tnを超えているため、2台の変圧器が投入されて運転されている。現時点ta以降は運転計画になるが、時点t2で第1所定値Tn以下となるため、1台の変圧器を解列して1台の変圧器のみによる運転となる。なお、上述したように、1日の予測電力量推移が定格値T1以下である場合、第1所定値Tnに替えて第2所定値Taが用いられる。
【0032】
上述した実施の形態1では、変圧器4,5が解列される場合、変圧器4,5には電圧が印加されず、無負荷損(鉄損)が生じないため、変圧器4,5を運転する際の無負荷損を小さくすることができる。
【0033】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2の電力供給装置1の制御部10による変圧器台数制御処理手順を示すフローチャートである。本実施の形態2では、変圧器の投入、解列を行う際、変圧器の積算運転時間を考慮して行い、変圧器の寿命を延ばすようにしている。
【0034】
具体的には、図4に示すように、ステップS103で並列運転モードに設定された後、及びステップS104で単独運転モードに設定された後における1台目の変圧器の投入時に、積算運転時間が短い変圧器を選択し(ステップS105a,S108a)、この選択した変圧器を1台目の変圧器として投入する。
【0035】
また、図4に示すように、ステップS114における変圧器の解列時に、積算運転時間が長い変圧器を選択し(ステップS114a)、この選択した変圧器を解列する。
【0036】
その他の制御処理は、実施の形態1と同じであり、同一部分には同一符号を付している。
【0037】
なお、3以上の変圧器が並列設置される場合、ステップS105a,S108aでは、積算運転時間が最も短い変圧器が選択され、ステップS114aでは、積算運転時間が最も長い変圧器が選択される。
【0038】
(実施の形態3)
図5は、実施の形態3の電力供給装置1の制御部10による変圧器台数制御処理手順を示すフローチャートである。本実施の形態3では、変圧器の投入回数が所定回数以上となった場合に、変圧器台数制御処理を停止し、現在の変圧器投入状態を維持するようにし、投入、解列による接触器C11,C12,C21,C22の劣化を防止するようにしている。
【0039】
具体的には、図5に示すように、ステップS111における2台目の変圧器の投入後に、1日の投入回数が所定回、例えば1回以上となったか否かを判断する(ステップS112b)。1日の投入回数が所定回以上でない場合(ステップS112b,No)には、ステップS112に移行する。一方、1日の投入回数が所定回以上となった場合(ステップS112b,Yes)には、ステップS112aに移行し、1日が終了したか否かを判断する。1日が終了していない場合(ステップS112a,No)には、ステップS112bに移行して現在の変圧器の投入状態を維持する。一方、1日が終了している場合(ステップS112a,Yes)には、ステップS101に移行して、1日の予測電力量推移の算出処理を行って上述した処理を繰り返す。
【0040】
その他の制御処理は、実施の形態1と同じであり、同一部分には同一符号を付している。
【0041】
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4である電力供給装置1aの構成を示すブロック図である。本実施の形態4では、実施の形態1〜3における接触器C11,C12に替えて、変圧器4の1次側にのみヒューズ付きの開閉器C31を接続している。開閉器C31は、例えば、LBS(Load Break Switches:負荷開閉器)である。その他の構成は、実施の形態1〜3と同じである。この開閉器C31は常時閉状態で投入状態となるため、変圧器4の無負荷損をなくすことはできないが、変圧器5は接触器C21,C22の開閉による投入、解列がなされ、変圧器5の解列時に無負荷損は生じない。
【0042】
なお、実施の形態4では、変圧器5の投入、解列の制御のみが実施される。ただし、変圧器5が複数存在する場合には、上述した実施の形態1〜3の制御処理が適用される。
【0043】
また、上述した実施の形態1〜3では、並列接続される変圧器として2つの変圧器4,5を例に挙げて説明したが、3つ以上の変圧器の台数制御も同様に適用することができる。この場合、第1所定値Tn及び第2所定値Ta等は、投入されている変圧器台数に対応して複数設定されることになる。ここで、変圧器4(第1の変圧器)と変圧器5(第2の変圧器)とは、それぞれ1次側には同じ機能の接触器C11,C21が接続され、それぞれ2次側には同じ機能の接触器C12,C22が接続されているため、第1の変圧器と第2の変圧器とは等価なものである。したがって、3つ以上の変圧器が並列接続される場合、変圧器の投入時に積算運転時間が短い変圧器を選択して投入し、変圧器の解列時に積算運転時間が長い変圧器を選択して解列することになる。
【0044】
さらに、実施の形態4では、開閉器C31のみが接続される変圧器4(第1の変圧器)と接触器C21,C22が接続される変圧器5(第2の変圧器)との各台数は任意であり、少なくとも接触器C21,C22が接続される変圧器5が1つ並列接続されていればよい。接触器C21,C22が接続される変圧器5が複数設置される場合、変圧器5の投入時に積算運転時間が短い変圧器5を選択して投入し、変圧器5の解列時に積算運転時間が長い変圧器5を選択して解列することになる。
【0045】
また、上述した実施の形態1〜4では、第1所定値Tnと第2所定値Taとを用い、並列運転モードと単独運転モードとで異なる所定値(第1所定値Tn,第2所定値Ta)を用いたが、同一の所定値を用いて制御してもよい。例えば、第2所定値Taを第1所定値Tnにして制御してもよい。また、所定値は、変圧器投入時には大きい所定値を設定し、変圧器解列時には小さい所定値を設定するヒステリシス制御を行うようにしてもよい。
【0046】
なお、上述した実施の形態1〜4内の各要素は、適宜組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1,1a 電力供給装置
2 電源
3 電力線
4,5 変圧器
6 負荷
10 制御部
11 電力計
12 データベース
13 インターフェース
C11,C12,C21,C22 接触器
C31 開閉器
Da 気象データ
L 予測電力量推移線
N ネットワーク
T 予測電力量
T1 定格値
Ta 第2所定値
Tn 第1所定値
Δt 所定区分時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6