特許第6936724号(P6936724)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

特許6936724原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置
<>
  • 特許6936724-原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置 図000002
  • 特許6936724-原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置 図000003
  • 特許6936724-原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置 図000004
  • 特許6936724-原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置 図000005
  • 特許6936724-原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置 図000006
  • 特許6936724-原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置 図000007
  • 特許6936724-原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置 図000008
  • 特許6936724-原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置 図000009
  • 特許6936724-原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置 図000010
  • 特許6936724-原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置 図000011
  • 特許6936724-原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置 図000012
  • 特許6936724-原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6936724
(24)【登録日】2021年8月31日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20210909BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   H04N1/00 519
   G03G15/00 107
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-244596(P2017-244596)
(22)【出願日】2017年12月21日
(65)【公開番号】特開2019-114829(P2019-114829A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】黒田 憲治
(72)【発明者】
【氏名】森本 泰正
【審査官】 花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/083840(WO,A1)
【文献】 特開2003−081485(JP,A)
【文献】 特開2012−236707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 13/04 −13/056
15/00
15/04 −15/047
15/056
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿載置トレイ、
前記原稿載置トレイから前記原稿を読み取る読取位置まで原稿を搬送する第1搬送路、
前記第1搬送路に続いて、前記読取位置を通過した前記原稿を搬送する第2搬送路、および
少なくとも前記第2搬送路の下面を形成する搬送路形成部材を備え、
前記搬送路形成部材には、開口部が形成され、さらに
前記開口部を開閉する蓋を備える、原稿送り装置。
【請求項2】
前記第2搬送路に配置され、前記原稿を搬送する第1搬送ローラをさらに備え、
前記開口部は、前記第1搬送ローラよりも上流側に設けられる、請求項1記載の原稿送り装置。
【請求項3】
前記第2搬送路において前記第1搬送ローラよりも原稿搬送方向上流側に配置され、前記原稿を搬送する第2搬送ローラをさらに備え、
前記開口部は、前記第2搬送ローラよりも下流側に設けられる、請求項2記載の原稿送り装置。
【請求項4】
前記第2搬送ローラは駆動ローラおよび前記駆動ローラの回転に従って回転する従動ローラを含み、前記従動ローラは、前記搬送路形成部材における前記開口部よりも原稿搬送方向上流側の窓枠部に支持される、請求項3記載の原稿送り装置。
【請求項5】
前記第2搬送路を搬送される前記原稿を検出するためのレバーをさらに備え、
前記レバーは、前記開口部の範囲内に配置される、請求項1ないし4のいずれかに記載の原稿送り装置。
【請求項6】
前記搬送路形成部材は、前記蓋が閉じられた状態で、当該蓋を保持するための第1保持部をさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の原稿送り装置。
【請求項7】
前記搬送路形成部材は、前記蓋が開かれた状態で、当該蓋を保持するための第2保持部をさらに備える、請求項1ないし6のいずれかに記載の原稿送り装置。
【請求項8】
前記蓋は、当該蓋が閉じられた状態で、前記第2搬送路を搬送される前記原稿をガイドするガイドリブを有する、請求項1ないし7のいずれかに記載の原稿送り装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の原稿送り装置と、
