(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6936698
(24)【登録日】2021年8月31日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】鉄蓋へのアンテナの取付け構造
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20210909BHJP
H01Q 1/04 20060101ALI20210909BHJP
H01Q 1/40 20060101ALI20210909BHJP
E02D 29/14 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q1/04
H01Q1/40
E02D29/14 Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-209516(P2017-209516)
(22)【出願日】2017年10月30日
(65)【公開番号】特開2019-83399(P2019-83399A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2020年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231877
【氏名又は名称】日本鋳鉄管株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝
(72)【発明者】
【氏名】松島 誠二
(72)【発明者】
【氏名】畑 信行
(72)【発明者】
【氏名】大貫 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】今野 実
(72)【発明者】
【氏名】金子 勉
【審査官】
鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−055297(JP,A)
【文献】
特開平11−066484(JP,A)
【文献】
米国特許第06177883(US,B1)
【文献】
特開2006−121532(JP,A)
【文献】
特開平08−237014(JP,A)
【文献】
特開2011−041395(JP,A)
【文献】
特開2008−109556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
E02D 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に設置される鉄蓋に形成された、上部に段部を有する外部通信用アンテナ専用の貫通孔と、前記貫通孔内に挿入される、上部に前記段部と係合する係合部を有し、下部に雄ねじが切られたシャフトと、前記貫通孔内に挿入された前記シャフトを前記鉄蓋に固定する固定手段とからなり、前記固定手段は、座金と、前記雄ねじと螺合するナットとからなり、前記シャフトは、下端が前記鉄蓋の裏面に形成された補強リブの下面から突出する長さを有し、上面には、凹陥部が形成され、前記凹陥部の下部には、挿通孔が形成され、前記シャフトの側部には、前記挿通孔に通じる開口が形成され、前記凹陥部内には、前記アンテナが収容され、前記アンテナには、マンホール内に設置された監視装置に接続される伝送ケーブルが接続され、前記座金は、前記開口と連通する取付け口が形成され、前記取付け口には、前記伝送ケーブルの保護管が取り付けられ、前記シャフトを前記貫通孔内に挿入後、前記伝送ケーブルは、前記挿通孔、前記開口および前記取付け口を通り、前記保護管と共に、前記監視装置に接続され、前記アンテナは、前記固定手段により前記シャフトと共に、前記鉄蓋に取り付けられることを特徴とする、鉄蓋への外部通信用アンテナの取付け構造。
【請求項2】
前記アンテナは、携帯電話用アンテナであることを特徴とする、請求項1に記載の、鉄蓋への外部通信用アンテナの取付け構造。
【請求項3】
前記貫通孔の前記段部および前記シャフトの前記係合部は、何れも、下細りテーパー状に形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の、鉄蓋への外部通信用アンテナの取付け構造。
【請求項4】
前記貫通孔の前記段部は、階段状に形成され、前記シャフトの前記係合部は、フランジ状に形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の、鉄蓋への外部通信用アンテナの取付け構造。
【請求項5】
