(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無機有機ハイブリッド材料は、金属又は半金属のアルコキシドと、有機ケイ素化合物又はフッ素置換有機珪素化合物との反応によって得られるものである、請求項1に記載の画像形成装置用転写部材。
前記基材層を構成する樹脂が、ポリイミド、ポリアミドイミド、及び、ポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置用転写部材。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.画像形成装置用転写部材
本発明の画像形成装置用転写部材は、基材層と、前記基材層の表面上に設けられた無機有機ハイブリッド材料からなるコート層とを有し、前記コート層の厚みが10μm以下であり、前記コート層表面の微小硬度が、バーコビッチ圧子を用い、押し込み深さ0.05μmで、ISO14577−1に準拠した方法で測定した場合に、140mN/mm
2以上であることを特徴とする。
本発明の画像形成装置用転写部材は、基材層と、コート層とを有する。各層について、以下に詳述する。
【0017】
(a)基材層
本発明の画像形成装置用転写部材における基材層は、駆動時にかかる応力によるベルトの変形を回避するため、引張、圧縮等の外力に対する耐久性に優れた材料で構成される。基材層は、後述する樹脂を含む基材層形成用組成物によって形成される。
【0018】
基材層を構成する樹脂としては、画像形成装置用の転写部材(例えば、中間転写ベルト)の基材層に求められる物性を充足し得る樹脂であれば特に限定されないが、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド等を挙げることができ、これらの樹脂から1種を選択して単独で使用してもよく、2種以上の樹脂を含む混合物として使用してもよい。これらの樹脂の中でも、好ましくはポリイミド、ポリアミドイミド、及び、ポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
【0019】
基材層の形成に使用されるポリイミドは、通常、モノマー成分としてテトラカルボン酸二無水物とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合して製造される。
【0020】
前記テトラカルボン酸二無水物の種類については、特に制限されないが、例えば、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、アゾベンゼン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等の酸二無水物が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
前記ジアミンの種類については、特に制限されないが、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノビフェニル、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。これらのジアミンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
前記ジイソシアネートとしては、前記したジアミン成分におけるアミノ基がイソシアネート基に置換した化合物等が挙げられる。
【0023】
また、基材層の形成に使用されるポリアミドイミドは、トリメリット酸とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合して製造される。この場合、ジアミン又はジイソシアネートは、前記のポリイミドの原料と同じものを用いることができる。また、縮重合の際に用いられる溶媒としては、ポリイミドの場合と同様のものを挙げることができる。
【0024】
また、基材層の形成に使用されるポリアミドとしては、特に限定されず、種々の公知のものを用いることができる。例えば、ポリアミド6(ポリ(ε−カプロラクタム))、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド11(ポリ(ウンデカンラクタム))、ポリアミド12(ポリ(ラウリルラクタム))等、及びこれらの共重合体、例えばポリアミド6−66共重合体、ポリアミド6−610共重合体等の、脂肪族ポリアミドが挙げられる。これらのポリアミドを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
