(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記交流用負荷に対して並列に前記出力部の正極電路と負極電路とに接続されたサージ吸収素子を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の直流給電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の電力給電システムでは、負荷に供給される直流電力の電圧が、140[V]以上172[V]以下の値に設定されている。つまり、特許文献1の電力給電システムでは、電圧の値が172[V]より高い直流電力が負荷に供給される場合について検討されていない。そのため、特許文献1の電力給電システムでは、消費電力を十分に抑制することができないおそれがある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、消費電力を十分に抑制することができる直流給電システムおよび直流給電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の直流給電システムは、建築物に組み込まれる直流給電システムであって、少なくとも系統交流電源が供給する交流電力が入力される入力部と、前記入力部に入力された交流電力を直流電力に変換する電力変換部と、前記電力変換部によって変換された直流電力の電圧値を変換する電圧変換部と、前記電圧変換部によって変換された電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力を、少なくとも、前記系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な交流用負荷に出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
本発明者等は、鋭意研究において、系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な交流用負荷に対し、電圧の値が172[V]より高い直流電力が供給される場合にも、その交流用負荷が動作することを見い出した。また、本発明者等は、その交流用負荷に対し、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が供給される場合には、その交流用負荷に対して系統交流電源から交流電力が供給される場合よりも、消費電力を抑制できることを見い出したのである。
つまり、本発明の直流給電システムでは、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が交流用負荷に供給される。そのため、交流電力が系統交流電源から交流用負荷に直接供給される場合よりも、消費電力を抑制することができる。
【0007】
本発明の直流給電システムは、前記出力部の直流電路の絶縁値を監視する絶縁監視装置を更に備えてもよい。
本発明の直流給電システムが前記絶縁監視装置を備える場合には、絶縁監視装置が備えられない場合よりも、安全性を向上させることができる。
【0008】
本発明の直流給電システムは、前記出力部の直流電路からの漏電を遮断する漏電遮断器を更に備えてもよい。
本発明の直流給電システムが前記漏電遮断器を備える場合には、漏電遮断器が備えられない場合よりも、安全性を向上させることができる。
【0009】
本発明の直流給電システムは、前記交流用負荷に対して並列に前記出力部の正極電路と負極電路とに接続されたサージ吸収素子を更に備えてもよい。
本発明の直流給電システムが前記サージ吸収素子を備える場合には、サージ吸収素子が備えられない場合よりも、前記交流用負荷をサージから保護することができる。
【0010】
本発明の直流給電システムにおいて、前記入力部には、少なくとも前記系統交流電源が供給する交流電力と、前記系統交流電源の停電時に電力を供給可能な電源装置が供給する電力とが入力され、前記出力部は、前記電源装置から入力され、前記電圧変換部によって変換された電圧が283[V]以上340[V]以下の値の電力を、前記建築物内の防災センターに配置された前記交流用負荷に出力してもよい。
本発明の直流給電システムがこのように構成される場合には、前記系統交流電源の停電時においても、前記防災センターに配置された前記交流用負荷を動作させることができる。
【0011】
本発明の直流給電システムにおいて、前記建築物は病棟であり、前記入力部には、少なくとも前記系統交流電源が供給する交流電力と、前記系統交流電源の停電時に電力を供給可能な電源装置が供給する電力とが入力され、前記出力部は、前記電源装置から入力され、前記電圧変換部によって変換された電圧が283[V]以上340[V]以下の値の電力を、前記病棟内に配置された重要施設が有する前記交流用負荷に出力してもよい。