前記貫通孔は、既存の前記鉄蓋に新たに形成されることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の、鉄蓋への外部通信用アンテナの取付け構造。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記鉄蓋の製造工程において形成されることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の、鉄蓋への外部通信用アンテナの取付け構造。
【請求項7】
前記シャフトは、金属製であることを特徴とする、請求項1から6の何れか1つに記載の、鉄蓋への外部通信用アンテナの取付け構造。
【請求項8】
前記アンテナは、保護カバーにより覆われ、前記凹陥部内には、充填剤が充填されていることを特徴とする、請求項1から7の何れか1つに記載の、鉄蓋への外部通信用アンテナの取付け構造。
【請求項9】
前記鉄蓋は、マンホールに設置されることを特徴とする、請求項1から8の何れか1つに記載の、鉄蓋への外部通信用アンテナの取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄蓋へのアンテナの取付け構造、特に、鉄蓋に形成した、例えば、携帯電話用アンテナ専用の貫通孔に容易かつ強固にアンテナを取り付けることができ、また、シャフトに形成された開口からの異物や雨水等の侵入を防止することができるとともに、伝送ケーブルの損傷を防止することができ、また、鉄蓋を地面に置いた際の衝撃により、シャフトの雄ねじが損傷するおそれがなく、しかも、座金を固定するナットの締付けが容易に行える、鉄蓋へのアンテナの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、埋設ガス管路からのガス漏れを検知する方法として、マンホール内に監視装置を設置し、監視装置からのガス検知信号をマンホールの鉄蓋に取り付けたアンテナから発信し、このガス検知信号を監視所等で受信する方法があった。なお、鉄蓋には、マンホール以外に設置される、例えば、通信電力分野での人が入れない手孔に設置される鉄蓋も含まれる。
【0003】
この方法によれば、埋設ガス管路からのガス漏れを遠隔検知することができるが、この際、マンホールの鉄蓋に取り付けられるアンテナは、鉄蓋上を通過する車両等の関係で、鉄蓋に強固に取り付ける必要がある。
【0004】
鉄蓋へのアンテナの取付け構造の一例が特許文献1に開示されている。以下、この鉄蓋へのアンテナの取付け構造を従来アンテナ取付け構造といい、図面を参照しながら説明する。
【0005】
図16は、従来アンテナ取付け構造を示す断面図である。
【0006】
図16に示すように、従来アンテナ取付け構造は、マンホール21の鉄蓋22に形成された、上部に段部23を有するアンテナ専用の貫通孔24と、貫通孔24内に挿入される、上部に段部23と係合する係合部25を有し、下部に雄ねじ26が切られたシャフト27と、貫通孔24内に挿入されたシャフト27を鉄蓋22に固定する固定手段28とからなっている。
【0007】
シャフト27の上面には、凹陥部29が形成され、凹陥部29内には、携帯電話用のアンテナ30が収容され、アンテナ30には、シャフト27を通りマンホール21内に設置された監視装置(図示せず)に接続される伝送ケーブル31が接続され、シャフト27を貫通孔24内に挿入後、アンテナ30は、固定手段28により固定手段28と共に、鉄蓋22に取り付けられる。固定手段28は、座金32と、シャフト27の雄ねじ26と螺合するナット33とからなっている。
【0008】
シャフト27の側部には、シャフト27の長手方向に沿って溝を切ることにより開口34が形成されている。シャフト27の長さは、シャフト27の下端が鉄蓋22の裏面に形成された補強リブ22aの下面から突出する長さであり、これによって、伝送ケーブル31は、開口34からシャフト27の外部に露出する。シャフト27の下端には、袋ナット35が螺合し、これによって、開口34が閉鎖されている。
【0009】
上記のように構成されているので、鉄蓋22を地面(GL)に置いたときに、
図16に示すように、袋ナット35が地面(GL)に当接し、伝送ケーブル31は、開口34からシャフト27の外部に露出するので、伝送ケーブル31がシャフト27の下面あるいは鉄蓋22の補強リブ22aの下面と地面(GL)との間に挟まれ、伝送ケーブル31が鉄蓋22の自重によって損傷するおそれを回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2017−55297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、従来取付け構造によれば、マンホール21の鉄蓋22に、空気孔の径より大きく、かつ、段部23を有するアンテナ専用の貫通孔24を新たに形成することによって、貫通孔24内に挿入されるシャフト27に押し込み力が作用しても、シャフト27が貫通孔24内に必要以上に押し込まれたり、貫通孔24から抜け落ちるおそれがなく、しかも、優れた機能を有するアンテナ30を容易かつ強固に鉄蓋22に取り付けることができ、さらに、シャフト27の長さを、シャフト27の下端が鉄蓋22の裏面に形成された補強リブ22aの下面から突出する長さとし、シャフト27の側部に、伝送ケーブル31が挿通する開口34を形成することによって、鉄蓋22を地面(GL)に置いたときに、伝送ケーブル31がシャフト27の下面あるいは鉄蓋22の補強リブ22aの下面と地面(GL)との間に挟まれ、伝送ケーブル31が鉄蓋22の自重によって損傷することを回避することができる。
