(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記後身頃の内側には空気取入れ口を覆うようにポケットが設けられており、前記ポケットの上部の脇側には脇側空気排出口が設けられている請求項1に記載の空調衣服。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、空調衣服において、胸部を冷却する性能を高めることについて鋭意検討した。その結果、少なくとも上半身を覆う衣服本体と、前記衣服本体の後身頃の下部に配置されている一つ又は複数の空気取入れ口と、前記空気取入れ口と着脱可能に連結され、外部から衣服内に空気を強制的に取り込む風発生装置とを備えた空調衣服において、前記衣服本体を平らに置いた時、前中心線上に位置し、肩折れ線と襟ぐり線の交点であるサイドネックポイントからの垂直距離が25cm以上35cm以下の展開起点から、左前身頃の中心線側縁端部を右方向に向けて湾曲させ、右前身頃の中心線側縁端部は左方向に向けて湾曲させて、前中心線と襟ぐり線の交点であるA点から左右の前身頃の中心線側縁端部までの距離をそれぞれ1cm以上2.5cm以下にすることで、首近辺の胸部と衣服の間の空間が大きくなり、それゆえ、空気が前首元を通りやすくなり、胸部を冷却する性能が高められることを見出した。通常、上半身に着用する衣服においては、胸元と衣服を密着させることで衣服を支えているが、本願では、肩部で衣服を支え、通常とは逆に胸元と衣服の間に空間を設けることで、胸部を冷却する性能を高めている。
【0012】
本発明者らは、また、少なくとも上半身を覆う衣服本体と、前記衣服本体の後身頃の下部に配置されている一つ又は複数の空気取入れ口と、前記空気取入れ口と着脱可能に連結され、外部から衣服内に空気を強制的に取り込む風発生装置とを備えた空調衣服において、前記後身頃の身体側には空気取入れ口を覆うようにポケットを設け、前記ポケットの上部の脇側に脇側空気排出口を設けることにより、空気が脇下を通って胸部に輸送しやすくなり、胸部を冷却する性能が高められることを見出し、本発明に至った。
【0013】
前記空調衣服は、少なくとも上半身を覆うものであればよく、特に限定されないが、冷却効果を高める観点から、ブルゾン型にすることができる。
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の1以上の実施形態に係る空調衣服を説明する。しかし、本発明は、これらの図面に示されるものに限定されない。
【0015】
図1は、本発明の一例の空調衣服(ブルゾン型)の模式的正面図である。
図2は、同模式的背面図である。
図3は同背面の模式的裏面図である。該実施形態の空調衣服1は、少なくとも上半身を覆う衣服本体2と、衣服本体2の後身頃の下部の側部に配置されている左右対称に配置された一対の空気取入れ口3と、それぞれの空気取入れ口3と着脱可能に連結され、外部から衣服内に空気を強制的に取り込む風発生装置4とを備える。また、風発生装置4に電力を供給する電源装置5と、風発生装置4と電源装置5を接続するための電力供給ケーブル6を備える。該実施形態の空調衣服1は、美観及び衣服内の空気の流れを良好にする観点から、一対の空気取入れ口3を有するが、空気取入れ口は1つであってもよく、三つ以上であってもよい。空気取入れ口3の周縁部には、樹脂製の固定リング31が設けられ、固定リング31を介して、ファン等の風発生装置4が空気取入れ口3に固定される。固定リングは、シリコン樹脂(シリコーン)、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン等の樹脂で構成することができる。
【0016】
風発生装置4は、外部から空気を衣服内に取り込んで、身体(或いは下着)と衣服の間の空間に空気の流れを強制的に生じさせるものである。風発生装置4としては、特に限定されず、例えば、ファンを用いることができる。前記ファンとしては、特に限定されず、例えば、従来の空調衣服に用いられるものと同じものを用いることができる。例えば、ファンは、ファン本体と、ファンを衣服本体に取り付けるための取付けリングを備えており、ファン本体を、衣服本体に設けられた空気取入れ口3に差込み、空気取入れ口3のリング部31にファン本体に設けた上側フックとコネクタ部でファン取付け部を固定することで、ファンを衣服本体に取り付けることができる。
【0017】
