(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コネクタ部材を前記接続筒部に対して軸方向に相対移動させるように押圧することで、前記コネクタ部材が前記接続筒部の装着位置に到達する前に前記コネクタ部材及び前記接続筒部の少なくとも一方が撓み変形し、前記コネクタ部材が前記装着位置に到達したときに前記コネクタ部材及び前記接続筒部が弾性復帰することを特徴とする請求項1又は2に記載の接続装置。
前記係合部は、前記コネクタ部材の内周面から径方向内方に突出した係止爪であり、前記被係合部は、前記係合部を内部に配置可能な周方向に延びる環状溝であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の接続装置。
前記係止爪は、前記コネクタ部材が前記接続筒部に対して装着される軸方向一方の移動を許容するが、前記係止爪が前記環状溝に配置された状態で軸方向他方の移動を規制するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の接続装置。
前記接続筒部は、軸方向先端近傍の外面に前記接着面を有し、前記接着面よりも軸方向先端から奥まった位置に前記被係合部が形成されていることを特徴とする請求項1から5に記載の接続装置。
前記コネクタ部材は、前記接続筒部に内挿される内筒部と、前記接続筒部に外嵌される外筒部とを備え、前記内筒部が前記外筒部よりも軸方向において長いことを特徴とする請求項1から6に記載の接続装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の間接排水継手(又は、接続装置)は、直接の接続対象部材(継手)に対して接着手段(例えば、接着剤)を用いて接続されるように構成されている。つまり、該間接排水継手では、最終的な接続対象部材である機器の排出部が雄ねじ状である場合、雌ねじ部を有する継手を準備して、継手に間接排水継手の流入部を接着剤等で直接的に固定することが必要であった。すなわち、間接排水継手を接続対象部材(機器の排出部)に螺着手段で接続するには、中間部材として継手を準備して介在させた上で、継手を機器に螺着する工程、及び、間接排水継手を継手に接着する工程を経なければならず、設置に手間がかかることが問題であった。また、特許文献1の間接排水継手は、雄ねじ部を有する接続対象部に対する螺着手段をそれ自体で備えていないので、継手を準備できない場合において、間接排水継手を接続対象部材に接続することができない。よって、その汎用性が低いこともさらなる課題として挙げられる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の目的は、螺着手段を有する接続対象部材に対して容易に接続可能である接続装置を提供することにある。本発明の第2の目的は、螺着手段を有する接続対象部材に加えて、他の接続手段を有する接続対象部材に接続可能である接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の接続装置は、本体、及び、前記本体に装着可能に構成されたコネクタ部材を備える接続装置であって、
前記本体は、
軸方向に延びる中空筒状をなし、前記コネクタ部材
と、被接着面を有する第1の接続対象部材
とのうちのいずれか一方を選択的に
軸方向先端から接続
可能に構成された接続筒部を備え、
前記接続筒部には、前記第1の接続対象部材の前記被接着面に接着可能である接着面が設けられ、
前記コネクタ部材は、前記接続筒部の外面に形成された被係合部に軸方向で係合する係合部、及び、被螺着部を有する第2の接続対象部材に螺合可能である螺着部を備え、
前記コネクタ部材が前記接続筒部に装着された状態において、前記係合部及び前記被係合部が協働することにより、前記コネクタ部材の軸方向の移動が規制され、前記コネクタ部材の周方向の移動が許容される
ものであり、
前記接続装置への接続対象が前記第1の接続対象部材である場合、前記コネクタ部材を前記接続筒部に装着せずに、前記第1の接続対象部材を前記接続筒部に接着により接続可能であり、前記接続装置への接続対象が前記第2の接続対象部材である場合、前記コネクタ部材を前記接続筒部に装着して前記第2の接続対象部材を前記コネクタ部材に接続可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の接続装置は、請求項1に記載の接続装置において、前記螺着部は雌ねじ部であり、前記被螺着部は雄ねじ部であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の接続装置は、請求項1又は2に記載の接続装置において、前記コネクタ部材を前記接続筒部に対して軸方向に相対移動させるように押圧することで、前記コネクタ部材が前記接続筒部の装着位置に到達する前に前記コネクタ部材及び前記接続筒部の少なくとも一方が撓み変形し、前記コネクタ部材が前記装着位置に到達したときに前記コネクタ部材及び前記接続筒部が弾性復帰することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の接続装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載の接続装置において、前記係合部は、前記コネクタ部材の内周面から径方向内方に突出した係止爪であり、前記被係合部は、前記係合部を内部に配置可能な周方向に延びる環状溝であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の接続装置は、請求項4に記載の接続装置において、前記係止爪は、前記コネクタ部材が前記接続筒部に対して装着される軸方向一方の移動を許容するが、前記係止爪が前記環状溝に配置された状態で軸方向他方の移動を規制するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の接続装置は、請求項1から5のいずれか一項に記載の接続装置において、前記接続筒部は、軸方向先端近傍の外面に前記接着面を有し、前記接着面よりも軸方向先端から奥まった位置に前記被係合部が形成されていることを特徴とする