中でも、吸水率が小さいポリアミドを用いることが好ましい。吸水率が小さいポリアミドを用いることにより、環境による寸法変動を抑制することができる。また、基材層に導電性を付与する場合、電気抵抗値の環境変動を低減させることができる。ここでいう吸水率とは、乾燥オーブン内で100℃、24時間、試料を乾燥させた後に、23℃、50%RH環境下において24時間放置した後の試料の単位重量あたりに増加した重量をいう。前記吸水率は1.0wt%以下、好ましくは0.8wt%以下である。
【0026】
前記吸水率の小さい(1.0wt%以下)ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド11(吸水率0.9wt%)、ポリアミド12(吸水率0.8wt%)等が挙げられる。特に好ましくは、ポリアミド12である。
【0027】
また、基材層は、導電剤を含むものであってもよい。本発明の画像形成装置用転写部材に適した導電性を備えるために、基材層には導電剤が含まれていることが好ましい。導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等の導電性炭素系物質;アルミニウム、銅合金等の金属又は合金;酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等が挙げられる。これらの導電剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせ使用してもよい。これらの導電剤の中でも、好ましくは導電性炭素系物質、更に好ましくはカーボンブラックが挙げられる。
【0028】
基材層における導電剤の含有割合については、特に制限されないが、例えば5〜30質量%が挙げられる。
【0029】
基材層の厚さは、駆動時にベルトにかかる応力や外力に対する耐久性を考慮して適宜設定され得るが、例えば30〜160μm、好ましくは30〜120μm、より好ましくは50〜100μmが挙げられる。
【0030】
基材層は、樹脂、溶媒、及び必要に応じて添加される添加剤を含む基材層形成用組成物を用いて所望のベルト状に成形することによって形成することができる。
【0031】
例えば、ポリイミドを含む基材層を形成する場合であれば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、溶媒中で反応させて、一旦ポリアミック酸溶液とし、更に、必要に応じて添加される添加剤をポリアミック酸溶液中に分散させた基材層形成用組成物を使用することが好ましい。
【0032】
前記ポリアミック酸溶液において使用される溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン系有機極性溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの溶媒の中でも、好ましくはNMPが挙げられる。
【0033】
前記基材層形成用組成物における固形分濃度については、特に制限されないが、例えば10〜40質量%が挙げられる。ここで、固形分濃度とは、基材層を形成する成分の総量の濃度であり、基材層形成用組成物において基材層の形成時に揮発して除去される成分以外の濃度を示す。
【0034】
前記基材層形成用組成物の調製方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂、溶媒、及び必要に応じて添加される添加剤(導電剤等)等の材料を配合した後ボールミル等を用いて混合する方法が挙げられる。
【0035】
(b)コート層
本発明の画像形成装置用転写部材におけるコート層は、直接トナーを乗せ、トナーを記録媒体へ転写、離型するための層である。このため、コート層は、本発明の画像形成装置用転写部材において、少なくともトナーと接する側の基材層表面に設けられる。
【0036】
本発明の画像形成装置用転写部材において、コート層は、無機有機ハイブリッド材料からなり、厚みが10μm以下であり、前記コート層表面の微小硬度が、バーコビッチ圧子を用い、押し込み深さ0.05μmで、ISO14577−1に準拠した方法で測定した場合に、140mN/mm
2以上である。このような特定の材料からなり、特定範囲の厚みと表面微小硬度を有するコート層を備えるため、本発明の画像形成装置用転写部材は、表面に凹凸を有する記録媒体に対する転写性に優れる。本発明の画像形成装置用転写部材が転写性に優れる理由としては、本発明におけるコート層は硬度が高く、且つ導電性を有する。そのため、前記コート層を備えることにより、基材層の局所的な導電性と硬度が均一化され、その結果、前記転写部材の転写性が向上したと推測される。また、本発明の画像形成装置用転写部材は、耐久性にも優れる。
【0037】
本発明の画像形成装置用転写部材は、コート層表面において、微小硬度が140mN/mm