電源装置5は、特に限定されないが、携帯できる電源であればよく、特に限定されない。例えば、充電式電池や乾電池などを用いることができ、繰り返し使用可能である観点から、充電式電池を用いることが好ましい。充電式電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池などを用いることができる。空調衣服1を着用する際には、電源装置5は衣服本体2の後身頃の下部の中央部分に設けられた収納ポケット7に収納されてもよい。
【0018】
衣服本体2は、襟部、左右の前身頃、後身頃、左右の袖部、裾部を有する。裾部は、空気の漏れを防止する観点から、ゴム紐等の伸縮性素材で構成されてもよい。また、左右の前身頃は結合部材8によって開閉可能に連結されている。結合部材8としては、衣服内の空気の圧力を高める観点から、例えば、チャックやファスナー等を用いることが好ましい。
【0019】
空調衣服1を着用し、風発生装置4を可動させると、外部から空気が空調衣服1内に取り込まれ、
図3において矢印で示しているように、外部から空気が空調衣服1内に取り込まれた空気は、衣服本体2と身体(又は下着)の間の空間において、身体(又は下着)の表面にそって上方に流通し、襟部の周囲及び袖口から外部に排出される。
【0020】
図5Aは本発明の一実施形態の空調衣服における衣服本体の右前身頃と襟部のパターン図であり、
図5Bは同左前身頃と襟部のパターン図である。
図5Aに示されているように、右前身頃の中心線側縁端部15は、所定の位置の展開基点から左方向に向けて湾曲している。
図5Bに示されているように、左前身頃の中心線側縁端部15は、所定の位置の展開基点から右方向に向けて湾曲している。
図4は、左右前身頃の中心線側縁端部が上述したように湾曲した場合の空調衣服の側面図である。
【0021】
図16Aは一例の空調衣服における衣服本体の右前身頃と襟部のパターン図であり、
図16Bは同左前身頃と襟部のパターン図である。従来は、通常、
図16A及び
図16Bに示されているように、左右前身頃の中心線側縁端部315は湾曲せず、裾部から首部に向かって真っすぐ延びる。
図15は、左右前身頃の中心線側縁端部が裾部から首部に向かって真っすぐ延びた場合の空調衣服の側面図である。
【0022】
図4及び
図15に示されているように、左右前身頃の中心線側縁端部が上述したように湾曲した場合、左右前身頃の中心線側縁端部が裾部から首部に向かって真っすぐ延びた場合に比べて、首近辺において、胸部(又は下着)と衣服本体の間の空間が大きくなり、それゆえ、空気が前首元を通りやすくなり、胸部を冷却する性能が高められる。
図4及び15は首近辺に対する説明のための側面図であり、それ以外の部分については詳細を省略したものである。
【0023】
図6は、衣服本体を平らに置いた時の前身頃の上部と襟部の模式的部分図である。本発明の1以上の実施形態において、
図6に示されているように、衣服本体を平らに置いた時、肩折れ線11と襟ぐり線12の交点であるサイドネックポイントSNPから展開基点までの垂直距離Laは25cm以上35cm以下であり、26cm以上35cm以下であることが好ましく、より好ましくは27cm以上35cm以下である。Laが上述した範囲内であると、胸部(或いは胸部を覆う下着)と衣服の間の空間が大きくなり、空気が胸部を通り前首元から抜けやすくなり、胸部を冷却する性能が高まる。なお、SNPから展開基点までの垂直距離Laは、SNPを通り前中心線13に直交する線と、展開基点を通り前中心線13に直交する線間の最短直線距離である。
【0024】
本発明の1以上の実施形態において、
図6に示されているように、前中心線と襟ぐり線の交点であるA点から左右の前身頃の中心線側縁端部までの距離は、それぞれ、前中心線13と襟ぐり線12の交点であるA点と、A点を通り前中心線13と直交する線14と左右の前身頃の中心線側縁端部15の交点B点をそれぞれ結んだ線分の長さLbである。Lb(A点とB点を結んだ線分の長さ)はそれぞれ1cm以上2.5cm以下であり、好ましくは1cm以上1.5cm以下である。Lbが上述した範囲内であると、前首元と衣服の間の空間が大きくなり、空気が前首元を通りやすくなり、胸部を冷却する性能が高まる。
【0025】
本発明の1以上の実施形態において、
図6に示されているように、前中心線と襟ぐり線の交点であるA点から前記展開起点までの距離Lcが10cm以上24cm以下であることが好ましく、11cm以上24cm以下であることがより好ましい。Lcが上述した範囲内であると、前首元と衣服の間の空間が大きくなあり空気が前首元を通りやすくなり、前身頃上部の汗の気化が促され、クーリング性を得ることができる。なお、本発明では、サイドネックポイントSNPとA点の垂直距離が10cmを超えるように、LaとLcを選択するものとする。
【0026】