【0013】
請求項7に記載の接続装置は、請求項1から6のいずれか一項に記載の接続装置において、前記コネクタ部材は、前記接続筒部に内挿される内筒部と、前記接続筒部に外嵌される外筒部とを備え、前記内筒部が前記外筒部よりも軸方向において長いことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の接続装置は、本体、前記本体に装着可能に構成され、内面が平滑に形成された管状部材、及び、前記本体に装着可能に構成されたコネクタ部材を備える接続装置であって、
前記本体は、
軸方向に延びる中空筒状をなし、前記コネクタ部材
と、被接着面を内面に有する前記管状部材
とのうちのいずれか一方を選択的に
軸方向先端から接続
可能に構成された接続筒部を備え、
前記接続筒部の外面には、前記管状部材の前記被接着面に接着可能である接着面が設けられ、
前記コネクタ部材は、前記接続筒部の外面に形成された被係合部に軸方向で係合する係合部、及び、所定の接続対象の被螺着部に螺合可能である螺着部を備え、
前記コネクタ部材が前記接続筒部に装着された状態において、前記係合部及び前記被係合部が協働することにより、前記コネクタ部材の軸方向の移動が規制され、前記コネクタ部材の周方向の移動が許容される
ものであり、
前記管状部材が選択された場合、前記コネクタ部材が前記接続筒部に装着される代わりに、前記管状部材が前記接続筒部に接着により接続され、前記コネクタ部材が選択された場合、前記管状部材が前記接続筒部に接着される代わりに、前記コネクタ部材が前記接続筒部に装着されることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の接続装置は、請求項1から8のいずれか一項に記載の接続装置において、前記接続装置は、機器からの排水を排水管へ間接排水するために排水経路に設置される間接排水継手として構成され、
前記本体は、前記機器からの排水を流入する前記接続筒部、前記前記接続筒部からの排水を受ける受け部、前記受け部と連通して排水を前記排水管へ排出する排水部、及び、前記流入部と前記受け部とを連結し、側方に開口部を設けて内部に排水口空間を定める周壁部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の接続装置によれば、被接着面を有する第1の接続対象部材及び接続装置が相互接続される場合、コネクタ部材が接続筒部に選択的に装着されず、接続筒部の接着面及び第1の接続対象部材の被接着面が接着手段で接着される。その結果、接続装置及び第1の接続対象部材が相互接続可能である。他方、被螺着部を有する第2の接続対象部材及び接続装置が相互接続される場合、接続筒部には、(被螺着部に対応する)螺着部を有するコネクタ部材が選択的に装着される。コネクタ部材が接続筒部に装着された状態において、接続筒部の被係合部及びコネクタ部材の係合部の関係によって、コネクタ部材の接続筒部に対する軸方向の移動が規制されるとともに周方向の移動が許容される。すなわち、コネクタ部材を接続筒部に保持したまま、第2の接続対象部材の被螺着部にコネクタ部材の螺着部を宛がってコネクタ部材を回転させることで、両者を螺合可能である。その結果、接続装置及び第2の接続対象部材が相互接続可能である。よって、本発明の接続装置は、雄ねじ部を有する第2の接続対象部材に対して、直接的且つ簡単に接続可能である。したがって、本発明の接続装置は、(被接着面を有する)第1の接続対象部材及び(雄ねじ部を有する)第2の接続対象部材の両方に選択的に接続することができ、より高い汎用性を有している。
【0017】
請求項2に記載の接続装置によれば、請求項1の発明の効果に加えて、コネクタ部材内周面に螺着部としての雌ねじ部が形成されることにより、コネクタ部材の回転操作が容易となる。
【0018】
請求項3に記載の接続装置によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、コネクタ部材を接続筒部に対して軸方向に押圧することにより、コネクタ部材を接続筒部に簡単に装着することができる。また、コネクタ部材が装着位置に到達したときにコネクタ部材及び接続筒部が弾性復帰するので、コネクタ部材が不意に接続筒部から離脱することが効果的に防止される。
【0019】
請求項4に記載の接続装置によれば、請求項1から3のいずれかの発明の効果に加えて、係合部としての係合爪が被係合部としての環状溝の内部に配置されることにより、係合部及び被係合部が協働して、コネクタ部材の軸方向の移動が規制され、コネクタ部材の周方向の移動が許容される。
【0020】
請求項5に記載の接続装置によれば、請求項4の発明に加えて、係合爪の構成によって、装着状態において、係合爪が環状溝から離脱することが規制される。すなわち、コネクタ部材を接続筒部に対して離脱しないように保持することが可能である。
【0021】
請求項6に記載の接続装置によれば、請求項1から5のいずれかの発明に加えて、接続筒部の軸方向先端近傍の接着面を第1の接続対象部材の被接着面に接着させることにより、接続装置及び第1の接続対象部材を効率的に接続することができる。
【0022】
請求項7に記載の接続装置によれば、請求項1から6のいずれかの発明に加えて、コネクタ部材の内筒部が接続筒部の内周面に対向配置され、コネクタ部材の外筒部が接続筒部の外周面に対向配置されることにより、内筒部及び外筒部で接続筒部の周壁を挟み込みこんでいる。これにより、接続筒部の周壁の撓み変形が規制され、接続筒部からコネクタ部材が離脱することが防止される。
【0023】
