特許第6936683号(P6936683)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6936683車両用電源システム及び車両用電源システムの制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6936683
(24)【登録日】2021年8月31日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】車両用電源システム及び車両用電源システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20210909BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20210909BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20210909BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20210909BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   H02J7/02 J
   H02J7/00 P
   B60R16/03 K
   B60R16/03 S
   H01M10/44 P
   H01M10/48 P
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-189499(P2017-189499)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-68539(P2019-68539A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 祐次
(72)【発明者】
【氏名】竹内 良樹
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−036557(JP,A)
【文献】 特開2014−033571(JP,A)
【文献】 特開2017−131002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
B60R 16/00 − 17/02
H01M 10/42 − 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列に接続される発電機、第1バッテリ、第2バッテリ及び電気負荷と、
前記発電機及び前記第1バッテリと、前記第2バッテリ及び電気負荷との間で、導通状態又は遮断状態に切り替えられる第1スイッチと、
前記発電機、前記第1バッテリ及び前記電気負荷と、前記第2バッテリとの間で、導通状態又は遮断状態に切り替えられる第2スイッチと、
前記第1バッテリの電圧と前記電気負荷の作動状態とに基づいて、前記電気負荷に対して一定状態で作動するようにフィードバック制御を行うフィードバック制御部と、
前記発電機による回生発電の制御と、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの切り替え制御とを実施する制御部と、を備える車両用電源システムであって、
前記制御部は、
前記回生発電の開始時に前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを導通状態にする第1制御と、前記回生発電の実施中に前記第1バッテリの放電状態に基づいて前記第1スイッチ又は前記第2スイッチの一方を遮断状態にする第2制御と、を実施し、
前記電気負荷が作動中の場合、前記第2制御において前記第2スイッチを遮断状態にすることを特徴とする車両用電源システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記電気負荷の負荷量が所定負荷量を上回ることを条件として、前記第2制御を実施することを特徴とする請求項1に記載の車両用電源システム。
【請求項3】
前記制御部は、
車速が所定車速を下回ることを条件として、前記第2制御を実施することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用電源システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1バッテリの放電量が所定放電量を上回ることを条件として、前記第2制御を実施することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両用電源システム。
【請求項5】