本発明の1以上の実施形態に係る空調衣服において、左右の前身頃の中心線側縁端部の湾曲角度は、それぞれ95°以上120°以下であることが好ましく、100°以上115°以下であることがより好ましい。本発明の1以上の実施形態に係る空調衣服において、前身頃の中心線側縁端部の湾曲角度は、
図7に示されているように、A点とB点を結ぶ線分と、B点と襟先点を結んだ線分のなす角度αで示される。なお、
図7は、左前身頃の部分図であるが、右前身頃でも同じである。左右前身頃の中心線側縁端部の湾曲角度が上述した範囲であると、前首元と衣服の間の空間が大きくなあり空気が前首元を通りやすくなり、前身頃上部の汗の気化が促され、クーリング性を得ることができる。
【0027】
本発明の1以上の実施形態に係る空調衣服において、前記後身頃の内側には空気取入れ口を覆うようにポケットが設けられており、前記ポケットの上部の脇側には脇側空気排出口が設けられていることが好ましい。空気が脇下を通って胸部に輸送しやすくなり、胸部を冷却する性能がさらに高まる。
【0028】
図8は本発明の一例の空調衣服(ブルゾン型)の模式的正面図であり、
図9は同背面図であり、
図10は同裏面図であり、
図11は同後身頃のパターン図である。
図8〜11では、
図1〜3と同一の部分には同一の符合を付けており、重複する説明は省略する。また、
図8〜10と
図1〜3において同一の部分は、同様の機能を有する。該実施形態の空調衣服200は、後身頃が空調衣服1と異なる以外は、その他の部分は同じである。該実施形態の空調衣服200は、後身頃の内側において空気取入れ口を覆うように設けられたポケット201と、ポケット201の上部の脇側に設けられた脇側空気排出口202と、ポケット201の上部の中心側に設けられた中心側空気排出口203を備えている。空気取入れ口に取り付けられた風発生装置4が空気取入れ口3に取り付けられた場合、ポケット201が風発生装置4を覆うため、風発生装置4によって外部から空気が空調衣服1内に取り込まれた空気は、
図10において矢印で示しているように、主に脇側空気排出口202及び中心側空気排出口203から排出される。脇側空気排出口202から排出された空気は脇下を通って胸部に輸送されやすく、中心側空気排出口203から排出された空気は背中上部に輸送されやすい。それゆえ、発汗量が多い胸部及び背中上部へ空気が流れやすく、冷却効果が高まる。風発生装置4の着脱を容易にする観点から、ポケット201は中心側においてファスナーなどの着脱手段204によって衣服本体に着脱可能に結合していることが好ましい。ポケット201は、脇側空気排出口202、中心側空気排出口203及び着脱手段204を除いたその他の辺は、衣服本体2に糸によって縫着してもよく、熱融着や接着剤による圧着加工で衣服本体2に固定してもよい。
図11において、23は後中心線を指す。
【0029】
図11に示されているように、脇側空気排出口の開口角度は、空気取入れ口3の中心点210と、脇側空気排出口202と衣服本体2との二つの接点をそれぞれ結んだ二つの線分211と212のなす角度βで表される。脇側空気排出口の開口角度は、7°以上105°以下であることが好ましい、より好ましくは20°以上100°以下であり、さらに好ましくは30°以上95°以下である。脇側空気排出口の開口角度が上述した範囲内であると、外部から取り込んだ空気を勢い良く排出する事ができる。脇側空気排出口202の一部が少なくともポケット201の上部に配置されることにより、より効果的に発汗量が多い胸部へ流すことができる。
【0030】
図11に示されているように、中心側空気排出口の開口角度は、空気取入れ口3の中心点210と、中心側空気排出口203と衣服本体2の二つの接点をそれぞれ結んだ二つの線分213及び214のなす角度γで表される。中心側空気排出口の開口角度は、9°以上85°以下であることが好ましく、より好ましくは15°以上75°以下であり、さらに好ましくは20°以上70°以下である。中心側空気排出口の開口角度が上述した範囲内であると、外部から取り込んだ空気を勢い良く排出する事ができる。中心側空気排出口203の一部が少なくともポケット201の上部に配置されることにより、より効果的に発汗量が多い背部上部へ流すことができる。
【0031】
脇側空気排出口202の脇側長さLxは、1.5cm以上であることが好ましく、5cm以上であることがより好ましく、7cm以上であることがさらに好ましい。また、脇側空気排出口202の脇側長さLxは、脇丈Lwの50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。脇側空気排出口の脇側長さが上述した範囲内であると、胸部へ空気が流れやすくなる。
【0032】