請求項8に記載の接続装置によれば、所定の接続対象に応じて管状部材が選択される場合、コネクタ部材が接続筒部に選択的に装着される代わりに、接続筒部の接着面及び管状部材の被接着面が接着手段で接着されて、管状部材及び接続筒部が相互接続される。他方、螺着手段を有する所定の接続対象に応じてコネクタ部材が選択される場合、管状部材が接続筒部に選択的に接着される代わりに、係合部及び被係合部の係合関係によって、コネクタ部材の接続筒部に対する軸方向の移動が規制され、コネクタ部材の接続筒部に対する周方向の移動が許容されるように、コネクタ部材が接続筒部に装着される。すなわち、コネクタ部材を接続筒部に保持したまま、所定の接続対象の被螺着部にコネクタ部材の螺着部を宛がってコネクタ部材を回転させることで、両者を螺合可能である。よって、本発明の接続装置は、コネクタ部材を用いて、被螺着部を有する所定の接続対象に対して、直接的且つ簡単に接続可能である。したがって、本発明の接続装置は、接続対象との接続手段に応じて、管状部材及びコネクタ部材を選択することができ、より高い汎用性を有している。
【0024】
請求項9に記載の接続装置によれば、請求項1から8のいずれかの発明の効果を間接排水継手として発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0027】
本発明の接続装置は、本実施形態において、機器及び排水管に接続する間接排水継手として具現化される。すなわち、接続装置100は、潜熱回収型ガス給湯器である機器11のドレン排水用の排出部としての雄ねじ部12に直接的又は間接的に接続され、機器11から発生したドレン排水を排水管15に間接排水することに用いられる。ガス給湯器などの機器では、従来よりも熱効率を向上させる仕組みにより、ガス燃焼由来の凝縮水であるドレン排水が発生する。このようなドレン排水は、環境への悪影響を考慮して、定められた排水設備に間接排水されるように規制されている。この間接排水とは、衛生上問題などにより、排水の逆流を防止すべく排水経路を一旦大気中に開放し、その後、排水経路に沿って排水設備に排水するものである。なお、本実施形態の説明は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明の接続装置の技術的構成及び技術的思想が間接排水継手の用途以外の任意の用途に使用され得ることは云うまでもない。
【0028】
図1は、本実施形態の接続装置100の分解斜視図である。
図1に示すとおり、接続装置100は、間接排水継手として構成された継手本体110と、該継手本体110の内部への異物侵入を規制すべく該継手本体110に装着されたカバー体120と、継手本体110に装着されるとともに機器11の雄ねじ部12に接続されるコネクタ部材130と、継手本体110に接着されるとともに継手13を介して機器11に間接的に接続される管状部材140とを備える。なお、接続装置100において、管状部材140が省略されてもよい。あるいは、本発明において、接続装置100の構成に管状部材140を含めずに、接続装置100が接続する「第1の接続対象部材」として管状部材140を解釈してもよい。
【0029】
まず、
図2乃至
図5を参照して、本施形態の継手本体110の構成を説明する。
図2(a),(b)は、継手本体110の概略斜視図である。
図3(a)〜(d)は、継手本体110の正面図、側面図、平面図及び底面図である。
図4(a),(b)は、継手本体110のA−A断面図及びB−B断面図である。
図5は、継手本体110の分解斜視図である。
【0030】
本実施形態の継手本体110は、軸方向に延伸する中空の筒状体である。継手本体110は、撓み変形し得る合成樹脂製である。
図2に示すとおり、継手本体110は、機器11に直接的又は間接的に接続されて排水を流入する接続筒部111と、該接続筒部111と連通する流水筒部112と、該流水筒部112を包囲するとともに接続筒部111下端に連結された周壁部113と、該周壁部113の下端に連結されて該流水筒部112から流出した排水を受ける受け部116と、該受け部116と連通し、排水を排水管15へ排出するための排水部117とを備えてなる。これら接続筒部111、流水筒部112、受け部116及び排水部117は互いに同心円状に配置されている。
【0031】
接続筒部111は、
図4に示すように、軸方向に延びる中空の円筒形状を有している。接続筒部111の先端(上端)には、機器11からの排水を流入する流入口としての上流側接続口111aが形成され、該上流側接続口111aに対して機器11の雄ねじ部12が直接的又は間接的に接続される。本実施形態では、上流側接続口111aが雄ねじ部12下端の排出口に連通する。当該上流側接続口111aの大きさは接続先の対象に応じて任意に定められる。さらに、接続筒部111の先端部において、上流側接続口111aから軸方向に奥まった位置には、周方向全体に延びる環状溝111bが凹設されている。換言すると、環状溝111bの外径は、該環状溝111bよりも先端側に位置する部位(接続筒部111の先端部)よりも小径である。該環状溝111bは、後述するコネクタ部材130の係合部としての係止爪135が軸方向で係合する被係合部として機能する。つまり、環状溝111bの軸方向の幅は、係止爪135を配置可能に構成されている。また、該接続筒部111において、環状溝111bよりも先端側の部位の外周面が、後述する管状部材140(又は第1の接続対象部材)の被接着面141に接着する接着面111cとして定められている。さらに、接続筒部111の下端側には、円環状のフランジ111dが張り出し形成されている。該フランジ111d下面から周壁部113が下方に延伸している。なお、本実施形態では、接続筒部111の環状溝111bよりも奥側は、接着面111cと略同一径であるが、該接着面111cと異なった径であってもよい。
【0032】