互いに並列に接続される発電機、第1バッテリ、第2バッテリ及び電気負荷と、
前記発電機及び前記第1バッテリと、前記第2バッテリ及び電気負荷との間で、導通状態又は遮断状態に切り替えられる第1スイッチと、
前記発電機、前記第1バッテリ及び前記電気負荷と、前記第2バッテリとの間で、導通状態又は遮断状態に切り替えられる第2スイッチと、
前記第1バッテリの電圧と前記電気負荷の作動状態とに基づいて、前記電気負荷に対して一定状態で作動するようにフィードバック制御を行うフィードバック制御部と、を備える車両用電源システムにおいて、
前記発電機による回生発電の制御と、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの切り替えを制御する車両用電源システムの制御装置であって、
前記回生発電の開始時に前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを導通状態にする第1制御と、前記回生発電の実施中に前記第1バッテリの放電状態に基づいて前記第1スイッチ又は前記第2スイッチの一方を遮断状態にする第2制御と、を実施し、
前記電気負荷が作動中の場合、前記第2制御において前記第2スイッチを遮断状態にすることを特徴とする車両用電源システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電源システム及び車両用電源システムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される車両用電源システムとして、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載のものは、鉛蓄電池からなる第1蓄電池と、リチウムイオン蓄電池からなる第2蓄電池を備え、これら各蓄電池を使い分けながら車載の各種電気負荷に対して電力を供給している。
【0003】
従来の車両用電源システムは、第1蓄電池の端子電圧が、第2蓄電池の端子電圧よりも高い電圧とされており、発電機による回生発電時に、接続スイッチを導通状態に制御して第1蓄電池及び第2蓄電池の両方に対する充電を行わせている。
【0004】
また、従来の車両用電源システムは、回生発電中における第1蓄電池の放電状態を監視し、回生発電中に、第1蓄電池の放電状態に基づいて接続スイッチを遮断状態とするようになっている。
【0005】
これにより、従来の車両用電源システムは、第1蓄電池の蓄電量が意図せず減ってしまうといった不都合を抑制でき、各蓄電池の充電を効率良く実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−36557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、電気負荷の中には、空調や換気のために送風を行うブロアファンのように、供給電圧の変化により回転数(作動状態)が変化する電気負荷がある。このような電気負荷は、供給電圧の変動により作動状態が変化するとドライバに不快感を与える場合がある。
【0008】
そのため、車両用電源システムにおいては、電気負荷への供給電圧と電気負荷の作動状態とを監視し、作動状態が一定となるようにフィードバック制御を行うことが好ましい。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用電源システムにおいて電気負荷へのフィードバック制御を実施する場合、2つの蓄電池間で切り替えを行う際にフィードバック制御の影響により電気負荷の作動状態が変動してしまうおそれがあった。
【0010】
本発明は、上記のような問題に着目してなされたものであり、2つのバッテリを効率よく充電でき、電気負荷の作動状態が変動することを防止できる車両用電源システム及び車両用電源システムの制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、互いに並列に接続される発電機、第1バッテリ、第2バッテリ及び電気負荷と、前記発電機及び前記第1バッテリと、前記第2バッテリ及び電気負荷との間で、導通状態又は遮断状態に切り替えられる第1スイッチと、前記発電機、前記第1バッテリ及び前記電気負荷と、前記第2バッテリとの間で、導通状態又は遮断状態に切り替えられる第2スイッチと、前記第1バッテリの電圧と前記電気負荷の作動状態とに基づいて、前記電気負荷に対して一定状態で作動するようにフィードバック制御を行うフィードバック制御部と、前記発電機による回生発電の制御と、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの切り替え制御とを実施する制御部と、を備える車両用電源システムであって、前記制御部は、