2以上である。なお、前記微小硬度は、ISO14577−1に準拠した方法で測定される値であり、バーコビッチ圧子を用い、押し込み深さ0.05μmの条件下で測定される値である。
前記微小硬度の値としては、転写性又は耐久性がより優れる点で、140〜600mN/mm
2がより好ましく、300〜600mN/mm
2が更に好ましい。
基材層がポリイミドで形成されている場合は、本発明の転写部材の二次転写性を向上させ得る点で、前記微小硬度は、好ましくは300mN/mm
2以上であり、より好ましくは300〜600mN/mm
2である。
【0038】
コート層の厚みは、10μm以下である。10μm以下であると、前述の範囲の微小硬度を有するコート層とすることができる。コート層の厚みは、本発明の転写部材の耐久性がより優れる点で、好ましくは1〜10μmであり、より好ましくは1〜6.5μmである。
【0039】
(無機有機ハイブリッド材料)
コート層は、無機有機ハイブリッド材料からなる。本発明の転写部材は無機有機ハイブリッド材料から形成されるコート層を備えるため、耐久性にも優れる。また、コート層が形成されても基材層の導電性への影響が小さいため、転写部材として必要な導電性を適度に保持することができる。前記コート層は、ゾルゲル法によって、無機有機ハイブリッド材料から形成されることが好ましい。前記ゾルゲル法は、ゾル液を基材層の表面に塗布した後、前記ゾル液を脱水処理(加熱処理)してゲル化させ、コート層とするものである。
【0040】
前記コート層を構成する無機有機ハイブリッド材料は、無機成分としての金属又は半金属のアルコキシドと、有機成分としての有機ケイ素化合物又はフッ素置換有機ケイ素化合物等との反応によって得られるものが好ましい。
【0041】
前記アルコキシドを形成する金属又は半金属の種類としては、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、カドミウム、タンタル等のアルコキシドを形成し得る金属または半金属が挙げられる。
【0042】
また、アルコキシドの種類は特に限定されることなく、例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が挙げられ、更には、アルコキシ基の一部をβ−ジケトン、β−ケトエステル、アルカノールアミン、アルキルアルカノールアミン等で置換したアルコキシド誘導体であってもよい。
【0043】
前記有機ケイ素化合物としては、例えば、ジアルキルジアルコキシシラン、末端シラノールポリジメチルシロキサン等を使用することが出来る。前記ジアルキルジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン等が挙げられる。前記末端シラノールポリジメチルシロキサンは、分子量が400〜10000であるのものが好ましい。
また、前記フッ素置換有機ケイ素化合物としては、前記有機ケイ素化合物の水素をフッ素で置換したものを例示することができる。そのような化合物としては、例えば、CF
3CH
2CH
2−Si(OC
2H
5)
3等が挙げられる。
【0044】
前記コート層を形成するには、まず、前記金属又は半金属のアルコキシドの加水分解物と、前記有機ケイ素化合物又はフッ素置換有機ケイ素化合物の有機成分とを反応させ、ゾル液を調製する。前記有機成分は、加水分解前のアルコキシドに対して配合してもよいし、加水分解したアルコキシドに対して配合してもよい。
【0045】
このとき使用する溶媒としては、アルコキシド及び有機成分を均一に分散、溶解できる溶媒であれば特に限定されることなく、例えば、メタノール、エタノール等の各種アルコールの他、アセトン、トルエン、キシレン等が挙げられる。なお、前記アルコキシドの加水分解反応を促進させるために、塩酸、リン酸、酢酸等の触媒を適宜使用してもよい。
【0046】
なお、この末端シラノールポリジメチルシロキサンとアルコキシドとを反応させると、アルコキシドのアルコキシ基が水酸基に置換され、その水酸基が末端シラノールポリジメチルシロキサンの末端のシラノール基と脱水・縮合反応を起こし、エラストマーが形成される。
【0047】
以上のようにして得られるゾル液は、攪拌等によってアルコキシドを十分加水分解するとともに、一部脱水重合を行うことにより、前記基材層に対する密着性を向上させることができる。
【0048】
得られたゾル液を前記基材層の表面に塗布する方法としては、公知の方法を利用することができ、例えば、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、フローコート等の方法を利用することが出来る。
【0049】