流水筒部112は、接続筒部111の下端側に一体的に連設された直状の円筒体である。該流水筒部112は、円筒状の接続筒部111下端から縮径して下方に延伸している。流水筒部112の上端には、円形状の通水口112aが開口しており、接続筒部111の上流側接続口111aと連通している。該流水筒部112の下端には、上流側接続口111aからの排水を通水口112aを介して下方に流出させる流出口112bが開口している。該流出口112bは、半径r1を有する円形状を有する。また、流水筒部112は周壁部113内部で受け部116に近接するように所定の長さで延伸している。換言すると、流水筒部112下端の流出口112bは、受け部116から所定距離で離隔している。さらに、流水筒部112の内周面には、軸方向に延びる複数の凹条112cが凹設されている。この複数の凹条112cは、下端側で開放されており、排水が流出口112bから径方向外側に飛び散らないように流れ落ちることをガイドするように機能する。
【0033】
周壁部113は、軸方向に延伸する円筒状に形成され、接続筒部111下部と受け部116上部とを連結する。より具体的には、接続筒部111のフランジ111d下面から下方に延在し、受け部116の受け口116a縁端面に一体的に連結されている。周壁部113の側方には、排水経路を大気中に開放すべく複数(本実施形態では2つ)の開口部114が穿設されている。これにより、周壁部113の内方に排水口空間115が定められている。そして、流水筒部112が周壁部113に内挿されるように排水口空間115内部で軸方向に延伸している。開口部114は、正面及び背面の両方に矩形状に形成されており、周壁部113をその上端から下端まで切り欠いている。つまり、開口部114は、流水筒部112基端(もしくは接続筒部111下端)から受け部116上端まで開口している。これにより、開口部114が受け口116aから流出口112bよりも上方にかけて開口して、該開口部114から流出口112bとともに流水筒部112の外側面の少なくとも一部が側方に露出する。
【0034】
受け部116は、周壁部113の下方に配置され、流出口112bからの排水を受けるようにカップ状に構成されている。より具体的には、受け部116は、上側が短筒状に形成され、下側がテーパー状に縮径している。そして、受け部116上端には、上方に円形状に開口した受け口116aが設けられている。該受け口116aの内径は流出口112bの内径よりも大きい。また、受け口116aと流出口112bとが所定距離で離隔している。なお、周壁部113と受け部116とが一体的に連設されているため、両者の境界を適宜解釈可能であるが、本実施形態では、開口部114の下側の端縁を受け部116の受け口116aの周縁として定めた。
【0035】
排水部117は、受け部116のテーパー部分の下端に一体的に連設されている。該排水部117は、受け部116と連通しており、受け部116から流入した排水を該継手本体110から排水設備へと排出するように機能する。排水部117は、受け部116よりも縮径した円筒体であり、その下端に下流側接続口117aを有する。該下流側接続口117aを介して、当該継手本体110が排水管15の接続口に接続される。
【0036】
図5に示すとおり、該継手本体110は、上側部材110aと下側部材110bとが接合することにより構成される。上側部材110aには、接続筒部111及びフランジ111dが一体形成されている。下側部材110bには、周壁部113、受け部116及び排水部117が一体形成されている。上側部材110aの接続筒部111下端近傍の爪111eが周壁部113上端近傍に穿設された係合孔113aに係合するとともに、周壁部113の上端縁がフランジ111d下面に当接することにより、上側部材110a及び下側部材110bが接合される。これら部材は、嵌合によって結合されてもよく、あるいは、接着剤等で一体的に接着されてもよい。つまり、継手本体110は、一体で構成可能であるため、簡易な構成を有している。
【0037】
本実施形態では、継手本体110は合成樹脂から成形されることにより作製された。しかしながら、本発明はこれに限定されず、継手本体を金属やガラス等の他の素材で形成してもよい。また、本実施形態では、別体としての上側部材110aと下側部材110bとを組み合わせてなるが、継手本体全体を一体成形してもよい。
【0038】
次に、
図6乃至
図8を参照して、本実施形態のコネクタ部材130の構成を説明する。
図6(a),(b)は、コネクタ部材130の概略斜視図である。
図7(a)〜(d)は、コネクタ部材130の平面図、正面図、側面図及び底面図である。
図8は、コネクタ部材130のC−C断面図及びD−D断面図である。
【0039】
コネクタ部材130は、
図6乃至
図9に示すとおり、軸方向に延びる中空筒状の内筒部131、該内筒部131の径方向外側で軸方向に延びる外筒部132と、上面で内筒部131及び外筒部132を連結する上壁部133とを備える。コネクタ部材130は、合成樹脂からなり、径方向に撓むように弾性変形可能である。内筒部131は、円筒形状を有し、軸方向両側に開口している。外筒部132は、外面に多角面及び内面に円周面を有し、軸方向下方側のみに開口している。つまり、内筒部131と外筒部132との間で、上壁部133と対向する側が開口している。そして、内筒部131の方が外筒部132よりも軸方向に長尺である。また、内筒部131が接続筒部111に内挿されるとともに、外筒部132が接続筒部111に外嵌されるように構成されている。つまり、内筒部131の外径が接続筒部111の先端部内径よりも小さく、且つ、外筒部132の内径が接続筒部111の先端部外径よりも大きい。これらの径の差は、コネクタ部材130と接続筒部111との間のがたつきを抑えるべく僅かである方が好ましい。さらに、内筒部131の内周面には、雌ねじ部134が形成されている。螺着部としての雌ねじ部134は、被螺着部としての機器11の雄ねじ部12(第2の接続対象部材)に螺合するものである。なお、本実施形態では、螺着部としての雌ねじ部134は、内筒部131の開口端から途中まで形成されたものであるが、内筒部131の軸方向全体にわたって雌ねじが形成されてもよく、内筒部131の中央のみに形成されてもよい。つまり、本発明において、雌ねじ部の位置はコネクタ部材の任意に位置に定められる。