前記回生発電の開始時に前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを導通状態にする第1制御と、前記回生発電の実施中に前記第1バッテリの放電状態に基づいて前記第1スイッチ又は前記第2スイッチの一方を遮断状態にする第2制御と、を実施し、前記電気負荷が作動中の場合、前記第2制御において前記第2スイッチを遮断状態にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このように上記の本発明によれば、2つのバッテリを効率よく充電でき、電気負荷の作動状態が変動することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施例に係る車両用電源システムの構成図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る車両用電源システムの動作を説明するフローチャートである。
図3図3は、本発明の一実施例に係る車両用電源システムの動作による車両状態の推移を説明するタイミングチャートである。
図4図4は、比較例の車両用電源システムの動作による車両状態の推移を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態に係る車両用電源システムは、互いに並列に接続される発電機、第1バッテリ、第2バッテリ及び電気負荷と、発電機及び第1バッテリと、第2バッテリ及び電気負荷との間で、導通状態又は遮断状態に切り替えられる第1スイッチと、発電機、第1バッテリ及び電気負荷と、第2バッテリとの間で、導通状態又は遮断状態に切り替えられる第2スイッチと、第1バッテリの電圧と電気負荷の作動状態とに基づいて、電気負荷に対して一定状態で作動するようにフィードバック制御を行うフィードバック制御部と、発電機による回生発電の制御と、第1スイッチ及び第2スイッチの切り替え制御とを実施する制御部と、を備える車両用電源システムであって、制御部は、回生発電の開始時に第1スイッチ及び第2スイッチを導通状態にする第1制御と、回生発電の実施中に第1バッテリの放電状態に基づいて第1スイッチ又は第2スイッチの一方を遮断状態にする第2制御と、を実施し、電気負荷が作動中の場合、第2制御において第2スイッチを遮断状態にすることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る車両用電源システムは、2つのバッテリを効率よく充電でき、電気負荷の作動状態が変動することを防止できる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の一実施例に係る車両用電源システムについて図面を用いて説明する。図1から図3は、本発明の一実施例に係る車両用電源システムを説明する図である。
【0016】
図1において、本実施例に係る車両用電源システム10は、図示しないエンジン(内燃機関)を備える車両に搭載されている。鉛蓄電池及びリチウムイオン蓄電池からなる2つの蓄電池と、これらを充電する発電機と、電気負荷等と、を備えている。
【0017】
図1において、車両用電源システム10は、発電機としてのオルタネータ1と、第1バッテリとしての鉛蓄電池2と、電池ユニット4と、を備えている。電池ユニット4は、第2バッテリとしてのリチウムイオン蓄電池3を有する。鉛蓄電池2及びリチウムイオン蓄電池3は、オルタネータ1に対して並列に接続されている。
【0018】
また、車両用電源システム10は、電気負荷5b、スタータ5a、電気負荷9、エンジンコントローラ20及びBCM(Body Control Module)21を備えている。エンジンコントローラ20及びBCM21は、CPUや各種メモリを有するマイクロコンピュータからなる電子制御装置である。
【0019】
電気負荷5b、スタータ5a、電気負荷9及びBCM21は、オルタネータ1に対して並列に接続されている。したがって、オルタネータ1、鉛蓄電池2、リチウムイオン蓄電池3及び電気負荷9は、互いに並列に接続されている。
【0020】
車両用電源システム10は、図示しないエンジン(内燃機関)を備える車両に搭載されている。オルタネータ1は、エンジンのクランク軸(出力軸)に連結されており、そのクランク軸の回転エネルギにより発電する。
【0021】
つまり、オルタネータ1のロータがクランク軸により回転すると、ロータコイルに流れる励磁電流に応じてステータコイルに交流電流が誘起され、整流器により直流電流に変換される。そして、ロータコイルに流れる励磁電流がレギュレータにより調整されることで、発電された直流電流の電圧が設定電圧Vregとなるよう調整される。オルタネータ1のレギュレータに対する制御はエンジンコントローラ20により実施される。