本発明の直流給電システムがこのように構成される場合には、前記系統交流電源の停電時においても、前記病棟内に配置された前記重要施設が有する前記交流用負荷を動作させることができる。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の直流給電方法は、建築物に組み込まれる直流給電システムの直流給電方法であって、少なくとも系統交流電源が供給する交流電力が入力される工程と、入力された交流電力を直流電力に変換する工程と、交流電力から変換された直流電力の電圧値を変換する工程と、電圧が283[V]以上340[V]以下の値に変換された直流電力を、少なくとも、前記系統交流電源が供給する交流電力によって動作可能な交流用負荷に出力する工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の直流給電方法では、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が交流用負荷に供給される。そのため、系統交流電源からの交流電力が交流用負荷に直接供給される場合よりも、消費電力を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、消費電力を十分に抑制することができる直流給電システムおよび直流給電方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の直流給電システムおよび直流給電方法の実施形態について説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の直流給電システム1が適用された配電システムの一例の概略構成図である。第1実施形態の直流給電システム1は、建築物(図示せず)に組み込まれている。
図1に示す例では、直流給電システム1は、入力部10、11と、電力変換部12、13と、電力合成部14と、電圧変換部15と、出力部16とを備えている。
入力部10には、太陽光発電装置2が供給する直流電力が入力される。太陽光発電装置2は、例えば2kW用の太陽光パネル20を備えている。太陽光パネル20は、太陽電池20Aを備えている。太陽電池20Aは、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する。入力部10は、電力変換部(DC/DCコンバータ)12に接続されている。電力変換部12は、太陽光発電装置2から供給された直流電力の電圧値を変換する。電力変換部12は、電力合成部14に接続されている。
図1に示す例では、電力変換部12が入力部10と電力合成部14との間に配置されているが、他の例では、電力変換部12を省略したり、電力変換部12を直流給電システム1外(詳細には、直流給電システム1と太陽光発電装置2との間)に配置したりしてもよい。
【0018】
図1に示す例では、系統交流電源(商用交流電源)3が供給する交流電力が、入力部11に入力される。入力部11は、電力変換部(AC/DCコンバータ)13に接続されている。電力変換部13は、系統交流電源3から供給された交流電力を直流電力に変換する。電力変換部13は、電力合成部14に接続されている。
図1に示す例では、電力変換部13が入力部11と電力合成部14との間に配置されているが、他の例では、電力変換部13を直流給電システム1外(詳細には、直流給電システム1と系統交流電源3との間)に配置してもよい。
【0019】
図1に示す例では、電力合成部14が、電力変換部12から入力された直流電力と、電力変換部13から入力された直流電力とを合成する。電力合成部14は、例えば、太陽光発電装置2が供給する電力が、系統交流電源3が供給する電力よりも優先的に使用されるように、直流電力を合成する。電力合成部14は、電圧変換部15に接続されている。電圧変換部15は、電力合成部14から入力された直流電力の電圧を、283[V]以上340[V]以下の値に変換する。電圧変換部15は、出力部16に接続されている。
図1に示す例では、電圧変換部15が電力合成部14と出力部16との間に配置されているが、他の例では、電圧変換部15を電力変換部13と電力合成部14との間に配置してもよい。この例では、電力合成部14が、電力変換部12から入力された直流電力と、電圧変換部15から入力された直流電力とを合成する。また、この例では、電力合成部14から出力部16に出力される直流電力の電圧が、283[V]以上340[V]以下の値になるように、電圧変換部15は直流電力の電圧値を変換する。
【0020】
図1に示す例では、出力部16が、端子16A、16B、16Cを備えている。出力部16は、電圧変換部15によって変換された電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力を、端子16A、16B、16Cから出力する。