【0040】
また、
図8(a)、(b)に示すように、コネクタ部材130の外筒部132の内周面には、係合部としての係止爪135が径方向内側に突出形成されている。本実施形態では、2つの係止爪135が対向配置されている。各係止爪135の上方には、矩形状に切り欠かれた窓部136が穿設されている。窓部136を介して外部から接続筒部111の外周面を確認可能である。係止爪135は、コネクタ部材130が接続筒部111に対して装着される軸方向一方(装着方向)の移動を許容するが、係止爪135が環状溝111bに配置された状態で軸方向他方(離脱方向)の移動を規制するように構成されている。具体的には、係止爪135は、下側に傾斜したガイド面135aを有し、上側に垂直な係止面135bを有している。
【0041】
図9を参照して、コネクタ部材130を接続筒部111に装着する際の形態を説明する。
図9(a)に示すように、装着において、コネクタ部材130が接続筒部111に対して軸方向下側に押圧されると、係止爪135が接続筒部111先端部(環状溝111bよりも先端部分)を通過するときに、係止爪135が接続筒部111先端縁に当接して、外筒部132のみが径方向外側に撓み変形する。このとき、傾斜するガイド面135aが接続筒部111先端縁に当接することで、外筒部132の径方向外側に撓み変形がガイドされる。また、内筒部131外面が接続筒部111内面に対向配置されていることから、内筒部131が径方向外側に弾性的に撓み変形することが規制されている。そして、
図9(b)に示すように、係止爪135が撓み変形した状態でさらに軸方向下側に押圧されると、係止爪135が接続筒部111先端部を乗り越えて、環状溝111bに進入する。環状溝111bに係止爪135が到達すると同時に、係止爪135が原形に弾性復帰し、環状溝111b内部に配置される。
【0042】
次いで、
図10及び
図11を参照して、本実施形態の管状部材140の構成を説明する。
図10は、管状部材140の概略斜視図である。
図11(a)〜(c)は、管状部材140の平面図、正面図及びE−E断面図である。
【0043】
管状部材140は、軸方向両側に開口し、内周面が平滑に形成された軸方向に延びる長尺の合成樹脂製の中空管である。一般的に、接続対象(例えば、機器)と継手本体100との間に所定の距離で隔てて配置する必要がある場合に、管状部材140が用いられる。そして、管状部材140の長さは、上記所定の距離に応じて定められる。また、管状部材140の内周径は、両開口から軸方向に離隔するにつれて小径となる。管状部材140の最小径の部分の内径は、接続筒部111の外径とほぼ等しい。また、管状部材140の軸方向略中央では、内壁が径方向内側に張り出していることによって係止段部142が形成されている。係止段部142の上面及び下面は、内挿される接続対象が細長い場合に、接続対象を係止するように作用する。そして、管状部材140の内周面には、接続筒部111の接着面111cが接着する平滑な被接着面141が定められている。接着面111c及び被接着面141は一般的に互いに合わさって接着剤によって接着される。なお、前述したとおり、管状部材140は、接続装置の構成要素と解釈せずに、(第1の接続対象部材として)機器11の一部、もしくは、機器11と接続するための継手として解釈されてもよい。
【0044】
次に、
図12を参照して、本実施形態のカバー体120の構成を説明する。
図12(a),(b)は、カバー体120の概略斜視図である。
【0045】
図12に示すとおり、カバー体120は、透明又は半透明な合成樹脂からなり、平面(横断面)視C字形状を有する肉薄の筒状に形成されている。換言すると、カバー体120は、その両端が近接するまで円弧を描きつつ湾曲する肉薄の帯状体である。該肉薄の帯状体が板バネのように弾性変形可能である。カバー体120は、軸方向に沿って切断された略円筒状の壁部121から構成されている。この壁部121は、継手本体110の周壁部113に対応する形状を有している。より具体的には、壁部121の高さが周壁部113の高さとほぼ一致し、且つ、壁部121の内径が周壁部113の外径とほぼ一致する。つまり、カバー体120は、継手本体110の周壁部113に嵌着可能な形状で構成されている。
【0046】
また、カバー体120の壁部121には、所定の大きさの透孔領域を形成すべく、所定領域に延在するルーバー部122が設けられている。該ルーバー部122は、平面に展開された状態では矩形状であり、上下に並設された複数の羽根からなる。また、該ルーバー部122は、該壁部121の2箇所で互いに略対向する位置に形成されている。そして、該ルーバー部122の位置は、周壁部113の開口部114の位置に対応し、尚且つ、ルーバー部122の高さ及び幅は、開口部114の高さ及び幅に対応している。すなわち、
図1及び
図2に示したように、カバー体120が継手本体110に装着された状態で、各ルーバー部122が各開口部114全体を覆うことができるように構成されている。
【0047】
さらに、カバー体120の壁部121の(軸方向に亘る)切れ目は、着脱開口125として定められる。すなわち、該着脱開口125は、カバー体120の周方向で分断されて側方に開放している。換言すると、壁部121の周方向の一部が切断(又は分断)されている。カバー体120の原形態において、着脱開口125の開口幅は、継手本体110の周壁部113の外径よりも小さい。そして、カバー体120の壁部121が弾性変形することにより、着脱開口125が拡開可能である。この着脱開口125は、少なくとも周壁部113を側方から受け入れ可能な幅まで拡開可能である。換言すると、拡開状態の着脱開口125の開口幅は、継手本体110の周壁部113の外径よりも大きい。すなわち、カバー体120は、その弾性により、周壁部113に対して側方から着脱自在である