【0022】
鉛蓄電池2は周知の汎用蓄電池である。鉛蓄電池2には、電気負荷としてスタータ5aが接続されている。鉛蓄電池2からの電力供給によりスタータ5aが駆動されることで、エンジンが始動される。また、鉛蓄電池2には、ヘッドライトやパワーウィンドウモータ等の各種の電気負荷5bが接続されている。
【0023】
また、電池ユニット4において、リチウムイオン蓄電池3は、鉛蓄電池2に比べて出力密度、及びエネルギ密度の高い高密度蓄電池である。リチウムイオン蓄電池3は、複数の単電池を直列に接続してなる組電池により構成されている。鉛蓄電池2の蓄電可能容量は、リチウムイオン蓄電池3の蓄電可能容量よりも大きくされている。
【0024】
電池ユニット4には入力側端子6と出力側端子7とが設けられており、それら両端子を接続するようにして給電線8が設けられている。入力側端子6にはオルタネータ1と鉛蓄電池2とが接続されている。
【0025】
また、出力側端子7には、リチウムイオン蓄電池3からの電力供給先である各種の電気負荷9が接続されている。電気負荷9には、ナビゲーション装置やオーディオ装置など一定電流で駆動される定電流負荷が含まれる。
【0026】
また、電気負荷9には、空調や換気のために送風を行うブロアファンモータ9Aが含まれている。ブロアファンモータ9Aは、図示しない送風用のブロアファンに連結されており、鉛蓄電池2又はリチウムイオン蓄電池3の少なくとも一方から供給された電力により作動する。
【0027】
ブロアファンモータ9Aの回転数又は出力は段数によって設定される。例えば、ブロアファンモータ9Aは、最小風量に対応する1段から最大風量に対応する4段までの何れかの段数に設定される。ブロアファンモータ9Aは本発明における電気負荷を構成する。
【0028】
電池ユニット4は、上記のリチウムイオン蓄電池3以外に、第1スイッチとしてのMOSスイッチ11と、第2スイッチとしてのSMRスイッチ12と、これらの各スイッチのオン/オフ(導通/遮断)の切り替えを制御する電池コントローラ13とを備えている。
【0029】
電池コントローラ13は、CPUや各種メモリを有するマイクロコンピュータからなる電子制御装置である。本実施例では、電池コントローラ13はエンジンコントローラ20に対して下位のコントローラであり、エンジンコントローラ20からの指令に基づいて、MOSスイッチ11およびSMRスイッチ12の切り替え制御を実施する。
【0030】
エンジンコントローラ20は、本発明における制御部及び制御装置を構成している。エンジンコントローラ20の動作には、オルタネータ1による回生発電の制御と、MOSスイッチ11及びSMRスイッチ12の切り替え制御とが含まれている。
【0031】
ここで、ブロアファンモータ9Aは、基本的に、設定された段数に応じた回転数で作動するが、温度依存性等により回転数が変動する場合がある。また、ブロアファンモータ9Aが作動する際の回転数は供給電圧に依存しているため、ブロアファンモータ9Aは、供給電圧が高いときは低いときよりも回転数が大きくなる。温度依存性や電圧依存性によりブロアファンモータ9Aの回転数が変動すると、ユーザに不快感を与えることがある。
【0032】
そこで、BCM21は、鉛蓄電池2の電圧とブロアファンモータ9Aの作動状態とに基づいて、ブロアファンモータ9Aに対して一定状態で作動するようにフィードバック制御を行う。詳しくは、BCM21は、ブロアファンモータ9Aの回転数を検出し、ブロアファンモータ9Aが設定段数に対応する回転数で作動するように、ブロアファンモータ9Aに対してフィードバック制御を行う。なお、BCM21は、デューティ比を変更することでブロアファンモータ9Aの回転数を制御する。
【0033】
また、BCM21は、BCM21自身への供給電圧を監視し、供給電圧が変動した場合は、その電圧変動に起因してブロアファンモータ9Aの回転数が変動しないように、ブロアファンモータ9Aに対してフィードバック制御を行う。
【0034】
すなわち、BCM21は、BCM21自身への供給電圧がブロアファンモータ9Aへの供給電圧と等しいとみなして、ブロアファンモータ9Aへのフィードバック制御を行っている。BCM21は本発明におけるフィードバック制御部を構成している。
【0035】
MOSスイッチ11は、MOSFETからなる半導体スイッチであり、入力側端子6と出力側端子7との間に設けられている。MOSスイッチ11は、オルタネータ1及び鉛蓄電池2と、リチウムイオン蓄電池3及びブロアファンモータ9Aとの間で、導通状態又は遮断状態に切り替えられる。MOSスイッチ11は、オルタネータ1及び鉛蓄電池2に対するリチウムイオン蓄電池3の導通(オン)と遮断(オフ)とを切り替えるスイッチとして機能する。