ポケット201の長さLyは、空気取入れ口3の直径(ファン等の風発生装置4の直径と同等)の120%以上であることが好ましく、140%以上であることがより好ましく、160%以上であることがさらに好ましい。また、ポケット201の長さLyは、後中心丈Lzの50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。ポケット201の幅Wpは、空気取入れ口3の直径(ファン等の風発生装置4の直径と同等)の120%以上であることが好ましく、140%以上であることがより好ましく、160%以上であることがさらに好ましい。また、ポケット201の幅Wpは、後裾巾Wzの50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。ポケットの長さ及び幅が上述した範囲内であると、風発生装置4による空気の取り込みが良好になる。ポケットは、長さ方向及び幅方向のいずれにおいても、折り畳んだ構造であってもよい。ポケットが折り畳んだ構造の場合、長さ及び幅は、折り畳まれた状態での長さ及び幅を意味する。ファン等の風発生装置4の直径は、風取り込み力及び着用感を両立する観点から、3cm以上15cm以下であることが好ましく、より好ましくは5cm以上12cm以下である。
【0033】
図12は本発明の一例の空調衣服(ブルゾン型)の正面図であり、
図13は同背面図であり、
図14は同裏面図である。
図12〜14では、
図8〜10と同一の部分には同一の符合を付けており、重複する説明は省略する。また、
図12〜14と
図8〜10において同一の部分は、同様の機能を有する。そして、該実施形態の空調衣服において、後身頃のパターン図は
図11と同じであることから、省略する。実施形態の空調衣服300において、衣服本体301の前身頃が、空調衣服200と異なる以外は、他の部分は
図8〜
図11に示されている空調衣服と同じ構成である。衣服本体301は、襟部、左右の前身頃、後身頃、左右の袖部、裾部を有する。裾部は、空気の漏れを防止する観点から、ゴム紐等の伸縮性素材で構成されることが好ましい。また、左右の前身頃は結合部材8によって開閉可能に連結されている。結合部材8としては、衣服内の空気の圧力を高める観点から、例えば、チャックやファスナー等を用いることが好ましい。
【0034】
図16Aは該実施形態の空調衣服における衣服本体の右前身頃と襟部のパターン図であり、
図16Bは同左前身頃と襟部のパターン図である。
図16A及び
図16Bに示されているように、該実施形態において、左右前身頃の中心線側縁端部は湾曲せず、裾部から首部に向かって真っすぐ延びる。
図15は、左右前身頃の中心線側縁端部が裾部から首部に向かって真っすぐ延びた場合の空調衣服の側面図である。
【0035】
該実施形態の空調衣服300は、後身頃の内側において空気取入れ口を覆うように設けられたポケット201と、ポケット201の上部の脇側に設けられた脇側空気排出口202と、ポケット201の上部の中心側に設けられた中心側空気排出口203を備えている。ポケット201が空気取入れ口に取り付けられた風発生装置4を覆うため、風発生装置4によって外部から空気が空調衣服1内に取り込まれた空気は、
図14において矢印で示しているように、主に脇側空気排出口202及びから中心側空気排出口203から排出される。脇側空気排出口202から排出された空気は脇下を通って胸部に輸送されやすく、中心側空気排出口203から排出された空気は背中上部に輸送されやすい。それゆえ、発汗量が多い胸部及び背中上部へ空気が流れやすく、冷却効果が高まる。
【0036】
衣服本体及びポケットに用いる素材としては、特に限定されず、織物や編物などを用いることができる。生地の断面方向の通風抑制の観点から、織物の方が好ましい。上記織物としては、特に限定されず、一重織り組織でもよく、二重織り組織でもよい。例えば、平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織などが挙げられる。前記生地を構成する繊維としては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、アセテート繊維、コットン繊維、レーヨン繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ナイロン繊維などを用いることができる。前記素材は、特に限定されないが、例えば、目付けが20〜300g/m
2の範囲が好ましく、50〜250g/m
2の範囲であることがより好ましい。目付が上記の範囲であれば、耐久性も良く、軽くて動きやすい利点がある。
【実施例】
【0037】