【0048】
続いて、
図13乃至
図15を参照して、コネクタ部材130を継手本体110に選択的に装着した接続装置100について説明する。
図13(a),(b)は、該接続装置100の概略斜視図である。
図14(a),(b)は、該接続装置100の正面図及び側面図である。
図15は、該接続装置100のF−F断面図である。
【0049】
コネクタ部材130は、継手本体110の接続筒部111先端部に回転可能に装着されている。そして、コネクタ部材130の内筒部131の上流側開口が継手本体110の内部空間と連通している。コネクタ部材130が接続筒部111に装着された状態において、係合部(係合爪135)及び被係合部(環状溝111b)が協働することにより、コネクタ部材130の軸方向の移動が規制され、且つ、コネクタ部材130の周方向の移動が許容されている。特には、コネクタ部材130が軸方向下方(装着方向)に移動しようとすると、上壁部133が接続筒部111の先端縁に係止される。他方、コネクタ部材130が軸方向上方(離脱方向)に移動しようとすると、係止爪135の係止面135bが環状溝111bの上側の壁面に係止される。その結果、係止爪135が環状溝111b内に維持され、コネクタ部材130の継手本体110に対する軸方向上下への相対移動が規制される。これに対し、係止爪135が環状溝111b内で周方向に自在に摺動可能であることから、コネクタ部材130は継手本体110に対して自在に相対回転可能である。コネクタ部材130の回転操作によって、雌ねじ部134を接続対象の1つである雄ねじ部12に対して自在に螺着又は螺脱することができる。
【0050】
また、
図15に示すように、コネクタ部材130の内筒部131が接続筒部111の先端の開口から内側に入り込み、外筒部132が接続筒部111の外側に位置している。つまり、内筒部131が接続筒部111の内周面に対向配置され、外筒部132が接続筒部111の外周面に対向配置されている。さらに、内筒部131が外筒部132よりも接続筒部111の深部まで延伸している。当該構成では、接続筒部111及びコネクタ部材130は、係止爪135が環状溝111b内に配置され、径方向において互いに作用することなく保持されている。それ故、各々に付加される径方向の力が互いに影響し合うことがほとんどない。具体的には、コネクタ部材130が接続対象の雄ねじ部12(被螺着部)に螺着して締め付けられても、互いに独立した部材であることから、接続筒部111に対して径方向の力が作用することが抑えられる。さらに、内筒部131及び外筒部132が接続筒部130の周壁の内周面及び外周面にそれぞれ近接又は摺接して対向配置されている。これにより、外部から外筒部132に径方向の何らかの力が加わった場合、外筒部132が径方向に撓み変形して歪んだとしても、接続筒部111及び内筒部131が互いに係合することで、接続筒部111及び内筒部131が撓み変形することが防止される。そして、内筒部131が外筒部132よりも接続筒部111の奥に延びていることにより、内筒部131と接続筒部111周壁との係合可能な面積が大きくなり、より強固に接続筒部111の変形が抑えられる。他方、内部から内筒部131に径方向の何らかの力が加わった場合、接続筒部111及び外筒部132が互いに係合することで、接続筒部111及び外筒部132が撓み変形することが防止される。すなわち、コネクタ部材130が継手本体100に装着された接続装置100において、内筒部131及び外筒部132が協働して接続筒部111の周壁を径方向から支持又は係止することによって、接続筒部111の周壁の撓み変形が抑えられている。
【0051】
続いて、
図16乃至
図18を参照して、管状部材140を継手本体110に選択的に装着した接続装置100について説明する。
図16(a),(b)は、該接続装置100の概略斜視図である。
図17(a),(b)は、該接続装置100の正面図及び側面図である。
図18は、該接続装置100のG−G断面図である。
【0052】
管状部材140は、その下流側の端部で継手本体110の接続筒部111先端部に接着固定されている。また、管状部材140の上流側の端部は、別の接続対象(本実施形態では、継手13)に接続可能である。具体的には、管状部材140が接続筒部111に外挿された状態で、接続筒部111外周面の接着面111cと管状部材140の内周面の被接着面141とが接着剤143によって接着されている。そして、
図18に示すように、管状部材140の内空間がテーパー状であることにより、接続筒部111が管状部材140に内挿された状態で、接続筒部111の先端部が管状部材140の内周面に嵌着して優先的に接着固定している。接着時、環状溝111b内に接着剤143が回り込むことにより、部材間のより強固な接着固定が可能である。また、接続筒部111の軸方向全体に亘って接着剤143を塗布することを必要としないことから、接着剤の使用量を効果的に減少させ、接着剤の固化に要する時間も短くすることができる。しかしながら、本発明は当該実施形態に限定されることなく、接続筒部111の環状溝111bよりも奥側にも接着剤が塗布されてもよく、あるいは、奥側のみに接着材が塗布されてもよい。なお、本実施形態では、管状部材140の上流側端部が接着手段によって接続対象部材に接続されるが、例えば、嵌合手段や螺着手段などの他の手段で接続されてもよい。
【0053】
すなわち、本実施形態の継手本体110は、コネクタ部材130を装着する前は、接着継手として機能し、コネクタ部材130装着するとユニオン継手として機能する。そして、管状部材140を継手本体110に接着すると、管状部材140の有する接続手段を利用することが可能となる。このように、本実施形態の接続装置100は高い汎用性を発揮し得る。
【0054】
続いて、
図19乃至