【0036】
また、SMRスイッチ12は、MOSスイッチ11と同様に、MOSFETからなる半導体スイッチにより構成されており、MOSスイッチ11及び出力側端子7の接続点(図のA1)とリチウムイオン蓄電池3との間に設けられている。
【0037】
SMRスイッチ12は、オルタネータ1、鉛蓄電池2及びブロアファンモータ9Aと、リチウムイオン蓄電池3との間で、導通状態又は遮断状態に切り替えられる。SMRスイッチ12は、入力側端子6と出力側端子7とを接続する電力経路に対するリチウムイオン蓄電池3の導通(オン)と遮断(オフ)とを切り替えるスイッチとして機能する。
【0038】
SMRスイッチ12は非常時用の開閉手段でもあり、非常時でない通常時には、電池コントローラ13からのオン信号によりオン状態に保持される。そして、以下に例示する非常時に、オン信号の出力が停止されてSMRスイッチ12がオフ作動される。
【0039】
このSMRスイッチ12のオフ作動により、リチウムイオン蓄電池3の過充電及び過放電の回避が図られている。例えば、オルタネータ1に設けられたレギュレータが故障して設定電圧Vregが異常に高くなる場合には、リチウムイオン蓄電池3が過充電の状態になることが懸念される。
【0040】
このような場合、SMRスイッチ12がオフ作動される。また、オルタネータ1の故障やMOSスイッチ11の故障によりリチウムイオン蓄電池3への充電ができなくなる場合には、リチウムイオン蓄電池3が過放電になることが懸念される。このような場合にもSMRスイッチ12がオフ作動される。
【0041】
MOSスイッチ11及びSMRスイッチ12のオン状態・オフ状態は、電池コントローラ13にて常時監視され、その監視結果は電池コントローラ13からエンジンコントローラ20等に対して所定時間周期で送信される。
【0042】
オルタネータ1での発電により生じた電力は、電気負荷5b、9に供給されるとともに、鉛蓄電池2及びリチウムイオン蓄電池3に供給される。エンジンの駆動が停止してオルタネータ1で発電が実施されていない場合には、鉛蓄電池2及びリチウムイオン蓄電池3から車載電気負荷に電力が供給される。
【0043】
鉛蓄電池2及びリチウムイオン蓄電池3から車載電気負荷への放電量、及びオルタネータ1から鉛蓄電池2及びリチウムイオン蓄電池3への充電量は、鉛蓄電池2及びリチウムイオン蓄電池3のSOC(State of charge:満充電時の充電量に対する実際の充電量の割合)が過充放電とならない範囲(適正範囲)となるよう制御される。
【0044】
つまり、上記のとおり過剰な充放電とならないように、エンジンコントローラ20により設定電圧Vregが調整されるとともに、電池コントローラ13によりMOSスイッチ11の作動が制御される。本実施例では、鉛蓄電池2から外部への放電量が発生していることを以下、放電状態ともいう。
【0045】
車両減速に伴うオルタネータ1の回生発電中は、原則として、エンジンコントローラ20によりMOSスイッチ11とSMRスイッチ12とがともにオンにされることで、鉛蓄電池2とリチウムイオン蓄電池3との両方に対して充電が行われる。
【0046】
本実施例では、鉛蓄電池2の端子電圧がリチウムイオン蓄電池3の端子電圧よりも高くなるようにしてこれら両端子電圧が定められている。そのため、MOSスイッチ11及びSMRスイッチ12がともにオンにされて鉛蓄電池2及びリチウムイオン蓄電池3が互いに接続された状態では、オルタネータ1からリチウムイオン蓄電池3への充電に加え、鉛蓄電池2からリチウムイオン蓄電池3への充電も実施される。
【0047】
エンジンコントローラ20は、車両走行中において所定の自動停止条件を満たした場合にエンジンを自動停止させ、エンジンの自動停止が実施された状態で所定の再始動条件を満たした場合にエンジンを自動で再始動させる、アイドルストップ機能を有する。
【0048】
自動停止条件としては、例えば車速が所定以下であること、アクセル操作量がゼロであること(又はブレーキオンであること)等が含まれる。また、エンジン再始動条件としては、例えばアクセル操作が行われたこと、ブレーキ操作が解除されたこと等が含まれる。
【0049】
また、エンジンの再始動時には、鉛蓄電池2とリチウムイオン蓄電池3とを電気的に切り離した状態で、鉛蓄電池2の電力供給によりスタータ5aを駆動させるべく、電池コントローラ13によりMOSスイッチ11がオンからオフに操作される。
【0050】
ところで、車両減速に伴う回生発電中は、MOSスイッチ11がオン状態に制御され、鉛蓄電池2とリチウムイオン蓄電池3とが両方共に充電される。この場合、車速が次第に低下してオルタネータ1の回生発電量が減少した際に、鉛蓄電池2が充電状態から放電状態に移行することが考えられる。