前記原稿を読み取る画像読取部とを備え、
前記画像読取部は、前記読取位置で前記原稿を読み取る、画像読取装置。
【請求項10】
請求項9記載の画像読取装置を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置に関し、特にたとえば、原稿載置台から給紙される原稿を搬送する、原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術の画像読取装置の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の画像読取装置は、原稿台にセットされた原稿を所定の搬送経路に沿って搬送するADF部を備え、ADF部の搬送経路には、原稿台から排出部へと搬送される原稿を搬送途中でUターンさせるUターン経路が形成される。Uターン経路よりも下流側となる下側経路に沿った位置に、ADF部のベース部材に対して回動可能に可動部材が取り付けられている。この可動部材は、ADF部が開かれた際には自重で開位置へと変位し、ADF部が閉じられた際には自重で閉位置へと変位する。また、可動部材は、閉位置へ変位した際には下側経路を形成する壁面として機能し、開位置へ変位した際には下側経路の一部を開放する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−76830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像読取装置では、原稿の搬送経路の一部が可動部材によって形成されているので、搬送経路の機械的強度が不足し、搬送経路がゆがんで搬送中の原稿の斜め送り等の搬送不良が発生するという問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、原稿の搬送不良を防止するとともに、原稿の搬送経路に残留した紙片等を簡単に除去することができる、原稿送り装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、原稿載置トレイ、第1搬送路、第2搬送路、搬送路形成部材および蓋を備える原稿送り装置である。第1搬送路は、原稿載置トレイから原稿を読み取る原稿読取位置まで原稿を搬送する。第2搬送路は、第1搬送路に続いて、原稿読取位置を通過した原稿を搬送する。搬送路形成部材は、少なくとも第2搬送路の下面を形成する。また、搬送路形成部材には、開口部が形成される。蓋は、開口部を開閉する。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に従属する原稿送り装置であって、第2搬送路に配置され、原稿を搬送する第1搬送ローラをさらに備え、開口部は、第1搬送ローラよりも上流側に設けられる。
【0009】
第3の発明は、第2の発明に従属する原稿送り装置であって、第2搬送路において第1搬送ローラよりも原稿搬送方向上流側に配置され、原稿を搬送する第2搬送ローラをさらに備え、開口部は、第2搬送ローラよりも下流側に設けられる。
【0010】
第4の発明は、第3の発明に従属する原稿送り装置であって、第2搬送ローラは駆動ローラおよび駆動ローラの回転に従って回転する従動ローラを含み、従動ローラは、搬送路形成部材における開口部よりも原稿搬送方向上流側の窓枠部に支持される。
【0011】
第5の発明は、第1ないし第4のいずれかの発明に従属する原稿送り装置であって、第2搬送路を搬送される原稿を検出するためのレバーをさらに備え、レバーは、開口部の範囲内に配置される。
【0012】
第6の発明は、第1ないし第5のいずれかの発明に従属する原稿送り装置であって、搬送路形成部材は、蓋が閉じられた状態で、当該蓋を保持するための第1保持部をさらに備える。
【0013】
第7の発明は、第1ないし第6のいずれかの発明に従属する原稿送り装置であって、搬送路形成部材は、蓋が開かれた状態で、当該蓋を保持するための第2保持部をさらに備える。
【0014】
第8の発明は、第1ないし第7のいずれかの発明に従属する原稿送り装置であって、蓋は、当該蓋が閉じられた状態で、第2搬送路を搬送される原稿をガイドするガイドリブを有する。
【0015】
第9の発明は、第1ないし第8のいずれかの発明の原稿送り装置と、原稿を読み取る原稿読取部とを備え、原稿読取部は、原稿読取位置で原稿を読み取る、画像読取装置である。
【0016】
第10の発明は、第9の発明の画像読取装置を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、原稿の搬送不良を防止するとともに、原稿の搬送経路に残留した紙片等を簡単に除去することができる。
【0018】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、この発明の第1実施例である原稿送り装置を備える画像形成装置の内部構造の一例を示す図解図である。
図2図2は、原稿送り装置の内部構造を示す概略断面図であり、蓋が閉じられた状態を示す。
図3図3は、原稿送り装置の内部構造を示す概略断面図であり、蓋が開かれた状態を示す。
図4図4は、蓋が閉じられた状態の原稿送り装置の内部構造の一部を拡大した概略断面図である。
図5図5は、蓋が開かれた状態の原稿送り装置の内部構造の一部を拡大した概略断面図である。
図6図6は、蓋が閉じられた状態の原稿送り装置を下から見た図である。
図7図7は、蓋を省略した状態の原稿送り装置を下から見た図である。
図8図8は、シート部材を取り付けた状態の画像読取部の構造を示す斜視図である。
図9図9は、シート部材を省略した状態の画像読取部の構造を示す斜視図である。
図10図10は、第2実施例における原稿送り装置の内部構造を示す概略断面図であり、蓋が閉じられた状態を示す。