図1に示す例では、太陽光発電装置2が供給する直流電力と、系統交流電源3が供給する交流電力とが直流給電システム1に入力されるが、他の例では、系統交流電源3が供給する交流電力のみを直流給電システム1に入力してもよい。あるいは、他の例では、系統交流電源3が供給する交流電力の他に、二次電池(図示せず)が供給する直流電力、燃料電池(図示せず)が供給する直流電力などの少なくともいずれかを直流給電システム1に入力してもよい。
【0021】
図1に示す例では、直流給電システム1が、パッケージ型空気調和機40と、USB負荷41と、LED照明装置42とに直流電力を供給する。パッケージ型空気調和機40と、LED照明装置42とは、系統交流電源3が供給する交流電力によって動作可能な交流用負荷である。USB負荷41は、交流電力によっては動作できず、直流電力によって動作可能な直流用負荷である。
パッケージ型空気調和機40は、例えば電源部40Aと本体部40Bとを備えている。電源部40Aは、系統交流電源3から交流電力が供給される場合に、その交流電力を直流電力に変換する。本体部40Bは、電源部40Aから供給される直流電力を用いることによって、冷房、暖房、除湿、加湿、空気の浄化などの空気調和を行う。
【0022】
図1に示す例では、パッケージ型空気調和機40の電源部40Aが、直流給電システム1の端子16Aに接続されている。また、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が、直流給電システム1の端子16Aからパッケージ型空気調和機40の電源部40Aに供給される。
USB負荷41は、USBポート(図示せず)から供給される直流電力によって動作する。USB負荷41は、電源装置5に接続されている。電源装置5は、例えば、ACアダプタと、USBポートを有するセルフパワー方式USBハブとによって構成されている。電源装置5が、例えば、ACアダプタと、USBポートを有するPC(personal computer)とによって構成されるもの等であってもよい。電源装置5は、例えば電力変換部5Aと電力変換部5Bとを備えている。電力変換部5Aは、系統交流電源3から交流電力が供給される場合に、その交流電力を直流電力に変換する。電力変換部5Bは、電力変換部5Aによって変換された直流電力の電圧値を変換する。
【0023】
図1に示す例では、USB負荷41が、電源装置5の電力変換部5Bと電力変換部5Aとを介して、直流給電システム1の端子16Bに接続されている。また、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が、直流給電システム1の端子16Bから電源装置5に供給される。また、電源装置5の電力変換部5Bによって電圧値が変換された直流電力が、USB負荷41に供給される。
LED照明装置42は、例えば電源部42Aと本体部42Bとを備えている。電源部42Aは、系統交流電源3から交流電力が供給される場合に、その交流電力を直流電力に変換する。本体部42Bは、電源部42Aから供給される直流電力を用いることによって、LED(発光ダイオード)を発光させる。
【0024】
図1に示す例では、LED照明装置42の電源部42Aが、直流給電システム1の端子16Cに接続されている。また、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が、直流給電システム1の端子16CからLED照明装置42の電源部42Aに供給される。
【0025】
図6は
図1に示す配電システムとの消費電力の比較が行われる比較例の配電システムの概略構成図である。
図6において、
図1に示す部品または部分と同一の部品または部分には、
図1に示す参照番号と同一の参照番号が付されている。
図6に示す比較例では、太陽光発電装置2がパワーコンディショナー6に接続されている。パワーコンディショナー6は、太陽光発電装置2が発生した直流電力を交流電力に変換する。パワーコンディショナー6は、分電盤7に接続されている。また、系統交流電源3が、分電盤7に接続されている。分電盤7には、パッケージ型空気調和機40と、電源装置5と、LED照明装置42とが接続されている。電源装置5は、USB負荷41に接続されている。分電盤7は、パワーコンディショナー6から供給された交流電力、および、系統交流電源3から供給された交流電力を、パッケージ型空気調和機40とUSB負荷41とLED照明装置42とに分配する。
【0026】
図6に示す比較例では、交流電力が、分電盤7からパッケージ型空気調和機40の電源部40Aに供給される。電源部40Aは、その交流電力を直流電力に変換する。そのため、変換ロスが生じてしまう。
【0027】
また、