【0051】
鉛蓄電池2が充電状態から放電状態に移行した場合、鉛蓄電池2の蓄電量(PbSOC)が意図せず減ってしまい、回生発電時以外においてオルタネータ1による鉛蓄電池2への充電が強いられるおそれが生じる。これにより、燃費悪化が懸念される。
【0052】
このような、オルタネータ1の回生発電中において鉛蓄電池2が放電状態に移行してしまう問題は、鉛蓄電池2の放電状態(放電量)を監視し、その放電状態に基づいてMOSスイッチ11をオフ(遮断)することで防止できる。
【0053】
一方、車両減速に伴う回生発電時にMOSスイッチ11をオフにした場合、すなわち、SMRスイッチ12をオンに維持したままMOSスイッチ11をオンからオフに切り替える場合、鉛蓄電池2の電圧がリチウムイオン蓄電池3の電圧よりも高いため、BCM21が監視するBCM21自身への供給電圧と、ブロアファンモータ9Aへの実際の供給電圧とが一致しなくなる。
【0054】
この場合、BCM21によるフィードバック制御が実施されたことで、ブロアファンモータ9Aの作動状態(回転数)が一時的に低下し、ユーザに不快感を与えてしまう可能性がある。
【0055】
そこで、エンジンコントローラ20は、車両減速に伴う回生発電中にブロアファンモータ9Aが作動していない場合は、鉛蓄電池2が放電状態に移行することを防止するため、鉛蓄電池2の放電状態(放電量)に基づいてMOSスイッチ11をオフ(遮断)にするようになっている。
【0056】
一方、エンジンコントローラ20は、車両減速に伴う回生発電中にブロアファンモータ9Aが作動している場合は、BCM21及びブロアファンモータ9Aへの供給電圧を一致させ、フィードバック制御の影響によりブロアファンモータ9Aの作動状態が変動することを防止するため、鉛蓄電池2の放電状態に関わらず、MOSスイッチ11はオンに維持し、SMRスイッチ12の方をオフにするようにしている。
【0057】
詳しくは、エンジンコントローラ20は、車両減速に伴ってオルタネータ1を回生発電させる際に、第1制御および第2制御を実施する。第1制御は、回生発電の開始時にMOSスイッチ11及びSMRスイッチ12を導通状態にする制御である。第2制御は、回生発電の実施中に鉛蓄電池2の放電状態に基づいてMOSスイッチ11又はSMRスイッチ12の一方を遮断状態にする制御である。
【0058】
そして、エンジンコントローラ20は、ブロアファンモータ9Aが作動中の場合、第2制御においてSMRスイッチ12を遮断状態にする。
【0059】
エンジンコントローラ20は、ブロアファンモータ9Aの負荷量が所定負荷量を上回ることを第2制御の実施条件としている。本実施例では、エンジンコントローラ20は、ブロアファンモータ9Aの段数が所定段数以上である場合に、ブロアファンモータ9Aの負荷量が所定負荷量を上回ると判定し、第2制御を実施する。なお、ブロアファンモータ9Aの負荷量とは、例えば、ブロアファンモータ9Aが消費する電力の量、またはブロアファンモータ9Aの設定段数である。
【0060】
また、エンジンコントローラ20は、車速が所定車速を下回ることを第2制御の実施条件としている。また、エンジンコントローラ20は、鉛蓄電池2の放電量が所定放電量を上回ることを第2制御の実施条件としてもよい。鉛蓄電池2の放電量とは、鉛蓄電池2から車載電気負荷等へ放電される電力の量である。
【0061】
次に、図2を参照し、エンジンコントローラ20により所定周期で繰り返し実行される回生発電時スイッチ切り替え動作について説明する。この回生発電時スイッチ切り替え動作は、回生発電中にブロアファンモータ9Aが作動している場合の動作であり、前述の第1制御および第2制御を含んでいる。図2において、MOSスイッチ11のオン及びオフをそれぞれMOS−ON、MOS−OFFと記し、SMRスイッチ12のオン及びオフをSMR−ON、SMR−OFFと記す。
【0062】
図2に示すように、まず、エンジンコントローラ20は、MOSスイッチ11をオフ、かつ、SMRスイッチ12をオンに制御し(ステップS1)、エンジンへの燃料カットを実施する(ステップS2)。
【0063】
次いで、エンジンコントローラ20は、車速が所定のLi回生許可車速以上であるか否かを判別する(ステップS3)。ここで、Li回生許可車速とは、リチウムイオン蓄電池3に対してオルタネータ1の回生発電により発生した電力を供給(充電)することを許可する車速の閾値である。
【0064】
ステップS3で車速がLi回生許可車速以上の場合、エンジンコントローラ20は、MOSスイッチ11をオン、SMRスイッチ12をオンにする(ステップS4)。このステップS4は前述の第1制御に相当する。
【0065】