図11図11は、第3実施例における蓋が開かれた状態の原稿送り装置を下から見た図である。
図12図12は、第3実施例における原稿送り装置の内部構造の一部を拡大した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施例]
以下、図面を適宜参照して、この発明の第1実施例の原稿送り装置を適用した画像読取部14およびそれを備える画像形成装置10について説明する。図1は、原稿送り装置の一例である原稿送り装置22を備える画像形成装置10の内部構造を示す図解図である。図2は、蓋70が閉じられた状態の原稿送り装置22の内部構造を示す概略断面図である。図3は、蓋70が開かれた状態の原稿送り装置22の内部構造を示す概略断面図である。
【0021】
図1ないし図3を参照して、この発明が適用され得る画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有するフルカラー複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。ただし、この発明が適用できる画像形成装置は少なくともスキャナ機能を有する装置であればよく、実施例に限定されるものではない。
【0022】
なお、この明細書では、画像形成装置10およびその構成部材の上下方向(縦方向)を、図1の紙面を見た場合の上下方向に規定する。また、画像形成装置10を正面から見た場合の水平方向のうち、向かって左側を左方向に規定し、向かって右側を右方向に規定する。さらに、画像形成装置10を上方(下方)から見た場合の奥行き方向のうち、画像形成装置10の前面側を前方向(正面方向)に規定し、画像形成装置10の背面側を後方向(背面方向)に規定する。
【0023】
画像形成装置10は、本体12および本体12の上方に配置される画像読取部14を含む。本体12内の所定位置には、画像形成装置10の各部位の動作を制御する制御部102が設けられる。制御部102は、CPUおよびメモリ等を備え、タッチパネルおよび操作ボタン等を含む操作部(図示せず)への入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
【0024】
画像形成部78は、露光ユニット80、現像器82、感光体ドラム84、クリーナユニット86、帯電器88、中間転写ベルトユニット90、転写ローラ(2次転写ローラ)92および定着ユニット94等を備え、給紙カセット96または手差し給紙カセット98から搬送される用紙(記録紙)上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排出トレイに排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部14で読み取った画像データや外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0025】
このような本体12内には、給紙カセット96または手差し給紙カセット98に載置された用紙をレジストローラ114、転写ローラ92および定着ユニット94を経由させて排紙トレイに送るための第1用紙搬送路S1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット94を通過した後の用紙を、転写ローラ92の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路S1に戻すための第2用紙搬送路S2が形成される。この第1用紙搬送路S1および第2用紙搬送路S2には、用紙に補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ116が適宜設けられる。
【0026】
画像形成装置10において片面印刷を行う際には、給紙カセット96または手差し給紙カセット98に載置された用紙がピックアップローラ118によって1枚ずつ第1用紙搬送路S1に導かれ、搬送ローラ116によってレジストローラ114まで搬送される。そして、レジストローラ114によって、用紙の先端と中間転写ベルト上の画像情報の先端とが整合するタイミングで転写ローラ92に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット94を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融して固着され、搬送ローラ116を経て排紙トレイ(図示せず)上に用紙が排出される。
【0027】
一方、両面印刷を行う際には、片面印刷が終了して定着ユニット94を通過した用紙の後端部が排紙トレイの近傍の搬送ローラ116まで到達したとき、この搬送ローラ116を逆回転させることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路S2に導かれる。第2用紙搬送路S2に導かれた用紙は、搬送ローラ116によって第2用紙搬送路S2を搬送されて、レジストローラ114の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路S1に導かれる。この時点で用紙の表裏は反転されるので、その後、転写ローラ92および定着ユニット94を用紙が通過することによって、用紙の裏面に印刷が行われる。
【0028】
画像読取部14は、原稿載置部16および原稿押えカバー18を備える。原稿載置部16は、透明材によって形成される原稿載置台16aを上面に有する筐体を備える。また、原稿載置部16の筐体の前面側には、ユーザによる入力操作を受け付けるタッチパネルおよび操作ボタン等の操作部(図示せず)が設けられる。
【0029】