【0012】
しかしながら、従来取付け構造には、以下のような問題があった。
(1)シャフト27の側部に形成された開口34から直接、伝送ケーブル31が露出するので、伝送ケーブル31が損傷するおそれがある。
(2)開口34から異物や雨水等がシャフト27内に侵入しやすい。
(3)鉄蓋22を地面(GL)に置いた際の衝撃が袋ナット35に伝わりやすいので、シャフト27の雄ねじ26を損傷させるおそれがある。
(4)座金32を固定するナット33が鉄蓋22の裏面に近いので、ナット33の締付け作業がやりにくい。特に、ナット33に接近する位置に補強リブ22aが形成されている場合には、ナット33の締付け作業がやりにくい。
【0013】
従って、この発明の目的は、貫通孔内に挿入されるシャフトに押し込み力が作用しても、シャフトが貫通孔内に必要以上に押し込まれたり、貫通孔から抜け落ちるおそれがなく、また、優れた機能を有する携帯電話用アンテナを容易かつ強固に鉄蓋に取り付けることができ、また、鉄蓋を地面に置いたときに、伝送ケーブルがシャフトの下面あるいは鉄蓋の補強リブの下面と地面との間に挟まれ、伝送ケーブルが鉄蓋の自重によって損傷することを回避することができ、また、シャフトに形成された開口からの異物や雨水等の侵入を防止することができるとともに、伝送ケーブルの損傷を防止することができ、また、鉄蓋を地面に置いた際の衝撃により、シャフトの雄ねじが損傷するおそれがなく、しかも、座金を固定するナットの締付けが容易に行える、鉄蓋への携帯電話用アンテナの取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とするものである。
【0015】
請求項1に記載の発明は、路面に設置される鉄蓋に形成された、上部に段部を有する外部通信用アンテナ専用の貫通孔と、前記貫通孔内に挿入される、上部に前記段部と係合する係合部を有し、下部に雄ねじが切られたシャフトと、前記貫通孔内に挿入された前記シャフトを前記鉄蓋に固定する固定手段とからなり、前記固定手段は、座金と、前記雄ねじと螺合するナットとからなり、前記シャフトは、下端が前記鉄蓋の裏面に形成された補強リブの下面から突出する長さを有し、上面には、凹陥部が形成され、前記凹陥部の下部には、挿通孔が形成され、前記シャフトの側部には、前記挿通孔に通じる開口が形成され、前記凹陥部内には、前記アンテナが収容され、前記アンテナには、マンホール内に設置された監視装置に接続される伝送ケーブルが接続され、前記座金は、前記開口と連通する取付け口が形成され、前記取付け口には、前記伝送ケーブルの保護管が取り付けられ、前記シャフトを前記貫通孔内に挿入後、前記伝送ケーブルは、前記挿通孔、前記開口および前記取付け口を通り、前記保護管と共に、前記監視装置に接続され、前記アンテナは、前記固定手段により前記シャフトと共に、前記鉄蓋に取り付けられることに特徴を有するものである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記アンテナは、携帯電話用アンテナであることに特徴を有するものである。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記貫通孔の前記段部および前記シャフトの前記係合部は、何れも、下細りテーパー状に形成されていることに特徴を有するものである。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記貫通孔の前記段部は、階段状に形成され、前記シャフトの前記係合部は、フランジ状に形成されていることに特徴を有するものである。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、前記貫通孔は、既存の前記鉄蓋に新たに形成されることに特徴を有するものである。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、前記貫通孔は、前記鉄蓋の製造工程において形成されることに特徴を有するものである。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか1つに記載の発明において、前記シャフトは、金属製であることに特徴を有するものである。