次いで、エンジンコントローラ20は、オルタネータ1の回生発電を実施する(ステップS5)。これにより、オルタネータ1で発電した電力が鉛蓄電池2及びリチウムイオン蓄電池3に充電される。
【0066】
次いで、エンジンコントローラ20は、車速が所定のLi回生禁止車速未満であるか否かを判別する(ステップS6)。ここで、Li回生禁止車速とは、リチウムイオン蓄電池3に対してオルタネータ1の回生発電により発生した電力を供給(充電)することを禁止する車速の閾値である。
【0067】
ステップS6で車速がLi回生禁止車速以上の場合、エンジンコントローラ20は、ステップS5に処理を戻す。
【0068】
ステップS6で車速がLi回生禁止車速以上の場合、エンジンコントローラ20は、後のスイッチ切り替えのため、事前にオルタネータ1の発電を停止する(ステップS7)。
【0069】
次いで、エンジンコントローラ20は、ブロアファンモータ9Aの段数(図中、ブロア段数と記す)が所定段数以上であるか否かを判別する(ステップS8)。ここでは、ブロア段数が最小風量に対応する1段から最大風量に対応する4段まであるものとし、所定段数は3段であるものとする。従って、このステップS8でブロア段数が3段又は4段である場合、エンジンコントローラ20はブロア段数が所定段数以上であると判別する。
【0070】
ステップS8でブロア段数が所定段数以上である場合、エンジンコントローラ20は、MOSスイッチ11をオン、SMRスイッチ12をオフにし(ステップS9)、オルタネータ1の回生発電を実施する(ステップS10)。これにより、オルタネータ1で発電した電力が鉛蓄電池2に充電される。ステップS9は前述の第2制御に相当する。
【0071】
ステップS8でブロア段数が所定段数未満である場合、エンジンコントローラ20は、MOSスイッチ11をオフ、SMRスイッチ12をオンにし(ステップS18)、オルタネータ1の回生発電を実施する(ステップS10)。この場合、オルタネータ1で発電した電力がリチウムイオン蓄電池3に充電される。
【0072】
ステップS10に次いで、エンジンコントローラ20は、車速が所定の回生終了車速未満であるか否かを判別する(ステップS11)。ここで、回生終了車速とは、オルタネータ1の回生発電を終了する車速の閾値である。
【0073】
ステップS11で車速が回生終了車速未満の場合、エンジンコントローラ20は、MOSスイッチ11をオフ、SMRスイッチ12をオンにし(ステップS13)、今回の動作を終了する。
【0074】
一方、ステップS3で車速がLi回生許可車速未満の場合、エンジンコントローラ20は、ブロアファンモータ9Aの段数が所定段数以上であるか否かを判別する(ステップS14)。
【0075】
ステップS14でブロア段数が所定段数以上である場合、エンジンコントローラ20は、MOSスイッチ11をオン、SMRスイッチ12をオフにし(ステップS15)、オルタネータ1の回生発電を実施し(ステップS17)、ステップS10に進む。
【0076】
ステップS14でブロア段数が所定段数未満である場合、エンジンコントローラ20は、MOSスイッチ11をオフ、SMRスイッチ12をオンにし(ステップS16)、オルタネータ1の回生発電を実施し(ステップS17)、ステップS10に進む。
【0077】
次に、図3のタイミングチャートを参照し、図2のステップS3、S6、S8、S11の判定がYESとなった場合の車両状態の推移の一例について説明する。
【0078】
図3において、縦軸は、車速、鉛蓄電池2の電圧(図中、Pb電圧と記す)、リチウムイオン蓄電池3の電圧(図中、Li電圧を記す)、ブロアファンモータ9Aの段数(図中、ブロア段数と記す)、オルタネータ1の回生状態、MOSスイッチ11のオン状態、SMRスイッチ12のオン状態、及びブロアファンモータ9Aの回転数(図中、出力と記す)を示し、横軸は時間を示す。
【0079】
図3において、初期状態の時刻t0では、車速が一定であり、鉛蓄電池2の電圧が14Vであり、リチウムイオン蓄電池3の電圧が12Vであり、ブロアファンモータ9Aが4段で作動している。また、この時刻t0では、オルタネータ1は回生状態ではなく、MOSスイッチ11はオフであり、SMRスイッチ12はオンであり、ブロアファンモータ9Aの回転数は一定となっている。
【0080】
その後、時刻t1で車速が低下し始め、図2のステップS3の判定がYESとなったことで、MOSスイッチ11がオン、SMRスイッチ12がオンにされ、オルタネータ1が回生状態となる。これにより、オルタネータ1が発電した電力が鉛蓄電池2及びリチウムイオン蓄電池3に充電される。このとき、リチウムイオン蓄電池3の電圧は、オルタネータ1の発電電圧が印加されることで、12Vよりも高い電圧となる。
【0081】