図1ないし図3に示すように、原稿載置部16の筐体内には、たとえば主走査方向(図1図2および図3の紙面に直交する方向)に配列された複数のLEDを含み、副走査方向(図1図2および図3の紙面に平行な方向)に移動可能な光源ユニット24、光源ユニット24の移動速度の1/2の移動速度で、副走査方向に移動可能なミラーユニット26、結像レンズおよびラインセンサ等を備える撮像部28が設けられる。画像読取部14は、原稿表面を光源ユニット24によって露光し、原稿表面から反射した反射光をミラーユニット26によって撮像部28の結像レンズ(図示せず)に導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサ(図示せず)の受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等を用いる。
【0030】
また、原稿載置部16の上方には、ヒンジ182(図8および図9参照)等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を、画像読取ガラスを配置した読取位置(画像読取位置)P1(図2および図3参照)に対して1枚ずつ自動的に給紙して、読取位置P1を超えて排出トレイ30まで原稿を搬送する原稿送り装置の一例であるADF22が設けられる。
【0031】
画像読取部14では、図2および図3に示すように、光源ユニット24の所定のホームポジション(読取位置P1)が設定される。この画像読取部14では、原稿移動方式(原稿載置トレイ20に載置された原稿の画像を読み取る方式)による読取時には、光源ユニット24を読取位置P1に停止させた状態で、原稿送り装置22により副走査方向に搬送される原稿が読取位置P1を通過するときに光源ユニット24の出射光で照射し、当該原稿表面の画像を読み取り、その画像データが取得される。また、固定読取方式(原稿載置台16aに載置された原稿の画像を読み取る方式)では、光源ユニット24およびミラーユニット26を副走査方向に移動させることによって、原稿載置台16aに載置されている原稿表面の画像を読み取り、その画像データが取得される。
【0032】
以下、図2および図3を参照して、原稿送り装置22の構造について詳細に説明する。なお、この明細書における「上流」または「下流」とは、原稿送り装置22の原稿搬送方向(原稿搬送方向)における「上流」または「下流」を意味する。
【0033】
原稿押えカバー18は、原稿押えカバー18(原稿送り装置22)の略上半分を構成する第1部材62および原稿押えカバー18(原稿送り装置22)の略下半分を構成する第2部材(搬送路形成部材に相当)64を備える。原稿送り装置22に含まれる各コンポーネントは、第1部材62または第2部材64に取り付けられる。
【0034】
原稿が載置される原稿載置トレイ20は、第1部材62に形成される。また、原稿が排出される排出トレイ30は、第2部材64に形成される。さらに、第1部材62および第2部材64によって、原稿が搬送される原稿搬送路(原稿搬送路)が形成される。この原稿搬送路は、原稿載置トレイ20に載置される原稿を読取位置P1へ搬送するための第1搬送路32と、読取位置P1を通過した原稿を排出トレイ30へ搬送するための第2搬送路34とを含む。
【0035】
原稿載置トレイ20には、原稿の表面が上側を向くように載置されている。また、原稿載置トレイ20の上面には、幅方向(原稿搬送方向から見た左右の方向)に移動可能な一対のサイドガイドが設けられる。サイドガイドは、原稿載置トレイ20に載置された原稿を幅方向の両側から規制して整列させるものである。原稿載置トレイ20は、読取位置P1に対して右側に配置されている。なお、読取位置P1は、画像読取部14の中央よりも左側(たとえば原稿載置台16aの左側端部)に設定された任意の位置であり、原稿移動方式による読取時に原稿読取ガラス38を介して光源ユニット24から光が照射される位置である。
【0036】
排出トレイ30は、原稿載置トレイ20の下方に配置され、原稿の表面が下側を向くように排出される。また、排出トレイ30は、読取位置P1に対して右側に配置されている。すなわち、排出トレイ30および原稿載置トレイ20は、副走査方向において、読取位置P1に対して同じ側(右側)に配置されている。
【0037】
第1搬送路32および第2搬送路34によって構成される原稿搬送路は、正面から見て略U字状に形成されている。具体的には、第1搬送路32は、読取位置P1に対する右側かつ上側に位置する原稿載置トレイ20から、読取位置P1の上側を通って読取位置P1よりも左側まで一方方向(左方向)に延び、読取位置P1よりも一方方向側(左側)の位置において下方に向きを変えながら読取位置P1まで他方方向(右方向)に延びるように形成されている。すなわち、第1搬送路32は、読取位置P1の上方を跨ぎ、読取位置P1へ向けて下方向に折り返すように形成されている。つまり、第1搬送路32は、正面から見て下向きのJ字状に形成されている。
【0038】
第2搬送路34は、第1搬送路32の下方において、第1搬送路32に続いて、読取位置P1から排出トレイ30まで他方方向(右方向)へ延びるように形成されている。
【0039】
第1搬送路32には、上流側から順に、ピックアップローラ40、給紙ローラ42、分離ローラ44、搬送ローラ46および搬送ローラ48が設けられる。また、第2搬送路34には、上流側から順に、搬送ローラ(第2搬送ローラに相当)50、搬送ローラ(第1搬送ローラに相当)52および排出ローラ54が設けられる。
【0040】
ピックアップローラ40は、第1搬送路32の上面側であって原稿載置トレイ20の近傍に配置され、上下動可能に設けられる。このピックアップローラ40は、原稿載置トレイ20に載置された原稿を上から順に原稿送り装置22の内部(第1搬送路32)に取り込む。
【0041】