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7の何れか1つに記載の発明において、前記アンテナは、保護カバーにより覆われ、前記凹陥部内には、充填剤が充填されていることに特徴を有するものである。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8の何れか1つに記載の発明において、前記鉄蓋は、マンホールに設置されることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、路面に設置される鉄蓋、例えば、マンホールの鉄蓋に、空気孔の径より大きく、かつ、段部を有する、例えば、携帯電話用アンテナ専用の貫通孔を新たに形成し、上部に前記段部と係合する係合部を有し、下部に雄ねじが切られた、アンテナが収容されたシャフトを前記貫通孔に挿入し、シャフトを、座金と前記雄ねじと螺合するナットとからなる固定手段により鉄蓋に固定することによって、シャフトに押し込み力が作用しても、シャフトが前記貫通孔内に必要以上に押し込まれたり、前記貫通孔から抜け落ちるおそれがない。
【0025】
また、この発明によれば、座金に取付け口を形成し、取付け口に保護管を取り付け、保護管内に伝送ケーブルを通すことによって、シャフトから座金、保護管に至るまでの間に伝送ケーブルが露出することがないので、シャフトの開口からの異物や雨水等の侵入を防止することができるとともに、伝送ケーブルの損傷を防止することができる。しかも、鉄蓋を地面に置いたときに、伝送ケーブルがシャフトの下面あるいは鉄蓋の補強リブの下面と地面との間に挟まれ、鉄蓋の自重によって損傷することを回避することができる。
【0026】
また、この発明によれば、シャフトの下端に袋ナットをねじ込む必要がないので、部品点数が少なくて済み、鉄蓋を地面に置いた際の衝撃により、シャフトの雄ねじが損傷するおそれがない。
【0027】
また、この発明によれば、座金を固定するナットの位置が鉄蓋の裏面から離れているので、ナットの締付け作業がやりやすい。
【0028】
また、この発明によれば、鉄蓋にアンテナ専用の貫通孔を新たに形成することによって、高性能のアンテナを鉄蓋に取り付けることができる。
【0029】
また、この発明によれば、シャフトの上面に形成した凹陥部内に、保護カバーにより覆われた、伝送ケーブルが接続されたアンテナを収容し、前記凹陥部内に充填剤を充填することにより、アンテナがユニット化されるので、アンテナの取り付けや交換が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造を示す断面図である。
【
図2】この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造の座金を示す正面図である。
【
図3】この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造の座金を示す平面図である。
【
図4】この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造の座金を示す底面図である。
【
図5】この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造の座金を示す右側面図である。
【
図6】この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造の座金を示す左側面図である。
【
図9】この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造のシャフトを示す正面図である。
【
図10】この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造のシャフトを示す平面図である。
【
図11】この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造のシャフトを示す底面図である。
【
図12】この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造のシャフトを示す右側面図である。
【
図13】この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造のシャフトを示す左側面図である。
【
図15】この発明の、鉄蓋へのアンテナの他の取付け構造を示す断面図である。
【
図16】従来アンテナ取付け構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0032】