前記基材層の表面に塗布したゾル液は、脱水乾燥して最終的にコート層とする。前記脱水乾燥は、自然乾燥によって行ってもよいが、通常は、加熱処理によって行う。前記加熱処理の条件は、所定範囲の微小硬度を有するコート層を形成することができるのであれば特に限定されず、通常60〜450℃×20秒〜7時間で設定できる。塗布工程は、1回だけでなく、複数回行ってもよい。すなわち、コート層は、1コートからなるものであってもよいし、複数コートからなるものであってもよい。
【0050】
コート層を形成するための前記無機有機ハイブリッド材料のゾル液として、市販品を使用することができる。本発明に適用可能な無機有機ハイブリッド材料の市販品としては、例えば、ニットーボーメディカル社製の製品名HB11B、HB21BN、HB31BN、X11008等が挙げられる。
【0051】
他の層
本発明の画像形成装置用転写部材は、上述した基材層及びコート層以外に、本発明の効果を損なわないことを限度として、他の層が設けられていてもよい。例えば、基材層とコート層との間に、弾性層を有していてもよいし、これらの層間の密着性を向上させるために接着性樹脂を含むプライマー層を必要に応じて有していてもよい。
前記弾性層としては、ゴム弾性樹脂から形成される層が挙げられ、好ましくはウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム又はウレタンゴムから形成される層が挙げられる。
【0052】
画像形成装置用転写部材
本発明の画像形成装置用転写部材は、画像形成装置において転写部材として使用されるものである。具体的には、本発明の画像形成装置用転写部材は、中間転写ベルトであることが好ましい。
中間転写ベルトの形状は、継目のない(シームレス)形状であることが望ましい。また、中間転写ベルトの総厚みは、通常50〜150μmであり、好ましくは50〜90μmである。
本発明の転写部材が適用される画像形成装置の種類については、特に限定されず、例えば、複写機、プリンター、ファクシミリ等が挙げられる。
【0053】
本発明の画像形成装置用転写部材は、表面に凹凸を有する記録媒体に対する転写性に優れる。前記表面に凹凸を有する記録媒体としては、例えば、レザック紙等のエンボス加工紙等が挙げられる。
【0054】
本発明の画像形成装置用転写部材の鉛筆硬度は、4H以上が好ましく、転写性がより優れる点で、8H以上がより好ましい。なお、本明細書における鉛筆硬度は、本発明の画像形成装置用転写部材のコート層側表面においてJIS K5600−5−4に準拠した方法で測定して得られる値である。
【0055】
本発明の画像形成装置用転写部材の表面抵抗率と、基材層の表面抵抗率との差が、1×10
-0.8〜1×10
1.8Ω/□であることが好ましい。
また、本発明の画像形成装置用転写部材の体積抵抗率と、基材層の体積抵抗率との差が、1×10
-0.8〜1×10
1.6Ω・cmであることが好ましい。
本発明の画像形成装置用転写部材は、基材層上にコート層を有するものであるが、その表面抵抗率及び体積抵抗率は、基材層のみの場合の表面抵抗率及び体積抵抗率との差が小さいことが好ましい。前記差が小さいと、例えば、基材層の表面抵抗率又は体積抵抗率への、コート層の影響が小さく、転写部材全体の表面抵抗率又は体積抵抗率は、基材層の導電剤の添加量で調整することができ、設計が容易となる等の利点がある。
【0056】
本発明の画像形成装置用転写部材は、表面抵抗率が1×10
9〜1×10
14Ω/□であることが好ましい。表面抵抗率が上述の範囲であると、残存トナーの離型性や、静電クリーニング装置によって残存トナーを除去する静電クリーニング性能に優れたものとなり、より良好な画質を得ることができる。前記表面抵抗率は、1×10
10〜1×10
14Ω/□がより好ましく、1×10
10〜1×10
13Ω/□が更に好ましい。
本明細書における表面抵抗率は、後述する実施例において記載される方法により測定される値である。
【0057】
本発明の画像形成装置用転写部材は、体積抵抗率が1×10
8〜1×10
14Ω・cmであることが好ましい。体積抵抗率が上述の範囲であると、残存トナーの離型性や、静電クリーニング装置によって残存トナーを除去する静電クリーニング性能に優れたものとなり、より良好な画質を得ることができる。前記体積抵抗率は、1×10
8〜1×10
13Ω・cmがより好ましく、1×10
8〜1×10
12Ω・cmが更に好ましい。
本明細書における体積抵抗率は、後述する実施例において記載される方法により測定される値である。
【0058】
画像形成装置用転写部材の製造方法
本発明の画像形成装置用転写部材の製造方法については、前述の基材層と、前記基材層上に設けられたコート層とを有する転写部材が得られる限り特に限定されないが、例えば、画像形成装置用転写部材が中間転写ベルトである場合、下記の工程を含む方法が挙げられる。
(1)基材層形成用組成物を用いてベルト状の基材層を形成する工程、