給紙ローラ42は、第1搬送路32の上面側であってピックアップローラ40の下流側の近傍に配置される。この給紙ローラ42は、ピックアップローラ40によって原稿載置トレイ20から取り出された原稿を第1搬送路32に送り出す。また、原稿送り装置22は、ピックアップローラ40および給紙ローラ42を支持し、第1部材62に上下動可能に取り付けられるピックアップホルダ422を備える。ピックアップローラ40は、このピックアップホルダ422によって、給紙ローラ42の回転軸を中心として上下動可能に支持される。
【0042】
分離ローラ44は、第1搬送路32を挟んで給紙ローラ42の下方に配置される。この分離ローラ44は、複数の原稿が重なった状態で第1搬送路32へ搬送されること(重送)を防止するために設けられる。たとえば、分離ローラ44は、ウレタン系樹脂などの高摩擦係数の素材によって形成される。この分離ローラ44は、図2および図3に示すように、圧縮ばねによって給紙ローラ42の外周面に所定の圧力(分離圧)で当接するように上方に付勢される。また、分離ローラ44は、その表面と原稿との摩擦係数が、給紙ローラ42の外周面と原稿との摩擦係数よりも小さく、かつ、原稿同士の摩擦係数よりも大きくなるように設定される。さらに、図示は省略するが、分離ローラ44に所定の回転負荷を与えるトルクリミッタが設けられても良い。トルクリミッタが設けられた場合、分離ローラ44は、所定のトルク以下であれば回転しない。
【0043】
また、原稿送り装置22は、原稿載置トレイ20に載置された原稿を給紙ローラ42と分離ローラ44とのニップ部に案内するための案内部材(案内シート)442を備える。この案内シート442は、分離ローラ44の上流側に設けられ、可撓性を有する材料からなり、シート状をなす。また、案内シート442は、下流側に行くに連れて上方に傾斜するように設けられる。
【0044】
搬送ローラ46は、第1搬送路32において、給紙ローラ42および分離ローラ44よりも下流側に配置され、搬送ローラ48よりも上流側に配置される。つまり、搬送ローラ46は、給紙ローラ42および分離ローラ44と、搬送ローラ48との間に配置される。この搬送ローラ46は、ピックアップローラ40および給紙ローラ42によって搬送された原稿を搬送ローラ48へ搬送する。
【0045】
搬送ローラ48は、第1搬送路32において、搬送ローラ46と読取位置P1との間に配置される。具体的には、搬送ローラ48は、読取位置P1近傍の上流側に配置されている。この搬送ローラ48は、搬送ローラ46によって搬送された原稿を読取位置P1へ搬送する。
【0046】
搬送ローラ50は、第2搬送路34において、読取位置P1よりも下流側に配置され、搬送ローラ52よりも上流側に配置される。つまり、搬送ローラ50は読取位置P1と、搬送ローラ52との間に配置される。この搬送ローラ50は、読取位置P1を通過した原稿を搬送ローラ52へ搬送する。
【0047】
搬送ローラ52は、第2搬送路34において、搬送ローラ50と、排出ローラ54との間に配置される。この搬送ローラ52は、搬送ローラ50によって搬送された原稿を排出ローラ54へ搬送する。
【0048】
排出ローラ54は、第2搬送路34において、搬送ローラ52よりも下流側に配置される。具体的には、排出ローラ54は、第2搬送路34の下流側の端部に配置される。この排出ローラ54は、搬送ローラ52によって搬送された原稿を排出トレイ30へ搬送(排出)する。
【0049】
ピックアップローラ40および給紙ローラ42は、図示しないモータなどの駆動源により回転駆動される。また、分離ローラ44は、給紙ローラ42の回転に従って回転する。
【0050】
さらに、搬送ローラ46、48、50、52および排出ローラ54のそれぞれは、駆動源により回転駆動される駆動ローラおよび駆動ローラの回転に従って回転する従動ローラを含む。ただし、搬送ローラ46、48、50および52のそれぞれの駆動ローラと、搬送ローラ46の従動ローラと、排出ローラ54の従動ローラとは、第1部材62に取り付けられる。また、搬送ローラ48、50および52のそれぞれの従動ローラと、排出ローラ54の駆動ローラとは、第2部材64に取り付けられる。
【0051】
ただし、給紙ローラ42、搬送ローラ46、48、50、52および排出ローラ54は、それぞれ互いに所定の間隔で配置される。具体的には、給紙ローラ42、搬送ローラ46、48、50、52および排出ローラ54のそれぞれの隣のローラとの距離(第1搬送路32または第2搬送路34沿いの距離)は、原稿送り装置22搬送される最小サイズ(たとえば名刺サイズ)の原稿の原稿搬送方向の大きさ(長さ)よりも短い距離に設定される。
【0052】
また、搬送ローラ46の近傍の上流側には、レバー58が回動可能に設けられている。さらに、搬送ローラ48の近傍の上流側には、レバー66が回動可能に設けられている。さらにまた、搬送ローラ52の近傍の上流側(搬送ローラ50および搬送ローラ52の間)には、レバー72が回動可能に設けられている(図4および図5参照)。レバー58およびレバー66は、第1搬送路32を塞ぐ位置に配置されている。また、レバー58およびレバー66は、原稿が第1搬送路32を搬送される際に、原稿により押し下げられるように構成されている。また、レバー72は、搬送ローラ50および搬送ローラ52の間であり、第2搬送路34を塞ぐ位置に配置されている。また、レバー72は、原稿が第2搬送路34を搬送される際に、原稿により押し下げられるように構成されている。
【0053】
そして、レバー58、レバー66およびレバー72のそれぞれの近傍には、レバー58またはレバー66が押し上げられたことを検出するセンサ(図示せず)が設けられている。センサは、たとえば、フォトインタラプタである。制御部102(図1)は、センサの出力に応じて、原稿が搬送ローラ46の近傍の上流側に位置しているか否か、原稿が搬送ローラ48の近傍の上流側に位置しているか否か、または原稿が搬送ローラ52の近傍の上流側に位置しているか否かを判断する。つまり、レバー72が押し上げられたことに応じて、第1搬送路32および第2搬送路34を搬送される原稿の位置が検出される。
【0054】