ここで、鉄蓋には、マンホールの鉄蓋以外に、人が入れない通信電力分野の手孔等に設置される鉄蓋も含む。従って、路面に設置される鉄蓋すべてを含むが、以下、マンホールの鉄蓋を例にあげて説明する。
【0033】
図1は、この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造を示す断面図、
図2は、この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造の座金を示す正面図、
図3は、この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造の座金を示す平面図、
図4は、この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造の座金を示す底面図、
図5は、この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造の座金を示す右側面図、
図6は、この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造の座金を示す左側面図、
図7は、
図2のA−A線断面、
図8は、
図6のB−B線断面、
図9は、この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造のシャフトを示す正面図、
図10は、この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造のシャフトを示す平面図、
図11は、この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造のシャフトを示す底面図、
図12は、この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造のシャフトを示す右側面図、
図13は、この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造のシャフトを示す左側面図、
図14は、
図12のA−A線断面である。
【0034】
図1から
図14において、1は、マンホール2の鉄蓋3に形成された貫通孔であり、後述する携帯電話用アンテナ等の外部通信用アンテナ8の専用貫通孔である。貫通孔1には、上部に下細りテーパー状の段部1aが形成されている。段部1aには、後述するシャフト4の係合部4cが係合する。
【0035】
4は、
図9から
図14に示すように、貫通孔1内に挿入される金属製のシャフトである。シャフト4の上面には、凹陥部4aが形成され、シャフト4の中心部には、後述する伝送ケーブル12が挿通される挿通孔4bが形成され、シャフト4の上部には、貫通孔1の段部1aと係合する、下細りテーパー状の係合部4cが形成され、シャフト4の下部には、後述するナット7が螺合する雄ねじ4dが切られている。シャフト4は、シャフト4の下端が鉄蓋3の裏面に形成された補強リブ(図示せず。
図16参照、以下、同様)の下面から突出する長さを有し、シャフト4の側部には、伝送ケーブル12が挿通する開口4eが形成されている。
【0036】
5は、貫通孔1内に挿入されたシャフト4を鉄蓋3に固定する固定手段である。固定手段5は、座金6と、シャフト4の雄ねじ4dと螺合するナット7とからなっている。座金6には、
図2から
図8に示すように、シャフト4の開口4eと連通する取付け口6aが形成され、取付け口6aには、取付けねじ13を介して伝送ケーブル12の保護管9が取り付けられている。座金6に取付け口6aを設けたことによって、座金6が長くなるので、その分、ナット7の位置が鉄蓋3の裏面から離れるので、ナット7の締付け作業がやりやすい。
【0037】
8は、シャフト4の凹陥部4a内に収容された平面基板からなる、例えば、外部通信用アンテナとしての携帯電話用アンテナである。アンテナ8は、接着剤により凹陥部4aの内面に接着される保護カバー10により覆われ、凹陥部4a内には、充填剤11が充填されている。アンテナ8には、シャフト4の挿通孔4bを通り、マンホール2内に設置された監視装置(図示せず)に、コネクタ(図示せず)を介して接続される伝送ケーブル12が接続されている。
【0038】
このように、アンテナ8は、シャフト4内に収容され、ユニット化されているので、アンテナの取り付けや交換が容易に行える。
【0039】
この発明の、鉄蓋へのアンテナの取付け構造によれば、以下のようにして、アンテナ8が鉄蓋3に取り付けられる。
【0040】
先ず、鉄蓋3に、アンテナ8の専用の貫通孔1を形成する。貫通孔1の径は、既設の鉄蓋の空気孔より大きい。これによって、面積の大きい、高性能のアンテナ8を鉄蓋に取り付けることができる。
【0041】