(2)前記(1)で形成されたベルト状の基材層の表面に無機有機ハイブリッド材料のゾル液を塗布してコート層を形成する工程。
【0059】
以下、各工程について説明する。本発明の画像形成装置用転写部材の製造方法において使用する原料やその含有量等は前述の通りである。
【0060】
工程(1) (ベルト状の基材層の形成)
工程(1)では、基材層形成用組成物を用いてベルト状の基材層を形成する。基材層は、前述した基材層形成用組成物を成形して形成することができる。成形方法としては、特に限定されず、用いる基材層形成用組成物に応じて、公知の方法を適宜選択すればよい。例えば、基材層形成用組成物の樹脂としてポリイミドを用いる場合は、遠心成型を行うとよく、ポリアミドを用いる場合は、押出成形を行うとよい。以下に、遠心成型と押出成形による基材層の形成について、説明する。
【0061】
基材層形成用組成物を遠心成型して基材層を形成する方法
工程(1)では、基材層形成用組成物を遠心成型してベルト状の基材層を形成する。遠心成型は、円筒状金型等を用いて行うことができる。基材層形成用組成物の使用量は、得られる基材層の厚みが前述する範囲となるように調整すればよい。
【0062】
遠心成型によってシームレスのベルト状に樹脂を成形する方法については公知であり、本工程(1)は公知の遠心成型の方法に従って実施できる。以下に、ポリイミドによってベルト状に成形された基材層を形成する場合を例に挙げて、本工程(1)について説明する。
【0063】
基材層の遠心成型は、基材層形成用組成物を投入した円筒状金型を回転させながら加熱することにより行うことができる。加熱は、回転ドラム(円筒状金型)の内面を徐々に昇温し100〜190℃程度、好ましくは110〜130℃程度に到達せしめる(第1加熱段階)。昇温速度は、例えば、1〜2℃/分程度であればよい。前記の温度で20分〜2時間維持し、およそ半分以上の溶剤を揮発させて自己支持性のある管状ベルトを成形する。また、第1加熱段階における回転ドラムの回転速度は重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度であることが好ましい。一般に、重力加速度(g)は、9.8(m/s
2)である。
【0064】
遠心加速度(G)は、下記式(I)から導かれる。
G(m/s
2)=r・ω
2=r・(2・π・n)
2 (I)
ここで、rは円筒金属の半径(m)、ωは角速度(rad/s),nは1秒間での回転数を示す。前記式(I)より、円筒状金型の回転条件を適宜設定することができる。
【0065】
次に、第2段階加熱として、280〜400℃程度、好ましくは300〜380℃程度で処理してイミド化を完結させる。この場合も、第1段階加熱温度から一挙にこの温度に到達するのではなく、徐々に昇温して、その温度に達するようにすることが望ましい。なお、第2段階加熱は、管状ベルトを回転ドラムの内面に付着したまま行ってもよい、また第1加熱段階終了後に、回転ドラムから管状ベルトを剥離し、取り出して別途イミド化のための加熱手段に供して、280〜400℃になるように加熱してもよい。このイミド化の所用時間は、通常20分〜3時間程度が挙げられる。
以上のようにして、ベルト状の基材層を形成することができる。
【0066】
基材層形成用組成物を押出成形してベルト状の基材層を形成する方法
工程(1)では、基材層形成用組成物を押出成形してベルト状の基材層を形成する。押出成形は、押出機、金型(ダイ)等を用いて行うことができる。基材層形成用組成物の使用量は、得られる基材層の厚みが前述する範囲となるように調整すればよい。
【0067】
押出成形によってベルト状に樹脂を成形する方法については、公知であり、本工程(1)は公知の押出成形の方法に従って実施できる。以下に、ポリアミドによってベルト状に成形された基材層を形成する場合を例に挙げて、本工程(1)について説明する。
【0068】
まず、ポリアミドおよび必要に応じて導電剤を混合し、基材層形成用組成物を調製する。混合には、公知の混合手段を適用可能であり、例えば二軸押出機を用いることができる。二軸押出機を用いる場合、バレル温度約160〜250℃で加熱混練して十分に分散混合することが好ましい。
【0069】
次に、前記基材層形成用組成物について、押出成形を行う。押出成形には、公知の押出成形手段を適用可能であり、例えば単軸押出機と押出成型用のサーキュラーマンドレルダイを用いることができる。得られる基材層の厚みは、サーキュラーマンドレルのリップ幅及び押出成型条件を適宜設定して調節することができる。吐出後のチューブの形状を精度よく保持するために、ダイ出口にエアーリング等のマンドレルを使用してもよい。また、二軸押出機の先端にサーキュラーマンドレルダイを設置することにより、一度にエンドレスベルトを成形することも可能である。