このような構成の原稿送り装置22では、ピックアップローラ40および給紙ローラ42によって第1搬送路32に送り出された原稿は、第1搬送路32を通って複数の搬送ローラによって読取位置P1まで搬送される。そして、原稿が読取位置P1を搬送される間に、画像読取部14によって原稿の表面の画像が読み取られる。読取位置P1を通過した原稿は、第2搬送路34を搬送されて、排出トレイ30に排出される。
【0055】
このような構成の従来の画像読取装置では、読取位置よりも下流側となる下側経路に沿った位置に、原稿押えカバーの筐体に対して回動可能に可動部材が取り付けられることがある。この可動部材は、原稿押えカバーが開かれた際には自重で開位置へと変位し、原稿押えカバーが閉じられた際には自重で閉位置へと変位する。また、可動部材は、閉位置へ変位した際には下側経路の幅方向の全体を形成する壁面として機能し、開位置へ変位した際には下側経路の一部を開放する。
【0056】
しかしながら、従来の画像読取装置では、下側経路の幅方向の全体が可動部材によって形成されているので、搬送経路の機械的強度が不足し、搬送経路がゆがんで搬送中の原稿の斜め送り等の搬送不良が発生するという問題がある。
【0057】
そこで、この第1実施例では、第2部材64に第2搬送路34の一部を開放する開口部642を設けることによって、搬送経路の機械的強度ないし剛性を確保しつつ、原稿の搬送経路に残留した紙片等を簡単に除去することができるようにしてある。
【0058】
図4は、蓋が閉じられた状態の原稿送り装置22の内部構造の一部を拡大した概略断面図である。図5は、蓋が開かれた状態の原稿送り装置22の内部構造の一部を拡大した概略断面図である。図6は、蓋70が閉じられた状態の原稿送り装置22を下から見た図である。図7は、蓋70を省略した状態の原稿送り装置22を下から見た図である。図8は、シート部材74を取り付けた状態の原稿送り装置22の構造を示す斜視図である。図9は、シート部材74を省略した状態の原稿送り装置22の構造を示す斜視図である。
【0059】
図2ないし図7に示すように、第2部材64には、第2搬送路34の一部を開放する開口部642が設けられる。
【0060】
具体的には、図2ないし図5に示すように、開口部642は、原稿搬送方向において、搬送ローラ50よりも下流側に形成される。具体的には、開口部642は、原稿搬送方向において、搬送ローラ50および搬送ローラ52の間に形成される。ただし、搬送ローラ50および搬送ローラ52の間とは、少なくとも搬送ローラ50の回転軸と搬送ローラ52の回転軸の間を意味する。
【0061】
また、図4ないし図7に示すように、開口部642は、下方(上方)から見た場合に、搬送ローラ50および搬送ローラ52のそれぞれのローラ(駆動ローラおよび従動ローラ)にかからない(重ならない)ように設けられる。
【0062】
さらに、第2部材64には、搬送ローラ50の従動ローラ504を支持するローラ支持部502および搬送ローラ52の従動ローラ524を支持するローラ支持部552が設けられる。ローラ支持部502およびローラ支持部552は、たとえば軸受および押さえ部材等を含む。ローラ支持部502は、第2部材64における開口部642の上流側の窓枠部652に設けられ、ローラ支持部552は、第2部材64における開口部642の下流側の窓枠部654に設けられる。
【0063】
また、図6および図7に示すように、ローラ支持部502(上流側の窓枠部652)は、搬送ローラ50の従動ローラ504の右側(原稿搬送方向下流側)の一部または全部を覆う壁(リブ)502aを含む。さらに、ローラ支持部552(下流側の窓枠部654)は、搬送ローラ52の従動ローラ524の左側(原稿搬送方向上流側)の一部または全部を覆う壁(リブ)522aを含む。
【0064】
このように、開口部642は、下方(上方)から見た場合に、ローラ支持部502(上流側の窓枠部652)およびローラ支持部552(下流側の窓枠部654)の間に形成される。具体的には、開口部642は、下方(上方)から見た場合に、搬送ローラ50の従動ローラ504の右側を覆う壁502aおよび搬送ローラ52の従動ローラ524の左側を覆う壁522aの間に形成される。
【0065】
また、開口部642は、下方(上方)から見た場合に、略矩形状に形成される。開口部642の幅方向(原稿搬送方向から見た左右の方向)の大きさは、少なくとも原稿搬送路(第2搬送路34)の幅方向の大きさよりも小さく設定される。さらに、開口部642の幅方向の大きさは、原稿送り装置22搬送される最大サイズの原稿の幅方向の大きさ(長さ)よりも小さく設定される。
【0066】
また、開口部642は、幅方向において、搬送ローラ50および搬送ローラ52に対応する位置に設けられる。具体的には、開口部642の前面側の端部の位置は、搬送ローラ50(従動ローラ504)および搬送ローラ52(従動ローラ524)の前面側の端部の位置と略同じである。また、開口部642の背面側の端部の位置は、搬送ローラ50(従動ローラ504)および搬送ローラ52(従動ローラ524)の背面側の端部の位置と略同じである。つまり、開口部642は、幅方向において、搬送ローラ50(従動ローラ504)および搬送ローラ52(従動ローラ524)の前面側の端部の位置から搬送ローラ50(従動ローラ504)および搬送ローラ52(従動ローラ524)の背面側の端部の位置に亘って形成される。このことは、開口部642は、幅方向において、搬送ローラ50および搬送ローラ52のニップ部を含むように設けられるとも言える。
【0067】
さらに、図面からは分かり難いが、開口部642には、開口部642を形成する開口端の内壁から開口部642の中心に向かって立ち上がるリブが形成される。リブは、開口部642を形成する開口端のうち、少なくとも前面側および背面側(第2搬送路34を搬送される原稿の幅方向の両端部)に形成される。具体的には、前面側のリブは、開口部642を形成する開口端の前面側の内壁から背面側に立ち上がるように形成される。背面側のリブは、開口部642を形成する開口端の背面側の内壁から前面側に立ち上がるように形成される。これらのリブによって、開口部642を含む第2部材64の強度ないし剛性を高めることができる。