なお、既に設置済みの鉄蓋であれば、穿孔具などで前述のように貫通孔1を形成するが、新品の鉄蓋の場合には、その製造工程で予め貫通孔1を形成しておいてもよい。このようにすれば、現場に鉄蓋を持ち込む時点で、既に部品が取り付いた状態になるので、現場での部品の取付け作業が不要となる。
【0042】
次に、シャフト4内に収容され、ユニット化されたアンテナ8をシャフト4と共に、鉄蓋3の貫通孔1内に挿入する。この際、シャフト4の係合部4cが貫通孔1の段部1aに係合するので、シャフト4は、常に規定位置に挿入される。この結果、シャフト4が車両の走行や故意により貫通孔1内に必要以上に押し込まれるおそれは皆無となるので、アンテナ8は、その機能を十分に発揮することができる。
【0043】
次に、座金6をシャフト4に挿入した後、ナット7をシャフト4の雄ねじ4dにねじ込む。これによって、アンテナ8が収容されたシャフト4が鉄蓋3に強固に固定される。座金6を介してシャフト4をナット7により固定することによって、鉄蓋3の厚さが薄くても、アンテナ8を収容する関係で、所定長さが必要なシャフト4を鉄蓋3に固定することができる。この際、座金6の取付け口6aに取付けねじ13によって保護管9を取り付け、シャフト4の開口4eから、連通する取付け口6aを通じて保護管9内に伝送ケーブル12を通すことによって、伝送ケーブル12が外部に露出しないので、伝送ケーブル12の損傷を防止することができる。しかも、開口4eは、シャフト4の側部に形成されていることにより、伝送ケーブル12は保護管9とともに座金6の側部から取り出されるため、鉄蓋3を地面に置いたときに、伝送ケーブル12がシャフト4の下面あるいは鉄蓋3の補強リブ3aの下面と地面との間に挟まれ、鉄蓋3の自重によって損傷することを回避することができる。
【0044】
このようにして、アンテナ8を鉄蓋3に容易かつ強固に取り付けることができる。
【0045】
上記例は、貫通孔1が上部に下細りテーパー状の段部1aが形成されている場合であるが、
図15に示すように、貫通孔1の段部1aを階段状に形成し、シャフト4の係合部4cをフランジ状に形成してもよい。
【0046】
以上説明したように、この発明によれば、路面に設置される鉄蓋3、例えば、マンホール2の鉄蓋3に、空気孔の径より大きく、かつ、段部1aを有する、例えば、携帯電話用アンテナ専用の貫通孔1を新たに形成し、上部に段部1aと係合する係合部4cを有し、下部に雄ねじ4dが切られた、アンテナ8が収容されたシャフト4を貫通孔1に挿入し、シャフト4を、座金6と雄ねじ4dと螺合するナット7とからなる固定手段5により鉄蓋3に固定することによって、シャフト4に押し込み力が作用しても、シャフト4が貫通孔1内に必要以上に押し込まれたり、貫通孔1から抜け落ちるおそれがない。
【0047】
また、この発明によれば、座金6に取付け口6aを形成し、取付け口6aに保護管9を取り付け、保護管9内に伝送ケーブル12を通すことによって、シャフト4から座金6、保護管9に至るまでの間に伝送ケーブルが露出することがないので、シャフト4の開口4eからの異物や雨水等の侵入を防止することができるとともに、伝送ケーブル12の損傷を防止することができる。しかも、鉄蓋3を地面に置いたときに、伝送ケーブル12がシャフト4の下面あるいは鉄蓋3の補強リブの下面と地面との間に挟まれ、鉄蓋3の自重によって損傷することを回避することができる。
【0048】
また、この発明によれば、シャフト4の下端に袋ナット35(
図16参照)をねじ込む必要がないので、部品点数が少なくて済み、鉄蓋3を地面に置いた際の衝撃により、シャフト4の雄ねじ4dが損傷するおそれがない。
【0049】
また、この発明によれば、座金6を固定するナット7の位置が鉄蓋3の裏面から離れているので、ナット7の締付け作業がやりやすい。
【0050】
また、この発明によれば、鉄蓋3にアンテナ専用の貫通孔1を新たに形成することによって、高性能のアンテナ8を鉄蓋3に取り付けることができる。
【0051】
また、この発明によれば、シャフト4の上面に形成した凹陥部4a内に、保護カバー10により覆われた、伝送ケーブル12が接続されたアンテナ8を収容し、凹陥部4a内に充填剤11を充填することにより、アンテナ8がユニット化されるので、アンテナ8の取り付けや交換が容易に行える。
【符号の説明】
【0052】
1:貫通孔
1a:段部
2:マンホール
3:鉄蓋
4:シャフト
4a:凹陥部
4b:挿通孔
4c:係合部
4d:雄ねじ
4e:開口
5:固定手段
6:座金
6a:取付け口
7:ナット
8:アンテナ
9:保護管
10:保護カバー
11:充填剤
12:伝送ケーブル
21:マンホール
22:鉄蓋
22a:補強リブ
23:段部
24:貫通孔
25:係合部
26:雄ねじ
27:シャフト
28:固定手段
29:凹陥部
30:アンテナ
31:伝送ケーブル
32:座金
33:ナット
34:開口
35:袋ナット