【0070】
押出成形により、基材層は連続したチューブとして得られるので、中間転写ベルトとして使用する場合には、必要な幅で横断し、ベルトとして使用できるようにする。
以上のようにして、ベルト状の基材層を形成することができる。
【0071】
工程(2) コート層の形成
前記工程(1)で形成されたベルト状の基材層の表面にコート層形成用組成物を塗布してコート層を形成する。コート層形成用組成物としては、無機有機ハイブリッド材料のゾル液等が挙げられる。前記無機有機ハイブリッド材料のゾル液は、無機成分としての金属または半金属のアルコキシドと、有機成分としての有機ケイ素化合物又はフッ素置換有機珪素化合物を含むことが好ましい。無機有機ハイブリッド材料については、前述のとおりである。
コート層は、前記コート層形成用組成物を用いたゾルゲル法により形成されることが好ましい。
【0072】
ベルト状の基材層の表面にコート層形成用組成物を塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、フローコート等の塗布方法が挙げられる。コート層形成用組成物の塗布量は、得られるコート層の厚みが前述する範囲となるように適宜調整すればよい。
【0073】
前記基材層の表面にコート層形成用組成物を塗布した後に、加熱処理に供する。加熱処理条件は、コート層が形成される限り特に限定されないが、例えば80〜100℃で1〜2時間の条件で加熱処理に供するとよい。前記加熱処理により、溶媒が揮発し、基材層上にコート層が形成される。
【0074】
また、更に他の層を形成する場合は、前記他の層を形成するための組成物を調製し、前記他の層を形成するための組成物を用いて公知の方法により他の層を形成するとよい。
【0075】
このようにして、基材層とコート層とを備えた、本発明の画像形成装置用転写部材が製造される。
【実施例】
【0076】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0077】
<実施例1>
中間転写ベルトの製造
以下の手順で、基材層、コート層を形成し、シームレスの中間転写ベルトを製造した。
【0078】
(基材層形成)
窒素流通下、N−メチル−2−ピロリドン488gに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)47.6gを加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させた。この溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを除々に添加し、ポリアミック酸溶液605.6gを得た。このポリアミック酸溶液の数平均分子量は19,000、粘度は43ポイズ、固形分濃度は18.1質量%であった。
【0079】
次に、このポリアミック酸溶液450gに、酸性カーボンブラック(pH3.0)21gとN−メチル−2−ピロリドン80gを加えて、ボールミルにてカーボンブラック(CB)の均一分散を行って、基材層形成用組成物を得た。基材層形成用組成物中の固形分濃度は18.5質量%、該固形分中のカーボンブラック濃度は21.6質量%であった。次いで、基材層形成用組成物273gを回転ドラム内に注入し、次の条件で製膜した。
【0080】
回転ドラム:内径301.5mm、幅540mmの内面鏡面仕上げの金属ドラムが2本の回転ローラー上を載置し、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した。
【0081】
加熱温度:該ドラムの外側面に遠赤外線ヒータを配置し、該ドラムの内面温度が120℃に制御されるようにした。
【0082】
まず、回転ドラムを回転した状態で273gの基材層形成用組成物をドラム内面に均一に塗布し、加熱を開始した。加熱は1℃/分で120℃まで昇温して、その温度で60分間その回転を維持しつつ加熱した。
【0083】
回転、加熱が終了した後、冷却せずそのまま回転ドラムを離脱して熱風滞留式オーブン中に静置してイミド化のための加熱を開始した。この加熱も徐々に昇温しつつ320℃に達した。そして、この温度で30分間加熱した後常温に冷却して、該ドラム内面に形成された基材層を剥離し取り出した。得られたベルト状の基材層は厚さ79.5μm、外周長944.2mm、表面抵抗率1×10
10.0Ω/□、体積抵抗率1×10
10.3Ω・cmであった。
【0084】
(コート層の積層)
無機有機ハイブリッド材料である「HB11B」(製品名、無機有機ハイブリッド、固形分24質量%、ニットーボーメディカル社製)をコート層形成用組成物として用意した。次いで、