【0068】
また、第2部材64には、開口部642を覆うための蓋70が設けられている。ただし、蓋70は、開口部642を開閉可能に設けられる。蓋70は、合成樹脂からなる部材であり、開口部642を形成する開口端に対応する形状(略矩形状)をなし、開口部642に嵌まるように構成される。
【0069】
蓋70の第2部材64への取付け構造について説明する。なお、この明細書では、蓋70が第2部材64に取り付けられ、開口部642を閉塞した状態(蓋70が閉じられた状態)における原稿搬送方向の上流側を蓋70の上流側に規定し、蓋70が第2部材64に取り付けられ、開口部642を閉塞した状態における原稿搬送方向の下流側を蓋70の下流側に規定する。
【0070】
図4および図5に示すように、蓋70は、回動軸部702および係合部704を含む。回動軸部702は、蓋70の下流側端部に設けられ、幅方向の側面(前面側の側面および背面側の側面)に形成された円柱状の2つの突起(軸部)である。つまり、蓋70の前面側の側面および背面側の側面のそれぞれに軸部が形成される。ただし、2つの軸部は、同軸上に形成される。
【0071】
また、図面からは分かり難いが、開口部642を形成する開口端の内壁には、回動軸部702の軸部に対応する位置に、軸受として機能する凹部(軸受部)644が形成される。たとえば、軸受部644は、開口部642を形成する開口端の原稿搬送方向から見て左右の内壁の下流側端部に形成される円柱状の穴(孔)である。
【0072】
そして、軸受部644に、回動軸部702の軸部が嵌め込まれることによって、蓋70が回動可能に第2部材64に取り付けられる。
【0073】
係合部704は、蓋70の上流側端部に設けられ、蓋70の幅方向の中央または略中央に設けられる。係合部704は、第1係合爪7042および第2係合爪7044を含む。第1係合爪7042は、蓋70の上流側の側面から上流側に向かって突出する。また、第2係合爪7044は、蓋70の上流側の先端部から下方向に向かって突出する。
【0074】
また、第2部材64には、第1係合爪7042に対応する第1係合片646および第2係合爪7044に対応する第2係合片648が形成される。
【0075】
第1係合片646は、開口部642を形成する開口端(上流側の窓枠部652)の上流側の内壁に形成される。この第1係合片646は、蓋70が閉じられた状態で第1係合爪7042に対応する位置に設けられ、その位置から下流側に向かって突出するように形成される。ただし、第1係合片646の位置および第1係合爪7042の位置は、第1係合爪7042が第1係合片646に係合した状態で、第1係合爪7042と第1係合片646とが上下方向において僅かに干渉するようにそれぞれ設定されている。このため、図4に示すように、第1係合爪7042が第1係合片646に係合されると、蓋70が閉じられた状態で、蓋70の上流側(図4における反時計回り)への回動が規制される。つまり、蓋70が閉じられた状態で保持される。なお、原稿送り装置22が使用される場合には、第1係合爪7042が第1係合片646に係合され、蓋70が閉じられた状態にされる。
【0076】
第2係合片648は、第2部材64の下面であって、搬送ローラ52よりも下流側の所定の位置に設けられる。この第2係合片648は、蓋70が開かれた状態で第2係合爪7044に対応する位置に設けられ、その位置から上流側に向かって突出するように形成される。ただし、第2係合片648の位置および第2係合爪7044の位置は、第2係合爪7044が第2係合片648に係合した状態で、第2係合爪7044と第2係合片648とが上下方向において僅かに干渉するようにそれぞれ設定されている。このため、図5に示すように、第2係合爪7044が第2係合片648に係合されると、蓋70が開かれた状態(第2搬送路34が開放された状態)で、蓋70の下流側(図5における時計回り)への回動が規制される。つまり、蓋70が開かれた状態で保持される。
【0077】
図5に示すように、蓋70を開いた状態では第2搬送路34が開放(露出)されるので、第2搬送路34に残留した紙片等を除去することができる。ただし、図8に示すように、原稿送り装置22の下面(第2部材64の下面)には、原稿押えカバー18が閉状態の場合に原稿載置台16aに載置される原稿と接触するシート部材74が取り付けられる。このため、第2搬送路34を開放するためには、図9に示すように、原稿送り装置22の下面からシート部材74を取り外した状態で、蓋70を開いて、第2搬送路34を開放することができる。このとき、シート部材74は、原稿送り装置22の下面から全部が取り外された状態でも良いし、蓋70および開口部642が露出する程度に一部(たとえば左半分)が取り外された状態でも良い。
【0078】
したがって、作業者は、蓋70を開いて、第2搬送路34を開放し、第2搬送路34に残留した紙片等を簡単に除去することができる。このとき、蓋70を下流側へ回動させて第2係合爪7044を第2係合片648に係合させることによって、蓋70が開かれた状態で保持され、第2搬送路34が開放された状態を維持することができるので、作業がし易い。また、作業が終了した場合には、蓋70を上流側へ回動させて第1係合爪7042を第1係合片646に係合させることによって、蓋70を閉じて開口部642を閉塞した状態(原稿送り装置22が使用される状態)にすることができる。
【0079】