図21を参照して、本実施形態の接続装置100を介して機器11からのドレン排水を排水管15に間接排水するための第1の機器設置構造10の構成を説明する。該第1の機器設置構造10では、接続装置100のコネクタ部材130が選択的に継手本体100に装着されている。
図19は、該機器設置構造10を模式的に示す全体図である。
図20は、該機器設置構造10の分解斜視図である。
図21は、該機器設置構造10の部分断面図である。
【0055】
機器設置構造10は、機器11、該機器11に上流で接続された接続装置100、及び、該接続装置100の下流で接続された排水管15を備えてなる。
図19に示すように、機器設置構造10では、建造物の壁面に機器11が固定されている。この機器11の下面からドレン排水を排出するための筒状の排出部として雄ねじ部12が延び出ている(
図20参照)。雄ねじ部12は、下方に開口した排出口を有する。そして、該機器11の下流に排水管15が設置されている。該排水管15は、機器11の下方で縦横に延びる副排水管と、該副排水管からの排水が流れ込み排水設備へと排水する上下に延びる主排水管とから構成されている。すなわち、該機器設置構造10において、機器11と排水管15との間で上流から下流へとドレン排水を間接排水するための排水経路が形成されている。
【0056】
図20に示すように、接続装置100に装着されたコネクタ部材130が該雄ねじ部12に螺着され、コネクタ部材130を介して機器11の雄ねじ部12に継手本体110が接続される。すなわち、コネクタ部材130の雌ねじ部134の先端を雄ねじ部12の先端に宛がって、コネクタ部材130の外筒部132外周面を操作してコネクタ部材130を継手本体110に対して相対的に回転させることによって、雌ねじ部134及び雄ねじ部12が螺合する。そして、上壁部133上面が機器11の下面に圧接するまで締め付けられる。接続装置100の構造上、締め付けの際、継手本体110に径方向の力がかかることはない。また、接続装置100が機器11に連結された状態で、継手本体110がコネクタ部材130(又は機器11)に対して自在に回転可能であることから、その向きを任意に変更することができる。これにより、ルーバー部122を正面に配置させる等、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0057】
図21に示すように、コネクタ部材130の雌ねじ部134及び機器11の雄ねじ部12が強固に螺合している。これにより、継手本体110の上流側接続口111aと機器11の排出口とが連通し、接続筒部111が排水を流入可能に機器11の雄ねじ部12に接続されている。そして、継手本体110の2つの開口部114が正面及び背面に開口し、該開口部114を介して排水経路が外部空間に開放されている。このとき、流水筒部112が排水口空間115内で受け口116aに向けて延伸し、流出口112bと受け口116aとが互いに近接した距離で離隔し、開口部114から流出口112bが露出している。換言すると、開口部114が流出口112bと受け口116aとの間で開口している。また、継手本体110の周壁部113外面にカバー体120の壁部121内面が当接するようにカバー体120が継手本体110に装着されている。
【0058】
そして、その下流で継手本体110が排水管15に接続されている。より詳細には、
図21に示すように、排水部117の下方に延びる下流側接続口117aに排水管15の副排水管が内挿されて互いに接続されている。したがって、本機器設置構造10では、継手本体110を介して、機器11から発生したドレン排水が排水管15(排水設備)へと間接排水される。
【0059】
該機器設置構造10において、逆流した排水が排出部107を介して上流に上昇した場合、受け部116が排水で一杯となって受け口116aから開口部114を介して排水が外に溢れ出る。このとき、開口部114を覆うルーバー部122の透孔124を介して逆流した排水が外に吐出される。逆流する排水の水圧の大きさに応じて、最下段の透孔124から順に排水が通過する。水圧が比較的弱い逆流排水の場合、最下段の透孔124から全ての排水が吐出され得る。このような場合、最下段の透孔124の下縁と受け口114の開口縁とが同じ高さにあり、且つ、透孔124が開口部114の幅全体に亘って延びていることから、カバー体120に起因する吐水量の低下が起こらない。他方、水圧が比較的強い逆流排水の場合、水位が最下段の透孔124を超えて上昇するが、下から複数段の透孔124を介して排水が吐出され得る。これら透孔124は、開口部114の高さ方向全体に亘って並設されているので、所望の吐水量が十分に維持されている。
【0060】
次いで、
図22乃至
図24を参照して、本実施形態の接続装置100を介して機器11からのドレン排水を排水管15に間接排水するための第2の機器設置構造10’の構成を説明する。該第2の機器設置構造10’では、接続装置100の管状部材140が選択的に継手本体100に装着されている。
図22は、該機器設置構造10’を模式的に示す全体図である。
図23は、該機器設置構造10’の分解斜視図である。
図24は、該機器設置構造10’の部分断面図である。
【0061】
図22に示すように、該雄ねじ部12に継手13が螺着され、該継手13を介して機器11の雄ねじ部12に接続装置100が接続されている。より詳細には、
図23に示すように、継手本体110の接続筒部111に接着された管状部材140に継手13の先端がが嵌入されて接着されることにより、接続筒部111が排水を流入可能に機器11に接続されている。
図24に示すように、管状部材140の上側部分に継手13の先端部分が内挿され、継手13の外周面が管状部材140のテーパー状の内周面に接着剤143で接着されている。他方、管状部材140の下側部分に接続筒部111が内挿され、接続筒部111の接着面111cと管状部材140の被接着面141とが接着剤143で接着している。その結果、機器11の排出口から継手本体110の排水部117まで軸方向に延びる通水路が形成されている。すなわち、本機器設置構造10’では、機器11から離隔した位置に配置された継手本体110を介して、機器11から発生したドレン排水が排水管15(排水設備)へと間接排水される。