図1に示すように、前記で得られた基材層3を円筒状の金型4の外周面上に設置し、コート層形成用組成物1が溜まった液槽2を前記外周面上で移動させることで、コート層形成用組成物1を基材層3の外表面に塗布した(ディップ法)。そして、空気雰囲気下、100℃で60分間焼成し、厚さ1.8μmのコート層が形成された、基材層とコート層とからなる中間転写ベルトを製造した。
【0085】
<実施例2>
「HB11B」の代わりに「HB21BN」(製品名、無機有機ハイブリッド、固形分24質量%、ニットーボーメディカル社製)を用い、コート層の膜厚を1.1μmとした以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0086】
<実施例3>
「HB11B」の代わりに「HB21BN」(製品名、無機有機ハイブリッド、固形分24質量%、ニットーボーメディカル社製)を用い、コート層の膜厚を2.2μmとした以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0087】
<実施例4>
基材層形成用組成物中のカーボンブラック濃度を22.7質量%とし、「HB11B」の代わりに「HB21BN」(製品名、無機有機ハイブリッド、固形分24質量%、ニットーボーメディカル社製)を用い、コート層の膜厚を2.2μmとした以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0088】
<実施例5>
基材層形成用組成物中のカーボンブラック濃度を20.1質量%とし、「HB11B」の代わりに「HB21BN」(製品名、無機有機ハイブリッド、固形分24質量%、ニットーボーメディカル社製)を用い、コート層の膜厚を2.1μmとした以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0089】
<実施例6>
「HB11B」の代わりに「HB21BN」(製品名、無機有機ハイブリッド、固形分24質量%、ニットーボーメディカル社製)を用い、コート層の膜厚を6.1μmとした以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0090】
<実施例7>
「HB11B」の代わりに「HB21BN」(製品名、無機有機ハイブリッド、固形分24質量%、ニットーボーメディカル社製)を用い、コート層の膜厚を8.1μmとした以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0091】
<実施例8>
「HB11B」の代わりに「HB21BN」(製品名、無機有機ハイブリッド、固形分24質量%、ニットーボーメディカル社製)を用い、コート層の膜厚を9.2μmとした以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0092】
<実施例9>
(基材層形成)
ポリアミド樹脂(PA12、3020U、宇部興産社製)100質量部にカーボンブラックを20質量部添加したものを、φ30mm二軸押出機、ヘッド温度200℃にてコンパウンディングを行い、原料ペレットを製造した。この原料ペレットを、φ50mm押出機、スクリューL/D 25、ダイス口径Φ200mm、ダイギャップ0.135、ダイス温度210℃で押出成形して、外径φ180mm、膜厚120μm、表面抵抗率1×10
10.4Ω/□、体積抵抗率1×10
10.6Ω・cmのシームレスベルトを製膜した。
【0093】
(コート層の積層)
基材層として前述の押出成形で得られたベルトを用い、実施例1と同様の方法で厚み1.5μmのコート層を基材層上に形成し、中間転写ベルトを製造した。
【0094】
<実施例10>
コート層の厚みを3.1μmとした以外は、実施例9と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0095】
<実施例11>
「HB11B」の代わりに「HB31BN」(製品名、無機有機ハイブリッド、ニットーボーメディカル社製)を使用し、コート層の膜厚を7.2μmとした以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0096】
<実施例12>
「HB11B」の代わりに「X11008」(製品名、無機有機ハイブリッド、ニットーボーメディカル社製)を使用し、コート層の膜厚を3.2μmとした以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0097】
<比較例1>
コート層を基材層上に設けなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0098】
<比較例2>
「HB11B」の代わりに「BC101B・BN」(製品名、無機系、ビアンコジャパン社製)を用いて膜厚が1.1μmのコート層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0099】