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
衣服本体の前身頃、後身頃、襟、袖部には生地(平織り、ポリエステル繊維77質量%、綿23質量%、目付け156g/m
2)を用い、空気取入れ口3は直径が10cmの円形とし、空気取入れ口3の固定リング31はシリコン樹脂で形成し、風発生手段4として直径が10cmのファン(サンエス社製、品名「ファンセット薄型RD9710A」、羽の直径80mm、羽の枚数5枚、供給電力7V、2A)を用い、電源装置5としてリチウムイオン電池(サンエス社製、品名「リチウムイオンバッテリーRD9870AJ」)を用い、電力供給ケーブル6としてケーブル(サンエス社製、品名「ファンセット薄型RD9710A」)を用い、
図1〜3に示すようなブルゾン型の空調衣服1(JASPO規格Lサイズ)を作製した。空調衣服1において、Laは26.5cmであり、Lbは1.5cmであり、Lcは16.5cmであり、左右の前身頃の中心線側縁端部の湾曲角度は、それぞれ112°であった。
【0039】
(実施例2)
生地(平織り、ポリエステル繊維77質量%、綿23質量%、目付け156g/m
2)を用いてポケット201を設け、襟部後ろ側の切り替えを
図9に示したとおりにした以外は、実施例1と同様にして、
図8〜11に示すようなブルゾン型の空調衣服200(JASPO規格Lサイズ)を作製した。空調衣服200において、Laは26.5cmであり、Lbは1.5cmであり、Lcは16.5cmであり、左右の前身頃の中心線側縁端部の湾曲角度は、それぞれ112°であった。また、空調衣服200において、ポケット201は、脇側及裾側は衣服本体に縫着されており、中心側はファスナーで衣服本体に着脱可能に結合し、上部には脇側空気排出口及び中心側空気排出口が設けられていた。ポケット201の長さLyは28cm(後中心丈Lzの40%)であり、幅Wpは22.5cm(後裾巾Wzの37.5%)であった。脇側空気排出口202の開口角度βは70°であり、脇側長さLxは7cm(脇丈Lwの23%)であり、中心側空気排出口の開口角度γは50°であった。
【0040】
(実施例3)
図16に示しているように、左右の前身頃の中心線側縁端部315を湾曲させず、裾部から首部に向かって真っすぐ延びるようにした以外は、実施例2と同様にして、
図12〜14に示すようなブルゾン型の空調衣服300(JASPO規格Lサイズ)を作製した。空調衣服300において、ポケット201は、脇側及裾側は衣服本体に縫着されており、中心側はファスナーで衣服本体に着脱可能に結合し、上部には脇側空気排出口及び中心側空気排出口が設けられていた。ポケット201の長さLyは28cm(後中心丈Lzの40%)であり、幅Wpは22.5cm(後裾巾Wzの37.5%)であった。脇側空気排出口202の開口角度βは70°であり、脇側長さLxは7cm(脇丈Lwの23%)であり、中心側空気排出口の開口角度γは50°であった。
【0041】
(比較例1)
ポケットを設けない以外は、実施例3と同様にしてブルゾン型の空調衣服300(JASPO規格Lサイズ)を作製した。比較例1の空用衣服では、左右の前身頃の中心線側縁端部が湾曲せず、裾部から首部に向かって真っすぐ延びるようになっており、ポケットも有しない。
【0042】
実施例1〜3及び比較例1の空調衣服を、風速計(日本カノマックス株式会社製「ANEMOMASTER MODEL6004」を取り付けた人体型マネキン(七彩社製、品名「日本人の平均的人体寸法ダミー」)に着用させて、ファンを作動させた後、風速計で風速を測定した。具体的には、
図18Aに示されているように、風速計400をセンサーが前上部401(胸骨柄上端からの距離が13cm)に位置するように配置し、同様に、
図18A及び
図18Bに示されているように、風速計(図示なし)をセンサーが、前下部402(胸骨柄上端からの距離が37.5cm)、後上部403(第七頸椎からの距離が17.5cm)及び後下部404(第七頸椎からの距離が43cm)に位置するように配置し、風速を計測した。その結果を下記表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
表1の結果から分かるように、実施例1〜3では、比較例1に比べて、後上への風速がほとんど変わらないうえ、前上への風速が早くなっており、人体の発汗が多い胸部及び背中上部に対して、効果的に空気を送付できていた。そのため、汗が気化しやすくなり、気化熱による冷却効果が向上し、汗によるべたつきが軽減される。比較例1は、後下の風速が他の部位と比べ圧倒的に高く、体全体を効果的に冷却する事ができないうえ、後下部分が膨らんでしまい、動きを阻害する。