図6に示す比較例では、交流電力が、分電盤7から電源装置5の電力変換部5Aに供給される。電力変換部5Aは、その交流電力を直流電力に変換する。そのため、変換ロスが生じてしまう。
【0028】
また、
図6に示す比較例では、交流電力が、分電盤7からLED照明装置42の電源部42Aに供給される。電源部42Aは、その交流電力を直流電力に変換する。そのため、変換ロスが生じてしまう。
【0029】
それに対し、第1実施形態の直流給電システム1が適用された
図1に示す例では、直流電力が、直流給電システム1の端子16Aからパッケージ型空気調和機40の電源部40Aに供給される。そのため、電源部40Aは、交流電力から直流電力への変換を行わない。その結果、電源部40Aでは、
図6に示す比較例のような変換ロスが生じない。詳細には、
図1に示す例では、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が直流給電システム1の端子16Aからパッケージ型空気調和機40の電源部40Aに供給される。その結果、パッケージ型空気調和機40における消費電力が
図6に示す比較例よりも低下することが、本発明者等によって見い出されたのである。
【0030】
また、
図1に示す例では、直流電力が、直流給電システム1の端子16Bから電源装置5の電力変換部5Aに供給される。そのため、電力変換部5Aは、交流電力から直流電力への変換を行わない。その結果、電力変換部5Aでは、
図6に示す比較例のような変換ロスが生じない。詳細には、
図1に示す例では、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が直流給電システム1の端子16Bから電源装置5の電力変換部5Aに供給される。その結果、電源装置5およびUSB負荷41における消費電力が
図6に示す比較例よりも低下することが、本発明者等によって見い出されたのである。
【0031】
また、
図1に示す例では、直流電力が、直流給電システム1の端子16CからLED照明装置42の電源部42Aに供給される。そのため、電源部42Aは、交流電力から直流電力への変換を行わない。その結果、電源部42Aでは、
図6に示す比較例のような変換ロスが生じない。詳細には、
図1に示す例では、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が直流給電システム1の端子16CからLED照明装置42の電源部42Aに供給される。その結果、LED照明装置42における消費電力が
図6に示す比較例よりも低下することが、本発明者等によって見い出されたのである。
【0032】
また、
図6に示す比較例では、パワーコンディショナー6が、直流電力を交流電力に変換する。そのため、変換ロスが生じてしまう。それに対し、第1実施形態の直流給電システム1が適用された
図1に示す例では、太陽光発電装置2が供給する直流電力が交流電力に変換されない。その結果、
図1に示す例では、
図6に示す比較例のようなパワーコンディショナー6における変換ロスが生じない。
【0033】
このように第1実施形態の直流給電システム1が適用された
図1に示す例では、パワーコンディショナー6において直流電力から交流電力への変換が行われる
図6に示す比較例よりも、消費電力を抑制することができる。
また、
図1に示す例では、パッケージ型空気調和機40の電源部40A、電源装置5の電力変換部5A、および、LED照明装置42の電源部42Aに交流電力が供給される
図6に示す比較例よりも、消費電力を抑制することができる。
また、
図1に示す例では、パッケージ型空気調和機40の電源部40A、電源装置5の電力変換部5A、および、LED照明装置42の電源部42Aに交流電力が供給される
図6に示す比較例と同様に、パッケージ型空気調和機40、USB負荷41およびLED照明装置42を動作させることができる。
詳細には、
図1に示す例では、パッケージ型空気調和機40、USB負荷41およびLED照明装置42に対する改造を行う必要なく、それらを動作させることができる。
また、
図1に示す例では、パッケージ型空気調和機40を動作させるために出力部16の端子16Aから出力される直流電圧の電圧値と、USB負荷41を動作させるために出力部16の端子16Bから出力される直流電圧の電圧値と、LED照明装置42を動作させるために出力部16の端子16Cから出力される直流電圧の電圧値とを共通化することができる。
【0034】
第1実施形態の直流給電システム1は、日本国内においてのみならず、海外においても、交流用負荷の改造を全くあるいは殆ど行う必要なく、交流用負荷を動作させることができる。
また、第1実施形態の直流給電システム1は、直流給電システム1に入力される系統交流電源3の周波数を問わず、交流用負荷の改造を全くあるいは殆ど行う必要なく、交流用負荷を動作させることができる。
【0035】