【0062】
図25は、接続装置100の別使用例を示している。すなわち、接続装置100において、管状部材140が省略されて、機器11の雄ねじ部12に螺着可能な継手13に対して接続筒部111が接着されてもよい。この場合、継手13が第1の接続対象部材として、雄ねじ部12が第2の接続対象部材として解釈され得る。あるいは、継手13自体が本発明の管状部材と同義として解釈されてもよい。状況に応じて、コネクタ部材130及び継手13の一方が選択されて、継手本体110に装着され得る。また、
図25では、継手13は、接続筒部111に内挿されて接着される。つまり、接続筒部111は、外周面に加えて、内周面に平滑な接着面を有してもよい。
【0063】
以下、本発明に係る一実施形態の接続装置100における作用効果について説明する。
【0064】
本実施形態の接続装置100によれば、機器設置構造10’を構築すべく管状部材140が選択される場合、コネクタ部材130が接続筒部111に選択的に装着される代わりに、接続筒部111の接着面111c及び管状部材140の被接着面141が接着手段で接着されて、管状部材140及び接続筒部111が相互接続される。他方、機器設置構造10を構築すべくコネクタ部材120が選択される場合、管状部材140が接続筒部111に選択的に接着される代わりに、係止爪135(係合部)及び環状溝111b(被係合部)の係合関係によって、コネクタ部材130の接続筒部111に対する軸方向の移動が規制され、コネクタ部材130の接続筒部111に対する周方向の移動が許容されるように、コネクタ部材130が接続筒部111に装着される。すなわち、コネクタ部材130を接続筒部111に保持したまま、機器11の雄ねじ部12(被螺着部)にコネクタ部材130の雌ねじ部134(螺着部)を宛がってコネクタ部材130を回転させることで、両者を螺合可能である。よって、本実施形態の接続装置100は、コネクタ部材130を用いて、機器11の雄ねじ部12に対して、直接的且つ簡単に接続可能である。したがって、本実施形態の接続装置100は、接続対象との接続手段に応じて、管状部材140及びコネクタ部材130を適宜選択することができ、より高い汎用性を有している。
【0065】
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態や変形例を取り得る。以下、本発明の複数の変形例を説明する。各実施形態において、下二桁が共通する構成要素は、特定のない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0066】
(1)本発明の接続装置は上記実施形態に限定されない。
図26の接続装置200では、コネクタ部材230は、機器21(第2の接続対象部材)の雌ねじ部22(被螺着部)に螺合可能である雄ねじ部134(螺着部)を外筒部132の外面に有している。すなわち、上記実施形態に対して、雌ねじと雄ねじの関係が逆であってもよく、本変形例は、上記実施形態と同様の作用効果を発揮し得る。
【0067】
(2)本発明の接続装置は上記実施形態に限定されない。
図27の接続装置300では、接続筒部311の外面に被係合部として係止爪311bが形成され、コネクタ部材330の外筒部332の内面に係合部として環状溝335が形成されている。すなわち、上記実施形態に対して、係止爪と環状溝の関係が逆であってもよく、本変形例は、上記実施形態と同様の作用効果を発揮し得る。また、係合部及び被係合部は、上記実施形態のような爪及び溝の形態でもよく、互いに軸方向に係止可能であれば、その形状寸法を問わない。例えば、係合部は、単なる凸部であってもよい。また、被係合部は、凹部や段部であってもよい。
【0068】
(3)上記実施形態の接続装置の継手本体は、軸方向に延びる円筒状に構成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、継手本体は、断面多角形状や長円もしくは楕円形状であってもよい。
【0069】
(4)上記実施形態の接続装置の継手本体は、各部位が軸方向に直線状に構成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、流入部及び排水部が接続する機器又は排水管の位置に応じて屈折又は屈曲していてもよい。
【0070】
(5)上記実施形態の接続装置では、コネクタ部材が接続筒部に対して軸方向に押圧されることによって装着されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図28の接続装置400では、コネクタ部材430の外周面に螺着部としての雄ねじ部434が設けられ、筒部分が(内筒部が形成されずに)外筒部432のみからなる。このコネクタ部材430は、2つの分割体からなる。
図28(a)に示すように、接続筒部411を挟み込むようにして、コネクタ部材430の分割体を接着させることにより、
図28(b)に示すように、コネクタ部材430を継手本体410に装着することができる。
【0071】
(6)上記実施形態の接続装置では、コネクタ部材の螺着部は内筒部内面又は外筒部外面に形成されているが、螺着部はコネクタ部材の任意の他の箇所に形成されてもよく、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、内筒部及び外筒部と独立して、上壁部から軸方向に突出した筒部の内面又は外面に雌ねじ又は雄ねじが形成されてもよい。
【0072】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。