また、図2および図4に示すように、蓋70が閉じられた状態では、蓋70の上面が、第2搬送路34の一部を構成する。つまり、蓋70の上面(第2搬送路34側の表面)が、第2搬送路34を搬送される原稿のガイド部材として機能する。ここで、蓋70の上面全体が原稿のガイド部材として機能しても良いし、蓋70の上面の一部にガイドリブを設け、ガイドリブの上面が原稿のガイド部材として機能するようにしても良い。ただし、ガイドリブは、たとえば原稿搬送方向に沿って延びる複数のリブを含んでも良い。この場合、複数のリブのそれぞれは、第2搬送路34を搬送される原稿の幅方向(前後方向)に所定間隔で並ぶように設けられる。このように、蓋70の上面によって原稿をガイドするので、原稿の搬送不良を防止することができる。
【0080】
さらに、図7に示すように、原稿が搬送ローラ52の近傍の上流側に位置しているか否かを判断するためのレバー72は、開口部642の範囲内に配置される。このため、原稿送り装置22を下から見た場合に、蓋70が開かれた状態(第2搬送路34が開放された状態)では、開口部642からレバー72が露出する。したがって、レバー72に紙が引っかかったりした場合でも、蓋70を開いて、第2搬送路34を開放することによって、第2搬送路34に残留した紙片等を簡単に除去することができる。
【0081】
この第1実施例によれば、第2部材64に第2搬送路34の一部を開放する開口部642を設けるので、第2搬送路34を形成する第2部材64の機械的強度ないし剛性を確保しつつ、第2搬送路34に残留した紙片等を簡単に除去することができる。
【0082】
また、第1実施例によれば、開口部642は、原稿搬送方向において、搬送ローラ50および搬送ローラ52の間に形成されるので、開口部642の大きさを最小限にすることができ、第2搬送路34を形成する第2部材64の機械的強度ないし剛性を確保することができる。
【0083】
なお、第1実施例では、蓋70の回動軸部702が突起(軸部)であり、第2部材64(開口部642を形成する開口端の内壁)に軸部に対応する凹部(軸受部)を設けるようにしたが、蓋70に凹部(軸受部)を設け、開口部642を形成する開口端の内壁に突起(軸部)を設けるようにしてもよい。
【0084】
また、第1実施例では、蓋70に第1係合爪7042および第2係合爪7044を設け、第2部材64に第1係合爪7042に対応する第1係合片646および第2係合爪7044に対応する第2係合片648を設けるようにしたが、蓋70に係合片を設け、第2部材64に当該係合片に対応する係合爪を設けるようにしてもよい。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10は、蓋70の回動軸部702を上流側に設けるとともに蓋70の係合部704を下流側に設け、蓋70の第2部材64への取付け構造を変更した以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、重複する説明は省略または簡略化する。また、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を用いて説明することにする。
【0085】
図10は、第2実施例における原稿送り装置22の内部構造を示す概略断面図である。図10に示すように、第2実施例では、蓋70の回動軸部702は、蓋70の上流側の端部に設けられる。また、蓋70の係合部704は、蓋70の下流側の端部に設けられる。
【0086】
また、図からは分かり難いが、開口部642を形成する開口端の原稿搬送方向から見て左右の内壁の上流側端部に、蓋70の回動軸部702に対応する軸受部が形成される。さらに、開口部642を形成する開口端の下流側に、第1係合爪7042に対応する第1係合片646が形成される。
【0087】
この第2実施例によれば、第1実施例と同様に、第2搬送路34を形成する第2部材64の機械的強度ないし剛性を確保しつつ、第2搬送路34に残留した紙片等を簡単に除去することができる。
[第3実施例]
第3実施例は、搬送ローラ50を省略するようにした以外は、第1実施例の構成と同じであるため、重複する説明は省略または簡略化する。また、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を用いて説明する。
【0088】
図11は、第3実施例における原稿送り装置22を下から見た図である。図12は、第3実施例における原稿送り装置22の内部構造の一部を拡大した概略断面図である。
【0089】
第3実施例では、図11および図12に示すように、第1実施例において読取位置P1と搬送ローラ52との間に配置されていた搬送ローラ50が省略される。また、第3実施例では、第2部材64に設けられていた搬送ローラ50の従動ローラ504を支持するローラ支持部502も省略される。
【0090】
第3実施例では、開口部642は、原稿搬送方向において、第2部材64における開口部642の上流側の窓枠部652および搬送ローラ52の間に形成される。ただし、第2部材64における開口部642の上流側の窓枠部652は、原稿搬送方向に所定の長さ(たとえば15mm〜25mm程度)を有する。
【0091】
この第3実施例では、第1実施例と同様に、第2搬送路34を形成する第2部材64の機械的強度ないし剛性を確保しつつ、第2搬送路34に残留した紙片等を簡単に除去することができる。
【0092】
なお、第3実施例に示した態様は、第2実施例にも組み合わせて採用することが可能である。
【0093】
以上説明したように、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。上で挙げた具体的な実施例は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 …画像形成装置
22 …原稿送り装置
62 …第1部材
64 …第2部材
642…開口部
646…第1係合片
648…第2係合片
70 …蓋
702…回動軸部
704…係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12