図2は第1実施形態の直流給電システム1に適用される接地方式の一例を示す図である。
図2に示す例では、第1実施形態の直流給電システム1に対して中間点高抵抗接地方式が適用されている。
【0036】
電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力を出力する出力部16(
図1参照)は、
図2に示すように、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力を出力する直流電源部160を有するものとして表現することができる。
図2に示す例では、直流電源部160が直流2線式である。
図1に示す端子16Aは、正極端子16A1と負極端子16A2とによって構成されている。直流電源部160の正極は、正極電路161を介して正極端子16A1に接続されている。直流電源部160の負極は、負極電路162を介して負極端子16A2に接続されている。正極電路161と、負極電路162とは、直列接続された抵抗163、164によって接続されている。抵抗163、164の抵抗値は、例えば30[kΩ]である。抵抗163および抵抗164の中間点165は、接地されている。抵抗163と正極端子16A1との間の正極電路161上には、スイッチ161Aが配置されている。抵抗164と負極端子16A2との間の負極電路162上には、スイッチ162Aが配置されている。
【0037】
直流に関する電気設備の規格、基準類は完全に整備されているとは言えない状況である。直流給電システム1が建築設備に適用される場合には、安全性および信頼性が担保されるように、直流給電システム1を個別に設計する必要がある。そこで、第2から第4実施形態の直流給電システム1では、安全性および信頼性を向上させるために後述する対策が施されている。
【0038】
<第2実施形態>
第2実施形態の直流給電システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の直流給電システム1と同様に構成される。従って、第2実施形態の直流給電システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の直流給電システム1と同様の効果を奏することができる。
【0039】
図3は第2実施形態の直流給電システム1に対して施された対策の一例を示す図である。
図2に示す例では、絶縁監視装置が直流給電システム1に備えられていないが、
図3に示す例では、絶縁監視装置166が直流給電システム1に備えられている。絶縁監視装置166は、正極端子166Aと、負極端子166Bとを備えている。正極端子166Aは、出力部16の正極電路161に接続されている。負極端子166Bは、出力部16の負極電路162に接続されている。
絶縁監視装置166は、正極端子166Aを介して入力される正極電路161の電圧と、負極端子166Bを介して入力される負極電路162の電圧とに基づいて、正極電路161と負極電路162との絶縁値を監視する。
第2実施形態の直流給電システム1によれば、絶縁監視装置166が備えられない場合よりも、安全性および信頼性を向上させることができる。
【0040】
<第3実施形態>
第3実施形態の直流給電システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の直流給電システム1と同様に構成される。従って、第3実施形態の直流給電システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の直流給電システム1と同様の効果を奏することができる。
【0041】
図4は第3実施形態の直流給電システム1に対して施された対策の一例を示す図である。
図2に示す例では、漏電遮断器が直流給電システム1に備えられていないが、
図4に示す例では、漏電遮断器167が直流給電システム1に備えられている。漏電遮断器167は、零相変流器167Aを備えている。零相変流器167Aは、円環状の磁気コア167A2と、磁気コア167A2に巻きつけられた二次巻線167A1とを備えている。二次巻線167A1は、励磁コイルとして用いられる。出力部16の正極電路161および負極電路162は、円環状の磁気コア167A2を貫通している。二次巻線167A1には、励磁回路(図示せず)から励磁電流が供給される。漏電遮断器167の測定信号検出回路(図示せず)は、正極電路161または負極電路162からの漏洩電流を含む測定信号を検出する。漏電遮断器167は、測定信号検出回路によって検出された測定信号から直流成分を分離する。
漏電遮断器167は、出力部16の直流電路(正極電路161または負極電路162)からの漏電を遮断する。詳細には、漏電遮断器167は、正極電路161または負極電路162からの漏洩電流が所定値を超えた場合に、スイッチ161A、162Aをオフすることによって、出力部16からの直流電力の供給を遮断する。