その後、時刻t2において、図2のステップS6、S8の判定がYESとなったことで、MOSスイッチ11がオン、SMRスイッチ12がオフにされる。
【0082】
その後、時刻t3において、図2のステップS11の判定がYESとなったことで、オルタネータ1の回生発電が終了し、MOSスイッチ11がオフ、SMRスイッチ12がオンにされる。
【0083】
このように、図3のタイミングチャートによれば、時刻t2においてSMRスイッチ12のみがオフにされ、MOSスイッチ11はオンに維持される。このため、BCM21が監視するBCM21自身への供給電圧と、ブロアファンモータ9Aへの実際の供給電圧とが一致するので、BCM21によるフィードバック制御の影響によってブロアファンモータ9Aの回転数が一時的に低下してしまうことが防止される。
【0084】
次に、図4の比較例のタイミングチャートを参照し、比較例における車両状態の推移の一例について説明する。なお、図4において、縦軸の項目は図3と同様である。また、図4において、時刻t10から時刻t13の各状態は、図3の時刻t0から時刻t3に対応する。
【0085】
図4において、初期状態の時刻t10、t11では、図3の時刻t0、t1と同様の車両状態となっている。
【0086】
その後、時刻t12において、MOSスイッチ11がオフに切り替えられ、SMRスイッチ12がオンに維持される。その後、時刻t13において、オルタネータ1の回生発電が終了する。
【0087】
この比較例では、回生発電中の時刻t12において、ブロアファンモータ9Aが4段で作動している状況でMOSスイッチ11がオフにされている。このため、BCM21への供給電圧とブロアファンモータ9Aへの供給電圧とが一致しなくなり、BCM21によるフィードバック制御の影響によりブロアファンモータ9Aの回転数が一時的に低下してしまっている。
【0088】
以上のように、本実施例に係る車両用電源システム10において、エンジンコントローラ20は、回生発電の開始時にMOSスイッチ11及びSMRスイッチ12を導通状態にする第1制御と、回生発電の実施中に鉛蓄電池2の放電状態に基づいてMOSスイッチ11又はSMRスイッチ12の一方を遮断状態にする第2制御と、を実施する。そして、エンジンコントローラ20は、ブロアファンモータ9Aが作動中の場合、第2制御においてSMRスイッチ12を遮断状態にする。
【0089】
これにより、回生発電の開始時にMOSスイッチ11及びSMRスイッチ12を導通状態にしているため、鉛蓄電池2とリチウムイオン蓄電池3の両方に充電をすることができ、2つのバッテリを効率よく充電できる。また、回生発電の実施中の第2制御において、ブロアファンモータ9Aが作動中の場合はSMRスイッチ12を遮断状態にしているため、ブロアファンモータ9Aの作動状態が変動することを防止できる。この結果、2つのバッテリを効率よく充電でき、電気負荷の作動状態が変動することを防止できる。
【0090】
また、本実施例に係る車両用電源システム10において、エンジンコントローラ20は、ブロアファンモータ9Aの負荷量が所定負荷量を上回ることを条件として、第2制御を実施する。
【0091】
これにより、ブロアファンモータ9Aの負荷量が所定負荷量を上回ることを条件として第2制御が実施されるので、第2制御においてSMRスイッチ12を遮断状態にでき、ブロアファンモータ9Aの作動状態が変動することを防止できる。
【0092】
また、本実施例に係る車両用電源システム10において、エンジンコントローラ20は、車速が所定車速を下回ることを条件として、第2制御を実施する。
【0093】
これにより、車速が所定車速を下回ることを条件として第2制御が実施されるので、第2制御においてSMRスイッチ12を遮断状態にでき、ブロアファンモータ9Aの作動状態が変動することを防止できる。
【0094】
また、本実施例に係る車両用電源システム10において、エンジンコントローラ20は、鉛蓄電池2の放電量が所定放電量を上回ることを条件として、第2制御を実施してもよい。
【0095】
これにより、鉛蓄電池2の放電量が所定放電量を上回ることを条件として第2制御が実施されるので、第2制御においてSMRスイッチ12を遮断状態にでき、ブロアファンモータ9Aの作動状態が変動することを防止できる。
【0096】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0097】
1 オルタネータ(発電機)
2 鉛蓄電池(第1バッテリ)
3 リチウムイオン蓄電池(第2バッテリ)
9A ブロアファンモータ9A(電気負荷)
10 車両用電源システム
11 MOSスイッチ(第1スイッチ)
12 SMRスイッチ(第2スイッチ)
20 エンジンコントローラ(制御部、制御装置)
21 BCM(フィードバック制御部)
図1
図2
図3
図4