<比較例3>
「HB11B」の代わりに「HB21BN」(製品名、無機有機ハイブリッド、ニットーボーメディカル社製)を用いて膜厚が0.5μmのコート層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0100】
<比較例4>
「HB11B」の代わりに「No.700」(製品名、無機有機ハイブリッド、イノーガニック社製)を用いて膜厚が1.4μmのコート層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0101】
<比較例5>
「HB11B」の代わりに「TR−101」(製品名、フッ素系、DIC社製)を用いて膜厚が5.3μmのコート層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0102】
<比較例6>
「HB11B」の代わりに「6FH−021」(製品名、アクリル系、ダイキン工業社製)を用いて膜厚が3.3μmのコート層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0103】
<比較例7>
コート層を基材層上に設けなかったこと以外は、実施例9と同様の方法により中間転写ベルトを製造した。
【0104】
実施例及び比較例で得られた中間転写ベルトについて、下記の方法で評価を行った。結果を表1に示す。実施例及び比較例で用いた無機有機ハイブリッド材料は、無機成分含有量が多い方から順に、「No.700」>「HB11B」>「HB21BN」>「HB31BN」>「X11008」である。
【0105】
[マルテンス硬さ(微小硬度)]
ダイナミック超微小硬度計(DUH−211S、島津製作所社製)を用いて、押し込み深さ0.05μmの場合の、中間転写ベルトのコート層側表面の硬度(ISO14577−1 マルテンス硬さ)を以下の条件にて測定した。この際、押し込み深さ0.05μm丁度のマルテンス硬さデータを得るために、0.05μm押し込み深さの前後2点間のプロットから最小二乗法により、直線の傾き、切片を計算し、硬度を算出した。それぞれの押し込み深さの硬度については、同一ベルト内で異なる表面部位を5箇所測定し、その平均をマルテンス硬さとした。
試験機:島津ダイナミック超微小硬度計DUH−211S
試験モード:押込み深さ設定負荷−除荷試験
最小試験力:0.02mN
負荷速度:1.4632mN/秒
負荷保持時間:2秒
除荷保持時間:0秒
設定押し込み深さ:0.05μm
試験力レンジ:19.6133mN
圧子の種類:Triangular115(稜間角115°ダイアモンド三角錐圧子、バーコビッチ形)
【0106】
[表面抵抗率、体積抵抗率の測定]
得られた中間転写ベルトの表面抵抗率及び体積抵抗率を以下の条件で測定した。表1中の値は、「1×10
n (Ω/□、又は、Ω・cm)」のnを表す。表中「over」とあるのは、n>14である場合を表す。
装置:ハイレスタIP・HRプローブ(三菱化学社製)
印加電圧:表面抵抗100V、体積抵抗10V
測定点:中間転写ベルトのコート層側表面の、ベルト幅方向3点、周方向4点の計12点、電圧印加後10秒後の値を測定し、平均値を算出した。
【0107】
[二次転写性]
各中間転写ベルトの二次転写性を評価するために、普通紙及びエンボス加工紙(富士ゼロックスオフィスサプライ社製の「レザック66」、表面凹凸差80μm、151g/m
2)を用いて以下の試験を行った。各中間転写ベルトに対して、C(シアン)色のベタ画像を印刷し、印刷前後の転写ベルト上のトナー重量を測定した。次いで、下記式から二次転写効率を求め、下記判定基準に従って二次転写性を評価した。
【0108】
【数1】
<二次転写性の判定基準>
◎:二次転写効率99%以上
○:二次転写効率95%以上99%未満
△:二次転写効率90%以上95%未満
×:二次転写効率90%未満
【0109】
[耐久性]
複写機に中間転写ベルトをセットし、5、15、30万枚相応の駆動試験を実施し、試験後のベルト表面を観察した。ベルト表面にクラックが発生した時点で耐久試験を終了とした。クラック発生時点を下記の基準で判定し、耐久性を評価した。
○:30万枚相当
△:15万枚相当
×:5万枚相当
【0110】
[鉛筆硬度]
JIS−K5600−5−4に準拠した方法で、中間転写ベルトのコート層側表面の鉛筆硬度を測定した。
【0111】
【表1】
【0112】
表1から、実施例の中間転写ベルトは、レザック紙に対する二次転写性に優れることがわかった。また、実施例の中間転写ベルトは、耐久性にも優れることがわかった。更に、基材層とコート層の表面抵抗率及び体積抵抗率の差が小さいことがわかった。