第3実施形態の直流給電システム1によれば、漏電遮断器167が備えられない場合よりも、安全性および信頼性を向上させることができる。
【0042】
<第4実施形態>
第4実施形態の直流給電システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の直流給電システム1と同様に構成される。従って、第4実施形態の直流給電システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の直流給電システム1と同様の効果を奏することができる。
【0043】
図5は第4実施形態の直流給電システム1に対して施された対策の一例を示す図である。
図2に示す例では、サージ吸収素子が直流給電システム1に備えられていないが、
図5に示す例では、サージ吸収素子168が直流給電システム1に備えられている。サージ吸収素子168の一端は、例えば、正極電路161のうちのスイッチ161Aと正極端子16A1との間の部分に接続されている。サージ吸収素子168の他端は、例えば、負極電路162のうちのスイッチ162Aと負極端子16A2との間の部分に接続されている。サージ吸収素子168としては、例えばスナバ、バリスタ、アレスタなどが用いられる。
つまり、サージ吸収素子168は、正極端子16A1と負極端子16A2との間に接続される交流用負荷(パッケージ型空気調和機40)に対して並列に接続されている。サージ吸収素子168は、その交流用負荷に対する直流電力の供給遮断時などに定常状態を超えて瞬間的に発生するサージ電圧を吸収し、その交流用負荷を保護する。
第4実施形態の直流給電システム1によれば、サージ吸収素子168が備えられない場合よりも、交流用負荷をサージ電圧から保護することができ、安全性および信頼性を向上させることができる。
【0044】
<第1適用例>
第1適用例では、第1から第4実施形態のいずれかの直流給電システム1によって、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が、建築物内の防災センターに配置された交流用負荷に供給される。上述したように、直流給電システム1には、系統交流電源3から交流電力が供給されるのみならず、例えば太陽光発電装置2からの直流電力も供給される。系統交流電源3の停電が発生した場合であっても、例えば太陽光発電装置2は、直流給電システム1に直流電力を供給することができる。また、直流給電システム1は、例えば太陽光発電装置2から供給された直流電力を用いることによって、防災センターに配置された交流用負荷に直流電力を供給することができる。
つまり、第1から第4実施形態のいずれかの直流給電システム1の第1適用例によれば、系統交流電源3の停電時においても、防災センターに配置された交流用負荷を動作させることができる。すなわち、系統交流電源3の停電が発生する例えば災害発生時においても、防災センターを正常に機能させることができる。
【0045】
<第2適用例>
第2適用例では、第1から第4実施形態のいずれかの直流給電システム1によって、電圧が283[V]以上340[V]以下の値の直流電力が、病棟内に配置された重要施設が有する交流用負荷に供給される。系統交流電源3の停電が発生した場合であっても、直流給電システム1は、例えば太陽光発電装置2から供給された直流電力を用いることによって、病棟内に配置された重要施設が有する交流用負荷に直流電力を供給することができる。重要施設とは、例えばデータサーバー、手術室、集中治療室などのような、非常時(つまり、系統交流電源3の停電時)にも機能停止してはいけない施設である。
つまり、第1から第4実施形態のいずれかの直流給電システム1の第2適用例によれば、系統交流電源3の停電時においても、病棟内に配置された重要施設が有する交流用負荷を動作させることができる。すなわち、系統交流電源3の停電に伴う例えば病院の重要データの破損などの重要施設の機能停止を抑制することができる。
第1から第4実施形態のいずれかの直流給電システム1は、事務所ビル、病院、学校、マンションなど様々な用途建物に適用することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態及びその適用例を説明したが、これらの実施形態及びその適用例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態及びその適用例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその適用例は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。また、上述した各実施形態及びその適用例は、互いに適宜組み合わせることができる。